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明細書 :鉄道動力車両用軸重補償機構

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4234046号 (P4234046)
公開番号 特開2005-280518 (P2005-280518A)
登録日 平成20年12月19日(2008.12.19)
発行日 平成21年3月4日(2009.3.4)
公開日 平成17年10月13日(2005.10.13)
発明の名称または考案の名称 鉄道動力車両用軸重補償機構
国際特許分類 B61C  15/08        (2006.01)
B61F   3/00        (2006.01)
FI B61C 15/08
B61F 3/00 B
請求項の数または発明の数 5
全頁数 8
出願番号 特願2004-098360 (P2004-098360)
出願日 平成16年3月30日(2004.3.30)
審査請求日 平成18年7月20日(2006.7.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】鈴木 実
【氏名】前橋 栄一
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
【識別番号】100096426、【弁理士】、【氏名又は名称】川合 誠
審査官 【審査官】西中村 健一
参考文献・文献 実開昭54-069503(JP,U)
実公昭36-009310(JP,Y1)
実公昭35-018410(JP,Y1)
特開昭56-005265(JP,A)
調査した分野 B61C 15/00-14
B61F 3/00
B61F 5/00
特許請求の範囲 【請求項1】
2軸ボギー台車を有する鉄道動力車両用軸重補償機構において、
(a)前後の軸梁の台車側に配置されるリンクアームと、
(b)該前後のリンクアームの先端に連結される結合・切断機構とを備え、
(c)台車の浮き上がりにより1位側の輪重を支持する軸バネが伸張すると、前記結合・切断機構を結合させ、2位側の輪重を支持する軸バネを収縮させることにより、1位側の軸バネを押さえ、輪重移動を低減することを特徴とする鉄道動力車両用軸重補償機構。
【請求項2】
請求項1記載の鉄道動力車両用軸重補償機構において、前記バネの伸長を検出するセンサを設け、該センサからの情報に基づいて前記結合・切断機構を結合させることを特徴とする鉄道動力車両用軸重補償機構。
【請求項3】
請求項1記載の鉄道動力車両用軸重補償機構において、前記結合・切断機構が電磁クラッチであることを特徴とする鉄道動力車両用軸重補償機構。
【請求項4】
請求項3記載の鉄道動力車両用軸重補償機構において、前記電磁クラッチが電磁石吸着式クラッチであることを特徴とする鉄道動力車両用軸重補償機構。
【請求項5】
請求項1記載の鉄道動力車両用軸重補償機構において、前記結合・切断機構が圧電ゴムクラッチであることを特徴とする鉄道動力車両用軸重補償機構。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道動力車両用軸重補償機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気機関車、ディーゼル機関車、電車、気動車等の動力を有する、鉄道動力車両には、例えば、通常の電気機関車の場合、車軸毎に16.8tの荷重がかかる。
【0003】
そのため、鉄道車両の加速時および減速時には台車や車体の慣性力(牽引荷重等)により軸重抜けが発生する。

【特許文献1】なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図6は鉄道車両の力行時の挙動を示す模式図、図7は図6のA部拡大図である。
【0005】
この図において、101は鉄道動力車両、102は前方の台車、103は後方の台車、104は前方の前輪、105は前方の後輪、106は後方の前輪、107は後方の後輪、108は後続の従属車である。
【0006】
このような鉄道動力車両101の力行時には軸重が移動して前方の前輪104が浮き上がり、駆動力や制動力の低減が起きる。また、登坂の場合は、前方の前輪104が、降坂の場合は後方の後輪107が浮き上がる。
【0007】
本発明は、上記状況に鑑みて、鉄道動力車両の加速時および減速時の慣性力(牽引荷重等)による軸重抜けの発生を防止して、駆動力や制動力の低減を抑制するための軸重補償機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕2軸ボギー台車を有する鉄道動力車両用軸重補償機構において、前後の軸梁の台車側に配置されるリンクアームと、その前後のリンクアームの先端に連結される結合・切断機構とを備え、台車の浮き上がりにより1位側の輪重を支持する軸バネが伸張すると、前記結合・切断機構を結合させ、2位側の輪重を支持する軸バネを収縮させることにより、1位側の軸バネを押さえ、輪重移動を低減することを特徴とする。
【0009】
〔2〕上記〔1〕記載の鉄道動力車両用軸重補償機構において、前記バネの伸長を検出するセンサを設け、このセンサからの情報に基づいて前記結合・切断機構を結合させることを特徴とする。
【0010】
〔3〕上記〔1〕記載の鉄道動力車両用軸重補償機構において、前記結合・切断機構が電磁クラッチであることを特徴とする。
【0011】
〔4〕上記〔3〕記載の鉄道動力車両用軸重補償機構において、前記電磁クラッチが電磁石吸着式クラッチであることを特徴とする。
【0012】
〔5〕上記〔1〕記載の鉄道動力車両用軸重補償機構において、前記結合・切断機構が圧電ゴムクラッチであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、鉄道動力車両の加速時および減速時の慣性力(牽引荷重等)による軸重抜けの発生を防止して、駆動力や制動力の低減を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の2軸ボギー台車を有する鉄道動力車両用軸重補償機構は、前後の軸梁の台車側にリンクアームと、その前後のリンクアームの先端に連結される結合・切断機構とを備え、台車の浮き上がりにより1位側の輪重を支持する軸バネが伸張すると、前記結合・切断機構を結合させ、2位側の輪重を支持する軸バネを収縮させることにより、1位側の軸バネを押さえ、輪重移動を低減する。
【実施例】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明の実施例を示す軸梁リンク機構を有する軸重補償機構の台車の模式図、図2はその軸梁リンク機構の動作説明図である。
【0017】
この図において、図1(a)は通常状態の台車を示しており、図1(b)は力行時もしくは登坂時の台車を示している。
【0018】
これらの図において、1は台車、2は台車1の前方の軸梁支部、3は前方(1位側)の車輪、4は前方の車輪3の軸箱、5は前方の車輪の軸箱4と台車の前方の軸梁支部2間を連結する軸梁、6は台車の前方の軸梁支部2に連結されるリンクアーム、7は台車1と軸箱4との間の軸ばね、10は台車の後方の軸梁支部、11は後方(2位側)の車輪、12は後方の車輪11の軸箱、13は後方の車輪の軸箱12と台車の後方の軸支部10間を連結する軸梁、14は台車の後方の軸梁支部10に連結されるリンクアーム、15は台車1と軸箱12との間の軸ばね、16は台車1の前後方向の中心点、21はリンクアーム6と14の結合と切断が可能な結合・切断機構である。
【0019】
そこで、図1(b)に示すように、前方の車輪3が浮き上がる方向に力を受けると、まず、結合・切断機構21は結合される。台車1に支持された前方のリンクアーム6は矢印Aのように反時計方向に回動し、結合・切断機構21を介して、後方のリンクアーム14も矢印Bのように反時計方向に回動し、さらに後方の軸梁13もまた反時計方向に回動するので、後方の軸ばね15に力が加わる。すると、台車1は台車1の前後方向の中心点16を中心として、台車1に反時計方向に回動する力が働き、この力は前方(1位側)の車輪3を押さえる力となり、前方の車輪3の浮き上がりを抑えることにより、軸抜けを防止することができる。
【0020】
また、結合・切断機構の動作は、あらかじめ勾配地点情報を受けると、結合・切断機構をスタンバイさせておき、台車と軸箱間の応力センサで検知して行わせることができる。
【0021】
ここでは、鉄道動力車両の力行時・登坂時について説明したが、同様に降坂時の後輪の浮き上がり抑制し、その軸抜けを防止できることは言うまでもない。
【0022】
この実施例における結合・切断機構21は、図2に示すように、鉄道動力車両に搭載される制御装置22により制御され、この制御装置22に入力される勾配地点情報23に基づいて結合・切断機構21の結合・切断を行うことができる。また、台車と車輪間のセンサからの情報に基づいて、制御装置22により結合・切断機構21の結合・切断を行うことができる。
【0023】
図3はその軸梁リンク機構の連結部の斜視図であり、図3(a)はその第1態様の斜視図、図3(b)はその第2態様の斜視図である。
【0024】
図3(a)において、軸箱31からは軸梁32が延びており、その先端の支持部33の両側の軸34に台車の軸支部(図示なし)が固定される。その支持部33の下方にアーム35が追加され、そのアーム35に又状の先端部を有する継ぎ手のアーム36が連結されリンクアームが構成される。
【0025】
図3(b)において、軸箱31からは軸梁32が延びており、その先端の支持部41の両側の軸42に台車が固定される。その支持部41の下方に二本のアーム43が追加され、そのアーム43に継ぎ手のアーム44が連結されリンクアームが構成される。
【0026】
ここで、アーム35,43と継ぎ手のアーム36,44の連結部には図示しないがゴムを挿入することにより、弾力性を持たせるように構成することが望ましい。
【0027】
また、その結合・切断機構は機械式クラッチ、流体式クラッチや電磁式クラッチなどで構成することができる。
【0028】
図4はその軸梁リンク機構の結合・切断機構(その1)の模式図である。
【0029】
この図において、結合・切断機構51は、両方のアーム52,53の先端部に吸着体54と55が同一軸上に配置され、それらの吸着体54と55の側部(または上下)に電磁コイル58と59を備えた吸着体56と57が配置されている。そこで、電磁コイル58と59の励磁により吸着体54と55に対し、吸着体56と57が互いに吸着されて、クラッチがオン状態となり、電磁コイル58と59の消磁により、吸着体54と55に対する吸着体56と57の吸着が解消し、クラッチがオフ状態となる。
【0030】
このようなクラッチの構成とすることにより、制御装置からの指令により高速な結合・切断動作を行わせることができ、即応性がある。
【0031】
なお、電磁クラッチとしては、これ以外にも、電磁粉末クラッチ、渦電流クラッチなどを用いることでできる。
【0032】
図5はその軸梁リンク機構の結合・切断機構(その2)の模式図である。
【0033】
この図において、結合・切断機構61は、両方のアーム62,63の先端部に互いに突起体64,65を噛み合わせ、その空間部に圧電ゴム66を装着する。そこで、圧電ゴム66に電圧Vを印加すると、圧電ゴム66の弾性率は高くなり、突起体64,65が固く結合して、クラッチがオン状態となり、電圧Vの印加を解くと、圧電ゴム66の弾性率は低くなり、突起体64と65はそれぞれ自由にスライドできようになり、クラッチがオフ状態となる。なお、図5において、67はリード線である。
【0034】
このように構成すると、結合・切断機構61は、結合・切断動作は高速であるとともに、結合時においても弾性的な結合を行わせることができ、アームリンクによるショックをやわらげることができる。
【0035】
また、機械式クラッチ、流体式クラッチをも採用することができ、弾性体を適宜組み合わせることにより、アームリンクによるショックをやわらげることができる。
【0036】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の軸重補償機構は、鉄道動力車両の車輪の浮き上がりを抑制可能であるため、鉄道動力車両へ好適である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例を示す軸梁リンク機構を有する軸重補償機構の台車の模式図である。
【図2】本発明の実施例を示す軸梁リンク機構の動作説明図である。
【図3】本発明の実施例を示す軸梁リンク機構の連結部の斜視図である。
【図4】本発明の実施例を示す軸梁リンク機構の結合・切断機構(その1)の模式図である。
【図5】本発明の実施例を示す軸梁リンク機構の結合・切断機構(その2)の模式図である。
【図6】従来の鉄道車両の力行時の挙動を示す模式図である。
【図7】図6のA部拡大図である。
【符号の説明】
【0039】
1 台車
2 台車の前方の軸梁支部
3 前方(1位側)の車輪
4 前方の車輪の軸箱
5 前方の軸梁
6 前方のリンクアーム
7 前方の軸ばね
10 台車の後方の軸梁支部
11 後方(2位側)の車輪
12 後方の車輪の軸箱
13 後方の軸梁
14 後方のリンクアーム
15 後方の軸ばね
16 台車の前後方向の中心点
21,51,61 結合・切断機構
22 制御装置
23 勾配地点情報
31 軸箱
32 軸梁
33,41 支持部
34,42 両側の軸
35,52,53,62,63 アーム
36 又状の端部を有する継ぎ手のアーム
43 二本のアーム
44 継ぎ手のアーム
54,55 円板状吸着体
56,57 バネ
58 電磁コイル
64,65 突起体
66 圧電ゴム
67 リード線
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6