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明細書 :超音波探傷方法及び装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4351568号 (P4351568)
公開番号 特開2005-283379 (P2005-283379A)
登録日 平成21年7月31日(2009.7.31)
発行日 平成21年10月28日(2009.10.28)
公開日 平成17年10月13日(2005.10.13)
発明の名称または考案の名称 超音波探傷方法及び装置
国際特許分類 G01N  29/04        (2006.01)
FI G01N 29/10 504
G01N 29/04 502
請求項の数または発明の数 6
全頁数 16
出願番号 特願2004-098632 (P2004-098632)
出願日 平成16年3月30日(2004.3.30)
審査請求日 平成18年7月27日(2006.7.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】牧野 一成
【氏名】養祖 次郎
【氏名】坂本 博
個別代理人の代理人 【識別番号】100100413、【弁理士】、【氏名又は名称】渡部 温
審査官 【審査官】田中 洋介
参考文献・文献 特開平07-167840(JP,A)
特開2002-228575(JP,A)
特開昭50-085385(JP,A)
特開昭55-136952(JP,A)
特開平09-229910(JP,A)
特開平07-049338(JP,A)
特開平06-118066(JP,A)
特開平06-118067(JP,A)
特開平06-265528(JP,A)
牧野一成 他,在来線車両用小径中ぐり車軸の超音波探傷法,超音波Techno,2004年 1月,Vol.16 No.1,pp.70-75
調査した分野 G01N 29/00-29/52
JSTPlus(JDream2)
特許請求の範囲 【請求項1】
段差のある外面、及び、超音波探傷用の探触子が当てられる超音波入射面を有する試験体の超音波探傷方法であって、
前記試験体の超音波入射面に前記探触子を当てて、所定のピッチで走査しつつ、該ピッチごとの点(データ記録点)でエコーを検出し、
事前に、探傷対象となる前記試験体の段差部分について、前記超音波入射面から入射した超音波の直進距離が最も短い表面におけるエコーのビーム路程からある値を引いてトリガゲート始点を設定するとともに、前記超音波入射面から入射した超音波の直進距離が最も長い表面におけるエコーのビーム路程にある値を加えてトリガゲート終点を設定し、
また、前記試験体と同一形状のきずのない試験体の妨害エコーデータ(段差部分からのエコーデータ)の、前記データ記録点での各ビーム路程及びそれらのばらつき範囲を取得しておき、
前記各データ記録点で前記トリガゲート内の検出しきい値を超えるビーム強度を有し且つ最もビーム路程の短いエコーデータについて、そのビーム強度及びビーム路程を検出・記録し、
前記検出・記録された前記試験体のビーム路程データが、前記取得された前記きずのない試験体の妨害エコーデータのばらつき範囲外であるとき、前記試験体のきずから反射したきずエコーデータであると判断することを特徴とする超音波探傷方法。
【請求項2】
径の異なる複数の外周面、及び、軸芯部の中空孔を有する中空軸の超音波探傷方法であって、
試験体となる中空軸(試験軸)の中空孔内に超音波探傷用の探触子を挿入し、該探触子を軸方向及び周回転方向に連続的又は間欠的に送りつつ、軸送り方向及び周回転送り方向の送りピッチごとの点(データ記録点)でエコーを検出し、
事前に、前記試験軸の最も細い径の段差部分表面からのエコーのビーム路程からある値を引いてトリガゲート始点を設定するとともに、前記試験軸の最も太い径の段差部分表面からのエコーのビーム路程にある値を加えてトリガゲート終点を設定し、
また、前記試験軸と同一形状のきずのない中空軸(基準軸)の妨害エコーデータ(段差部分からのエコーデータ)の、前記データ記録点での各ビーム路程及びそれらのばらつき範囲を取得しておき、
前記各データ記録点で前記トリガゲート内の検出しきい値を超えるビーム強度を有し且つ最もビーム路程の短いエコーデータについて、そのビーム強度及びビーム路程を検出・記録し、
前記検出・記録された前記試験軸のビーム路程データが、前記取得された前記基準軸の妨害エコーデータのばらつき範囲外であるとき、前記試験軸のきずから反射したきずエコーデータであると判断することを特徴とする超音波探傷方法。
【請求項3】
前記探触子の周回転送り方向の隣り合うデータ記録点でのエコーデータを比較し、これらが所定のばらつき範囲内であれば前記妨害エコーデータであると判断し、所定のばらつき範囲外であれば前記きずエコーデータであると判断することを特徴とする請求項2記載の超音波探傷方法。
【請求項4】
前記データ記録点を比較するときの開始点となるデータ記録番号Nsを設定し、
前記周回転送り方向に連続するデータ記録点の個数Cを設定し、
前記基準軸の妨害エコーデータのばらつき範囲から、前記妨害エコーデータか又は前記きずエコーデータかを識別するしきい値Vを設定し、
前記データ記録番号NsからNs+C-1までの各エコーデータを比較し、前記ばらつき範囲内でのビーム路程の最大値Dmax、最小値Dminを設定し、
Dmax-Dmin≦Vとなる場合は、以下のサブステップ(SS1)~(SS3):
(SS1)比較した個数Cの各エコーデータがC個の連続する前記妨害エコーデータであると判断する
(SS2)前記データ記録番号Nsを1つ増やす
(SS3)前記データ記録番号Nsの設定ステップに移行する
を順に経由し、
Dmax-Dmin>Vとなる場合は、以下のサブステップ(SS4)~(SS7):
(SS4)比較した個数Cの各エコーデータのうちに前記きずエコーデータが存在すると判断する
(SS5)Dminとして設定されたデータ記録番号のエコーデータを前記きずエコーデータと判定する
(SS6)前記きずエコーデータに該当したデータ記録番号の次のデータ記録点を、新たな開始点となるデータ記録番号Nsとして設定し直す
(SS7)前記データ記録番号Nsの設定ステップに移行する
を順に経由し、
比較対象となる全てのデータ記録点について前記サブステップ(SS1)~(SS3)又は(SS4)~(SS7)を経由した後、前記妨害エコーデータと判定されたエコーデータを除去し、前記きずエコーデータに該当するエコーデータのみを抽出することを特徴とする請求項3記載の超音波探傷方法。
【請求項5】
段差のある外面、及び、超音波探傷用の探触子が当てられる超音波入射面を有する試験体を超音波探傷する装置であって、
前記試験体の超音波入射面に前記探触子を当てた状態で、所定のピッチで走査する手段と、
該ピッチごとの点(データ記録点)でエコーを検出する手段と、
探傷対象となる前記試験体の段差部分について、前記超音波入射面から入射した超音波の直進距離が最も短い表面におけるエコーのビーム路程からある値を引いてトリガゲート始点を設定するとともに、前記超音波入射面から入射した超音波の直進距離が最も長い表面におけるエコーのビーム路程にある値を加えてトリガゲート終点を設定する手段と、
前記試験体と同一形状のきずのない試験体の妨害エコーデータ(段差部分からのエコーデータ)の、前記データ記録点での各ビーム路程及びそれらのばらつき範囲を取得する手段と、
前記各データ記録点で前記トリガゲート内の検出しきい値を超えるビーム強度を有し且つ最もビーム路程の短いエコーデータについて、そのビーム強度及びビーム路程を検出・記録する手段と、
前記検出・記録された前記試験体のビーム路程データが、前記取得された前記きずのない試験体の妨害エコーデータのばらつき範囲外であるとき、前記試験体のきずから反射したきずエコーデータであると判断する手段と、
を備えることを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項6】
径の異なる複数の外周面、及び、軸芯部の中空孔を有する中空軸を超音波探傷する装置であって、
試験体となる中空軸(試験軸)の中空孔内に超音波探傷用の探触子を挿入した状態で、該探触子を軸方向及び周回転方向に連続的又は間欠的に送る手段と、
軸送り方向及び周回転送り方向の送りピッチごとの点(データ記録点)でエコーを検出する手段と、
前記試験軸の最も細い径の段差部分表面からのエコーのビーム路程からある値を引いてトリガゲート始点を設定するとともに、前記試験軸の最も太い径の段差部分表面からのエコーのビーム路程にある値を加えてトリガゲート終点を設定する手段と、
前記試験軸と同一形状のきずのない中空軸(基準軸)の妨害エコーデータ(段差部分からのエコーデータ)の、前記データ記録点での各ビーム路程及びそれらのばらつき範囲を取得する手段と、
前記各データ記録点で前記トリガゲート内の検出しきい値を超えるビーム強度を有し且つ最もビーム路程の短いエコーデータについて、そのビーム強度及びビーム路程を検出・記録する手段と、
前記検出・記録された前記試験軸のビーム路程データが、前記取得された前記基準軸の妨害エコーデータのばらつき範囲外であるとき、前記試験軸のきずから反射したきずエコーデータであると判断する手段と、
を備えることを特徴とする超音波探傷装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を用いて試験体のきずの有無を調べる超音波探傷方法及び装置に関する。
なお、本明細書において、「中空軸」とは軸の長手方向に延びる空所を内部に有する軸のことを意味し、その空所を切削加工により形成した、いわゆる「中ぐり軸」をも含む。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の輪軸の探傷方法を例に採って、背景技術を説明する。
図8(A)は中実車軸を備える輪軸の探傷検査の例を説明するための図であり、図8(B)は中空車軸を備える輪軸の輪座部(車輪嵌め合い部)の探傷検査の例を説明するための図である。
図9は、中空車軸の探傷ゲートの設定例を説明するための図である。
【0003】
図8(A)に示す輪軸10Aは、中実車軸11を備えている。この中実車軸11は、中央平行部13の両側に、大径の輪座部15L、15R、中径部17L、17R、小径のジャーナル部(端部)19L、19Rがそれぞれ形成されている。左輪座部15Lは車輪座部15L′、ディスク座部(又は歯車座部)15L″からなり、それぞれ左車輪21L、ブレーキディスク(又は歯車)23が圧入されている。右輪座部15Rには、右車輪21Rのみが圧入されている。左右ジャーナル部19L、19Rには、それぞれ軸箱(図示されず)が外嵌される。中実車軸11の各外周面の段差部分は、アール状に形成されている。なお、左右輪座部15L、15Rの両側段差部分のうち、外側(軸端部側)を外ボス部OB、内側(軸中央側)を内ボス部IBと呼ぶ。
【0004】
一方、図8(B)、図9に示す輪軸10Bは、中空車軸12を備えている(これらの図には中空車軸12の左端部のみが拡大して図示されている)。この中空車軸12は、図8(A)に示す中実車軸11において、軸芯部に中空孔12a(一例で直径60mm)が形成されたものである。
【0005】
このような輪軸10A、10Bは、鉄道車両全体を支える重要部品である。輪軸10A、10Bについては、回転に伴う繰り返し荷重の作用により、車軸11、12表面に疲労き裂が生じていないか否かを早期に検出するため、定期的に探傷検査を行う必要がある。現在、このようなき裂チェックのための探傷検査は、超音波探触子40を用いて非破壊的に行われることがほとんどである。
【0006】
図8に模式的に示すように、探触子40は、ピエゾ素子等からなる振動子41を備えている。図8(B)に示すように、中空車軸12の中空孔12a内に挿入して使用される探触子40は、円筒状の探傷ヘッド45内に収容されている。図9に示すように、探傷ヘッド45は、連結パイプ47を介して、パルス発生装置や送り機構等が内蔵された探傷装置49に繋がっている。連結パイプ47内には、パルス発生装置からの電気パルスを振動子41へと伝えるケーブルや、超音波の伝わりを良くするための油を送る油管等が収容されている。探触子40の振動子41にパルス発生装置から電気パルスが加わると、超音波ビームが発生する。この超音波ビームが車軸のきず15X(図8(A)参照)で反射すると、きずエコーが再び探触子40に戻って電気信号に変換され、電気波形として検出される。探傷ヘッド45は、探傷装置49内の送り機構により、車軸の軸方向及び周回転方向に連続的又は間欠的に送ることが可能である。なお、探傷ヘッド45を手動で送るタイプの探傷装置もある。
【0007】
このような探触子40を用いる車軸の探傷検査手法は、大別すると、垂直探傷、局部探傷、斜角探傷がある。
垂直探傷は、図8(A)の左側に示すように、車軸端面に探触子40を垂直に当て、軸方向に沿って超音波ビームを送出するものである。この垂直探傷は、軸中心に存在するきずの探傷には適しているが、各外周面の段差部分(図8の符号B)や外ボス部OB、内ボス部IBの探傷は困難である。
【0008】
局部探傷は、図8(A)の右側に示すように、アクリル等の合成樹脂からなるくさび材(シュー材)43を介して、車軸端面に探触子40を当てる。探触子40は、くさび材43の傾斜面に当てられ、車軸の外ボス部OBや内ボス部IBに向けて斜めに超音波ビームを送出する。この局部探傷では、垂直探傷では困難な、各外周面の段差部分Bや外ボス部OB、内ボス部IBの探傷も行うことができる。
【0009】
斜角探傷は、前述のくさび材43が内装された探触子40′を用い、この探触子40′を車軸周面に当て、車軸の外ボス部OBや内ボス部IBに向けて斜めに超音波ビームを送出する。あるいは、図8(B)、図9に示すように、中空車軸12の探傷検査においては、探傷ヘッド45を中空孔12a内に挿入し、軸方向及び周回転方向に連続的又は間欠的に送りつつ、超音波ビームを斜めに(図9の例では屈折角40°に)送出する。この斜角探傷によっても、垂直探傷では困難な、各外周面の段差部分Bや外ボス部OB、内ボス部IBの探傷を行うことができる。
【0010】
このような典型的な車軸の超音波探傷においては、輪座部15L、15Rや中央平行部13等の探傷部位ごとに、例えば図9に示すような探傷ゲートを設定する。この探傷ゲートは、探傷時の注目部位である車軸表面までの計算上のビーム路程付近に設定する(ビーム路程=超音波の音速×注目部位までの往復の伝播時間÷2)。このような探傷ゲートを設定することで、ゲート範囲外に表示されるエコー波形は無視し、ゲート範囲内に表示されるエコー波形のみを有用な情報として検出することができ、きずの有無を的確に判定することができる。
【0011】
なお、この種の超音波探傷に関連する文献を以下に5件提示する。特許文献5は、本発明者等によるものであって、曲面(集束)振動子を用いて超音波ビームを探傷部位に集束させ、きずの探傷検出感度を向上して高精度の探傷検査を実現できる超音波探傷方法及び装置が開示されている。
【0012】

【特許文献1】特開平6-118066号公報
【特許文献2】特開平6-118067号公報
【特許文献3】特開平6-265528号公報
【特許文献4】特開平7-167840号公報
【特許文献5】特開2003-254944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述したような車軸の探傷検査において、内ボス部IBの探傷結果を解析する場合の問題点について説明する。
図10は、輪座部の内ボス部での超音波の反射状態を説明する図である。
図11は、輪座部の内ボス部でのエコー誤検出の例を示すグラフである。縦軸はエコー高さ(%)を示し、横軸はビーム路程(mm)を示す。
【0014】
図10には、中空孔12aを有する中空車軸12の輪座部16が拡大して示されている。この図に示すように、中空車軸12の中空孔12a内に探触子40(探傷ヘッド45)を挿入し、内ボス部IB付近の車軸表面のきず16Xを斜角探傷した場合を想定する。この場合、中空孔12a内の探触子40は、内ボス部IB付近に向けて超音波ビームを屈折角40°(一例)で送出し、計算上のビーム路程付近に設定した探傷ゲート内におけるエコーを検出する。このとき、内ボス部IB付近の探傷ゲート内には、きず16X以外にコーナCやアール部Rの一部も存在するため、探触子40は、きずエコーとともにコーナCやアール部Rからのエコー(これらを妨害エコーという)も混在して検出することとなる。
【0015】
このように、きずエコーと妨害エコーとが混在していると、図11に示すように、きずエコーと妨害エコーが分離していたとしても、両者のビーム路程の差が小さい場合は、探傷ゲート内に両エコーが同時に出現することとなる。そして、妨害エコーの高さの方がきずエコーの高さよりも高い場合には、妨害エコーのエコー高さを検出し、妨害エコーをきずエコーとして誤検出してしまう可能性がある。
【0016】
本発明は、前記の課題に着目してなされたもので、きずエコーと妨害エコーとが混在する場合に、きずエコーのみを的確に分離して検出することができ、エコー誤検出の可能性を低減することができる超音波探傷方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の超音波探傷方法は、段差のある外面、及び、超音波探傷用の探触子が当てられる超音波入射面を有する試験体の超音波探傷方法であって、 前記試験体の超音波入射面に前記探触子を当てて、所定のピッチで走査しつつ、該ピッチごとの点(データ記録点)でエコーを検出し、 事前に、探傷対象となる前記試験体の段差部分について、前記超音波入射面から入射した超音波の直進距離が最も短い表面におけるエコーのビーム路程からある値を引いてトリガゲート始点を設定するとともに、前記超音波入射面から入射した超音波の直進距離が最も長い表面におけるエコーのビーム路程にある値を加えてトリガゲート終点を設定し、 また、前記試験体と同一形状のきずのない試験体の妨害エコーデータ(段差部分からのエコーデータ)の、前記データ記録点での各ビーム路程及びそれらのばらつき範囲を取得しておき、 前記各データ記録点で前記トリガゲート内の検出しきい値を超えるビーム強度を有し且つ最もビーム路程の短いエコーデータについて、そのビーム強度及びビーム路程を検出・記録し、 前記検出・記録された前記試験体のビーム路程データが、前記取得された前記きずのない試験体の妨害エコーデータのばらつき範囲外であるとき、前記試験体のきずから反射したきずエコーデータであると判断することを特徴とする。
【0018】
本発明の第2の超音波探傷方法は、径の異なる複数の外周面、及び、軸芯部の中空孔を有する中空軸の超音波探傷方法であって、 試験体となる中空軸(試験軸)の中空孔内に超音波探傷用の探触子を挿入し、該探触子を軸方向及び周回転方向に連続的又は間欠的に送りつつ、軸送り方向及び周回転送り方向の送りピッチごとの点(データ記録点)でエコーを検出し、 事前に、前記試験軸の最も細い径の段差部分表面からのエコーのビーム路程からある値を引いてトリガゲート始点を設定するとともに、前記試験軸の最も太い径の段差部分表面からのエコーのビーム路程にある値を加えてトリガゲート終点を設定し、 また、前記試験軸と同一形状のきずのない中空軸(基準軸)の妨害エコーデータ(段差部分からのエコーデータ)の、前記データ記録点での各ビーム路程及びそれらのばらつき範囲を取得しておき、 前記各データ記録点で前記トリガゲート内の検出しきい値を超えるビーム強度を有し且つ最もビーム路程の短いエコーデータについて、そのビーム強度及びビーム路程を検出・記録し、 前記検出・記録された前記試験軸のビーム路程データが、前記取得された前記基準軸の妨害エコーデータのばらつき範囲外であるとき、前記試験軸のきずから反射したきずエコーデータであると判断することを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、試験体(中空軸)の段差部分に基づきトリガゲートを設定することで、きずエコーと妨害エコーとが混在する場合にも、きずエコーのみを的確に分離して検出することができ、エコー誤検出の可能性を低減することができる。
【0020】
本発明の第2の超音波探傷方法においては、前記探触子の周回転送り方向の隣り合うデータ記録点でのエコーデータを比較し、これらが所定のばらつき範囲内であれば前記妨害エコーデータであると判断し、所定のばらつき範囲外であれば前記きずエコーデータであると判断することができる。
この場合、中空軸の段差部分におけるエコー誤検出の可能性を一層低減することができる。
【0021】
本発明の第2の超音波探傷方法のより具体的な態様においては、前記データ記録点を比較するときの開始点となるデータ記録番号Nsを設定し、 前記周回転送り方向に連続するデータ記録点の個数Cを設定し、 前記基準軸の妨害エコーデータのばらつき範囲から、前記妨害エコーデータか又は前記きずエコーデータかを識別するしきい値Vを設定し、 前記データ記録番号NsからNs+C-1までの各エコーデータを比較し、前記ばらつき範囲内でのビーム路程の最大値Dmax、最小値Dminを設定し、 Dmax-Dmin≦Vとなる場合は、以下のサブステップ(SS1)~(SS3): (SS1)比較した個数Cの各エコーデータがC個の連続する前記妨害エコーデータであると判断する (SS2)前記データ記録番号Nsを1つ増やす (SS3)前記データ記録番号Nsの設定ステップに移行する を順に経由し、 Dmax-Dmin>Vとなる場合は、以下のサブステップ(SS4)~(SS7): (SS4)比較した個数Cの各エコーデータのうちに前記きずエコーデータが存在すると判断する (SS5)Dminとして設定されたデータ記録番号のエコーデータを前記きずエコーデータと判定する (SS6)前記きずエコーデータに該当したデータ記録番号の次のデータ記録点を、新たな開始点となるデータ記録番号Nsとして設定し直す (SS7)前記データ記録番号Nsの設定ステップに移行する を順に経由し、 比較対象となる全てのデータ記録点について前記サブステップ(SS1)~(SS3)又は(SS4)~(SS7)を経由した後、前記妨害エコーデータと判定されたエコーデータを除去し、前記きずエコーデータに該当するエコーデータのみを抽出することができる。
【0022】
本発明の第1の超音波探傷装置は、段差のある外面、及び、超音波探傷用の探触子が当てられる超音波入射面を有する試験体を超音波探傷する装置であって、 前記試験体の超音波入射面に前記探触子を当てた状態で、所定のピッチで走査する手段と、 該ピッチごとの点(データ記録点)でエコーを検出する手段と、 探傷対象となる前記試験体の段差部分について、前記超音波入射面から入射した超音波の直進距離が最も短い表面におけるエコーのビーム路程からある値を引いてトリガゲート始点を設定するとともに、前記超音波入射面から入射した超音波の直進距離が最も長い表面におけるエコーのビーム路程にある値を加えてトリガゲート終点を設定する手段と、 前記試験体と同一形状のきずのない試験体の妨害エコーデータ(段差部分からのエコーデータ)の、前記データ記録点での各ビーム路程及びそれらのばらつき範囲を取得する手段と、 前記各データ記録点で前記トリガゲート内の検出しきい値を超えるビーム強度を有し且つ最もビーム路程の短いエコーデータについて、そのビーム強度及びビーム路程を検出・記録する手段と、 前記検出・記録された前記試験体のビーム路程データが、前記取得された前記きずのない試験体の妨害エコーデータのばらつき範囲外であるとき、前記試験体のきずから反射したきずエコーデータであると判断する手段と、を備えることを特徴とする。
【0023】
本発明の第2の超音波探傷装置においては、径の異なる複数の外周面、及び、軸芯部の中空孔を有する中空軸を超音波探傷する装置であって、 試験体となる中空軸(試験軸)の中空孔内に超音波探傷用の探触子を挿入した状態で、該探触子を軸方向及び周回転方向に連続的又は間欠的に送る手段と、 軸送り方向及び周回転送り方向の送りピッチごとの点(データ記録点)でエコーを検出する手段と、 前記試験軸の最も細い径の段差部分表面からのエコーのビーム路程からある値を引いてトリガゲート始点を設定するとともに、前記試験軸の最も太い径の段差部分表面からのエコーのビーム路程にある値を加えてトリガゲート終点を設定する手段と、 前記試験軸と同一形状のきずのない中空軸(基準軸)の妨害エコーデータ(段差部分からのエコーデータ)の、前記データ記録点での各ビーム路程及びそれらのばらつき範囲を取得する手段と、 前記各データ記録点で前記トリガゲート内の検出しきい値を超えるビーム強度を有し且つ最もビーム路程の短いエコーデータについて、そのビーム強度及びビーム路程を検出・記録する手段と、 前記検出・記録された前記試験軸のビーム路程データが、前記取得された前記基準軸の妨害エコーデータのばらつき範囲外であるとき、前記試験軸のきずから反射したきずエコーデータであると判断する手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、きずエコーと妨害エコーとが混在する場合に、きずエコーのみを的確に分離して検出することができ、エコー誤検出の可能性を低減することができる超音波探傷方法及び装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
以下の実施例では、本発明を鉄道車両の輪軸の探傷検査に適用した場合について説明する。
図1は、本実施の形態に係る超音波探傷方法のトリガゲートの設定方法を説明する図である。
図2は、トリガゲートによるエコー検出状態を説明するための図である。(A)はきずエコーと妨害エコーが混在する場合のパルスを模式的に示す図であり、(B)は妨害エコーのみが存在する場合のパルスを模式的に示す図である。
図3は、探触子の走査とデータ記録点の関係を概念的に示す図である。
図4は、きずエコーと妨害エコーとの分離手順を示すフローチャートである。
図5は、きずエコーの判定データ例を表す表である。
【符号の説明】
【0026】
図1に示す車軸(中空車軸)100は、前述した図8(B)、図9の中空車軸12と同様のものであって、外周面に中央平行部103、大径の輪座部105、中径部107、小径のジャーナル部109が形成されており、軸芯部に中空孔100aが形成されたものである。なお、図1には車軸100の左端側のみが図示されているが、前述した図8(A)と同様に、右端側にも輪座部、中径部、ジャーナル部が形成されている。一方、図1の探触子40(探傷ヘッド45)は、図8や図9に示すものと同様であって、内部の振動子に探傷装置49(図9参照)のパルス発生装置から電気パルスが加わると、超音波ビームが発生するようになっている。
【0027】
この図1には、探触子40(探傷ヘッド45)を用いて斜角探傷を行う場合が示されている。前述の通り、斜角探傷は、探触子40を中空車軸100の中空孔100a内に挿入し、軸方向T及び周回転方向θに連続的又は間欠的に送りつつ、超音波ビームを所定の屈折角(一例で40°)で斜めに送出する。なお、探触子40の送り操作は、前述した探傷装置49(図9参照)の送り機構を用いて行うのが最良であるが、探傷用治具を用いて手動で行うことも可能である。
【0028】
ここで、図1に示すような中空車軸100の斜角探傷において、内ボス部100X付近にきず105Xが存在する場合、探触子40から送出された超音波ビームのうち、きず105Xで反射したエコー(きずエコー)と、内ボス部100Xの段差部分(コーナやアール部)で反射したエコー(妨害エコー)とが再び探触子40に戻り、電気信号に変換されて電気波形として検出されることとなる。これに対して、本発明に係る探傷方法によれば、きずエコーと妨害エコーが混在して検出された場合にも、きずエコーのみを的確に分離して検出することが可能である。
【0029】
以下、本発明に係る中空車軸100の探傷方法について詳細に述べる。
まず、図1に示すように、中空車軸100の中空孔100a内に探触子40(探傷ヘッド45)を挿入し、探触子40を軸方向T及び周回転方向θに連続的又は間欠的に送る。そして、探触子40を送りつつ、軸送り方向T及び周回転送り方向θの送りピッチごとの点(データ記録点)でエコーを検出する(図3参照)。例えば、軸長約2mの中空車軸について、軸送り方向ピッチを2mmとし、周回転送り方向ピッチを3°とした場合、データ記録点は計12万点得られることとなる。
【0030】
ここで、図1の中空車軸100に対して、以下の通りにトリガゲートを設定する。すなわち、中空車軸100の最も細い径(ジャーナル部109)の表面からのエコーのビーム路程からある値αを引いてトリガゲート始点Tを設定するとともに、中空車軸100の最も太い径(輪座部105)の表面からのエコーのビーム路程にある値αを加えてトリガゲート終点Tを設定する。
【0031】
一方、このようなトリガゲートの設定とは別に、予め、試験対象となる中空車軸と同一形状のきずのない中空車軸(健全な中空車軸:基準軸)の妨害エコーデータの、データ記録点での各ビーム路程及びそれらのばらつき範囲を取得しておく。本実施例では、一例で、このばらつき範囲を1mmと設定する。
【0032】
トリガゲートの設定により、きずエコーと妨害エコーとが混在する場合には図2(A)に示すような波形が得られ、妨害エコーのみが存在する場合には図2(B)に示すような波形が得られる。そこで、図2(A)に示す場合には、前述の各データ記録点でトリガゲート内の検出しきい値Tを超えるビーム強度を有し且つ最もビーム路程の短いエコーデータ(図2(A)の左側に大きく立ち上がる第1波のエコーデータ)について、短い幅(一例で2mm)の探傷ゲートを設定し、そのエコー高さ(ビーム強度)Eh及びビーム路程Edを検出・記録する。なお、図2(A)、(B)中最も左側に示すような、検出しきい値Tを超えない小さなエコーデータ等は、不要なデータとして無視される。
【0033】
一方、図2(B)に示すように、きずエコーデータが存在せず、第1波が妨害エコーデータである場合には、探傷ゲートは妨害エコーデータに設定され、そのエコー高さ(ビーム強度)Eh′及びビーム路程Ed′が検出・記録される。
【0034】
以上により、きずエコーと妨害エコーとを分離して検出することが可能であるが、中空車軸100の内ボス部100X等の段差部分の探傷については、さらに探触子40の周回転送り方向θの隣り合うデータ記録点(図3参照)でのエコーデータを比較して、両エコーを分離する。
【0035】
図4のフローチャートに示すように、データ処理開始後、まずステップS1でデータ記録点を比較するときの開始点となるデータ記録番号Nsを設定するとともに、周回転送り方向θに連続するデータ記録点の個数C、前述した基準軸の妨害エコーデータのばらつき範囲のしきい値V(本実施例では1mm)を設定し、ステップS2へと移行する。ステップS2では、データ記録番号NsからNs+C-1までの各エコーデータを比較し、ステップS3へと移行する。ステップS3では、ステップS2で比較したデータに基づき、Dmax、Dminの仮の値(例えばDmax=0、Dmin=1000)を設定する。これは、Dmaxとしてトリガゲート始点Tより小さい値(=0)をとっておくことで、i=1回目の判定で必ずDmax=D(Ns)とし、同様に、Dminとしてトリガゲート終点Tより充分大きい値(=1000)をとっておくことで、i=1回目の判定でDmin=D(Ns)とするための設定である。
【0036】
ステップS3を経た後は、ステップS4で基準値i=1を設定し、次いでステップS5で最大値Dmax=Max(Dmax、D(Ns+i-1))、最小値Dmin=Min(Dmin、D(Ns+i-1))を求め、ステップS6へと移行する。ステップS6では、i=Cであるか否かが判断され、NOであればステップS7でi=i+1と設定して再びステップS5へと移行し、YESであればステップS8へと移行する。
【0037】
ステップS8では、ステップS5~S7を経由し、全ての個数Cについて比較して求められたDmax、Dminの値に基づき、Dmax-Dmin≦Vとなるか否か(比較したデータが所定のばらつき範囲に収まっているか否か)が判断される。このステップS8でYESと判断された場合(所定のばらつき範囲に収まっていると判断された場合)はステップS9へと移行し、比較した個数Cの各エコーデータがC個の連続する妨害エコーデータであると判断され、ステップS10へと移行する。ステップS10では、前記データ記録番号Nsを1つ増やしてNs=Ns+1とした後、ステップS1へと再び移行する。
【0038】
ステップS8でNOと判断された場合(つまりDmax-Dmin>Vとなる場合:所定のばらつき範囲に収まっていないと判断された場合)には、ステップS11へと移行し、比較した個数Cの各エコーデータのうちにきずエコーデータが存在すると判断され、ステップS5でDminとして設定されたデータ記録番号のエコーデータがきずエコーデータであると判定される。ステップS11からステップS12へと移行すると、きずエコーデータに該当したデータ記録番号の次のデータ記録点を、新たな開始点となるデータ記録番号Ns=Ns+iとして設定し直し、ステップS1へと再び移行する。
【0039】
そして、比較対象となる全てのデータ記録点について、ステップS8~S10又はステップS8~S12を経由した後、ステップS9で妨害エコーデータであると判定されたエコーデータを除去し、ステップS11できずエコーデータであると判断されたエコーデータのみを抽出する。
【0040】
このようなきずエコーの判定例を、図5に示すデータを用いつつ説明する。
図5には、一例として、データ記録点No.1~No.20までの範囲で、周回転方向3°ピッチごとに得られた各ビーム路程のデータが示されている。これらのビーム路程のデータは、前述の図2(A)又は(B)において検出・記録されたビーム路程データEd又はEd′であって、この時点で既に取得済みのデータである。本実施例では、5データ分ごと(つまり円周ピッチ3°×5データ=15°ごと)にビーム路程のばらつき具合を調べるものとする。なお、円周ピッチ15°ごとのビーム路程のばらつき具合を調べるのは、15°ピッチ以上にきずが広い例はほとんどないという経験則に基づくものである。
【0041】
まず、No.1からNo.5までの5データを比較すると、Dmax=107.8mm(データNo.3)、Dmin=106.9mm(データNo.5)であり、Dmax-Dmin=107.8-106.9=0.9mm≦V(=1mm)であるため、これらNo.1~No.5は妨害エコーデータであると判断される。次いで、No.2~No.6を比較したとき、Dmax=107.8mm(データNo.3)、Dmin=106.2mm(データNo.6)でDmax-Dmin=107.8-106.2=1.6mm>V(=1mm)であるため、No.6はきずエコーデータであると判断される。そこで、このデータNo.6を残し、次のNo.7から再びデータの判定を開始する。
【0042】
以下同様にして、No.7から再びデータの判定を開始すると、No.10(No.7から4つめのデータ)を比較した時点でばらつきのしきい値Vを越えるので、No.7もきずエコーデータであると判定される。そこで、このデータNo.7を残し、次のNo.8から再びデータの判定を開始すると、この場合もNo.10(No.8から3つめのデータ)を比較した時点でばらつきのしきい値Vを越えるので、No.8もきずエコーデータであると判定される。
【0043】
次に、No.9から再びデータの判定を開始すると、No.13までのデータについてはDmax-Dmin≦Vを満たし、ばらつきの範囲内に収まっているので、No.9~No.13は妨害エコーデータであると判断される。次に、No.10~No.14までのデータも同様にDmax-Dmin≦Vを満たすので、No.14も妨害エコーデータであると判断される。次に、No.11~No.15までのデータを判定すると、Dmax-Dmin>Vとなるので、No.15はきずエコーデータであると判断される。そこで、データNo.15を残し、次のNo.16から再びデータの判定を開始する。No.16~No.20までは、Dmax-Dmin≦Vを満たすので、これらは妨害エコーデータであると判断される。
【0044】
結局、図5に示すNo.1~No.20までのデータについては、図中左側に◎で示すNo.6、No.7、No.8、No.15の計4つのデータがきずエコーデータであり、他のデータは妨害エコーデータであることがわかる。
【0045】
次に、本方法を用いて探傷検査を行った結果について述べる。
図6は、本実施の形態における探傷検査の試験体として用いたモデル車軸及び探触子を示す模式図である。
図7(A)は従来の探傷方法を適用した場合の探傷結果を示すグラフであり、図7(B)は本発明に係る探傷方法を適用した場合の探傷結果を示すグラフである。図7において、縦軸は円周方向の位置(°)を示し、横軸は軸端からの距離(mm)を示し、高さ軸はエコー高さ(%)を示す。
【0046】
図6に示す中空車軸(試験体)100及び探触子40は、図1に示すものと同様のものである。中空車軸100は、外周面に中央平行部103、大径の輪座部105、中径部107、小径のジャーナル部109が形成されており、軸芯部に中空孔100a(この例では直径30mm)が形成されたものである。一方、探触子40(探傷ヘッド45)は、内部に振動子41を有するものである。
【0047】
そして、図6に示す中空車軸100には、内ボス部100X付近の表面に、数種類の形状、深さ、長さのきず105Xが人工的に形成されている。詳しくは、軸周方向に沿って、(1)鋸きず深さ1mm、(2)鋸きず深さ0.5mm、(3)半楕円きず深さ3mm、(4)矩形きず深さ1mm、(5)矩形きず深さ0.6mm、(6)矩形きず深さ0.3mmで、長さがそれぞれ10mm程度のものが形成されている。
【0048】
図7には、前述のようなきずが人工的に形成された中空車軸100の探傷結果が示されている。
図7(A)に示す従来の探傷結果においては、きずエコーと妨害エコーが混在、重複し、両者の識別が極めて不明瞭であることがわかる。従来の探傷方法によっても、探傷部位ごとの探傷ゲートを狭く設定することで、ある程度の識別は可能であるとも考えられるが、両者を明確に識別するのには限界があるといえる。
【0049】
これに対し、図7(B)に示す本発明の探傷結果においては、妨害エコーデータが除去され、前述した(1)~(6)のきずに相当するきずエコーデータのみが明確に抽出されていることがわかる。このように、本探傷方法によれば、きずエコーと妨害エコーが混在する場合に、きずエコーのみを的確に分離して検出することができるので、エコー誤検出の可能性を低減することができる。
【0050】
なお、本実施の形態では、本発明を中空車軸の斜角探傷に適用した場合について説明したが、本発明に係る探傷方法は、トリガゲートの範囲、探傷ゲートの幅、データ記録点の比較範囲、ビーム路程のばらつきのしきい値を適当に設定することで、斜角探傷や局部探傷にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本実施の形態に係る超音波探傷方法のトリガゲートの設定方法を説明する図である。
【図2】トリガゲートによるエコー検出状態を説明するための図である。(A)はきずエコーと妨害エコーが混在する場合のパルスを模式的に示す図であり、(B)は妨害エコーのみが存在する場合のパルスを模式的に示す図である。
【図3】探触子の走査とデータ記録点の関係を概念的に示す図である。
【図4】きずエコーと妨害エコーとの分離手順を示すフローチャートである。
【図5】きずエコーの判定データ例を表す表である。
【図6】本実施の形態における探傷検査の試験体として用いたモデル車軸及び探触子を示す模式図である。
【図7】図7(A)は従来の探傷方法を適用した場合の探傷結果を示すグラフであり、図7(B)は本発明に係る探傷方法を適用した場合の探傷結果を示すグラフである。
【図8】図8(A)は中実車軸を備える輪軸の探傷検査の例を説明するための図であり、図8(B)は中空車軸を備える輪軸の輪座部(車輪嵌め合い部)の探傷検査の例を説明するための図である。
【図9】中空車軸の探傷ゲートの設定例を説明するための図である。
【図10】輪座部の内ボス部での超音波の反射状態を説明する図である。
【図11】輪座部の内ボス部でのエコー誤検出の例を示すグラフである。縦軸はエコー高さ(%)を示し、横軸はビーム路程(mm)を示す。
【0052】
40 探触子
45 探傷ヘッド 49 探傷装置
100 車軸(中空車軸) 100a 中空孔
100X 内ボス部 103 中央平行部
105 輪座部 105X きず
107 中径部 109 ジャーナル部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10