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明細書 :表面処理材及び表面処理方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4446346号 (P4446346)
公開番号 特開2006-070320 (P2006-070320A)
登録日 平成22年1月29日(2010.1.29)
発行日 平成22年4月7日(2010.4.7)
公開日 平成18年3月16日(2006.3.16)
発明の名称または考案の名称 表面処理材及び表面処理方法
国際特許分類 C23C  24/04        (2006.01)
FI C23C 24/04
請求項の数または発明の数 6
全頁数 29
出願番号 特願2004-254755 (P2004-254755)
出願日 平成16年9月1日(2004.9.1)
審査請求日 平成18年11月29日(2006.11.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】松井 元英
個別代理人の代理人 【識別番号】100104064、【弁理士】、【氏名又は名称】大熊 岳人
審査官 【審査官】伊藤 寿美
参考文献・文献 特開昭63-121646(JP,A)
特開2002-161371(JP,A)
特開2003-301278(JP,A)
特開平05-133104(JP,A)
調査した分野 C23C 24/00-30/00
特許請求の範囲 【請求項1】
炭素鋼の表面を加熱するとともに二硫化モリブデン粒子及びスズ粒子をこの炭素鋼の表面に噴射して、この炭素鋼の表面が処理された表面処理材であって、
前記炭素鋼の表面に分散する前記二硫化モリブデン粒子及び前記スズ粒子とこの炭素鋼とを結合させるために、この炭素鋼の表面が軟化する所定の加熱温度に達するまでこの炭素鋼の表面が高周波加熱されており、
前記所定の加熱温度に達するまで加熱された前記炭素鋼の表面に前記二硫化モリブデン粒子及び前記スズ粒子を噴射して、この炭素鋼、この二硫化モリブデン粒子及びこのスズ粒子を熱化学反応させて形成した化合物層を備え、
前記化合物層は、前記炭素鋼の表面が鉄道用車輪のフランジ面又は鉄道用レールの頭側面であるときに、この鉄道用車輪又はこの鉄道用レールと前記二硫化モリブデン粒子及び前記スズ粒子とを熱化学反応させて形成されていること、
を特徴とする表面処理材。
【請求項2】
請求項1に記載の表面処理材において、
前記鉄道用車輪のフランジ面又は前記鉄道用レールの頭側面を硬化させた硬化処理層を備え、
前記化合物層は、前記硬化処理層、前記二硫化モリブデン粒子及び前記スズ粒子を熱化学反応させて形成されていること、
を特徴とする表面処理材。
【請求項3】
請求項2に記載の表面処理材において、
前記硬化処理層は、前記鉄道用車輪のフランジ面又は前記鉄道用レールの頭側面を熱処理又はショットピーニング処理して形成されていること、
を特徴とする表面処理材。
【請求項4】
炭素鋼の表面を加熱するとともに二硫化モリブデン粒子及びスズ粒子をこの炭素鋼の表面に噴射して、この炭素鋼の表面を処理する表面処理方法であって、
前記炭素鋼の表面が軟化する所定の加熱温度に達するまでこの炭素鋼の表面を高周波加熱する加熱工程と、
前記所定の加熱温度に達するまで加熱された前記炭素鋼の表面に前記二硫化モリブデン粒子及び前記スズ粒子を噴射する噴射工程と、
前記炭素鋼の表面に分散する前記二硫化モリブデン粒子及び前記スズ粒子とこの炭素鋼とを結合させるために、この炭素鋼、この二硫化モリブデン粒子及びこのスズ粒子を熱化学反応させて化合物層を形成する熱化学反応工程とを含み
前記熱化学反応工程は、前記炭素鋼の表面が鉄道用車輪のフランジ面又は鉄道用レールの頭側面であるときに、この鉄道用車輪又はこの鉄道用レールと前記二硫化モリブデン粒子及び前記スズ粒子とを熱化学反応させる工程を含むこと、
特徴とする表面処理方法。
【請求項5】
請求項に記載の表面処理方法において、
前記加熱工程の前又は前記熱化学反応工程の後に、前記鉄道用車輪のフランジ面又は前記鉄道用レールの頭側面を熱処理して硬化させる硬化処理工程を含むこと、
を特徴とする表面処理方法。
【請求項6】
請求項4に記載の表面処理方法において、
前記加熱工程の前に、前記鉄道用車輪のフランジ面又は前記鉄道用レールの頭側面をショットピーニング処理して硬化させる硬化処理工程を含むこと、
を特徴とする表面処理方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、炭素鋼の表面を加熱するとともに二硫化モリブデン粒子及びスズ粒子をこの炭素鋼の表面に噴射して、この炭素鋼の表面が処理された表面処理材、この炭素鋼の表面が処理された表面処理材及びこの炭素鋼の表面を処理する表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ショットピーニング処理装置によって固体潤滑材や軟質金属などを処理対象物の表面に噴射して、固体潤滑材や軟質金属などをこの処理対象物の表面にコーティングする表面処理装置が知られている。従来の表面処理装置は、処理対象物の表面と振動板との間でショット粒子を往復させてこの処理対象物の表面にショット粒子を繰り返し衝突させる超音波ショットピーニング処理装置と、処理対象物の表面を加熱する加熱装置と、処理対象物にシールドガスを供給するシールドガス供給手段と、超音波ショットピーニング処理装置を直線状のガイドレールに沿って移動させる移動装置などを備えている(例えば、特許文献1参照)。このような従来のショットピーニング処理装置では、処理対象物の表面に対して加熱装置を昇降させて加熱温度を調整した後に、超音波ショットピーニング処理装置及び加熱装置などを移動装置によって移動させながらこの処理対象物の表面にショット粒子を繰り返し衝突させている。このような従来のショットピーニング処理装置では、処理対象物の表面を改質してこの処理対象物の表面に僅かな合金層を形成するとともに、処理対象物と合金層との界面からこの処理対象物の内部にナノ結晶組織を形成して、処理対象物に耐磨耗性や耐食性を付与している。
【0003】

【特許文献1】特開2004-169100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の表面処理装置では、処理対象物の表面にショット粒子を衝突させたときに発生する発熱が不十分であると、処理対象物の表面に十分な膜厚で密着性の良好な表面層を形成することができないという問題点があった。また、従来の表面処理装置では、処理対象物の表面温度を調整するために加熱装置を昇降させる昇降装置が必要になり、装置が複雑になり高価になってしまう問題点があった。さらに、従来の表面処理装置では、処理対象物と振動板との間でショット粒子を往復させながらこのショット粒子を加熱するため、ショット粒子が溶融して振動板などに付着してしまう問題点があった。
【0005】
従来の表面処理装置では、処理対象物などの種類に応じて任意のシールドガスを選択することができないため、処理対象物が変わる度にシールドガス供給装置のガスタンクを交換する必要があり作業に手間がかかるという問題点があった。また、従来の表面処理装置では、処理対象物の表面が曲面である場合に、超音波ショットピーニング装置と処理対象物の表面との間の距離が変化するため、この処理対象物の表面に表面層を均一に形成することができない問題点があった。さらに、従来の表面処理装置では、表面処理可能な領域が振動板を収容するホルダによって覆われる範囲に制限されており、ホルダによって覆うことができる幅以下の処理対象物に制限されてしまう問題点があった。
【0006】
この発明の課題は、処理対象物と粒子との結合力を向上させるとともに、処理対象物の表面の硬度を上げて処理対象物の変形を抑制し、粒子による被覆層の寿命を向上させることができる表面処理材及び表面処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、炭素鋼(2)の表面(2a)を加熱するとともに二硫化モリブデン粒子(3a)及びスズ粒子(3b)をこの炭素鋼の表面に噴射して、この炭素鋼の表面が処理された表面処理材であって、前記炭素鋼の表面に分散する前記二硫化モリブデン粒子及び前記スズ粒子とこの炭素鋼とを結合させるために、この炭素鋼の表面が軟化する所定の加熱温度に達するまでこの炭素鋼の表面が高周波加熱されており、前記所定の加熱温度に達するまで加熱された前記炭素鋼の表面に前記二硫化モリブデン粒子及び前記スズ粒子を噴射して、この炭素鋼、この二硫化モリブデン粒子及びこのスズ粒子を熱化学反応させて形成した化合物層(4)を備え、前記化合物層は、前記炭素鋼の表面が鉄道用車輪(W)のフランジ面(W2)又は鉄道用レール(R)の頭側面(R2)であるときに、この鉄道用車輪又はこの鉄道用レールと前記二硫化モリブデン粒子及び前記スズ粒子とを熱化学反応させて形成されていることを特徴とする表面処理材(1)である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の表面処理材において、前記鉄道用車輪のフランジ面又は前記鉄道用レールの頭側面を硬化させた硬化処理層(18)を備え、前記化合物層は、前記硬化処理層、前記二硫化モリブデン粒子及び前記スズ粒子を熱化学反応させて形成されていることを特徴とする表面処理材である。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載の表面処理材において、前記硬化処理層は、前記鉄道用車輪のフランジ面又は前記鉄道用レールの頭側面を熱処理又はショットピーニング処理して形成されていることを特徴とする表面処理材である。
【0010】
請求項4の発明は、炭素鋼(2)の表面(2a)を加熱するとともに二硫化モリブデン粒子(3a)及びスズ粒子(3b)をこの炭素鋼の表面に噴射して、この炭素鋼の表面を処理する表面処理方法であって、前記炭素鋼の表面が軟化する所定の加熱温度に達するまでこの炭素鋼の表面を高周波加熱する加熱工程(#100;#201:#300;#400)と、前記所定の加熱温度に達するまで加熱された前記炭素鋼の表面に前記二硫化モリブデン粒子及び前記スズ粒子を噴射する噴射工程(#101;#202;#301;#401)と、前記炭素鋼の表面に分散する前記二硫化モリブデン粒子及び前記スズ粒子とこの炭素鋼とを結合させるために、この炭素鋼、この二硫化モリブデン粒子及びこのスズ粒子を熱化学反応させて化合物層(4)を形成する熱化学反応工程(#102;#203;#302:#402)とを含み前記熱化学反応工程は、前記炭素鋼の表面が鉄道用車輪(W)のフランジ面(W2)又は鉄道用レール(R)の頭側面(R2)であるときに、この鉄道用車輪又はこの鉄道用レールと前記二硫化モリブデン粒子及び前記スズ粒子とを熱化学反応させる工程を含むこと特徴とする表面処理方法である。
【0011】
請求項5の発明は、請求項に記載の表面処理方法において、前記加熱工程の前又は前記熱化学反応工程の後に、前記鉄道用車輪のフランジ面又は前記鉄道用レールの頭側面を熱処理して硬化させる硬化処理工程(#200;#303)を含むことを特徴とする表面処理方法である。
【0012】
請求項6の発明は、請求項4に記載の表面処理方法において、前記加熱工程の前に、前記鉄道用車輪のフランジ面又は前記鉄道用レールの頭側面をショットピーニング処理して硬化させる硬化処理工程(#200)を含むことを特徴とする表面処理方法である。
【発明の効果】
【0027】
この発明によると、処理対象物と粒子との結合力を向上させるとともに、処理対象物の表面の硬度を上げて処理対象物の変形を抑制し、粒子による被覆層の寿命を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る表面処理材を模式的に示す部分断面図であり、図1(A)は表面処理前の状態を示す部分断面図であり、図1(B)は表面処理後の状態を示す部分断面図である。
【0029】
図1に示す表面処理材1は、処理対象物2の表面2aを加熱するとともにこの処理対象物2の表面2aに粒子3を噴射して、この処理対象物2の表面2aが処理された部材である。表面処理材1は、図1に示すように、処理対象物2と、粒子3と、化合物層4とから構成されている。
【0030】
処理対象物2は、表面2aが処理される母材であり、軽金属以外の鉄、銅、ニッケルなどの金属、セラミックス又は樹脂などである。処理対象物2は、例えば、炭素鋼などの鉄系金属材料を所定の形状に加工して形成されており、処理対象物2の表面2aには図1(B)に示すように粒子3と結合層4などが形成されている。
【0031】
粒子3は、処理対象物2の表面2aに分散する部材である。粒子3は、摩擦係数を略一定範囲内に低減して摩擦抵抗を緩和する摩擦緩和材(摩擦低減材)などである。粒子3は、処理対象物2の表面2aを被覆するコーティング材であり、この表面2aに被覆層を形成する。粒子3は、例えば、表面2aの硬さよりも硬さが小さく、摩擦係数を上げないような材質であって、大きさが2μm~50μm程度の固体潤滑材系粒子、金属系粒子、セラミックス系粒子、合成樹脂粒子系又はこれらを複数混合した粒子である。粒子3は、速度1000m/s以下で表面2aに多数噴射されて処理対象物2の表面を被覆している。このような固体潤滑材系粒子としては、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、ボロンナイトライド又はグラファイト(黒鉛)などを使用することが好ましい。金属系粒子としては、アルミニウム、スズ、ニッケル、チタン、金、銀、銅、インジウム、はんだ、鉛、亜鉛又はこれらの合金などを使用することが好ましい。特に、スズなどの軟質金属は、二硫化モリブデンと混合して使用した場合には、二硫化モリブデンを処理対象物2の表面2aに保持するバインダとして機能するとともに、処理対象物2から二硫化モリブデンが脱落したときには単独で摩擦係数の上昇を抑制する機能を有する。セラミックス系粒子としては、アルミナなどを使用することが好ましく、合成樹脂系粒子としては四フッ化エチレン樹脂(ポリテトラフルオロエチレン (PTFE))又はフェノール樹脂などを使用することが好ましい。
【0032】
化合物層4は、処理対象物2の表面2aに分散する粒子3とこの処理対象物2とを結合させるために、この処理対象物2とこの粒子3とを熱化学反応させて形成した部分である。化合物層4は、例えば、固体潤滑材系粒子、金属系粒子、セラミックス系粒子、合成樹脂系粒子又はこれらを複数混合した粒子3と処理対象物2とを熱化学反応させて形成されている。化合物層4は、例えば、処理対象物2の表面2aが軽金属以外の金属、セラミックス又は樹脂の表面であるときには、これらの金属、セラミックス又は樹脂と粒子3とを熱化学反応させて形成される。例えば、化合物層4は、固体潤滑材系粒子である二硫化モリブデンと軟質金属系粒子であるスズとを混合した粒子3を、軽金属以外の金属である処理対象物2の表面2aに噴射したときに、主としてスズと軽金属以外の金属とが熱化学反応して形成された金属間化合物及び/又は合金層である。このような金属間化合物及び/又は合金層は、二硫化モリブデンと軽金属以外の金属とを結合させて、処理対象物2と二硫化モリブデンとの密着性及び結合性を向上させる。
【0033】
次に、この発明の第1実施形態に係る表面処理方法について説明する。
図2は、この発明の第1実施形態に係る表面処理方法の工程図である。図3は、この発明の第1実施形態に係る表面処理方法を説明するための模式図であり、図3(A)は表面処理前の部分断面図であり、図3(B)は加熱工程中の部分断面図であり、図3(C)は噴射工程中の部分断面図であり、図3(D)は熱化学反応工程後の部分断面図である。以下では、固体潤滑材系粒子である二硫化モリブデン3aと軟質金属系粒子であるスズ3bとを混合した粒子3を、軽金属以外の金属である処理対象物2の表面2aに噴射してこの表面2aを処理する場合を例に挙げて説明する。
【0034】
図2に示す表面処理方法は、処理対象物2の表面2aを加熱するとともにこの処理対象物2の表面2aに粒子3を噴射して、この処理対象物2の表面2aを処理する方法である。この表面処理方法は、加熱工程#100と、噴射工程#101と、化合物層形成工程102とを含む。
【0035】
加熱工程#100は、処理対象物2の表面2aを加熱する工程である。図3(B)に示すように、処理対象物2の処理条件に応じて表面2aが所定の加熱温度に達するまで加熱される。
【0036】
図2に示す噴射工程#101は、処理対象物2の表面2aに粒子3を噴射する工程である。図3(C)に示すように、処理対象物2の表面2aが所定の加熱温度に達すると、二硫化モリブデン3aとスズ3bとを混合した粒子3が、軽金属以外の金属である処理対象物2の表面2aに噴射され、表面2aに衝突した二硫化モリブデン3a及びスズ3bの一部がこの表面2aに付着する。このときに、処理対象物2の表面2aが所定の加熱温度に加熱され僅かに軟化しているため、二硫化モリブデン3a及びスズ3bが表面2aに衝突すると微細な凹凸が形成されて、この処理対象物2の表面積が僅かに増加し表面2aに対する二硫化モリブデン3a及びスズ3bの残留性が向上する。また、表面2aに衝突した二硫化モリブデン3aが処理対象物2内に入り込みこの表面2aに付着するとともに、表面2aに衝突したスズ3bが潰れてこの表面2aに付着する。その結果、図3(C)に示すように、処理対象物2の表面2aに二硫化モリブデン3aとスズ3bとが分散する。
【0037】
図2に示す熱化学反応工程#102は、処理対象物2の表面2aに分散する粒子3とこの処理対象物2とを結合させるために、この処理対象物2とこの粒子3とを熱化学反応させる工程である。処理対象物2の表面2aが所定の加熱温度に加熱されているため、図3(D)に示すように低融点であるスズ3bが溶融すると、二硫化モリブデン3aとの間の空隙部が溶融したスズ3bによって埋まり、二硫化モリブデン3aがスズ3bに保持された状態になる。また、軽金属以外の金属である処理対象物2とスズ3bとの反応性が高いため、スズ3bと処理対象物2とが接触する部分においてこれらが熱化学反応し、これらの金属間化合物及び/又は合金層が容易に生成される。同様に、二硫化モリブデン3aと処理対象物2とが接触する部分、及び二硫化モリブデン3aとスズ3bとが接触する部分についても、これらが僅かに熱化学反応して反応物が析出される。その結果、処理対象物2、二硫化モリブデン3a及びスズ3bが互いにこれらの化合物によって結合されて、二硫化モリブデン3a及びスズ3bが処理対象物2の表面2aに密着しこれらの残留性が向上する。また、数nm~数十nmの微小な結晶組織を有し降伏強さが大きく靭性の高い優れた力学的性質を備えるナノ結晶組織層が化合物層4の下層に形成されることが期待される。
【0038】
図2に示す加熱工程#100~熱化学反応工程#102は、必要に応じて繰り返される。例えば、1回の加熱工程#100~熱化学反応工程#102では表面2aを十分に処理できない場合には、図3(D)に示す状態から処理対象物2が再加熱されて、二硫化モリブデン3a及びスズ3bが再噴射される。その結果、溶融状態のスズ3bの表面を二硫化モリブデン3a及びスズ3bがさらに被覆するため、スズ3bによって保持される二硫化モリブデン3aが増加して、表面2aを覆う二硫化モリブデン3a及びスズ3bによる被覆層が厚膜化する。また、複数回の加熱工程#100によってスズ3bと処理対象物2との熱化学反応が促進されて、化合物層4が厚膜化しこの化合物層4の硬度が向上する。なお、最終回の熱化学反応工程#102後に処理対象物2を加熱して表層のスズ3bを溶融させることによって、下層の二硫化モリブデン3a及びスズ3bとの密着性及び結合性が強化される。
【0039】
次に、この発明の第1実施形態に係る表面処理装置について説明する。
図4は、この発明の第1実施形態に係る表面処理装置の側面図である。
図4に示す表面処理装置5は、処理対象物2の表面2aを加熱するとともにこの処理対象物2の表面2aに粒子3を噴射して、この処理対象物2の表面2aを処理する装置である。表面処理装置5は、図4に示すように、駆動装置6と、位置検出装置7と、加熱装置8と、温度検出装置9と、噴射装置10と、圧縮気体供給装置11と、ガス収容装置12と、圧縮気体選択装置13と、駆動装置14と、距離検出装置15と、制御装置16と、設定装置17などを備えている。表面処理装置5は、表面2aを加熱装置8によって加熱して噴射装置10によって表面2aに粒子3を噴射し、図1及び図3に示すようにこの表面2aを粒子3によって被覆して表面改質する。
【0040】
駆動装置6は、処理対象物2を駆動する手段である。駆動装置6は、図4に示すように、処理対象物2が円盤状であるときに、この処理対象物2の中心軸を回転中心Oとして矢印方向にこの処理対象物2を回転駆動する。駆動装置6は、処理対象物2を支持する支持部6aと、この支持部6aを回転するモータ6bなどを備えている。
【0041】
位置検出装置7は、処理対象物2の位置を検出する手段である。位置検出装置7は、モータ6bの回転数に基づいて処理対象物2の回転位置(回転角度)を検出し、この検出結果を回転位置情報として制御装置16に出力するエンコーダなどである。
【0042】
加熱装置8は、処理対象物2と粒子3とを熱化学反応させるために、この処理対象物2の表面2aを加熱する手段である。加熱装置8は、例えば、U字状に巻かれたコイルに高周波電流を流して表面2aに誘導電流を発生させ、この誘導電流の抵抗熱によって表面2aを加熱する高周波加熱装置である。加熱装置8は、噴射装置10が圧縮気体を噴射すると加熱処理後の表面2aが冷却されるため、表面2aを所定の加熱温度よりも若干高い加熱温度で所定の時間だけ加熱する。加熱装置8は、例えば、最大加熱温度900°C、最大処理時間5分程度で連続加熱する。
【0043】
温度検出装置9は、処理対象物2の表面2aの温度を検出する手段であり、処理対象物2の表面温度を検出し、この検出結果を温度情報として制御装置16に出力する温度センサなどである。
【0044】
噴射装置10は、処理対象物2の表面2aに粒子3を分散させるために、この処理対象物2の表面2aに粒子3を噴射する手段である。噴射装置10は、ショット粒子を投射するショットピーニング処理装置などを利用して、粒子3を不活性ガスなどの圧縮気体とともに表面2aに投射する。噴射装置10は、粒子3を収容する粒子収容部10aと、粒子収容部10aからノズル部10cに粒子3を供給する供給管路10bと、圧縮気体とともに粒子3を噴射するノズル部10cと、ノズル部10cから噴射されて表面2aに衝突した粒子3を受け止めて回収する粒子回収部10dと、粒子回収部10dから粒子収容部10aに粒子3を回収する回収管路10eを備えている。
【0045】
圧縮気体供給装置11は、粒子3を噴射する圧縮気体を噴射装置10に供給する手段である。圧縮気体供給装置11は、アルゴンガス、ヘリウムガス、炭酸ガスなどの不活性ガス(キャリアガス)を所定の圧力に圧縮して、噴射装置10のノズル部10cに供給するコンプレッサなどを備えている。
【0046】
ガス収容装置12は、圧縮気体供給装置11によって圧縮される不活性ガスを収容する手段であり、不活性ガス毎に収容するガスタンク12aなどを備えている。ガス収容装置12には、アルゴンガス、ヘリウムガス、炭酸ガスなどの不活性ガスをそれぞれ収容するガスタンク12aが着脱自在に設置されている。
【0047】
圧縮気体選択装置13は、噴射装置10が噴射する圧縮気体の種類を選択する手段である。圧縮気体選択装置13は、不活性ガスの種類を選択可能なように、ガスタンク12aから圧縮気体供給装置11に不活性ガスを導く管路を開閉する開閉弁13aなどを備えている。
【0048】
駆動装置14は、処理対象物2の表面2aに沿って噴射装置10を駆動する手段である。駆動装置14は、例えば、表面2aが曲面であるときに、この表面2aと所定の間隔をあけてノズル部10cから粒子3が噴射するように、このノズル部10cを駆動する駆動機構部を備えている。
【0049】
距離検出装置15は、処理対象物2の表面2aと噴射装置10との距離を検出する手段である。距離検出装置15は、例えば、ノズル部10cの先端部から光を照射して表面2aで反射した反射光を受光し、表面2aとノズル部10cとの相対距離を測定してこの測定結果を距離情報として制御装置16に出力する光センサなどである。
【0050】
制御装置16は、表面処理装置5の種々の動作を制御する手段である。制御装置16は、例えば、位置検出装置7の検出結果に基づいて駆動装置6を制御したり、温度検出装置9の検出結果に基づいて加熱装置8を制御したり、距離検出装置15の検出結果に基づいて駆動装置14を制御したり、圧縮気体供給装置11の動作を制御したり、開閉弁13aの開閉動作を制御したり、駆動装置14の駆動速度(回転速度)を制御したりする。制御装置16には、駆動装置6と、位置検出装置7と、加熱装置8と、温度検出装置9と、圧縮気体供給装置11と、圧縮気体選択装置13と、駆動装置14と、距離検出装置15などが接続されている。
【0051】
設定装置17は、処理対象物2の処理条件を設定する手段である。設定装置17は、例えば、処理対象物2の性質及び/又は粒子3の性質に応じて加熱装置8の加熱温度を制御装置16が制御するように、処理対象物2の最適な処理条件を入力するための入力装置などを備えている。
【0052】
次に、この発明の第1実施形態に係る表面処理装置の動作を説明する。
図4に示す設定装置17によって処理対象物2の処理条件が設定されると、この処理条件に応じて駆動装置6及び加熱装置8を制御装置16が動作させる。先ず、処理対象物2の表面温度を温度検出装置9が検出し、処理条件に応じた加熱温度に表面2aが達するように加熱装置8を制御装置16が動作させる。その結果、図4に示す駆動装置6の駆動速度(回転速度)を制御装置16が制御して、表面2aが所定の加熱温度に達するまで駆動装置6が処理対象物2を回転中心O回りに矢印方向に連続して回転する。
【0053】
設定装置17によって設定された処理条件に応じて制御装置16が開閉弁13aを開閉動作して、処理条件に適したガスタンク12a内の不活性ガスが選択される。選択された不活性ガスを圧縮気体供給装置11が圧縮してノズル部10cに供給すると、ノズル部10cから粒子3が噴射して、図3(C)に示すように表面2aに粒子3が衝突する。このとき、図4に示す表面2aとノズル部10cの先端部との間の距離を距離検出装置15が測定し、これらの間の距離が一定になるように制御装置16が駆動装置14を動作させる。このため、表面2aの形状に応じてノズル部10cが可動し、図3(C)に示すようにこの表面2aにノズル部10cが均一に粒子3を噴射する。その結果、加熱装置8によって表面2aが所定の加熱温度で加熱されているため、図3(D)に示すように処理対象物2と粒子3とが熱化学反応して化合物層4を形成し、この化合物層4によって処理対象物2と粒子3とが結合される。
【0054】
この発明の第1実施形態に係る表面処理材、表面処理方法及び表面処理装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、処理対象物2の表面2aに分散する粒子3とこの処理対象物2とを結合させるために、この処理対象物2とこの粒子3とを熱化学反応させて化合物層4を形成する。このため、処理対象物2と粒子3との界面に化合物層4を生成させて、この化合物層4によって表面2aを硬化させて表面2aの変形を抑制することができる。また、化合物層4によって処理対象物2と粒子3とを密着させ表面2aから粒子3が脱落するのを抑制することができる。その結果、処理対象物2の表面2aを被覆する粒子3による被覆層の耐久性を向上させることができる。
【0055】
(2) この第1実施形態では、固体潤滑材系粒子、金属系粒子、セラミックス系粒子、合成樹脂系粒子又はこれらを複数混合した粒子と処理対象物2とを熱化学反応させて化合物層4が形成されている。例えば、所定の温度に加熱された軽金属以外の金属の表面に、スズやアルミなどの金属系粒子と二硫化モリブデンなどの固体潤滑材系粒子とを混合して噴射すると、軽金属以外の金属と金属系粒子とを反応させて金属間化合物及び/又は合金層を容易に生成させることができる。その結果、金属間化合物及び/又は合金層からなる化合物層4によって固体潤滑材系粒子と軽金属以外の金属との密着性及び結合性を向上させることができる。
【0056】
(3) この第1実施形態では、処理対象物2の表面2aが軽金属以外の金属、セラミックス又は樹脂の表面であるときに、これらの金属、セラミックス又は樹脂と粒子3とを熱化学反応させて化合物層4が形成されている。二硫化モリブデンなどの固体潤滑材系粒子をアルミニウムなどの軽金属に噴射する場合には、固体潤滑材系粒子が軽金属に衝突したときに発生する熱によって軽金属と固体潤滑材系粒子とを熱化学反応させて化合物層を形成させ、この化合物層によって固体潤滑材系粒子を軽金属に結合させることができる。しかし、軽金属以外の金属に固体潤滑材系粒子を噴射した場合には、固体潤滑材系粒子が軽金属以外の金属に衝突したときに発生する熱だけでは、軽金属以外の金属と固体潤滑材系粒子とを熱化学反応させて化合物層を形成させることができない。この第1実施形態では、軽金属以外の金属と容易に熱化学反応するスズ3bをこの軽金属以外の金属に噴射することによって、化合物層4を簡単に形成することができる。
【0057】
(4) この第1実施形態では、処理対象物2と粒子3とを熱化学反応させるために、この処理対象物2の表面2aを加熱装置8が加熱し、この表面2aに粒子3を分散させるために、この表面2に粒子3を噴射装置10が噴射する。このため、処理対象物2と粒子3とを外部からの加熱によって熱化学反応させて、十分な膜厚の化合物層4を形成することができるとともに、処理対象物2と粒子3との密着性及び結合性を向上させることができる。また、所定の加熱温度に加熱された表面2aに粒子3を噴射するため、表面2aに微細な凹凸が形成されて処理対象物2の表面積を増加させることができる。その結果、予め表面2aをショットピーニング処理する必要がなくなり、密着性が良好な被膜層3を表面2aに簡単に形成することができる。さらに、従来の表面処理装置のような振動板を収容するホルダが不要になるため、図4に示すような薄板状の円盤の周面や幅の狭い板状体などであっても容易に表面処理することができる。
【0058】
(5) この第1実施形態では、処理対象物2の性質及び/又は粒子3の性質に応じて、加熱装置8の加熱温度を制御装置16が制御する。このため、処理対象物2や粒子3の材質、形状、大きさなどに応じて加熱温度を制御し、最適な条件で表面2aを改質することができる。また、従来の表面処理装置のような加熱装置を昇降させるための特別の駆動装置などが不要になり、加熱温度を簡単に制御して表面2aを効率的に加熱することができるとともに、表面処理装置5が安価になり構造をコンパクトにすることができる。
【0059】
(6) この第1実施形態では、噴射装置10が噴射する圧縮気体の種類を圧縮気体選択装置13が選択する。このため、処理対象物2の性質や粒子3の性質に応じて粒子3の圧縮気体の種類を任意に選択することができるとともに、圧縮気体の種類が簡単に選択可能になり作業性を向上させることができる。
【0060】
(7) この第1実施形態では、粒子3を不活性ガスとともに噴射装置10が噴射し、圧縮気体選択装置13がこの不活性ガスの種類を選択する。例えば、アルミニウムやチタンなどの金属系粒子を噴射する場合には、表面2aにこれらの金属系粒子が衝突すると摩擦熱によって空気中の酸素と反応するおそれがある。この第1実施形態では、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスをキャリアガスとして利用することによって、金属と酸素との結合を抑えることができる。その結果、処理対象物2を不活性ガスなどのシールドガスなどによって覆うような高価な装置が不用になって表面処理装置5が簡単で安価な構造になるとともに、処理対象物2の性質や粒子3の性質に応じて任意のキャリアガスを選択することができる。
【0061】
(8) この第1実施形態では、処理対象物2の表面2aに沿って駆動装置14が噴射装置10を駆動して、表面2aと噴射装置10との距離を距離検出装置15が検出し、距離検出装置15の検出結果に基づいて駆動装置14を制御装置16が制御する。このため、表面2aが曲面であってもこの表面2aを略均一に処理することができる。
【0062】
(第2実施形態)
図5は、この発明の第2実施形態に係る表面処理材を模式的に示す部分断面図であり、図5(A)は表面処理前の状態を示す部分断面図であり、図5(B)は表面処理後の状態を示す部分断面図である。以下では、図1~図4に示す部分と同一の部分については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
【0063】
図5に示す処理対象物2は、例えば、炭素鋼などの鉄系金属材料を所定の形状に加工して形成されている。粒子3は、二硫化モリブデンなどの固体潤滑材系粒子であり、化合物層4は固体潤滑材系粒子と処理対象物2とを熱化学反応させて形成されている。化合物層4は、例えば、軽金属以外の金属である処理対象物2の表面2aに固体潤滑材系粒子である二硫化モリブデンを噴射したときに、二硫化モリブデンと軽金属以外の金属とが熱化学反応して形成された化合物であり、二硫化モリブデンと軽金属以外の金属との密着性及び結合性を向上させている。
【0064】
次に、この発明の第2実施形態に係る表面処理方法について説明する。
図6は、この発明の第2実施形態に係る表面処理方法を説明するための模式図であり、図6(A)は表面処理前の部分断面図であり、図6(B)は加熱工程中の部分断面図であり、図6(C)は噴射工程中の部分断面図であり、図6(D)は熱化学反応工程後の部分断面図である。以下では、軽金属以外の金属である処理対象物2の表面2aに固体潤滑材系粒子である二硫化モリブデン3aを噴射して、この表面2aを処理する場合を例に挙げて説明する。
【0065】
図6(C)に示すように、処理対象物2の表面2aが所定の加熱温度に達すると、軽金属以外の金属である処理対象物2の表面2aに二硫化モリブデン3aが噴射され、表面2aに衝突した二硫化モリブデン3aの一部がこの表面2aに付着する。その結果、図6(D)に示すように、処理対象物2の表面2aが所定の加熱温度に加熱されているため、二硫化モリブデン3aと処理対象物2とが接触する部分が熱化学反応して、化合物が析出し化合物層4が形成される。その結果、二硫化モリブデン3aと処理対象物2とが化合物層4によって結合されて、処理対象物2の表面2aに二硫化モリブデン3aが密着し二硫化モリブデン3aの残留性が向上する。なお、1回の加熱工程#100~熱化学反応工程#102によって表面2aを十分に処理できない場合には、図6(D)に示す状態から処理対象物2が再加熱されて、二硫化モリブデン3aが再噴射される。その結果、表面2aを覆う二硫化モリブデン3aによる被覆層と化合物層4とが厚膜化する。
【0066】
この発明の第2実施形態には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。この第2実施形態では、軽金属以外の金属である処理対象物2と二硫化モリブデン3aとを熱化学反応させて化合物層4を形成する。その結果、第1実施形態のようなスズ3bなどの軟質金属をバインダとして使用する必要がなくなり、二硫化モリブデン3aと処理対象物2とをこの化合物層4によって結合させ、二硫化モリブデン3aの残留性を向上させることができる。
【0067】
(第3実施形態)
図7は、この発明の第3実施形態に係る表面処理材を模式的に示す部分断面図であり、図7(A)は表面処理前の状態を示す部分断面図であり、図7(B)は表面処理後の状態を示す部分断面図である。
図7に示す化合物層4は、硬化処理層18と粒子3とを熱化学反応させて形成された部分である。硬化処理層18は、処理対象物2の表面2aを熱処理して硬化させた部分である。硬化処理層18は、例えば、炭素鋼(母材)を焼入れ焼もどしして表面2aをオーステナイト状態まで加熱(A1点以上に加熱)し、この炭素鋼をオーステナイト状態から急冷してマルテンサイトを得る表面焼入れによって形成されている。
【0068】
次に、この発明の第3実施形態に係る表面処理方法について説明する。
図8は、この発明の第3実施形態に係る表面処理方法の工程図である。図9は、この発明の第3実施形態に係る表面処理方法を説明するための模式図であり、図9(A)は表面処理前の部分断面図であり、図9(B)は硬化処理工程後の部分断面図であり、図9(C)は加熱工程中の部分断面図であり、図9(D)は噴射工程中の部分断面図であり、図9(E)は熱化学反応工程後の部分断面図である。以下では、固体潤滑材系粒子である二硫化モリブデン3aと軟質金属系粒子であるスズ3bとを混合した粒子3を、軽金属以外の金属である処理対象物2の表面2aに噴射してこの表面2aを処理する場合を例に挙げて説明する。
【0069】
図8に示す表面処理方法は、硬化処理工程#200と、加熱工程#201と、噴射工程#202と、熱化学反応工程#203とを含む。硬化処理工程#200は、処理対象物2の表面2aを熱処理して硬化させる工程である。硬化処理工程#200では、所定の焼入れ温度範囲に達するまで表面2aを加熱した後に、表面2aが水又は油によって冷却されて、表面2aがオーステナイト状態から急冷される。その結果、図9(B)に示すように、表面2aにマルテンサイト組織が得られ、表面2aに硬化処理層18が形成される。
【0070】
図8に示す加熱工程#201は、処理対象物2の表面2aを加熱する工程である。図9(C)に示すように、硬化処理工程#200後の表面2aを再加熱して、焼入れ後の処理対象物2の表面を焼もどしする。また、処理対象物2の処理条件に応じて表面2aが所定の加熱温度まで加熱される。
【0071】
図8に示す噴射工程#202は、硬化処理層18の表面に粒子3を噴射する工程である。図9(D)に示すように、硬化処理層18の表面が所定の加熱温度に達すると、二硫化モリブデン3aとスズ3bとを混合した粒子3が、軽金属以外の金属である処理対象物2の表面2aに噴射される。その結果、図9(D)に示すように、硬化処理層18の表面に衝突した二硫化モリブデン3aが処理対象物2内に入り込むとともに、この硬化処理層18の表面に衝突したスズ3bが潰れて、硬化処理層18の表面に二硫化モリブデン3aとスズ3bとが分散し付着する。
【0072】
図8に示す熱化学反応工程#203は、硬化処理層18の表面に分散する粒子3とこの硬化処理層18とを結合させるために、この硬化処理層18とこの粒子3とを熱化学反応させる工程である。図9(E)に示すように、硬化処理層18の表面が所定の加熱温度に加熱されているため、低融点であるスズ3bが溶融して、二硫化モリブデン3aがスズ3bに保持された状態になる。また、スズ3bと処理対象物2とが熱化学反応してこれらの金属間化合物及び/又は合金層からなる化合物層4が生成され、二硫化モリブデン3aと処理対象物2とがこの化合物層4によって結合される。その結果、硬化処理層18の表面に二硫化モリブデン3a及びスズ3bが密着しこれらの残留性が向上する。なお、図8に示す加熱工程#201~熱化学反応工程#203は、図2に示す加熱工程101~熱化学反応工程#102と同様に必要に応じて繰り返される。
【0073】
次に、この発明の第3実施形態に係る表面処理装置について説明する。
図10は、この発明の第3実施形態に係る表面処理装置の側面図である。
図10に示す表面処理装置5は、冷却装置19を備えており、この冷却装置19は加熱装置8によって焼入れ温度に加熱された処理対象物2の表面2aを冷却する手段である。冷却装置19は、表面2aに水又は油などの冷却剤19bを噴射するノズル部19aなどを備えている。冷却装置19は、制御装置16に接続されており、温度検出装置9の検出結果に基づいて制御装置16によって制御される。
【0074】
次に、この発明の第3実施形態に係る表面処理装置の動作を説明する。
図10に示す設定装置17によって処理対象物2の処理条件が設定されると、処理対象物2を駆動装置6が矢印方向に連続して回転しながら、所定の焼入れ温度に達するまで加熱装置8が表面2aを加熱する。その後に、表面2aを冷却装置19が冷却して、図9(B)に示すように表面2aにマルテンサイト組織からなる硬化処理層18が形成される。次に、図10に示す設定装置17によって設定された処理条件に応じて、所定の温度に達するまで加熱装置8が表面2aを再加熱した後に、ガスタンク12a内の不活性ガスが選択されてノズル部10cが粒子3を噴射する。その結果、図9(E)に示すように、加熱装置8によって硬化処理層18の表面が所定の加熱温度で加熱されているため、硬化処理層18と粒子3とが熱化学反応して化合物層4を形成し、この化合物層4によって硬化処理層18と粒子3とが結合される。
【0075】
この発明の第3実施形態に係る表面処理材、表面処理方法及び表面処理装置には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第3実施形態では、処理対象物2の表面2aを熱処理して硬化させて硬化処理層18を形成している。その結果、表面2aの硬度が増して表面2aの変形を抑制することができるとともに、硬化処理層18の上層に粒子3によって被覆層が形成されるためこの被覆層の耐久性を向上させることができる。
【0076】
(2) この第3実施形態では、処理対象物2の表面2aを焼入れ温度まで加熱装置8が加熱した後に、この表面2aを冷却装置19が冷却する。このため、処理対象物2と粒子3とを熱化学反応させるために使用する加熱装置8を熱処理に利用して、表面2aに硬化処理層18を簡単に形成することができる。
【0077】
(第4実施形態)
図11は、この発明の第4実施形態に係る表面処理方法を説明するための模式図であり、図11(A)は表面処理前の部分断面図であり、図11(B)は硬化処理工程中の部分断面図であり、図11(C)は加熱工程中の部分断面図であり、図11(D)は噴射工程中の部分断面図であり、図11(E)は熱化学反応工程後の部分断面図である。
【0078】
図11に示す硬化処理層18は、処理対象物2の表面2aをショットピーニング処理して硬化させた部分である。硬化処理層18は、例えば、処理対象物2の硬さよりも硬さが大きく(硬さが400HV以上)粒子径が20μm~400μm程度のショット粒子を速度50m/s~1000m/sで処理対象物2の表面2aに多数投射して形成される。このようなショット粒子としては、Al2O3,Zr2O3,SiC,SiNなどのセラミックス粒子、SKH(ハイス又は高速度鋼)、WC-Co(超硬合金)、鋳鋼、鉄鋼などの硬質粒子又はこれらを複数混合した粒子を使用することが好ましい。
【0079】
次に、この発明の第4実施形態に係る表面処理方法について説明する。
図11に示す表面処理方法は、図8に示す表面処理方法の硬化処理工程#200のみが異なる。図11(B)に示す硬化処理工程は、図9(B)に示す処理対象物2の表面2aを熱処理して硬化させる硬化処理工程#200とは異なり、この表面2aをショットピーニング処理して硬化させる工程である。この硬化処理工程は、図11(B)に示すように、処理対象物2の表面2aにショット粒子18aを投射してショットピーニング処理面を形成する冷間加工法による表面硬化処理工程である。この硬化処理工程では、ショット粒子18aを処理対象物2の表面2aに多数投射して、適度な表面粗さを与えて凹部を形成し硬化処理層18を形成する。
【0080】
次に、この発明の第4実施形態に係る表面処理装置について説明する。
図12は、この発明の第4実施形態に係る表面処理装置の側面図である。
図12に示す表面処理装置5は、ショットピーニング処理装置20と圧縮気体供給装置21とを備えている。ショットピーニング処理装置20は、処理対象物2の表面2aにショット粒子18aを投射する手段である。ショットピーニング処理装置20は、図12に示すように、ショット粒子18aを収容するショット粒子収容部20aと、ショット粒子収容部20aからノズル部20cにショット粒子18aを供給する供給管路20bと、圧縮気体とともにショット粒子18aを噴射するノズル部20cと、ノズル部20cから噴射されて表面2aに衝突したショット粒子18aを受け止めて回収するショット粒子回収部20dと、ショット粒子回収部20dからショット粒子収容部20aにショット粒子18aを回収する回収管路20eとを備えている。圧縮気体供給装置21は、ショット粒子3を噴射する圧縮気体を噴射装置10に供給する手段である。圧縮気体供給装置21は、制御装置16に接続されており制御装置16によって制御される。
【0081】
次に、この発明の第4実施形態に係る表面処理装置の動作を説明する。
図12に示す設定装置17によって処理対象物2の処理条件が設定されると、処理対象物2を駆動装置6が矢印方向に連続して回転しながら、ショットピーニング処理装置20がショット粒子18aを処理対象物2の表面2aに投射して、図11(B)に示すようにこの表面2aに硬化処理層18を形成する。次に、図12に示す設定装置17によって設定された処理条件に応じて、処理対象物2を駆動装置6が矢印方向に連続して回転しながら、所定の温度に達するまで加熱装置8が表面2aを加熱し、ガスタンク12a内の不活性ガスが選択されてノズル部10cが粒子3を噴射する。その結果、図11(E)に示すように、硬化処理層18と粒子3とが熱化学反応して化合物層4を形成し、この化合物層4によって硬化処理層18と粒子3とが結合される。
【0082】
この発明の第4実施形態に係る表面処理材、表面処理方法及び表面処理装置には、第1実施形態~第3実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第4実施形態では、処理対象物2の表面2aをショットピーニング処理して硬化させて硬化処理層18を形成している。その結果、表面2aに微細な凹凸が形成されて処理対象物2の表面積を増加させることができるため、この硬化処理層18と粒子3との密着性を向上させることができる。
【0083】
(第5実施形態)
図13は、この発明の第5実施形態に係る表面処理方法の工程図である。図14は、この発明の第5実施形態に係る表面処理方法を説明するための模式図であり、図14(A)は表面処理前の部分断面図であり、図14(B)は加熱工程中の部分断面図であり、図14(C)は噴射工程中の部分断面図であり、図14(D)は熱化学反応工程後の部分断面図であり、図14(E)は硬化処理工程後の部分断面図である。なお、図13に示す工程のうち図2に示す工程と同様の工程については対応する番号を付して詳細な説明を省略する。
【0084】
図13に示す硬化処理工程#303は、処理対象物2の表面2aを熱処理して硬化させる工程であり、図8に示す硬化処理工程#200とは異なり熱化学反応工程#302の後に表面2aを熱処理して硬化させる。図10に示す処理対象物2を駆動装置6が矢印方向に回転しながら、粒子3によって被覆された被覆層の表面を所定の焼入れ温度に達するまで加熱装置8が加熱する。このとき、被覆層などが劣化しないような焼入れ温度及び焼入れ時間によって加熱装置8がこの被覆層の表面を加熱するように、制御装置16が加熱装置8を制御する。その後、被覆層の表面を冷却装置19が冷却して、図14(E)に示すように処理対象物2の表面2aにマルテンサイト組織からなる硬化処理層18が形成される。この第5実施形態には、第3実施形態及び第4実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。この第5実施形態では、熱化学反応工程#302後の硬化処理工程#303によって処理対象物2が加熱される。このため、熱化学反応工程#302によって生成された表層のスズ3bが溶融し、下層の二硫化モリブデン3a及びスズ3bとの密着性及び結合性を強化させることができる。
【0085】
(第6実施形態)
図15は、この発明の第6実施形態に係る表面処理方法の工程図である。図16は、この発明の第6実施形態に係る表面処理方法を説明するための模式図であり、図16(A)は表面処理前の断面図であり、図16(B)は加熱工程中の断面図であり、図16(C)は噴射工程中の断面図であり、図16(D)は熱化学反応工程後の断面図であり、図16(E)は冷却工程中の断面図である。なお、図15に示す工程のうち図2に示す工程と同様の工程については対応する番号を付して詳細な説明を省略する。
【0086】
図15に示す加熱工程#400は、処理対象物2の表面2aを熱処理して硬化させるために、この処理対象物2の表面2aを所定の加熱温度で加熱する工程である。その結果、図16(B)に示すように、所定の加熱温度(焼入れ温度)に達するまで表面2aを加熱してこの表面2aを熱処理し硬化させ、この表面2aに硬化処理層18が形成される。図15に示す冷却工程#403は、処理対象物2の表面2aを硬化させるためにこの表面2aを冷却する工程である。図16(D)に示すように、粒子3によって被覆された処理対象物2に水や油などの冷却剤19bを噴射してこの処理対象物2を冷却し、この表面2aに硬化処理層18が形成される。
【0087】
次に、この発明の第6実施形態に係る表面処理装置について説明する。
図17は、この発明の第6実施形態に係る表面処理装置の側面図である。
図17に示す噴射装置10は、水又は油などの冷却剤19bと粒子3とを分離する分離部10fを備えており、分離部10fは粒子回収部10dが回収した粒子3と冷却剤19bとの混合物を粒子3と冷却剤19bとに分離して、粒子3を粒子収容部10aに戻すとともに冷却剤19bを冷却装置19に戻す。冷却装置19は、粒子3を噴射するノズル部10cと並列に、冷却剤19bを噴射するノズル部19aを備えている。
【0088】
次に、この発明の第6実施形態に係る表面処理装置の動作を説明する。
図17に示す設定装置17によって処理対象物2の処理条件が設定されると、処理対象物2を駆動装置6が矢印方向に連続して回転するとともに、図16(B)に示すように所定の焼入れ温度に達するまで加熱装置8が表面2aを加熱する。次に、図17に示す設定装置17によって設定された処理条件に応じてガスタンク12a内の不活性ガスが選択され、ノズル部10cが粒子3を噴射する。その結果、図16(C)に示すように、表面2aが粒子3によって被覆されるとともに、図16(D)に示すように処理対象物2と粒子3とが熱化学反応して化合物層4が形成される。また、図16(E)に示すように、粒子3によって被覆された被覆層の表面を図17に示す冷却装置19が冷却して、処理対象物2の表面2aにマルテンサイト組織からなる硬化処理層18が形成される。
【0089】
この発明の第6実施形態に係る表面処理材、表面処理方法及び表面処理装置には、第3実施形態~第5実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第6実施形態では、熱化学反応工程#402の前に、処理対象物2の表面2aを熱処理して硬化させるためにこの表面2aを所定の加熱温度で加熱するとともに、熱化学反応工程#402の後に、この表面2aを硬化させるためにこの表面2aを冷却する。その結果、処理対象物2と粒子3とを化合部層4によって結合させる処理工程と、硬化処理層18を形成するための熱処理工程とを略同時に行うことができるため、表面処理に要する時間を短縮化することができる。
【0090】
(第7実施形態)
図18は、この発明の第7実施形態に係る表面処理装置の正面図である。図19は、この発明の第7実施形態に係る表面処理装置の側面図であり、図19(A)は加熱装置の側面図であり、図19(B)は噴射装置の側面図であり、図19(C)は冷却装置の側面図である。
【0091】
図17及び図18に示す車輪Wは、摩擦抵抗を受けるフランジ面W2が表面処理された鉄道用部材であり、鉄道用レールと回転接触する鉄道用車輪である。車輪Wは、レールRの頭頂面と接触して摩擦抵抗を受ける踏面W1と、鉄道車両が急曲線を通過するときに外軌側のレールの頭側面と接触して摩擦抵抗を受けるフランジ面W2を備えている。フランジ面W2は、図19に示すように、粒子3と、化合物層4と、硬化処理層18などを備えている。
【0092】
表面処理装置5は、フランジ面W2を加熱するとともにこのフランジ面W2に粒子3を噴射して、このフランジ面W2を処理する装置である。表面処理装置5は、一対の車輪Wのそれぞれに対応して配置されており、以下では一方の側の表面処理装置について説明し、他方の側の表面処理装置については説明を省略する。表面処理装置5は、図18及び図19に示すように、加熱装置8と、温度検出装置9と、噴射装置10と、圧縮気体供給装置11と、ガス収容装置12と、圧縮気体選択装置13と、制御装置16と、設定装置17と、冷却装置19と、回転装置22と、回転検出装置23などを備えている。
【0093】
回転装置22は、車輪Wを回転させる装置であり、回転体22a,22bと、回転駆動部22cと、昇降駆動部22dなどを備えている。回転体22a,22bは、車輪Wと回転接触するローラであり、レールRの端部R3と端部R4との間のレール分断部R5に配置されている。回転駆動部22cは、回転体22a,22bの外周面を車輪Wの踏面W1に接触させた状態でこれらの回転体22a,22bを回転駆動させる装置である。昇降駆動部22dは、回転体22a,22bを昇降駆動させる装置であり、車輪Wを表面処理するときには回転体22a,22bを上昇させて踏面W1に接触させ、車輪Wの表面処理を終了したときには回転体22a,22bを下降させて踏面W1から離間させる。回転駆動部22c及び昇降駆動部22dは、制御装置16に接続されており制御装置16によって制御される。回転検出装置23は、車輪Wの回転を検出する手段である。回転検出装置23は、例えば、回転体22a,22bの回転数に基づいて車輪Wの回転位置(回転角度)を検出し、この検出結果を回転位置情報として制御装置16に出力するエンコーダなどである。
【0094】
次に、この発明の第7実施形態に係る表面処理装置の動作を説明する。
図18に示すように、レールRに沿って車輪Wが転がりながら移動してレール分断部R5に位置したときに、回転装置22を制御装置16が動作させる。その結果、昇降駆動部22dが回転体22a,22bを上昇させて車輪Wと接触させるとともに、設定装置17によって設定された処理条件に応じて、回転駆動部22cが回転体22a,22bを回転させて車輪Wを矢印方向に回転させる。
【0095】
化合物層4をフランジ面W2に形成する場合には、図18に示す設定装置17によって設定された処理条件に応じて、回転装置22が車輪Wを連続して回転させる。そして、図19(A)に示すように、フランジ面W2の全周が所定の加熱温度に達するまで加熱装置8がフランジ面W2を加熱すると、処理条件に適したガスタンク12a内の不活性ガスが選択される。その結果、図19(B)に示すように、ノズル部10cが粒子3を噴射して、フランジ面W2に化合物層4が形成され車輪Wと粒子3とが化合物層4によって結合される。
【0096】
硬化処理層18をフランジ面W2に形成した後にこの硬化処理層18の表面に化合物層4を形成する場合には、図18に示す回転装置22が車輪Wを連続して回転させる。そして、図19(A)に示すように所定の焼入れ温度範囲に達するまで加熱装置8がフランジ面W2の全周を加熱し、図19(C)に示すように冷却装置19が冷却剤19bを噴射してフランジ面W2を冷却する。その結果、図19(C)に示すようにフランジ面W2の全周に硬化処理層18が形成される。次に、回転装置22が車輪Wを連続して回転させ、図9(C)に示すように硬化処理層18の表面を所定の加熱温度に達するまで加熱装置8が再加熱するとともに、図9(D)に示すようにノズル部10cが粒子3を噴射する。その結果、図9(E)に示すように、硬化処理層18の表面に化合物層4が形成され、粒子3と硬化処理層18とが化合物層4によって結合される。
【0097】
化合物層4をフランジ面W2に形成した後に硬化処理層18をフランジ面W2に形成する場合には、図18に示す回転装置22が車輪Wを連続して回転させながら、図19(A)に示すようにフランジ面W2を所定の加熱温度に達するまで加熱装置8が加熱するとともに、図19(B)に示すようにノズル部10cが粒子3を噴射する。その結果、フランジ面W2に粒子3が衝突し、このフランジ面W2に化合物層4が形成され、車輪Wと粒子3とが化合物層4によって結合される。次に、図18に示す回転装置22が車輪Wを連続して回転させ、粒子3によって被覆されたフランジ面W2を加熱装置8が所定の焼入れ温度範囲に達するまで加熱する。その後に、冷却装置19が冷却剤19bを噴射して粒子3によって被覆されたフランジ面W2を冷却すると、図14(E)に示すようにフランジ面W2が熱処理されてフランジ面W2に硬化処理層18が形成される。
【0098】
化合物層4及び硬化処理層18をフランジ面W2に略同時に形成する場合には、図18に示す回転装置22が車輪Wを連続して回転させながら、図19(A)に示すように所定の焼入れ温度範囲に達するまで加熱装置8がフランジ面W2の全周を加熱する。次に、図19(B)に示すように、ノズル部10cが粒子3を噴射するとともに、図19(C)に示すように冷却装置19が冷却剤19bを噴射してフランジ面W2を冷却する。その結果、図16(E)に示すように、フランジ面W2が熱処理されてフランジ面W2に硬化処理層18が形成されるとともに、この硬化処理層18の表面に化合物層4が形成され、硬化処理層18と粒子3とが化合物層4によって結合される。
【0099】
なお、図18に示すように、フランジ面W2で反射して粒子回収部10d内に回収された粒子3及び冷却剤19bは回収管路10eを通じて吸引されそれぞれ回収される。フランジ面W2の表面処理を終了する場合には、回転駆動部22cが回転体22a,22bの回転を停止させて昇降駆動部22dが回転体22a,22bを下降させると、車輪Wが回転体22a,22bから離間する。そして、表面処理後の車輪WがレールRに沿って転がりながら移動してレール分断部R5から離れると、次の車輪Wがレール分断部R5に位置し同様の表面処理動作が繰り返される。
【0100】
この発明の第7実施形態に係る表面処理材、表面処理方法及び表面処理装置には、第1実施形態~第6実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第7実施形態では、フランジ面W2に化合物層4を形成し、車輪Wと粒子3とをこの化合物層4によって結合する。このため、フランジ面W2が受ける摩擦抵抗が緩和されるため、鉄道車両が急曲線を通過するときにフランジ面W2とレールRの頭側面とが激しく接触しても、フランジ面W2が磨耗するのを低減することができる。例えば、規定の走行距離を列車が走行した後に電車区などの車両基地で車両を停車させて表面処理をすることができる。また、従来の鉄道用車輪のように踏面W1の形状の変化を防止するために、車輪Wを定期的に削正して踏面W1の形状を整える大規模な作業が必要なくなるため、保守コストを低減することができるとともに、脱線の防止に役立てることができる。
【0101】
(第8実施形態)
図20は、この発明の第8実施形態に係る表面処理装置の正面図である。図21は、この発明の第8実施形態に係る表面処理装置のショットピーニング処理装置の側面図である。以下では、図18及び図19に示す部分と同一の部分については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
【0102】
図20に示す表面処理装置5は、ショットピーニング処理装置20と圧縮気体選択装置21とを備えている。ショットピーニング処理装置20が退避位置から駆動を開始して、ショット粒子回収部20dの先端開口部がフランジ面W2と密着する。回転装置22が車輪Wを回転させた状態でショットピーニング処理装置20が供給管路20bからノズル部20cにショット粒子18aを供給すると、図21に示すようにノズル部20cからフランジ面W2にショット粒子18aが投射されて硬化処理層18が形成される。次に、回転装置22が車輪Wを連続して回転させ、図11(C)に示すように硬化処理層18の表面を所定の加熱温度に達するまで加熱装置8が加熱するとともに、図11(D)に示すようにノズル部10cが粒子3を噴射する。その結果、図11(E)に示すように、硬化処理層18の表面に化合物層4が形成され、粒子3と硬化処理層18とが化合物層4によって結合される。なお、図21に示すように、フランジ面W2で反射してショット粒子回収部20d内に回収されたショット粒子18aは回収管路20eを通じて吸引され回収される。この第8実施形態には、第1実施形態~第7実施形態の効果と同様の効果がある。
【0103】
(第9実施形態)
図22は、この発明の第9実施形態に係る表面処理装置の正面図である。図23は、この発明の第9実施形態に係る表面処理装置の側面図であり、図23(A)は加熱装置の側面図であり、図23(B)は噴射装置の側面図であり、図23(C)は冷却装置の側面図である。
【0104】
図22及び図23に示すレールRは、摩擦抵抗を受ける頭側面R2が表面処理された鉄道用部材であり、鉄道用車輪を案内しこの鉄道用車輪と回転接触する鉄道用レールである。レールRは、図18及び図19に示す車輪Wを直接支持し踏面W1と接触して摩擦抵抗を受ける頭頂面(頭部上面)R1と、鉄道車両が急曲線を通過するときにフランジ面W2と接触して摩擦抵抗を受ける頭側面R2とを備えている。頭側面R2は、図23に示すように、粒子3と、化合物層4と、硬化処理層18などを備えている。
【0105】
表面処理装置5は、頭側面R2を加熱するとともにこの頭側面R2に粒子3を噴射して、この頭側面R2を処理する装置である。図19に示す表面処理装置5は、一対のレールRのそれぞれに対応して配置されており、以下では一方の側の表面処理装置について説明し、他方の側の表面処理装置については説明を省略する。表面処理装置5は、図22及び図23に示すように、加熱装置8と、温度検出装置9と、噴射装置10と、圧縮気体供給装置11と、ガス収容装置12と、圧縮気体選択装置13と、制御装置16と、設定装置17と、冷却装置19などを備えている。表面処理装置5は、原動機又は人力によって走行する保線作業車などに搭載されており、頭側面R2と接触した状態でレールRの長さ方向に沿って移動する。
【0106】
次に、この発明の第9実施形態に係る表面処理装置の動作を説明する。
頭側面R2に化合物層4を形成する場合には、図22に示す設定装置17によって設定された処理条件に応じて、表面処理装置5が矢印方向に移動しながら図23(A)に示すように加熱装置8が所定の加熱温度で頭側面R2を加熱し、処理条件に適したガスタンク12a内の不活性ガスが選択される。その結果、図23(B)に示すように、ノズル部10cが粒子3を噴射して、頭側面R2に化合物層4が形成されレールRと粒子3とが化合物層4によって結合される。
【0107】
硬化処理層18を頭側面R2に形成した後に化合物層4を硬化処理層18の表面に形成する場合には、図22に示す表面処理装置5が矢印方向に移動しながら、図23(A)に示すように加熱装置8が所定の焼入れ温度範囲に達するまで頭側面R2を加熱する。その後に、図23(C)に示すように、冷却装置19が冷却剤19bを噴射して頭側面R2を冷却すると、頭側面R2に硬化処理層18が形成される。次に、表面処理装置5が最初の位置に戻り矢印方向に再度移動を開始すると、図9(C)に示すように硬化処理層18の表面を所定の加熱温度に達するまで加熱装置8が再加熱するとともに、図9(D)に示すようにノズル部10cが粒子3を噴射する。その結果、図9(E)に示すように、硬化処理層18の表面に粒子3が衝突して、この硬化処理層18の表面に化合物層4が形成され、この硬化処理層18と粒子3とがこの化合物層4によって結合される。
【0108】
化合物層4を頭側面R2に形成した後に硬化処理層18を頭側面R2に形成する場合には、図22に示す表面処理装置5が矢印方向に移動しながら図23(A)に示すように加熱装置8が所定の加熱温度に達するまで頭側面R2を加熱するとともに、図23(B)に示すようにノズル部10cが粒子3を噴射する。その結果、頭側面R2に粒子3が衝突し、この頭側面R2に化合物層4が形成される。次に、表面処理装置5が最初の位置に戻り矢印方向に再度移動を開始すると、粒子3によって被覆された被覆層の表面を所定の焼入れ温度範囲に達するまで加熱装置8が加熱する。その後に、図14(E)に示すように冷却装置19が冷却剤19bを噴射して被覆層の表面を冷却し、頭側面R2が熱処理されて頭側面R2に硬化処理層18が形成される。
【0109】
化合物層4及び硬化処理層18を頭側面R2に略同時に形成する場合には、図22に示す表面処理装置5が矢印方向に移動しながら図23(A)に示すように加熱装置8が所定の焼入れ温度範囲に達するまで頭側面R2を加熱する。次に、図23(B)に示すように、ノズル部10cが粒子3を噴射するとともに、図23(C)に示すように冷却装置19が冷却剤19bを噴射して頭側面R2を冷却する。その結果、図16(E)に示すように、頭側面R2が熱処理されて頭側面R2に硬化処理層18が形成されるとともに、この硬化処理層18の表面に化合物層4が形成され、この硬化処理層18と粒子3とがこの化合物層4によって結合される。なお、頭側面R2で反射して粒子回収部10d内に回収された粒子3及び冷却剤19bは回収管路10eを通じて吸引されそれぞれ回収される。
【0110】
この発明の第9実施形態に係る表面処理材の表面処理装置には、第1実施形態~第6実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第9実施形態では、頭側面R2に化合物層4を形成し、レールRと粒子3とをこの化合物層4によって結合する。このため、鉄道車両が急曲線を通過するときに発生する頭側面R2の磨耗を低減することができる。
【0111】
(第10実施形態)
図24は、この発明の第10実施形態に係る表面処理装置の正面図である。図25は、この発明の第10実施形態に係る表面処理装置のショットピーニング処理装置の側面図である。以下では、図22及び図23に示す部分と同一の部分については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
【0112】
図24に示す表面処理装置5は、ショットピーニング処理装置20と圧縮気体選択装置21などを備えている。レールRに沿って表面処理装置5が矢印方向に移動すると、ショットピーニング処理装置20が供給管路20bからノズル部20cにショット粒子18aを供給し、図25に示すようにノズル部20cから内側頭頂面R2にショット粒子18aが投射されて硬化処理層18が形成される。次に、図9(C)に示すように硬化処理層18の表面を所定の加熱温度に達するまで加熱装置8が加熱するとともに、図9(D)に示すようにノズル部10cが粒子3を噴射する。その結果、図9(E)に示すように、硬化処理層18の表面に粒子3が衝突して、この硬化処理層18の表面に化合物層4が形成され、この硬化処理層18と粒子3とがこの化合物層4によって結合される。なお、頭側面R2で反射してショット粒子回収部20d内に回収されたショット粒子18aは回収管路20eを通じて吸引され回収される。この第10実施形態には、第1実施形態~第9実施形態の効果と同様の効果がある。
【0113】
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この第1実施形態~第6実施形態では、処理対象物2を回転させながら加熱装置8及び噴射装置10などによって表面処理しているが、加熱装置8及び噴射装置10などを回転させながら処理対象物2を表面処理することもできる。また、この第1実施形態~第10実施形態では、二硫化モリブデン3aとスズ3bとを混合した粒子3を噴射したり、二硫化モリブデン3aのみからなる粒子3を噴射したりしているが、これらの粒子3に限定するものではない。例えば、セラミックスの処理対象物2にセラミックス粒子を噴射したり、粒子3に潤滑油を混合して噴射したりすることもできる。さらに、この第1実施形態~第10実施形態では、ショットピーニング装置などを噴射装置10として利用して粒子3を噴射する場合を例に挙げて説明したが、スプレー装置などを噴射装置10として利用して粒子3を噴射することもできる。
【0114】
(2) この第1実施形態~第10実施形態では、処理対象物2、車輪W及びレールRなどを加熱装置8によって加熱した後にこれらに噴射装置10によって粒子3を噴射しているが、処理対象物2、車輪W及びレールRなどに粒子3を噴射した後にこれらを加熱装置8によって加熱することもできる。また、この第1実施形態~第10実施形態では、二硫化モリブデン3aとスズ3bとを混合した粒子3を1本のノズル部10cから噴射しているが、二硫化モリブデン3aとスズ3bとをそれぞれ個別にノズル部から噴射することもできる。例えば、第1のノズル部からスズ3bを噴射して処理対象物2の表面でこのスズ3bを溶融させた後に、第2のノズル部から二硫化モリブデン3aを噴射することもできる。さらに、この第1実施形態~第10実施形態では、摩擦低減材などからなる粒子3を噴射する場合を例に挙げて説明したが、防錆剤などの粒子を噴射することもできる。
【0115】
(3) この第3実施形態~第10実施形態では、冷却装置19によって冷却剤19bを噴射して処理対象物2、車輪W及びレールRを冷却しているが、冷却装置19と併用又は冷却装置19を省略してノズル部10cから噴射する圧縮気体によって処理対象物2、車輪W及びレールRなどを冷却することもできる。また、この第3実施形態~第10実施形態では、処理対象物2、車輪W及びレールRを高周波焼入れにより熱処理して硬化処理層18を形成する場合や、ショットピーニング処理などの下地処理(素地粗し)によって硬化処理層18を形成する場合を例に挙げて説明したがこれらに限定するものではない。例えば、浸炭や窒化などの他の熱処理によって硬化処理層18を形成することもできる。
【0116】
(4) この第4実施形態、第8実施形態及び第10実施形態では、ショットピーニング処理後に硬化処理層18を加熱して粒子3を噴射しているがこれに限定するものではない。例えば、ショットピーニング処理後の硬化処理層18がショット粒子18aとの衝突によって所定の加熱温度に達している場合には、この硬化処理工程後の加熱工程を省略して、この衝突時に発生する熱によって粒子3と硬化処理層18とを熱化学反応させることもできる。また、この第6実施形態~第10実施形態では、粒子3を噴射した後に冷却剤19bを噴射する場合を例に挙げて説明したが、冷却剤19bを噴射して冷却しながら粒子3を噴射することもできる。
【0117】
(5) この第7実施形態~第10実施形態では、鉄道用部材として鉄道用車輪及び鉄道用レールを例に挙げて説明したがこれらに限定するものではない。例えば、相対運動によって摩擦抵抗を受けるパンタグラフのピン及びピンブッシュなどの他の鉄道用部材や、オイルレスシールなどのシール材又は軸受などの鉄道用部材以外の機械部品や、自動車などで使用されるコネクションロッド、コンロッド、トランスミッション、エンジンピストン、ピストンリング又はシリンダなどの摺動部材についてもこの発明を適用することができる。また、この第7実施形態~第10実施形態では、車輪Wのフランジ面W2又はレールRの頭側面R2を表面処理する場合を例に挙げて説明したが、これらの箇所とは別に又はこれらの箇所とともに踏面W1又は頭頂面R1を表面処理することもできる。さらに、この第7実施形態~第10実施形態では、表面処理装置5によって車輪WやレールRを硬化処理する場合を例に挙げて説明したが、車輪WやレールRを予め前工程で熱処理やショットピーニング処理した後にこの表面処理装置5によって表面処理することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】この発明の第1実施形態に係る表面処理材を模式的に示す部分断面図であり、(A)は表面処理前の状態を示す部分断面図であり、(B)は表面処理後の状態を示す部分断面図である。
【図2】この発明の第1実施形態に係る表面処理方法の工程図である。
【図3】この発明の第1実施形態に係る表面処理方法を説明するための模式図であり、(A)は表面処理前の部分断面図であり、(B)は加熱工程中の部分断面図であり、(C)は噴射工程中の部分断面図であり、(D)は熱化学反応工程後の部分断面図である。
【図4】この発明の第1実施形態に係る表面処理装置の側面図である。
【図5】この発明の第2実施形態に係る表面処理材を模式的に示す部分断面図であり、(A)は表面処理前の状態を示す部分断面図であり、(B)は表面処理後の状態を示す部分断面図である。
【図6】この発明の第2実施形態に係る表面処理方法を説明するための模式図であり、(A)は表面処理前の部分断面図であり、(B)は加熱工程中の部分断面図であり、(C)は噴射工程中の部分断面図であり、(D)は熱化学反応工程後の部分断面図である。
【図7】この発明の第3実施形態に係る表面処理材を模式的に示す部分断面図であり、(A)は表面処理前の状態を示す部分断面図であり、(B)は表面処理後の状態を示す部分断面図である。
【図8】この発明の第3実施形態に係る表面処理方法の工程図である。
【図9】この発明の第3実施形態に係る表面処理方法を説明するための模式図であり、(A)は表面処理前の部分断面図であり、(B)は硬化処理工程後の部分断面図であり、(C)は加熱工程中の部分断面図であり、(D)は噴射工程中の部分断面図であり、(E)は熱化学反応工程後の部分断面図である。
【図10】この発明の第3実施形態に係る表面処理装置の側面図である。
【図11】この発明の第4実施形態に係る表面処理方法を説明するための模式図であり、(A)は表面処理前の部分断面図であり、(B)は硬化処理工程中の部分断面図であり、(C)は加熱工程中の部分断面図であり、(D)は噴射工程中の部分断面図であり、(E)は熱化学反応工程後の部分断面図である。
【図12】この発明の第4実施形態に係る表面処理装置の側面図である。
【図13】この発明の第5実施形態に係る表面処理方法の工程図である。
【図14】この発明の第5実施形態に係る表面処理方法を説明するための模式図であり、(A)は表面処理前の部分断面図であり、(B)は加熱工程中の部分断面図であり、(C)は噴射工程中の部分断面図であり、(D)は熱化学反応工程後の部分断面図であり、(E)は硬化処理工程後の部分断面図である。
【図15】この発明の第6実施形態に係る表面処理方法の工程図である。
【図16】この発明の第6実施形態に係る表面処理方法を説明するための模式図であり、(A)は表面処理前の断面図であり、(B)は加熱工程中の断面図であり、(C)は噴射工程中の断面図であり、(D)は熱化学反応工程後の断面図であり、(E)は冷却工程中の断面図である。
【図17】この発明の第6実施形態に係る表面処理装置の側面図である。
【図18】この発明の第7実施形態に係る表面処理装置の正面図である。
【図19】この発明の第7実施形態に係る表面処理装置の側面図であり、(A)は加熱装置の側面図であり、(B)は噴射装置の側面図であり、(C)は冷却装置の側面図である。
【図20】この発明の第8実施形態に係る表面処理装置の正面図である。
【図21】この発明の第8実施形態に係る表面処理装置のショットピーニング処理装置の側面図である。
【図22】この発明の第9実施形態に係る表面処理装置の正面図である。
【図23】この発明の第9実施形態に係る表面処理装置の側面図であり、(A)は加熱装置の側面図であり、(B)は噴射装置の側面図であり、(C)は冷却装置の側面図である。
【図24】この発明の第10実施形態に係る表面処理装置の正面図である。
【図25】この発明の第10実施形態に係る表面処理装置のショットピーニング処理装置の側面図である。
【符号の説明】
【0119】
1 表面処理材
2 処理対象物
2a 表面
3 粒子
3a 二硫化モリブデン
3b スズ
4 化合物層
5 表面処理装置
6 駆動装置
7 位置検出装置
8 加熱装置
9 温度検出装置
10 噴射装置
10c ノズル部
11 圧縮気体供給装置
12 ガス収容装置
12a ガスタンク
13 圧縮気体選択装置
13a 開閉弁
14 駆動装置
15 距離検出装置
16 制御装置
17 設定装置
18 硬化処理層
19 冷却装置
19a ノズル部
19b 冷却剤
20 ショットピーニング処理装置
20a ノズル部
21 圧縮気体供給装置
22 回転装置
23 回転検出装置
W 車輪
1 踏面
2 フランジ面
R レール
1 頭頂面(表面)
2 頭側面(表面)

図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24