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明細書 :変電所

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4472472号 (P4472472)
公開番号 特開2006-069406 (P2006-069406A)
登録日 平成22年3月12日(2010.3.12)
発行日 平成22年6月2日(2010.6.2)
公開日 平成18年3月16日(2006.3.16)
発明の名称または考案の名称 変電所
国際特許分類 B60M   3/00        (2006.01)
H02H   9/04        (2006.01)
H02J   1/02        (2006.01)
FI B60M 3/00 D
H02H 9/04 C
H02J 1/02
請求項の数または発明の数 4
全頁数 7
出願番号 特願2004-256474 (P2004-256474)
出願日 平成16年9月3日(2004.9.3)
審査請求日 平成19年6月15日(2007.6.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】303059071
【氏名又は名称】独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構
発明者または考案者 【氏名】長谷 伸一
【氏名】奥井 明伸
【氏名】小西 武史
【氏名】金子 利美
個別代理人の代理人 【識別番号】100089761、【弁理士】、【氏名又は名称】八幡 義博
審査官 【審査官】池田 貴俊
参考文献・文献 特開2003-032882(JP,A)
特開2002-252985(JP,A)
特開2003-134657(JP,A)
特開平9-284079(JP,A)
調査した分野 B60M 3/00
H02H 9/04
H02J 1/02
特許請求の範囲 【請求項1】
直流電気鉄道の変電所であって、レール側へ接続されているラインと変電所接地マットとの間にコモンモードノイズをバイパスするフィルタを設けたことを特徴とする変電所。
【請求項2】
フィルタがコンデンサであることを特徴とする請求項1記載の変電所。
【請求項3】
フィルタがコンデンサと抵抗が直列に接続されたものとアレスタが並列に接続されたものであることを特徴とする請求項1記載の変電所。
【請求項4】
請求項3のフィルタの抵抗にインダクタンスを並列に接続したことを特徴とする変電所。












発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電気鉄道の変電所(整流ポストおよび電力回生用のインバータ設置所を含む)において交流を直流に或いは直流を交流に変換する際に生ずるコモンモードノイズ電流による悪影響を抑制する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
図3は、直流電気鉄道において変電所(整流ポストを含む)からトロリー線(き電線)とレールを通じて電車に直流電力を供給する概略図とコモンモードノイズ電流の主たる流れに対する等価回路を示す図である。
直流電気鉄道においては、変電所15において、外部電源10から交流電力の供給を受けて、これを変圧器4で所望の電圧に降圧し、コンバータ6で整流し、整流用のコンデンサ11、リアクトル12および遮断器9を経てトロリー線2へ直流電力が供給される。リターンはレール3を経てコンバータ6へ戻ることになる。
【0003】
このような変電所において交流を直流に整流する際に、交流正弦波に対して周波数の高い高調波成分を生ずる。このような高調波成分は一種のノイズであり、その流れによってはレールを利用して流している各種信号に悪影響を与える。このようなノイズは、電車が制動するときの回生電力(直流)を変電所或いはインバータ設置所(合わせて変電所等という)においてインバータで交流に変換するときにも生ずる。
【0004】
このノイズの現れ方としては、電車に供給される直流電力と同様のルートで流れるノーマルモードノイズと言われるものと、変電所15の変圧器4、ケーブル5やコンバータ6の諸機器と大地間に発生するコモンモードノイズと言われるものがある。
ノーマルモードノイズによる障害発生を抑制する対策としては、変電所からそのようなノイズが出ていかないようにトロリ線側への接続ラインとレール側への接続ラインとの間に、インダクタンスとコンデンサの直列共振回路を接続して、ノイズ周波数でのインピーダンスが低くなり短絡状態に近くなるようにして、ノイズがき電線やレールへ出て行かないようにしている(例えば、特許文献1、2参照)。

【特許文献1】特開平10-42466号公報(図1、図3)
【特許文献2】特開平3-261326号公報(第2図、第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような対策を施した結果、それなりの改善効果は得られたが、それでもなお、軌道回路を利用した在線検知やATC等の信号に対する悪影響を完全に除去することができないという問題があった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、従来の対策にもかかわらずなお残っているノイズによる軌道回路信号への悪影響を除去する構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を達成するための、本発明の基本構成である第1の構成は、直流電気鉄道の変電所であって、レール側へ接続されているラインと変電所接地マットとの間にコモンモードノイズをバイパスするフィルタを設けたことを特徴とする変電所である。
ここでいう変電所は、交流を直流に変換するコンバータを有する典型的な場合の他、制動時電力回生用の直交変換インバータをも有する場合、およびインバータのみを有するインバータ設置所をも含む。
【0008】
本発明の第2の構成は、前記第1の構成において、フィルタがコンデンサであることを特徴とする変電所である。
【0009】
本発明の第3の構成は、前記第1の構成において、フィルタがコンデンサと抵抗が直列に接続されたものとアレスタが並列に接続されたものであることを特徴とする変電所である。
【0010】
本発明の第4の構成は、前記第3の構成のフィルタの抵抗にインダクタンスを並列に接続したことを特徴とする変電所である。
【発明の効果】
【0011】
コモンモードノイズは背景技術で述べたように、変電所の、き電線やレールへの接続ラインも含めた各機器全体が大地に対してノイズ電位を有するものである。ところでこれらの各機器例えば図3の(a)の変圧器4、ケーブル5、コンバータ6又は図示されていないインバータ等は変電所構内に埋設されている接地マット8との間に大きな浮遊容量7を有している。
【0012】
従って、コモンモードノイズの電位を等価的にそのようなノイズを発生する電源とするとその電源は図3の(b)のコモンモードノイズ電源13となり、その一端(下端)が浮遊容量7で接地マット8に接続されていることになる。他端(上端)はトロリー線とレールに接続されることになるが、トロリー線の対地インピーダンスはレールの対地インピーダンスに対して大きいから無視できるのでレールのみを考え、レールを分布定数ラインと考えて等価回路で表すと図3の(b)のレール3のようになる。Lはレールの長さ方向のインダクタンス、Rはレールの長さ方向の抵抗、rはレールと大地間の抵抗、Cはレールの大地間との浮遊容量である。
【0013】
以上のように、コモンモードノイズ電源13の一端は供給ライン17を通じてレール3に接続され、他端は浮遊容量7、接地マット8、大地18および抵抗rと浮遊容量Cとからなるレール3の対地インピーダンスを介してレールに接続されて、ループを形成しコモンモードノイズ電流14が流れることになる。図3の(a)および(b)の矢印はこの流れを示すものである。
【0014】
本発明の基本構成である第1の構成は、レールへ接続されるラインと接地マットとの間にコモンモードノイズをバイパスするフィルタを接続するというものであるからノイズ電流は前記ラインと接地マット間で短絡に近い状態となり接地マットから大地の方や、前記ラインからレールの方へは流れなくなる。
【0015】
その結果、レールを信号伝達手段として利用している在線検知やATCなどの信号システムや制御システムの信号がコモンモードノイズ電流の悪影響を受けることがなくなるという利点がある。
【0016】
フィルタは、対象とするコモンモードノイズの周波数分布に応じて最も抑制したい周波数或いは周波数帯でインピーダンスができるだけ零に近くなる周波数特性のものを種々選ぶことができるので顕著な効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
コモンモードノイズ電流は変電所等から外へ流れ出ないようにすることが最良である。
そのためには、フィルタは変電所等内におけるレールへの接続ラインから接地マットへ接続するのが最良である。
また、フィルタの周波数特性は、対象とするコモンモードノイズの周波数分布に対して抑制したい周波数ないし周波数帯に合わせたものとするのが最良である。
【0018】
更に、トロリー線がレールに接触するなどの地落時の突流を抑えるための直流抵抗や、落雷時の被害を避けるためのアレスタを並列接続することなどが最良の実施形態である。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の変電所における実施例を示す接続概略図である。図1の(a)、(b)ともに、図3の(a)、(b)に対してフィルタ1を接続したものである。これにより、図3において、レール3や変電所15外の大地に流れていたコモンモードノイズ電流は、なくなっている。フィルタ1の接続は変電所15の構内で行われている。
図1の例は、コンバータのみの変電所の例であるが、インバータも設置されていて、トロリ線およびレールから電力回生を行うようになっている場合、即ち、インバータがトロリ線およびレールに対してコンバータと並列的に接続されている場合、インバータの動作に起因するコモンモードノイズの発生があっても、レールに接続されるラインと接地マットとの間にフィルタ1があることにより、コンバータの場合と同様にバイパスされてレールへは出ていかない。
【0020】
また、単に電力回生用のインバータのみが設置されているインバータ設置所においても、レールへの接続ラインと接地マットとの間にフィルタを接続することにより図1と同様にコモンモードノイズはバイパスされ、レールへは出ていない。
【0021】
図2は、本発明の第2ないし第4の構成で用いているフィルタの例である。
(a)はコンデンサ19のみで最も簡単な構成であり、高い周波数ほどバイパスされ易い。(b)はコンデンサ19に抵抗21を直列接続し、それにアレスタ20を並列に接続したものである。
抵抗21は、トロリー線が事故などによって地絡した場合に流れる突流を抑制するものである。
アレスタ20は落雷時に、抵抗21やコンデンサ19を保護するためのものである。
【0022】
(c)は、(b)の抵抗21にインダクタンス22を並列に接続したものである。コンデンサ19とで直列共振回路を構成し、共振周波数においてインピーダンスが零に近くなる。従って、コモンモードノイズの周波数分布のうち特にレベルの高い周波数を共振周波数に選ぶことにより、当該周波数およびそれを中心とする周波数帯に対し効果的な抑圧が可能となる。この場合、抵抗21は抑圧周波数特性の帯域幅調整用の機能をも有する。
【0023】
以上はフィルタの2、3の例であって、これに限られるものではなく、共振周波数の異なる直列共振回路を複数個並列に並べて抑制帯域を拡げるなど、ノイズの周波数分布に合わせて所望の周波数特性が得られるように種々異なる構成のものが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明変電所の回路構成および等価回路である。
【図2】本発明変電所で用いるフィルタの例の回路図である。
【図3】直流電気鉄道において、変電所からトロリー線とレールを通じて電車に直流電力を供給する概略図とコモンモードノイズ電流の主たる流れに対する等価回路である。
【符号の説明】
【0025】
1 フィルタ
2 トロリー線
3 レール
4 変圧器
5 ケーブル
6 コンバータ
7 浮遊容量
8 接地マット
9 遮断器
10 外部電源
11 コンデンサ
12 リアクトル
13 コモンモードノイズ電源
14 コモンモードノイズ電流
15 変電所
16 電車
17 供給ライン
18 大地
19 コンデンサ
20 アレスタ
21 抵抗
22 インダクタンス
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2