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明細書 :摩擦力測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4344665号 (P4344665)
公開番号 特開2006-078306 (P2006-078306A)
登録日 平成21年7月17日(2009.7.17)
発行日 平成21年10月14日(2009.10.14)
公開日 平成18年3月23日(2006.3.23)
発明の名称または考案の名称 摩擦力測定装置
国際特許分類 G01L   5/00        (2006.01)
B61K   9/02        (2006.01)
FI G01L 5/00 G
B61K 9/02
請求項の数または発明の数 3
全頁数 13
出願番号 特願2004-261889 (P2004-261889)
出願日 平成16年9月9日(2004.9.9)
審査請求日 平成18年11月27日(2006.11.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】西山 幸夫
【氏名】前橋 栄一
個別代理人の代理人 【識別番号】100100413、【弁理士】、【氏名又は名称】渡部 温
審査官 【審査官】松浦 久夫
参考文献・文献 特開2003-057135(JP,A)
特開昭60-149946(JP,A)
特開昭62-265551(JP,A)
調査した分野 G01L 5/00
特許請求の範囲 【請求項1】
被測定物の表面に接して滑りながら回転するスリップローラーと、
該スリップローラーの回転駆動機構と、
前記被測定物の表面に対する前記スリップローラーの法線方向の押圧力を設定する押圧力設定機構と、
前記被測定物の表面と前記スリップローラーとの間に働く摩擦力を測る摩擦力計と、
前記スリップローラーを回転可能に保持するベースプレートと、
該ベースプレートに取り付けられた、前記被測定物の表面に当たって前記スリップローラーの前記被測定物に対する姿勢を決める姿勢決め部材と、
を具備する摩擦力測定装置であって、
前記被測定物が、回転対称曲面である踏面及びフランジ部表面を有する鉄道車輪であり、
前記姿勢決め部材が、前記スリップローラーの周囲で前記ベースプレートから突出した4本のピンからなり、
該各ピンの端部を前記車輪の回転対称曲面に当ててセットすることにより、前記スリップローラーの前記曲面に対する姿勢が決まることを特徴とする摩擦力測定装置。
【請求項2】
さらに、前記ベースプレートに固定されたハンドルを具備し、
前記摩擦力測定装置の前記車輪への設置時には、前記ハンドルを片手で把持して前記車輪に当てることを特徴とする請求項1記載の摩擦力測定装置。
【請求項3】
前記車輪に対し前記摩擦力測定装置を位置決めする位置決め手段をさらに具備し、
該位置決め手段が、
前記車輪のフランジ部側の側面に吸着する磁石を有する吸着部材と、
該吸着部材に取り付けられた、前記車輪の踏面上の前記摩擦力測定装置に向けて進出して当接する支持部材と、
前記吸着部材に設けられた、前記支持部材の進出位置を位置決め固定する位置決め固定部材と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の摩擦力測定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車輪等の摩擦力測定を行う摩擦力測定装置に関する。特には、現場において、車輪の踏面及びフランジ部表面の摩擦力測定をより簡単に行うことができる摩擦力測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道技術における摩擦力測定を例に採って、背景技術を説明する。
鉄道レール表面又は鉄道車両の車輪表面の摩擦力を測定する装置としては、本発明者等が特許文献1(特開2003-57135号公報)において開示したものが知られている。この摩擦力測定装置は、レール又は車輪の表面に接して滑りながら回転するスリップローラーを備えており、レール又は車輪の表面とスリップローラーとの間に働く摩擦力を測定するものである。この摩擦力測定装置は、現場において、レール又は車輪の様々な位置に、様々な姿勢で取り付けて用いることができる。
【0003】
なお、従来より広く使用されているトリボメータは、レール頭頂面の摩擦力を測定することはできるが、レール頭頂部のアール面の摩擦力や、車輪の円周方向及び横方向の摩擦力については測定することができない。これに対し、特許文献1の摩擦力測定装置は、レールのみならず車輪についても様々な箇所の摩擦力を測定することができるので、トリボメータに比べて汎用性が高い。
【0004】

【特許文献1】特開2003-57135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、鉄道車両の車輪等について、さらに取り扱いが容易で、測定を短時間で行うことのできる摩擦力測定装置が求められている。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、車輪の踏面及びフランジ部表面の摩擦力測定をより簡単に行うことができる摩擦力測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のベースとなる摩擦力測定装置は、被測定物の表面に接して滑りながら回転するスリップローラーと、 該スリップローラーの回転駆動機構と、 前記被測定物の表面に対する前記スリップローラーの法線方向の押圧力を設定する押圧力設定機構と、 前記被測定物の表面と前記スリップローラーとの間に働く摩擦力を測る摩擦力計と、 前記スリップローラーを回転可能に保持するベースプレートと、 該ベースプレートに取り付けられた、前記被測定物の表面に当たって前記スリップローラーの前記被測定物に対する姿勢を決める姿勢決め部材と、を具備することを特徴とする。
【0007】
この摩擦力測定装置は、装置全体を被測定物(鉄道車両の車輪等)上に載置すると、姿勢決め部材が被測定物の表面に当たり、スリップローラーの被測定物に対する姿勢が決まる。したがって、スリップローラーの姿勢を決めるための多大な手間や時間がかからず、被測定物の複数の測定箇所について、摩擦力測定を簡単に短時間で行うことが可能となる。これにより、例えば測定データーのばらつきが多い場合等の多点計測平均値処理を短時間に行うことができるので、測定精度の向上を図ることもできる。
【0008】
本発明の摩擦力測定装置においては、前記被測定物の表面が回転対称曲面であり、 前記姿勢決め部材が、前記スリップローラーの周囲で前記ベースプレートから突出した4本のピンからなり、 該各ピンの端部を前記被測定物の表面に当ててセットすることにより、前記スリップローラーの前記被測定物の表面に対する姿勢が決まるものとすることができる。
この場合、車輪の踏面やフランジ部等に対して、4本のピンで簡単にスリップローラーの姿勢決めを実現することができる。
【0009】
本発明の摩擦力測定装置においては、前記スリップローラーが、前記ベースプレートに保持機構を介して保持されており、 該保持機構が、 前記ベースプレートに固定された基部と、 該基部に揺動可能に取り付けられた、前記スリップローラーを回転可能に保持するアーム部と、を備えることができる。
さらに、前記各ピンの端部を前記被測定物の表面に当ててセットすることにより、前記保持機構のアーム部が揺動して、前記スリップローラーの前記被測定物の表面に対する押圧力が決まるようにすることができる。
【0010】
本発明のこれらの態様では、装置全体を被測定物上に載置すると、ベースプレートに対して保持機構のアーム部が揺動し、スリップローラーが被測定物の表面に当たる。この時点で、スリップローラーから被測定物へと所定の(一定の)押圧力が付加される。さらに、前記押圧力設定機構を操作して、被測定物の大きさ・形状(例えば径の異なる鉄道車輪等)にそれぞれ対応した適切な押圧力を微調整し、実際の押圧力(被測定物の最初の測定点を測定する際に設定する押圧力)が決定される。
なお、保持機構は、リニアガイド等を用いて構成することもできるが、本形態のような揺動アームを用いる場合は、小型化・軽量化に優れ、耐久性も高いという利点がある。
【0011】
本発明の摩擦力測定装置においては、前記回転駆動機構が、 一端が前記スリップローラーの回転軸側に固定されて所定量巻かれているとともに、他端がテンションセンサに固定されており、これらスリップローラーとテンションセンサとの間で張られた紐と、 前記スリップローラーと前記テンションセンサとの間に配置された複数のプーリーと、 前記テンションセンサを移動するための駆動力を発する正逆回転可能なモーターと、を具備し、 前記モーターで前記テンションセンサを移動させ、前記紐を介して前記スリップローラーを回転駆動させるものとすることができる。
この場合、モーターの正逆回転に伴い、紐の引き出し・巻き戻しを自動で行うことが可能となる。さらに、スリップローラー表面のアセトン清掃及びから拭きの際の作業性を向上できる利点もある。
【0012】
本発明の摩擦力測定装置においては、前記被測定物が鉄道車輪であり、 該鉄道車輪の踏面の摩擦力測定時に、該車輪に対し前記摩擦力測定装置を位置決めする位置決め手段をさらに具備し、 該位置決め手段が、 前記車輪のフランジ部側の側面に吸着する磁石を有する吸着部材と、 該吸着部材に取り付けられた、前記車輪の踏面上の前記摩擦力測定装置に向けて進出して当接する支持部材と、 前記吸着部材に設けられた、前記支持部材の進出位置を位置決め固定する位置決め固定部材と、を備えるものとすることができる。
【0013】
また、本発明の摩擦力測定装置においては、前記被測定物が鉄道車輪であり、 該鉄道車輪のフランジ部の摩擦力測定時に、該車輪に対し前記摩擦力測定装置を位置決めする位置決め手段をさらに具備し、 該位置決め手段が、 前記摩擦力測定装置に着脱自在な、前記車輪のフランジ部に当接する当接部を有する位置決め部材を備えるものとすることができる。
【0014】
本発明のこれらの態様によれば、位置決め手段により、装置の車輪への設置時の安定性を確保することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車輪の踏面及びフランジ部表面の摩擦力測定をより簡単に行うことができる摩擦力測定装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施の形態では、被測定物が鉄道車両の車輪の場合について説明する。
図1は、本実施の形態に係る摩擦力測定装置の正面図である。
図2は、同摩擦力測定装置の正面断面図である。
図3は、同摩擦力測定装置の側面図である。
図4は、同摩擦力測定装置の側面断面図である。
図5は、同摩擦力測定装置の底面図である。
図6は、同摩擦力測定装置の駆動部を示す模式図である。
なお、以下の説明において、上下・左右・前後とは、特に断らない限り各図における矢印方向を指すものとする。また、図2及び図4においては、主要部分のみを図示し、他は省略してある。
【符号の説明】
【0017】
図1~図5に示すように、本実施例の摩擦力測定装置1は、平板状のベースプレート10を備えている。このベースプレート10には、大きく分けて、以下の各部(1)~(5)が取り付けられている。
(1)ベースプレート10の中央下部に設けられたローラー支持部20。このローラー支持部20は、スリップローラー21及びこのローラー21を保持する保持機構30を含む。
(2)ベースプレート10下面側において、ローラー支持部20の四隅に突設されたピン(姿勢決め部材)50。
(3)ベースプレート10上において、ローラー支持部20の直上に設けられた押圧力設定機構60。
(4)ベースプレート10上に設けられた、スリップローラー21を駆動するローラー駆動部70。このローラー駆動部70は、摩擦力計としてのテンションセンサ(ロードセル)80を含む。
(5)ベースプレート10に固定された、ケーシング90及びハンドル95。
【0018】
以下、各部の詳細について説明する。
(1)ローラー支持部20
図1~図5に示すように、ローラー支持部20は、車輪Cの表面(踏面Cs又はフランジ部表面Cf)に接して回転するスリップローラー21を備えている。このスリップローラー21は、保持機構30により、回転可能に且つ上下動可能に、ベースプレート10の中央下部に保持されている。
【0019】
保持機構30は、一対のブラケット(基部)31、及び、これらブラケット31間に揺動可能に支持されたアーム(アーム部)35を備えている。図4に示すように、各ブラケット31は、ボルト31Bでベースプレート10下面に固定されている。各ブラケット31の後端は、ベースプレート10よりも後側に延び出ており、連結部材32で繋がれている。図5に示すように、これらブラケット31間には、シャフト33が架設されている。このシャフト33は、アーム35に挿通されている。アーム35は、シャフト33を支点として、上下に揺動する。シャフト33には、後に詳述するローラー駆動部70の第2プーリー72が外嵌している。
【0020】
図1及び図2に示すように、アーム35は断面コ字状の部材である。アーム35の上面には、ロードセル36が固定されている。このロードセル36は、後に詳述する押圧力設定機構60の押圧部材68に当たり、ローラー21の押し付け力を計測する。アーム35の前端(先端)の内側には、前述のスリップローラー21、及び、ローラー回転軸を兼ねる一対の第1プーリー25が回転可能に取り付けられている。各第1プーリー25は、ベアリング及び押え板35aを介して、アーム35の両側板部それぞれにボルト25Bで取り付けられている。
【0021】
図2に示すように、右側の第1プーリー25′はローラー回転軸と一体化しており、左側の第1プーリー25″はこのローラー回転軸に外嵌している。これらプーリー25′、25″は、ボルト25Bによりスリップローラー21を挟むように取り付けられている。スリップローラー21は、右側の第1プーリー25′にピン固定されており、ローラー21と両プーリー25′、25″とは一体に回転する。各第1プーリー25には、後に詳述するローラー駆動部70の紐71の端部が固定されて所定量巻き付けられている。左右一方の第1プーリー25から紐71が引き出されると、他方の第1プーリー25では紐71が巻き取られる。
なお、ローラー21の材質や硬さは、被測定物の材質に応じて、自由に選択できるものとする。
【0022】
ローラー支持部20において、保持機構30のアーム35は、ローラー21や第1プーリー25等の設けられた前端側が後端側よりも重くなっている。そのため、通常状態(摩擦力測定装置1の車輪Cへの非設置状態)では、シャフト33を支点として、アーム35の前端側が自重で下がろうとし、後端側が上がろうとするが、アーム35後端がブラケット31の連結部材32に当たることで定位置に止まる。すなわち、この通常状態では、アーム35の前端側は下方向には揺動しない。一方、摩擦力測定装置1を車輪Cに設置し、アーム35の前端側が車輪Cの表面で押されると、アーム35の前端側が上方向に、後端側が下方向に、シャフト33を支点として揺動する。
なお、保持機構30は、リニアガイド等を用いて構成することもできるが、本形態のようなブラケット31・アーム35を用いる場合は、小型化・軽量化に優れ、耐久性も高いという利点がある。
【0023】
(2)ピン(姿勢決め部材)50
ピン50は、ローラー支持部20の四隅(図5参照)において、それぞれベースプレート10下面側にネジ固定(図2参照)されている。4本のピン50の突出長さは同一である。各ピン50の下端部は球面状に形成されており、ブラケット31を固定するボルト31Bの下端よりも下に突出している。摩擦力測定装置1の車輪Cへの設置時において、ピン50の球面状の下端部は車輪Cの表面に当たる。
【0024】
(3)押圧力設定機構60
押圧力設定機構60は、測定対象となる車輪Cの最初の測定点を測定する際に、ローラー21の押し付け荷重を手動で設定する機構である。この押圧力設定機構60により、異なる大きさ・形状の車輪Cを測定する際に、車輪径等に応じて変化する荷重量を微調整することができる。
図2にわかり易く示すように、押圧力設定機構60は、ベースプレート10上でローラー支持部20の直上に配置されたブロック61を備えている。このブロック61は、ベースプレート10上面にボルト61Bで固定されている。このブロック61の内部には穴62が形成されており、この穴62には押し付けバネ63が配置されている。この押し付けバネ63の上端は、押し付けネジ65の下端のピストン66に係合している。
【0025】
押し付けネジ65は、上端にハンドル65aを有するとともに、下端にピストン66を有する。ピストン66には突起66a(図1参照)が形成されており、この突起66aはブロック61に形成された縦溝61a(図1参照)内に入り込んでいる。押し付けネジ65の中途の部分は、ブロック61の上端のネジ孔に噛み合っている。押し付けネジ65には、該ネジ65の位置決め(ストッパ)のためのロックナット67が外嵌している。この押し付けネジ65は、ブロック61のネジ孔に噛み合った状態で、上下方向に進退可能である。押し付けネジ65が進退する際には、ピストン66がブロック61内部の穴62にガイドされて上下する。
【0026】
一方、押し付けバネ63の下端は、押圧部材68に係合している。この押圧部材68の下端側は、ベースプレート10を貫通して突出している。そして、押圧部材68の下端突部は、アーム35に固定されたロードセル36に接触可能となっている。押圧力設定機構60による押し付け力の設定値(押し付けネジ65の捩じ込み量)は、ロードセル36で検出され、その検出値がケーブル37(図3、図4参照)を介してモニタ(図示されず)に表示されることで識別できる。なお、ピストン66の移動量は、突起66aのスライドブロック61に対する移動量を目視することもよっても識別できる。
【0027】
ここで、前述のローラー支持部20、ピン50、押圧力設定機構60の作用について説明する。
図1、図3に示すように、摩擦力測定装置1を車輪Cの踏面Cs上に載置すると、ピン50の下端が踏面Csに当たり、ローラー支持部20のスリップローラー21がピン50間で踏面Csに当たる。このとき、ローラー21が踏面Csに押されてアーム35前端側が押し上げられるため、アーム35の前端側が上方向に、後端側が下方向に、シャフト33を支点として揺動する。これにより、ローラー21の車輪Cに対する姿勢が決まり、ローラー21から踏面Csへと所定の(一定の)押圧力が付加される。
【0028】
さらに、押圧力設定機構60を操作し、押し付けネジ65を回して押圧部材68を下げると、押圧部材68からロードセル36を介してアーム35前端側に下方向への押し付け力が加わる。これにより、ローラー21の踏面Csへの実際の押圧力が決定される。押圧力設定機構60の操作は、一つの車輪Cについて最初の測定点を測定する際に行い、一度押圧力が決定された後は、測定対象となる車輪が変わるまで不要である。
【0029】
このように、摩擦力測定装置1を車輪Cの踏面Cs上に載置すると、ピン50によりローラー21の踏面Csに対する姿勢が決まるので、ローラー21の姿勢を決めるための多大な手間や時間がかからず、車輪Cの複数の測定箇所について、摩擦力測定を簡単に短時間で行うことが可能となる。そのため、この摩擦力測定装置1は、現場において短時間で作業を終えることが要求される、床下車輪測定等に用いて好適である。
【0030】
(4)ローラー駆動部70
図6に分かり易く示すように、ローラー駆動部70は、紐71、それぞれ一対の第2プーリー72、第3プーリー73、第4プーリー74、テンションセンサ(ロードセル)80、駆動機構85からなる。なお、第1プーリー25は、前述の通り、スリップローラー21を挟んで両側に配置されている。
【0031】
紐71の基端は、前述の通り、ローラー21の両側の第1プーリー25に固定され、所定量巻かれている。この紐71が引き出し・巻き戻しされるに伴い、第1プーリー25とともにローラー21が回転する。第2プーリー72は、ローラー21の後側に配置されており、前述の通り保持機構30の両ブラケット31間に架設されたシャフト33に外嵌している(図4及び図5参照)。第3プーリー73は、第2プーリー72の上方に配置されており、図4に示すように、ベースプレート10の側面にボルト73Bで取り付けられている。第3プーリー73は、第2プーリー72に対して直交する位置関係で配置されている。第4プーリー74は、第3プーリー73の左右外側に配置されており、図2に示すように、ベースプレート10上に傾けた状態でブラケット77を介して取り付けられている。
【0032】
両第4プーリー74間において、紐71の端部はそれぞれテンションセンサ80に繋がれている。紐71は、スリップローラー21の左右の第1プーリー25とテンションセンサ80との間で張られている。第1プーリー25から延び出た紐71は、後側に延び出て第2プーリー72に巻回された後、上に延び出て第3プーリー73に巻回され、さらに左右に延び出て第4プーリー74に巻回されている。
なお、この紐71としては、引っ張り強さが大きくて柔らかいケブラーコード(商品名)を用いるのが好ましい。
【0033】
テンションセンサ80は、紐71の張力を検知して、車輪Cの踏面Csとローラー21との間に働く摩擦力を測るためのものである。このテンションセンサ80は、移動ブロック81の側部から延び出る連結部材82上に固定されている。図4に示すように、移動ブロック81の側部の連結部材82は、ベースプレート10上に固定されたリニアガイド83の移動子上に固定されている。移動ブロック81・連結部材82は、駆動機構85の作動により、リニアガイド83に案内されつつベースプレート10上を移動する。駆動機構85は、正逆回転モーター86を備えている。この正逆回転モーター86のモーター出力軸は、ボールネジ87に連結されている。このボールネジ87には、前述の移動ブロック81が係合している。移動ブロック81は、正逆回転モーター86の回転(ボールネジ87の正逆回転)に伴って、左右方向に移動する。
【0034】
駆動機構85の正逆回転モーター86が駆動すると、モーター出力軸に連結されたボールネジ87が回転し、このボールネジ87に係合している移動ブロック81が移動する。移動ブロック81が移動すると、連結部材82及びテンションセンサ80を介して、左右一方の第1プーリー25からは紐71が引き出され、他方の第1プーリー25では紐71が巻き取られる。そして、この紐71の引き出し・巻き取りに伴って、ローラー21が車輪Cの踏面Csに接しつつ回転する。この際の紐71の張力はテンションセンサ80で計測され、この計測値に基づいて図示せぬ制御装置が摩擦力(ローラー21と車輪Cの踏面Csとの間に働く摩擦力)を算出する。このようにして、ローラー21の回転により、車輪Cの踏面Csの摩擦力が測定される。
【0035】
このようなローラー駆動部70では、正逆回転モーター86の正逆回転に伴い紐71の引き出し・巻き取りが自動で行われるので、人手やシリンダー等で紐71を引く場合よりも作動が安定する。さらに、スリップローラー21表面のアセトン清掃及びから拭きの際の作業性を向上できる利点もある。なお、このような清掃作業は、専用の清掃用台座(図示されず)を用いて行う。
【0036】
(5)ケーシング90及びハンドル95
図1~図4に示すように、ケーシング90は箱状をしている。ケーシング90は、ネジ90S等でベースプレート10に固定されている。ケーシング90内には、前述の押圧力設定機構60やローラー駆動部70が収容されている。
ハンドル95は、コ字状をしており、両端固定部96がボルト96Bでベースプレート10ならびにケーシング90上面に固定されている。ハンドル95の把持部97は、ケーシング90よりも上側に張り出している。この把持部97には、操作ボタン99が設けられている。操作ボタン99は、ローラー駆動部70の正逆回転モーター86のON/OFFや正逆回転方向指令スイッチ等の役割を果たす。摩擦力測定装置1の車輪Cへの設置時には、ハンドル95の把持部97を片手で把持しながら、操作ボタン99を操作することができる。これにより、一人の作業者がハンドル95を握りつつ、リモートコントロール測定を行うことができる。
【0037】
次に、図7~図10を参照して、車輪Cに対し前述の摩擦力測定装置1を設置して位置決めする際に用いる位置決め治具について説明する。
図7(A)は、車輪の踏面の摩擦力測定時に用いる位置決め治具を示す図であり、同治具を用いた車輪に対する摩擦力測定装置の位置決め状態を示す側面図である。図7(B)は、同位置決め用治具の平面図である。
図8は、車輪のフランジ部の摩擦力測定時に用いる位置決め治具を示す図であり、同治具を用いた車輪に対する摩擦力測定装置の位置決め状態を示す側面図である。
図9は、図8の正面図である。
図10は、車輪のフランジ部の摩擦力測定時に用いる位置決め治具を示す斜視図である。
【0038】
まず、図7を参照して、車輪Cの踏面Csの摩擦力測定時に用いる位置決め治具110について説明する。
この位置決め治具110は、車輪Cのフランジ部側の側面に吸着する永久磁石(又は電磁石)111を備えている。この永久磁石111には、レバー112が取り付けられており、このレバー112の切り換えに応じて磁力が生じるようになっている。永久磁石111の上部には、基台部118がネジ固定されている。この基台部118の上部には、一対の支持シャフト113を備える位置決め機構部115が設けられている。
【0039】
両支持シャフト113は、位置決め機構部115に進退可能に支持されている。支持シャフト113は、外周面に所定間隔おきに複数の溝113aが形成されており、先端には摩擦力測定装置1に当接する当接ブロック116が設けられている。位置決め機構部115の上端の長穴115a内には、ネジハンドル117が設けられている。さらに、位置決め機構部115の上端には、各支持シャフト113の上部を押すようにボールプランジャー119が設けられている。このボールプランジャー119は、一対の支持シャフト113のそれぞれに対応して、ネジハンドル117の両側に1個ずつねじ込まれている(図7(B)参照)。ボールプランジャー119のボール119aは、バネ119bで付勢されている(図7(A)参照)。ネジハンドル117は、位置決め機構部115と基台部118との間で、支持シャフト113の位置を微調整するためのものである。支持シャフト113は、ボールプランジャー119のボール119aを押し込めつつ進退可能である。支持シャフト113の溝113aにボールプランジャー119のボール119aが係合し、支持シャフト113に進出力が加わっていない状態では、支持シャフト113が定位置に位置決めされる。
【0040】
車輪Cの踏面Cs上に載置されている摩擦力測定装置1に対し、位置決め治具110の永久磁石111を車輪Cのフランジ部側の側面に吸着させる。さらに、支持シャフト113を摩擦力測定装置1側へと進出させ、当接ブロック116を摩擦力測定装置1のベースプレート10の側面に当てる。この際、必要があれば、ネジハンドル117を操作して、位置決め機構部115と基台部118との間で支持シャフト113の位置を微調整する。このようにして、踏面Cs上の摩擦力測定装置1が位置決め治具110の支持シャフト113に当たって支えられるので、安定性が確保される。
【0041】
次に、図8~図10を参照して、車輪Cのフランジ部表面Cfの摩擦力測定時に用いる位置決め治具130について説明する。
図10に示すように、位置決め治具130の当接ブロック部131には、一対のピン係合部133が一体形成されている。当接ブロック部131の側面131′、131″は、車輪Cのフランジ部表面Cfに当接する当接部となる(図8、図9参照)。両ピン係合部133には、それぞれ孔134が形成されている。これら孔134間の長さは、摩擦力測定装置1の左右2本のピン50の間隔に対応しており、各孔134内にはピン50が係合可能となっている。両ピン係合部133の側部には、それぞれ固定ネジ135が設けられている。固定ネジ135を締め付けることで、位置決め治具130を摩擦力測定装置1のピン50に固定することができる。
【0042】
図8、図9に示すように、車輪Cのフランジ部表面Cfの摩擦力を測定する際には、摩擦力測定装置1の4本のピンのうち、後端側の左右2本のピン50Rに位置決め治具130を装着する。そして、前端側の左右2本のピン50Fをフランジ部の内側に当てるとともに、位置決め治具130の当接ブロック部131の側面131′をフランジ部の端部近くに当てる。この場合、摩擦力測定装置1のスリップローラー21は、前端側の左右2本のピン50Fと、位置決め治具130の当接ブロック部131の側面131′との3点で、車輪Cに対する姿勢が決まる。このような位置決め治具130を用いることで、ローラー21がフランジ部表面Cfの内側に垂直に当たった状態で、安定した摩擦力測定を行うことができる。
【0043】
なお、位置決め治具130の左右のピン係合部133を図8、図9に示す状態とは逆に係合させ、当接ブロック部131の側面131″がフランジ部の端部近くに当たるように組み付けることもできる。このように位置決め治具130を適宜組み換えることで、車輪Cのフランジ部表面Cfの様々な形状にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施の形態に係る摩擦力測定装置の正面図である。
【図2】同摩擦力測定装置の正面断面図である。
【図3】同摩擦力測定装置の側面図である。
【図4】同摩擦力測定装置の側面断面図である。
【図5】同摩擦力測定装置の底面図である。
【図6】同摩擦力測定装置の駆動部を示す模式図である。
【図7】図7(A)は、車輪の踏面の摩擦力測定時に用いる位置決め治具を示す図であり、同治具を用いた車輪に対する摩擦力測定装置の位置決め状態を示す側面図である。図7(B)は、同位置決め用治具の平面図である。
【図8】車輪のフランジ部の摩擦力測定時に用いる位置決め治具を示す図であり、同治具を用いた車輪に対する摩擦力測定装置の位置決め状態を示す側面図である。
【図9】図8の正面図である。
【図10】車輪のフランジ部の摩擦力測定時に用いる位置決め治具を示す斜視図である。
【0045】
1 摩擦力測定装置 10 ベースプレート
20 ローラー支持部 21 スリップローラー
25(25′、25″) 第1プーリー 30 保持機構
31 ブラケット 32 連結部材
33 シャフト 35 アーム
36 ロードセル 37 ケーブル
50 ピン 60 押圧力設定機構
61 ブロック 63 押し付けバネ
65 押し付けネジ 66 ピストン
67 ロックナット 68 押圧部材
70 ローラー駆動部 71 紐
72 第2プーリー 73 第3プーリー
74 第4プーリー 80 テンションセンサ
81 移動ブロック 82 連結部材
83 リニアガイド 85 駆動機構
86 正逆回転モーター 87 ボールネジ
90 ケーシング 95 ハンドル
96 両端固定部 97 把持部
99 操作ボタン
110 位置決め治具 111 永久磁石
113 支持シャフト 113a 溝
115 位置決め機構部 115a 長穴
116 当接ブロック 117 ネジハンドル
118 基台部 119 ボールプランジャー
119a ボール 119b バネ
130 位置決め治具 131 当接ブロック部
131′、131″ 側面 133 ピン係合部
134 孔 135 固定ネジ
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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