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明細書 :データ収録装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4448428号 (P4448428)
公開番号 特開2006-145425 (P2006-145425A)
登録日 平成22年1月29日(2010.1.29)
発行日 平成22年4月7日(2010.4.7)
公開日 平成18年6月8日(2006.6.8)
発明の名称または考案の名称 データ収録装置
国際特許分類 G01D   9/00        (2006.01)
G01D   9/32        (2006.01)
B60L   3/00        (2006.01)
FI G01D 9/00 A
G01D 9/00 T
G01D 9/32 Z
B60L 3/00 N
請求項の数または発明の数 5
全頁数 12
出願番号 特願2004-337504 (P2004-337504)
出願日 平成16年11月22日(2004.11.22)
審査請求日 平成19年5月31日(2007.5.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】504432079
【氏名又は名称】有限会社ワットシステム
発明者または考案者 【氏名】下村 隆行
【氏名】芳賀 昭弘
【氏名】佐藤 和男
個別代理人の代理人 【識別番号】100090033、【弁理士】、【氏名又は名称】荒船 博司
【識別番号】100093045、【弁理士】、【氏名又は名称】荒船 良男
審査官 【審査官】榮永 雅夫
参考文献・文献 特開平08-212010(JP,A)
特開2000-206136(JP,A)
特開平06-225408(JP,A)
特開2003-287445(JP,A)
調査した分野 G01D 9/00 - 9/42
B60L 3/00
B61L 25/02
特許請求の範囲 【請求項1】
第1の物理量を計測する第1の計測手段と、
前記第1の物理量より時間的変化量の変動が少ない第2及び第3の物理量をそれぞれ計測する第2及び第3の計測手段と、
前記第2の計測手段による計測結果と前記第3の計測手段による計測結果とを時分割して計測複合データを生成する複合データ生成手段と、
前記第1の計測手段による計測結果のデータと前記複合データ生成手段により生成された計測複合データとを時間軸を共通にする時間推移記録として記録していく記録手段と、
を備えたデータ収録装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ収録装置であって、
前記複合データ生成手段は、前記計測複合データの全信号レンジのうち、所定閾値を超えるレンジを前記第2の計測手段の計測結果に対応するレンジとし、前記所定閾値未満のレンジを前記第3の計測手段の計測結果に対応するレンジとして、前記第2及び第3の計測手段の計測結果を、対応するレンジ内の信号値に変換する変換手段を有することを特徴とするデータ収録装置。
【請求項3】
請求項2に記載のデータ収録装置であって、
前記変換手段は、前記第2の計測手段の計測結果について、前記所定閾値を最大、前記計測複合データの最大値を最小とするように信号の大小方向を反転して、前記所定閾値を超えるレンジ内の信号値に変換することを特徴とするデータ収録装置。
【請求項4】
鉄道車両に設置される請求項1~3の何れか一項に記載のデータ収録装置であって、
前記第1の計測手段は加速度を計測する手段であり、
前記第2及び第3の計測手段は一方が走行位置を計測する手段であり、他方が走行速度を計測する手段である、
ことを特徴とするデータ収録装置。
【請求項5】
請求項1~3の何れか一項に記載のデータ収録装置であって、
前記第2及び第3の計測手段は、前記第2及び第3の物理量として、計測位置が異なる同一の物理量を計測することを特徴とするデータ収録装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、計測器により計測される物理量を収録するデータ収録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物理量を計測し、計測データを記録・収集するデータ収録装置が知られている。 例えば、データ収録装置の1つとして、特許文献1に開示されているような鉄道車両の乗り心地データ(以下、「乗り心地データ」という。)を収録する装置(以下、「乗り心地データ収録装置」という。)が知られている。

【特許文献1】特開2004-98878号公報
【0003】
この乗り心地データ収録装置は、試験走行時等に鉄道車両内に設置され、走行中の上下左右前後の3軸方向それぞれの加速度、走行速度及び走行位置を計測して、随時収録するものである。
【0004】
図7に、従来の乗り心地データ収録装置101の代表的な概略構成例を示す。なお、以下の説明においては、鉄道車両の進行方向をx軸方向、床面に平行でx軸方向に垂直な方向(進行方向に対する左右方向)をy軸方向、床面に垂直な方向(進行方向に対する上下方向)をz軸方向とする。
データ収録装置101は、同図に示すように、加速度計測部2、速度位置計測部3、AD変換部105、データ収録部106及び解析出力部107を備えて構成される。
【0005】
加速度計測部2は、例えばサーボ型の3軸加速度計である加速度センサ21を備え、この加速度センサ21によりx軸方向、y軸方向及びz軸方向の現在の加速度がそれぞれx加速度、y加速度及びz加速度として計測される。
速度位置計測部3は、車軸の端部に設けられて車軸の回転速度を走行速度として計測する速度発電機31及び鉄道車両の現在位置を計測するGPS32を備えて構成される。
【0006】
加速度計測部2及び速度位置計測部3により計測されたx加速度、y加速度、z加速度、走行速度及び位置は、AD変換部105によりアナログ/デジタル変換され、それぞれx加速度データ61、y加速度データ62、z加速度データ63、速度データ68及び位置データ69としてデータ収録部106で時間推移記録として随時収録される。
【0007】
試験走行の終了後、収録された各計測データは、データ収録部106から解析出力部107へ出力され、解析出力部107において、走行中の時間軸に沿って各計測値をグラフ化して出力するといった解析処理が行われる。
例えば、各計測データに基づいて、図8に示すようなグラフが表示出力される。
【0008】
図8(a)は、y加速度データ62に基づき描かれたy加速度の時間変化を表している。また、図8(b)は速度データ68及び位置データ69に基づき描かれた、鉄道車両の速度及び位置の時間変化を表している。破線x1が走行速度を、実線x2がキロ程に準じた走行位置をそれぞれ表し、両図における横軸は共通の時刻を表している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、同図に示すように、走行速度及び位置と、加速度との間には、単位時間当たりの変化量の変動(以下、「時間的密度」という。)に大きな差がみられる。
【0010】
即ち、走行速度等の物理量の時間変化を表した同図の、各曲線上の点における傾きとして現れる時間的変化量について、例えば時刻0.2秒~時刻0.4秒の間(以下、「着目時間」という。)に関して比較すると、それぞれ次の通りとなっている。
【0011】
図8(a)の曲線上の、例えば4点x31、x32、x33及びx34における傾きが正負の変化をも伴って大きく変化していることから判るように、加速度の時間的変化量は、着目時間に亘って大きく変化している。
一方、図8(b)の走行速度曲線x1は、着目時間に亘って傾きが略一定であるから、速度の時間的変化量はほぼ一定であり、殆ど変化していない。また、位置曲線x2の、例えば2点x21及びx22における傾きから判るように、位置の時間的変化量は、着目時間を通じても比較的小さい。
【0012】
このように鉄道車両の走行速度及び位置の時間的密度は、加速度の時間的密度に比して、相当に小さい。このような時間的密度の大きな差は計測したデータ全体に亘って同様にみられる。
【0013】
しかしながら、従来の乗り心地データ収録装置101は、図7に示して説明した通り、計測器である加速度センサ21、速度発電機31及びGPS32からデータ収録部106までの処理系統を計測器毎に有し、各部が別々のケーブルで接続されて構成されている。またこれは乗り心地データ収録装置101に限った構成ではなく、データ収録装置全般に言えるものである。即ち、同時に複数の物理量を計測し、その計測データを記録・収集する場合、計測器が別個であるために、各計測器から記録部への処理系統が計測する物理量の数だけ必要となるのである。このため、計測する物理量の数・種類が増えるに伴って、各部を接続するケーブル数が増加し、配線も煩雑になっていた。また、それぞれの計測データを同等に記録する必要があるため、計測する物理量の数に応じた処理速度が要求された。また、計測データを記録するための必要メモリ容量が、計測する物理量の数に応じて増加していた。
【0014】
ところが、上述したようにデータ収録装置が収録対象とする各物理量の間には、時間的密度について大きな差がある。この時間的密度の差を利用して、データ収録装置の効率化を図れないだろうか。本発明はかかる課題に鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
かかる課題を解決するための第1の発明は、
第1の物理量を計測する第1の計測手段(例えば、図1の加速度センサ21)と、
前記第1の物理量より時間的変化量の変動が少ない第2及び第3の物理量をそれぞれ計測する第2及び第3の計測手段(例えば、図1のGPS32及び速度発電機31)と、
前記第2の計測手段による計測結果と前記第3の計測手段による計測結果とを時分割して計測複合データ(例えば、図2の速度位置データd4)を生成する複合データ生成手段(例えば、図2の速度位置変調部4)と、
前記第1の計測手段による計測結果のデータと前記複合データ生成手段により生成された計測複合データとを時間軸を共通にする時間推移記録(例えば、図1のx加速度データ61、y加速度データ62、z加速度データ63及び速度位置データ64)として記録していく記録手段(例えば、図1のデータ収録部6)と、
を備えたデータ収録装置(例えば、図1のデータ収録装置1)である。
【0016】
この第1の発明によれば、第2及び第3の物理量の計測結果が時分割されて計測複合データが生成され、この計測複合データが記録手段へ出力される。
従って、第1の物理量より時間的変化量の変動が少ない第2及び第3の物理量の計測結果が計測複合データとして記録手段へ出力されるから、同時計測される複数の物理量の数に比し、収録するデータの数が少なくて済む。このため、収録に要する処理能力や収録に要するメモリ容量、配線に要するケーブルの数といった種々の面で効率化を図ることができる。
【0017】
また、第2の発明は、第1の発明のデータ収録装置であって、
前記複合データ生成手段は、前記計測複合データの全信号レンジ(例えば、図5(a)のレンジx4)のうち、所定閾値(例えば、図5(a)のレベルx41)を超えるレンジを前記第2の計測手段の計測結果に対応するレンジ(例えば、図5(a)のレンジx43)とし、前記所定閾値未満のレンジを前記第3の計測手段の計測結果に対応するレンジ(例えば、図5(a)のレンジx42)として、前記第2及び第3の計測手段の計測結果を、対応するレンジ内の信号値に変換する変換手段(例えば、図2の位置変換器42及び速度変換器41)を有することを特徴とする。
【0018】
この第2の発明によれば、第2の物理量の計測結果と第3の物理量の計測結果とを、それぞれ所定閾値を超えるレンジと所定閾値未満のレンジとに振分けるようにして計測複合データが生成される。
従って、記録手段に記録された計測複合データの第2の物理量と第3の物理量との判別は、計測複合データの値を所定閾値と比較する簡易な処理で済む。
【0019】
また、第3の発明は、第2の発明のデータ収録装置であって、
前記変換手段は、前記第2の計測手段の計測結果について、前記所定閾値を最大、前記計測複合データの最大値を最小とするように信号の大小方向を反転して、前記所定閾値を超えるレンジ内の信号値に変換することを特徴とする。
【0020】
この第3の発明によれば、第2の計測手段の計測結果が、対応するレンジ内の信号値に変換される際、前記所定閾値を最大、前記計測複合データの最大値を最小とするように信号の大小方向が反転され、所定閾値を超えるレンジ内の信号値に変換される。
従って、所定閾値近傍には計測複合データの信号値が可及的にない状態が作出されるから、記録手段に記録された計測複合データを第2の物理量と第3の物理量とをより明確に判別できる。
【0021】
また、第4の発明は、鉄道車両に設置される第1~第3の何れかの発明のデータ収録装置であって、
前記第1の計測手段は加速度を計測する手段であり、
前記第2及び第3の計測手段は一方が走行位置を計測する手段(例えば、図1のGPS32)であり、他方が走行速度を計測する手段(例えば、図1の速度発電機31)である、
ことを特徴とする。
【0022】
この第4の発明によれば、第1の物理量として鉄道車両の加速度が計測され、第2及び第3の物理量として走行位置及び走行速度が計測される。
【0023】
また、第5の発明は、第1~第3の何れかの発明のデータ収録装置であって、
前記第2及び第3の計測手段は、前記第2及び第3の物理量として、計測位置が異なる同一の物理量を計測することを特徴とする。
【0024】
この第5の発明によれば、第1の物理量より時間的変化量の変動が少ない第2及び第3の物理量として、計測位置が異なる同一の物理量が計測される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、同時計測される複数の物理量の数に比し、収録するデータの数が少なくて済む。このため、収録に要する処理能力や収録に要するメモリ容量、配線に要するケーブルの数といった種々の面で効率化を図ったデータ収録装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。以下においては、本発明のデータ収録装置を鉄道車両の乗り心地データ収録装置に適用した場合について説明するが、本発明を適用可能な形態がこれに限定されるものではない。
【0027】
図1は、本実施の形態における乗り心地データ収録装置(以下、単に「データ収録装置」という。)1の概略構成例を示すブロック図である。なお、図7に示したデータ収録装置101と同一の部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0028】
図1に示すように、データ収録装置1は、加速度計測部2、速度位置計測部3、速度位置変調部4、AD変換部5、データ収録部6及び解析出力部7を備えて構成されている。
【0029】
速度位置変調部4は、速度位置計測部3で計測された走行速度及び位置に係るそれぞれ速度信号a4及び位置信号a5を、交互にアナログ/デジタル変換することで時分割し、速度位置データd4としてデータ収録部6へ出力する。
【0030】
この速度位置変調部4は、模式的には、例えば図2に示す内部構成を有している。
同図において、速度位置変調部4は、速度変換器41、位置変換器42、切替器43及びADC44を備えて構成されている。
【0031】
速度変換器41は、速度位置計測部3から入力される速度信号a4の信号レベルを適宜増幅、減衰及びバイアスして速度変換信号a6として出力する。入力される速度信号a4と出力する速度変換信号a6とは比例関係にあり、その関係の一例を図3(a)に示す。同図においては、説明の簡明化のため、速度信号a4の代わりに速度を図示したが、実際には速度発電機31によって検出された速度を表す電圧値が速度信号a4となる。同図において、速度変換信号a6は、速度(速度信号a4)が0km/hの場合には0V、17km/hの場合には2.5Vの信号となる。なお、本実施の形態において想定する速度の最小値及び最大値は、それぞれ0km/h及び17km/hとしている。
【0032】
このように、速度変換器41から出力される速度変換信号a6の信号レベルは常に0~2.5Vのレンジ(以下、「速度用レンジ」という。)に収まる。また、速度変換信号a6の信号レベルは速度に対する単調増加関数であるから、この速度用レンジ内に収まる速度変換信号a6の信号レベルに基づいて速度が一意に定まる。
【0033】
位置変換器42は、速度位置計測部3から入力される位置信号a5の信号レベルを適宜増幅、減衰及びバイアスして位置変換信号a7として出力する。入力される位置信号a5と出力する位置変換信号a7とは線形関係にあり、その関係の一例を図3(b)に示す。同図においても説明の簡明化のため、位置信号a5の代わりにキロ程を示す位置を図示したが、例えばGPS32によって検出された位置を表す電圧値が位置信号a5となる。同図において、位置変換信号a7は、位置(位置信号a5)が395mの場合には5V、410mの場合には2.5Vの信号となる。なお、本実施の形態において想定する位置の最小値及び最大値は、それぞれ395m及び410mとしている。
【0034】
このように、位置変換器42から出力される位置変換信号a7の信号レベルは常に2.5~5Vのレンジ(以下、「位置用レンジ」という。)に収まる。また、位置変換信号a7の信号レベルは位置に対する単調減少関数であるから、この位置用レンジ内に収まる位置変換信号a7の信号レベルに基づいて位置が一意に定まる。
【0035】
因みに本実施の形態の場合、アナログ信号のレンジ全体である0~5V(以下、「全信号レンジ」という。)のうち、2.5Vを閾値の信号レベル(以下、「閾値レベル」という。)として、閾値レベル未満のレンジを速度用レンジに、閾値レベルを超えるレンジを位置用レンジに、それぞれ設定している。
【0036】
従って、位置変換器42は、閾値レベル(2.5V)と位置の最大(410m)とを、また、全信号レンジ内の最大値(5V)と位置の最小(395m)とをそれぞれ対応付けるように信号の大小方向を反転させる変換を行い、位置信号a5を、閾値レベルを超えるレンジ内の信号レベルに変換するといえる。
【0037】
切替器43は、この切替器43に接続される速度変換器41及び位置変換器42のうちの何れか一方とADC44との間の導通(以下、それぞれ「速度側導通」及び「位置側導通」という。)を0.1秒の期間(以下、「切替期間」と呼ぶ。)毎に切替える。
【0038】
即ち、図4(a)に示すように、速度側導通と位置側導通とが5Hzの周波数(以下、「切替周波数」という。)で交互に行われ、速度変換信号a6と位置変換信号a7とが0.1秒づつ交互にADC44へ出力される。以下、この切替器43からADC44へ出力される信号を信号a8とする。
【0039】
ADC44は、切替器43から入力される信号a8を1kHzのサンプリング周波数でアナログ/デジタル変換し、速度位置データd4としてデータ収録部6へ出力する。
従って、図4(b)に示すように、切替器43が速度側導通を行う期間は速度変換信号a6が1kHzのサンプリング周波数でアナログ/デジタル変換され、位置側導通を行う期間は位置変換信号a7が1kHzのサンプリング周波数でアナログ/デジタル変換され、速度変換信号a6と位置変換信号a7とが時分割でアナログ/デジタル変換されて速度位置データd4として出力される。
【0040】
そして、速度位置変調部4(図1)から出力された速度位置データd4は、速度位置データ64としてデータ収録部6で収録される。
【0041】
また、加速度計測部2で計測されたx加速度、y加速度及びz加速度は、AD変換部5によりアナログ/デジタル変換され、それぞれx加速度データ61、y加速度データ62及びz加速度データ63として、データ収録部6で収録される。
【0042】
データ収録部6は、例えばハードディスク等の書換え可能な二次記憶装置を備えたコンピュータで構成される。データ収録部6は、x加速度データ61、y加速度データ62、z加速度データ63及び速度位置データ64を共通の時間軸(時間経過)に沿って随時収録していくことで時間推移記録を行う。
【0043】
解析出力部7は、速度位置データ64を復調する為の復調部71を備え、例えばコンピュータで構成される。
復調部71は、データ収録部6に収録された速度位置データ64を速度用レンジ(閾値レベル未満のレンジ)に属するデータ(以下、「閾値未満データ」という。)と、位置用レンジ(閾値レベルを超えるレンジ)に属するデータ(以下、「閾値超データ」という。)とに分離する。
【0044】
次いで復調部71は、図3(a)に示す関係に基づいて、閾値未満データから走行速度の値を求める。具体的には、閾値未満データの値を同図の縦軸に当てはめ、対応する速度(同図の横軸)を求めることにより走行速度を求める。同様に復調部71は、図3(b)に示す関係に基づいて、閾値超データから位置の値を求める。
【0045】
因みに、この解析出力部7や復調部71は、上述の手順を実現する回路であっても良いし、ソフトウェア的に実現することとしてもよい。例えば、データ収録部6に収録された速度位置データ64を、所定の表計算ソフトに読込み、この表計算ソフト上で閾値未満データと閾値超データとに分離し、それぞれに対して図3に示す関係から走行速度と位置とを求めるようにしてもよい。
【0046】
復調部71により走行速度と位置とが復調された後、解析出力部7は、復調された走行速度及び位置のデータに基づいて走行速度及び位置の時間的変化を表すグラフを作成する。この際、復調された走行速度と位置のデータは断続的な点であるため、各点間を線形補完等することにより連続する線としてグラフを作成する。また、解析出力部7は、データ収録部6に収録された加速度データ61,62,63に基づいて、加速度の時間的変化を表すグラフを作成する。
【0047】
次に、かかるデータ収録装置1において、速度及び位置が収録及び復調される様子について、図5を用いて説明する。
図5は、図8(b)に示した走行速度で走行した場合の計測データ等の時間的変化の一例を示す図である。
【0048】
速度発電機31から出力される速度信号a4は、まず速度変換器41により速度用レンジ内の速度変換信号a6へと変換される。また、GPS32から出力される位置信号a5は、まず速度変換器41により位置用レンジ内の位置変換信号a7へと変換される。この場合、速度信号a4は図3(a)、位置信号a5は図3(b)に示した関係に基づいてそれぞれ速度変換信号a6、位置変換信号a7へと変換される。
【0049】
次いで、速度変換信号a6と位置変換信号a7とは5Hzの切替周波数で交互にADC44へ出力され、ADC44によってアナログ/デジタル変換されて速度位置データd4として出力され、速度位置データ64としてデータ収録部6に収録される。
【0050】
かくして、図5(a)に示した計測データが速度位置データ64として収録される。同図においては、走行速度と位置とが、切替期間である0.1秒毎にそれぞれ速度用レンジ(レンジx42)と位置用レンジ(レンジx43)とに分けられて収録されている様子が現れている。
【0051】
この速度位置データ64が解析出力部7へ出力されると、復調部71により、次のようにして走行速度及び位置のデータへと復調される。
まず、速度位置データ64(図5(a))は、閾値未満データと閾値超データとに分けられる。次いで、閾値未満補完データは、図3(a)に示す関係に基づいて走行速度のデータへと復調され、閾値超補完データは、図3(b)に示す関係に基づいて位置のデータへと復調される。
【0052】
そして、復調部71において復調された走行速度のデータと位置のデータとから、解析出力部7が、例えば図5(b)に示すグラフを作成して表示出力等する。図5(b)は、2秒間における走行速度と位置の変化を拡大して示したグラフである。同図(b)において、切替期間による0.1秒毎の実データの無い部分が線形補完等で補完されていることが分かる。この図5(b)は微少時間(同図(b)は2秒間)に対する変化量を示すグラフであるため分かり難いかもしれないが、速度及び位置の計測データとしては、充分な精度である。
【0053】
また、解析出力部7は、図7を用いて説明した従来の解析出力部107と同様、加速度データ61,62,63から加速度にかかる時間変化のグラフを作成・表示出力するが、この加速度データ61,62,63は計測中、常時AD変換部5でAD変換されたデータであるため、データの欠落の無い図8(a)と同様のグラフが作成される。
【0054】
このように、本実施の形態のデータ収録装置1は、加速度という時間的密度の比較的高い物理量に対して、走行速度及び位置という時間的密度の比較的低い物理量を時分割で変調して収録することができる。また、時分割されるため、データの欠落が断続的に生じるが、時間的密度の低さのため、欠落部分に関して問題が生じることはない。
【0055】
また、走行速度及び位置を時分割で変調して速度位置データd4を生成・収録することにより、走行速度及び位置に係る計測データの処理系統が、速度位置変調部4以降、1つで済む。かくして、図7に示した従来のデータ収録装置101に比し、記録対象のデータ数減少に伴う処理速度の改善や、収録データの記録に要するメモリ容量の削減、各部を接続するケーブル数の減少といった、より効率的なデータ収録装置を実現できた。
【0056】
また、速度位置変調部4は、全信号レンジのうち、閾値レベルを超えるレンジを位置用レンジとし、閾値レベル未満のレンジを速度用レンジとした。これにより、復調部71は、収録されている速度位置データ64の値を閾値レベルと比較するだけで、その値に係る速度位置データが走行速度のデータか位置のデータかを判別できる。
【0057】
また、速度位置変調部4の位置変換器42は、位置の計測データについて、閾値レベルと位置の最大とを、全信号レンジ内の最大値と位置の最小とをそれぞれ対応付けるように大小方向を反転して変換することとした。これにより、図5(a)に示されるように、閾値レベル近傍にできる限りデータがない状態を作出することができ、このため、速度位置データ64に含まれるデータが、走行速度のデータなのか、位置のデータなのかをより確実に判別できる。
【0058】
なお、上述した実施の形態においては、速度発電機31を用いて走行速度を計測し、GPS32を用いて位置を計測するようにした場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、マーカ装置を用いて走行速度及び位置を計測するようにしても構わない。
【0059】
マーカ装置とは、試験員の記録操作に応じて時刻を記録していく装置であり、予め定められた線路標識の地点を通過した際に記録操作が為されることで、予め定められた地点の通過時刻が記録されていく装置である。このマーカ装置によれば、通過時刻と通過済の地点とから、鉄道車両の位置を判断することができる。また、通過した2地点の通過時刻の差と、当該2地点間の距離とから鉄道車両の走行速度を判断できる。
【0060】
また、上述した実施の形態においては、速度変換器41が信号の変換に用いる関係式を図3(a)に示す比例関係として説明したが、速度信号a4と速度変換信号a6との間で相互の値を一意に導き出すことができれば、他の関係式を用いてもよい。
【0061】
例えば、試験走行における鉄道車両の速度範囲の上限が明確に定められない場合、図6(a)に示すような関係式を用いてもよい。同図の場合、速度と信号レベルとの関係を表す曲線x5は、速度の正領域で、速度の上昇に伴って信号レベルが増加しながら閾値レベル(2.5V)へ漸近するように設定されている。
【0062】
同様に、位置変換器42が信号の変換に用いる関係式を図3(b)に示す関係式として説明したが、位置信号a5と位置変換信号a7との間で相互の値を一意に導き出すことができれば、他の関係式を用いてもよい。
【0063】
試験走行における鉄道車両の位置範囲が明確に定められない場合には、例えば図6(b)に示すような関係式を用いてもよい。同図の場合、位置と信号レベルとの関係を表す曲線x6は、位置の値が減少するに従って信号レベルが2.5Vの閾値レベルに漸近し、増加するに従って最大値(5V)に漸近するように設定されている。
【0064】
また、上述した実施の形態においては、本発明を鉄道車両の乗り心地データ収録装置に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、時間的密度の異なる物理量の計測データを収録する装置であれば、何れのデータ収録装置に適用することも可能である。
【0065】
第1の例として、風速、気圧及び気温を計測して計測データを収録する気候観測装置が挙げられる。この場合、気圧及び気温は風速に比し時間的密度が小さい。このため、上記実施の形態における走行速度及び位置の代わりに気圧及び気温とし、加速度の代わりに風速として各物理量を計測・収録することで、効率化を図った気候観測装置を実現できる。
【0066】
また、第2の例としては、風洞試験において風圧、風速及び騒音量を計測して計測データを収録する計測装置が挙げられる。この場合、風速及び騒音量は風圧に比し時間的密度が小さい。このため、上記実施の形態における走行速度及び位置の代わりに風速及び総音量とし、加速度の変わりに風圧として各物理量を計測・収録することで、効率化を図った計測装置を実現できる。
【0067】
また、第3の例としては、車両の車軸の回転速度と、第1及び第2の軸受の温度とを計測して計測データを収録する計測装置が挙げられる。この場合、軸受の温度は車軸の回転速度に比し時間的密度が小さい。このため、上記実施の形態における走行速度及び位置の代わりに第1及び第2の軸受の温度とし、加速度の代わりに車軸の回転速度として各物理量を計測・収録することで、効率化を図った計測装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施の形態のデータ収録装置の内部構成を示す図である。
【図2】速度位置変調部の内部構成を示すブロック図である。
【図3】速度変換器及び位置変換器による出力の信号レベルを示す図である。
【図4】速度位置変調部による変調の説明に供する図である。
【図5】データ収録装置による変調及び復調の動作の説明に供する図である。
【図6】他の実施の形態の速度変換器及び位置変換器による出力の信号レベルを示す図である。
【図7】従来のデータ収録装置の概略構成を示す図である。
【図8】従来の構成による計測データを示す図である。
【符号の説明】
【0069】
1 データ収録装置
21 加速度センサ
31 速度発電機
32 GPS
4 速度位置変調部
41 速度変換器
42 位置変換器
6 データ収録部
61 x加速度データ
62 y加速度データ
63 z加速度データ
64 速度位置データ
a4 速度信号
a5 位置信号
d4 速度位置データ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
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【図8】
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