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明細書 :鉄道車両用台車

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4388883号 (P4388883)
公開番号 特開2006-151310 (P2006-151310A)
登録日 平成21年10月9日(2009.10.9)
発行日 平成21年12月24日(2009.12.24)
公開日 平成18年6月15日(2006.6.15)
発明の名称または考案の名称 鉄道車両用台車
国際特許分類 B61F   3/00        (2006.01)
B61F   5/00        (2006.01)
FI B61F 3/00 B
B61F 5/00 Z
請求項の数または発明の数 4
全頁数 11
出願番号 特願2004-348194 (P2004-348194)
出願日 平成16年12月1日(2004.12.1)
審査請求日 平成19年4月11日(2007.4.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】宮本 岳史
【氏名】前橋 栄一
個別代理人の代理人 【識別番号】100100413、【弁理士】、【氏名又は名称】渡部 温
審査官 【審査官】西中村 健一
参考文献・文献 特開2004-209995(JP,A)
特開昭58-149850(JP,A)
特開昭49-103305(JP,A)
特開平03-176265(JP,A)
特開2004-009905(JP,A)
特開平06-183240(JP,A)
調査した分野 B61F 3/00
B61F 5/00、30
B61F 9/00
B60G 1/00-25/00
特許請求の範囲 【請求項1】
台車枠と、
鉄道車輪、車軸、軸受け及び軸箱を含む輪軸組立体と、
前記台車枠と前記各軸箱との間に介装された軸バネと、
を備える鉄道車両用台車であって、
前記台車枠と前記各軸バネの間、又は、前記各軸箱と前記各軸バネの間に各々設けられた油圧シリンダと、
これら各々の油圧シリンダの受圧室間を繋ぐ連通配管と、
をさらに備え
前記連通配管中に絞りが設けられており、
前記輪軸組立体が、前記台車枠の前後に一組ずつ設けられており、
前記油圧シリンダが、前後各輪軸組立体の左右に各々設けられており、
前記連通配管が、前後左右の各々の油圧シリンダの受圧室を連通するように繋がれていることを特徴とする鉄道車両用台車。
【請求項2】
前記連通配管中に、前記油圧シリンダの各受圧室間の各連通ルートを切り換え可能な切換手段が設けられていることを特徴とする請求項記載の鉄道車両用台車。
【請求項3】
前記絞りが可変絞りであり、
該可変絞りが、前記各油圧シリンダに対応して、前記連通配管中に各々設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の鉄道車両用台車。
【請求項4】
前記切換手段の切り換えと前記可変絞りの絞り量の可変とを行う遠隔操作バルブが、前記連通配管の各連通ルートの合流点に設けられていることを特徴とする請求項記載の鉄道車両用台車。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車体・荷重を支持してレール上を走行する鉄道車両用台車に関する。特には、輪重アンバランスを抑制することのできる鉄道車両用台車に関する。
【背景技術】
【0002】
まず、図8を参照して、一般的な鉄道車両の台車の曲線区間走行時の挙動について説明する。
図8(A)は一般的な鉄道車両が急な曲線区間を走行するときにおける台車と車輪の状態を模式的に示す平面図であり、図8(B)は出口側緩和曲線走行時の内外軌のレールと車輪との関係を模式的に示す側面図である。
図8(A)には、急な曲線区間(内軌RI・外軌RO)を矢印方向に走行する鉄道車両の台車111が模式的に示されている。ここに示す曲線区間は、入口側緩和曲線部C1と、円曲線部C2と、出口側緩和曲線部C3とからなる。台車111は、入口側緩和曲線部C1から円曲線部C2を経て出口側緩和曲線部C3へと走行する。
【0003】
ここで、緩和曲線においては、曲線出口に近づいて軌道の曲率半径が大きくなるに連れ、軌道のカント(内軌RIから外軌ROに向かう昇り傾斜)が小さくなるようになっており、軌道の捩れ(等価的な平面性の狂い)が存在する。そのため、台車111が出口側緩和曲線部C3を走行する際には、図8(B)に示すように、外軌RO側の先頭車輪115FLがレール頂面から浮き上がり、他の3つの車輪115FR、115RL、115RRのみがレールに接した3車輪支持の状態が起こり易い。このような3車輪支持は、車輪のレールへの乗り上がり脱線を誘発し易い。
【0004】
このような3車輪支持の状態を抑制する対策として、従来は、例えば非特許文献1に記載されているようなつり合い梁式のイコライザーを台車に設けることもあった。このつり合い梁式のイコライザーは、台車の前後の軸箱間に架け渡すように取り付けられ、イコライザーと台車枠との間にはコイルバネ(軸バネ)が介装される。このようなつり合い梁式のイコライザーを設けると、台車の前後の車軸に荷重を分担させ、各車輪をレール頂面に追随させることができるので、走行安定性を改善することができる。
【0005】

【非特許文献1】伊原一夫著、『鉄道車両メカニズム図鑑』、第4章「台車のメカニズム」、219ページ、図L、グランプリ出版刊
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、前述したつり合い梁式のイコライザーを設けると、台車のバネ下荷重(コイルバネ(軸バネ)の下側の荷重)が重くなる。バネ下荷重が重くなると、車両走行時の車体振動が増える傾向にあるため、乗り心地の悪化等を招くおそれがある。そのため、現在の国内鉄道車両では、つり合い梁式のイコライザーはほとんど用いられておらず、その代替手段が求められている。
【0007】
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであって、車両の出口側緩和曲線走行時における3車輪支持の状態等、輪重アンバランスを抑制することのできる鉄道車両用台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のベースとなる鉄道車両用台車は、台車枠と、 鉄道車輪、車軸、軸受け及び軸箱を含む輪軸組立体と、 前記台車枠と前記各軸箱との間に介装された軸バネと、を備える鉄道車両用台車であって、 前記台車枠と前記各軸バネの間、又は、前記各軸箱と前記各軸バネの間に各々設けられた油圧シリンダと、 これら各々の油圧シリンダの受圧室間を繋ぐ連通配管と、をさらに備えることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、輪重の大きい車輪に対応する油圧シリンダにおいては、他の車輪に対応する油圧シリンダよりも圧力が高くなるので、この油圧シリンダから流れ出た圧油が連通配管を介して他の油圧シリンダに流れ込み、各油圧シリンダの受圧室内の圧力が均一化される。例えば、台車の走行中に輪重抜けが生じて、ある車輪がレール頂面から浮き上がった際、油圧シリンダを台車枠と各軸バネの間に設けた場合には、この浮き上がった車輪に対応した油圧シリンダの受圧室内に圧油が流れ込み、軸バネが押し下げられる。一方、油圧シリンダを各軸箱と各軸バネの間に設けた場合には、油圧シリンダで軸箱が下に押される。そして、いずれの場合も車輪は下方向に押されるので、浮き上がった車輪の輪重抜けが補償される。
【0010】
さらに、油圧シリンダを台車枠と各軸バネの間に設けた場合は、油圧シリンダの重量がバネ下荷重とはならないので、車体振動の増加等を引き起こさずに済む。なお、油圧シリンダを各軸箱と各軸バネの間に設けた場合も、バネ下荷重の増加は油圧シリンダ分のみであるので、前述したつり合い梁式のイコライザー等を用いる場合に比べて、バネ下荷重の増加は微々たるものである。
【0011】
本発明の鉄道車両用台車においては、前記連通配管中に絞りが設けられていることができる。
この場合、絞りによって、各油圧シリンダの受圧室間差圧に応じて流れる圧油の高周波成分がカットされることとなる。そのため、例えばレール継ぎ目振動等により受圧室間で圧力差が生じた場合等は、各油圧シリンダの受圧室間で圧油の流れがほとんど起こらず、油圧シリンダが余分に動作することがない。
【0012】
本発明の鉄道車両用台車においては、前記輪軸組立体が、前記台車枠の前後に一組ずつ設けられており、 前記油圧シリンダが、各輪軸組立体の左右に設けられており、 前記連通配管が、前記油圧シリンダの各受圧室を各々連通するように繋がれているものとすることができる。
ここで、前後とは台車の走行するレールの長手方向(車両の進行方向前後)をいい、左右とは台車の幅方向左右をいう。
この場合、1台車中の4車輪のそれぞれについて、輪重抜けを補償することができる。
【0013】
本発明の鉄道車両用台車においては、前記連通配管中に、前記油圧シリンダの各受圧室間の各連通ルートを切り換え可能な切換手段が設けられていることができる。
実際の鉄道車両の台車においては、左右の輪重アンバランスが最も起こり易い。そこで、切換手段により適宜連通ルートを切り換えて、左右の連通状態のみを確保したとしても、充分な輪重抜け補償効果を得ることができる。
【0014】
本発明の鉄道車両用台車においては、前記絞りが可変絞りであり、 該可変絞りが、前記各油圧シリンダに対応して、前記連通配管中に各々設けられていることができる。
この場合、各油圧シリンダに繋がる連通配管の絞り量をそれぞれ変えることができるので、圧油の流れ量をコントロールし易くなる。
【0015】
本発明の鉄道車両用台車においては、前記切換手段の切り換えと前記可変絞りの絞り量の可変とを行う遠隔操作バルブが、前記連通配管の各連通ルートの合流点に設けられていることができる。
この場合、遠隔操作バルブを用いることで、以下のような車両走行状態に応じた輪重抜け補償を実現することができる。
【0016】
・エンジンモーター付きの動力台車を備える車両の加速時には、台車の前側が浮き上がり易く、台車の後側の輪重が増加し易い。そこで、この場合は、前後方向の連通ルートに切り換え、可変絞りの絞り量を弱めることで、台車の後側から前側へと圧油が流れ易くなり、台車前後の輪重アンバランスを素早く補償できる。
・車両の力行時や制動時には前後方向の連通ルートの絞り量を弱め、カント付き軌道走行時には左右方向の連通ルートの絞り量を弱めることで、前述と同様に輪重アンバランスを適切に補償できる。
・振子式車両等に適用される台車は、地点情報に基づき、直線軌道の走行時には左右方向の連通ルートの絞り量を強め、曲線軌道の走行時には左右方向の連通ルートの絞り量を弱める。これにより、出口側緩和曲線部走行時の外軌側先頭車輪の浮き上がり等を抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、輪重アンバランスを抑制することのできる鉄道車両用台車を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、本発明に係る鉄道車両用台車の基本構造として、ボルスタレス台車を用いた場合について述べる。
図1は、本発明の一実施の形態に係るボルスタレス台車を示す斜視図である。
図2(A)は本実施の形態に係る鉄道車両用台車の軸受け部分(台車枠、油圧シリンダ、軸バネ、軸箱)を示す模式図であり、図2(B)は同軸受け部分の他の形態を示す模式図である。
図3及び図4は、同鉄道車両用台車のバルブの制御動作を示すフローチャートである。
図5(A)は車両加速時の台車の挙動を示す模式図であり、図5(B)は輪重アンバランス補償後の台車の状態を示す模式図である。
なお、以下の説明において、前後、上下、左右は、特に断らない限り図1における矢印方向を指すものとする。
【符号の説明】
【0019】
図1に示すボルスタレス台車10は、台車枠11を備えている。この台車枠11の前後下部には、車輪13と車軸15からなる輪軸17が設けられている。車輪13(13FL・13FR、13RL・13RR)は、各車軸15の左右両側に圧入されて固定されている。各車輪13の外側において、車軸15の両端部には軸箱(軸受けを含む)21が外嵌されている。各軸箱21上には、各々軸バネ23(23FL、23FR、23RL、23RR)が設けられている。そして、各軸バネ23FL、23FR、23RL、23RRの上座と台車枠11の前後左右端部下面との間には、各々油圧シリンダ25FL、25FR、25RL、25RRが設けられている。
【0020】
図2(A)に示すように、各油圧シリンダ25は、シリンダ本体25a上端が台車枠11の下面に固定されるとともに、ピストンロッド25b下端が軸バネ23の上座に固定されている。なお、図2(B)に示すように、各油圧シリンダ25は、シリンダ本体25a上端を軸バネ23の下座に固定するとともに、ピストンロッド25b下端を軸箱21上端に固定し、各軸箱21と各軸バネ23との間に設けることもできる。図2(A)の場合は、油圧シリンダ25がバネ下荷重とはならないので、車体振動や軌道への衝撃振動を増加させずに済む利点がある。
【0021】
図1に示すように、各油圧シリンダ25FL、25FR、25RL、25RRの受圧室からは、各々連通配管27FL、27FR、27RL、27RRが延び出ている。これら連通配管27は台車枠11の中央部で合流しており、この合流点にはバルブ29が設けられている。このバルブ29は、各油圧シリンダ25の受圧室間の連通ルートを切り換える切換機能と、各連通配管27の絞り量を変える可変絞り機能とを兼ね備えている。バルブ29は、CPU30からの命令に基づく遠隔操作が可能である。このCPU30は、図3又は図4に示すフローチャートに基づき、バルブ29の切り換え・絞り量可変を制御する。
【0022】
ここで、CPU30によるバルブ29の制御フローについて説明する。
図3に示すように、まずステップS1で該当する台車がエンジンモーター付きの動力台車であるか否かが判定され、YESであればステップS2へと移行し、NOであればステップS4へと移行する。ステップS2では、車両が加速時であるか否かが判定され、YESの場合はステップS3へと移行し、NOの場合はステップS1へと戻る。
【0023】
ここで、図5(A)に示すように、エンジンモーター付きの動力台車を備える車両の加速時には、台車11の前側が浮き上がり易く、台車11の後側の車輪13RR(13RL)の輪重が増加して、油圧シリンダ25RR(25RL)の受圧室内の圧力が高くなり易い。これに対し、ステップS3では、バルブ29を前後方向の連通ルート(27FL⇔27RL、27FR⇔27RR)のみに切り換え、可変絞りの絞り量を弱めて前後方向に圧油を流れ易くする。すると、圧力の高い後側の油圧シリンダ25RR(25RL)の受圧室内から、圧力の低い前側の油圧シリンダ25FR(25FL)内へと圧油がより流れ易くなる。その結果、圧油の流れ込んだ油圧シリンダ25FR(25FL)で前側の軸バネ23FR(23FL)が押し下げられ、車輪13FR(13FL)が下方向に押されることとなるので、図5(B)に示すように、台車11前後の輪重アンバランスを素早く補償できる。
【0024】
ステップS2でNOと判定(つまり該当する台車がエンジンモーター付きの動力台車ではない)されてステップS4へと移行すると、ここでは車両が力行時又は制動時であるか否かが判定され、YESの場合はステップS3へと移行し、NOの場合はステップS5へと移行する。車両の力行時又は制動時には、図5(A)の場合とは逆に、台車11の前側の車輪13FR(13FL)の輪重が増加しやすい。この場合は、前述したステップS3の制御により、圧力の高い前側の油圧シリンダ25FR(25FL)の受圧室内から、圧力の低い後側の油圧シリンダ25RR(25RL)の受圧室内へと圧油がより流れ易くなる。その結果、圧油の流れ込んだ油圧シリンダ25RR(25RL)で後側の軸バネ23RR(23RL)が押し下げられ、車輪13RR(13RL)が下方向に押されることとなるので、図5(B)に示すように、台車11前後の輪重アンバランスを素早く補償できる。
【0025】
ステップS4でNOと判定されてステップS5へと移行すると、ここでは車両がカント付き軌道への進入時であるか否かが判定される。ステップS5でYESの場合(カント付き軌道への進入時である場合)はステップS6と移行し、前後方向の連通ルート(27FL⇔27RL、27FR⇔27RR)の絞り量を強め、左右方向の連通ルート(27FL⇔27FR、27RL⇔27RR)の絞り量を弱める。カント付き軌道の走行時には、左右の車輪の輪重アンバランスが生じやすいが、ステップS6の制御により、カント位置が低く輪重の大きい側の油圧シリンダの受圧室内から、カント位置が高く輪重の小さい側の油圧シリンダの受圧室内へと圧油が流れ易くなる。そのため、輪重の小さい側の車輪が下方向に押され、台車11左右の輪重アンバランスを素早く補償できる。そして、左右の輪重アンバランスを補償できることで、図8を用いて前述したような、軌道の捩れ(等価的な平面性の狂い)に伴う3車輪支持の状態等も抑制することができる。
【0026】
一方、ステップS5でNOの場合(通常の直線軌道の走行時等の場合)はステップS7へと移行し、前後左右の各連通ルートの絞り量を均一に強める。通常の直線軌道の走行時等、輪重アンバランスが起こり難い状況下では、強めの絞りによって各油圧シリンダ25間で流れる圧油の高周波成分がカットされる。そのため、レール継ぎ目振動等により各油圧シリンダ25の受圧室間で圧力差が生じた場合等には、各油圧シリンダ25の受圧室間で圧油の流れがほとんど起こらず、油圧シリンダ25が余分に動作することがない。
【0027】
さらに、いわゆる振子式車両等に適用される台車については、地点情報を用いることで、図4に示すような制御を行うこともできる。図4では、ステップS11で地点情報を取り入れ、ステップS12へと移行する。ステップS12では、地点情報に基づき、曲線軌道の進入時であるか否かが判定され、YESの場合(曲線軌道の場合)にはステップS13で前後方向の連通ルート(27FL⇔27RL、27FR⇔27RR)の絞り量を強め、左右方向の連通ルート(27FL⇔27FR、27RL⇔27RR)の絞り量を弱める。これにより、前述のステップS6(図3)における制御と同様に、台車11左右の輪重アンバランスを素早く補償でき、3車輪支持の状態等も抑制できる。一方、ステップS12でNOの場合(直線軌道の場合)は、ステップS14で前後左右の各連通ルートの絞り量を均一に強める。これにより、前述のステップS7(図3)におけるのと同様に、油圧シリンダ25の余分な動作を抑制できる。
【0028】
図1に戻って、台車枠11と各軸箱21との間には、軸箱支持装置31が設けられている。台車枠11の左右上部には、この例では空気バネからなる枕バネ33が設けられている。さらに、台車枠11の中央部において、両枕バネ33の間には、牽引装置(図示されず)が設けられている。ボルスタレス式台車10では、台車枠11上部の枕バネ33を介して直接車体が搭載され、車体荷重(車体自体の荷重及び車体内の積載荷重)は、左右の枕バネ33でそれぞれ約50%ずつ均等に受け止められる。そして、このようなボルスタレス式台車10では、左右の枕バネ33のねじれにより、台車回転を許容する構造となっている。
【0029】
次に、ダイレクトマウント式ボルスタ付台車の場合について述べる。
図6は、本発明の一実施の形態に係るダイレクトマウント式ボルスタ付台車の側面部を主に示す斜視図である。
図6に示すダイレクトマウント式ボルスタ付台車50は、図1のボルスタレス式台車10と同様の機能を有する台車枠51や輪軸57、軸箱61、軸バネ63、輪軸支持装置71、枕バネ73、牽引装置(図示されず)等を備えている。
【0030】
このダイレクトマウント式ボルスタ付台車50が前述のボルスタレス式台車10と比較して大きく異なる点は、台車枠51の前後方向中央部において、側受け(摺り板を含む)75が設けられており、枕バネ73が揺れ装置(図示されず)上に搭載されており、さらに台車枠51に対して車体を留めるボルスタアンカ79が設けられていることである。ボルスタアンカ79により、車体と揺れ装置は台車枠51に対して同期回動可能となる。このダイレクトマウント式ボルスタ付台車50では、側受け75の摩擦抵抗やボルスタアンカ79の復元ばね特性等で、車両の蛇行動・ローリングの安定化が図られる。
【0031】
この台車50においても、各軸箱61上の軸バネ63上座と台車枠51の前後左右端部下面との間に、各々油圧シリンダ65FL、65FR、65RL、65RRが設けられている。なお、この場合も前述した図2(B)のように軸箱61と軸バネ63の間に各油圧シリンダ65を配置することができる。各油圧シリンダ65FL、65FR、65RL、65RRの受圧室からは各々連通配管67FL、67FR、67RL、67RRが延び出ており、これら連通配管67の合流点にはバルブ69が設けられている。このバルブ69は、CPU70からの命令(図3及び図4参照)に基づく遠隔操作が可能である。これら油圧シリンダ65、連通配管67、バルブ69、CPU70は、前述したボルスタレス式台車10のものと同様の役割を果たす。
【0032】
次に、台車の軸箱がウイングバネ形式のものについて説明する。
図7は、本実施の形態に係るウイングバネ形式の軸箱付近の構成を示す側面図である。
図7に示すウイングバネ形式の軸箱91は、羽根状に張り出した一対のバネ座92′、92″を備えている。これらバネ座92′、92″は、軸箱91の下部から、図7中左右方向にそれぞれ張り出している。各バネ座92′、92″の上には各々軸バネ23′、23″が設けられており、各軸バネ23′、23″の上には各々油圧シリンダ25′、25″が設けられている。両油圧シリンダ25′、25″間は、配管27′で連通接続されている。油圧シリンダ25″には、さらに連通配管27が繋がっている。このように、ウイングバネ形式の軸箱91においては、各軸バネ23′、23″に対応して油圧シリンダ25′、25″を設け、これら両者間を配管27′で連通接続する。
【0033】
図6のダイレクトマウント式ボルスタ付台車50や、図7のウイングバネ形式の軸箱91を備える台車の場合も、前述のボルスタレス式台車10と同様に、各車輪53FL、53FR、53RL、53RRの輪重アンバランスを補償でき、3車輪支持の状態等を抑制できる。
【0034】
なお、通勤電車車両を例に採ると、車内が空の状態における車両の平均輪重は1輪当たり約4ton程度であり、満員状態における車両の平均輪重は1輪当たり約5.5ton程度である。そこで、通勤電車車両の台車に本発明を適用し、軸バネ23のバネ定数を一例で1000kgf/cmに設定すると、各油圧シリンダ25のストロークが1cmであっても1ton程度の輪重補償が可能となる。したがって、本発明は、実用的に相当程度有効であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施の形態に係るボルスタレス台車を示す斜視図である。
【図2】図2(A)は本実施の形態に係る鉄道車両用台車の軸受け部分(台車枠、油圧シリンダ、軸バネ、軸箱)を示す模式図であり、図2(B)は同軸受け部分の他の形態を示す模式図である。
【図3】同鉄道車両用台車のバルブの制御動作を示すフローチャートである。
【図4】同鉄道車両用台車のバルブの制御動作を示すフローチャートである。
【図5】図5(A)は車両加速時の台車の挙動を示す模式図であり、図5(B)は輪重アンバランス補償後の台車の状態を示す模式図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係るダイレクトマウント式ボルスタ付台車の側面部を主に示す斜視図である。
【図7】本実施の形態に係るウイングバネ形式の軸箱付近の構成を示す側面図である。
【図8】図8(A)は一般的な鉄道車両が急な曲線区間を走行するときにおける台車と車輪の状態を模式的に示す平面図であり、図8(B)は出口側緩和曲線走行時の内外軌のレールと車輪との関係を模式的に示す側面図である。
【0036】
10 ボルスタレス台車 11 台車枠
13(13FL・13FR、13RL・13RR) 車輪
15 車軸 17 輪軸
21 軸箱
23(23FL、23FR、23RL、23RR) 軸バネ
25(25FL、25FR、25RL、25RR) 油圧シリンダ
25a シリンダ本体 25b ピストンロッド
27(27FL、27FR、27RL、27RR) 連通配管
29 バルブ 30 CPU
50 ダイレクトマウント式ボルスタ付台車 51 台車枠
57 輪軸 61 軸箱
63 軸バネ
65(65FL、65FR、65RL、65RR) 油圧シリンダ
67(67FL、67FR、67RL、67RR) 連通配管
69 バルブ 70 CPU
91 (ウイングバネ形式の)軸箱 92′、92″ バネ座
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7