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明細書 :運転整理結果分析支援装置及びプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4768983号 (P4768983)
公開番号 特開2006-159998 (P2006-159998A)
登録日 平成23年6月24日(2011.6.24)
発行日 平成23年9月7日(2011.9.7)
公開日 平成18年6月22日(2006.6.22)
発明の名称または考案の名称 運転整理結果分析支援装置及びプログラム
国際特許分類 B61L  27/00        (2006.01)
FI B61L 27/00 H
請求項の数または発明の数 4
全頁数 14
出願番号 特願2004-351283 (P2004-351283)
出願日 平成16年12月3日(2004.12.3)
審査請求日 平成19年5月31日(2007.5.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000196587
【氏名又は名称】西日本旅客鉄道株式会社
発明者または考案者 【氏名】浦田 真一
【氏名】田代 善昭
【氏名】富井 規雄
【氏名】中村 達也
【氏名】中根 秀起
【氏名】古家 伸和
【氏名】山下 智
個別代理人の代理人 【識別番号】100090033、【弁理士】、【氏名又は名称】荒船 博司
【識別番号】100093045、【弁理士】、【氏名又は名称】荒船 良男
審査官 【審査官】柏崎 茂美
参考文献・文献 特開平06-127391(JP,A)
特開2000-052992(JP,A)
特開平06-072333(JP,A)
特開平08-230674(JP,A)
特開2004-230958(JP,A)
特開平07-285440(JP,A)
特開2004-224113(JP,A)
特開2003-170831(JP,A)
特開平10-250581(JP,A)
特開平9-156507(JP,A)
調査した分野 B61L 27/00
特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも各列車の各駅における予定された着発時刻のデータを有する計画ダイヤを記憶する計画ダイヤ記憶手段と、
前記計画ダイヤ記憶手段に記憶された計画ダイヤに対して行われた運転整理に従って実際に列車を運行させた実績ダイヤを記憶する実績ダイヤ記憶手段と、
前記実績ダイヤ記憶手段に記憶された実績ダイヤに含まれる各駅における各列車の着発順序を保ちつつ、当該実績ダイヤに含まれる各列車の発着時刻を、所定の列車運行条件を守るように変更・修正して最適なダイヤに変更するシミュレーション処理を行って、前記実績ダイヤと同一時間帯の運行情報が表わされる予測ダイヤを作成する予測ダイヤ作成手段と、
前記計画ダイヤ記憶手段に記憶された計画ダイヤ、前記実績ダイヤ記憶手段に記憶された実績ダイヤ、及び前記予測ダイヤ作成手段により作成された予測ダイヤのうち、オペレータ操作に従って指定された2以上のダイヤに含まれる各列車の列車スジを同一のダイヤ図上に重畳表示する制御を行うダイヤ図重畳表示制御手段と、
を備え
前記ダイヤ図重畳表示制御手段により、互いに時間帯の重なる前記実績ダイヤの列車スジおよび前記予測ダイヤの列車スジが重畳表示可能にされていることを特徴とする運転整理結果分析支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転整理結果分析支援装置であって、
各駅ごとに、列車が発着可能な番線を示した番線情報、上り・下りのそれぞれの列車に対する発着可能な番線を示した進入・進出ルート情報、当該駅の所定の番線で列車が発着してから別の所定の番線で列車が発着するまでに必要とされる時間間隔を表わす運転間隔時間を示した列車運転間隔情報、および、当該駅と次の駅との間を列車が走行するのにかかる時間を列車種別毎に示した駅間走行時分情報が、それぞれ登録された線路データを記憶する記憶手段を備え、
前記予測ダイヤ作成手段は、前記所定の列車運行条件として、前記線路データに登録されている各駅の前記番線情報、前記進入・進出ルート情報、前記列車運転間隔情報、および、前記駅間走行時分情報の各条件を適用して前記シミュレーション処理を行うことを特徴とする運転整理結果分析支援装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の運転整理結果分析支援装置であって、
前記予測ダイヤ作成手段は、前記実績ダイヤに含まれる各列車の各駅の着発時刻が、前記計画ダイヤ記憶手段に記憶された計画ダイヤに含まれる対応する列車の対応する駅の着発時刻前にならないことを条件に加えて前記シミュレーション処理を行って予測ダイヤを作成することを特徴とする運転整理結果分析支援装置。
【請求項4】
コンピュータを、
少なくとも各列車の各駅における予定された着発時刻のデータを有する計画ダイヤを記憶する計画ダイヤ記憶手段、
前記計画ダイヤ記憶手段に記憶された計画ダイヤに対して行われた運転整理に従って実際に列車を運行させた実績ダイヤを記憶する実績ダイヤ記憶手段、
前記実績ダイヤ記憶手段に記憶された実績ダイヤに含まれる各駅における各列車の着発順序を保ちつつ、当該実績ダイヤに含まれる各列車の発着時刻を、所定の列車運行条件を守るように変更・修正して最適なダイヤに変更するシミュレーション処理を行って、前記実績ダイヤと同一時間帯の運行情報が表わされる予測ダイヤを作成する予測ダイヤ作成手段、
前記計画ダイヤ記憶手段に記憶された計画ダイヤ、前記実績ダイヤ記憶手段に記憶された実績ダイヤ、及び前記予測ダイヤ作成手段により作成された予測ダイヤのうち、オペレータ操作に従って指定された2以上のダイヤに含まれる各列車の列車スジを同一のダイヤ図上に重畳表示する制御を行うダイヤ図重畳表示制御手段、
として機能させ
前記ダイヤ図重畳表示制御手段により、互いに時間帯の重なる前記実績ダイヤの列車スジおよび前記予測ダイヤの列車スジが重畳表示可能にされていることを特徴とするプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、計画ダイヤに対して行われた運転整理に従って列車を運行させた際の実績ダイヤの分析を支援するための運転整理結果分析支援装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
列車の運転整理とは、例えば、事故や故障、天災等により列車ダイヤが乱れたときに、安全な運行を遂行するために列車ダイヤを変更することを言い、運転整理されたダイヤを運転整理案と言う。近年、運転整理案の作成を支援する運転整理支援システムが用いられるようになり、それに伴って、よりよい運転整理案を作成するための運転整理支援システムの研究が行われている。例えば、特許文献1に開示されているように、運転整理案の評価尺度として利用者の不満を用いることにより、利用者の不満を最小にする運転整理案を自動的に作成する技術が知られている。

【特許文献1】特開2004-224113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、作成された運転整理案に基づいて運転整理を実施する段階において「予期せぬ事象」が生じ、運転整理案に従った運転整理が実施できず列車遅延が発生する場合がある。この場合、作成された運転整理案を変更する必要があり、指令員や駅社員等の混乱を招いていた。
【0004】
ここで「予期せぬ事象」及びその発生のために生じる列車遅延とは、例えば(1)乗務員に対する運転方法変更の内容の通告に時間がかかったことにより発生する乗務員通告遅れ、(2)ある列車の進路制御を行う際に、該列車の進路を妨げる別の列車の遅延を把握していなかったために発生する列車制御遅れ、(3)無線が使用中であったために、乗務員に対して運転整理の内容を連絡できなかったことにより発生する乗務員連絡遅れ、(4)先行列車が運転休止又は遅延したために乗降客が増加したことによって発生する乗降時間の増加、(5)先行列車の乗降時間が増加したのでホームの空き待ちをするために駅間で一旦停止したことによる遅れ、(6)雨量が規制値を超えたことにより安全確保のために行う徐行運転による遅れ、等様々なものが挙げられる。そしてこれらの「予期せぬ事象」により引き起こされた列車遅延によって、列車遅延が連鎖的に拡大していた。
【0005】
また、このような「予期せぬ事象」の中には、運転整理支援システムの周囲に存在する各種システムの機能を充実させることによって回避できる事象がある。例えば、(1)の乗務員通告遅れや(3)の乗務員連絡遅れ等の場合、指令員から乗務員へ必要な伝達内容が即座に伝達される伝達システムが確立されれば、(1)や(3)によって引き起こされる列車遅延を回避することができる。そのためには、運転整理案がどのような「予期せぬ事象」の発生により変更されたのかを分析する必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した「予期せぬ事象」の分析を支援することのできる運転整理結果分析支援装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上で説明した課題を解決するための第1の発明は、少なくとも各列車の各駅における予定された着発時刻のデータを有する計画ダイヤを記憶する計画ダイヤ記憶手段(例えば、図1の計画ダイヤ51)と、前記計画ダイヤ記憶手段に記憶された計画ダイヤに対して行われた運転整理に従って実際に列車を運行させた実績ダイヤを記憶する実績ダイヤ記憶手段(例えば、図1の実績ダイヤ52)と、前記実績ダイヤ記憶手段に記憶された実績ダイヤに含まれる各駅における各列車の着発順序を保ちつつ、当該実績ダイヤに含まれる各列車の発着時刻を、所定の列車運行条件を守るように変更・修正して最適なダイヤに変更するシミュレーション処理を行って、前記実績ダイヤと同一時間帯の運行情報が表わされる予測ダイヤを作成する予測ダイヤ作成手段(例えば、図1の予測ダイヤ作成部12)と、前記計画ダイヤ記憶手段に記憶された計画ダイヤ、前記実績ダイヤ記憶手段に記憶された実績ダイヤ、及び前記予測ダイヤ作成手段により作成された予測ダイヤのうち、オペレータ操作に従って指定された2以上のダイヤに含まれる各列車の列車スジを同一のダイヤ図上に重畳表示する制御を行うダイヤ図重畳表示制御手段(例えば、図1のダイヤ図重畳表示制御部13)とを備え、前記ダイヤ図重畳表示制御手段により互いに時間帯の重なる前記実績ダイヤの列車スジおよび前記予測ダイヤの列車スジが重畳表示可能にされていることを特徴とする運転整理結果分析支援装置である。
【0008】
また、第4の発明は、コンピュータを、少なくとも各列車の各駅における予定された着発時刻のデータを有する計画ダイヤを記憶する計画ダイヤ記憶手段(例えば、図1の計画ダイヤ51)、前記計画ダイヤ記憶手段に記憶された計画ダイヤに対して行われた運転整理に従って実際に列車を運行させた実績ダイヤを記憶する実績ダイヤ記憶手段(例えば、図1の実績ダイヤ52)、前記実績ダイヤ記憶手段に記憶された実績ダイヤに含まれる各駅における各列車の着発順序を保ちつつ、当該実績ダイヤに含まれる各列車の発着時刻を、所定の列車運行条件を守るように変更・修正して最適なダイヤに変更するシミュレーション処理を行って、前記実績ダイヤと同一時間帯の運行情報が表わされる予測ダイヤを作成する予測ダイヤ作成手段(例えば、図1の予測ダイヤ作成部12)、前記計画ダイヤ記憶手段に記憶された計画ダイヤ、前記実績ダイヤ記憶手段に記憶された実績ダイヤ、及び前記予測ダイヤ作成手段により作成された予測ダイヤのうち、オペレータ操作に従って指定された2以上のダイヤに含まれる各列車の列車スジを同一のダイヤ図上に重畳表示する制御を行うダイヤ図重畳表示制御手段(例えば、図1のダイヤ図重畳表示制御部13)、として機能させ、前記ダイヤ図重畳表示制御手段により互いに時間帯の重なる前記実績ダイヤの列車スジおよび前記予測ダイヤの列車スジが重畳表示可能にされていることを特徴とするプログラムである。
【0009】
この第1及び第4の発明によれば、実績ダイヤ記憶手段に記憶された実績ダイヤを用いてシミュレーション処理がなされることにより、実績ダイヤが所定の列車運行条件に従って合理化されて変更された予測ダイヤを作成することができる。そして、計画ダイヤ、実績ダイヤ、予測ダイヤのうち、オペレータによって指定された2以上のダイヤに含まれる各列車の列車スジを同一のダイヤ図上に重ねて表示させることにより、「予期せぬ事象」によって遅延した列車が何れであるか等の判別を支援することができる。
また、シミュレーション処理は列車ダイヤを合理化するものであるため、列車の着発順序についても所定の列車運行条件に従って最適な着発順序に変更されてしまう可能性がある。そこでこれらの発明のように、実績ダイヤに含まれる各駅における各列車の着発順序を保つようにシミュレーション処理が行われることによって、実績ダイヤの列車順序に則した予測ダイヤを作成することができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明の運転整理結果分析支援装置であって、各駅ごとに、列車が発着可能な番線を示した番線情報、上り・下りのそれぞれの列車に対する発着可能な番線を示した進入・進出ルート情報、当該駅の所定の番線で列車が発着してから別の所定の番線で列車が発着するまでに必要とされる時間間隔を表わす運転間隔時間を示した列車運転間隔情報、および、当該駅と次の駅との間を列車が走行するのにかかる時間を列車種別毎に示した駅間走行時分情報が、それぞれ登録された線路データを記憶する記憶手段を備え、前記予測ダイヤ作成手段は、前記所定の列車運行条件として、前記線路データに登録されている各駅の前記番線情報、前記進入・進出ルート情報、前記列車運転間隔情報、および、前記駅間走行時分情報の各条件を適用して前記シミュレーション処理を行うことを特徴とする運転整理結果分析支援装置である。
【0012】
第3の発明は、第1又は第2の発明の運転整理結果分析支援装置であって、前記予測ダイヤ作成手段は、前記実績ダイヤに含まれる各列車の各駅の着発時刻が、前記計画ダイヤ記憶手段に記憶された計画ダイヤに含まれる対応する列車の対応する駅の着発時刻前にならないことを条件に加えて前記シミュレーション処理を行って予測ダイヤを作成することを特徴とする運転整理結果分析支援装置である。
【0013】
この第3の発明によれば、実績ダイヤに含まれる各駅における各列車の着発時刻が、計画ダイヤに含まれる対応する列車の対応する駅の着発時刻前にならないようにシミュレーション処理が行われることによって、計画ダイヤの着発時刻に則した予測ダイヤを作成することができる。
【発明の効果】
【0014】
実績ダイヤ記憶手段に記憶された実績ダイヤを用いてシミュレーション処理がなされることにより、実績ダイヤが所定の列車運行条件に従って合理化されて変更された予測ダイヤを作成することができる。そして、計画ダイヤ、実績ダイヤ、予測ダイヤのうち、オペレータによって指定された2以上のダイヤに含まれる各列車の列車スジを同一のダイヤ図上に重ねて表示させることにより、「予期せぬ事象」によって遅延した列車が何れであるかの判別を支援することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。図1は、運転整理結果分析支援装置100の機能構成を示すブロック図である。運転整理結果分析支援装置100は、処理部1と、入力部2と、表示部3と、通信部4と、記憶部5と、によって構成される。
【0016】
処理部1は、運転整理結果分析支援装置100全体の制御を行い、例えばCPU等の演算装置やICメモリ等の記憶装置、その制御プログラム等によって実現される。また処理部1は、実績ダイヤ作成部11と、予測ダイヤ作成部12と、ダイヤ図重畳表示制御部13と、を含む。
【0017】
実績ダイヤ作成部11は、記憶部5に記憶された実績ダイヤ作成プログラム561に従って、計画ダイヤ51に対して実績ダイヤ52の不足している列車の着発に関するデータを補完し、実績ダイヤ52を更新する処理を行う。
【0018】
予測ダイヤ作成部12は、記憶部5に記憶された予測ダイヤ作成プログラム562に従ってシミュレーション処理を行い、計画ダイヤ51及び線路データ53に基づいて実績ダイヤ作成部11によって作成された実績ダイヤ52を変更して予測ダイヤ54を作成する。
【0019】
この予測ダイヤ作成部12によって実行されるシミュレーション処理は公知のシミュレーション処理を利用したものである。シミュレーション処理とは、線路データ53を含む所定の列車運行条件を最低限守るように、ダイヤに含まれる列車の着発順序や着発時刻等を変更・修正して、最適なダイヤに変更する処理である。
【0020】
しかしながら、実績ダイヤ52に対してシミュレーション処理を行って予測ダイヤ54を作成するわけだが、実績ダイヤ52の列車順序と予測ダイヤ54の対応する列車順序とが異なると、実績ダイヤ52と予測ダイヤ54とを比較することによって列車遅延の原因となった箇所を分析することが困難となる。そこで実績ダイヤ52に含まれる各駅における各列車の着発順序を保つようにシミュレーション処理が行われる。これにより、実績ダイヤ52の列車順序に則した予測ダイヤ54を作成することができる。更に、実績ダイヤ52の各列車の各駅における発時刻が計画ダイヤ51に含まれる対応する列車の対応する駅の発時刻前にならないようにシミュレーション処理が行われる。これにより、計画ダイヤ51の発時刻に則した予測ダイヤ54を作成することができる。
【0021】
ダイヤ図重畳表示制御部13は、記憶部5に記憶されたダイヤ図重畳表示制御プログラム563に従って、計画ダイヤ51、実績ダイヤ52、予測ダイヤ54の内、オペレータによって指定されたダイヤに含まれる各列車の列車スジを同一のダイヤ図上に重ねて表示部3に表示させる処理を行う。
【0022】
入力部2は、オペレータによる操作指示を受け付け、なされた操作に応じた操作信号を処理部1に出力する。入力部2は、例えばボタンスイッチやレバー、ダイヤル、マウス、キーボード、各種センサ、タッチパネル等によって実現される。
【0023】
表示部3は、処理部1からの表示制御信号に従って、各種表示画面を表示する。表示部3は、例えばCRT、ELD、PDP等によって実現される。
【0024】
通信部4は、処理部1からの通信制御信号に従って所定の通信回線に接続し、外部装置とのデータ通信を行う。通信部4は、例えば無線通信モジュール、モデム、TA等によって実現される。
【0025】
記憶部5は、処理部1に運転整理結果分析支援装置100を統合的に制御させるためのプログラムやデータ等を記憶する。具体的には、計画ダイヤ51と、実績ダイヤ52と、線路データ53と、予測ダイヤ54と、実績ダイヤ作成プログラム561、予測ダイヤ作成プログラム562、ダイヤ図重畳表示制御プログラム563を含む運転整理結果分析支援プログラム56と、を記憶する。
【0026】
図2は計画ダイヤ51のデータ構成の一例を示す図である。図2に示すように、計画ダイヤ51には列車番号に対応付けて、当該列車番号の列車が着発する着発駅毎に当該列車の予定された着発時刻が記憶される。
【0027】
図3は実績ダイヤ52のデータ構成の一例を示す図である。実績ダイヤ52には計画ダイヤ51に対して行われた運転整理に基づいて列車が走行された時の各駅における列車の着発時刻(以下「実績着発時刻」と言う)が列車番号に対応付けて記憶される。
【0028】
実績ダイヤ52の実績着発時刻は、線区毎に設置されるPRC(Programmed Route Control)システムを経由して取得される。従ってPRCシステムが設置されていない線区においては、実績着発時刻を得ることができない。例えば、図2に示す計画ダイヤ51にはA駅、B駅、C駅、D駅、・・における各列車の着発時刻が記憶されているが、B駅を含む線区にPRCシステムが設置されていない場合、B駅における実績着発時刻を取得することができないため、図3に示すように、実績ダイヤ52にはB駅に対する各列車の実績着発時刻は記憶されない。
【0029】
そこで、実績ダイヤ作成部11によって実績ダイヤ作成プログラム561に従って実績ダイヤ作成処理が実行されることにより、実績ダイヤ52の列車の着発に関するデータの不足箇所を検出し、当該不足箇所に例えば列車の着発時刻等のデータが補完されて実績ダイヤ52が更新される。実績ダイヤ作成プログラム561の処理の詳しい流れについては後述する。
【0030】
図4は線路データ53のデータ構成の一例を示す図である。線路データ53は、各駅の設備条件や各駅における列車運行条件等を記憶したデータであり、図4に示すように、発着可能な番線531と、当該駅への列車の進入・進出ルート532と、列車運転間隔533と、駅間走行時分534と、が各駅毎に記憶される。
【0031】
各項目について具体的に説明する。531には当該駅において列車が発着可能な番線が記憶される。532には当該駅に発着する上り・下りのそれぞれの列車に対して発着可能な番線が記憶される。
【0032】
533には、当該駅を発着する列車の運転間隔時間が記憶される。例えば、「下り列車1番線到着後、下り列車2番線発車は1分30秒」と記憶されている場合、当該駅において下り列車が1番線に入線した後、別の下り列車が2番線から発車するまで1分30秒以上の間隔をあけなければならないことを示す。534には、当該駅と次駅との間を列車が走行するのにかかる時間が列車種別毎に記憶される。
【0033】
予測ダイヤ54には、予測ダイヤ作成部12によって作成された予測ダイヤが格納される。
【0034】
次に、本実施形態における処理の流れを説明する。図5は、運転整理結果分析支援処理の流れを示すフローチャートである。この処理は処理部1が運転整理結果分析支援プログラム56を実行することで実現される。
【0035】
まず、処理部1は実績ダイヤ作成処理を実行する(ステップA1)。図6は、実績ダイヤ作成処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、実績ダイヤ作成部11が実績ダイヤ作成プログラム561を実行することで実現される。
【0036】
まず、実績ダイヤ作成部11は記憶部5から実績ダイヤ52を読み出し(ステップB1)、読み出した実績ダイヤ52から列車の着発に関するデータの不足箇所を検出する(ステップB2)。そして、当該不足箇所に対して計画ダイヤ51や前後の駅の実績着発時刻等を考慮して着発時刻等のデータが補完され、実績ダイヤ52が更新される(ステップB3)。そして実績ダイヤ作成部11は実績ダイヤ作成処理を終了する。
【0037】
図5に戻り、処理部1は予測ダイヤ作成処理を実行する(ステップA2)。図7は、予測ダイヤ作成処理の流れを示すフローチャートである。この処理は予測ダイヤ作成部12が予測ダイヤ作成プログラム562を実行することによって実現される。まず予測ダイヤ作成部12は、実績ダイヤ52に基づいて駅間・番線の使用順序を決定し(ステップC1)、実績ダイヤ52に記憶された駅毎及び各列車毎にループAを実行する(ステップC2)。そして、予測ダイヤ作成部12は線路データ53に記憶された各駅の設備条件や列車運行条件が満足されるようにシミュレーションを行って着発時刻である予測時刻を計算し、記憶部5の予測ダイヤ54に格納する(ステップC3)。
【0038】
続いて、予測ダイヤ作成部12は、計算した予測時刻と計画ダイヤ51の対応する着発時刻を比較する(ステップC4)。計算した予測時刻が計画ダイヤ51の対応する着発時刻より前になっている場合(ステップC4;計画時刻>予測時刻)、予測ダイヤ作成部12は予測時刻を計画ダイヤ51の対応する着発時刻にし、予測ダイヤ54の対応する時刻を置き換えて記憶して(ステップC5)、ステップC3に戻る。予測時刻が計画ダイヤ51の対応する着発時刻以降である場合(ステップC4;計画時刻≦予測時刻)、ステップC6に進む。そしてループAが終了すると(ステップC6)、予測ダイヤ作成部12は予測ダイヤ作成処理を終了する。
【0039】
図5に戻り、処理部1はダイヤ図重畳表示制御処理を実行する(ステップA3)。図8はダイヤ図重畳表示制御処理の流れを示すフローチャートである。この処理はダイヤ図重畳表示制御部13がダイヤ図重畳表示制御プログラム563を実行することによって実現される。まずオペレータは、計画ダイヤ、実績ダイヤ、予測ダイヤの内、表示部3に重ねて表示させるダイヤを指定する(ステップD1)。計画ダイヤと実績ダイヤが指定された場合、ダイヤ図重畳表示制御部13は計画ダイヤ51と実績ダイヤ52に基づいて、2つのダイヤに含まれる各列車の列車スジを同一のダイヤ図上に重ねて表示部3に表示する(ステップD2)。
【0040】
計画ダイヤと予測ダイヤが指定された場合、ダイヤ図重畳表示制御部13は計画ダイヤ51と予測ダイヤ54に基づいて、2つのダイヤに含まれる各列車の列車スジを同一のダイヤ図上に重ねて表示部3に表示する(ステップD3)。実績ダイヤと予測ダイヤが指定された場合、ダイヤ図重畳表示制御部13は実績ダイヤ52と予測ダイヤ54に基づいて、2つのダイヤに含まれる各列車の列車スジを同一のダイヤ図上に重ねて表示部3に表示する(ステップD4)。ステップD2~D4の何れかのステップが終了すると、ダイヤ図重畳表示制御部13はダイヤ図重畳表示制御処理を終了する。図5に戻り、ダイヤ図重畳表示制御処理が終了すると処理部1は運転整理結果分析支援処理を終了する。
【0041】
図9は、計画ダイヤ51、実績ダイヤ52及び予測ダイヤ54のダイヤ内容を図式化したダイヤ図である。各図において、横軸を時刻、縦軸をA駅~D駅としている。更に列車の運行を表す「列車スジ」が傾斜線で示されている。各列車スジには対応する列車番号が表記される。
【0042】
図9(a)は計画ダイヤ51に記憶されたダイヤに含まれる列車番号Xの列車(「列車X」とする)、列車番号Yの列車(「列車Y」とする)、列車番号Zの列車(「列車Z」とする)の列車スジを表している。図9(a)によると、列車XはA駅を6:00に発車し、B駅に6:05に到着する。その後、列車XはB駅にて列車Yの通過待ちをするために2分間停車し、6:07にB駅を発車する。そして列車XはC駅に6:13に到着して、列車Zの通過待ちをするために2分間停車し、C駅を6:15に発車してD駅に6:20に到着する。
【0043】
また、列車YはA駅を6:04に発車して、D駅に6:10に到着する。列車ZはA駅を6:10に発車して、D駅に6:16に到着する。
【0044】
図9(b)は、計画ダイヤ(細線)と、A駅にて列車Xが1分遅延し、列車Y及び列車Zが2分遅延した場合の実績ダイヤ(太線)を表している。列車XはA駅を1分遅れの6:02に発車し、B駅に6:06に到着している。そしてB駅で列車Yの通過待ちをするために停車する。列車Yは2分遅れでB駅を通過するが、例えば指令員から列車Xの乗務員に対して運転整理案の連絡が遅れた等の「予期せぬ事象」による理由で列車Xの運転手は列車YのB駅通過後、4分間B駅に停車し、6:12にB駅を発車した。
【0045】
そして、計画ダイヤに対してA駅を2分遅れで発車した列車Zは、B駅を過ぎて前を走る列車Xに接近したため、列車速度を落として運行した。一方、列車XはC駅に6:18に到着し、列車Zの通過待ちをするために2分間停車した。列車Zは6:19にC駅を通過し、その後は通常の列車速度にて走行して、D駅に6:21に到着した。
【0046】
ここで注目すべき点は、列車XがB駅において6分間停車したために、列車XのB駅発車時刻が遅れ、更にB駅~C駅間において前を走行する列車Xに列車Zが接近したために、列車Zは列車速度を落として走行したことである。つまり、列車YがB駅を通過後に列車Xが不必要に4分間停車していたために、列車XのB駅発車が遅れ、更に列車ZのC駅通過も遅れてしまった。従って、列車ZはA駅を計画ダイヤに対して2分遅れで発車したにもかかわらず、D駅には5分遅れて到着した。
【0047】
そこで、実績ダイヤ(細線)に対して行われた予測ダイヤ作成処理によって得られた予測ダイヤ(太線)の一例を図9(c)に示す。図9(c)の予測ダイヤによると、列車XはA駅を計画ダイヤに対して1分遅れの6:01に発車し、B駅に6:06に到着する。列車XはB駅において列車Yの通過待ちをするために停車するが、図4に示す線路データ53のB駅の列車運行条件「下り列車1番線通過後、下り列車2番線発車まで1分」という条件に従って、列車YがB駅を通過した1分後の6:09に列車XはB駅を発車する。
【0048】
そして列車XはC駅に6:15に到着して列車Zの通過待ちをする。列車Zは計画ダイヤに対して2分遅れの6:12にA駅を発車するが、B駅~C駅間で前を走る列車Xに接近することなく通常の走行速度で走行し、6:16にC駅を通過する。そして6:18にD駅に到着する。
【0049】
つまり、図9(b)に示す実績ダイヤによると列車Xは列車YがB駅を通過して4分後にB駅を発車したが、図9(c)に示す運転整理結果分析支援処理によって得られた予測ダイヤによると、列車Xは列車YがB駅を通過して1分後にB駅を発車することが可能であったことを示している。従って、列車Xは列車YがB駅を通過して1分後の6:09にB駅を発車することにより、A駅を6:12に発車した列車Zは前を走る列車Xに接近することなく通常の走行速度のまま駅Cを通過し、予定された駅間走行時間でD駅に到着することができる。
【0050】
また、図9(b)に示すダイヤ図から実際に列車を運行させた時に発生した計画ダイヤ51に対する遅延箇所・遅延時間を知ることはできるが、これらの遅延には「予期せぬ事象」による遅延及び当該遅延を基因として連鎖的に拡大した遅延が混在する。このためダイヤ図上から遅延の原因となった「予期せぬ事象」を抽出することは困難である。しかし、図9(c)に示したダイヤ図は、実績ダイヤ52と、実績ダイヤ52が所定の列車運行条件を守るように合理化されて作成された予測ダイヤ54とが重ねて表示されたダイヤ図であるため、連鎖的に拡大した遅延が取り除かれ、どの列車のどの時点で「予期せぬ事象」が発生したかを判別することができる。
【0051】
このように、計画ダイヤ51と実績ダイヤ52に基づいて、線路データ53の列車運行条件を満足するような予測ダイヤ54を作成し、作成された予測ダイヤ54、計画ダイヤ51、実績ダイヤ52を比較することにより、「予期せぬ事象」によって引き起こされた列車の遅延を抽出することができる。そして抽出結果を分析して、運転整理支援システムの周囲に存在する各種システムに反映させることにより、よりよい運転整理案を作成することができる。
【0052】
例えば、図9で説明した一例は、列車Xの乗務員に対する運転整理案の連絡遅れによって列車X及び列車ZのB駅より後の駅における到着時刻に遅延が生じたということが復旧の検証で明らかになったとする。この場合、運転整理案を含む必要な伝達事項を指令員から各列車の乗務員に対して即座に伝達される伝達システムを確立させることによって、図9で説明したような列車遅延を回避することができるようになると考えられる。
【0053】
図10~図12は運転整理結果分析支援装置100の表示部3に表示される各列車ダイヤの一例である。具体的には、図10は計画ダイヤ51と実績ダイヤ52(図8に示すダイヤ図重畳表示制御処理のステップD2での表示内容に相当)、図11は計画ダイヤ51と予測ダイヤ54(図8に示すダイヤ図重畳表示制御処理のステップD3での表示内容に相当)、図12は実績ダイヤ52と予測ダイヤ54(図8に示すダイヤ図重畳表示制御処理のステップD4での表示内容に相当)に含まれる各列車の列車スジを同一のダイヤ図上に重ねて表示させたものである。各図において、横軸を時刻、縦軸を駅としている。
【0054】
図10において、列車番号4045Mの列車の計画ダイヤに対応する列車スジをT1、実績ダイヤに対応する列車スジをT2とする。計画ダイヤによると、列車番号4045Mの列車の駅S1における停車時間は約1分である。しかし、計画ダイヤに対して行われた運転整理に従って実際に列車運行がなされた時に「予期せぬ事象」が発生し、列車番号4045Mの列車は駅S1に約6分間停車した(図10中の丸W1で示す部分)。
【0055】
しかしながら、図12に示すように、運転整理案結果分析支援装置100による処理によって得られた予測ダイヤによると、列車番号4045Mの列車の駅S1における必要な停車時間は約1分であったことが分かる(図12中の丸W2で示す部分)。図12において、列車番号4045Mの列車の予測ダイヤに対応する列車スジをT3で示す。
【0056】
更に、図11によると、列車番号4045Mの計画ダイヤに対応する列車スジT1と、予測ダイヤに対応する列車スジT3がほぼ重なっていることから、列車番号4045Mの列車が駅S1において不必要に停車しなければ、当該列車はほぼ計画ダイヤ通りに運行されることができたことが分かる。
【0057】
このように、計画ダイヤ51、実績ダイヤ52、予測ダイヤ54に含まれる各列車の列車スジを同一のダイヤ図上に重ねて表示させることにより、「予期せぬ事象」によって引き起こされた列車の遅延を簡単に抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】運転整理結果分析支援装置の機能構成を示すブロック図。
【図2】計画ダイヤのデータ構成を示す図。
【図3】実績ダイヤのデータ構成を示す図。
【図4】線路データのデータ構成を示す図。
【図5】運転整理結果分析支援処理の流れを示すフローチャート。
【図6】実績ダイヤ作成処理の流れを示すフローチャート。
【図7】予測ダイヤ作成処理の流れを示すフローチャート。
【図8】ダイヤ図重畳表示制御処理の流れを示すフローチャート。
【図9】計画ダイヤ、実績ダイヤ及び予測ダイヤのダイヤ内容を図式化した図。
【図10】表示部に表示される計画ダイヤと実績ダイヤの一例。
【図11】表示部に表示される計画ダイヤと予測ダイヤの一例。
【図12】表示部に表示される実績ダイヤと予測ダイヤの一例。
【符号の説明】
【0059】
100 運転整理結果分析支援装置
1 処理部
11 実績ダイヤ作成部
12 予測ダイヤ作成部
13 ダイヤ図重畳表示制御部
2 入力部
3 表示部
4 通信部
5 記憶部
51 計画ダイヤ
52 実績ダイヤ
53 線路データ
54 予測ダイヤ
56 運転整理結果分析支援プログラム
561 実績ダイヤ作成プログラム
562 予測ダイヤ作成プログラム
563 ダイヤ図重畳表示制御プログラム
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11