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明細書 :防音装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4327709号 (P4327709)
公開番号 特開2006-177027 (P2006-177027A)
登録日 平成21年6月19日(2009.6.19)
発行日 平成21年9月9日(2009.9.9)
公開日 平成18年7月6日(2006.7.6)
発明の名称または考案の名称 防音装置
国際特許分類 E01F   8/00        (2006.01)
G10K  11/178       (2006.01)
FI E01F 8/00
G10K 11/16 H
請求項の数または発明の数 2
全頁数 8
出願番号 特願2004-370837 (P2004-370837)
出願日 平成16年12月22日(2004.12.22)
審査請求日 平成19年4月11日(2007.4.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】間々田 祥吾
【氏名】半坂 征則
【氏名】鈴木 実
個別代理人の代理人 【識別番号】100104064、【弁理士】、【氏名又は名称】大熊 岳人
審査官 【審査官】小野 忠悦
参考文献・文献 特開平10-018239(JP,A)
特開2003-119719(JP,A)
特開平09-268527(JP,A)
調査した分野 E01F 8/00
G10K 11/178
特許請求の範囲 【請求項1】
騒音を低減する防音装置であって、
前記騒音を振動面で受けて音圧を電気信号に変換する第1の圧電フィルムと、
前記第1の圧電フィルムが出力する電気信号によって振動面を振動させて前記騒音を低減させる音を発生する第2の圧電フィルムと、
前記第1の圧電フィルムの両面にそれぞれ積層された電極層間の電圧を測定する電圧測定部と、
前記第2の圧電フィルムが前記騒音を低減させる音を発生するように、前記第1の圧電フィルムが出力する電気信号を処理する信号処理部と、
前記第2の圧電フィルムが前記騒音を低減させる音を発生するように、この第2の圧電フィルムを振動させるための電力を発生する電力発生部と、
前記信号処理部及び前記電力発生部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記電圧測定部の測定結果に基づいて前記第1の圧電フィルムが出力する電流値が所定値を下回るような微小電流であると判断したときには、前記電力発生部が補助電源として機能するように、この電力発生部から前記第2の圧電フィルムに供給する電力を調整すること、
を特徴とする防音装置。
【請求項2】
請求項に記載の防音装置において、
前記圧電フィルムは、複数積層されていること、
を特徴とする防音装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、騒音を低減する防音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の防音装置は、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)の透明な圧電フィルムと、この圧電フィルムの両面に積層された透明な導電性フィルムからなる2枚の電極と、これらの電極間に接続された抵抗などを備えている(例えば、特許文献1参照)。このような従来の防音装置は、自動車や列車の走行によって生ずる騒音(振動エネルギー)を圧電フィルムによって電気エネルギーに変換して、この電気エネルギーを抵抗によって消費し、騒音による振動を減衰させている。
【0003】

【特許文献1】特開平10-018239号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の防音装置は、騒音による振動エネルギーを受動的に熱エネルギーに変換するパッシブ方式の防音装置である。このため、従来の防音装置では、騒音の大きさに応じて能動的に騒音を低減することができないという問題点があった。また、従来の防音装置では、パッシブ方式であるため騒音によって導電性フィルムが振動し、その振動エネルギー(振動による電気エネルギー)分だけしか騒音を低減することができず、導電性フィルム自体の振動に対する物性値に依存してしまい、その物性値以上の騒音低減効果を発現することができない問題点があった。
【0005】
この発明の課題は、騒音の大きさに応じて能動的に騒音を低減することができる防音装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、騒音(S1)を低減する防音装置であって、前記騒音を振動面で受けて音圧を電気信号に変換する第1の圧電フィルム(2A)と、前記第1の圧電フィルムが出力する電気信号によって振動面を振動させて前記騒音を低減させる音(S2)を発生する第2の圧電フィルム(2B)と、前記第1の圧電フィルムの両面にそれぞれ積層された電極層(3a,3b)間の電圧を測定する電圧測定部(8)と、前記第2の圧電フィルムが前記騒音を低減させる音を発生するように、前記第1の圧電フィルムが出力する電気信号を処理する信号処理部(9)と、前記第2の圧電フィルムが前記騒音を低減させる音を発生するように、この第2の圧電フィルムを振動させるための電力を発生する電力発生部(6)と、前記信号処理部及び前記電力発生部を制御する制御部(7)とを備え、前記制御部は、前記電圧測定部の測定結果に基づいて前記第1の圧電フィルムが出力する電流値が所定値を下回るような微小電流であると判断したときには、前記電力発生部が補助電源として機能するように、この電力発生部から前記第2の圧電フィルムに供給する電力を調整することを特徴とする防音装置(1)である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項に記載の防音装置において、前記圧電フィルムは、複数積層されていることを特徴とする防音装置である。
【発明の効果】
【0011】
この発明によると、騒音の大きさに応じて能動的に騒音を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る防音装置の分解状態を示す斜視図である。図2は、この発明の第1実施形態に係る防振部材の平面図である。図3は、図2のIII-III線で切断した状態を示す断面図である。
【0013】
図1~図3に示す防音装置1は、騒音S1を低減する装置である。防音装置1は、圧電フィルム2と、電極層3a,3bと、導電部4a,4bと、騒音検出部5と、電力発生部6と、制御部7などを備えており、この圧電フィルム2の振動面を振動させて騒音S1を低減させる音S2を発生するアクティブ方式の防音装置である。防音装置1は、騒音検出部5によって騒音S1を検出し、この騒音S1を打ち消すような音S2を圧電フィルム2に発生させて騒音S1を低減する。防音装置1は、音源の移動方向に沿って左右方向及び上下方向に複数並べて設置可能であり、搬送や設置作業が容易なように予めユニット化されている。防音装置1は、例えば、騒音S1を発生するエンジンなどの機器の周囲、車両の床下、吸音又は遮音を目的とする防音体として使用される。
【0014】
図1~図3に示す圧電フィルム2は、振動面を振動させて騒音S1を低減する音S2を発生するフィルムである。圧電フィルム2は、共振周波数で吸音性があり自由振動が可能な圧電性高分子膜又は分散型圧電高分子膜である。このような圧電フィルム2は、例えば、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)のフィルムや、有機系の誘電体又は強誘電体を非誘電体に分散させたフィルムなどである。圧電フィルム2は、騒音S1による振動を電気信号に変換する機械電気変換部として機能し、騒音S1による振動エネルギーを電気エネルギーに変換する。
【0015】
電極層3a,3bは、圧電フィルム2に電気的に接続された接点部分である。電極層3a,3bは、圧電フィルム2の両面にそれぞれ積層されており、圧電フィルム2の両面全域を被覆するように形成されている。このような電極層3a,3bは、例えば、金属、金属酸化物又はカーボンなどの導電性材料を蒸着、シルクスクリーン印刷又はイオンスパッタリングなどの方法によって圧電フィルム2の両面に形成されたり、導電性材料を含有する樹脂又は導電性高分子などの導電性樹脂を圧電フィルム2の両面に多層化され形成される。
【0016】
図1に示す導電部4a,4bは、圧電フィルム2が発生する電流が流れる部分である。導電部4a,4bは、一方の端部が電極層3a,3bにそれぞれ接続されており、他方の端部が電力発生部6に接続されている。導電部4a,4bは、例えば、電極層3a,3bの表面に印刷などによって一体に形成されている。
【0017】
騒音検出部5は、騒音S1を検出する部分であり、音響エネルギーを電気エネルギーに変換するマイクロホンなどの音響電気変換器である。騒音検出部5は、騒音S1の音圧に応じた電気信号を制御部7に出力する。電力発生部6は、騒音検出部5の検出結果に基づいて、圧電フィルム2を振動させるための電力を発生する部分であり、制御部7からの指令に基づいて導電部4a,4bに電流を流し圧電フィルム2の振動面を振動させる。制御部7は、圧電フィルム2が騒音S1を低減させる音S2を発生するように、騒音検出部5の検出結果に基づいて電力発生部6を制御する部分である。制御部7は、騒音S1を打ち消すような音S2を圧電フィルム2が発生するように電力発生部6を制御し、電力発生部6が圧電フィルム2に供給する電力を調整する。
【0018】
次に、この発明の第1実施形態に係る防音装置の動作を説明する。
図1~図3に示す防音装置1を道路や軌道に沿って設置した状態で、道路や軌道に沿って自動車や列車が走行すると騒音S1が発生すると、騒音検出部5がこの騒音S1を検出する。騒音検出部5の検出結果に基づいて電力発生部6を制御部7が制御すると、導電部4a,4bを通じて電極層4a,4bに電力発生部6から電流が流れる。その結果、圧電フィルム2の振動面が振動して、騒音S1を打ち消すような音S2を圧電フィルム2が発生し、自動車や列車が走行したときに発生する騒音S1が低減する。
【0019】
この第1実施形態に係る防音装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、振動面を振動させて騒音S1を低減させる音S2を圧電フィルム2が発生する。その結果、圧電フィルム2が発生する音S2によって能動的に騒音S1を低減することができる。
【0020】
(2) この第1実施形態では、騒音S1を検出する騒音検出部5の検出結果に基づいて、圧電フィルム2を振動させるための電力を電力発生部6が発生する。このため、例えば、騒音S1の波長と半波長ずれた波長の音S2を圧電フィルム2が発生するように、電力発生部6が圧電フィルム2に電力を供給しこの騒音S1を音S2によって打ち消し騒音S1を低減することができる。
【0021】
(第2実施形態)
図4は、この発明の第2実施形態に係る防音装置の分解状態を示す斜視図である。
図4に示す防音装置1は、圧電フィルム2A,2Bと、電極層3a,3bと、導電部4a,4bと、電力発生部6と、制御部7と、電圧測定部8と、信号処理部9などを備えている。圧電フィルム2A,2Bは、図1~図3に示す圧電フィルム2と同一部材であり、圧電フィルム2Aは騒音S1を振動面で受けて音圧を電気信号に変換し、圧電フィルム2Bはこの電気信号によって振動面を振動させて騒音S1を低減させる。防音装置1は、騒音S1による振動エネルギーを圧電フィルム2Aによって電気エネルギーに変換し、この電気エネルギーによって圧電フィルム2Bの振動面を振動させて音S2を発生して、この音S2によって騒音S1を打ち消し低減させるアクティブ方式の防音装置である。
【0022】
図4に示す電力発生部6は、圧電フィルム2Bを振動させるための電力を発生する部分である。電力発生部6は、制御部7からの指令に基づいて圧電フィルム2B側の導電部4a,4bに電流を流し圧電フィルム2Bの振動面を振動させる補助電源として機能する。制御部7は、圧電フィルム2Bが騒音S1を低減させる音S2を発生するように電力発生部6及び信号処理部9を制御する部分である。制御部7は、電圧測定部8の測定結果に基づいて圧電フィルム2Aが出力する電流値が所定値を下回るような微小電流であると判断したときには、騒音S1を打ち消すような波長の音S2を圧電フィルム2Bが発生するように、電力発生部6から圧電フィルム2Bに供給する電力を調整する。
【0023】
電圧測定部8は、圧電フィルム2A側の電極層3a,3b間の電圧を測定する部分である。電圧測定部8は、電極層3a,3b間の電圧値を測定し、この測定結果を制御部7に出力する。信号処理部9は、圧電フィルム2Aが騒音S1を低減させる音S2を発生するように、この圧電フィルム2Aが出力する電気信号を処理する部分である。信号処理部9は、例えば、圧電フィルム2Aが出力する電気信号を増幅するとともに、騒音S1の波長と半波長ずれた音S2を圧電フィルム2Bが発生するようにこの電気信号を処理する電気回路などを備えている。
【0024】
この発明の第2実施形態に係る防音装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第2実施形態では、騒音S1を振動面で受けて音圧を電気信号に圧電フィルム2Aが変換し、この電気信号によって振動面を振動させて騒音S1を低減させる音S2を圧電フィルム2Bが発生する。このため、騒音S1による振動エネルギーを圧電フィルム2Aによって電気エネルギーに変換し、この電気エネルギーを利用して圧電フィルム2Bを振動させて音S2を発生させて騒音S1を低減することができる。
【0025】
(2) この第2実施形態では、騒音S1を低減させる音S2を圧電フィルム2Bが発生するように、圧電フィルム2Aが出力する電気信号を信号処理部9が処理する。このため、例えば、圧電フィルム2Aが出力する微小電流を増幅したり、騒音S1の波長と半波長ずれた音S2を圧電フィルム2Bが発生したりするように、圧電フィルム2Aに流れる電流を調整することができる。
【0026】
(第3実施形態)
図5は、この発明の第3実施形態に係る防音装置の断面図である。
図5に示す防音装置1は、2枚の圧電フィルム2と、電極層3a,3bと、絶縁層10などを備えている。絶縁層10は、2枚の圧電フィルム2を電気的に絶縁する部分であり、電極層3aと電極層3bとの間に挟み込まれた絶縁フィルム、又はこれらの間に塗布された絶縁塗料などである。この第3実施形態には、第1実施形態及び第2実施形態の効果に加えて、騒音低減効果をより一層向上させることができる。
【0027】
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
この第1実施形態では、電力発生部6を制御部7がフィードバック制御しているが、電力発生部6を制御部7がフィードフォワード制御することもできる。また、この第2実施形態では、電圧測定部8の測定結果に基づいて電力発生部6を制御部7が制御しているがこのような構成に限定するものではない。例えば、図4に示す電圧測定部8を省略して図1に示す騒音検出部5を設置し、この騒音検出部5の検出結果に基づいて電力発生部6を制御部7が制御することもできる。さらに、この第3実施形態では、圧電フィルム2を2枚積層する場合を例に挙げて説明したが、圧電フィルム2を3枚以上積層することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の第1実施形態に係る防音装置の分解状態を示す斜視図である。
【図2】この発明の第1実施形態に係る防振部材の平面図である。
【図3】図2のIII-III線で切断した状態を示す断面図である。
【図4】この発明の第2実施形態に係る防音装置の分解状態を示す斜視図である。
【図5】この発明の第3実施形態に係る防音装置の断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 防音装置
2,2A,2B 圧電フィルム
3a,3b 電極層
4a,4b 導電部
5 騒音検出部
6 電力発生部
7 制御部
8 電圧測定部
9 信号処理部
10 絶縁層
1 騒音
2

図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4