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明細書 :防音装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4371420号 (P4371420)
公開番号 特開2006-177028 (P2006-177028A)
登録日 平成21年9月11日(2009.9.11)
発行日 平成21年11月25日(2009.11.25)
公開日 平成18年7月6日(2006.7.6)
発明の名称または考案の名称 防音装置
国際特許分類 E01F   8/00        (2006.01)
G10K  11/178       (2006.01)
FI E01F 8/00
G10K 11/16 H
請求項の数または発明の数 5
全頁数 13
出願番号 特願2004-370838 (P2004-370838)
出願日 平成16年12月22日(2004.12.22)
審査請求日 平成19年4月11日(2007.4.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】間々田 祥吾
【氏名】半坂 征則
【氏名】鈴木 実
個別代理人の代理人 【識別番号】100104064、【弁理士】、【氏名又は名称】大熊 岳人
審査官 【審査官】小野 忠悦
参考文献・文献 特開平10-018239(JP,A)
特開2003-119719(JP,A)
特開昭60-013103(JP,A)
特開2002-317408(JP,A)
特開平09-268527(JP,A)
調査した分野 E01F 8/00
G10K 11/178
特許請求の範囲 【請求項1】
騒音を低減する防音装置であって、
前記騒音を振動面で受けて音圧を電気信号に変換する第1の圧電フィルムと、
前記第1の圧電フィルムの周縁部を保持する第1の保持部と、
前記第1の圧電フィルムが出力する電気信号によって振動面を振動させて前記騒音を低減させる音を発生する第2の圧電フィルムと、
前記第2の圧電フィルムの周縁部を保持する第2の保持部と、
前記第1の圧電フィルムの両面にそれぞれ積層された電極層間の電圧を測定する電圧測定部と、
前記第2の圧電フィルムが前記騒音を低減させる音を発生するように、前記第1の圧電フィルムが出力する電気信号を処理する信号処理部と、
前記第2の圧電フィルムが前記騒音を低減させる音を発生するように、この第2の圧電フィルムを振動させるための電力を発生する電力発生部と、
前記信号処理部及び前記電力発生部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記電圧測定部の測定結果に基づいて前記第1の圧電フィルムが出力する電流値が所定値を下回るような微小電流であると判断したときには、前記電力発生部が補助電源として機能するように、この電力発生部から前記第2の圧電フィルムに供給する電力を調整すること、
を特徴とする防音装置。
【請求項2】
請求項1に記載の防音装置において、
前記保持部は、前記圧電フィルムを積層状態で保持すること、
を特徴とする防音装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項に記載の防音装置において、
前記保持部を左右方向及び/又は上下方向に複数並べて設置するために、これらの保持部を接続する接続部を備えること、
を特徴とする防音装置。
【請求項4】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の防音装置において、
前記保持部は、設置場所に応じて所定の形状に予め形成されていること、
を特徴とする防音装置。
【請求項5】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の防音装置において、
前記保持部は、設置場所に応じて任意の形状に変形可能に形成されていること、
を特徴とする防音装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、騒音を低減する防音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の防音装置は、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)の透明な圧電フィルムと、この圧電フィルムの両面に積層された透明な導電性フィルムからなる2枚の電極と、これらの電極間に接続された抵抗などを備えている(例えば、特許文献1参照)。このような従来の防音装置は、自動車や列車の走行によって生ずる騒音(振動エネルギー)を圧電フィルムによって電気エネルギーに変換して、この電気エネルギーを抵抗によって消費し、騒音による振動を減衰させている。
【0003】

【特許文献1】特開平10-018239号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の防音装置では、道路や軌道に沿って設置するときに、設置場所の状況に応じて圧電フィルムと電極とを所定の寸法に加工する必要があり作業が煩雑になり施工が長期間になるという問題点があった。また、従来の防音装置では、圧電フィルムと電極とがフィルム状に形成されているため強度が不十分であり、フィルム状態では道路や軌道に沿って広範囲に設置することが困難であるという問題点があった。
【0005】
この発明の課題は、取扱が容易で十分な強度があり簡単に設置することができる防音装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、騒音(S1)を低減する防音装置であって、前記騒音を振動面で受けて音圧を電気信号に変換する第1の圧電フィルム(2A)と、前記第1の圧電フィルムの周縁部を保持する第1の保持部(4A)と、前記第1の圧電フィルムが出力する電気信号によって振動面を振動させて前記騒音を低減させる音(S2)を発生する第2の圧電フィルム(2B)と、前記第2の圧電フィルムの周縁部を保持する第2の保持部(4B)と、前記第1の圧電フィルムの両面にそれぞれ積層された電極層(3a,3b)間の電圧を測定する電圧測定部(14)と、前記第2の圧電フィルムが前記騒音を低減させる音を発生するように、前記第1の圧電フィルムが出力する電気信号を処理する信号処理部(15)と、前記第2の圧電フィルムが前記騒音を低減させる音を発生するように、この第2の圧電フィルムを振動させるための電力を発生する電力発生部(12)と、前記信号処理部及び前記電力発生部を制御する制御部(13)とを備え、前記制御部は、前記電圧測定部の測定結果に基づいて前記第1の圧電フィルムが出力する電流値が所定値を下回るような微小電流であると判断したときには、前記電力発生部が補助電源として機能するように、この電力発生部からこの第2の圧電フィルムに供給する電力を調整することを特徴とする防音装置(1)である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の防音装置において、前記保持部は、前記圧電フィルムを積層状態で保持することを特徴とする防音装置である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項に記載の防音装置において、前記保持部を左右方向及び/又は上下方向に複数並べて設置するために、これらの保持部を接続する接続部(8)を備えることを特徴とする防音装置である。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の防音装置において、前記保持部は、設置場所に応じて所定の形状に予め形成されていることを特徴とする防音装置である。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の防音装置において、前記保持部は、設置場所に応じて任意の形状に変形可能に形成されていることを特徴とする防音装置である。
【発明の効果】
【0018】
この発明によると、取扱が容易で十分な強度があり簡単に設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る防音装置の分解状態を示す斜視図である。図2は、この発明の第1実施形態に係る防振部材の平面図である。図3は、図2のIII-III線で切断した状態を示す断面図である。図4は、この発明の第1実施形態に係る防音装置の使用状態を一例として示す斜視図である。
【0020】
図1~図4に示す防音装置1は、騒音S1を低減する装置である。防音装置1は、騒音S1による振動エネルギーを電気エネルギーに変換するとともに、この電気エネルギーを熱エネルギーに変換して騒音S1を低減させるパッシブ方式の防音装置である。防音装置1は、図1に示すように、圧電フィルム2と、電極層3a,3bと、保持部4と、導電部5a,5bと、電気熱変換部6と、固定部材7a,7bなどを備えている。防音装置1は、図4に示すように、音源の移動方向に沿って左右方向及び上下方向に複数並べて設置可能であり、搬送や設置作業が容易なように予めユニット化されている。防音装置1は、例えば、騒音S1を発生するエンジンなどの機器の周囲、車両の床下、吸音又は遮音を目的とする防音体として使用される。
【0021】
図1~図3に示す圧電フィルム2は、騒音S1を振動面で受けて音圧を電気信号に変換するフィルムである。圧電フィルム2は、共振周波数で吸音性があり自由振動が可能な圧電性高分子膜又は分散型圧電高分子膜である。このような圧電フィルム2は、例えば、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)のフィルムや、有機系の誘電体又は強誘電体を非誘電体に分散させたフィルムなどである。圧電フィルム2は、騒音S1による振動を電気信号に変換する機械電気変換部として機能し、騒音S1による振動エネルギーを電気エネルギーに変換する。圧電フィルム2は、保持部材4aと保持部材4bとの間に張られた状態で挟み込まれている。
【0022】
電極層3a,3bは、圧電フィルム2に電気的に接続された接点部分である。電極層3a,3bは、圧電フィルム2の両面にそれぞれ積層されており、圧電フィルム2の両面全域を被覆するように形成されている。このような電極層3a,3bは、例えば、金属、金属酸化物又はカーボンなどの導電性材料を蒸着、シルクスクリーン印刷又はイオンスパッタリングなどの方法によって圧電フィルム2の両面に形成されたり、導電性材料を含有する樹脂又は導電性高分子などの導電性樹脂を圧電フィルム2の両面に多層化され形成される。
【0023】
保持部4は、圧電フィルム2の周縁部を保持する部分である。保持部4は、図1に示すように、一対の保持部材4a,4bを備えており、保持部材4a,4bは圧電フィルム2の周縁部を挟み込み保持する部材である。保持部材4a,4bは、いずれも同一形状であり、電極層3a,3bと電気的に絶縁可能なようにアルミニウムなどの絶縁性の金属によって枠状に形成されている。保持部材4a,4bには、図1に示すように、4つの貫通孔4cが形成されている。
【0024】
図1に示す導電部5a,5bは、圧電フィルム2が発生する電流が流れる部分である。導電部5a,5bは、一方の端部が電極層3a,3bにそれぞれ接続されており、他方の端部が電気熱変換部6に接続されている。導電部5a,5bは、例えば、電極層3a,3b又は保持部材4a,4bの表面に印刷などによって一体に形成されている。
【0025】
電気熱変換部6は、電気信号を熱に変換する部分である。電気熱変換部6は、圧電フィルム2からの電気エネルギーを熱エネルギーに変換する。電気熱変換部6は、抵抗値を調整可能な電気回路を備えており、圧電フィルム2が出力する電流(電気信号)が流れる。電気熱変換部6は、例えば、電極層3a,3b又は保持部材4a,4bの表面に装着されている。
【0026】
固定部材7a,7bは、保持部材4aと保持部材4bとを固定する部材である。固定部材7aは、保持部材4a,4bの貫通孔4cに挿入されるボルトであり、固定部材7bはこのボルトの雄ねじ部と噛み合う雌ねじ部を有するナットである。
【0027】
図4に示す接続部8は、保持部4を左右方向及び/又は上下方向に複数並べて設置するために、これらの保持部4を接続する部分である。接続部8は、図4に示すように、断面H形の柱状の部材であり、長さ方向の両縁部に嵌合部8a,8bを備えている。接続部8は、保持部4を上下方向に複数並べて設置可能な長さに形成されており、保持部4を左右方向に複数並べて設置可能なように所定の間隔をあけて配置されている。嵌合部8a,8bは、保持部4の端部と着脱自在に嵌合する凹部である。
【0028】
次に、この発明の第1実施形態に係る防音装置の動作を説明する。
図1~図3に示す防音装置1を道路や軌道に沿って設置する場合には、図4に示すように道路や軌道に沿って所定の間隔をあけて接続部8を設置し、この接続部8の嵌合部8a,8bの上端から保持部4の端部を差し込む。その結果、上下方向に隣接する2つの保持部4の上縁部と下縁部とが互いに接触して保持部4が上下方向に並べて設置されるとともに、左右方向に隣接する2つの保持部4の端部が互いに接続部8によって連結されて保持部4が左右方向に並べて設置される。道路や軌道に沿って自動車や列車が走行すると、図4に示すように騒音S1が発生して圧電フィルム2の振動面がこの騒音S1を受ける。圧電フィルム2が振動すると騒音S1の音圧に応じた電気信号(起電力)を発生し、電極層3a,3bから導電部5a,5bを通じて電流が流れる。自動車や列車が走行したときに発生する騒音S1を効果的に低減可能なように、電気熱変換部6の可変抵抗の抵抗値が最適値に調整されているため、導電部5a,5bを流れる電流が電気熱変換部6によって効率的よく熱に変換される。その結果、騒音S1による振動エネルギーが電気エネルギーに変換された後に熱エネルギーに変換されて、自動車や列車が走行したときに発生する騒音S1が低減する。
【0029】
この発明の第1実施形態に係る防音装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、騒音S1を振動面で受けて音圧を電気信号に変換する圧電フィルム2の周縁部を保持部4が保持する。その結果、圧電フィルム2を保持部4によって強固に保持することができるため、防音装置1の取扱が容易になり防音装置1を簡単に短時間で設置することができる。
【0030】
(2) この第1実施形態では、圧電フィルム2が出力する電気信号を電気熱変換部6が熱に変換する。このため、騒音S1による振動エネルギーを圧電フィルム2によって電気エネルギーに変換し、この電気エネルギーを電気熱変換部6によって熱エネルギーに変換して騒音S1を低減することができる。
【0031】
(3) この第1実施形態では、抵抗値を調整可能な電気回路を電気熱変換部6が備えている。このため、騒音S1の周波数帯域に応じて抵抗値を可変して効果的に騒音S1を低減することができる。また、防音装置1を設置する場所の騒音状況や騒音特性に応じて抵抗値を調整することができる。
【0032】
(4) この第1実施形態では、保持部4を左右方向及び上下方向に複数並べて設置するために、これらの保持部4を接続部8が接続する。このため、道路や軌道に沿って防音装置1を広範囲に設置することができるとともに、設置場所の状況に応じて防音装置1を任意の個数設置することができる。
【0033】
(第2実施形態)
図5は、この発明の第2実施形態に係る防音装置の分解状態を示す斜視図である。以下では、図1~図4に示す部分と同一の部分については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図5に示す防音装置1は、圧電フィルム2と、電極層3a,3bと、保持部4と、導電部5a,5bと、信号処理部9と、蓄電部10などを備えている。防音装置1は、騒音S1による振動エネルギーを圧電フィルム2によって電気エネルギーに変換し、この電気エネルギーを蓄電部10によって蓄積して騒音S1を低減するパッシブ方式の防音装置である。
【0034】
信号処理部9は、圧電フィルム2が出力する電気信号を処理する部分である。信号処理部9は、導電部5a,5bに流れる電流を直流電流に変換する電気回路などを備えている。蓄電部10は、圧電フィルム2が発生する電力を蓄積する部分である。蓄電部10は、信号処理部9に接続されており、電気エネルギーを蓄積するコンデンサなどを備えている。この第2実施形態には、第1実施形態の効果に加えて、騒音S1による振動エネルギーを圧電フィルム2によって電気エネルギーに変換し、この電気エネルギーを蓄電部10によって蓄積することができる。このため、騒音S1を低減することができるとともに、必要に応じて蓄電部10から電力を放出して利用することができる。例えば、防音装置1を車両に設置した場合には蓄電部10から照明機器や空調機器に電力を供給することができる。
【0035】
(第3実施形態)
図6は、この発明の第3実施形態に係る防音装置の分解状態を示す斜視図である。図7は、この発明の第3実施形態に係る防音装置の使用状態を一例として示す斜視図である。
図6及び図7に示す防音装置1は、圧電フィルム2と、電極層3a,3bと、保持部4と、導電部5a,5bと、騒音検出部11と、電力発生部12と、制御部13などを備えており、この圧電フィルム2は振動面を振動させて騒音S1を低減させる音S2を発生するアクティブ方式の防音装置である。防音装置1は、騒音検出部11によって騒音S1を検出し、この騒音S1を打ち消すような音S2を圧電フィルム2に発生させて騒音S1を低減する。
【0036】
騒音検出部11は、騒音S1を検出する部分であり、音響エネルギーを電気エネルギーに変換するマイクロホンなどの音響電気変換器である。騒音検出部11は、音源の移動方向に沿って保持部4に装着されており、騒音S1の音圧に応じた電気信号を制御部13に出力する。電力発生部12は、圧電フィルム2を振動させるための電力を発生する部分であり、制御部13からの指令に基づいて導電部5a,5bに電流を流し圧電フィルム2の振動面を振動させる。制御部13は、圧電フィルム2が騒音S1を低減させる音S2を発生するように、騒音検出部11の検出結果に基づいて電力発生部12を制御する部分である。制御部13は、騒音S1を打ち消すような音S2を圧電フィルム2が発生するように電力発生部12を制御し、電力発生部12が圧電フィルム2に供給する電力を調整する。
【0037】
この第3実施形態に係る防音装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第3実施形態では、振動面を振動させて騒音S1を低減させる音S2を発生する圧電フィルム2の周縁部を保持部4が保持する。その結果、圧電フィルム2を保持部4によって強固に保持することができるとともに、圧電フィルム2が発生する音S2によって騒音S1を低減することができる。
【0038】
(2) この第3実施形態では、騒音S1を検出する騒音検出部11の検出結果に基づいて、圧電フィルム2を振動させるための電力を電力発生部12が発生する。このため、例えば、騒音S1の波長と半波長ずれた波長の音S2を圧電フィルム2が発生するように、電力発生部12が圧電フィルム2に電力を供給しこの騒音S1を音S2によって打ち消し騒音S1を低減することができる。
【0039】
(第4実施形態)
図8は、この発明の第4実施形態に係る防音装置に分解状態を示す斜視図である。図9は、この発明の第4実施形態に係る防音装置の使用状態を一例として示す斜視図である。
図8及び図9に示す防音装置1は、圧電フィルム2A,2Bと、電極層3a,3bと、保持部4A,4Bと、導電部5a,5bと、電力発生部12と、制御部13と、電圧測定部14と、信号処理部15などを備えている。圧電フィルム2A,2Bは、図1~図3に示す圧電フィルム2と同一部材であり、圧電フィルム2Aは騒音S1を振動面で受けて音圧を電気信号に変換し、圧電フィルム2Bはこの電気信号によって振動面を振動させて騒音S1を低減させる。保持部4A,4Bは、図1~図3に示す保持部4と同一部材であり、保持部4Aは圧電フィルム2Aの周縁部を保持し、保持部4Bは圧電フィルム2Bの周縁部を保持する。防音装置1は、騒音S1による振動エネルギーを圧電フィルム2Aによって電気エネルギーに変換し、この電気エネルギーによって圧電フィルム2Bの振動面を振動させて音S2を発生して、この音S2によって騒音S1を打ち消し低減させるアクティブ方式の防音装置である。
【0040】
図8に示す電力発生部12は、圧電フィルム2Bを振動させるための電力を発生する部分である。電力発生部12は、制御部13からの指令に基づいて圧電フィルム2B側の導電部5a,5bに電流を流し圧電フィルム2Bの振動面を振動させる補助電源として機能する。制御部13は、圧電フィルム2Bが騒音S1を低減させる音S2を発生するように電力発生部12及び信号処理部15を制御する部分である。制御部13は、電圧測定部14の測定結果に基づいて圧電フィルム2Aが出力する電流値が所定値を下回るような微小電流であると判断したときには、騒音S1を打ち消すような波長の音S2を圧電フィルム2Bが発生するように、電力発生部12から圧電フィルム2Bに供給する電力を調整する。
【0041】
電圧測定部14は、圧電フィルム2A側の電極層3a,3b間の電圧を測定する部分である。電圧測定部14は、電極層3a,3b間の電圧値を測定し、この測定結果を制御部13に出力する。信号処理部15は、圧電フィルム2Aが騒音S1を低減させる音S2を発生するように、この圧電フィルム2Aが出力する電気信号を処理する部分である。信号処理部15は、例えば、圧電フィルム2Aが出力する電気信号を増幅するとともに、騒音S1の波長と半波長ずれた音S2を圧電フィルム2Bが発生するようにこの電気信号を処理する電気回路などを備えている。
【0042】
この発明の第4実施形態に係る防音装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第4実施形態では、騒音S1を振動面で受けて音圧を電気信号に変換する圧電フィルム2Aの周縁部を保持部4Aが保持し、この電気信号によって振動面を振動させて騒音S1を低減させる音S2を発生する圧電フィルム2Bの周縁部を保持部4Bが保持する。このため、圧電フィルム2A,2Bを保持部4によって強固に保持することができるとともに、騒音S1による振動エネルギーを圧電フィルム2Aによって電気エネルギーに変換し、この電気エネルギーを利用して圧電フィルム2Bを振動させて音S2を発生させて騒音S1を低減することができる。
【0043】
(2) この第4実施形態では、騒音S1を低減させる音S2を圧電フィルム2Bが発生するように、圧電フィルム2Aが出力する電気信号を信号処理部15が処理する。このため、例えば、圧電フィルム2Aが出力する微小電流を増幅したり、騒音S1の波長と半波長ずれた音S2を圧電フィルム2Bが発生したりするように、圧電フィルム2Aに流れる電流を調整することができる。
【0044】
(第5実施形態)
図10は、この発明の第5実施形態に係る防音装置の断面図である。
図10に示す防音装置1は、2枚の圧電フィルム2と、電極層3a,3bと、保持部4と、絶縁層16などを備えている。保持部4は、2枚の圧電フィルム2を積層状態で保持する部分であり、保持部材4aと保持部材4bとの間に圧電フィルム2を重ね合わせた状態で挟み込んでいる。絶縁層16は、2枚の圧電フィルム2を電気的に絶縁する部分であり、電極層3aと電極層3bとの間に挟み込まれた絶縁フィルム、又はこれらの間に塗布された絶縁塗料などである。この第5実施形態には、第1実施形態~第4実施形態の効果に加えて、騒音低減効果をより一層向上させることができる。
【0045】
(第6実施形態)
図11は、この発明の第6実施形態に係る防音装置の使用状態を一例として示す斜視図である。
図11に示す防音装置1は、設置場所に応じて保持部4が所定の形状に予め形成されている。保持部4は、例えば、図11に示すように、予め湾曲した形状に形成して音源の移動方向に沿って現場で設置可能である。この第6実施形態には、第1実施形態~第5実施形態の効果に加えて、車両の床下などのような複雑な設置場所や、配管類、エンジン又はこれらのカバーなどのような複雑な形状の音源に簡単に取り付けることができるため、現場で簡単に防音施工することができる。
【0046】
(第7実施形態)
図12は、この発明の第7実施形態に係る防音装置の使用状態を一例として示す斜視図であり、図12(A)は使用前の状態を示し、図12(B)は使用後の状態を示す。
図12に示す防音装置1は、設置場所に応じて保持部4が任意の形状に変形可能に形成されている。保持部4は、例えば、図12(B)に示すように、設置場所の状況に応じて矢印方向に折り曲げることで任意の形状に弾性変形可能である。この第7実施形態には、第1実施形態~第5実施形態の効果に加えて、車両の床下などのような複雑な設置場所や、配管類、エンジン又はこれらのカバーなどのような複雑な形状の音源に、現場で任意の形状に変形させて簡単に取り付けることができる。
【0047】
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この第1実施形態~第7実施形態では、保持部4を左右方向及び上下方向に複数並べて設置する場合を例に挙げて説明したが、左右方向又は上下方向のいずれか一方に複数並べて設置することもできる。また、この第1実施形態では、抵抗値を調整可能な電気回路を電気熱変換部6が備える場合を例に挙げて説明したが、抵抗値、静電容量又はインダクタンスの少なくとも一つを調整可能な電気回路を備えるように電気熱変換部6を構成することもできる。
【0048】
(2) この第3実施形態では、騒音検出部11の検出結果に基づいて電力発生部12を制御部13がフィードバック制御しているが、騒音検出部11を省略して電力発生部12を制御部13がフィードフォワード制御することもできる。また、この第4実施形態では、電圧測定部14の測定結果に基づいて電力発生部12を制御部13が制御しているがこのような構成に限定するものではない。例えば、図8に示す電圧測定部14を省略して図6に示す騒音検出部11を設置し、この騒音検出部11の検出結果に基づいて電力発生部12を制御部13が制御することもできる。さらに、この第5実施形態では、圧電フィルム2を2枚積層する場合を例に挙げて説明したが、圧電フィルム2を3枚以上積層することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】この発明の第1実施形態に係る防音装置の分解状態を示す斜視図である。
【図2】この発明の第1実施形態に係る防振部材の平面図である。
【図3】図2のIII-III線で切断した状態を示す断面図である。
【図4】この発明の第1実施形態に係る防音装置の使用状態を一例として示す斜視図である。
【図5】この発明の第2実施形態に係る防音装置の分解状態を示す斜視図である。
【図6】この発明の第3実施形態に係る防音装置の分解状態を示す斜視図である。
【図7】この発明の第3実施形態に係る防音装置の使用状態を一例として示す斜視図である。
【図8】この発明の第4実施形態に係る防音装置に分解状態を示す斜視図である。
【図9】この発明の第4実施形態に係る防音装置の使用状態を一例として示す斜視図である。
【図10】この発明の第5実施形態に係る防音装置の断面図である。
【図11】この発明の第6実施形態に係る防音装置の使用状態を一例として示す斜視図である。
【図12】この発明の第7実施形態に係る防音装置の使用状態を一例として示す斜視図であり、(A)は使用前の状態を示し、(B)は使用後の状態を示す。
【符号の説明】
【0050】
1 防音装置
2,2A,2B 圧電フィルム
3a,3b 電極層
4,4A,4B 保持部
4a,4b 保持部材
5a,5b 導電部
6 電気熱変換部
7a,7b 固定部材
8 接続部
9 信号処理部
10 蓄電部
11 騒音検出部
12 電力発生部
13 制御部
14 電圧測定部
15 信号処理部
16 絶縁層
1 騒音
2

図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
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【図6】
5
【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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