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明細書 :鉄道車両用アクティブ騒音低減装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4287156号 (P4287156)
公開番号 特開2004-216971 (P2004-216971A)
登録日 平成21年4月3日(2009.4.3)
発行日 平成21年7月1日(2009.7.1)
公開日 平成16年8月5日(2004.8.5)
発明の名称または考案の名称 鉄道車両用アクティブ騒音低減装置
国際特許分類 B61D  49/00        (2006.01)
G10K  11/178       (2006.01)
FI B61D 49/00 ZABA
G10K 11/16 H
請求項の数または発明の数 3
全頁数 9
出願番号 特願2003-004063 (P2003-004063)
出願日 平成15年1月10日(2003.1.10)
審査請求日 平成17年8月10日(2005.8.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
発明者または考案者 【氏名】山本 克也
【氏名】上妻 雄一
【氏名】田川 直人
【氏名】寺井 賢一
【氏名】角張 勲
【氏名】水野 耕
個別代理人の代理人 【識別番号】100079201、【弁理士】、【氏名又は名称】石井 光正
審査官 【審査官】西中村 健一
参考文献・文献 特開平07-319480(JP,A)
特開昭64-007797(JP,A)
特開平07-129183(JP,A)
特開平08-221079(JP,A)
特開平06-232953(JP,A)
特開平05-289676(JP,A)
特開平05-061475(JP,A)
調査した分野 B61D 49/00
G10K 11/178
B60R 11/02
特許請求の範囲 【請求項1】
鉄道車両の車体パネルを構成する外板と内装板の間に配列され、前記外板方向から到来する侵入音の逆位相となる制御音を放射する面が前記内装板に向いている圧電型平面スピーカと、
前記内装板の振動又は侵入音を検出する検出器と、
前記検出器から入力する電気信号に基づいて前記圧電型平面スピーカの出力特性を演算する回路と、特定の制御対象周波数成分を抽出するための適応フィルタと、前記適応フィルタの出力を所要の増幅率をもって増幅するアンプとを含み、前記検出器で検出した前記内装板の振動又は騒音を低減するように前記圧電型平面スピーカを駆動する駆動部と、
からなることを特徴とする鉄道車両用アクティブ騒音低減装置。
【請求項2】
車体室内外へ放射音を出しうる搭載機器を収容する筐体内において、前記搭載機器と前記筐体内壁の間に配列され、前記放射音と逆位相となる制御音を放射する面が前記筐体内壁に向いている圧電型平面スピーカと、
前記搭載機器の表面の振動又は騒音を検出する検出器と、
前記検出器から入力する電気信号に基づいて前記圧電型平面スピーカの出力特性を演算する回路と、特定の制御対象周波数成分を抽出するための適応フィルタと、前記適応フィルタの出力を所要の増幅率をもって増幅するアンプとを含み、前記検出器で検出した前記搭載機器の振動又は騒音を低減するように前記圧電型平面スピーカを駆動する駆動部と、からなることを特徴とする鉄道車両用アクティブ騒音低減装置。
【請求項3】
駆動部は、出器から入力する電気信号に基づいて圧電型平面スピーカの出力特性を演算する回路と、特定の制御対象周波数成分を抽出するための通過周波数帯域が異なる複数個の適応フィルタと、前記適応フィルタのうち、走行管理手段から入力する走行区間信号又は走行条件信号に基づき、当該走行区間における騒音周波数特性に対応して予め指定されている適応フィルタを選択するフィルタ選択手段と、前記適応フィルタの出力を所要の増幅率をもって増幅するアンプとを含むことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載された鉄道車両用アクティブ騒音低減装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、騒音低減装置、とくにスピーカを用いる鉄道車両用アクティブ騒音低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
振動されるパネルにアクチュエータ(振動発生手段)から逆位相の振動を与えることにより騒音低減を図るアクティブ騒音低減装置は、既に知られている(例えば、特許文献1参照)。また、入力する騒音に対してこれと逆位相の音を発生するスピーカを用いることにより、音の干渉による騒音低減を図るアクティブ騒音低減技術は文献提示をするまでもなく、古くから知られている。
特許文献1に記載の従来例は、騒音を騒音センサにより検出するとともに、パネルの騒音による振動を振動検出器により検出して、両センサの出力に基づいて駆動部により、パネルに取付けたアクチュエータを駆動して、騒音と逆位相でパネルを振動せることにより、騒音によるパネルの振動を打ち消すようにパネルの振動をアクティブに制御するものである。そして、アクチュエータとして圧電素子等を用い、これをパネルに貼り付けている
【0003】
【特許文献1】
特開平6-149272号公報 図1
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この構成ではアクチュエータによる加振を行っているため、複雑な振動をしているパネルにおいて、制振できるエリアはアクチュエータ直下のみとなり、広い領域での制振を行うには多数の振動センサとアクチュエータが必要になる。
また、この従来例は非定常信号の音波外乱を制卸するための、駆動部の演算回路の制御アルゴリズムは、信号パワーを逐次推定するLSMアルゴズム(逐次推定LSMアルゴリズム)で溝成している。
しかしながら、逐次推定LSMアルゴリズムは、フィルタ係数、出力信号系列、エラー信号、平均パワー推定値、その他の多くのパラメ一夕を含む数式を実行して、信号パワーを推定し、駆動部を制御するので、パラメータの設定が容易でなく、また、演算速度が入力する騒音に対応する適切なアクティブ制御を実現するには問題があった。
【0005】
また、鉄道車両の車内騒音の低減を目的とした従来のアクティブ騒音低減装置は、動電型スピーカを用いるものである。しかしながら、これまでに実用化された例はなく、試験的に取り組まれている状況である。加えて、超電導磁気浮上式鉄道車両の車内や磁界発生機器を収容する場所周辺は、変動磁界が存在する。従って、内部に鉄(ヨーク)と可動コイルからなるボイスコイルを有する動電型スピーカを用いる従来のアクティブ騒音低減装置は、外来騒音又は内部発生騒音を十分に低減する逆位相の音を発生する際に、上記変動磁界を考慮する必要があるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、第1の課題は、変動磁界の中においても、鉄道車両内空間に侵入する外来騒音十分に低減することが可能な鉄道車両用アクティブ騒音低減装置を提供することにある。
第2の課題は、変動磁界の中においても、騒音又は振動を発生する機器を収容する筐体の表面から出る騒音を十分に低減することが可能な鉄道車両用アクティブ騒音低減装置を提供することにある。
第3の課題は、鉄道車両の走行区間により騒音周波数特性が変化する場合にも、その変化に応して十分な騒音低減効果が得られる鉄道車両用アクティブ騒音低減装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記第1の課題を解決するため、鉄道車両用アクティブ騒音低減装置を、(a1)鉄道車両の車体パネルを構成する外板と内装板の間に配列され、前記外板方向から到来する侵入音の逆位相となる制御音を放射する面が前記内装板に向いている圧電型平面スピーカと、(b1)前記内装板の振動又は侵入音を検出する検出器と、(c1)前記検出器から入力する電気信号に基づいて前記圧電型平面スピーカの出力特性を演算する回路と、特定の制御対象周波数成分を抽出するための適応フィルタと、前記適応フィルタの出力を所要の増幅率をもって増幅するアンプとを含み、前記検出器で検出した前記内装板の振動又は騒音を低減するように前記圧電型平面スピーカを駆動する駆動部と、から構成したことを特徴としている。
【0008】
本発明は、上記第2の課題を解決するため、鉄道車両用アクティブ騒音低減装置を、(a2)車体室内外へ放射音を出しうる搭載機器を収容する筐体内において、前記搭載機器と前記筐体内壁の間に配列され、前記放射音と逆位相となる制御音を放射する面が前記筐体内壁に向いている圧電型平面スピーカと、(b2)前記搭載機器の表面の振動又は騒音を検出する検出器と、(c1)前記検出器から入力する電気信号に基づいて前記圧電型平面スピーカの出力特性を演算する回路と、特定の制御対象周波数成分を抽出するための適応フィルタと、前記適応フィルタの出力を所要の増幅率をもって増幅するアンプとを含み、前記検出器で検出した前記搭載機器の振動又は騒音を低減するように前記圧電型平面スピーカを駆動する駆動部と、から構成したことを特徴としている。
【0009】
そして、本発明は、上記第3の課題を解決するため、上記駆動部が、(c2)検出器から入力する電気信号に基づいて圧電型平面スピーカの出力特性を演算する回路と、特定の制御対象周波数成分を抽出するための通過周波数帯域が異なる複数個の適応フィルタと、前記適応フィルタのうち、走行管理手段から入力する走行区間信号又は走行条件信号に基づき、当該走行区間における騒音周波数特性に対応して予め指定されている適応フィルタを選択するフィルタ選択手段と、前記適応フィルタの出力を所要の増幅率をもって増幅するアンプとからなることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
に、本発明の実施の形態について、添付図面を参考にして説明する。
図1は、本発明に係る鉄道車両用アクティブ騒音低減装置の基本的原理を説明するための概念図である。
【0011】
この鉄道車両用アクティブ騒音低減装置は、騒音源Sから入射する騒音又は振動によりパネルPに発生する振動を検出するための既知の振動検出器1と、パネルPの騒音源S側の面に設けられ、音声信号を入力して騒音と逆位相となる制御音を発生する既知の圧電型平面スピーカ3と、振動検出器1から入力を受けて、所定周波数帯域の音声信号を圧電型平面スピーカ3に入力して駆動する駆動部2とを有している。
【0012】
振動検出器1は、パネル騒音源Sから受ける騒音やそれにより発生する振動を検出して、検出したレベルに対応する電気信号を出力する既知のセンサであり、例えば、マイクロホンあるいは加速度センサが用いられる。
【0013】
圧電平面スピーカ3は、例えば、圧電セラミックス等で構成された振動板を弾性支持体に支持し、その振動板に電極を接続したものであり、電極を介して音声信号を受けると、所定周波数で振動して音波を発生する。騒音源Sから発生する騒音Nの周波数帯域に対応する周波数特性を有する圧電型平面スピーカが選択して用いられ、逆位相音を放射する面を、パネルPの騒音源側の面に対向させ、そのパネルに近接して設置される。
【0014】
駆動部2は、振動検出器1の出力に基づいてパネルPの振動を打ち消すのに必要な特定の周波数特性を有する励起信号を生成し、これを増幅して制御信号として圧電型平面スピーカ3に与えて、これを駆動させるものである。
この駆動部2は例えば、図3のように構成される。図3において、演算回路21と、振動検出器1の出力信号を入力し、パネルの振動を打ち消すに必要な特定の周波数特性を生成する適応フィルタ(以下、AFという。)22と、前記AF22の出力を所要の増幅率をもって増幅するアンプ23と、AF22の出力から振動検出器1までの伝達関数を同定したフィルタ24及び25を有している。
【0015】
演算回路21は、振動検出器1の出力にフィルタ24の処理をした信号と振動検出器1の出力を入力して、例えば最小二乗法を用いて振動検出器1の信号が最小となる演算を行い係数更新信号をAF22に出力し、AF22により制御信号を生成する。制御信号はフィルタ25によって駆動部2の入力にフィードバックされ、AF22の出力信号が圧電型平面スピーカ3と振動検出器1を通って制御系が発振するのを防止する。圧電型平面スピーカ3は、最大面積50mm×50mm程度であり、最大出力音圧は約70dB(0.3mm離れ)程度である。従って、入力騒音によるパネルの振動を打ち消すには、単位面積約1.3m2 当たり、窓部分を除き約130個程度を配置すると良い。また、AF22の出力からこのスピーカを通って、振動検出器1までの伝達関数は例えば図2に示すようなものである。この特性は外装板から到来する騒音の周波数を十分カバーできることが確認されている。
【0016】
上記のように構成されている騒音低減装置は、図1に示すように、振動検出器1が侵入騒音Nによるパネルの振動を検出して、その振動レベルに応じた電気信号を騒動部2に入力すると、駆動部2は、演算回路21が最小二乗法などにより制御信号の生成を行い、AF22は振動検出器1からの電気信号のうち特定の周波数特性を持った制御音を出力し、これを制御信号として圧電型平面スピーカに入力する。
圧電型平面スピーカ3は、入力した制御信号に従い、パネルPの側の面からはその逆位相音(制御音S)を放射する。そのため、図1に太い実線矢印で大きさが表された原騒音Nのうち圧電型平面スピーカ3を透過したもの(透過音)は、図1に点線矢印で大きさが表された制御音Sにより、図1に細い実線矢印で表されたように減衰される。すなわち、パネルを透過する騒音又はパネルから発生する騒音N’は弱いものとなる。
【0017】
図4は、本発明を超電導磁気浮上式鉄道車両その他の鉄道車両の車内騒音低減用に適用した騒音低減装置の構成を概略的に示す模式図である。
図4において、H1は鉄道車両の車体パネルを構成し、客室、通路又は出入り口などを車外から隔絶するものである。車体パネルH1は、外板(又は外壁)P1と、内装板P2とを有する。
【0018】
そして、本発明の所期の目的を達成するため、内装板P2の振動を検出するための振動検出器1が取付けられ、外板P1と内装板P2の間において内装板P2に近接させて圧電型平面スピーカ3が備えられ、車両内の任意の位置に、振動検出器1からの入力に基づいて圧電型平面スピーカ3を駆動させる駆動部2が設けられている。圧電型平面スピーカ3は、駆動部2からの制御信号に基づき振動板から逆位相の音を放射する面を内装板2Pに向けて取付けられている。
駆動部2は、振動検出器1で検出した内装板12の振動が最小になるように、圧電型平面スピーカ3からの放射音を制卸する。このために、演算回路21は振動検出器からの信号に基づいて最小二乗法のような演算を行う。
【0019】
こうして、外板P1の外から車体パネルH1内に侵入した騒音は圧電型平面スピーカ3を透過するが、その圧電型平面スピーカ3から内装板2Pに向けて制御音が放射されるので、圧電型平面スピーカ3を透過した侵入音による内装板2Pの振動、すなわち、騒音は、逆位相の音により打ち消されるため、低減される。
【0020】
上記の実施の形態によれば、外板1と内装板2の間に圧電型平面スピーカ3を設けた構造であるので、軽量薄型タイプの鉄道車両用アクティブ騒音低減装置を提供することができ、さらに圧電型平面スピーカ3は、動電型スピーカと異なり、変動磁界の影響を受けるヨークや可動コイルを有しないので、変動磁界が存在する超電導磁気浮上式鉄道車両において有効確実な騒音低減が可能である。また、圧電型平面スピーカ3からの制御音は、圧電型平面スピーカ自身を透過した騒音を制御対象とするため、騒音と制御音の波面を一致させることができるので、確実な騒音低減効果が得られる。
【0021】
図5は、本発明騒音発生機器を収容する筐体に、その表面からの騒音発生を抑制するために適用した鉄道車両用アクティブ騒音低減装置の構成を概略的に示す模式図である。 H2は騒音又は振動を発生する機器を収容する筐体であり、その内壁面に振動検出器1が取付られている。この振動検出器を設ける位置及び数は、筐体H2の振動を検出して抑制するに必要な場所及び数である。また、筐体H2の内側には、騒音発生機器Mの周囲の筐体H2の内壁面に近い位置において、圧電型平面スピーカ3が筐体H2の内壁面と平行な平面を形成するように、また、逆位相音の放射面を筐体H2の内壁面に向けて配設されている。そして、各振動検出器1と各圧電型平面スピーカ3は、それぞれ筐体H2内又は外の任意の位置に備えられた駆動部2の入力端子及び出力端子に電気的に接続されている。駆動部2は、図3と同一の構成を複数個有するものである。
【0022】
上記構成により、筐体H2内の騒音発生機器Mから出る騒音又は振動により筐体H2が振動する時は、その振動が各振動検出器1により検出され、その検出値に対応する出力が駆動部2に入力される。駆動部2は、各振動検出器1から入力した電気信号に基づいて、演算回路21、AF22及びアンプ23により、特定の制御対象周波数を抽出し、その振動周波数に対応する音声信号を増幅して出力し、それぞれ対応する圧電型平面スピーカ3に与える。
【0023】
これに基づき、各圧電型平面スピーカ3は、その入力した音声信号に基づいて所定周波数の騒音と逆位相の音を筐体H2に向けて放射する。従って、筐体H2の騒音による振動が抑制される。この実施の形態によれば、例えば、超電導浮上式鉄道車両内などの変動磁界環境内の騒音又は騒音発生機器による騒音又は振動の低減が可能である。
【0024】
続いて、本発明をさらに発展させた実施の形態について説明する。
この実施の形態は、上記第1の実施の形態において、駆動部2の駆動を、当該鉄道車両の走行制御装置など走行管理手段から供給される走行条件信号に基づいて制御するようにしたものである。さらに詳述すると、走行条件信号とは、列車速度、トンネル内走行、トンネル外走行(明り走行)、すれ違い走行、橋上走行などを示す信号の少なくとも一つであり、当該列車の走行区間について予め設定されているものであり、当該列車の現実の走行区間に達した時に駆動部2に入力される。駆動部2は、これらをパラメータとして駆動部の制御信号を生成するものである。
【0025】
列車走行条件と、列車内騒音と、上記パラメータとの間には相関関係が存在していることが、これまでの列車内騒音測定結果等により認められている。
例えば、図6に例示するように、列車の走行管理手段には、各走行区間A1,A2…に対して、明り走行(開放区間の走行)、トンネル内走行、橋上走行、高速走行、すれ違い走行、などの走行条件が予め設定されているが、各走行条件における騒音周波数特性は、事前の計測により知られている。それぞれを図6ではf1,f2…とする。
そこで、この実施の形態における駆動部2には、図7に示すように、演算回路21の後段に、通過周波数が異なる複数個のAF1,AF2…とフィルタ選択回路24を設ける。AF1,AF2…の通過周波数帯域は、各走行区間における特定の騒音周波数特性に対応する。また、フィルタ選択回路24は、AF1,AF2…のうち、現実の走行区間において走行管理装置4からの走行区間又は走行条件を認識する出力に基づき、その走行条件出力に対応する特定のAFを選択する
【0026】
上記構成により、列車が、列車に振動が発生しやすい所定の走行区間を走行する時は、走行管理装置4からの走行条件出力に基づき、フィルタ選択回路24が当該走行条件に対応する特定のAFを選択する。従って、振動検出器1からの振動検知出力のうち、特定の制御対象周波数がその特定のAFにより抽出され、そのフィルタからの出力がアンプ23により振動の打ち消しに必要な強さに増幅されて各圧電型平面スピーカ3に入力されることにより、特定の制御対象周波数と共通の周波数帯域の逆位相の音が列車車両の内装板に向けて放射され、内装板の振動又はその振動に基づく騒音が打ち消される。従って、その列車内の騒音が軽減される。
【0027】
従って、当該列車のその時々の走行条件において伝搬すると予想される周波数及びレベルの異なる騒音を、各圧電型平面スピーカから放射される音により、有効に低減することができる。
この実施の形態の場合は、駆動部は、超高速で走行する際の予め決まっている走行条件の変化にも瞬時に対応することが可能となり、振動検出器を使用して、その検出値を走行条件に基く制御量に加味することにより、一層有効かつ確実な騒音低減を実現することができる。
【0028】
【発明の効果】
上述のように、請求項1の発明によれば、鉄道車両の車体パネルを構成する外板と内装板の間に、圧電型平面スピーカを、前記外板方向から到来する侵入音の逆位相となる制御音を放射する面を前記内装板に向けて配列するので、圧電型平面スピーカからの制御音は圧電型平面スピーカ自身を透過した騒音を制御対象とするため、騒音と制御音の波面を一致させることが可能となるので、鉄道車両の車体パネルから侵入する騒音に対して確実な騒音低減効果が得られる。また、アクチュエータとして電動型スピーカを用いる従来技術と異なり、変動磁界の存在する環境の中でも、その影響を受けずに騒音低減が可能である。
【0029】
請求項の発明によれば、車体室内外へ放射音を出しうる搭載機器を収容する筐体内において、前記搭載機器と前記筐体内壁の間に圧電型平面スピーカを、前記放射音と逆位相となる制御音を放射する面を前記筐体内壁に向けて配列するので、圧電型平面スピーカからの制御音は圧電型平面スピーカ自身を透過した騒音を制御対象とするため、騒音と制御音の波面を一致させることが可能となるので、搭載機器から放射される騒音に対して確実な騒音低減効果が得られる。請求項2の発明においても、変動磁界の存在する環境の中でも、その影響を受けずに騒音低減が可能である。
【0030】
請求項3の発明によれば、列車の走行区間により速度の変化が予め決まっている状況下で、周波数特性が異なる騒音の発生に対してダイナミックに対応して鉄道車両の車体パネルから侵入する騒音又は搭載機器から放射される騒音の低減が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 鉄道車両用アクティブ騒音低減装置の構成を概念的に示すブロック図。
【図2】 圧電型平面スピーカから振動検出器までの伝達特性の一例を示すグラフ。
【図3】 駆動部の構成の一例を示すブロック図。
【図4】 本発明の実施の形態である鉄道車両用アクティブ騒音低減装置の構成を概略的に示す模式図。
【図5】 本発明の他の実施の形態である鉄道車両用アクティブ騒音低減装置の構成を概略的に示す模式図。
【図6】 各走行区間における列車走行条件と騒音周波数特性との関係を例示する表。
【図7】 本発明のさらに他の実施の形態である鉄道車両用アクティブ騒音低減装置で用いる駆動部の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
N 騒音源
S 制御音
P 制御対象パネル
H1 車体構体
11 車体構体外板
12 内装パネル
H2 機器筐体
M 機器内部装置
1 振動検出器
2 駆動部
21 演算回路
22 適応フィルタ(AF)
221、222,223 適応フィルタ(AF)
23 アンプ
24 フィルタ選択回路
3 圧電型平面スピーカ
4 走行管理装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6