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明細書 :転てつ機

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4093881号 (P4093881)
公開番号 特開2004-262371 (P2004-262371A)
登録日 平成20年3月14日(2008.3.14)
発行日 平成20年6月4日(2008.6.4)
公開日 平成16年9月24日(2004.9.24)
発明の名称または考案の名称 転てつ機
国際特許分類 B61L   5/02        (2006.01)
E01B   7/02        (2006.01)
FI B61L 5/02
E01B 7/02
請求項の数または発明の数 1
全頁数 15
出願番号 特願2003-055852 (P2003-055852)
出願日 平成15年3月3日(2003.3.3)
審査請求日 平成17年7月22日(2005.7.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000001292
【氏名又は名称】株式会社京三製作所
発明者または考案者 【氏名】櫻井 育雄
【氏名】五十嵐 義信
【氏名】乙川 勝嘉
【氏名】山口 雅弘
【氏名】今井 英明
個別代理人の代理人 【識別番号】100084261、【弁理士】、【氏名又は名称】笹井 浩毅
審査官 【審査官】▲高▼木 真顕
参考文献・文献 特開2002-212902(JP,A)
特開2001-163221(JP,A)
特開2000-289618(JP,A)
特開2000-168558(JP,A)
実開昭59-140961(JP,U)
調査した分野 B61L 5/00 - 7/10
E01B 7/02
特許請求の範囲 【請求項1】
線路の分岐器の近傍でトングレールを定位と反位とに転換させる転てつ機において、
前記トングレールを定位と反位とに転換可能な動作かんと、前記トングレールに連動する鎖錠かんと、該鎖錠かんに係脱可能な一対のロックピースと、前記動作かんに連動して前記一対のロックピースをそれぞれ駆動する一対の連動機構とを備え、
前記鎖錠かんは、両側方向で重なるように一対配され、
前記一対の鎖錠かんの一方は、両側方向の一方へ開口する被鎖錠部を有し、
前記一対の鎖錠かんの他方は、両側方向の他方へ開口する被鎖錠部を有し、
前記一対のロックピースの一方は、前記一方の鎖錠かんの被鎖錠部に両側方向の一方から係合する鎖錠位置と前記一方の鎖錠かんの被鎖錠部から両側方向の一方へ離脱する解錠位置とに変位し、
前記一対のロックピースの他方は、前記他方の鎖錠かんの被鎖錠部に両側方向の他方から係合する鎖錠位置と前記他方の鎖錠かんの被鎖錠部から両側方向の他方へ離脱する解錠位置とに変位し、
前記一対の連動機構は、互いに独立して、前記動作かんの両側にそれぞれ配され、
前記一対の連動機構は、それぞれカム溝と、アームと、カムフォロアと、付勢手段とを有し、
前記一対の連動機構の一方のカム溝は、前記動作かんの両側縁部の一方に凹設され、
前記一対の連動機構の一方のアームは、前記カムフォロアと前記ロックピースとを連接し、
前記一対の連動機構の一方のカムフォロアは、前記カム溝に入り込むことで、前記アームを介して前記ロックピースを解錠位置から鎖錠位置に駆動する一方、前記カム溝から乗り上がることで、前記アームを介して前記ロックピースを鎖錠位置から解錠位置に駆動し、
前記一対の連動機構の一方の付勢手段は、前記動作かんの両側縁部の一方側に配されていて、前記アームを介して前記カムフォロアを前記カム溝に入り込む方向へ付勢し、
前記一対の連動機構の他方のカム溝は、前記動作かんの両側縁部の他方に凹設され、
前記一対の連動機構の他方のアームは、前記カムフォロアと前記ロックピースとを連接し、
前記一対の連動機構の他方のカムフォロアは、前記カム溝に入り込むことで、前記アームを介して前記ロックピースを解錠位置から鎖錠位置に駆動する一方、前記カム溝から乗り上がることで、前記アームを介して前記ロックピースを鎖錠位置から解錠位置に駆動し、
前記一対の連動機構の他方の付勢手段は、前記動作かんの両側縁部の他方側に配されていて、前記アームを介して前記カムフォロアを前記カム溝に入り込む方向へ付勢し
前記一対の連動機構の各カムフォロアは、前記トングレールの転換中の中立時に前記動作かんに直交する同一線上に存在するよう配置した
ことを特徴とする転てつ機。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、線路の分岐器の近傍でトングレールを定位と反位とに転換させる転てつ機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、線路の分岐器の近傍でトングレールを定位と反位とに転換させる転てつ機のうち、図13のように、動作かんと鎖錠かんとが直角方向に交わり、動作かんの動作方向がレールと並行方向であるような転てつ機としては、例えば、一対の鎖錠かんが両側方向で重なるように配され、動作かんに連動して一対のロックピースを各鎖錠かんの被鎖錠部に係脱可能にする一対の連動機構を備え、一対の連動機構を動作かんの両側に配するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】
特開2002-212902号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の転てつ機では、一対の連動機構の付勢手段である緩衝ばねの各々が動作かんの両側方向の一方側と、両側方向の他方側とにそれぞれ配されているため、各緩衝ばねを動作かんを横断するように配する必要があるため、動作かんの上方や下方に緩衝ばねを配するためのスペースを確保する必要があって、一対の連動機構を高さ方向で小型にすることができない。また、動作かんを横断するように緩衝ばねを配すると、一対の連動機構の一方のカムフォロアやアームと、一対の連動機構の他方のカムフォロアやアームとがその緩衝ばねを中心にして対称的に配されるようになる上に、緩衝ばねを中心にして、動作かんの長手方向に広がって配されるようになる。それにより、各カムフォロアが動作かんの長手方向で広がって配される分だけ、各カムフォロアをそれぞれ入り込ませるための各カム溝の間隔も動作かんの長手方向で広がるので、カム溝を凹設する動作かんが長手方向で長くなる。したがって、緩衝ばねを共用するために、動作かんを横断するように配すると、一対の連動機構が動作かんの長手方向で大型になるという問題点があった。
【0004】
本発明は、このような従来技術が有する問題点に着目してなされたもので、連動機構を独立させることで、その機構を高さ方向および動作かんの長手方向で小型にすることができる転てつ機を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の項の発明に存する。
[1]線路の分岐器の近傍でトングレール(T)を定位と反位とに転換させる転てつ機において、
前記トングレール(T)を定位と反位とに転換可能な動作かん(40)と、前記トングレール(T)に連動する鎖錠かん(51、52)と、該鎖錠かん(51、52)に係脱可能な一対のロックピース(61、62)と、前記動作かん(40)に連動して前記一対のロックピース(61、62)をそれぞれ駆動する一対の連動機構とを備え、
前記鎖錠かん(51、52)は、両側方向で重なるように一対配され、
前記一対の鎖錠かん(51、52)の一方は、両側方向の一方へ開口する被鎖錠部(53、54)を有し、
前記一対の鎖錠かん(51、52)の他方は、両側方向の他方へ開口する被鎖錠部(53、54)を有し、
前記一対のロックピース(61、62)の一方は、前記一方の鎖錠かん(51)の被鎖錠部(53)に両側方向の一方から係合する鎖錠位置と前記一方の鎖錠かん(51)の被鎖錠部(53)から両側方向の一方へ離脱する解錠位置とに変位し、
前記一対のロックピース(61、62)の他方は、前記他方の鎖錠かん(52)の被鎖錠部(54)に両側方向の他方から係合する鎖錠位置と前記他方の鎖錠かん(52)の被鎖錠部(54)から両側方向の他方へ離脱する解錠位置とに変位し、
前記一対の連動機構は、互いに独立して、前記動作かん(40)の両側にそれぞれ配され、
前記一対の連動機構は、それぞれカム溝(45、46)と、アーム(81~83)と、カムフォロア(70)と、付勢手段(80)とを有し、
前記一対の連動機構の一方のカム溝(45)は、前記動作かん(40)の両側縁部の一方に凹設され、
前記一対の連動機構の一方のアーム(81~83)は、前記カムフォロア(70)と前記ロックピース(61)とを連接し、
前記一対の連動機構の一方のカムフォロア(70)は、前記カム溝(45)に入り込むことで、前記アーム(81~83)を介して前記ロックピース(61)を解錠位置から鎖錠位置に駆動する一方、前記カム溝(45)から乗り上がることで、前記アーム(81~83)を介して前記ロックピース(61)を鎖錠位置から解錠位置に駆動し、
前記一対の連動機構の一方の付勢手段(80)は、前記動作かん(40)の両側縁部の一方側に配されていて、前記アーム(81~83)を介して前記カムフォロア(70)を前記カム溝(45)に入り込む方向へ付勢し、
前記一対の連動機構の他方のカム溝(46)は、前記動作かん(40)の両側縁部の他方に凹設され、
前記一対の連動機構の他方のアーム(81~83)は、前記カムフォロア(70)と前記ロックピース(62)とを連接し、
前記一対の連動機構の他方のカムフォロア(70)は、前記カム溝(46)に入り込むことで、前記アーム(81~83)を介して前記ロックピース(62)を解錠位置から鎖錠位置に駆動する一方、前記カム溝(46)から乗り上がることで、前記アーム(81~83)を介して前記ロックピース(62)を鎖錠位置から解錠位置に駆動し、
前記一対の連動機構の他方の付勢手段(80)は、前記動作かん(40)の両側縁部の他方側に配されていて、前記アーム(81~83)を介して前記カムフォロア(70)を前記カム溝(46)に入り込む方向へ付勢し
前記一対の連動機構の各カムフォロア(70)は、前記トングレール(T)の転換中の中立時に前記動作かん(40)に直交する同一線上に存在するよう配置した
ことを特徴とする転てつ機。
【0006】
次に、前記各項に記載された発明の作用を説明する。
動力によりピニオン(20)が回転すると、ピニオン(20)に噛合するラック(30)が繰り込みあるいは繰り出され、ラック(30)を固設した動作かん(40)が所定ストロークして、その転換力によりトングレール(T)を定位と反位とに転換する。このようにラック・ピニオン機構を採用したので、トングレール(T)を転換するための動作かん(40)の転換力は前記ストロークに対し一定になる。トングレール(T)を定位と反位とに転換すると、トングレール(T)に鎖錠かん(51、52)が連動する。
【0007】
動作かん(40)に連動して一対のロックピース(61、62)をそれぞれ駆動する一対の連動機構が設けられている。具体的には、動作かん(40)によりトングレール(T)を反位から定位に転換するとき、カム溝(45)が動作かん(40)と一体的に移動して、カムフォロア(70)の所まで移動すると、付勢手段(80)の付勢力によってカムフォロア(70)がカム溝(45)に入り込む。そのカムフォロア(70)にアーム(81~83)を介して一方のロックピース(61)が連動する。このとき、一方の鎖錠かん(51)の被鎖錠部(53)が一方のロックピース(61)の所に移動してきて、一方のロックピース(61)が一方の鎖錠かん(51)の被鎖錠部(53)に両側方向の一方から付勢手段を介して係合し、トングレール(T)を定位に拘束する。ロックピース(61)がトングレール(T)を定位に拘束するときに、ロック狂いによって、一方のロックピース(61)が一方の鎖錠かん(51)の被鎖錠部(53)に係合していないとき、付勢手段(80)の付勢力によってカムフォロア(70)がカム溝に入り込み、ロックピース(61)が被鎖錠部(53)に係合しようとするが、このときロックピース(61)が鎖錠かん(51)の側面に当たり、付勢力があるにもかかわらずカムフォロア(70)がそれ以上カム溝に入り込まないため、ロックピース(61)が被鎖錠部(53)に強引に係合するようなことがなく、ロックピース(61)や被鎖錠部(53)が損傷することはない。
【0008】
一方、トングレール(T)が定位にあるとき、動作かん(40)が転換動作することで、カムフォロア(70)に対しカム溝(45)が移動し、カムフォロア(70)がカム溝(45)から乗り上がる。そのカムフォロア(70)にアーム(81~83)を介してロックピース(61)が連動して、ロックピース(61)が一方の鎖錠かん(51)の被鎖錠部(53)から両側方向の一方へ離脱し、トングレール(T)を定位から反位へ転換可能に解錠する。ロックピース(61)がトングレール(T)を解錠するときに、トングレール(T)が動いてロックピース(61)と被鎖錠部(53)がひっかかっていても、カムフォロア(70)がカム溝(45)から乗り上がりロックピース(61)が被鎖錠部(53)から強制的に離脱するようになる。被鎖錠部(53)から離脱するロックピース(61)にアーム(81~83)が連動するため、アーム(81~83)は付勢手段(80)の付勢力に対抗して作動する。このとき、付勢手段(80)である例えばばねは撓むだけである。
【0009】
動作かん(40)によりトングレール(T)を定位から反位へ転換すると、カム溝(46)が動作かん(40)と一体的に移動して、カムフォロア(70)の所まで移動すると、付勢手段(80)の付勢力によってカムフォロア(70)がカム溝(46)に入り込む。そのカムフォロア(70)にアーム(81~83)を介して他方のロックピース(62)が連動する。このとき、他方の鎖錠かん(52)の被鎖錠部(54)が他方のロックピース(62)の所に移動してきて、他方のロックピース(62)が他方の鎖錠かん(52)の被鎖錠部(54)に両側方向の他方から付勢手段の付勢力によって係合し、トングレール(T)を反位に拘束する。ロックピース(62)がトングレール(T)を反位に拘束するときにも、前述したロックピース(61)がトングレール(T)を定位に拘束するときと同様な原理で、ロック狂いによって、ロックピース(62)が被鎖錠部(54)に強引に係合することがなく、ロックピース(62)や被鎖錠部(54)が損傷することはない。また、トングレール(T)が動いてロックピース(62)と被鎖錠部(54)がひっかかっていても、前述したトングレール(T)が動いてロックピース(61)と被鎖錠部(53)がひっかかったときと同様な原理でロックピース(62)が被鎖錠部(54)から強制的に離脱するようになる。
【0010】
また、一対の連動機構の付勢手段(80)の各々が動作かん(40)の両側方向の一方側と、両側方向の他方側とにそれぞれ配されているため、各付勢手段(80)を動作かん(40)を横断するように配する必要がなく、動作かん(40)の上方や下方に付勢手段(80)を配するためのスペースを確保する必要もないので、一対の連動機構を高さ方向で小型にすることができる。
さらに、本発明では、一対の連動機構の一方の付勢手段(80)は、動作かん(40)の一方側に配されていて、一対の連動機構の他方の付勢手段(80)は、動作かん(40)の他方側に配されているので、一対の連動機構の一方のカムフォロア(70)やアーム(81~83)と、一対の連動機構の他方のカムフォロア(70)やアーム(81~83)とをその付勢手段(80)を中心にして対称的に配するような制限がないばかりか、一対の連動機構の各カムフォロア(70)を、前記トングレール(T)の転換中の中立時に前記動作かん(40)に直交する同一線上に存在するよう配置して、動作かん(40)の長手方向で可能な限り近づけて配してあるので、一対の連動機構を動作かん(40)の長手方向で小型にすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図1~図8に基づき本発明の一実施の形態を説明する。図1は転てつ機の要部分解斜視図、図2は転てつ機の内部構造を示す平面図である。
【0012】
図1および図2に示すように、転てつ機10は線路の分岐器(図示省略)の傍らに設けられている。分岐器は主レールにトングレールTが転換可能に設けられて成る。
【0013】
転てつ機10は、動力源であるモータMと、箱形のケース11とを有し、ケース11内には、セクタギアであるピニオン20、ラック30および、ロックピース61、62が設けられている。また、ケース11には鎖錠かん51、52がケース11内部の一側に挿通可能に支持されている。
【0014】
ケース11内部の他側には、減速機構が設けられている。減速機構は、モータMの出力軸に固設された小ベベルギア12、小ベベルギア12に噛合する大ベベルギア13、回転軸を大ベベルギア13と同じ手回しピニオン軸14とした小ギア15、その小ギア15に噛合する大ギア16、その大ギア16と同一の回転軸をもつ中継ギア17、その中継ギア17に噛合する中間ギア18が配されている。中間ギア18と同一の回転軸にピニオン20が支持されている。すなわち、モータMの動力が減速機構を介してピニオン20に伝達可能に構成されている。
【0015】
動作かん40の一端部は、ケース11の外部へ出没可能に支持されている。また、動作かん40の一端部は図示省略したアジャストロッドを介してトングレールTに接続されていて、トングレールTを定位と反位とに転換動作可能なものである。
【0016】
動作かん40にはラック30が形成されている。ラック30は動作かん40の両側縁の一方に形成されている。その動作かん40の両側縁の一方には、ラック30に噛合可能なピニオン20が配されている。すなわち、ピニオン20は、ラック30を繰り込みあるいは繰り出すことで動作かん40を介してトングレールTを定位と反位とに転換するものである。
【0017】
鎖錠かん51、52の一対は両側方向に重なるように配されている。一対の鎖錠かん51、52の一端部は、図外の接続かんを介してトングレールTに接続されている。一対の鎖錠かん51、52の各中間部には、被鎖錠部53、54がそれぞれ設けられている。鎖錠かん51の被鎖錠部53は、両側方向の一方に開口し、鎖錠かん52の被鎖錠部54は両側方向の他方に開口している。
【0018】
また、ロックピース61、62の各先端部には、鎖錠部63、64が凸設されている。ロックピース61の鎖錠部63が鎖錠かん51の被鎖錠部53に嵌合することにより、鎖錠かん51を介して、トングレールTを定位に拘束する一方、ロックピース62の鎖錠部64が鎖錠かん52の被鎖錠部54に嵌合することにより、鎖錠かん52を介して、トングレールTを反位に拘束するものである。
【0019】
動作かんに連動して一対のロックピース61、62を駆動するための一対の連動機構が、ロックピース61、62の両側に配されている。各連動機構は、カム溝45、46と、照査軸85と、アーム81~83と、カムフォロア70と、照査ばねである付勢手段とを有して成る。
【0020】
カム溝45、46は、動作かん40の両側縁部にそれぞれ形成されている。アーム81~83は一体的に形成されている。アーム81~83は照査軸85回りに回動可能に支持され、照査軸85から3方向にそれぞれ延設されている。アーム81の先端部にはカムフォロア70が回転可能に支持されている。
【0021】
アーム82とケース11側との間にはコイル形状の付勢手段(照査ばね)80が圧縮状態で架設されている。アーム83の先端部にはローラ84が支持され、そのローラ84がロックピース61の案内溝65に係合している。
【0022】
付勢手段がアーム82を介して付勢で、カムフォロア70がカム溝45、46に入り込むことにより、ロックピース61、62の鎖錠部63、64が鎖錠かん51、52の被鎖錠部53、54に係合して、トングレールTの転換を阻止する鎖錠位置と、カムフォロア70がカム溝45、46から動作かんの側縁部に乗り上がることにより、アーム82を介してロックピース61、62の鎖錠部63、64が鎖錠かん51、52の被鎖錠部53、54から外れてトングレールTを転換可能にする解錠位置とにロックピース61、62が変位するものである。
【0023】
具体的には、ロックピース61の鎖錠部63が鎖錠かん51の被鎖錠部53に両側方向の一方(図1においてA1方向)から係脱し、ロックピース62の鎖錠部64が鎖錠かん52の被鎖錠部54に両側方向の他方(図1においてA2方向)から係脱するものである。
【0024】
ピニオン20はその円周方向にラック30に噛合する噛合部22とラック30に噛合しない非噛合部24とを有して成る。噛合部22は、動作かん40の転換動作するストローク分に相当する歯22aを形成して成る。ピニオン20のピッチ円に対し、噛合部22に相当する部分の周長が動作かん40の転換動作するストローク量に一致している。
【0025】
動作かん40には被当接部材90が固設されている。被当接部材90に対応してストッパ26が設けられている。ストッパ26は、トングレールTが定位から反位に転換しないように被当接部材90の一部分に当接可能に配される一方、トングレールTが反位から定位に転換しないように被当接部材90の他の一部分に当接可能に配されている。
【0026】
具体的には、ストッパ26はピニオン20に固定されている。ストッパ26は半円形の板片であって、円弧部27と直線部28とからなり、円弧部27と直線部28との間が角部29になっている。実施の形態ではストッパ26はピニオン20に一体的に形成されていて、ピニオン20の回転軸を同心にして回転可能に構成されている。
【0027】
被当接部材90は矩形状に形成され、その被当接部材90の4隅であって、ピニオン20側の2つの隅は、円弧部27とほぼ同じ円弧の形で面取りされた凹部91、92が形成されている。すなわち、ストッパ26の角部29が被当接部材90の一部分である一方の凹部91に当接することで、トングレールTが定位から反位に転換しないよう形成され、ストッパ26の角部29が被当接部材90の他の一部分である他方の凹部92に当接することで、トングレールTが反位から定位に転換しないよう形成されている。
【0028】
次に、図3~図8に基づいて、前記実施の形態の作用を説明する。図3~図8は、転てつ機の各部品の各々の動作を示す動作状態説明図である。
【0029】
図3aに示すように、トングレールTは例えば、定位にあって、ロックピース61の鎖錠部63が鎖錠かん51の被鎖錠部53に両側方向の一方から嵌合している。それにより、トングレールTは定位に拘束されている。
【0030】
また、図3bに示すように、カムフォロア70は、動作かん40のカム溝45に入り込んでいる。また、動作かん40がストッパ壁95に当接可能になっている。さらに、図8aに示すように、ストッパ26の角部29が被当接部材90の凹部91に当接している。ストッパ壁95およびストッパ26の角部29により、動作かん40を介してトングレールTを定位から反位に転換しないようにしている。
【0031】
回転指令でモータMが回転開始すると、その動力が小ベベルギア12~中間ギア18に伝達され、中間ギア18と同一回転軸を有するピニオン20が回転する。ピニオン20と一体的にストッパ26が回転し、ストッパ26の円弧部27が被当接部材90の凹部91に沿うように変位する。このとき、ピニオン20の噛合部22はラック30に噛合していない。
【0032】
さらに、モータMが回転すると、図4および図8bに示すように、ストッパ26の円弧部27が被当接部材90の凹部91から抜け出て、ストッパ26の角部29が被当接部材90の凹部91から外れるようになる。それにより、動作かん40の転換動作が可能になる。
【0033】
さらに、モータMが回転すると、図5a、bに示すように、ピニオン20の噛合部22がラック30に噛合して、ラック30を繰り込みあるいは繰り出し、動作かん40が転換動作する。例えば鎖錠中にトングレールTが動いて、ロックピース61の鎖錠部63が鎖錠かん51の被鎖錠部53に引っかかっていても、カムフォロア70がカム溝45から動作かん40の側縁部に乗り上がることで、第1アーム81が照査軸85を回転させ、照査軸85の回転でローラ84がロックピース61の案内溝65の溝壁を押して、ロックピース61が鎖錠位置から解錠位置へ強制的に変位し、ロックピース61の鎖錠部63が鎖錠かん51の被鎖錠部53から両側方向の一方(図5aでB1方向)へ離脱し、トングレールTが定位から反位の方へ転換可能になる。このロックピース61の強制的な変位によりアーム82が連動するが、コイルばねである付勢手段80が撓むだけである。
【0034】
さらに、モータMが回転すると、図6に示すように、ピニオン20の噛合部22がラック30をさらに繰り込みあるいは繰り出して、動作かん40が転換動作し、トングレールTが定位から反位の方へ転換する。
【0035】
モータMが回転し、トングレールTが反位に転換すると、カム溝46がカムフォロア70の所に移動し、付勢手段80がアーム82を介してカムフォロア70を付勢する力により、図7に示すように、カムフォロア70がカム溝46に入り込む。それにより、第1アーム81が照査軸85を回転させ、照査軸85の回転でローラ84がロックピース62の案内溝66の溝壁を押して、ロックピース62が解錠位置から鎖錠位置に変位し、ロックピース62の鎖錠部64が鎖錠かん52の被鎖錠部54に両側方向の他方から係合し、鎖錠かん52を介してトングレールTを反位に拘束する。トングレールTが反位に転換すると同時に、ピニオン20の噛合部22がラック30から外れ、動作かん40の転換動作が終了する。
【0036】
ロックピース62の鎖錠部64が鎖錠かん52の被鎖錠部54に両側方向の他方から係合しようとするとき、係合させる力を付勢手段によって発生させているので、例えばロック狂いが発生し、ロックピース62の鎖錠部64が鎖錠かん52の被鎖錠部54に係合できない位置関係にある場合でも、ロックピース62が鎖錠かん52の側面に当たり、カムフォロア70がカム溝46に入り込まないので、アーム81が照査軸85を回転させることはなく、ロックピース62を無理に解錠位置から鎖錠位置に変位させることがなく、鎖錠部64や被鎖錠部54の損傷を防止することができる。
【0037】
続いて、モータMが回転し、ストッパ26の円弧部27が被当接部材90の凹部92に沿って変位し、やがて、図8cに示すように、ストッパ26の角部29が被当接部材90の凹部92に当接可能になる。前後して、被当接部材90がストッパ壁96に当接可能になる。ストッパ26の角部29とストッパ壁96により、動作かん40を介してトングレールTを反位に拘束し、かつ、その拘束状態を維持することができる。
【0038】
また、ストッパ26はピニオン20に固定されており、ピニオン20に噛合するラック30は動作かん40に固設され、その動作かん40に被当接部材90が固定されているので、ピニオン20の回転位置に基づいて、ストッパ26と被当接部材90との相対的な位置を簡単に決めることができ、ストッパ26を被当接部材90に当接可能な位置あるいは当接不能な位置に正確に変位させることができ、ストッパ26は、動作かん40を介してトングレールTを定位あるいは反位に確実に維持することができるという利点がある。
【0039】
一方で、トングレールTが定位にあるとき、ピニオン20が回転すると、その噛合部22がラック30に噛合することで、動作かん40が繰り出しあるいは繰り込まれ、トングレールTが定位から反位に転換される。一方、トングレールTが反位に転換した後では、ピニオン20が回転しても、その非噛合部24はラック30に噛合していないから、動作かん40が繰り出しあるいは繰り込まれることはなく、トングレールTも転換されない。
【0040】
このピニオン20の噛合部22は、動作かん40の転換動作するストローク分に相当する歯22aを形成して成り、すなわち、ピニオン20のピッチ円において噛合部22の歯22aが形成された部分の周長が動作かん40のストローク量に一致しているので、ピニオン20の噛合部22がラック30から抜けると動作かん40の転換動作が終了するようになり、動作かん40のストローク量を簡単に確保することができる。
【0041】
トングレールTを反位から定位にするには、モータMを逆転すればよい。それにより、ロックピース62が鎖錠位置から解錠位置に変位し、ストッパ26の角部29が被当接部材90の凹部92から外れ、トングレールTが転換可能になり、動作かん40が転換動作して、トングレールTを反位から定位に転換する。
【0042】
ロックピース62の鎖錠部64が鎖錠かん52の被鎖錠部54から外れようとするとき、例えば鎖錠中にトングレールが動いて、ロックピース62の鎖錠部64が鎖錠かん52の被鎖錠部54に引っかかっていても、カムフォロア70がカム溝46から動作かん40の側縁部に乗り上がることで、アーム82が照査軸85を回転し、照査軸85の回転でローラ84が案内溝66の溝壁を押し、ロックピース62が鎖錠位置から解錠位置へ強制的に変位し、ロックピース62の鎖錠部64が鎖錠かん52の被鎖錠部54から両側方向の他方へ離脱し、トングレールTが反位から定位の方へ転換可能になる。このロックピース62の強制的な変位によりアーム82が連動するが、コイルばねである付勢手段80が撓むだけである。
【0043】
トングレールTが反位から定位に転換すると、カム溝45がカムフォロア70の所に移動し、付勢手段80がアーム82を介してカムフォロア70を付勢する力により、図3bに示すように、カムフォロア70がカム溝45に入り込む。それにより、第1アーム81が照査軸85を回転させ、照査軸85の回転でローラ84がロックピース61の案内溝65の溝壁を押して、ロックピース61が解錠位置から鎖錠位置に変位し、ロックピース61の鎖錠部63が鎖錠かん51の被鎖錠部53に両側方向の一方から係合し、鎖錠かん51を介してトングレールTを定位に拘束する。また、ストッパ26の角部29が被当接部材90の凹部91に当接可能になり、トングレールTは定位に拘束される。
【0044】
ロックピース61の鎖錠部63が鎖錠かん51の被鎖錠部53に両側方向の一方から係合しようとするとき、例えばロック狂いが発生し、ロックピース61の鎖錠部63が鎖錠かん51の被鎖錠部53に係合できない場合でも、カムフォロア70がカム溝45に入り込まないだけであり、アーム81が照査軸85を回転させることはなく、ロックピース61を無理に解錠位置から鎖錠位置に変位させることがなく、鎖錠部63や被鎖錠部53の損傷を防止することができる。
【0045】
次に、図9~図12にもとづいて、一対の連動機構を構成する主に、付勢手段80およびカムフォア70のそれぞれの配置に関し、その作用を詳細に説明する。図9および図11は本発明の一実施の形態に係る転てつ機の一部をそれぞれ示す部分平面図であり、図10および図12は、本発明の一実施の形態に係る転てつ機と対比される転てつ機の一部をそれぞれ示す部分平面図である。
【0046】
図9に示すように、本発明の一実施の形態に係る転てつ機は、一対の連動機構をそれぞれ独立させた機構を有している。このとき、2つの回転中心軸である照査軸85の距離を詰めたことにより、転換途中(中立時)にカムフォロア70の中心線が動作かん40と直交する同一線上に存在させている位置関係になっている。一方、図10に示す転てつ機は、一対の連動機構が1本のばねである付勢手段80でつながっている機構を有している。このときの位置関係は、転換途中(中立時)において付勢手段80と動作かん40が直交している。両者の回転中心軸である照査軸85の間隔を比較すると、図9では70mmであるのに対し、図10では177mmであり、図9に示す本発明の一実施の形態に係る転てつ機においては、図10に示す転てつ機に比べて107mmの小型化が達成できる。
【0047】
図11および図12は、動作かん40のストロークを200mmとした場合の動作かん40のカム溝45、46と連動機構の位置関係を示している。図11および図12はそれぞれ定位における位置関係を示している。カムフォロア70がカム溝45、46に落ち込んでいない側ではこの位置から動作かんが200mmストロークした時点で二点鎖線のようにカムフォロア70が落ち込み、反位側の転換を終了する。この場合、カム溝45、46の位置はカムフォア70の位置関係によって、一義的に決まる。定位側・反位側の2つのカム溝45、46を設けるために必要な動作かん40の長さは、図12に示す転てつ機では372mmであるのに対し、図11に示す本発明の一実施の形態に係る転てつ機では、265mmの長さで済むようになっている。
【0048】
【発明の効果】
本発明に係る転てつ機によれば、一対の連動機構の各付勢手段を動作かんの両側方向の一方側と、両側方向の他方側とにそれぞれ配したので、動作かんを横断するように各付勢手段を配する必要がないから、動作かんの上方や下方に付勢手段を配するためのスペースを確保する必要がなく、一対の連動機構を高さ方向で小型にすることができる。さらに、一対の連動機構の各カムフォロアを付勢手段を中心にして対称的に配するような制限がないばかりか、一対の連動機構の各カムフォロアを、トングレールの転換中の中立時に動作かんに直交する同一線上に存在するよう配置して、動作かんの長手方向で可能な限り近づけて配してあるので、一対の連動機構を動作かんの長手方向で小型にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る転てつ機の要部分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る転てつ機の内部構造を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る転てつ機において、トングレールが定位にあるとき、ピニオンが回転開始して、ストッパが動作かんを拘束解除しようとする状態を示す動作状態説明図である。
【図4】同じく転てつ機において、トングレールが定位にあるとき、ストッパが動作かんを拘束解除し、動作かんおよびカムフォロアが動き始める状態を示す動作状態説明図である。
【図5】同じく転てつ機において、カムフォロアがカム溝から出て、ロックピースが鎖錠位置から解錠位置に変位する状態を示す動作状態説明図である。
【図6】同じく転てつ機において、動作かんがさらにストロークして、トングレールが定位から反位へ向かって転換し、鎖錠かんも動き始める状態を示す動作状態説明図である。
【図7】同じく転てつ機において、トングレールが反位にあり、カムフォロアがカム溝に入っていて、ロックピースが鎖錠位置に位置している状態を示す動作状態説明図である。
【図8】(a)は、トングレールが定位にあって、ストッパが被当接部材に当接可能になっている状態を示し、(b)は、ストッパが被当接部材から外れようとする状態を示し、(c)は、トングレールが反位にあって、ストッパが被当接部材に当接可能になっている状態を示す動作状態説明図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係る転てつ機の一部を示す部分平面図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係る転てつ機と対比される転てつ機の一部を示す部分平面図である。
【図11】本発明の一実施の形態に係る転てつ機の一部を示す部分平面図である。
【図12】本発明の一実施の形態に係る転てつ機と対比される転てつ機の一部を示す部分平面図である。
【図13】従来の転てつ機の取付状態を示す平面図である。
【符号の説明】
M…モータ
T…トングレール
10…転てつ機
11…ケース
12…小ベベルギア
13…大ベベルギア
14…手回しピニオン軸
15…小ギア
16…大ギア
17…中継ギア
18…中間ギア
20…ピニオン
22…噛合部
22a…歯
24…非噛合部
26…ストッパ
27…円弧部
28…直線部
29…角部
30…ラック
40…動作かん
45、46…カム溝
51、52…鎖錠かん
53、54…被鎖錠部
61、62…ロックピース
63、64…鎖錠部
65、66…案内溝
70…カムフォロア
80…付勢手段(照査ばね)
81…第1アーム
82…第2アーム
83…第3アーム
84…ローラ
85…照査軸
90…被当接部材
91、92…凹部
95、96…ストッパ壁
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12