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明細書 :磁気支持電磁加振装置及び加振方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3959361号 (P3959361)
公開番号 特開2004-282956 (P2004-282956A)
登録日 平成19年5月18日(2007.5.18)
発行日 平成19年8月15日(2007.8.15)
公開日 平成16年10月7日(2004.10.7)
発明の名称または考案の名称 磁気支持電磁加振装置及び加振方法
国際特許分類 B60L  13/04        (2006.01)
FI B60L 13/04 ZAAS
請求項の数または発明の数 5
全頁数 11
出願番号 特願2003-073982 (P2003-073982)
出願日 平成15年3月18日(2003.3.18)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 電気学会研究会資料 リニアドライブ研究会 LD-02-109~117 (2002年12月12日) 社団法人電気学会発行 第45ページ~第50ページ
審査請求日 平成17年6月30日(2005.6.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】村井 敏昭
【氏名】長谷川 均
【氏名】山本 貴光
個別代理人の代理人 【識別番号】100064908、【弁理士】、【氏名又は名称】志賀 正武
【識別番号】100089037、【弁理士】、【氏名又は名称】渡邊 隆
審査官 【審査官】竹下 晋司
参考文献・文献 特開平05-175046(JP,A)
特開平07-092016(JP,A)
特開2002-143771(JP,A)
調査した分野 B60L 13/02 - 13/10
特許請求の範囲 【請求項1】
加振対象を電磁力で支持し、電磁力で加振する磁気支持電磁加振装置において、
加振対象に対向して平面的に配置される多相コイルであって、各相のコイルが互いに極性の異なる2以上のコイルから形成されている電磁加振コイルと、
電磁加振コイルに対して加振対象の電磁支持力に応じた直流分と電磁加振力に応じた交流分とを含んだ電流を通電する通電制御手段と
を備えることを特徴とする磁気支持電磁加振装置。
【請求項2】
前記電磁加振コイルが前記加振対象を挟む1対の対向面に複数組ずつ配置されていて、
前記通電制御手段が、前記加振対象に対する複数の位置変位又は加速度の検知手段の出力に応じて、前記複数の電磁加振コイルの各々に対して独立に通電制御する
ことを特徴とする請求項1記載の磁気支持電磁加振装置。
【請求項3】
前記電磁加振コイルが3相コイルであって、1相のコイルが互いに極性の異なる2個のコイルから形成され、他の1相のコイルが互いに極性の異なる1個と2個のコイルから形成され、残りの1相のコイルが互いに極性の異なる2個のコイルから形成されている
ことを特徴とする請求項1又は2記載の磁気支持電磁加振装置。
【請求項4】
加振対象を電磁力で支持し、電磁力で加振する磁気支持電磁加振方法において、
平面的に配置される多相コイルであって、各相のコイルが互いに極性の異なる2以上のコイルから形成されている電磁加振コイルを、加振対象に対向するように配置し、
電磁加振コイルに対して加振対象の電磁支持力に応じた直流分と電磁加振力に応じた交流分とを含んだ電流を通電するように通電制御する
ことを特徴とする磁気支持電磁加振方法。
【請求項5】
前記電磁加振コイルを前記加振対象を挟む1対の対向面に複数組ずつ配置し、
前記通電制御の際に、前記加振対象に対する複数の位置変位又は加速度の検知出力に応じて、前記複数の電磁加振コイルの各々に対して独立に通電を制御する
ことを特徴とする請求項4記載の磁気支持電磁加振方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超電導磁気浮上鉄道における超電導磁石の性能評価等を行う際に用いて好適な磁気支持電磁加振装置及び加振方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
超電導磁気浮上式鉄道において、超電導磁石はキーテクノロジーであり、その性能評価に関して、多くの試験が行われてきた。その一つが電磁加振試験(以下、本試験とする)であり、超電導磁石に対向した電磁加振コイルに、走行時と同様な高調波磁界を発生させ、その時の超電導磁石のAC損失(交流損失)、各部振動、そして振動に伴う発熱を評価するものである。本試験は、現車試験前に超電導磁石の基本性能が確認できるばかりでなく、山梨実験線走行試験では完全に実現できない長時間走行時の熱損失を評価する等の補完的な役割も担っている。
【0003】
一方、本試験における走行時との等価性の確証は、山梨実験線の走行試験が順調に進む現在もなお検討が続けられている。例えば超電導磁石を搭載する台車支持方法の違い(走行時は超電導磁石に作用する電磁力にて支持されるが(例えば、特許文献1参照)、本試験は台車に設置されたばね等にて支持される)、超電導磁石への作用力の違い(走行時は定常力と脈動力が作用するが、本試験は脈動力のみである)の影響評価等がある。これらの等価性に関しては、今後、各種試験及び振動解析にて、明らかにされるだろうが、より走行時と等価な試験装置が用意できればより良い。
【0004】
また鉄車輪-レールシステムでは、車両試験台と呼ばれる、走行している車両の状態を定置で再現できる装置が有効に活用されており、超電導磁気浮上式鉄道においても、将来、同様な試験装置が望まれるものと考えられる。
【0005】
【特許文献1】
特開平1-298902号公報(第9-10頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のことを鑑み、今回、これまでの電磁加振装置を改良して、超電導磁石及びそれを搭載する台車そして車両を定置にて磁気支持できる磁気支持電磁加振装置及び加振方法を提供することを目的とする。また、これまでの同様な検討では、電磁加振コイルと磁気支持コイルの2種類が必要であったが、本発明では、1種類のコイルにて、電磁加振と磁気支持の両方が行えるようにする磁気支持電磁加振装置及び加振方法を提供することを他の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、加振対象を電磁力で支持し、電磁力で加振する磁気支持電磁加振装置において、加振対象に対向して平面的に配置される多相コイルであって、各相のコイルが互いに極性の異なる2以上のコイルから形成されている電磁加振コイルと、電磁加振コイルに対して加振対象の電磁支持力に応じた直流分と電磁加振力に応じた交流分とを含んだ電流を通電する通電制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記電磁加振コイルが前記加振対象を挟む1対の対向面に複数組ずつ配置されていて、前記通電制御手段が、前記加振対象に対する複数の位置変位又は加速度の検知手段の出力に応じて、前記複数の電磁加振コイルの各々に対して独立に通電制御することを特徴とする。請求項3記載の発明は、前記電磁加振コイルが3相コイルであって、1相のコイルが互いに極性の異なる2個のコイルから形成され、他の1相のコイルが互いに極性の異なる1個と2個のコイルから形成され、残りの1相のコイルが互いに極性の異なる2個のコイルから形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、加振対象を電磁力で支持し、電磁力で加振する磁気支持電磁加振方法において、平面的に配置される多相コイルであって、各相のコイルが互いに極性の異なる2以上のコイルから形成されている電磁加振コイルを、加振対象に対向するように配置し、電磁加振コイルに対して加振対象の電磁支持力に応じた直流分と電磁加振力に応じた交流分とを含んだ電流を通電するように通電制御することを特徴とする。請求項5記載の発明は、前記電磁加振コイルを前記加振対象を挟む1対の対向面に複数組ずつ配置し、前記通電制御の際に、前記加振対象に対する複数の位置変位又は加速度の検知出力に応じて、前記複数の電磁加振コイルの各々に対して独立に通電を制御することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の磁気支持電磁加振装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施の形態である磁気支持電磁加振装置100の全体構成図である。磁気支持電磁加振装置100は、対向する1組の電磁加振コイル盤1および2と、電磁加振コイル盤1および2に設けられている電磁加振コイル群3および4に電流を供給するためのインバータ5とから構成されている。この磁気支持電磁加振装置100によって磁気支持および加振される台車6は、電磁加振コイル盤1および2の間に設置される。この台車6には、複数の超電導コイルが冷却液と共に低温容器に収納され、搭載されている。
【0011】
電磁加振コイル群2は、それぞれが1層の7個のコイルからなる電磁加振コイル(1U)41、電磁加振コイル(1B)42、電磁加振コイル(4U)43、および電磁加振コイル(4B)44から構成されている。そして、電磁加振コイル群3は、それぞれが1層の7個のコイルからなる電磁加振コイル(2U)31、電磁加振コイル(2B)32、電磁加振コイル(3U)33、および電磁加振コイル(3B)34から構成されている。電磁加振コイル(1U)41~電磁加振コイル(4B)44および電磁加振コイル(2U)31~電磁加振コイル(3B)34を構成する各コイルは、その中心軸が、台車6に対向するように平面的に配置されている。
【0012】
本実施の形態では、インバータ5によって、各電磁加振コイル(1U)41~(4B)44および(2U)31~(3B)34に対して、3相交流電流が流されるとともに、直流電流も流されるようになっている。すなわち、各電磁加振コイル(1U)41~(4B)44および(2U)31~(3B)34の3相交流電流を制御することで台車6に与える加振力を制御するとともに、直流電流を制御することで台車6に与える浮上力および案内力を制御することができる。
【0013】
次に、図2を参照して、図1の台車6内の各超電導コイルの配置と、磁気支持電磁加振装置100内の各電磁加振コイル(1U)41~(4B)44および(2U)31~(3B)34とインバータ5間の回路構成について説明する。
【0014】
図2では台車6を平面図で示している。一方、各電磁加振コイル(1U)41~(4B)44および(2U)31~(3B)34は、図1を展開した形で示している。つまり、図2では、台車6と各電磁加振コイル(1U)41~(4B)44および(2U)31~(3B)34の水平方向(台車6の中心を原点とする座標系のx方向)の位置関係(対向関係)は正確に示されているが、それらのコイルの間の距離関係(y方向の位置関係)は模式的に示されている。
【0015】
台車6は、走行方向(x方向)に沿って、左右2列、各4本の超電導コイル61、62、65、および66、ならびに63、64、67、および68を備えている。これらの超電導コイル61~68は、台車6の走行方向(x方向)に対して直角の方向(y方向)に向かってそれぞれ磁界を発生する。その際、超電導コイル61~68の配置および電流の向きは、各列の隣り合う超電導コイル間および対向する各超電導コイル間で互いに逆極性の磁界を発生するように設定されている。この場合、各超電導コイル61~68には、例えば、図示のような相対的な関係を有するz方向の電流が流れることになる(●印は電流が図の下から上に向かって流れることを示し、×印は電流が図の上から下に向かって流れることを示している)。このとき、超電導コイル61は電磁加振コイル群4側に対してN極、超電導コイル62は電磁加振コイル群4側に対してS極、超電導コイル65は電磁加振コイル群4側に対してN極、そして、超電導コイル66は電磁加振コイル群4側に対してS極となる磁界をそれぞれ発生する。超電導コイル63は電磁加振コイル群3側に対してS極、超電導コイル64は電磁加振コイル群3側に対してN極、超電導コイル67は電磁加振コイル群3側に対してS極、そして、超電導コイル68は電磁加振コイル群3側に対してN極となる磁界をそれぞれ発生する。
【0016】
また、台車6には、2個のラテラル(側方)位置センサ71および72と、4個の垂直位置センサ73~76とが取り付けられている。2個のラテラル位置センサ71および72は、各取り付け位置における左右方向(y方向)の位置変位を検知する。4個の垂直位置センサ73~76は、台車6の四隅に取り付けられていて、各取り付け位置における垂直方向(z方向)の位置変位を検知する。したがって、これらの6個のセンサ71~76によって、台車6のy方向およびz方向の位置変位と、x軸方向の回転変位φと、y軸方向の回転変位θと、z軸方向の回転変位ψとが検知される。
【0017】
なお、上記の構成において位置センサ71~76は、速度や加速度を検知する他のセンサとすることもできる。
【0018】
次に、磁気支持電磁加振装置100内の各電磁加振コイル(1U)41~(4B)44および(2U)31~(3B)34と、インバータ5との間の回路構成について説明する。図2に示すようにインバータ5は、それぞれが独立して出力制御が可能な8個のインバータ(1U)51、(1B)52、(2U)53、(2B)54、(3U)55、(3B)56、(4U)57、および(4B)58から構成されている。そして、インバータ(1U)51、(1B)52、(2U)53、(2B)54、(3U)55、(3B)56、(4U)57、および(4B)58は、それぞれ、電磁加振コイル(1U)41、(1B)42、(2U)31、(2B)32、(3U)33、(3B)34、(4U)43、および(4B)44に接続されている。
【0019】
一方、各電磁加振コイル(1U)41~(4B)44および(2U)31~(3B)34を構成する3相(U、V、W相とする)の各コイルは次のように配置されている。電磁加振コイル(1U)41では、U相コイル411、V相コイル412、およびW相コイル413が、その順に、超電導コイル61に対向するように配置されていて、-V相コイル414、-W相コイル415、-U相コイル416、および、-V相コイル417が、その順に、超電導コイル62に対向するように配置されている。ここで、-U相、-V相、-W相の「-」符号は、それらが、同一の電磁加振コイル(1U)41内で「-」符号が無いU相、V相、W相のコイルと逆相(逆極性)であることを示している(以下、同様)。
【0020】
ここで、図3を参照して、この配置において電磁加振コイル(1U)41が発生する磁界について説明する。図3(c)は、図2の電磁加振コイル(1U)41の各相コイル411~417と、超電導コイル61および62の配置関係と、磁界とを示す図である。一方、図3(a)および(b)は、(c)の配置において発生する磁界の変化を説明するための比較図である。
【0021】
図3(a)は、U相コイル201、V相コイル202、W相コイル203、U相コイル204、V相コイル205、およびW相コイル206の6個のコイルが発生する移動磁界を破線で示している。この場合、6個のコイル201~206は、ピッチτの超電導コイル61および62に対して、τ/3の均一ピッチで配置されている(以下、基本配置と呼ぶ)。このとき、コイル201~206のコイルピッチは、2τ(=超電導磁石が作る基本波磁界の波長)/2(=空間高調波次数)/3(=相数)=τ/3の関係となっている。したがって、3相電流を通電することで、台車6の実使用時における120度ピッチ浮上コイルが発生する主な高調波成分である2次空間調波を模擬することが可能となる。
【0022】
一方、図3(b)は、図3(a)の配置に対して60度ピッチ(τ/6ピッチ)ずれたコイルに逆相電流を通電する場合を示している。この場合、-V相コイル211、-W相コイル212、-U相コイル213、-V相コイル214、-W相コイル215、-U相コイル216、および-V相コイル217の7個のコイルが、ピッチτの超電導コイル61および62に対して、τ/3の均一ピッチで配置されている。ただし、各コイル211~217の配置は、基本配置の各コイル201~206に対してτ/6ピッチずつずれている。また、-U相コイル213および216、-V相コイル211、214および217、ならびに、-W相コイル212および215に通電される電流は、U相コイル201および204、V相コイル202および205、W相コイル203および206に通電される電流と逆相である。すなわち、-U相コイル213および216、-V相コイル211、214および217、ならびに、-W相コイル212および215によって発生される磁界の向きと、U相コイル201および204、V相コイル202および205、W相コイル203および206によって発生される磁界の向きとは、互いに逆向きの関係を有することになる。つまり、起磁力の向き(あるいはコイルの極性)が互いに異なることになる。このときにも、基本配置と同様な移動磁界を発生することができる(以下、図3(b)の配置を逆相配置と呼ぶ)。
【0023】
次に、図3(c)に示す本実施の形態の電磁加振コイル(1U)41の配置について説明する。本実施の形態における電磁加振コイル(1U)41は、図3(c)に示すように、この基本配置と逆相配置を超電導磁石の極ピッチτ毎に組み合わせたものである。すなわち、超電導コイル61と超電導コイル62の極ピッチτの中心点を点CPとした場合、電磁加振コイル(1U)41は、点CPから超電導コイル61側の長さτの範囲にある基本配置のコイル201~203に対応するコイル411~413と、点CPから超電導コイル62側の長さτの範囲にある逆相配置のコイル214~217に対応するコイル414~417とから形成されている。ただし、逆相配置のコイル214およびコイル217は点CPから超電導コイル62側の長さτの範囲を越える部分を含んでいる。そのため、コイル214およびコイル217に対応するコイル414およびコイル417は、コイル214およびコイル217と同一形状とすることができない。そこで、コイル414およびコイル417は、コイル214およびコイル217の半分程度の長さとし、隣りあうコイル413等と組み合わせたときに、τの範囲内にある他のコイル215やコイル216と同じ大きさの合成磁界を発生するように、それらの形状を設定することとしている。
【0024】
図3(c)の配置では、電磁加振コイル(1U)41の各コイル411~417に3相電流を通電することによって、基本配置と同様な移動磁界を発生することができる。さらに、電磁加振コイル(1U)41の各相に零相電流(=定常電流あるいは直流電流あるいは同相電流)を通電すると、前後各超電導磁石(超電導コイル61と、超電導コイル62)に対向する電磁加振コイル(「U相コイル411、V相コイル412、およびW相コイル413」と、「-V相コイル414、-W相コイル415、-U相コイル416、および-V相コイル417」)は、各々、同じ極性の磁界を発生する。したがって、超電導磁石と同じ波長の基本波磁界となり、超電導コイルに定常力を発生する。すなわち本コイル配置にて、3相電流を通電して、従来の電磁加振試験と同じ加振力を発生しながら、零相電流を通電して、超電導磁石及びそれを搭載する台車6を磁気支持するための定常力を発生できるのである。
【0025】
図3(c)において、例えば、U相コイル411、V相コイル412、およびW相コイル413がともに超電導コイル61側にS極となる磁界を発生したとすれば、-V相コイル414、-W相コイル415、-U相コイル416、および-V相コイル417はともに超電導コイル62側にN極となる磁界を発生する。この場合に、図2に示すように超電導コイル61および超電導コイル62がそれぞれ電磁加振コイル(1U)41側にN極およびS極の磁界を発生していたならば、電磁加振コイル(1U)41と超電導コイル61および超電導コイル62との間にはともに吸引力が発生する。
【0026】
また、図2に示す電磁加振コイル(1U)41以外の各電磁加振コイル(1B)42~(4B)44および(2U)31~(3B)34を構成する3相の各7個のコイルも、電磁加振コイル(1U)41の場合と同様に配置されている。すなわち、電磁加振コイル(1B)42では、U相コイル421、V相コイル422、およびW相コイル423が、その順に、超電導コイル61に対向するように配置されていて、-V相コイル424、-W相コイル425、-U相コイル426、および、-V相コイル427が、その順に、超電導コイル62に対向するように配置されている。
【0027】
また、電磁加振コイル(2U)31では、U相コイル311、V相コイル312、およびW相コイル313が、その順に、超電導コイル63に対向するように配置されていて、-V相コイル314、-W相コイル315、-U相コイル316、および、-V相コイル317が、その順に、超電導コイル64に対向するように配置されている。電磁加振コイル(2B)32では、U相コイル321、V相コイル322、およびW相コイル323が、その順に、超電導コイル63に対向するように配置されていて、-V相コイル324、-W相コイル325、-U相コイル326、および、-V相コイル327が、その順に、超電導コイル64に対向するように配置されている。
【0028】
また、電磁加振コイル(3U)33および(3B)34では、U相コイル331および341、V相コイル332および342、およびW相コイル333および343が、その順に、超電導コイル67に対向するように配置されていて、-V相コイル334および344、-W相コイル335および345、-U相コイル336および346、および、-V相コイル347および347が、その順に、超電導コイル68に対向するように配置されている。電磁加振コイル(4U)43および(4B)44では、U相コイル431および441、V相コイル432および442、およびW相コイル433および443が、その順に、超電導コイル65に対向するように配置されていて、-V相コイル434および444、-W相コイル435および445、-U相コイル436および446、および、-V相コイル447および447が、その順に、超電導コイル66に対向するように配置されている。
【0029】
次に、図4を参照して、図1の磁気支持電磁加振装置100内の制御回路の構成の一例と制御方法について説明する。図4において図1または図2に示すものと同一の構成には同一の符号を用いている。
【0030】
ところで、実際の走行時の台車6は、5自由度を磁気支持される(前後方向は、アンカーまたは空気ばね等を介して推進コイルによる推力と走行抵抗がバランスされている)。したがって、磁気支持電磁加振装置100の電磁加振コイル群2および3による制御でも、5つ以上の制御系を設けることが望ましい。そのため、本実施の形態の磁気支持電磁加振装置100では、実走行のシステムにおける8の字コイルを模擬する電磁加振コイル群2および3を、上下、左右、前後の8ブロック(電磁加振コイル41~44および31~34)に分け、各々にインバータ51~58を接続している。また5自由度(図2の変位y、z、φ、θ、およびψ)の運動を把握するために6方向の位置センサ71~76を用いている。
【0031】
図4において、変位指令値発生回路81は、図示していないコンピュータ等の計算装置の一部として構成されるものである。変位指令値発生回路81は、台車6の変位指令値(図2のy、z、φ、θ、およびψ成分の制御指令値)を発生する回路であり、キーボード等の入力装置を用いた操作者による入力操作等に従って、各変位の定常指令値や時間変化の指令値(加振指令値)を発生する。
【0032】
各ブロック電流/電圧指令値発生回路82は、変位指令値発生回路81と同様に図示していないコンピュータ等の計算装置の一部として構成されるものである。位置センサ入力回路7は、図2の位置センサ71~76の出力信号に対する入力インターフェースとなるものである。各ブロック電流/電圧指令値発生回路82は、位置センサ入力回路7からの入力信号と、変位指令値発生回路81で発生された各変位指令値とを比較し、所定の演算処理を行って、電磁加振コイル群2および3の各電磁加振コイル(1U)41、(1B)42、(2U)31、(2B)32、(3U)33、(3B)34、(4U)43、および(4B)44に供給すべき8組の電流指令値I1U、I1B、I2U、I2B、I3U、I3B、I4U、およびI4B(あるいはそれらの電流指令値を通電するための電圧指令値)を発生する。ここで、電流指令値I1U、I1B、I2U、I2B、I3U、I3B、I4U、およびI4Bは、それぞれ3相(U、V、W相)成分の電流指令値から形成されている。
【0033】
各電磁加振コイル(1U)41、(1B)42、(2U)31、(2B)32、(3U)33、(3B)34、(4U)43、および(4B)44は、実走行のシステムにおいて浮上力および案内力を発生する8の字コイルを模擬するコイルである。実走行のシステムにおける8の字コイルは、上下、左右のコイルにおいてヌルフラックス接続関係を有している(例えば、特許文献1参照)。よって、本実施の形態では、各電流指令値I1U、I1B、I2U、I2B、I3U、I3B、I4U、およびI4Bは、加振力を発生するための3相交流電流分に基づくとともに、上下各1組の電磁加振コイル(1U)41と(1B)42、(2U)31と(2B)32、(3U)33と(3B)34、および(4U)43と(4B)44でそれぞれヌルフラックス接続状態を模擬し、かつ、左右各1組の電磁加振コイル(1U)41と(2U)31、(1B)42と(2B)32、(3U)33と(4U)43、および(3B)34と(4B)44でそれぞれヌルフラックス接続状態を模擬して、浮上力、案内力を発生させるための直流電流分に基づいて決定される。ただし、外乱等による変化を抑制するため、加振力の指令値や、ヌルフラックス接続状態の模擬のための電流値は、各位置センサ71~76の出力に応じて、電磁加振コイル41~44および31~34毎に単独で適宜調整される。
【0034】
以上のように、8ブロックの各電磁加振コイル(1U)41、(1B)42、(2U)31、(2B)32、(3U)33、(3B)34、(4U)43、および(4B)44に、制御電流を適切に通電することによって、走行時電磁ばねにて支配的な上下、左右、ロール、ピッチ、ヨーばね及び左右とロールの連成ばねによるものと同等の電磁力を発生することができる。
【0035】
上述した各ブロック電流/電圧指令値発生回路82が発生した各電流指令値I1U、I1B、I2U、I2B、I3U、I3B、I4U、およびI4Bは、それぞれ、インバータ(1U)51~(4B)58に入力される。インバータ(1U)51~(4B)58は、各電流指令値I1U、I1B、I2U、I2B、I3U、I3B、I4U、およびI4Bに基づいて、それぞれ、電磁加振コイル(1U)41、(1B)42、(2U)31、(2B)32、(3U)33、(3B)34、(4U)43、および(4B)44に流れる電流を通電制御する。
【0036】
インバータ(1U)51の構成は、例えば、電流指令値I1Uから3相インバータの制御信号を発生するインバータ制御信号発生回路83と、それぞれが独立してスイッチング制御される3個の単相インバータ84、85、および86とを有して構成されている。インバータ制御信号発生回路83は、コンピュータ等の計算装置の一部として構成されるものであって、例えば、図示していない電流検知器を用いて、電磁加振コイル(1U)41の3相の各コイル411~417に通電される電流を制御する。この場合、3相の各コイル411~417は、相ごとに直列接続されている。
【0037】
すなわち、U相については、インバータ84によって、直列接続されたコイル411とコイル416に通電される電流が制御される。ここで、コイル411~コイル417の端部に示した「・」印は、各コイルの極性を示すもので、各相において「・」印を付けた端部から流入する電流が、その起電力が同じ向きに生じることを示している。この場合、コイル411とコイル416は、互いに極性が異なるように接続されている。
【0038】
V相については、インバータ85によって、直列接続されたコイル412とコイル414およびコイル417に通電される電流が制御される。ここで、コイル412と、コイル414およびコイル417は、互いに異なる極性を有している。そして、W相については、インバータ86によって、直列接続されたコイル413とコイル415に通電される電流が制御される。ここで、コイル413と、コイル415は、互いに異なる極性を有している。
【0039】
本実施の形態では、各インバータ51~58は同一の構成を有し、また、電磁加振コイル(1U)41、(1B)42、(2U)31、(2B)32、(3U)33、(3B)34、(4U)43、および(4B)44も同一の構成を有している。
【0040】
なお、図4に示す例では、インバータ(1U)51で、相毎に3個の単相インバータ84~86を用いるとともに、電磁加振コイル(1U)41の3相の各コイル411~417を相毎に直列接続することとしている。ただし、この構成に代えて、各コイル411~417に7個の単相インバータをそれぞれ接続するようにしたり、各相の極性毎に6個の単相インバータを接続するようにしたりしてもよい。
【0041】
以上、本発明の一実施の形態を図1~図4を参照して説明したが、本発明の実施の形態は上記のものに限定されるものではない。例えば、電磁加振コイルを4相あるいはそれ以上複数の相のコイルから構成するようにしたり、図2のx方向の位置変位を検知する位置センサを追加して6自由度の制御を行うようにしたりすることができる。また、台車6上の位置センサに代えて、距離センサ等、台車6外で台車6の位置変位を検知することができるセンサを用いるようにしてもよい。
【0042】
また、本発明の磁気支持電磁加振装置は、加振対象を超電導コイル61~68を備えた台車6に限定するものではなく、例えば、超電導磁石のみを加振対象としたり、台車6に車両を搭載した状態で加振対象としたり、常電導磁石や永久磁石あるいは強磁性体を搭載した供試物を加振対象としたりすることもできる。また、本装置は、加振対象に取り付けた振動対象物に対して振動を与えるための振動装置として使用することも可能である。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、加振対象に対向して平面的に配置される多相コイルであって、各相のコイルが互いに極性の異なる2以上のコイルから形成されている電磁加振コイルと、電磁加振コイルに対して加振対象の電磁支持力に応じた直流分と電磁加振力に応じた交流分とを含んだ電流を通電する通電制御手段とを備えるようにしたので、超電導磁石及びそれを搭載する台車等の加振対象を定置にて磁気支持できることができるとともに、1種類の加振電磁コイルにて電磁加振と磁気支持の両方が行えるようになった。
【0044】
また、電磁加振コイルを加振対象を挟む1対の対向面に複数組ずつ配置するとともに、通電制御手段が、加振対象に対する複数の位置変位又は加速度の検知手段の出力に応じて、複数の電磁加振コイルの各々に対して独立に通電制御するので、複数の自由度を有して磁気支持を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態としての磁気支持電磁加振装置100の全体構成を示す斜視図である。
【図2】 図1に示す磁気支持電磁加振装置100の詳細構成を説明するための模式図である。
【図3】 図2の電磁加振コイル41の各コイル411~417と、超電導コイル61および62との配置関係および磁界(c)と、その比較説明用の参考配置(a)および(b)を示す説明図である。
【図4】 図2に示す磁気支持電磁加振装置100の制御回路および制御方法の一例を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
1、2 電磁加振コイル盤
3、4 電磁加振コイル群
5 インバータ
6 台車
31~34、41~44 電磁加振コイル
311~317、321~327、331~337、341~347、411~417、421~427、431~437、441~447 3相の各コイル
51~58 インバータ
61~68 超電導コイル
100 磁気支持電磁加振装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3