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明細書 :構造物の監視装置とその監視システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3984185号 (P3984185)
公開番号 特開2004-301571 (P2004-301571A)
登録日 平成19年7月13日(2007.7.13)
発行日 平成19年10月3日(2007.10.3)
公開日 平成16年10月28日(2004.10.28)
発明の名称または考案の名称 構造物の監視装置とその監視システム
国際特許分類 G01M   7/02        (2006.01)
G08C  17/00        (2006.01)
G01H  11/08        (2006.01)
FI G01M 7/00 A
G08C 17/00 Z
G01H 11/08 Z
請求項の数または発明の数 3
全頁数 13
出願番号 特願2003-092790 (P2003-092790)
出願日 平成15年3月28日(2003.3.28)
審査請求日 平成17年6月28日(2005.6.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】武居 泰
【氏名】山田 聖治
【氏名】川崎 邦弘
【氏名】杉本 一朗
個別代理人の代理人 【識別番号】100104064、【弁理士】、【氏名又は名称】大熊 岳人
審査官 【審査官】本郷 徹
参考文献・文献 特開平09-257561(JP,A)
特開平09-178547(JP,A)
調査した分野 G01M 7/02
G08C 17/00
G01H 11/08
特許請求の範囲 【請求項1】
構造物の状態を監視する構造物の監視装置であって、
前記構造物の振動に応じて電力を発生する機械電気変換手段と、
前記機械電気変換手段が発生する前記電力を測定する測定手段と、
前記機械電気変換手段が発生する前記電力を蓄積する蓄電手段と、
前記蓄電手段が発生する前記電力を電源として、前記測定手段の測定結果を記録する記憶手段と、
前記蓄電手段が蓄積する前記電力を電源として、前記記憶手段が記憶する前記測定結果を送信する送信手段とを備え、
前記機械電気変換手段は、前記測定手段が測定する前記電力を発生する測定用圧電材料と、前記蓄電手段が蓄積する前記電力を発生する充電用圧電材料とを備え、
前記測定用圧電材料は、この測定用圧電材料の一方の表面が前記構造物の表面に固定部によって固定されていること、
を特徴とする構造物の監視装置。
【請求項2】
構造物の状態を監視する構造物の監視システムであって、
請求項1に記載の構造物の監視装置と、
前記送信手段が送信する前記測定結果を受信する通信装置とを備え、
前記通信装置は、前記監視装置が前記構造物に複数設置されているときに、この監視装置毎に前記測定結果を前記送信手段から受信すること、
を特徴とする構造物の監視システム。
【請求項3】
請求項に記載の構造物の監視システムにおいて、
前記通信装置が受信した前記測定結果を解析する解析装置を備えること、
を特徴とする構造物の監視システム。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、構造物の状態を監視する構造物の監視装置とその監視システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、列車が通過する鋼橋やコンクリート橋などの長大構造物を維持管理する場合には、遠隔地の現場まで保守担当者が出向き目視や巡回によって危険箇所を点検して構造物の状態を監視する必要があった。このため、鉄道を運行休止や道路を交通規制して点検作業をしたり、列車が走行していない夜間などに点検作業をしたりする必要があり、保守担当者にとって非常に労力が大きかった。一方、このような長大構造物の状態を監視する構造物の監視システムが知られている。従来の構造物の監視システムは、船舶や橋梁などの大型構造物の複数の測定点における振動を測定する複数の振動測定器と、この大型構造物から離れた監視室内に設置されており複数の振動測定器から送信される測定結果を記録し分析するセンタ装置と、各振動測定器とセンタ装置とを接続する同軸ケーブルとを備えている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9-178547号公報(段落番号0012及び図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の構造物の監視システムでは、通常、長大構造物から離れた位置に監視室が設置されており、各振動測定器とセンタ装置とを接続するために長大な同軸ケーブルや光ファイバケーブルなどを敷設する必要があった。その結果、従来の構造物の監視システムでは、システム全体が複雑で大規模になるとともに、ケーブルを敷設するための工事が必要になるという問題があった。
【0005】
この発明の課題は、特別な電源を必要とせず測定結果を無線でリアルタイムに送信することができる構造物の監視装置とその監視システムを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、構造物(1)の状態を監視する構造物の監視装置であって、前記構造物の振動に応じて電力を発生する機械電気変換手段(4,4B)と、前記機械電気変換手段が発生する前記電力を測定(S140)する測定手段(8c)と、前記機械電気変換手段が発生する前記電力を蓄積(S120)する蓄電手段(7)と、前記蓄電手段が発生する前記電力を電源として、前記測定手段の測定結果を記録(S150)する記憶手段(9)と、前記蓄電手段が蓄積する前記電力を電源として、前記記憶手段が記憶する前記測定結果を送信(S170)する送信手段(10)とを備え、前記機械電気変換手段は、前記測定手段が測定する前記電力を発生する測定用圧電材料(4A)と、前記蓄電手段が蓄積する前記電力を発生する充電用圧電材料(4B)とを備え、前記測定用圧電材料は、この測定用圧電材料の一方の表面が前記構造物の表面に固定部(4a)によって固定されていることを特徴とする構造物の監視装置(3)である。
【0007】
請求項の発明は、構造物(1)の状態を監視する構造物の監視システムであって、請求項1に記載の構造物の監視装置(3)と、前記送信手段(10)が送信する前記測定結果を受信(S210)する通信装置(11b,13b)とを備え、前記送信手段は、前記通信装置からの前記測定結果の送信指令を受信(S160)し、前記通信装置は、前記監視装置が前記構造物に複数設置されているときに、この監視装置毎に前記測定結果を前記送信手段から受信(S160)することを特徴としている構造物の監視システム(2)である。
【0008】
請求項の発明は、請求項に記載の構造物の監視システムにおいて、前記通信装置が受信した前記測定結果を解析(S230)する解析装置(11c,14)を備えることを特徴とする構造物の監視システムである。
【0012】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る構造物の監視システムによって監視される橋梁の断面図である。図2は、この発明の第1実施形態に係る構造物の監視システムによって監視される橋梁の側面図である。
橋梁1は、鉄道車両が走行する線路の下部に空間を確保し列車の荷重を支持する構造物である。橋梁1は、図1及び図2に示すように、鋼板と山形鋼とを溶接などによって接合してI形の桁に組み立てて互いに平行に並べた主桁1a,1bと、主桁1aの上部と主桁1bの上部とを連結する上横構1cと、主桁1aの下部と主桁1bの下部とを連結する下横構1dと、主桁1aの上部と主桁1bの下部とを連結する中間対傾構1e,1fと、主桁1a,1bの下端部に接続された下フランジ1g,1hと、主桁1a,1bの上端部に接続された上フランジ1i,1jなどから構成された上路プレートガーダーである。
【0013】
監視システム2は、橋梁1の状態を監視するシステムである。監視システム2は、図1及び図2に示すように、監視装置3と測定装置11とから構成されている。監視システム2は、橋梁1上を列車が通過してこの橋梁1が振動したときに、この振動によって圧電材料4が発生する電力を監視装置3が測定して測定結果を記憶し、監視装置3から測定装置11にこの測定結果を送信する。
【0014】
図3は、この発明の第1実施形態に係る構造物の監視システムにおける監視装置の構成図である。
監視装置3は、橋梁1の状態を監視する装置である。監視装置3は、図3に示すように、圧電材料4と、整流/定電圧回路5と、逆流阻止回路6と、蓄電部7と、制御部8と、記憶部9と、無線通信部10とを備えている。監視装置3は、主桁1a,1b以外にも下フランジ1g,1hや上フランジ1i,1jなどのように橋梁1の任意の測定箇所に多数設置されている。
【0015】
図4は、この発明の第1実施形態に係る構造物の監視システムにおける圧電材料の取付状態を示す断面図である。
圧電材料4は、橋梁1の振動を電気信号に変換する機械電気変換部である。圧電材料4は、歪みを加えると電圧を発生する圧電効果と、電圧を加えると歪みを発生する逆圧電効果とを合わせ持つ圧電セラミックスなどである。圧電材料4は、橋梁1を列車が通過したときに発生するこの橋梁1の振動に応じて電力を発生する。圧電材料4は、蓄電部7が蓄積する電力を発生するとともに制御部8が測定する電力も発生する。圧電材料4としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、PLZT(ジルコン酸チタン酸ランタン鉛)、PMN(マグネシウムニオブ酸鉛)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)などが使用される。圧電材料4は、図4に示すように、固定部4aによって橋梁1に固定されている。この固定部4aは、橋梁1と圧電材料との間に形成された接着剤層であり、圧電材料4の一方の表面にエポキシ系接着剤などを塗布することによってこの圧電材料4を橋梁1の表面に全面接着し固定する。
【0016】
図3に示す整流/定電圧回路5は、圧電材料4が出力する電気信号を直流電流に変換するとともに一定の電圧を生成する回路である。逆流阻止回路6は、整流/定電圧回路5から蓄電部7への電流の流れを許容し、蓄電部7から整流/定電圧回路5への電流の流れを阻止する回路である。
【0017】
蓄電部7は、電力を蓄積するコンデンサである。蓄電部7は、例えば、制御部8が処理動作を実行したり、記憶部9がデータを書き込んだり、無線通信部10がデータを送信したりするときに必要となる電力を蓄積する。蓄電部7は、充電時には圧電材料4が発生する電力を電気エネルギーとして蓄積し、放電時にはこの電気エネルギーを放出して制御部8、記憶部9及び無線通信部10に電力を供給する。蓄電部7は、例えば、小型で大容量のバックアップ電源として利用される電気二重層コンデンサ(スーパーキャパシタ)である。
【0018】
図5は、この発明の第1実施形態に係る構造物の監視システムにおける中央処理部の構成図である。
制御部8は、監視装置3の種々の動作を制御する装置である。制御部8は、図5に示すように、中央処理部8aと、記憶部8bと、測定部8cと、切替部8dとを備えている。制御部8は、例えば、蓄電部7が蓄積する電力を電源として動作する低消費電力のマイクロプロセッサである。
【0019】
中央処理部(CPU)8aは、制御部8の種々の動作を指令する部分である。中央処理部8aには、記憶部8b、測定部8c、切替部8d、記憶部9及び無線通信部10が接続されている。中央処理部8aは、例えば、測定部8cの測定結果を記憶部9に記憶させたり、記憶部9からこの測定結果を読み出して無線通信部10に出力させたり、蓄電部7を充電及び放電させたりする。記憶部8bは、例えば、中央処理部8aが種々の動作を実行するためのプログラムを記憶する読み出し専用のメモリ(ROM)である。
【0020】
測定部8cは、圧電材料4が出力する電気信号を測定する部分である。測定部8cは、逆流阻止回路6が出力する電気信号を処理する処理回路と、アナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換部などを備えている。測定部8cは、圧電材料4が発生する電流や電圧を測定するとともに蓄電部7の電流や電圧を測定して、これらの電流値や電圧値を測定結果(測定データ)として中央処理部8aに出力する。
【0021】
切替部8dは、蓄電部7を充電状態と放電状態とに切り換える部分であり、例えばON動作及びOFF動作するスイッチ回路である。切替部8dは、通常時には蓄電部7が電気エネルギーを蓄積するように蓄電部7を切り替え、通信時などには蓄電部7が電気エネルギーを放出するように蓄電部7を切り替える。
【0022】
記憶部9は、測定部8cの測定結果を記憶するメモリである。記憶部9は、例えば、測定部8cが測定した測定データを書き込むことができるとともに、電源をOFFにしても測定データを記憶しておくことができる不揮発性メモリ(EEPROM)である。記憶部9は、橋梁1を列車が通過して圧電材料4が電力を発生したときに、測定部8cが測定した電圧値などを測定データとして時系列順に記録している。
【0023】
無線通信部10は、監視装置3と測定装置11との間で相互に無線通信をするための通信装置である。無線通信部10は、測定装置11からの測定データの送信指令を受信すると、蓄電部7が蓄積する電力を電源として記憶部9が記憶する測定データを測定装置11に送信する。無線通信部10は、記憶部9に記憶された測定データとともに監視装置3毎に付与された識別データ(ID情報)を送信する。無線通信部10は、例えば、橋梁1の所定の位置に設置された固定局として機能する低消費電力の無線機である。
【0024】
図6は、この発明の第1実施形態に係る構造物の監視システムにおける測定装置の構成図である。
測定装置11は、橋梁1に関する種々の情報を測定する装置である。測定装置11は、例えば、橋梁1を列車が通過してこの橋梁1が振動したときに発生する応力、撓み、歪み、変位、変形及び振動加速度などを測定する。測定装置11は、図6に示すように、制御部11aと、無線通信部11bと、解析部11cと、記憶部11dと、表示部11eと、操作部11fと、電源部11gとを備えている。
【0025】
制御部11aは、測定装置11の種々の動作を制御する中央処理部(CPU)である。制御部11aには、無線通信部11b、解析部11c、記憶部11d、表示部11e、操作部11f及び電源部11gが接続されている。制御部11aは、例えば、無線通信部11bが受信した測定データを記憶部11dに記録させたり、所定の診断項目を解析部11cに解析させたり、測定点毎に診断項目を表示部11eに表示させたりする。
【0026】
無線通信部11bは、測定装置11と監視装置3との間で相互に無線通信をするための通信装置である。無線通信部11bは、監視装置3が橋梁1に複数設置されているときに、この監視装置3毎に無線通信部10に測定データの送信を指令するとともに、この監視装置3毎に測定データを無線通信部10から受信する。無線通信部11bは、監視装置3毎に付与された識別データ(ID情報)を測定データの送信指令とともに送信し、各無線通信部10からの測定データを受信して制御部11aに出力する。無線通信部10は、橋梁1の周辺を移動又は橋梁1の付近で停止した状態で無線通信部10との間で通信が可能な移動局として機能する。
【0027】
解析部11cは、無線通信部11bが受信した測定結果を解析する部分である。解析部11cは、例えば、記憶部11dが記憶する測定結果に基づいて各測定点における応力の時間変化を表す応力波形を生成して、橋梁1の応力頻度、疲労損傷度、き裂発生寿命の予測及び余寿命などの診断項目を解析する。解析部11cは、圧電材料4が発生する電圧値と橋梁1に発生する応力、振動加速度、歪みなどとの相関関係を表す関数や、橋梁1に生ずる歪みと圧電材料4に生ずる歪との間のずれを校正する校正曲線などに基づいて、これらの診断項目を解析しこの解析結果(解析データ)を制御部11aに出力する。
【0028】
記憶部11dは、種々の情報を記憶するメモリである。記憶部11dは、制御部11aが所定の処理を実行するためのプログラムを記憶したり、無線通信部11bが受信した測定データを記憶したり、解析部11cが解析した解析データを記憶したりする不揮発性メモリ(EEPROM)である。記憶部11dは、例えば、測定部8cが測定した電圧値などを測定データとして時系列順に記憶するとともに、解析部11cが解析した診断項目を測定点毎に記憶する。
【0029】
表示部11eは、種々の情報を表示する装置である。表示部11eは、例えば、測定点毎に振動状態、応力波形、応力履歴及び累積疲労損傷度などを表示する。操作部11fは、保守担当者などが診断項目や表示項目などを選択するときに操作される入力装置であり、電源部11gは測定装置11に供給する電力を蓄積するバッテリである。
【0030】
次に、この発明の第1実施形態に係る構造物の監視システムの動作を説明する。図7は、この発明の第1実施形態に係る構造物の監視システムにおける監視装置側の動作を説明するためのフローチャートである。以下では、図5に示す中央処理部8aの動作を中心に説明する。
ステップ(以下、Sという)100において、蓄電部7の電圧が測定される。蓄電部7の電圧の測定を中央処理部8aが測定部8cに指令すると、測定部8cが蓄電部7の電圧を測定してこの測定結果を中央処理部8aに出力する。
【0031】
S110において、電圧値が所定値を超えるか否かが判断される。測定部8cが測定した蓄電部7の電圧値が所定値を超えるか否かを中央処理部8aが判断し、電圧値が所定値以下である場合にはS120に進み、電圧値が所定値を超える場合にはS130に進む。
【0032】
S120において、蓄電部7が充電される。蓄電部7の電圧値が低い場合には、中央処理部8aが切替部8dに切替動作を指令する。その結果、圧電材料4が発生する起電力を蓄電部7に蓄積するように切替部8dが蓄電部7を切り替え、蓄電部7の電圧値が所定値に達するまで圧電材料4の出力電圧が蓄電部7に蓄積される。
【0033】
S130において、蓄電部7が放電される。蓄電部7の電圧値が高い場合には、中央処理部8aが切替部8dに切替動作を指令し、蓄電部7に蓄積された電力がこの蓄電部7から放出するように切替部8dが蓄電部7を切り替える。
【0034】
S140において、圧電材料4の出力電圧が測定される。橋梁1を列車が通過するとこの橋梁1の振動に応じて圧電材料4が電気信号(起電力)を発生する。圧電材料4が発生する電力の測定を中央処理部8aが測定部8cに指令すると、測定部8cによって電圧値などが測定されてこの測定結果が測定部8cから中央処理部8aに出力される。このとき、圧電材料4が発生する電力は測定部8cによって測定されるとともに蓄電部7に蓄積される。
【0035】
S150において、測定結果が記憶される。中央処理部8aが測定結果を記憶部9に出力すると時系列順にこの測定結果を記憶部9が記憶する。
【0036】
S160において、送信指令を受信したか否かが判断される。図6に示す測定装置11から無線通信部10が送信指令を受信すると、この受信データに含まれる識別データと自己のID情報とが一致するか否かを中央処理部8aが照合する。照合結果が一致するときにはS170に進み、照合結果が不一致であるときにはS100に進み圧電材料4の出力電圧の測定などを継続する。
【0037】
S170において、測定結果が送信される。測定装置11からの送信指令を無線通信部10が受信すると、中央処理部8aが記憶部9から測定結果を読み出して無線通信部10に出力し、無線通信部10が測定装置11にこの測定結果を送信しS100に戻る。
【0038】
図8は、この発明の第1実施形態に係る構造物の監視システムにおける測定装置側の動作を説明するためのフローチャートである。以下では、図6に示す制御部11aの動作を中心に説明する。
S200において、測定結果の送信が指令される。測定結果の送信を無線通信部11bに制御部11aが指令すると、監視装置3毎に付与された識別データを無線通信部11bが送信するとともに、測定結果の送信を無線通信部11bが無線通信部10に指令する。
【0039】
S210において、測定結果が受信される。監視装置3毎に無線通信部11bが測定結果を受信するとこの測定結果を無線通信部11bが制御部11aに出力する。そして、S220において、測定結果が記憶される。制御部11aが測定結果を記憶部11dに出力するとこの測定結果を記憶部11dが測定点(ID情報)毎に記憶する。
【0040】
S230において、測定結果が解析される。制御部11aが記憶部11dから測定結果を読み出して解析部11cに出力するとともに、制御部11aが解析部11cに解析処理を指令すると、この測定結果に基づいて解析部11cが所定の診断項目を解析してこの解析結果を制御部11aに出力する。
【0041】
S240において、解析結果が記憶される。制御部11aが解析結果を記憶部11dに出力するとこの解析結果を記憶部11dが測定点(ID情報)毎に記憶する。そして、S250において、解析結果が表示される。操作部11fによって選択された診断項目に対応する解析結果を制御部11aが記憶部11dから読み出してこの解析結果を表示部11eに表示させる。
【0042】
この発明の第1実施形態に係る構造物の監視システムには、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、橋梁1の振動を圧電材料4が電気信号に変換してこの電気信号を測定部8cが測定し、この橋梁1の振動に応じてこの圧電材料4が発生する電力を電源として無線通信部10が測定結果を送信する。このため、橋梁1の状態を無電源で監視して測定結果をワイヤレスで送信することができる。その結果、橋梁1などの長大構造物の振動加速度や歪みをリアルタイムで監視することができるため、鉄道を運転休止させたり道路を通行規制したりする必要がなくなり社会基盤を健全な状態で維持することができる。また、保守担当者が現場に頻繁に出向き危険箇所を巡回して目視で監視する必要がなくなり、保守担当者の作業負担や時間的な労力を軽減することができる。
【0043】
(2) この第1実施形態では、圧電材料4が発生する電力を蓄電部7が蓄積し、蓄電部7が蓄積する電力を電源として記憶部8bが記憶する測定結果を無線通信部10が送信する。その結果、橋梁1を列車が通過して橋梁1が振動したときに発生する電力を蓄電部7に予め蓄積しておき、無線通信用の電源としてこの電力を利用することができる。このため、太陽電池などを電源として利用することができないトンネルや地下構造物などの状態を無電源で監視することができる。
【0044】
(3) この第1実施形態では、無線通信部11bからの測定結果の送信指令を無線通信部10が受信し、監視装置3が橋梁1に複数設置されているときに、この監視装置3毎に測定結果を無線通信部10から無線通信部11bが受信する。このため、橋梁1の複数の測定点に設置された監視装置3から測定結果を1台の測定装置11によって受信することができる。その結果、測定装置11を携帯して橋梁1に沿って移動しながら各監視装置3から測定結果を収集したり、橋梁1の測定点に接近せずに橋梁1から離れた安全な位置に測定装置11を停止させて、各監視装置3から測定結果を収集したりすることができる。
【0045】
(4) この第1実施形態では、蓄電部7が蓄積する電力を圧電材料4が発生するとともに、測定部8cが測定する電力を圧電材料4が発生する。その結果、一つの圧電材料4を測定用圧電材料と充電用圧電材料として兼用することができる。
【0046】
(第2実施形態)
図9は、この発明の第2実施形態に係る構造物の監視システムにおける監視装置の構成図である。
図9に示す監視装置3は、測定部8cが測定する電力を発生する測定用圧電材料4Aと、蓄電部7が蓄積する電力を発生する充電用圧電材料4Bとを備えている。この第2実施形態では、一つの圧電材料4では発生する電力が小さい場合や監視装置3の負荷が大きい場合であっても、測定用圧電材料4A及び充電用圧電材料4Bがそれぞれ電力を発生するため十分な測定結果を得ることができる。
【0047】
(第3実施形態)
図10は、この発明の第3実施形態に係る構造物の監視システムにおける測定システムの構成図である。なお、図6に示す部分と同一の部分については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
図10に示す測定システム12は、通信装置13と解析装置14とを備えている。通信装置13は、この通信装置13の種々の動作を制御する制御部13aと、図5に示す無線通信部10と相互に通信可能な無線通信部13bと、この無線通信部13bが受信した測定結果を記憶する記憶部13dと、通信装置13に電力を供給する電源部13gと、解析装置14との間で相互にデータを入出力する入出力部(インタフェース回路)13hとを備えている。解析装置14は、この解析装置14の種々の動作を制御する制御部14aと、測定結果を解析する解析部14cと、この解析部14cの解析結果を記憶する記憶部14dと、解析結果を表示する表示部14eと、診断項目などを選択する際に操作する操作部14fと、通信装置13との間で相互にデータを入出力する入出力部(インタフェース回路)14hとを備えている。この第3実施形態では、図6に示す測定装置11に比べて通信装置13が小型になり持ち運びに便利な携帯端末として通信装置13を利用することができる。また、この第3実施形態では、通信装置13によって現場で測定結果を収集した後に、中央司令室などに設置された解析装置14とこの通信装置13とを接続ケーブル15によって接続して測定結果を解析することができる。
【0048】
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、橋梁1を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。例えば、列車が通過すると振動が発生するトンネルなどの他の鉄道構造物や、高層ビル、鉄塔などの固定構造物についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、圧電材料として圧電セラミックスを例に挙げて説明したが圧電セラミックス以外の圧電材料についてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、測定結果を無線によって送信する場合を例に挙げて説明したが、測定結果を有線によって送信する場合についてもこの発明を適用することができる。
【0049】
(2) この実施形態では、図8に示すS160,S170及び図9に示すS260において、測定装置11から無線通信部10が送信指令を受信した後に無線通信部10から測定装置11にこの測定結果に送信しているが、通信方法をこれに限定するものではない。例えば、図3に示す無線通信部10として送信機能のみを有する無線送信装置を設置して、振動が起きる度にその時に発生した電気エネルギーを利用して電圧値を無線で送信することもできる。この場合には、この無線と周波数を同調させた通信装置によって必要なデータを受け取ることができる。このため、必要なデータのみをリアルタイムに計測することができる。また、図1及び図2に示す監視システム2を無線送信装置と受信装置とによって構成することができるため、受信装置を市販の通信装置によって対応することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によると、特別な電源を必要とせず測定結果を無線でリアルタイムに送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態に係る構造物の監視システムによって監視される橋梁の断面図である。
【図2】この発明の第1実施形態に係る構造物の監視システムによって監視される橋梁の側面図である。
【図3】この発明の第1実施形態に係る構造物の監視システムにおける監視装置の構成図である。
【図4】この発明の第1実施形態に係る構造物の監視システムにおける圧電材料の取付状態を示す断面図である。
【図5】この発明の第1実施形態に係る構造物の監視システムにおける中央処理部の構成図である。
【図6】この発明の第1実施形態に係る構造物の監視システムにおける測定装置の構成図である。
【図7】この発明の第1実施形態に係る構造物の監視システムにおける監視装置側の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】この発明の第1実施形態に係る構造物の監視システムにおける測定装置側の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】この発明の第2実施形態に係る構造物の監視システムにおける監視装置の構成図である。
【図10】この発明の第3実施形態に係る構造物の監視システムにおける測定システムの構成図である。
【符号の説明】
1 橋梁
2 監視システム
3 監視装置
4 圧電材料(機械電気変換手段)
4A 測定用圧電材料(機械電気変換手段)
4B 充電用圧電材料(機械電気変換手段)
7 蓄電部(蓄電手段)
8 制御部
8c 測定部(測定手段)
9 記憶部(記憶手段)
10 無線通信部(送信手段)
11 測定装置
11b 無線通信部(通信装置)
11c 解析部(解析装置)
12 測定システム
13 通信装置
13b 無線通信部(通信装置)
14 解析装置
14c 解析部
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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