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明細書 :胃ペースメーカーナビゲーションシステム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4348439号 (P4348439)
公開番号 特開2007-244537 (P2007-244537A)
登録日 平成21年7月31日(2009.7.31)
発行日 平成21年10月21日(2009.10.21)
公開日 平成19年9月27日(2007.9.27)
発明の名称または考案の名称 胃ペースメーカーナビゲーションシステム
国際特許分類 A61B   5/0488      (2006.01)
A61B   5/0408      (2006.01)
A61B   5/0478      (2006.01)
A61B   5/0492      (2006.01)
FI A61B 5/04 330
A61B 5/04 300J
請求項の数または発明の数 4
全頁数 6
出願番号 特願2006-070108 (P2006-070108)
出願日 平成18年3月15日(2006.3.15)
審査請求日 平成21年1月27日(2009.1.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504409543
【氏名又は名称】国立大学法人秋田大学
発明者または考案者 【氏名】伊藤 正直
【氏名】水戸部 一孝
【氏名】吉村 昇
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100110537、【弁理士】、【氏名又は名称】熊谷 繁
審査官 【審査官】門田 宏
参考文献・文献 特開2000-126143(JP,A)
特表平06-505180(JP,A)
特表2004-537333(JP,A)
特表2003-525663(JP,A)
特表2005-533613(JP,A)
国際公開第2004/112563(WO,A1)
調査した分野 A61B 5/0488
A61B 5/0408
A61B 5/0478
A61B 5/0492
特許請求の範囲 【請求項1】
胃壁に接触させて各電極から誘導された電位変化を測定するための3組の双極電極をその中心が正三角形の各頂点に一致するように配置した電極ユニットと、該電極ユニットに接続された3Ch胃電図サンプリング装置と、該3Ch胃電図サンプリング装置からの電位信号から位相差を計算し、信号源の推定方向を指し示すパソコンとから構成されることを特徴とする胃ペースメーカーナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記電極ユニットは、双極を平行に配置した3組の双極電極と、双極の延長線が正三角形の中心で交わるように配置した3組の双極電極との異なる2種類の電極ユニットから構成されることを特徴とする請求項1記載の胃ペースメーカーナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記電極ユニットは、正三角形の各頂点に双極を平行に配置した3組の双極電極による少なくとも任意の2箇所における胃電図測定と双極の延長線が正三角形の中心で交わるように配置した3組の双極電極による1箇所における胃電図測定の少なくとも計3箇所の位置に設けることを特徴とする請求項2記載の胃ペースメーカーナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記パソコンは、3組の双極電極で測定された胃電図波形の位相差から解析プログラムにより波の伝播方向および伝播速度を決定できることを特徴とする請求項1記載の胃ペースメーカーナビゲーションシステム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、手術中に胃ペースメーカーの局在を明らかにすることが可能となる胃ペースメーカーナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、体表に貼付した電極で胃のペースメーカーから発生していると推定される電位変化を測定する経皮的胃電図は国内外で既に製品化されており、国内では胃電計EG(ニプロ社)、国外ではDigitrapperEGG(Synectics medical社、Sweden)がある。
しかし、実際に胃のどこから電位変化が発生しているか、すなわち、胃ペースメーカーがどこに存在するのかを同定することは不可能である。
現在までの胃切除術は胃の生理的機能であるペースメーカーを全く考慮せずに行われてきた。
それは、胃ペースメーカーの局在を決定する方法がなかったからである。

【特許文献1】特開平08-000585
【特許文献2】特開2000-126143
【特許文献3】特開2001-276003
【特許文献4】特開2001-276004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、手術中に胃ペースメーカーの局在が明らかにできれば、それを温存することで残胃機能を良好にすることが可能になり、全世界の胃切除における切離線が現在のような経験や目分量ではなく、機能を考慮しながら理論的に決定されることになり、それにより術後残胃機能不良による影響が軽減され、また新しい胃切除術式の開発にも貢献できる胃ペースメーカーナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の胃ペースメーカーナビゲーションシステムは、胃壁に電極ユニットを接触させ、胃壁内の電位変化を測定するものである。
本発明の胃ペースメーカーナビゲーションシステムは、接触させる電極ユニットが3組の双極電極で構成されるものである。
本発明の胃ペースメーカーナビゲーションシステムは、3組の双極電極で測定された胃電図波形の位相差から解析プログラムにより波の伝播方向および伝播速度を決定できるものである。
本発明の胃ペースメーカーナビゲーションシステムは、少なくとも任意の2箇所における胃電図測定で胃ペースメーカーの局在が同定できるものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明により手術中に胃ペースメーカーの局在が明らかにできれば、それを温存することで残胃機能を良好にすることが可能になる。
すなわち、全世界の胃切除における切離線が現在のような経験や目分量ではなく、機能を考慮しながら理論的に決定されることになり、それにより術後残胃機能不良による影響が軽減され、また新しい胃切除術式の開発にも貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明で構築した胃ペースメーカーナビゲーションシステムを図1に示す。
本発明の胃ペースメーカーナビゲーションシステムは、胃壁に接触させて電位を得る電極ユニット(A)および電極ユニット(B)、接続ケーブル、3Ch胃電図サンプリング装置、A-D変換ボード、波形データ保存のためのデータレコーダ、伝播方向および速度解析のためのプログラムを含むPCで構成されている。
前記電極ユニット(A)は3組の双極電極が1辺2cmの正三角形の各頂点に各々同じ方向すなわち平行に配置し、前記電極ユニット(B)は各々三角形の頂点から中心を向くように配置したもので、どちらも電極を表面から3mm突出させたものとする。
【0007】
前記3Ch胃電図サンプリング装置の構成を図2に示す。
前記3Ch胃電図サンプリング装置(CMRR=65.5dB)は、アイソレーションアンプ(CMRR 170dB、Gain10倍)、ハイパスフィルター(fc=0.1~0.5Hz)、プリアンプ(Gain 100倍)、ローパスフィルター(fc=15~20Hz)およびバンドエリミネーションフィルター(fc=50Hz)で構成されている。
【0008】
本発明で使用した電極による電位信号の到来方向の算出式を以下に示す。
すなわち、図3(a)に仮定した電極の配置に対し、その電位信号の到来方向の角度ψ〔deg〕は、図3(b)に仮定した各電極における電位信号の位相差t1〔s〕、t2〔s〕より下記の式で算出できる。
【0009】
【数1】
JP0004348439B2_000002t.gif
なお、そのときの電位波形の伝搬速度v〔mm/s〕は、正三角形(電極ユニット)の一辺の長さがL〔mm〕であるとき、下記の式より算出できる。
【0010】
【数2】
JP0004348439B2_000003t.gif

【0011】
次に、本発明の胃ペースメーカーナビゲーションシステムの操作動作を図4に基づいて、以下に説明する。
電極ユニット(A)、電極ユニット(B)および接続ケーブルは術前に予め滅菌しておく。
全身麻酔下に開腹後、接続ケーブルを接続した電極ユニット(A)を胃の漿膜面に密着させ測定を開始する。
波形が安定後、まず胃前壁の任意の点でサンプリングと伝播方向を解析し方向(1)を得る。
次に、はじめの点と離れた口側の別の測定ポイントで同様に測定し方向(2)を得る。
図4(a)に示すように方向(1)と方向(2)の交点にペースメーカーが存在すると決定できる。
しかし、さらに局在を極めるために、図4(b)に示す如く、電極ユニット(B)を密着させ測定し、ペースメーカーが各電極の内側に存在することを確認し、位置を最終決定する。
【実施例1】
【0012】
事前に経皮的胃電図測定で胃ペースメーカー電位が確認出来、かつインフォームドコンセントが得られた開腹胃切除術患者を対象に術中測定した結果、全例で胃ペースメーカー電位の測定が可能であった。
図5(a)に術中測定における電極ユニットの配置図、同図(b)に胃電図サンプリング装置で処理されたペースメーカー電位波形を示す。
横軸が時間、縦軸は電位を示す。
【0013】
図5(b)に示した測定例では電位波形が2CHで最も早く測定され、3CH(2.46秒遅れ)および1CH(2.60秒遅れ)にほぼ同時に測定されており、位相差から信号源であるペースメーカー細胞が2CH側、つまり図5(a)に示された胃の右側に位置することが推定できる。
PC上にソフトウェアで構成したナビゲーションシステムは、A/D変換された3チャンネルの電位信号から、それぞれの位相差(0~4秒の範囲)を計算し、リアルタイムに信号源の推定方向を指し示すことができる。
【0014】
実際の検査では、ナビゲーションシステムに従い電極ユニットを移動させ、さらにペースメーカー細胞(信号源)の位置を特定していく。
電極ユニットの中央にペースメーカー細胞が入ると、全てのチャンネルで計算される電位波形の位相差が一致し、ナビゲーションシステムにおいてペースメーカー細胞が電極ユニット下部に存在する表示がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の胃ペースメーカーナビゲーションシステムの構成を示す構成図である。
【図2】胃電図サンプリング装置の構成をしめす構成図である。
【図3】電極ユニットの最適配置と信号到来方向決定の理論を示す説明図である。
【図4】本発明の胃ペースメーカーナビゲーションの操作を示す説明図である。
【図5】電極ユニットの(a)配置及び(b)測定波形の一例を示す説明図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4