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明細書 :硬脆性材料の切削加工方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4928808号 (P4928808)
公開番号 特開2007-248138 (P2007-248138A)
登録日 平成24年2月17日(2012.2.17)
発行日 平成24年5月9日(2012.5.9)
公開日 平成19年9月27日(2007.9.27)
発明の名称または考案の名称 硬脆性材料の切削加工方法
国際特許分類 G01N  35/08        (2006.01)
G01N  37/00        (2006.01)
B28D   5/02        (2006.01)
FI G01N 35/08 A
G01N 37/00 101
B28D 5/02 Z
請求項の数または発明の数 1
全頁数 9
出願番号 特願2006-069428 (P2006-069428)
出願日 平成18年3月14日(2006.3.14)
審査請求日 平成21年3月13日(2009.3.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】800000068
【氏名又は名称】学校法人東京電機大学
発明者または考案者 【氏名】松村 隆
個別代理人の代理人 【識別番号】100083806、【弁理士】、【氏名又は名称】三好 秀和
【識別番号】100100712、【弁理士】、【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
【識別番号】100100929、【弁理士】、【氏名又は名称】川又 澄雄
【識別番号】100095500、【弁理士】、【氏名又は名称】伊藤 正和
【識別番号】100101247、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 俊一
【識別番号】100098327、【弁理士】、【氏名又は名称】高松 俊雄
審査官 【審査官】福田 裕司
参考文献・文献 特開2005-046652(JP,A)
特開2005-096399(JP,A)
特開2003-294770(JP,A)
特開2002-243734(JP,A)
特開2000-158201(JP,A)
特開平11-267915(JP,A)
特開平09-160624(JP,A)
実開平01-084912(JP,U)
調査した分野 G01N 35/08
B28D 5/02
G01N 37/00
特許請求の範囲 【請求項1】
円柱状もしくは円筒状に形成されている硬脆性材料側面にエンドミルを用いて切削加工を行うことによって、前記表面に溝を形成する硬脆性材料の切削加工方法であって、
前記硬脆性材料の軸を中心にして前記硬脆性材料を回動し、前記硬脆性材料の軸の延伸方向であるX軸方向に前記硬脆性材料を移動し、前記硬脆性材料の軸の延伸方向と直交する1方向であるY軸方向に前記硬脆性材料を移動し、前記エンドミルの回転中心軸が前記X軸方向および前記Y軸方向と直交する方向であるZ軸方向に延伸ししかも前記回転中心軸の延長線が前記硬脆性材料の回動中心軸と非交差になるように前記エンドミルを存在させ、
前記エンドミルを高速回転し、前記エンドミルをこの回転中心軸の延伸方向で移動位置決めし、前記エンドミルの回転中心軸と、回転しているときに形成される前記エンドミルの切刃の刃先で形成される面との交点が、前記硬脆性材料の外側で前記表面から離反した位置に存在しているようにして、前記エンドミルの切れ刃の一部を前記硬脆性材料に食い込ませ、
前記溝の表面が形成される部位における前記エンドミルの1刃あたりの切り込み量が、前記硬脆性材料を延性的に切削することが可能な値になるようにしつつ切削を行う
ことを特徴とする硬脆性材料の切削加工方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬や創薬の検査機器等として使用されるマイクロ分析チップを構成するガラス等の硬脆性材料の切削加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ分析チップ(マイクロチップ)は、半導体分野等の微細加工技術を利用して所定の機能を小型のチップに集積したものをいい、たとえば、化学反応等の複雑な化学システムを集積したものである。マイクロチップを使用することによって、化学反応等の試験を行う場合における試薬、試料の少量化をはかる等することができる。
【0003】
図5は、従来のマイクロ分析チップ200の概略構成を示す斜視図である。
【0004】
従来のマイクロ分析チップ200は、平板状の基材202に、長手方向の一端部側から他端部側に向かう微細な流路204やプール206A、Bを形成した構成になっており、流路204やプール206A、Bに試料等を流すことにより化学反応等を行わせるようになっている(たとえば、非特許文献1参照)。

【非特許文献1】[平成18年1月20日検索]、インターネット<URL:http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/bunseki/chip/chip.htm>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記従来のマイクロ分析チップ200では、マイクロ分析チップ200の両端を流れる試料同士を合成すること等が困難である。たとえば、従来のマイクロ分析チップ200では、図5に示すように、枝別れした各流路204A、204B、204Cのうちの流路204Aと、流路204Bとを、基材202の他端部側で再び合流させることは、流路204Cの存在により困難になっている。
【0006】
すなわち、従来のマイクロ分析チップでは、流路の形態の自由度が制限されるという問題がある。
【0007】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、流路の形態の自由度が従来よりも高いマイクロ分析チップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項に記載の発明は、円柱状もしくは円筒状に形成されている硬脆性材料の側面にエンドミルを用いて切削加工を行うことによって、前記表面に溝を形成する硬脆性材料の切削加工方法であって、前記硬脆性材料の軸を中心にして前記硬脆性材料を回動し、前記硬脆性材料の軸の延伸方向であるX軸方向に前記硬脆性材料を移動し、前記硬脆性材料の軸の延伸方向と直交する1方向であるY軸方向に前記硬脆性材料を移動し、前記エンドミルの回転中心軸が前記X軸方向および前記Y軸方向と直交する方向であるZ軸方向に延伸ししかも前記回転中心軸の延長線が前記硬脆性材料の回動中心軸と非交差になるように前記エンドミルを存在させ、前記エンドミルを高速回転し、前記エンドミルをこの回転中心軸の延伸方向で移動位置決めし、前記エンドミルの回転中心軸と、回転しているときに形成される前記エンドミルの切刃の刃先で形成される面との交点が、前記硬脆性材料の外側で前記表面から離反した位置に存在しているようにして、前記エンドミルの切れ刃の一部を前記硬脆性材料に食い込ませ、前記溝の表面が形成される部位における前記エンドミルの1刃あたりの切り込み量が、前記硬脆性材料を延性的に切削することが可能な値になるようにしつつ切削を行う硬脆性材料の切削加工方法である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、脆性損傷を発生させることなく、硬脆性材料の曲面に微細な溝を効率良く生成することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るマイクロ分析チップ1の概略構成を示す斜視図である。
【0019】
なお、図1(a)は、マイクロ分析チップ1の分解図であり、図1(b)は、マイクロ分析チップ1を組み立てた状態を示す図である。
【0020】
マイクロ分析チップ1は、ガラスで構成されている円柱状(円筒状であってもよい)の内側部材3を備えている。この内側部材3の側面には、微細な溝5が形成されている。この溝5は、内側部材3の軸(図1(a)の左から右やや上方に延びている軸)CL1の延伸方向の成分と、内側部材3の周方向の成分とをもって(いずれか一方の成分の場合もある)、所定の幅および所定の深さで内側部材3の側面に延伸して設けられている。
【0021】
また、内側部材3には、ガラスで構成されている円筒状の外側部材7が一体的に設けられている。この外側部材7は、たとえば、軸CL1を含む平面により、2つの部材7A、7Bに分割されている。そして、2つの部材7A、7Bが合わさって、内側部材3を覆うことによって溝5に蓋がされ、試料を流すための流路9が形成されている。
【0022】
内側部材3の外径と、外側部材7の内径とは互いがほぼ等しくなっている。したがって、たとえば、接着剤を用いて内側部材3に外側部材7を一体的に設けた状態では、溝5によって形成された流路9から、溝5が形成されていない部位であって内側部材3と外側部材7とが互いに接触している部位には、流路9から試料が漏れ出すことはない。なお、接着剤を用いる代わりに光学接着等によって、内側部材3に外側部材7を一体的に設けてもよい。
【0023】
流路9は、内側部材3の軸方向の一端部側から中間部に向かって延びていると共に、中間部で複数本に枝分かれし、内側部材3の軸CL1方向の他端部側に向かってさらに延びている。換言すれば、流路9は、内側部材3の軸CL1方向の一端部側から他端部に向かって直線的にもしくは曲がって延びていると共に、内側部材3の軸CL1方向の中間部で複数本に枝分かれしている。
【0024】
枝分かれした各流路11、13、15のうちの少なくとも2本の流路11、13が、他の流路15と交差することなく、軸CL1方向の他端部側の部位(浅い円形状のプール)17で互いに合流している。
【0025】
より具体的に説明すると、内側部材3の軸CL1方向の一端部から中間部にかけて、内側部材3の側面に1本の流路9が延伸している。前記1本の流路9は、前記中間部で3本に枝分かれしさらに内側部材3の軸CL1方向の他端部に向かって延びている。3本の流路11、13、15のうちの真ん中の流路15は、そのまま真っ直ぐに延びている。3本の流路11、13、15のうちの両側の2本の流路11、13は、真ん中の流路15から離れるようにし内側部材3の他端部側に延伸し、内側部材3の裏側(内側部材3の軸CL1に対して、前記枝分かれする前の1本の流路9とは反対側)の部位17で交差し合流している。この合流をした後、各2本の流路11、13は、再び内側部材3の表側に戻り、真ん中の流路15に交わること無く真ん中の流路15の近傍で真ん中の流路15と平行に延びている。
【0026】
このような構成のマイクロ分析チップ1によれば、流路9(11、13、15)が3次元方向に延伸して設けられているので、従来のように2次元で延びている流路に比べ流路の形態の自由度が高くなっている。たとえば、図1に示すように、枝別れした真ん中の流路15が存在しているにもかかわらず、枝分かれした両側の各流路11、13を枝分かれ後合流させることができるようになっている。すなわち、従来のマイクロ分析チップ200に置き換えて考えると、基材202の幅方向において流路に連続性を持たせることができ、流路の合理的設計をすることができるようになっている。
【0027】
そして、枝分かれ直後の流路11で試料を加熱し、枝分かれ直後の流路13で試料に紫外線を照射した後、両試料を混ぜることができる等、試料に対して柔軟な処理を施すことができる。
【0028】
また、マイクロ分析チップ1によれば、マイクロ分析チップ1が円柱状に形成されており、軸対称部品である丸棒(円柱)の取り扱いや運動は平板の場合よりも容易である。たとえば、所定の軸を回転中心にして高速回転しても質量のアンバランスによる振動等が発生しにくくなっている。したがって、円柱形状のマイクロ分析チップ1では、高速回転させて試料の合成を促進させ、たとえば、遠心分離機としての作用も期待できる。また、マイクロ分析チップ1を垂直または傾斜させて重力の効果を積極的に利用することができ、たとえば、水と油のように、密度が異なる試料の分離にも利用することができる
さらに、重力や遠心力を利用することにより、高粘度の試料であっても、ポンプ等を使用することなく、流路に流すことができるようになっている。また、曲面を有する丸棒(円柱)にはレンズ効果があるので、試料が流れている流路を拡大して見ることができ、試料の反応や流れの検査が容易になる。
【0029】
ところで、マイクロ分析チップを円柱状以外の形状(たとえば、球状)に形成してもよい。
【0030】
すなわち、マイクロ分析チップを、ガラスで構成された球状の内側部材と、この内側部材の表面に延伸して設けられた溝と、ガラスで構成され前記内側部材を覆うことによって前記溝に蓋をして試料を流すための流路を形成すべく前記内側部材に一体的に設けられた所定の厚さを備えた球殻状の外側部材とを有するように構成してもよい。
【0031】
ここで、所定の厚さを備えた球殻状の外側部材とは、所定の外径の第1の球体から、この第1の球体よりも外径が小さく前記第1の球体と中心が一致している第2の球体を取り除いた形状である。前記内側部材の外径と前記外側部材の内径とは互いがほぼ等しくなっている。
【0032】
なお、前述したマイクロ分析チップは、本体部の内部に、試料(試薬を含む)が流れる流路が3次元方向に延伸して設けられているマイクロ分析チップの例である。
【0033】
ここで、内側部材3への溝5の形成方法について説明する。
【0034】
図2は、内側部材3に溝5を形成するための加工装置21の概要を示す斜視図であり、図3は、エンドミル23で内側部材3に溝5を加工しているときの内側部材3とエンドミル23との位置関係を示す図であり、内側部材3の軸CL1の延伸方向から眺めた図である。
【0035】
なお、図3(b)は、エンドミル23が内側部材3に食い込んでいる部位の拡大図である。
【0036】
図4は、図3におけるIV矢視図である。
【0037】
加工装置21は、内側部材3を保持する保持部(図示せず)を備えている。この保持部で保持された内側部材3は、内側部材3の軸CL1の方向(X軸方向;矢印AR1で示す方向)、内側部材3の径方向(Y軸方向;X軸と直交する矢印AR3の方向)で、図示しない制御装置の制御の下、図示しないアクチュエータの駆動によって移動位置決め自在になっている。また、前記保持部で保持された内側部材3は、内側部材3の軸CL1を回動中心にして、図示しない制御装置の制御の下、図示しないアクチュエータの駆動によって回動位置決め自在になっている。
【0038】
また、加工装置21は、エンドミル23を保持し、この保持したエンドミル23を内側部材3の切削加工のために高速で回転することができるスピンドル(図示せず)が設けられている。このスピンドルに保持されたエンドミル23は、軸(前記X軸方向および前記Y軸方向に対して直交して延伸している軸)CL3を回転中心にして図示しないアクチュエータの駆動により回転し、この軸CL3の延伸方向(矢印AR5で示す方向)で、図示しない制御装置の制御の下、図示しないアクチュエータの駆動によって移動位置決め自在になっている。
【0039】
また、加工装置21は水槽26を備えており、この水槽26の内部に内側部材3が設置されたとえば水中で切削加工がされるようになっている。
【0040】
そして、内側部材3の曲面状の表面(側面)にエンドミル(たとえば、ボールエンドミル)23を用いて切削加工を行うことにより、前記表面に所定の幅および所定の深さで所定の長さの溝5を形成することができるようになっている。
【0041】
なお、前記制御装置の制御の下、前記切削をする場合には、溝5の表面が形成される部位におけるエンドミル23の1刃あたりの切り込み量(切り込み幅)が、内側部材3を延性的に切削することが可能な値(脆性損傷の発生しない値;たとえば、1μm以下)になっている。
【0042】
より詳しく説明すると、所定の切削速度を得るためにエンドミル23を高速回転させ、エンドミル23の切刃の少なくとも一部を、内側部材3の側面に所定の深さ(この深さは、1μm以上であってもよい。たとえば、20μm程度でよい)食い込ませ(図3(b)参照)、内側部材3に対してエンドミル23を所定の速度で相対的に移動し、前記移動方向に延伸する溝であって所定の幅で所定の深さの溝5を内側部材3に形成する。
【0043】
この際、溝5の表面(加工前の表面よりも凹んでいる表面)の近傍(図4のA部、B部)におけるエンドミル23の1刃あたりの切り込み量は、内側部材3を延性的に切削することが可能な値になっている。
【0044】
すなわち、溝5の延伸方向にエンドミル23が内側部材3に対して相対的に移動することによって得られる1刃あたりの切り込み量であって、エンドミル23の内側部材3への食い付き部A、離脱部Bにおける1刃あたりの切り込み量が、内側部材3を延性的に切削することが可能な値になっている。また、溝5の上部側だけでなく、溝5の深さ方向の底側における食い付き部、離脱部でも、延性的な切削がなされるようになっている。
【0045】
なお、溝5の表面を形成しない部位におけるエンドミル23の1刃あたりの切り込み量は、脆性損傷を発生するような切り込み量であってもよい。
【0046】
たとえば、エンドミル23の送り方向(溝5の延伸方向)における表面の部位(溝5が形成される前の内側部材3の表面の部位)Cでは、食い付き部Aや離脱部Bよりもエンドミル23の1刃あたりの切り込み量が大きくなり、脆性損傷が発生するおそれがある。しかし、脆性損傷が発生しても、この発生した部位は後から食い付き部Aと離脱部Bとで切削加工がなされ削りとられてしまうので、溝5の表面の形態に悪影響を与えることはない。
【0047】
なお、前記1刃あたりの切り込み量は、エンドミル23の切刃が1枚である場合には、エンドミル23の1回転あたりの量であるが、エンドミル23の切刃がn(2以上の整数)枚である場合には、エンドミル23の1/n回転あたりの量である。
【0048】
すでに理解されるように、溝5は、内側部材3の軸CL1の延伸方向の成分、内側部材3の周方向の成分のうちの少なくとも1つの成分をもって、内側部材3の側面表面に延伸して形成されるものである。たとえば、前記側面に螺旋状に形成されていてもよいし、前記軸CL1に直角な円状に形成されていてもよいし、前記軸CL1に平行な直線状に形成されていてもよいし、前記軸CL1に対して斜めに傾いた楕円状に形成されていてもよい。
【0049】
また、内側部材3の軸CL1の延伸方向から眺めた場合、前記切削しているときのエンドミル23の回転中心軸CL3は、この回転中心軸CL3を延伸した直線が、内側部材3の軸CL1とは交差しないようなところに存在している(図3(a)参照)。
【0050】
より具体的には、切削しているときのエンドミル23の回転中心軸CL3は、内側部材3の軸CL1を含む任意の1つの平面と平行であってこの任意の平面から離れていると共に内側部材3と交差する平面と、内側部材3の軸CL1と直交する平面とが互いに交差して形成される直線上に存在している。
【0051】
また、エンドミル23の回転中心軸CL3と、回転しているときに形成されるエンドミル23の切刃の刃先で形成される面(切刃面)25(図3(b)において半円状に示されている箇所)との交点27が、内側部材3の外側で内側部材3から離反した位置に存在している。
【0052】
すなわち、切削しているときにおけるエンドミル23の回転中心軸CL3は、切削している部位における内側部材3の曲面の法線CL5(図3(b)参照)に対して斜めに傾いていると共に、交点27が、溝5にかからない位置に存在している。なお、前記説明では、エンドミル23の軸CL3は、図3(a)の紙面の方向に延伸しているが、紙面に対して斜めに交差する方向に延伸していてもよい。
【0053】
また、ボールエンドミルで凹状の曲面に切削加工をする場合には、前記凹状の曲面の曲率半径は、回転しているときに形成される前記エンドミルの切刃の先端部で形成される面の曲率半径よりも大きいことが望ましい。
【0054】
ところで、従来のマイクロ分析チップ200では、基材202が平板状に形成されているので、この基材202に微細な溝を加工する場合、フォトリソグラフィにより表面にマスクを設け、フッ酸によるエッチィングを行うことが一般的である。
【0055】
しかし、円柱状の内側部材3の側面にマスクを設けることは困難である。一方、モールド成形により側面に微細な溝を備えた内側部材を生成することもできるが、モールド成形に使用する金型が高価であり多品種少量生産にはむかない。さらに、内側部材の材質として一般的に合成樹脂が採用され、ガラス等の化学的に反応しにくいものを採用することも難しい。
【0056】
そこで、ガラスで構成された円柱状の内側部材3の側面に、切削加工によって微細な溝5を形成する方法が考えられる。しかし、硬脆性材料(ガラス)に切削加工を施す場合、1回の切り込みで生成される溝の深さは、0.5μm~1.0μm程度であり、これ以上の切り込み深さでは、脆性損傷が発生するおそれがある。
【0057】
マイクロ分析チップ1の内側部材3では、前述したように溝5の表面が形成される部位におけるエンドミル23の1刃あたりの切り込み量が、ガラスを延性的に切削することが可能な値にしてあるので、内側部材3に脆性損傷を発生させることなく、内側部材の側面に1回の切り込みで十分な深さ(たとえば20μm)の溝5を効率良く生成することができる。
【0058】
また、エンドミル23の回転中心軸CL3と切刃面25との交点27が、エンドミル23による内側部材3への切削部位以外のところに存在しているので、エンドミル23による内側部材の切削速度が「0」になることはなく、溝5の表面を良好なものにすることができる。
【0059】
なお、本実施形態では、ガラスを例に掲げて説明したが、内側部材3や外側部材7を、ガラス以外の化学反応しにくい透明な材料で構成してもよい。また、内側部材3や外側部材7を、超硬セラミックス、単結晶シリコン等の硬脆性無機材料(硬脆性材料)で構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態に係るマイクロ分析チップの概略構成を示す斜視図である。
【図2】内側部材に溝を形成するための加工装置の概要を示す斜視図である。
【図3】エンドミルで内側部材に溝を加工しているときの内側部材とエンドミルとの位置関係を示す図であり、内側部材の軸の延伸方向から眺めた図である。
【図4】図3におけるIV矢視図である。
【図5】従来のマイクロ分析チップの概略構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0061】
1 マイクロ分析チップ
3 内側部材
5 溝
7 外側部材
9、11、13、15 流路
21 加工装置
23 エンドミル
25 切刃面
27 交点
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4