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明細書 :負荷変動に対応可能な原子力発電システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007-218604 (P2007-218604A)
公開日 平成19年8月30日(2007.8.30)
発明の名称または考案の名称 負荷変動に対応可能な原子力発電システム
国際特許分類 G21D   9/00        (2006.01)
F02C   1/05        (2006.01)
F02C   1/10        (2006.01)
F02C   3/22        (2006.01)
F01K  25/00        (2006.01)
C01B   3/02        (2006.01)
FI G21D 9/00
F02C 1/05
F02C 1/10
F02C 3/22
F01K 25/00 B
C01B 3/02 A
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 6
出願番号 特願2006-036358 (P2006-036358)
出願日 平成18年2月14日(2006.2.14)
発明者または考案者 【氏名】大橋 一孝
【氏名】國富 一彦
【氏名】シンヤン
出願人 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】独立行政法人 日本原子力研究開発機構
個別代理人の代理人 【識別番号】100089705、【弁理士】、【氏名又は名称】社本 一夫
【識別番号】100140109、【弁理士】、【氏名又は名称】小野 新次郎
【識別番号】100075270、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 泰
【識別番号】100080137、【弁理士】、【氏名又は名称】千葉 昭男
【識別番号】100096013、【弁理士】、【氏名又は名称】富田 博行
【識別番号】100092015、【弁理士】、【氏名又は名称】桜井 周矩
審査請求 未請求
テーマコード 3G081
Fターム 3G081BA11
3G081DA22
要約 【課題】
現在の原子力発電は、ベース電源としての利用が主で、日負荷変動や季節負荷変動へ対応するための、いわゆるピーク電源としての利用は行われていない。しかし、原子力の利用範囲の拡大や、それによる地球温暖化ガス放出量の低減のためには、負荷変動へ対応するためのピーク電源としての利用も進めていくことが望ましい。
【解決手段】
直接サイクルヘリウムガスタービン発電設備及び中間熱交換器を介した熱化学法水素製造設備を高温ガス炉に接続した発電/水素併産プラントと、製造した水素及び酸素の貯蔵設備を備えた水素燃焼タービン発電プラントを組み合わせた原子力発電システムを構成することにより、ピーク電源として利用可能な原子力発電プラントシステム。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
直接サイクルヘリウムガスタービン発電設備及び中間熱交換器を介した熱化学法水素製造設備を高温ガス炉に接続した発電/水素併産プラントと、製造した水素及び酸素の貯蔵設備を備えた水素燃焼タービン発電プラントを組み合わせた原子力発電システム。
【請求項2】
熱化学水素製造設備にISプロセスを使用した、請求項1記載の原子力発電システム。



発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力を用いた発電技術に関するものであり、日負荷変動や季節負荷変動へ対応可能な原子力発電システムを実現するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の原子力システムとして最も普及しているのは、軽水型原子炉を用いた軽水炉型原子力発電システムである。

【非特許文献1】平成16年版、原子力白書、平成17年3月、原子力委員会
【非特許文献2】平成16年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書)、平成17年5月、資源エネルギー庁情報企画室
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在の原子力発電は、ベース電源としての利用が主で、日負荷変動や季節負荷変動へ対応するための、いわゆるピーク電源としての利用は行われていない。これは、現在最も普及している軽水型原子力発電システムにおいては、燃料健全性確保の観点から短時間の出力変更幅が制限されることと、原子力発電設備の資本費が高いために部分負荷運転時の経済性が悪化することの2点が、主な要因である。
【0004】
しかし、原子力の利用範囲の拡大や、それによる地球温暖化ガス放出量の低減のためには、負荷変動へ対応するためのピーク電源としての利用も進めていくことが望ましい。本発明は、この課題の解決のために、ピーク電源としての要件である、優れた負荷追従特性と高い経済性を有した原子力発電システムの実現を目指したものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、直接サイクルヘリウムガスタービン発電設備及び中間熱交換器を介した熱化学法水素製造設備を高温ガス炉に接続した発電/水素併産プラントと、製造した水素及び酸素の貯蔵設備を備えた水素燃焼タービン発電プラントを組み合わせた原子力発電システムを構成することにより、前記のピーク電源として利用可能な原子力発電プラントシステムを構築するものである。
【0006】
本発明は、具体的には、中間熱交換器を介して結合された原子炉及び熱化学水素製造設備を備えた発電/水素併産プラントと、水素貯蔵設備、酸素貯蔵設備及び水素燃焼タービン発電設備を備えた水素燃焼タービンプラントとから構成され、前記発電/水素併産プラントには、原子炉からの1次ヘリウムを熱交換器を経てヘリウムガスタービン発電設備に供給して電力発生に使用した後に前記原子炉に戻す1次ヘリウム系閉回路と、 前記中間熱交換器からの2次ヘリウムを熱化学法水素製造設備に供給した後前記中間熱交換器に戻す2次ヘリウム系閉回路とが設けられ、前記水素燃焼タービン発電プラントには、前記両貯蔵設備及び前記水素燃焼タービン発電設備を結ぶ水素及び酸素用のそれぞれの供給回路と、前記水素燃焼タービン発電設備及び前記熱化学法水素製造設備を結ぶ副生した水の回収回路とが設けられた、負荷変動に対応可能な原子力発電システムであって、電力需要の多い時には、前記水素燃焼タービンプラントで貯蔵した水素及び酸素を用いて水素燃焼タービン発電設備で発電を行うと共に、前記発電/水素併産プラントでも2次ヘリウム系回路の切り替え弁を閉じて水素の製造を停止し、原子炉から供給される熱のすべてを前記ヘリウムガスタービン発電設備に供給することにより、日負荷変動や季節負荷変動へ対応可能な原子力発電システムである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明において採用している発電/水素併産プラントでは、2次ヘリウム系の切り替え弁の操作により熱化学法水素製造設備の水素製造量とヘリウムガスタービンによる発電量の比率を自由に変更可能である。そのため、電力需要の少ない夜間等には、ヘリウムガスタービンの発電量はプラントの所内電力のみとし、残りの原子炉からの熱は中間熱交換器を介して熱化学法水素製造設備に供給することにより、水を熱化学分解させて水素と酸素を製造し、それを貯蔵する。
【0008】
そして、電力需要の多い昼間等には、貯蔵した水素及び酸素を用いて水素燃焼タービン発電設備で発電を行うと共に、発電/水素併産プラントでも2次ヘリウム系の切り替え弁を閉じることにより水素の製造を停止し、原子炉から供給される熱のすべてをヘリウムガスタービン発電に用いる。このような運転方法を取ることにより、電力需要の変動に係わらず発電/水素併産プラントの原子炉は定格出力を維持しながら、システム全体のアウトプットとなる発電量としては負荷追従が可能となる。又、熱化学法水素製造の採用により水素と酸素の両者を同時に製造できることから、両者を燃料とする高効率の水素燃焼タービンを採用可能としていることにより、十分な経済性も有している。
【0009】
本発明は、図1に示されるように、発電/水素併産プラントが原子炉、中間熱交換器、熱化学法水素製造設備及びヘリウムガスタービン発電設備から構成され、又、水素燃焼タービン発電プラントは水素貯蔵設備、酸素貯蔵設備及び水素燃焼タービン発電設備から構成されている。
【0010】
その発電/水素併産プラントにおいては、原子炉からの高温1次ヘリウムが中間熱交換器を経てヘリウムガスタービン発電設備に供給されて電力発生に使用された後に原子炉に戻される。又、中間熱交換器で加熱された2次ヘリウムが熱化学法水素製造設備に供給され、水素及び酸素の製造に使用された後に中間熱交換器に戻される。水素燃焼タービン発電プラントにおいては、熱化学法水素製造設備で製造された水素及び酸素が、それぞれの貯蔵設備に貯蔵された後、水素燃焼タービン発電設備に供給されて電力発生に使用される。
【0011】
そこで、電力需要の多い時には、発電/水素併産プラントの2次ヘリウム循環系の切り替え弁を閉じることにより、1次ヘリウムを全てヘリウムガスタービン発電設備に供給して電力供給量を増加させる。又、電力需要の少ない時には、発電/水素併産プラントの2次ヘリウム循環系の切り替え弁を開くことにより、中間熱交換器で加熱された2次ヘリウムを熱化学法水素製造設備に供給して水素及び酸素を製造し、それぞれの貯蔵設備に貯蔵する。この貯蔵された水素及び酸素は必要に応じて水素燃焼タービン発電設備に供給されて電力発生に使用される。特に、電力需要の多い時には、熱化学法水死製造設備が切り替え弁を閉じることにより操業停止された場合にも、貯蔵された水素及び酸素を水素燃焼タービン発電設備に供給することで発電による電力供給が続行される。
【実施例】
【0012】
本発明の実施例は図面に示すとおりである。発明者等の試算によると、図面に示したシステム構成において、原子炉の熱出力を600MWt、熱化学水素製造法にISプロセスを採用することとし、日負荷変動に対応するために1日のうち夜間(23~7時)に水素製造、昼間(7時~23時)に水素燃焼タービン及び水素燃焼タービン及びヘリウムガスタービンによる発電を行う運転パターンを採用するものとすると、昼間の電力供給量は352MWe(内訳:水素燃焼発電72MWe、ヘリウムガスタービン発電280MWe)で、発電コストは約5.7円/kWhと算定された。このコストは、現在ピーク電源として用いられているLNG火力発電コスト(稼働率80%で約6.2円/kWh、稼働率30%で約8.6円/kWh)を大幅に下回り、本発明による原子力発電システムがピーク電源として使用可能なことを示すものである。
【0013】
なお、上記運転パターンはあくまで一例であり、本発明のシステムではユーザのニーズに応じて柔軟な運転パターンの採用が可能である。
[発明の効果]
【0014】
本発明により、実施例に示したように、ピーク電源としての要件である、優れた負荷追従特性と高い経済性を有した原子力発電システムが実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の負荷変動に対応可能な原子力発電システムを示す図である。
図面
【図1】
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