TOP > 国内特許検索 > 地震動識別方法及びそのための装置 > 明細書

明細書 :地震動識別方法及びそのための装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4173408号 (P4173408)
公開番号 特開2005-010041 (P2005-010041A)
登録日 平成20年8月22日(2008.8.22)
発行日 平成20年10月29日(2008.10.29)
公開日 平成17年1月13日(2005.1.13)
発明の名称または考案の名称 地震動識別方法及びそのための装置
国際特許分類 G01V   1/28        (2006.01)
FI G01V 1/28
請求項の数または発明の数 10
全頁数 13
出願番号 特願2003-175176 (P2003-175176)
出願日 平成15年6月19日(2003.6.19)
審査請求日 平成17年6月27日(2005.6.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】中村 洋光
【氏名】他谷 周一
【氏名】束田 進也
【氏名】芦谷 公稔
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
【識別番号】100096426、【弁理士】、【氏名又は名称】川合 誠
審査官 【審査官】田中 秀直
参考文献・文献 特開2002-277557(JP,A)
束田進也,パターン認識を応用した自動地震識別法,地震 第2輯,2001年 3月25日,第53巻第3号,P.237-280
調査した分野 G01V 1/00-1/52
G01H 1/00
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)地震計から得られる時系列データの絶対値をV(t)となし〔ここで、tは時間(秒)〕、地震を検知した時刻を時間原点(t=0)として、そこから、数秒間のデータに簡易な関数を当てはめ、関数形として、V(t)=B・t×exp(-A・t)を用い(ここで、Bは地震波形の初動振幅の時間変化に関するパラメータ、Aは初動部分の最大振幅に関係するパラメータ)、上記式の両辺の常用対数をとって、log〔V(t)/t〕=logB-A・loge・tを得て、未知パラメータを線形化し、その形状パラメータを通常の最小二乗法を用いて算出し、前記初動部分の形状パラメータA,Bを求め、
(b)該初動部分の形状パラメータA,Bに閾値TA ,TB を設定し、
(c)該設定された閾値TA ,TB を有するフィッティングしたデータに基づいて、地震動であるか、それ以外のノイズであるかを自動的に識別することを特徴とする地震動識別方法。
【請求項2】
請求項1記載の地震動識別方法において、前記関数のパラメータが係数Aであり、該係数Aが閾値TA より小さい場合に地震動であると識別することを特徴とする地震動識別方法。
【請求項3】
請求項1記載の地震動識別方法において、前記関数のパラメータが係数Bであり、該係数Bが閾値TB より大きい場合に地震動であると識別することを特徴とする地震動識別方法。
【請求項4】
(a)地震計から得られる地震波初動部分の波形形状をパラメータが数個の簡易な関数Y(t)=B・t×exp(-A・t)〔ここで、Bは地震波形の初動振幅の時間変化に関するパラメータ、Aは初動部分の最大振幅に関係するパラメータ、tは時間(秒)〕でフィッティングすることで定量化し、
(b)これによって得られた前記関数Yのフィッティング残差Z
【数1】
JP0004173408B2_000005t.gif
を設定し、
(c)該設定されたフィッティング残差Zが閾値TZ より小さい場合に地震動であると識別することを特徴とする地震動識別方法。
【請求項5】
(a)地震計から得られる地震波初動部分の波形形状をパラメータが数個の簡易な関数Y(t)=B・t×exp(-A・t)〔ここで、Bは地震波形の初動振幅の時間変化に関するパラメータ、Aは初動部分の最大振幅に関係するパラメータ、tは時間(秒)〕でフィッティングすることで定量化し、
(b)前記関数フィッティングによる、前記地震計検測時刻から一定時間内の加速度エンベロープの最大振幅Amax が閾値G1 を超える場合に地震動であると識別することを特徴とする地震動識別方法。
【請求項6】
(a)上記請求項2記載の係数Aが閾値TA より小さく、
(b)上記請求項3記載の係数Bが閾値TB より大きく、
(c)上記請求項4記載のフィッティング残差Zが閾値TZ より小さく、
(d)上記請求項5記載の最大振幅Amax が閾値G1 を超えるときに地震動であると総合的に識別することを特徴とする地震動識別方法。
【請求項7】
(a)地震計から得られる地震波初動部分の波形形状をパラメータが数個の簡易な関数Y(t)=B・t×exp(-A・t)〔ここで、Bは地震波形の初動振幅の時間変化に関するパラメータ、Aは初動部分の最大振幅に関係するパラメータ、tは時間(秒)〕でフィッティングすることで定量化する手段と、
(b)前記初動部分の波形形状パラメータ(係数)A,Bを求める手段と、
(c)該初動部分の波形形状パラメータ(係数)A,Bに閾値TA ,TB を設定する手段と、
(d)該設定された閾値TA ,TB を有するフィッティングしたデータに基づいて地震動であるか、それ以外のノイズであるかを自動的に識別する手段とを具備することを特徴とする地震動識別装置。
【請求項8】
(a)地震計から得られる地震波初動部分の波形形状をパラメータが数個の簡易な関数Y(t)=B・t×exp(-A・t)〔ここで、Bは地震波形の初動振幅の時間変化に関するパラメータ、Aは初動部分の最大振幅に関係するパラメータ、tは時間(秒)〕でフィッティングすることで定量化する手段と、
(b)これによって得られた前記関数Yのフィッティング残差Z
【数2】
JP0004173408B2_000006t.gif
を設定する手段と、
(c)該フィッティング残差Zが、該フィッティング残差Zの閾値TZ より小さい場合に地震動であると識別する手段とを具備することを特徴とする地震動識別装置。
【請求項9】
(a)地震計から得られる地震波初動部分の波形形状をパラメータが数個の簡易な関数Y(t)=B・t×exp(-A・t)〔ここで、Bは地震波形の初動振幅の時間変化に関するパラメータ、Aは初動部分の最大振幅に関係するパラメータ、tは時間(秒)〕でフィッティングすることで定量化する手段と、
(b)前記関数フィッティングによる、前記地震計検測時刻から一定時間内の加速度エンベロープの最大振幅Amax が閾値G1 を超える場合に地震動であると識別する手段とを具備することを特徴とする地震動識別装置。
【請求項10】
(a)上記請求項7記載の係数に基づく地震動の識別情報と、
(b)上記請求項8記載のフィッティング残差Zに基づく地震動の識別情報と、
(c)上記請求項9記載の加速度エンベロープの最大振幅Amax に基づく地震動の識別情報と、
(d)上記(a)、(b)及び(c)を論理和として地震動を判定する手段とを具備することを特徴とする地震動識別装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地震動識別方法に係り、特に、地震のデータからそれが解析対象となる地震動であるか、ノイズであるかを自動的に識別する方法及びそのための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本願発明者は、既に、地震波の初動部分の波形形状をパラメータが数個の簡易な関数でフィッティングしてその波形形状を定量化し、得られたパラメータから震央距離とマグニチュードを推定することができる、震央距離及びマグニチュード推定方法とそのための装置(下記特許文献1参照)を提案している。
【0003】
【特許文献1】
特開2002-277557号公報(第3-4頁 図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した特許文献1に示される関数フィッティング法に基づいて、解析対象となる地震動であるかノイズであるかを簡便に、かつ自動的に識別することができる地震動識別方法及びそのための装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕地震動識別方法において、(a)地震計から得られる時系列データの絶対値をV(t)となし〔ここで、tは時間(秒)〕、地震を検知した時刻を時間原点(t=0)として、そこから、数秒間のデータに簡易な関数を当てはめ、関数形として、V(t)=B・t×exp(-A・t)を用い(ここで、Bは地震波形の初動振幅の時間変化に関するパラメータ、Aは初動部分の最大振幅に関係するパラメータ)、上記式の両辺の常用対数をとって、log〔V(t)/t〕=logB-A・loge・tを得て、未知パラメータを線形化し、その形状パラメータを通常の最小二乗法を用いて算出し、前記初動部分の形状パラメータA,Bを求め、(b)この初動部分の形状パラメータA,Bに閾値TA ,TB を設定し、(c)この設定された閾値TA ,TB を有するフィッティングしたデータに基づいて、地震動であるか、それ以外のノイズであるかを自動的に識別することを特徴とする。
【0006】
〔2〕上記〔1〕記載の地震動識別方法において、前記関数のパラメータが係数Aであり、この係数Aが閾値TA より小さい場合に地震動であると識別することを特徴とする。
【0007】
〔3〕上記〔1〕記載の地震動識別方法において、前記関数のパラメータが係数Bであり、この係数Bが閾値TB より大きい場合に地震動であると識別することを特徴とする。
【0008】
〔4〕地震動識別方法において、(a)地震計から得られる地震波初動部分の波形形状をパラメータが数個の簡易な関数Y(t)=B・t×exp(-A・t)〔ここで、Bは地震波形の初動振幅の時間変化に関するパラメータ、Aは初動部分の最大振幅に関係するパラメータ、tは時間(秒)〕でフィッティングすることで定量化し、(b)これによって得られた前記関数Yのフィッティング残差Z
【0009】
【数3】
JP0004173408B2_000002t.gifを設定し、(c)この設定されたフィッティング残差Zが閾値TZ より小さい場合に地震動であると識別することを特徴とする。
【0010】
〔5〕地震動識別方法において、(a)地震計から得られる地震波初動部分の波形形状をパラメータが数個の簡易な関数Y(t)=B・t×exp(-A・t)〔ここで、Bは地震波形の初動振幅の時間変化に関するパラメータ、Aは初動部分の最大振幅に関係するパラメータ、tは時間(秒)〕でフィッティングすることで定量化し、(b)前記関数フィッティングによる、前記地震計検測時刻から一定時間内の加速度エンベロープの最大振幅Amax が閾値G1 を超える場合に地震動であると識別することを特徴とする。
【0011】
〔6〕地震動識別方法において、(a)上記〔2〕記載の係数Aが閾値TA より小さく、(b)上記〔3〕記載の係数Bが閾値TB より大きく、(c)上記〔4〕記載のフィッティング残差Zが閾値TZ より小さく、(d)上記〔5〕の最大振幅Amax が閾値G1 を超えるときに地震動であると総合的に識別することを特徴とする。
【0012】
〔7〕地震動識別装置において、(a)地震計から得られる地震波初動部分の波形形状をパラメータが数個の簡易な関数Y(t)=B・t×exp(-A・t)〔ここで、Bは地震波形の初動振幅の時間変化に関するパラメータ、Aは初動部分の最大振幅に関係するパラメータ、tは時間(秒)〕でフィッティングすることで定量化する手段と、(b)前記初動部分の波形形状パラメータ(係数)A,Bを求める手段と、(c)この初動部分の波形形状パラメータ(係数)A,Bに閾値TA ,TB を設定する手段と、(d)この設定された閾値TA ,TB を有するフィッティングしたデータに基づいて地震動であるか、それ以外のノイズであるかを自動的に識別する手段とを具備することを特徴とする。
【0013】
〔8〕地震動識別装置において、(a)地震計から得られる地震波初動部分の波形形状をパラメータが数個の簡易な関数Y(t)=B・t×exp(-A・t)〔ここで、Bは地震波形の初動振幅の時間変化に関するパラメータ、Aは初動部分の最大振幅に関係するパラメータ、tは時間(秒)〕でフィッティングすることで定量化する手段と、(b)これによって得られた前記関数Yのフィッティング残差Z
【0014】
【数4】
JP0004173408B2_000003t.gifを設定する手段と、(c)このフィッティング残差Zが、このフィッティング残差Zの閾値TZ より小さい場合に地震動であると識別する手段とを具備することを特徴とする。
【0015】
〔9〕地震動識別装置において、(a)地震計から得られる地震波初動部分の波形形状をパラメータが数個の簡易な関数Y(t)=B・t×exp(-A・t)〔ここで、Bは地震波形の初動振幅の時間変化に関するパラメータ、Aは初動部分の最大振幅に関係するパラメータ、tは時間(秒)〕でフィッティングすることで定量化する手段と、(b)前記関数フィッティングによる、前記地震計検測時刻から一定時間内の加速度エンベロープの最大振幅Amax が閾値G1 を超える場合に地震動であると識別する手段とを具備することを特徴とする。
【0016】
〔10〕地震動識別装置において、(a)上記〔7〕記載の係数に基づく地震動の識別情報と、(b)上記〔8〕記載のフィッティング残差Zに基づく地震動の識別情報と、(c)上記〔9〕記載の加速度エンベロープの最大振幅Amax に基づく地震動の識別情報と、(d)上記(a)、(b)及び(c)を論理和として地震動を判定する手段とを具備することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
地震波形の時系列データをv(t)とする。更に、この時系列データv(t)の絶対値をV(t)とする。ここで、tは時間(秒)を表す。
【0019】
まず、地震を検知した時刻を時間原点(t=0)として、そこから、数秒間のデータに簡易な関数を当てはめる。関数形として、ここでは、次式(1)を用いる。なお、絶対値V(t)の時間的な変動が大きい場合は、適当な方法で絶対値V(t)を平滑化した後に関数の当てはめを行う。
【0020】
V(t)=B・t×exp(-A・t) …(1)
ここで、Bは地震波形の初動振幅の時間変化に関するパラメータ、Aは初動部分の最大振幅に関するパラメータであり、以下、これらを形状パラメータと仮称する。上記(1)式の両辺の常用対数をとると、次式(2)のように未知パラメータが線形化されるので、その形状パラメータは通常の最小二乗法を用いて算出できる。
【0021】
log〔V(t)/t〕=logB-A・loge・t …(2)
上記の方法を用いて多くの地震波形データについて初動部の形状パラメータA,Bを求める。
【0022】
図3は実際の地震波に簡易な関数をフィッティングした例を示す図であり、図3(a)は実際の初動波(P波)、図3(b)はその簡易な関数のフィッティング例を示す図である。
【0023】
このように、多くの地震データに対して、同様のフィッティングを行い、初動部分の形状パラメータを求め、このパラメータを用いて地震動識別処理を行う。
【0024】
以下、その地震動識別処理の具体例を詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明に係る地震動識別装置のブロック図、図2は本発明に係る地震動識別処理の概略フローチャートである。
【0026】
これらの図において、1は地震計、2は通信回線、10は制御処理装置、11はアンチエイリアシングフィルタ(ローパスフィルタ)、12はA/D変換器、13は波形収録部、14はメモリ、15はパラメータ演算部、16は閾値設定部、17は地震動識別部、18は条件判定部、19は情報文送出部、20はGPS時計、21は状態表示装置、22はモデムである。
【0027】
この地震動識別方法を、図2に示すフローを参照しながら説明する。
【0028】
(1)地震計1からの情報を制御処理装置10に取込み、ディジタル波形データとしてメモリ14に取得する(ステップS1)。
【0029】
(2)そこで、パラメータ演算部15において、オフセットの除去を行い(ステップS2)、次に、データの絶対値を取得する。このとき絶対値がある基準値以下の場合には、強制的に最小基準値とする(ステップS3)。次に、スムージング(例えば、波形のエンベロープを取る)を行う(ステップS4)。次に、y=Bt・e-At とフィッティングを行い形状パラメータ(係数)A,Bを求める(ステップS5)。
【0030】
(3)次いで、閾値設定部16において、例えば、前記関数の形状パラメータ(係数)A,Bに閾値TA ,TB を設定する(ステップS6)。
【0031】
(4)次に、設定された閾値TA ,TB に基づいて地震動識別部17で地震動識別処理を行う(ステップS7)。
【0032】
(5)次に、条件判定部18において、地震動識別処理された情報に基づき地震動であるか否かの総合判定を行う(ステップS8)。
【0033】
(6)ステップS8において、YESの場合は、情報文送出部19において、早期検知情報の送信を行う(ステップS9)。
〔具体的な地震動識別方法〕
上記したように、これまでに地震動初動部分(P波部分)に簡単な関数
Y(t)=B・t×exp(-A・t) (t:時間)
をフィッティングすることによって、係数(形状パラメータ)A,Bを決定し、地震のマグニチュードを地震検知から数秒間で推定する方法を開発している(上記特許文献1参照)。
【0034】
本発明では、このフィッティングした際に得られる形状パラメータA,Bやフィッティング残差Zに閾値を設定することによって、自動的に地震動の識別を行う。
【0035】
図4は本発明の第1実施例を示す地震動識別方法の説明図であり、横軸は時間(s)、縦軸は加速度(絶対値)を示す図である。
【0036】
ここでは、まず、初動部分の最大振幅に関するパラメータである係数Aによるノイズ識別を行う。
【0037】
図4において、実線aとして示すように、係数Aがある閾値(基準値)TA より大きい場合に、ノイズと識別する。
【0038】
A≧TA ⇒ ノイズ
一方、破線bとして示すように、係数Aがある閾値(基準値)TA より小さい場合に、地震動と識別する。
【0039】
A<TA ⇒ 地震動
図5に実際の地震計で観測されたノイズデータに関数をフィッティングして得た係数Aの頻度分布〔図5(a)〕と地震動データに関数をフィッティングして得た係数Aの頻度分布〔図5(b)〕をそれぞれ示す。
【0040】
図5(a)に示すように、ノイズデータは、係数Aが1.1をピークに持つ分布になるのに対して、図5(b)に示すように、地震動データは、係数Aが0.7をピークに持つ分布であり、ノイズデータと地震動データでは係数Aの分布が異なる。この場合、係数Aによるノイズ識別の閾値TA を1.0とすれば、ノイズデータの71%をノイズと識別でき、地震動データの95%を地震動と識別することができる。
【0041】
図6は本発明の第2実施例を示す地震動識別方法の説明図であり、横軸は時間(s)、縦軸は加速度(絶対値)を示す図である。
【0042】
ここでは、係数Bによるノイズ識別を行う。
【0043】
図6において、実線aとして示すように、係数Bがある閾値(基準値)TB より小さい場合に、ノイズと識別する。
【0044】
B≦TB ⇒ ノイズ
一方、破線bとして示すように、係数Bがある閾値(基準値)TB より大きい場合に、地震動と識別する。
【0045】
B>TB ⇒ 地震動
次いで、本発明の第3実施例を示すフィッティング残差Zによるノイズ識別について説明する。
【0046】
フィッティング残差Zがある閾値(基準値)TZ より大きい場合に、ノイズと識別する。
【0047】
Z≧TZ ⇒ ノイズ
ただし、Zはフィッティングの残差二乗和の平均で、
【0048】
【数5】
JP0004173408B2_000004t.gifである。
【0049】
次に、加速度エンベロープの振幅によるノイズの識別について説明する。
【0050】
図7は本発明の第4実施例を示す地震動識別方法の説明図、図8は本発明の第4実施例を示すノイズ波の識別方法の説明図であり、横軸は時間、縦軸は加速度(絶対値)を示す図である。
【0051】
図8に示すように、検測時刻から一定時間内の加速度エンベロープの最大振幅Amax (■)が閾値(基準値)G1 を超えない場合はノイズと識別する。なお、図7及び図8において、点線(◇)が加速度エンベロープを、実線(■)がその加速度エンベロープの最大振幅Amax を示している。すなわち、図7では、一定時間の半ばすぎほどで加速度エンベロープが閾値(基準値)G1 を超えているので、その最大振幅Amax もG1 を超えている。つまり、地震波と識別される。
【0052】
一方、図8に示すような場合には、一定時間内で加速度エンベロープの最大振幅Amax が閾値(基準値)G1 を超えてはいないので、ノイズ波であると識別できる。
【0053】
このように、地震計による検測時刻から一定時間内に最大振幅Amax (■)が閾値G1 を超える場合には、地震波であると識別する。
【0054】
図9は本発明の実施例を示す総合的な高精度地震動識別フローチャートである。
【0055】
(1)まず、パラメータ演算部15において、関数y(t)=B・t×exp(-A・t)を地震波初動部分のデータにフィッティングし、係数A,B、残差Zを求める(ステップS11)。
【0056】
(2)次に、閾値設定部16において、係数A,B、残差Zに閾値TA ,TB ,TZ を設定する(ステップS12)。
【0057】
(3)地震動識別部17で係数Aによる地震動識別(A<TA )を行う(ステップS13)。A≧TA の場合にはノイズと識別する(ステップS18)。
【0058】
(4)次に、係数Bによる地震動識別(B>TB )を行う(ステップS14)。B≦TB の場合にはノイズと識別する(ステップS18)。
【0059】
(5)次に、フィッティング残差Zによる地震動識別(Z<TZ )を行う(ステップS15)。Z≧TZ の場合にはノイズと識別する(ステップS18)。
【0060】
(6)次に、検測時刻から一定時間内の加速度エンベロープの最大振幅Amax に基づいて、地震動識別(Amax >G1 )を行う(ステップS16)。Amax ≦G1 の場合には、ノイズと識別する(ステップS18)。
【0061】
(7)ステップS16においてYESの場合には、条件判定部18で地震動であると判断する(ステップS17)。そして、地震動であると判別されると、情報文送出部19において、早期検知情報の送信を行い、それに対応して措置を講じることができる。
【0062】
このように、地震動であるかの判定処理を図9に示す処理フローに沿って行うことによって、精度の高い総合的な地震の自動識別処理を行うことができる。
【0063】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0064】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0065】
(A)関数フィッティング法に基づいて、解析対象となる地震動であるかノイズであるかを簡便に、かつ自動的に識別することができる。
【0066】
(B)関数フィッティング法による係数Aが閾値TA より小さい場合に地震動であると識別することができる。
【0067】
(C)関数フィッティング法による係数Bが閾値TB より大きい場合に地震動であると識別することができる。
【0068】
(D)関数フィッティング法によるフィッティング残差Zが閾値TZ より小さい場合に地震動であると識別することができる。
【0069】
(E)関数フィッティング法による検測時刻から一定時間内の加速度エンベロープの最大振幅Amax が閾値G1 を超える場合に地震動であると識別することができる。
【0070】
(F)上記(B)から(E)をAND条件とした場合に、総合的な高精度の地震動の識別を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る地震動識別装置のブロック図である。
【図2】 本発明に係る地震動識別処理の概略フローチャートである。
【図3】 本発明にかかる簡易な関数のフィッティングの例を示す図である。
【図4】 本発明の第1実施例を示す地震動識別方法の説明図である。
【図5】 (a)は実際の地震計で観測されたノイズデータに関数をフィッティングして得た係数Aの頻度分布を示す図、(b)は地震動データに関数をフィッティングして得た係数Aの頻度分布を示す図である。
【図6】 本発明の第2実施例を示す地震動識別方法の説明図である。
【図7】 本発明の第4実施例を示す地震動識別方法の説明図である。
【図8】 本発明の第4実施例を示すノイズ波の識別方法の説明図である。
【図9】 本発明の実施例を示す総合的な高精度地震動識別フローチャートである。
【符号の説明】
1 地震計
2 通信回線
10 制御処理装置
11 アンチエイリアシングフィルタ(ローパスフィルタ)
12 A/D変換器
13 波形収録部
14 メモリ
15 パラメータ演算部
16 閾値設定部
17 地震動識別部
18 条件判定部
19 情報文送出部
20 GPS時計
21 状態表示装置
22 モデム
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8