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明細書 :鉄道軌道の底面間隙複層充填支承工法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3987007号 (P3987007)
公開番号 特開2005-068656 (P2005-068656A)
登録日 平成19年7月20日(2007.7.20)
発行日 平成19年10月3日(2007.10.3)
公開日 平成17年3月17日(2005.3.17)
発明の名称または考案の名称 鉄道軌道の底面間隙複層充填支承工法
国際特許分類 E01B  25/30        (2006.01)
E01B   1/00        (2006.01)
E01B  37/00        (2006.01)
FI E01B 25/30
E01B 1/00
E01B 37/00 B
請求項の数または発明の数 2
全頁数 9
出願番号 特願2003-208812 (P2003-208812)
出願日 平成15年8月26日(2003.8.26)
審査請求日 平成17年11月24日(2005.11.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
発明者または考案者 【氏名】上野 眞
【氏名】浦部 正男
【氏名】山崎 幹男
【氏名】峰 之久
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
【識別番号】100096426、【弁理士】、【氏名又は名称】川合 誠
審査官 【審査官】田畑 覚士
参考文献・文献 特開平08-074201(JP,A)
特開平11-172601(JP,A)
特許第3030835(JP,B2)
特開平01-271501(JP,A)
特開平06-108401(JP,A)
特開平08-144206(JP,A)
調査した分野 E01B 25/30
E01B 1/00
E01B 37/00
特許請求の範囲 【請求項1】
鉄道軌道の底面間隙複層充填支承工法であって、前記軌道は磁気浮上式鉄道のガイドウェイ構造物を含み、前記ガイドウェイ構造物の側壁底面に充填されている既存の充填材の上に重ねて新たな充填材を充填して積層構造とすることを特徴とする鉄道軌道の底面間隙複層充填支承工法。
【請求項2】
請求項記載の鉄道軌道の底面間隙複層充填支承工法において、前記ガイドウェイ構造物は断面が逆T型の側壁を備え、該側壁の基礎部をアンカーボルトにて前記充填材を介してガイドウェイに固定することを特徴とする鉄道軌道の底面間隙複層充填支承工法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道軌道の底面間隙複層充填支承工法に係り、特に磁気浮上式鉄道のガイドウェイ構造物およびスラブ軌道の底面間隙複層充填支承工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図10は従来の磁気浮上式鉄道のガイドウェイ構造物の間隙充填支承工法の実施状況を示す断面図である(下記特許文献1参照)。
【0003】
この図において、101は垂直側壁、102はパネル、103は床板、104は袋体、105は充填材、106はボルトである。
【0004】
このように、パネル102と側壁101・床板103間には袋体104に充填された充填材105を介在させるようにしている。
【0005】
ところで、磁気浮上式鉄道のガイドウェイ構造物は、高架橋のたわみ等の沈下でガイドウェイ狂いが発生した場合にガイドウェイ側壁を嵩上げすることが必要になる。
【0006】
従来の磁気浮上式鉄道のガイドウェイ構造物の支承工法では、ガイドウェイ側壁の位置を整正するような場合に、側壁底面と路盤との間の既存の充填材は撤去し、整正後に再度充填する工法をとっていた。
【0007】
図11は従来のスラブ軌道の間隙充填支承工法の実施状況を示す断面図である。この図において、21は路盤コンクリート、22は充填材、201はスラブ、202はそのスラブ201に植設されるボルト、203はプレート、204はスラブ201へプレート203を締結する締結ナット、205は充填材としての可変パッド、206はレール、207はプレート203に植設されるボルト、208は締結ばね、209はレール206を締結ばね208を押さえることによってプレート203に締結するナットである。
【0008】
このような、従来のスラブ軌道においても、レール206に上下狂いが発生することにより、鉄道車両の乗り心地が悪くなる場合には、嵩上げすることが必要になる。
【0009】
そのような場合には、既存の可変パッド205は撤去し、整正後に新たな可変パッドと取り替えるようにしていた。
【0010】
【特許文献1】
特許第3030835号公報(第2頁 図1)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このように、上記した従来の磁気浮上式鉄道のガイドウェイ構造物の支承工法では、既存の充填材は撤去するため、資源の再利用ができず、工事費用が嵩み、かつ、在来充填材の撤去に伴い産業廃棄物処理の問題が生じるといった難点があった。
【0012】
また、スラブ軌道のレール締結装置における個々の調整は、可変パッドの交換により行っているが、特にスラブごと嵩上げの必要が生じた場合には、スラブ底面の充填材を撤去して廃棄し、新規に注入することになる。
【0013】
このように、資源の再利用ができず、工事費用が嵩み、かつ、在来充填材の撤去に伴い産業廃棄物の問題が生じるといった難点があった。
【0014】
本発明は、上記状況に鑑みて、既存の充填材はそのまま利用し、工事費用を低減するとともに、在来充填材の撤去に伴い発生する産業廃棄物処理の問題を回避することができる鉄道軌道の底面間隙複層充填支承工法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕鉄道軌道の底面間隙複層充填支承工法であって、前記軌道は磁気浮上式鉄道のガイドウェイ構造物を含み、前記ガイドウェイ構造物の側壁底面に充填されている既存の充填材の上に重ねて新たな充填材を充填して積層構造とすることを特徴とする。
【0016】
〕請求項記載の鉄道軌道の底面間隙複層充填支承工法において、前記ガイドウェイ構造物は断面が逆T型の側壁を備え、該側壁の基礎部をアンカーボルトにて前記充填材を介してガイドウェイに固定することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
まず、本発明の第1実施例として、磁気浮上式鉄道のガイドウェイ構造物の底面間隙複層充填支承工法について説明する。
【0019】
図1は本発明にかかるガイドウェイ逆T型側壁の斜視図、図2はそのガイドウェイ逆T型側壁の背面側の斜視図、図3は本発明の第1実施例の工法の施工前のガイドウェイ逆T型側壁の底面間隙複層充填支承状況を示す断面図、図4は本発明の第1実施例を示すガイドウェイ逆T型側壁の底面間隙複層充填支承工法を施工した状態を示す断面図である。
【0020】
これらの図において、1はガイドウェイ逆T型側壁(自立型コンクリート側壁)であり、この逆T型側壁1は壁部(垂直部)1A、底面1Cを有する基礎部1Bから構成されている。2は路盤(コンクリート路盤)4と逆T型側壁の基礎部1Bの底面1C間に介在する充填材〔CA(セメントアスファルト)モルタル〕、3は路盤4に植設されるアンカーボルトであり、このアンカーボルト3により路盤4に逆T型側壁1を固定する。また、逆T型側壁1の表側には地上コイル5としての単層推進コイル6及び浮上コイル7が固定されている。8は路盤4に埋設されたネジ部(インサート)である。
【0021】
ガイドウェイは自立しやすい形状として開発された逆T型のコンクリート側壁1である。この逆T型側壁1には、地上コイル5としての、単層推進コイル6及び浮上コイル7(推進用コイルおよび浮上・案内コイル)が取り付けられており、これらより、ガイドウェイが構成される。この逆T型側壁1の基礎部1Bとコンクリート路盤4を8列16本のアンカーボルト3で上下方向に締結し一体化するが、締結作業前に側壁基礎部の底面1Cとコンクリート路盤4の間に、アンカーボルト3の周囲8列に充填材(CAモルタル)2が充填され、強度発現後にアンカーボルト3が締結されている。この充填材(CAモルタル)2が支承(構造物を支える沓座)となっている。
【0022】
逆T型側壁1は、コンクリート路盤4が沈下した場合(特に、明かり区間の高架橋にコンクリートのクリープと呼ばれるたわみが建設後初期の段階で経年的に増加する)、コンクリート路盤4と一体化してあるため当然同じ量だけ沈下する。このため列車の上下動揺が発生して乗り心地が悪くなることから、逆T型側壁1を持ち上げて、もとの位置に戻す整正作業が必要となる。従来の方法であると、側壁1を持ち上げて既存のCAモルタル2を撤去し、側壁1の位置調整を行った後、建設時と同様の施工方法で新たにCAモルタル2を充填するようにしていた。なお、このCAモルタル2を充填材とした支承工法は、上記特許文献1に示されるように公知である。
【0023】
そこで、本発明のガイドウェイ逆T型側壁の底面間隙複層充填支承工法について説明する。
【0024】
本発明では、既存の充填材(CAモルタル)2上に不織布からなる補強材入り注入袋9を重ね、それに充填材(CAミルク)10を充填することにより、その充填材2,10を2層にして、逆T型側壁1の嵩上げを行う。
【0025】
すなわち、上述したように、本発明の工法の施工前には、図3に示すように、路盤4と逆T型側壁1の基礎部1Bの底面1C間には充填材(CAモルタル)2が介在しているので、逆T型側壁1を嵩上げするため、アンカーボルト3を緩めて、路盤4から逆T型側壁1を外し、その充填材(CAモルタル)2は除去しないで、そのまま残しておき、図4に示すように、その充填材(CAモルタル)2上に重ねるようにして注入袋9をセットし、充填材(CAミルク)10を注入し、複層充填材11を施工する。
【0026】
図5は本発明の第1実施例を示すガイドウェイ逆T型側壁の底面間隙複層充填支承工法の施工の説明図、図6はその補強材入り注入袋を示す図、図7はその補強材入り注入袋の内部に設けられるメッシュを示す注入袋の一部破断図である。
【0027】
まず、図5(a)に示すように、路盤4上には既存の充填材(CAモルタル)2が配置されている。
【0028】
そこで、図5(b)に示すように、既存の充填材(CAモルタル)2上に、不織布からなる補強材(補強ネット)入り注入袋9を配置する。なお、この注入袋9は、図6に示すように、アンカーボルトに対応する箇所Aが除去されており、その内部には図7に示すように、補強材12(例えば、補強ネットからなるポリエステル製メッシュ)が設けられている。
【0029】
次に、図5(c)に示すように、その注入袋9内に注入口Bから充填材(CAミルク)10を充填することにより、既存の充填材(CAモルタル)2上に新たな充填材(CAミルク)10を充填した注入袋9が積層された複層充填材11を施工することができ、逆T型側壁1の嵩上げを行うことができる。その場合、嵩上げに適した厚みとなるように、注入袋9内に充填される充填材(CAミルク)10の量を調整する。通常、その嵩上げに適した厚みは既存の充填材(CAモルタル)2に比して薄く、5mm程度である。
【0030】
本発明では、側壁1を持ち上げた後、CAモルタル2を撤去するのではなく、そのCAモルタル2の上に新たに補強材(ポリエステル製メッシュ等の補強ネット)12を挿入してある注入袋9をセットし、逆T型側壁1の位置調整を行った後、その注入袋9にCAミルク10を充填するものである。この際、CAミルク10を用いるのは、CAモルタル2には細骨材(砂)が含まれているのに対して、CAミルク10には、このような細骨材(砂)が含まれていないためである。
【0031】
すなわち、在来充填材のCAモルタル2は厚さ30mm以上の間隙に注入するために設計されているのに対して、路盤4の沈下は、平均的には5mm程度であるから、側壁1の嵩上げに用いる場合、細骨材(砂)を含んだCAモルタル2では注入時の粘性が高く、適切な高さの完全な充填ができないためである。仮に充填できたとしても、在来の注入袋では補強材がないため強度不足で割れてしまう。まして補強材12入りの注入袋9にはCAモルタル2の充填は不可能である。その点、CAミルク10は細骨材(砂)を含まない、セメント・水・アスファルト乳剤という組み合わせのため、セメント混和材などの調合次第で流動性の調整が容易にでき、5mm程度の厚さで補強材12入りの注入袋9に注入が可能となる。
【0032】
また、補強材12入り注入袋9に充填したCAミルク10は、耐衝撃性に優れており、側壁1と路盤4を一体化するという目的を十分に達成できることが確認できた。
【0033】
補強材12入りの注入袋9に充填する充填材は勿論CAミルク10だけでなく他の充填材を用いてもよい。例えば、10mmを越える間隙にはCAモルタルと補強ネットを使用するようにしてもよい。
【0034】
補強材12としては銅、ステンレス鋼、炭素、ガラス、ポリエチレン、ナイロン、塩化ビニール、麻等の金属質系、有機質系または無機質系の単一材料もしくはそれらの複合材料の織布、不織布、編物等のマットもしくはメッシュを用いることができるが、ここでは、ポリエステル製メッシュを使用した。
【0035】
また、上記実施例では、逆T型側壁について述べたが、この形状に限定されるものではない。
【0036】
次に、本発明の第2実施例としてスラブ軌道の底面間隙複層充填支承工法について説明する。
【0037】
図8は本発明の第2実施例を示すスラブ軌道の底面間隙複層充填支承工法を説明する模式図、図9はそのスラブ軌道の断面図である。
【0038】
これらの図において、21は路盤コンクリート、22は不織布にCAモルタルを注入した既存の充填材、23はその既存の充填材22上に嵩上げのために積層されるCAミルク入りの充填材(注入袋)23であり、詳細は上記した実施例で述べたものを用いる。
【0039】
また、24はスラブ、25はレール、26はスラブ24とレール25とを締結するための締結装置(図11参照)、27は路盤コンクリート21に形成される突起コンクリート、28はスラブ24に形成される、突起コンクリート27に位置決めするための凹部である。
【0040】
そこで、路盤コンクリート21が沈下した場合には、スラブ24を所定位置に確保するため、支承材としての充填材22の厚さを増加する必要があるので、本発明では、不織布にCAモルタルを注入した既存の充填材22は撤去することなく、その上に必要な厚みのCAミルク入の充填材(注入袋)23を積層して追加するようにしている。
【0041】
このように、従来の保守方法では、締結装置26(図11における207,208,209)である程度の高さ調整を行っているが、本発明によれば、特に、複数の連続するスラブを同時に嵩上げする場合には、有効である。
【0042】
また、CAミルクは従来のCAモルタルに比べ強度発現が早くなるように配合されているため、工期短縮にも有効である。
【0043】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0044】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0045】
(A)在来の充填材をそのまま利用するため、工事費の削減に大きく寄与するのみならず、在来充填材の撤去に伴い発生する産業廃棄物処理の問題を回避することができる。
【0046】
(B)補強ネットを介在させた注入袋にCAミルクを充填する場合には、僅かな嵩上げ高さにも的確に対応することができ、隙間が薄くても耐衝撃性に優れた構造となる。
【0047】
(C)磁気浮上式鉄道のガイドウェイ構造物やスラブ軌道などの鉄道軌道の底面間隙複層充填支承工法を低いコストで、かつ産業廃棄物を無くし、自然に優しい底面間隙複層充填支承工法を施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるガイドウェイ逆T型側壁の斜視図である。
【図2】 本発明にかかるガイドウェイ逆T型側壁の背面側の斜視図である。
【図3】 本発明の第1実施例の工法の施工前のガイドウェイ逆T型側壁の底面間隙複層充填支承状況を示す断面図である。
【図4】 本発明の第1実施例を示すガイドウェイ逆T型側壁の底面間隙複層充填支承工法を施工した状態を示す断面図である。
【図5】 本発明の第1実施例を示すガイドウェイ逆T型側壁の底面間隙複層充填支承工法の施工の説明図である。
【図6】 本発明の第1実施例を示すガイドウェイ逆T型側壁の底面間隙複層充填支承工法に用いる補強材入り注入袋を示す図である。
【図7】 図6に示す補強材入り注入袋の内部に設けられるメッシュを示す注入袋の一部破断図である。
【図8】 本発明の第2実施例を示すスラブ軌道の底面間隙複層充填支承工法を説明する模式図である。
【図9】 本発明の第2実施例を施したスラブ軌道の断面図である。
【図10】 従来の磁気浮上式鉄道のガイドウェイ構造物の間隙充填支承工法の実施状況を示す断面図である。
【図11】 従来のスラブ軌道の間隙充填支承工法の実施状況を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ガイドウェイ逆T型側壁(自立型コンクリート側壁)
1A 壁部(垂直部)
1B 基礎部
1C 底面
2 充填材(CAモルタル)
3 アンカーボルト
4 コンクリート路盤
5 地上コイル
6 単層推進コイル
7 浮上コイル
8 路盤に埋設されたネジ部(インサート)
9 不織布からなる補強材入り注入袋
10 充填材(CAミルク)
11 複層充填材
12 補強材(補強ネット:ポリエステル製メッシュ)
21 路盤コンクリート
22 不織布にCAモルタルを注入した既存の充填材
23 嵩上げ用CAミルク入りの充填材(注入袋)
24 スラブ
25 レール
26 締結装置
27 突起コンクリート
28 凹部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10