TOP > 国内特許検索 > 接合材 > 明細書

明細書 :接合材

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4318499号 (P4318499)
公開番号 特開2005-040851 (P2005-040851A)
登録日 平成21年6月5日(2009.6.5)
発行日 平成21年8月26日(2009.8.26)
公開日 平成17年2月17日(2005.2.17)
発明の名称または考案の名称 接合材
国際特許分類 B23K  20/12        (2006.01)
B23K 103/08        (2006.01)
B23K 103/10        (2006.01)
FI B23K 20/12 364
B23K 20/12 360
B23K 103:08
B23K 103:10
請求項の数または発明の数 8
全頁数 13
出願番号 特願2003-279987 (P2003-279987)
出願日 平成15年7月25日(2003.7.25)
審査請求日 平成17年11月25日(2005.11.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
【識別番号】591212523
【氏名又は名称】東 健司
発明者または考案者 【氏名】森 久史
【氏名】辻村 太郎
【氏名】坂本 義雄
【氏名】喜多川 眞好
【氏名】道浦 吉貞
【氏名】東 健司
個別代理人の代理人 【識別番号】100104064、【弁理士】、【氏名又は名称】大熊 岳人
審査官 【審査官】松本 公一
参考文献・文献 特開平10-137952(JP,A)
特開2003-126972(JP,A)
特開2001-287666(JP,A)
特開2008-012593(JP,A)
特開2001-096380(JP,A)
特開平11-062101(JP,A)
特開昭63-206545(JP,A)
特開2002-079383(JP,A)
特開2003-071577(JP,A)
特開2001-129673(JP,A)
特開2001-321967(JP,A)
調査した分野 B23K 20/00- 20/26
特許請求の範囲 【請求項1】
アルミニウム合金板とマグネシウム合金板とを重ね合わせて継手部で接合した接合材であって、
前記アルミニウム合金板及び前記マグネシウム合金板は、接着剤によって重ね合わせて接合されているとともに、前記継手部で摩擦撹拌接合されており
前記アルミニウム合金板は、空隙部を有する軽量構造体であること、
を特徴とする接合材。
【請求項2】
請求項1に記載の接合材において、
前記継手部は、熱伝導率が高く融点が低い前記マグネシウム合金板側から摩擦撹拌接合されていること、
を特徴とする接合材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の接合材において、
前記軽量構造体は、ハニカム構造体又は発泡構造体であること、
を特徴とする接合材。
【請求項4】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の接合材において、
前記継手部は、前記アルミニウム合金板同士を端部で接合するための接合面と前記マグネシウム合金板同士を端部で接合するための接合面とが平坦面であるときに、これらの接合面同士を直線状に突き合わせた状態で摩擦撹拌接合されていること、
を特徴とする接合材。
【請求項5】
アルミニウム合金板とマグネシウム合金板とを重ね合わせて継手部で接合した接合材であって、
前記アルミニウム合金板及び前記マグネシウム合金板は、接着剤によって重ね合わせて接合されているとともに、前記継手部で摩擦撹拌接合されており、
前記継手部は、前記マグネシウム合金板同士を端部で接合するための接合面が段差面であるときに、これらの段差面同士を突き合わせた状態で摩擦撹拌接合されていること、
を特徴とする接合材。
【請求項6】
請求項5に記載の接合材において、
前記継手部は、熱伝導率が高く融点が低い前記マグネシウム合金板側から摩擦撹拌接合されていること、
を特徴とする接合材。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の接合材において、
前記アルミニウム合金板は、空隙部を有する軽量構造体であること、
を特徴とする接合材。
【請求項8】
請求項7に記載の接合材において、
前記軽量構造体は、ハニカム構造体又は発泡構造体であること、
を特徴とする接合材。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、アルミニウム合金板とマグネシウム合金板とを重ね合わせて継手部で接合した接合材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の鉄道車両の構体には、軽量化を図るために高強度鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金及び繊維強化プラスティック(FRP)が使用されている。特に、アルミニウム合金は、押し出し性、中強度、溶接性に優れた軽量金属材料であり、新幹線などの高速車両に使用されている。このような従来の鉄道車両の構体は、ダブルスキン構体工法(トラス状の構体)によって製造されており、アルミニウム合金の中空押し出し材同士を長さ方向の端部で突き合わせて継手部材を介してアーク溶接によって接合され長尺化されている(特許文献1参照)。
【0003】

【特許文献1】特開2000-272512号公報(段落番号0024~0026及び図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の鉄道車両の構体では、アルミニウム合金の中空押し出し材同士をアーク溶接によって接合しているため、溶接時の加熱によって変形したり歪みが発生したりする問題がある。一方、マグネシウム合金は、FRP程度の密度でありアルミニウム合金と比べて軽量の金属材料である。しかし、マグネシウム合金を溶融溶接した場合には、溶接部にブローホールが発生し健全な溶接部を得ることが困難であり、熱膨張係数が大きいため溶接熱による影響で溶接歪みや変形が大きくなるおそれがある。また、固相接合である摩擦圧接法では、ブローホールなどの凝固現象に関係する欠陥を発生しないが、適用可能な部材形状に大きな制約があり薄板には適用が困難である。このため、鉄道車両の構体にマグネシウム合金を適用する場合には最適な接合工法を検討する必要がある。
【0005】
この発明の課題は、変形や歪などを少なくすることができる接合材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、アルミニウム合金板(3a)とマグネシウム合金板(3b)とを重ね合わせて継手部(3h)で接合した接合材であって、前記アルミニウム合金板及び前記マグネシウム合金板は、接着剤(3k)によって重ね合わせて接合されているとともに、前記継手部で摩擦撹拌接合されており前記アルミニウム合金板は、空隙部(3d)を有する軽量構造体であることを特徴とする接合材(3)である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の接合材において、前記継手部は、熱伝導率が高く融点が低い前記マグネシウム合金板側から摩擦撹拌接合されていることを特徴とする接合材である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の接合材において、前記軽量構造体は、ハニカム構造体又は発泡構造体であることを特徴とする接合材である。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の接合材において、前記継手部は、前記アルミニウム合金板同士を端部で接合するための接合面(3i)と前記マグネシウム合金板同士を端部で接合するための接合面(3j)とが平坦面であるときに、これらの接合面同士を直線状に突き合わせた状態で摩擦撹拌接合されていることを特徴とする接合材である。
【0010】
請求項5の発明は、アルミニウム合金板(3a)とマグネシウム合金板(3b)とを重ね合わせて継手部(3h)で接合した接合材であって、前記アルミニウム合金板及び前記マグネシウム合金板は、接着剤(3k)によって重ね合わせて接合されているとともに、前記継手部で摩擦撹拌接合されており、前記継手部は、前記マグネシウム合金板同士を端部で接合するための接合面が段差面であるときに、これらの段差面同士を突き合わせた状態で摩擦撹拌接合されていることを特徴とする接合材(3)である。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載の接合材において、前記継手部は、熱伝導率が高く融点が低い前記マグネシウム合金板側から摩擦撹拌接合されていることを特徴とする接合材である。
【0012】
請求項7の発明は、請求項5又は請求項6に記載の接合材において、前記アルミニウム合金板は、空隙部(3d)を有する軽量構造体であることを特徴とする接合材である。
【0013】
請求項8の発明は、請求項7に記載の接合材において、前記軽量構造体は、ハニカム構造体又は発泡構造体であることを特徴とする接合材である。
【発明の効果】
【0027】
この発明によると、変形や歪などを少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る接合材を備える交通輸送手段の構体の断面図である。
交通輸送手段1は、電車や気動車などの鉄道車両である。構体2は、交通輸送手段1の主構造である。構体2は、図1に示すように、乗客などの重量を支持し車体の床部分や台枠を構成する床構え2aと、この床構え2aの両縁に固定され車体の側面部分を構成する一対の側構え2b,2cと、この一対の側構え2b,2cの上縁に固定され車体の屋根部分を構成する屋根構え2dと、車両の両端部分を構成する図示しない妻構えなどから構成されている。構体2は、例えば、接合材3によって形成された車外面板と室内面板とをトラスやリブで結合したダブルスキン構体である。
【0029】
図2は、この発明の第1実施形態に係る接合材の一部を破断して示す斜視図である。図3は、この発明の第1実施形態に係る接合材の断面図である。
接合材3は、金属3a及び金属3bを重ね合わせて接合した部材である。接合材3は、図2及び図3に示すように、金属3aと、金属3bと、接合部3cとから構成されており、金属3aと金属3bとを重ね合わせて摩擦撹拌接合したサンドイッチ構造の合せ板材(クラッド材)である。接合材3は、熱伝導率が高く融点が低い金属3b側から摩擦撹拌接合されている。接合材3は、例えば、従来の鉄道車両の構体を構成する板材と同じ厚さに形成して、金属3bと金属3aとを略同じ厚さに形成することができる。
【0030】
金属3aは、アルミニウム合金であり空隙部3dを有するハニカム構造体(軽量構造体)である。アルミニウム合金には、Al-Mg-Si系合金である6000系アルミニウム合金や、Al-Cu-Mg系合金である高力アルミニウム合金(ジュラルミン)などがある。アルミニウム合金としては、例えば、圧延や押し出しなどの塑性加工を施して板材や形材などを容易に作製でき展延性に優れた展伸用アルミニウム合金が好ましく、強度と耐食性に優れ時効硬化により所定の強度を得ることができる6000系アルミニウム合金などの熱処理型合金が特に好ましい。金属3aは、隙間なく配列された断面形状が六角形のコア部3eと、このコア部3eの両側に固定され厚さが1mm~3mm程度の板状部3f,3gとから構成されたハニカム材であり、コア部3e内には空隙部3dが形成されている。この第1実施形態では、金属3aと金属3bとが強固に接合するように、板状部3fの厚さt1を板状部3gの厚さt2よりも厚く形成することが好ましい。例えば、板状部3fの厚さt1を3mm程度に形成し、板状部3gの厚さt2を1mm程度に形成することができる。
【0031】
金属3bは、押し出し加工がされたマグネシウム合金押し出し材である。マグネシウム合金は、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、ジルコニウム(Zr)、希土類元素などのうち一つ以上を加えて合金として使用される。接合材3は、強度や剛性が高い金属3aを車外側に向け、強度や剛性が金属3aに比べて低い金属3bを車内側に向けることが好ましい。
【0032】
接合部3cは、摩擦撹拌接合によって接合された部分である。接合部3cは、金属3aと金属3bとを重ね合わせた状態で摩擦撹拌接合(摩擦撹拌溶接)(Friction Stir Welding:FSW)によって溶接したときに、金属3bと板状部3fとが接合する部分である。接合部3cは、金属3a,3bの長さ方向と直交する方向に間隔をあけて形成されている。
【0033】
溶接装置4は、金属3aと金属3bとを摩擦撹拌接合によって溶接する装置である。溶接装置4は、図3に示すように、回転ツール5と、定盤6などを備えている。回転ツール5は、軸心回りに回転する硬質な丸棒であり、図示しない駆動装置によって軸線回りに回転し、水平方向に移動する際には垂直軸に対して3~5°程度傾斜した前進角が付与される。回転ツール5は、ピン部5aとショルダ部5bとを備えている。ピン部5aは、接合面を摩擦撹拌する機能を有する突起部であり、回転ツール5の先端部に形成されておりこのピン部5aの外周面にはねじ部5cが形成されている。ピン部5aの長さは、金属3b及び板状部3fに侵入可能なように、金属3bの厚さと板状部3fの厚さの合計と同一又は僅かに短く設計されている。ショルダ部5bは、ピン部5aによって撹拌された金属3a,3bを押さえ込む機能を有する段差部である。ショルダ部5bは、回転ツール5の先端の段差部に形成されており、ショルダ部5bには軸心側よりも外周部側の方が僅かに高くなるように軸心から外周に向かってテーパ面が形成されている。定盤6は、回転ツール5との間で接合材3を挟み込み、回転ツール5からの摩擦圧力に耐え得るバックアップ材(ベース)である。
【0034】
次に、この発明の第1実施形態に係る接合材の製造方法を説明する。
図2及び図3に示すように、金属3aに金属3bを重ね合わせた状態で定盤6に設置する。次に、金属3b及び板状部3fにピン部5aを金属3b側から所定の荷重で押し付けて侵入させ、回転速度880~1750rpmで回転ツール5を回転させながら金属3a,3bの長さ方向と直交する方向に移動速度50~500mm/min程度で移動させる。その結果、金属3a及び板状部3fが回転ツール5との間の摩熱によって軟化して、回転ツール5の回転に引きずられるように塑性流動し、金属3bと板状部3fとが融点以下の温度で固相接合される。金属3b及び板状部3fにピン部5aが侵入して金属3b及び板状部3fが切削状態になると、これらが外部に排出されるのをショルダ部5bが防止するとともに、このショルダ部5bが金属3bの表面に摩擦熱を付与する。ピン部5aからの摩擦熱とショルダ部5bからの摩擦熱とを金属3a及び板状部3fが受けて、図3に示すように略逆三角形状の接合部3cが形成される。
【0035】
この発明の第1実施形態に係る接合材とその製造方法には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、アルミニウム合金である金属3aとマグネシウム合金である金属3bとが摩擦撹拌接合されている。その結果、異種金属同士を溶接可能であり変形や割れなどが少ない接合材3を製造することができる。
【0036】
(2) この第1実施形態では、金属3aが空隙部3dを有する軽量構造体である。このため、接合材3の軽量化を図ることができるとともに、防音効果や振動吸収効果を向上させることができる。特に、金属3aがハニカム構造体であるため接合材3の強度を向上させることができる。例えば、従来の鉄道車両の構体を構成するアルミニウム合金などのハニカム材の厚さを半分に薄くして、この薄くした分と同じ厚さのマグネシウム合金を貼り付けて軽量化を図ることができる。
【0037】
(3) この第1実施形態では、熱伝導率が高く融点が低い金属3b側から摩擦撹拌接合されている。その結果、熱伝導率が高く融点の低いマグネシウム合金側からアルミニウム合金側に摩擦熱が伝わり良好に加工することができる。
【0038】
(第2実施形態)
図4は、この発明の第2実施形態に係る接合材の断面図である。以下では、図2及び図3に示す部分と同一の部分については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図4に示す金属3aは、空隙部3dを有する発泡構造体(軽量構造体)である。金属3aは、厚さt1が3mm程度の板状部3fと厚さt2が1mm程度の板状部3gとの間に空隙部3dが形成された板状の発泡金属材であり、空隙部3d及び板状部3f,3gは一体に形成されている。金属3aは、立体網状構造を有し気孔率が著しく大きい金属多孔体であり、溶融金属中にガス発生物質を加えたり発泡樹脂の骨格の周りに金属を付けて焼結したりして製造される。この第2実施形態では、第1実施形態の効果に加えて、金属3aに空隙部3dが形成されているためより一層軽量化を図ることができるとともに、防音効果や振動吸収効果を向上させることができる。
【0039】
(第3実施形態)
図5は、この発明の第3実施形態に係る接合材の一部を省略して示す斜視図である。図6は、この発明の第3実施形態に係る接合材の断面図であり、図6(A)は溶接前の状態を示す断面図であり、図6(B)は溶接中の状態を示す断面図である。
図5及び図6に示す接合材3は、金属3aがアルミニウム合金の板材(バルク材)であり、継手部3hで摩擦撹拌接合された継手構造を備えている。接合材3は、金属3aと金属3bとが接着剤層3kによって重ね合わせて接合されており、継手部3hは、図6(A)に示すように、接合材3の長さ方向の端部である金属3aの接合面3i同士及び金属3bの接合面3j同士を直線上に突き合わせた状態で接合され形成された突合せ継手である。接合面3i,3jは、図5及び図6(A)に示すように平坦面である。
【0040】
接着剤層3kは、金属3aと金属3bとを接合する部材である。接着剤としては、例えば、エポキシ系やイソシアナート系のような二液接着剤(反応型接着剤)や、エポキシ系やフェノール系などの熱硬化性接着剤や、空気中の水分によって高速でアニオン重合して硬化するα-シアノアクリラート型の瞬間接着剤などが好ましい。接着剤層3kは、塗布後に加熱処理する場合にはエポキシ接着剤などの強力接着剤によって形成することが好ましく、塗布後に加熱処理しない場合にはエポキシ接着剤以外の他の接着剤によって形成することもできる。
【0041】
次に、この発明の第3実施形態に係る接合材の製造方法について説明する。
図7は、この発明の第3実施形態に係る接合材の製造方法を説明するための工程図である。
接着工程#100は、金属3aと金属3bとを重ね合わせて接着する工程であり、図6に示すように金属3aと金属3bとの間に接着剤を塗布して接着剤層3kを形成し金属3aと金属3bとを接合する。摩擦撹拌接合工程#110は、接着工程#100後の金属3a同士及び金属3b同士を継手部3hで摩擦撹拌接合する工程である。この摩擦撹拌接合工程#110では、金属3aの接合面3i同士及び金属3bの接合面3j同士を突き合わせて、図5及び図6に示す回転ツール5を回転させながら接合面3i,3jに金属3b側からピン部5aを押し付けて侵入させ、接合面3i,3jに沿って移動させて接合面3i同士及び接合面3j同士を摩擦撹拌接合する。
【0042】
この第3実施形態では、異種金属同士を接合した接合材3同士を継手部3hで摩擦撹拌接合して接合材3を長尺化することができるとともに、変形や割れの少ない接合材3を製造することができる。
【0043】
(第4実施形態)
図8は、この発明の第4実施形態に係る接合材の断面図であり、図8(A)は溶接前の状態を示す断面図であり、図8(B)は溶接中の状態を示す断面図である。図9は、この発明の第4実施形態に係る接合材の製造方法を説明するための工程図である。
図8に示す接合材3は、金属3aと金属3bとが摩擦撹拌接合によって接合部3cで接合されており、接合面3i同士及び接合面3j同士を突き合わせて継手部3hで摩擦撹拌接合された継手構造を備えている。図9に示す摩擦撹拌接合工程#200は、金属3aと金属3bとを重ね合わせて接合部3cで摩擦撹拌接合する工程であり、摩擦撹拌接合工程#210は金属3aと金属3bとを第3実施形態と同様に継手部3hで摩擦撹拌接合する工程である。この第4実施形態には、第3実施形態と同様の効果がある。
【0044】
(第5実施形態)
図10は、この発明の第5実施形態に係る接合材の断面図であり、図10(A)は溶接前の状態を示す断面図であり、図10(B)は溶接中の状態を示す断面図である。
図10に示す接合材3は、金属3aが空隙部3dを有するハニカム構造体であり、接合面3i同士及び接合面3j同士を突き合わせて継手部3hで摩擦撹拌接合された継手構造を備えている。接合材3は、金属3aと金属3bとが接着剤層3kによって重ね合わせて接合されており、継手部3hは接合材3の長さ方向の端部である金属3aの接合面3i同士及び金属3bの接合面3j同士を直線上に突き合わせた状態で接合され形成されている。金属3aには、長さ方向の端部に厚肉部3mが形成されており、この厚肉部3mの外側端面には接合面3iが形成されている。厚肉部3mの厚さLは、回転ツール5の半径よりも僅かに大きく設計されている。この接合材3は、図7に示す工程と同一の工程によって製造され、この第5実施形態には第1実施形態及び第4実施形態と同様の効果がある。
【0045】
(第6実施形態)
図11は、この発明の第6実施形態に係る接合材の断面図であり、図11(A)は溶接前の状態を示す断面図であり、図11(B)は溶接中の状態を示す断面図である。
図11に示す接合材3は、金属3aが空隙部3dを有する発泡構造体であり、金属3aには、第5実施形態と同様に厚肉部3mが形成されている。この接合材3は、図7に示す工程と同一の工程によって製造され、この第6実施形態には第1実施形態及び第4実施形態と同様の効果がある。
【0046】
(第7実施形態)
図12は、この発明の第7実施形態に係る接合材の断面図であり、図12(A)は溶接前の状態を示す断面図であり図12(B)は溶接中の状態を示す断面図である。
図12に示す接合材3は、金属3a同士を接合する接合面3iが平坦面であり、金属3b同士を接合する接合面3jが段差面である。ピン部5aの直径は、接合面3jの段差面の高さHよりも僅かに大きく設計されている。この接合材3は、図7に示す工程と同一の工程によって製造される。この第7実施形態では、第3実施形態の効果に加えて、接合面3jが段差面であるため接合部の面積が広くなる。その結果、アルミニウム合金に比べて疲労き裂が発生し易いマグネシウム合金側の接合面積を広くして疲労き裂が直線状に進むのを抑えることができる。
【0047】
(第8実施形態)
図13は、この発明の第8実施形態に係る接合材の製造方法を説明するための工程図である。図14は、この発明の第8実施形態に係る接合材の製造方法を説明するための断面図であり、図14(A)(B)摩擦撹拌接合工程を示し図14(C)は接着工程を示す。
図13に示す摩擦撹拌接合工程#300は、図14(A)に示すように金属3a同士を継手部3nで摩擦撹拌接合する工程であり、摩擦撹拌接合工程#310は図14(B)に示すように金属3b同士を継手部3pで摩擦撹拌接合する工程である。接着工程#320は、摩擦撹拌接合工程#300,#310後に、図14(C)に示すように金属3aと金属3bとを重ね合わせて接着剤層3kによって接着する工程である。この第8実施形態には、第3実施形態と同様の効果があり、金属3a,3bを摩擦撹拌接合によってそれぞれ長尺化した後に、金属3a,3bを接着して長尺化された接合材3を製造することができる。
【0048】
(第9実施形態)
図15は、この発明の第9実施形態に係る接合材の製造方法を説明するための工程図である。図16は、この発明の第9実施形態に係る接合材の製造方法を説明するための断面図であり、図16(A)~(C)は摩擦撹拌接合工程を示す。なお、図5では、図13に示す工程と同一の工程については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図15に示す摩擦撹拌接合工程#330は、図16(A)に示す摩擦撹拌接合工程#300及び図16(B)に示す摩擦撹拌接合工程#310後に、図16(C)に示すように金属3aと金属3bとを重ね合わせて接合部3cで摩擦撹拌接合する工程である。この第9実施形態には、第8実施形態と同様の効果がある。
【0049】
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、鉄道車両の構体2に接合材3を適用した場合を例に挙げて説明したが、自動車、船舶、航空機などの他の交通輸送手段の構体についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、二種類の金属3a,3bを接合した場合を例に挙げて説明したが、二種類以上の金属を積層して接合した接合材についてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、ピン部5aがねじ部5cを有し、ショルダ部5bがテーパ面を有する場合を例に挙げて説明したがこれに限定するものではない。例えば、ピン部5aをテーパ状にしたりねじ部5cを省略したりショルダ部5bを水平面にしたりすることもできる。
【0050】
(2) この実施形態では、金属3aと金属3bとの厚さを同じにした場合を例に挙げて説明したが、金属材料の価格、剛性、加工の容易性などを考慮して任意の厚さにすることができる。また、この第5実施形態~第7実施形態では、金属3aと金属3bとを接着剤層3kによって接合しているがこれらを摩擦撹拌接合によって接合することもできる。さらに、この第7実施形態では、金属3bの接合面3jを段差面にした場合を例に挙げて説明したが、第4実施形態~第6実施形態の接合面3jを段差面にすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】この発明の第1実施形態に係る接合材を備える交通輸送手段の構体の断面図である。
【図2】この発明の第1実施形態に係る接合材の一部を破断して示す斜視図である。
【図3】この発明の第1実施形態に係る接合材の断面図である。
【図4】この発明の第2実施形態に係る接合材の断面図である。
【図5】この発明の第3実施形態に係る接合材の一部を省略して示す斜視図である。
【図6】この発明の第3実施形態に係る接合材の断面図であり、(A)は溶接前の状態を示す断面図であり、(B)は溶接中の状態を示す断面図である。
【図7】この発明の第3実施形態に係る接合材の製造方法を説明するための工程図である。
【図8】この発明の第4実施形態に係る接合材の断面図であり、(A)は溶接前の状態を示す断面図であり、(B)は溶接中の状態を示す断面図である。
【図9】この発明の第4実施形態に係る接合材の製造方法を説明するための工程図である。
【図10】この発明の第5実施形態に係る接合材の断面図であり、(A)は溶接前の状態を示す断面図であり、(B)は溶接中の状態を示す断面図である。
【図11】この発明の第6実施形態に係る接合材の断面図であり、(A)は溶接前の状態を示す断面図であり、(B)は溶接中の状態を示す断面図である。
【図12】この発明の第7実施形態に係る接合材の断面図であり、(A)は溶接前の状態を示す断面図であり、(B)は溶接中の状態を示す断面図である。
【図13】この発明の第8実施形態に係る接合材の製造方法を説明するための工程図である。
【図14】この発明の第8実施形態に係る接合材の製造方法を説明するための断面図であり、(A)(B)摩擦撹拌接合工程を示し、(C)は接着工程を示す。
【図15】この発明の第9実施形態に係る接合材の製造方法を説明するための工程図である。
【図16】この発明の第9実施形態に係る接合材の製造方法を説明するための断面図であり、(A)~(C)は摩擦撹拌接合工程を示す。
【符号の説明】
【0052】
1 交通輸送手段(鉄道車両)
2 構体
3 接合材
3a 金属(アルミニウム合金板
3b 金属(マグネシウム合金板
3c 接合部
3d 空隙部
3h 継手部
3i,3j 接合面
3k 接着剤層(接着剤)
3n,3p 継手部
5 回転ツール
5a ピン部
5b ショルダ部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15