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明細書 :橋梁改築に伴う橋台の構築工法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4167149号 (P4167149)
公開番号 特開2005-068816 (P2005-068816A)
登録日 平成20年8月8日(2008.8.8)
発行日 平成20年10月15日(2008.10.15)
公開日 平成17年3月17日(2005.3.17)
発明の名称または考案の名称 橋梁改築に伴う橋台の構築工法
国際特許分類 E01D  22/00        (2006.01)
E01D  19/02        (2006.01)
E02D   5/04        (2006.01)
E02D   5/18        (2006.01)
E02D  27/12        (2006.01)
E02D  27/32        (2006.01)
FI E01D 22/00 Z
E01D 19/02
E02D 5/04
E02D 5/18
E02D 27/12 Z
E02D 27/32 A
請求項の数または発明の数 3
全頁数 9
出願番号 特願2003-300152 (P2003-300152)
出願日 平成15年8月25日(2003.8.25)
審査請求日 平成17年11月24日(2005.11.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
発明者または考案者 【氏名】舘山 勝
【氏名】渡辺 健治
【氏名】野澤 伸一郎
【氏名】藤沢 一
【氏名】太田 正彦
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
【識別番号】100096426、【弁理士】、【氏名又は名称】川合 誠
審査官 【審査官】柳元 八大
参考文献・文献 特開平09-316892(JP,A)
特開平09-203011(JP,A)
特開2003-184029(JP,A)
特開平05-202527(JP,A)
調査した分野 E01D 22/00
E01D 19/02
E02D 5/04
E02D 5/18
E02D 27/12
E02D 27/32
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)既設橋台の背面に土留め壁を打設し、
(b)小段の掘削を行い、
(c)掘削面の土留め壁に対して、引張り芯材が挿入された引張り補強材を打設し、
(d)前記(b)、(c)の工程を繰り返し、所定の深さまで掘削するとともに、引張り補強材を打設し、
(e)掘削によって空いたスペースに基礎杭を設置し、
(f)引張り補強材、土留め壁と連結するように橋台コンクリートを打設することにより、新設橋台を構築し、
(g)既設橋台の撤去を行い、
(h)前記新設橋台へ新設桁を架けることを特徴とする橋梁改築に伴う橋台の構築工法。
【請求項2】
請求項1記載の橋梁改築に伴う橋台の構築工法において、前記掘削によるスペースを狭くすることを特徴とする橋梁改築に伴う橋台の構築工法。
【請求項3】
請求項1記載の橋梁改築に伴う橋台の構築工法において、前記基礎杭は本数を低減し、主として桁からの鉛直荷重だけを支えることを特徴とする橋梁改築に伴う橋台の構築工法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁改築に伴う橋台の構築工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5は従来の橋梁改築に伴う橋台の構築工法の説明図である。
【0003】
従来、供用中の鉄道や道路橋梁を老朽化に伴い架け替えする場合には、まず、線路や道路の位置を変更してから旧橋台101の背後の土留め壁を後退させるように掘削を行い、十分なスペースを確保した上で、土留め壁102とグラウンドアンカー103などで仮土留めし、その後、上記の掘削により空いたスペースに基礎杭104を打設し、新橋台105を構築し、その新橋台105の背後を埋戻し土106で埋め戻すようにしている。そこで、新橋台105に、新しい桁107を架けることにより、桁の架け替えを行い、新橋梁を構築するようにしている。
【0004】
以下、従来の橋梁改築に伴う橋台の構築工法を詳細に説明する。
【0005】
図6はかかる従来の橋梁改築に伴う橋台の構築工法の詳細な工程図(その1)図7はその橋梁改築に伴う橋台の構築工法の詳細な工程図(その2)である。
【0006】
(1)まず、図6(a)に示すように、桁203及び基礎杭202を有する旧橋台201が構築されており、この旧橋台201を取り替えることにする。
【0007】
(2)そこで、図6(b)に示すように、桁203及び基礎杭202を有する旧橋台201の背面に広いスペース205を取るように掘削を行う。すなわち、(A)小段の掘削を行い、(B)掘削面の仮の土留め壁に対して、一般的にはグラウンドアンカーを設置し、これらの(A),(B)の工程を繰り返し、所定の深さまで掘削し、仮の土留め壁204を打設し、仮土留め工を施す。
【0008】
(3)次に、図6(c)に示すように、広いスペース205に基礎杭207を有する新橋台206を構築する。
【0009】
(4)次に、図7(d)に示すように、新橋台206背面と仮の土留め壁204間を埋戻し土208で埋め戻す。その際に、必要に応じて仮土留め工やグラウンドアンカーを撤去する場合もある。
【0010】
(5)次に、図7(e)に示すように、桁203及び基礎杭202を有する旧橋台201の撤去を行い、
(6)次に、図7(f)に示すように、新橋台206へ新設桁209を架ける。その後、線路あるいは道路の位置を元に戻す。
【0011】
なお、盛土のような緩い地盤を効率良く補強する場合には、大径の補強材を用いて仮土留め工を構築するのが効率的である。大径補強材の構築方法については下記特許文献1、大径補強材による盛土の急勾配化工法については下記特許文献2、大径補強材を用いた土留め壁の構築方法については下記特許文献3が提案されている。

【特許文献1】特許第2575329号公報(第2-3頁、図2)
【特許文献2】特許第2653731号公報(第2-3頁、図1)
【特許文献3】特許第2832508号公報(第3-4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記した従来の橋梁の架け替え工法によれば、施工法が面倒であり、工事が大掛かりにならざるを得ない。
【0013】
また、特に、上記した従来の橋梁の架け替え工法によれば、旧橋台201の背後に新橋台206を設置するため、新橋梁は旧橋梁に比べれば、必然的に桁209が大幅に長くなる。桁209が長くなれば橋台206やその基礎も大きくなる。特に最近の構造物の設計は、大地震時まで考慮した設計となっているので、さらに大きな基礎が必要となるといった問題があった。
【0014】
本発明は、上記状況に鑑みて、橋梁改築に伴う橋台の構築において、新橋梁の旧橋梁に比べた長さの増加を極力抑えるとともに、仮設の土留め工を新橋台の一部として用いることによって、経済的にしかも橋台の強度を堅牢にすることができる橋梁改築に伴う橋台の構築工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕橋梁改築に伴う橋台の構築工法において、(a)既設橋台の背面に土留め壁を打設し、(b)小段の掘削を行い、(c)掘削面の土留め壁に対して、引張り芯材が挿入された引張り補強材を打設し、(d)前記(b)、(c)の工程を繰り返し、所定の深さまで掘削するとともに、引張り補強材を打設し、(e)掘削によって空いたスペースに基礎杭を設置し、(f)引張り補強材、土留め壁と連結するように橋台コンクリートを打設することにより、新設橋台を構築し、(g)既設橋台の撤去を行い、(h)前記新設橋台へ新設桁を架けることを特徴とする。
【0016】
〔2〕上記〔1〕記載の橋梁改築に伴う橋台の構築工法において、前記掘削によるスペースを狭くすることを特徴とする。
【0017】
〔3〕上記〔1〕記載の橋梁改築に伴う橋台の構築工法において、前記基礎杭は本数を低減し、主として桁からの鉛直荷重だけを支えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
【0019】
(1)従来工法では、グラウンドアンカー等を有する土留めを用いているが、グラウンドアンカーは腐食やプレストレスの抜けなど長期的な使用に対して十分な検討が必要である。また、地震時の挙動に不明な点が多く、本設構造物としての使用数も少なく、あくまでも施工中だけの安定を確保するための仮設体として用いられ、橋台完成後の効果は期待されていない。これに対して、本発明では、土留め工として、地山補強土工法を採用し、新設橋台を補強土土留め工と一体化させることにより、仮設中に使用した補強土土留め工を本体の一部として使用する。ここで用いる地山補強土工法は、例えば、上記特許文献2に示す方法の場合は、本設構造物として数多くの使用実績があり、仮設中に使用した補強土(仮)土留め工を恒久的なものとすることができる。また、橋台の強度を堅牢にするのに有利である。
【0020】
(2)従来橋台は、地震時慣性力や土圧等の水平荷重に対して基礎杭の曲げ剛性で抵抗する構造であるため大きな基礎杭が必要となるが、本発明では、水平荷重に対しては引張り補強材で効果的に抵抗できることになるため、基礎杭は主として桁からの鉛直荷重だけを支えればよいことになり、従来に比べて少数の基礎杭で十分に抵抗できる。
【0021】
(3)また、橋台に関しても、従来工法は、片持ち梁構造であるため、特に基礎杭との付け根部分の断面力が大きくなり、大きな橋台断面が必要となるが、本発明では橋台を多段の引張り補強材で支えることになり、断面力を小さくすることができるため従来のものよりも小さな断面でよいことになる。
【0022】
(4)上記に起因して、新設橋台を構築するための作業空間が少なくて済むことになり、掘削量も少なくでき、結果として桁長も従来工法に比べて短くできる。また、従来工法では橋台構築後の埋め戻しが必要となるが、本発明では、埋め戻しが不要であり、施工の手間も省くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
橋梁改築に伴う橋台の構築工法において、(a)既設橋台の背面に土留め壁を打設し、(b)小段の掘削を行い、(c)掘削面の土留め壁に対して、引張り芯材が挿入された引張り補強材を打設し、(d)前記(b)、(c)の工程を繰り返し、所定の深さまで掘削するとともに、引張り補強材を打設し、(e)掘削によって空いたスペースに基礎杭を設置し、(f)引張り補強材、土留め壁と連結するように橋台コンクリートを打設することにより、新設橋台を構築し、(g)既設橋台の撤去を行い、(h)前記新設橋台へ新設桁を架ける。新橋梁は旧橋梁に比べて、その長さの増加を極力抑えるとともに、橋台の強度を堅牢にすることができる。
【実施例】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0025】
まず、本発明の橋梁改築に伴う橋台の構築工法について説明する。
【0026】
図1は本発明の工法の掘削時の状況を示す断面図、図2は本発明の工法の最終構築状況を示す断面図である。
【0027】
本発明によれば、まず始めに、図1に示すように、補強土工法で土留めを行い、その後、図2に示すように、それを抱き込むように橋台を打設するようにしている。
【0028】
以下、詳細に説明する。
【0029】
(1)まず、桁3及び基礎杭1を有する旧橋台2の背面に(H鋼や鋼矢板、ソイルセメント壁などの)土留め壁4を打設し、
(2)その後、小段の掘削を行い、
(3)掘削面の土留め壁4に対して、引張り芯材が挿入された、ネイリング、マイクロパイリング、ダウアリングなどの引張り補強材5を打設する。
【0030】
(4)前記(2)、(3)の工程を繰り返し、所定の深さまで掘削するとともに、引張り補強材5を打設し、
(5)掘削によって空いたスペースに基礎杭6を設置し、
(6)引張り補強材5、土留め壁4と連結するように橋台コンクリートを打設することにより、新設橋台7を構築する。
【0031】
(7)その後、旧橋台2及びその基礎杭1の撤去を行い、
(8)新設橋台7へ桁8を架ける。
【0032】
図3は本発明の工法によって構築された橋梁改築に伴う橋台構造物を示す断面図である。ここでは、引張り補強材として大径補強材(ダウアリング)を用いた橋台の例について説明する。
【0033】
この図に示すように、本発明の橋台構造物は、大径補強材11を有する土留め壁12と、この土留め壁12と一体化される基礎杭(H鋼)13を有する橋台14とを設け、この橋台14に桁15が架けられる。
【0034】
このように、大径補強材11を使用するとともに、仮土留め工を本設化し、土留め壁12と橋台14を一体化する。地震時には大径補強材11が土圧と橋台14,桁15の慣性力を分担することができる。
【0035】
図4は本発明の橋台および比較例としての従来の橋台の静的非線形モデルのプッシュオーバー(過剰押圧)による解析結果を示す図である。
【0036】
この図において、●は従来の橋台(杭径1.6m)、□は本発明の大径補強材を用いた補強土橋台(補強長8m)、横軸は水平変位量(mm)、縦軸は水平震度Kh を示している。
【0037】
この図より、従来の橋台と比較すると、本発明の補強土橋台は、水平変位量が小さく、かつ高い水平震度に耐えることがわかる。つまり、かかる補強土橋台はレベル2(大規模地震)の地震動に対しても、十分な変形性能を有しており、補強長を長くすれば、更に高い耐震性が得られる。
【0038】
また、埋戻しや基礎杭が少なくて済むため、施工性、経済性に優れている。
【0039】
以上から、本発明の補強土橋台は、性能が良好であることが分かる。
【0040】
振動試験機を使用し、阪神淡路大震災時の地震波である700galの加振を行った結果、本発明にかかる補強土橋台では殆ど変形しなかったが、従来の橋台では、400galで大きな変形が生じた。
【0041】
このように、補強橋台工法は、既設橋台の背面に設置する仮土留め工を本設化し、その土留め工に土圧を負担させることができ、橋台が土圧を殆ど負担しないため、橋台と基礎杭の大幅なスリム化を図ることができる。
【0042】
本発明の工法と従来工法を比較した場合の特徴は、以下の通りである。
【0043】
(1)従来工法では、グラウンドアンカー等を有する土留め壁は、あくまでも施工中だけの安定を確保するための仮設体であり、橋台完成後の効果は期待されていない。これに対して、本発明の工法では、橋台を補強土土留め工と一体化させることにより、仮設中に使用した補強土土留め工を本体の一部として使用するため、恒久的なものとすることができ合理的である。
【0044】
(2)従来橋台は、地震時慣性力や土圧等の水平荷重に対して基礎杭の曲げ剛性で抵抗する構造であるため大きな基礎杭が必要となるが、本発明では、水平荷重に対しては引張り補強材で効果的に抵抗できることになるため、基礎杭は主として桁からの鉛直荷重だけを支えればよいことになり、従来に比べて少数の基礎杭で十分に抵抗できる。
【0045】
(3)また、橋台に関しても、従来工法は、片持ち梁構造であるため、特に基礎との付け根部分の断面力が大きくなり、大きな断面の橋台が必要となるが、本発明では橋台を多段の補強材で支えることになり、断面力を小さくすることができるため従来のものより小さな断面でよいことになる。
【0046】
(4)上記に起因して、新設橋台を構築するための作業空間が少なくて済むことになり、結果として桁長も従来工法に比べて短くできる。また、従来工法では橋台構築後の埋め戻しが必要となるが、本発明の工法では、埋め戻しが不要であり、施工の手間も省ける。
【0047】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、既設架道橋などの改築において、その工法に適している。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の工法の掘削時の状況を示す断面図である。
【図2】本発明の工法の最終構築状況を示す断面図である。
【図3】本発明の工法によって構築された橋梁改築に伴う橋台構造物を示す断面図である。
【図4】本発明の橋台および比較例としての従来の橋台の静的非線形モデルのプッシュオーバー(過剰押圧)による解析結果を示す図である。
【図5】従来の橋梁改築に伴う橋台の構築工法の説明図である。
【図6】従来の橋梁改築に伴う橋台の構築工法の詳細な工程図(その1)である。
【図7】従来の橋梁改築に伴う橋台の構築工法の詳細な工程図(その2)である。
【符号の説明】
【0050】
1,6 基礎杭
2 旧橋台
3,8,15 桁
4,12 土留め壁
5 引張り補強材
7 新設橋台
11 大径補強材
13 基礎杭(H鋼)
14 橋台
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6