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明細書 :電車線用コネクティングハンガイヤー

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3917118号 (P3917118)
公開番号 特開2005-067568 (P2005-067568A)
登録日 平成19年2月16日(2007.2.16)
発行日 平成19年5月23日(2007.5.23)
公開日 平成17年3月17日(2005.3.17)
発明の名称または考案の名称 電車線用コネクティングハンガイヤー
国際特許分類 B60M   1/23        (2006.01)
B60M   1/12        (2006.01)
FI B60M 1/23 A
B60M 1/12 P
請求項の数または発明の数 5
全頁数 8
出願番号 特願2003-304170 (P2003-304170)
出願日 平成15年8月28日(2003.8.28)
審査請求日 平成17年10月18日(2005.10.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】303059071
【氏名又は名称】独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
発明者または考案者 【氏名】澤畑 務
【氏名】萬代 毅
【氏名】清水 政利
【氏名】島田 健夫三
【氏名】林 博之
【氏名】中村 登
【氏名】岩間 祐一
個別代理人の代理人 【識別番号】100078950、【弁理士】、【氏名又は名称】大塚 忠
審査官 【審査官】本庄 亮太郎
参考文献・文献 特表平10-512824(JP,A)
実開昭57-009631(JP,U)
調査した分野 B60M 1/23
B60M 1/12
特許請求の範囲 【請求項1】
上部に吊架線に掛け止めるためのループ状のフック部を有するハンガバーと、
このハンガバーの下端部に結合してトロリ線を把持するイヤーと、
前記吊架線とハンガバーとの間に介在し、ハンガバーの変位を許容しつつ電気的に接続する導体とを備え、
トロリ線を吊架線に支持すると共に、両者を電気的に導通させるものであって、
前記導体は、前記ハンガバーにスリーブで圧着されることを特徴とする電車線用コネクティングハンガイヤー。
【請求項2】
前記フック部を含むハンガバーの上部は疲労特性の良好な金属材で構成され、
前記導体との接続部を含むハンガバーの下部は導電性の良好な金属材で構成され、
これら上下両部が前記スリーブで圧着されることを特徴とする請求項1に記載の電車線用コネクティングハンガイヤー。
【請求項3】
前記導体には、弦巻ばね状に巻かれて上下方向に伸縮可能な伸縮部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電車線用コネクティングハンガイヤー。
【請求項4】
前記導体が前記ハンガバーの下端部に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電車線用コネクティングハンガイヤー。
【請求項5】
前記導体は、前記ハンガバーのフック部の折返し先端部に結合していることを特徴とする請求項1に記載の電車線用コネクティングハンガイヤー。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、吊架線からトロリ線を吊り下げるための電車線用ハンガイヤーに関し、特に吊架線とトロリ線とを電気的に接続する機能を兼備するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電車線ハンガイヤーは、特許文献1に記載のものがある。これは、金属の棒材を屈曲させて成るハンガバーとトロリ線を把持するイヤー片とを備えている。ハンガバーは、上部に、吊架線に掛け止めるためのループ状のフック部を有する。対向一対のイヤー片は、ハンガバーの下端に固着されており、イヤー片を貫通するボルトを締め付けることで、イヤー片間にトロリ線を把持することができる。吊架線のハンガイヤー掛け止め部位には、吊架線をハンガイヤーから電気的に絶縁すると共に、ハンガイヤーとの接触による機械的損傷から吊架線を保護するための保護カバーが装着される。
一方、特許文献2に記載のコネクタ金具がある。これは、吊架線からトロリ線に給電するために、吊架線を把持するクランプと、トロリ線を把持するクランプとの間を、複数の銅線を平編状に構成した導体で接続するものである。

【特許文献1】実開平6-47030号公報
【特許文献2】実開平6-47029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のトロリ線上のコネクタ金具は、トロリ線の把持位置に上下動を許容しにくい硬点が生じてしまい、トロリ線の局部摩耗を助長する。別体のハンガイヤーとコネクタ金具とが重複して設置されるため、両金具を合わせた部品点数が多くなり、保全等の取扱いが煩わしいし、取付作業も別個に行わねばならず、作業負担の重複により、手間や作業コストが重畳的に増すので、これらの作業の単純化が望まれる。さらに、パンタグラフによるトロリ線の押し上げによってコネクタ金具の曲げが繰り返され、局部的な疲労劣化を招く。
そこで、本発明は、コネクタ金具の機能を兼備し、吊架線とトロリ線とを電気的に導通させ、またトロリ線の硬点を少なくすると共に、取り扱いが容易で、取付け作業の省力化を図り、しかも局部的な劣化を軽減する電車線用コネクティングハンガイヤーを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、第1の発明においては、上部に吊架線に掛け止めるためのループ状のフック部を有するハンガバーと、このハンガバーの下端部に結合してトロリ線を把持するイヤーと、吊架線とハンガバーとの間に介在し、ハンガバーの変位を許容しつつ電気的に接続する導体とを具備させ、導体は、スリーブでハンガバーに圧着して電車線用のコネクティングハンガイヤーを構成する。
第2の発明は、上記第1の発明におけるフック部を含むハンガバーの上部を金属疲労特性の良好な棒材で構成し、導体との接続部を含むハンガバーの下部を導電性の良好な棒材で構成し、両者をスリーブで圧着した。
第3の発明は、上記第1又は第2の発明における導体に、弦巻ばね状巻かれて上下方向に伸縮可能な伸縮部を設けた。
第4の発明は、上記第1又は第2の発明における導体をハンガバーの下端部に接続した。
第5の発明は、上記第1の発明における導体をハンガバーのフック部の折返し先端部に結合した。
【発明の効果】
【0005】
本発明においては、ハンガバーに導体を一体に設けたので、コネクタ金具の機能を兼備し、導体によってトロリ線と吊架線との間の電気的な接続状態が安定する。従来相互に別体を成す金具同士が物理的に一体化した結果、トロリ線上の取付位置の硬点が全体として減少し、トロリ線の摩耗が低減するし、保全、持ち運び、取付等の取扱いに好都合となり、特に取付の作業労力の負担を軽減でき、作業コストも削減できる。また、パンタグラフによるトロリ線の押し上げによって導体は局部的な疲労劣化を起こし難く、製品の長寿命化に寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0007】
図1、図2において、第1の実施例に係るコネクティングハンガイヤー1は、吊架線Mに掛け止めてトロリ線Tを支持するハンガバー2と、このハンガバー2の下端に取付けられてトロリ線Tを把持するイヤー3と、吊架線Mを把持するクランプ4と、クランプ4から延出する導体5と、導体5をハンガバー2に固着するスリーブ6とを具備する。
【0008】
ハンガバー2の上部2aは機械的強度が高く金属疲労特性の良好なりん青銅の棒材で構成され、ハンガバー2の下部2bは導電特性の良好なタフピッチ銅の棒材で構成される。ハンガバー2の上部2aと下部2bは、図3に示すように、スリーブ6で圧縮接続される。ハンガバー2の上部2aには、吊架線Mに掛け止めるためのフック部2cを有する。フック部2cは、吊架線Mへの装着状態において吊架線Mの軸線方向に見て吊架線Mを包囲するように縦長ループ状に形成され、下側の湾曲開始部付近で間隔をおいて交差し、さらに返しを形成するように三次元に湾曲している。フック部2cは、直線部2dをほぼ垂直状態に保って軸回りにほぼ90°回転させつつ下降させることにより、吊架線Mへ掛け止められるように、下方に開放している。フック部2cを吊架線Mから外すには、逆にハンガバー2をほぼ90°回転させながら上方へ持ち上げる。トロリ線Tを挟んで対向する一対のイヤー片3a,3aをボルト3cで締め付けてトロリ線Tを把持する。フック部2cは弾性合成樹脂製の保護カバー7を介して吊架線Mに掛け止められる。保護カバー7は、吊架線M周りを取り囲むように円筒状を成し、両端部にフック部2cの外れ防止用の鍔を有する。
【0009】
クランプ4は、吊架線Mを挟んで両側に対向する一対の導電金属製のクランプ片4a,4bをボルト4cで締め付けて吊架線Mに固定するものである。導体5は銅撚り線で構成され、吊架線Mへの装着状態において吊架線Mからハンガバー2に至るまでに略U字状のたるみを形成するように余裕を持たせた延出長さを有し、ハンガバー2の上下動を許容する。スリーブ6は、ハンガバー2と導体5を平行に並べて夫々挿通させ圧着する。
【0010】
本実施形態のコネクティングハンガイヤー1においては、吊架線Mに保護カバー7を取り付けてからハンガバー2のフック部2cを保護カバー7上に掛け止めると共にイヤー3でトロリ線Tを把持させて、吊架線Mにトロリ線Tを支持する。吊架線Mにハンガバー2を掛けたら、吊架線Mをクランプ4で把持し、ハンガバー2にスリーブ6で予め固着してある導体5を介してトロリ線Tを吊架線Mに電気的に導通させる。
【0011】
吊架線Mに取り付けたコネクティングハンガイヤー1は、フック部2cの吊架線Mに対する電気的な接続状態の良否の如何に関わらず、吊架線Mに対して導体5が確実に接続され、導電性の良好なハンガバー2の下部2bを介して吊架線Mからトロリ線Tへの給電をロスなく行う。
【0012】
電車の走行中パンタグラフの通過によりトロリ線Tが押し上げられて、ハンガバー2が上下動するが、ハンガバー2の上部2aの機械的強度が高いので、容易に疲労劣化することがなく、また導体5がハンガバー2に柔軟に追随するので、ハンガバー2の挙動を妨げることがなく、導体5自体も物理的ダメージを受けず、容易に疲労劣化することがない。
【0013】
なお、ハンガバー2は上下異なる二種の金属棒で構成したが、機械的強度及び導電性に関して使用に耐えうる単一の金属棒で一体に構成してもよい。また、ハンガバー2と導体5を固着して電気的に接続するものであれば、スリーブ6に代えて、対向片をボルトなどで締め付けて固定するクランプ部材のようなものでもよい。
【実施例2】
【0014】
第2の実施例に係るコネクティングハンガイヤーを図4に示す。以下、先の実施形態における構成部分と同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。コネクティングハンガイヤー8における導体9は銅撚り線で構成され、ハンガバー2に上方からスリーブ6で結合される直前にハンガバー2周りに弦巻ばね状に巻かれ、上下に弾力的に伸縮可能な伸縮部9aを備えている。
【0015】
コネクティングハンガイヤー8においては、先の実施形態におけると同様にして、吊架線Mにトロリ線Tを支持させる一方、吊架線Mとトロリ線Tを電気的に接続する。パンタグラフの通過によるハンガバー2の上下動に伴い、導体9の伸縮部9aが伸び縮みするので、導体9がハンガバー2の変位に柔軟に追随する。
【実施例3】
【0016】
第3の実施形態に係るコネクティングハンガイヤー10を図5に示す。コネクティングハンガイヤー10における導体11は銅撚り線で構成され、クランプから延出する略S字状の弛み部11aと、ハンガバー2の中間部において上方からスリーブ6に挿通されて圧着され、さらにハンガバー2の直線部2dに沿って伸び、端部をスリーブ12でハンガバー2の下端部に結合される直線状部11bとを備えている。
【0017】
コネクティングハンガイヤー10においても、先の実施形態におけると同様にして、吊架線Mにトロリ線Tを支持させる一方、吊架線Mとトロリ線Tを電気的に接続する。パンタグラフの通過によるハンガバー2の上下動を導体11の弛み部11aが許容して、導体11がハンガバー2の変位に柔軟に追随する。さらに吊架線Mからトロリ線Tまでを導体11がハンガバー2をほとんど介することなく接続するので、フック部2cの吊架線Mに対する電気的な接続状態の良否如何はもとより、ハンガバー2の電気抵抗に関係なく、吊架線Mからトロリ線Tを確実に導通させ、吊架線Mからトロリ線Tへの給電ロスを低減する。
【実施例4】
【0018】
第4の実施形態に係るコネクティングハンガイヤー13を図6に示す。コネクティングハンガイヤー13における導体14は銅撚り線で構成され、クランプ4から延出して弛み部14aを介し、ハンガバー2のフック部2cの先端部に突き合わされてスリーブ15で圧着される。
【0019】
コネクティングハンガイヤー13においても、先の実施形態におけると同様にして、吊架線Mにトロリ線Tを支持させる一方、吊架線Mとトロリ線Tを電気的に接続する。パンタグラフの通過によるハンガバー2の上下動を導体14の弛み部14aが許容して、導体14がハンガバー2の変位に柔軟に追随する。また、吊架線Mからトロリ線Tまでを導体14及びハンガバー2で接続するので、フック部2cの吊架線Mに対する電気的な接続状態の良否如何に関わらず、吊架線Mからトロリ線Tを確実に導通させる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の電車専用コネクティングハンガイヤーは、吊架線からトロリ線を吊り下げつつ、両者間を電気的に接続するものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る電車線用コネクティングハンガイヤーの斜視図である。
【図2】電車線用コネクティングハンガイヤーの正面図である。
【図3】スリーブの縦断面である。
【図4】第2の実施形態に係る電車線用コネクティングハンガイヤーの正面図である。
【図5】第3の実施形態に係る電車線用コネクティングハンガイヤーの正面図である。
【図6】第4の実施形態に係る電車線用コネクティングハンガイヤーの正面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 コネクティングハンガイヤー
2 ハンガバー
2a 上部
2b 下部
2c フック部
3 イヤー
4 クランプ
5 導体
6 スリーブ
7 保護カバー
8 コネクティングハンガイヤー
9 導体
9a 伸縮部
10 コネクティングハンガイヤー
11 導体
11a 弛み部
13 コネクティングハンガイヤー
14 導体
15 スリーブ
M 吊架線
T 電車線
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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