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明細書 :乗車列車同定システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4221263号 (P4221263)
公開番号 特開2005-094125 (P2005-094125A)
登録日 平成20年11月21日(2008.11.21)
発行日 平成21年2月12日(2009.2.12)
公開日 平成17年4月7日(2005.4.7)
発明の名称または考案の名称 乗車列車同定システム
国際特許分類 H04W   4/04        (2009.01)
B61L   3/12        (2006.01)
B61L  25/02        (2006.01)
H04W  64/00        (2009.01)
FI H04Q 7/00 110
B61L 3/12 Z
B61L 25/02 G
H04Q 7/00 509
請求項の数または発明の数 3
全頁数 15
出願番号 特願2003-321466 (P2003-321466)
出願日 平成15年9月12日(2003.9.12)
審査請求日 平成17年11月24日(2005.11.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】松原 広
【氏名】深澤 紀子
【氏名】明星 秀一
個別代理人の代理人 【識別番号】100090033、【弁理士】、【氏名又は名称】荒船 博司
【識別番号】100093045、【弁理士】、【氏名又は名称】荒船 良男
審査官 【審査官】佐藤 聡史
参考文献・文献 特開平10-232992(JP,A)
特開2001-304904(JP,A)
特開2002-230105(JP,A)
調査した分野 H04Q 7/00-7/38
B61L 3/12
B61L 25/02
特許請求の範囲 【請求項1】
互いに通信可能に接続する第1の外部システム、第2の外部システム、所定の無線通信網を利用した無線通信を行う無線通信手段を有する携帯型の端末装置を有する乗車列車同定システムであって、
前記第1の外部システムは、
前記無線通信手段による前記端末装置の前記無線通信網における通信状況から当該端末装置と通信する基地局を特定し、当該基地局の通信エリアを前記端末装置の存在推定域として推定する存在推定域推定手段を有し、
前記第2の外部システムは、
列車運行情報を管理する列車運行情報管理手段と、
前記無線通信網における基地局の設置位置と駅構内又は駅間の区間との対応に関する基地局設置位置情報を管理する基地局設置情報管理手段と、
前記端末装置からの通信接続に基づいて、前記存在推定域推定手段により特定された基地局で前記基地局設置位置情報を参照し、前記通信接続された端末装置が存在する区間を判定するとともに、この区間の列車運行情報を前記列車運行情報管理手段から参照し、当該判定された区間を示す情報及びこの区間列車運行情報を端末装置に返信する返信手段と、を有し、
前記端末装置は、
前記第1の外部システムに通信接続し、当該端末装置の現在の存在推定域の情報を受信するように制御させる存在推定域情報受信制御手段と、
前記第2の外部システムに通信接続し、前記第2の外部システムの返信手段によって前記端末装置が存在すると判定された区間を示す情報及び当該区間列車運行情報を受信するように制御させる列車運行情報受信制御手段と、
前記存在推定情報受信制御手段の受信制御により受信された存在推定域の情報、前記列車運行情報受信制御手段の受信制御により受信された前記端末装置が存在すると判定された区間を示す情報及び当該区間列車運行情報に基づいて当該端末装置の保有者の乗車列車を同定する乗車列車同定手段と、
を有する乗車列車同定システム。
【請求項2】
所定の無線通信網を利用した無線通信を行う無線通信手段を有する携帯型の端末装置、前記端末装置と通信可能に接続する外部システムを有する乗車列車同定システムであって、
前記外部システムは、
列車運行情報を管理する列車運行情報管理手段と、
前記無線通信網における基地局の設置位置と駅構内又は駅間の区間との対応に関する基地局設置位置情報を管理する基地局設置情報管理手段と、
前記端末装置からの通信接続に基づいて、前記基地局設置位置情報を参照し、前記通信接続された端末装置が存在する区間を判定するとともに、この区間の列車運行情報を前記列車運行情報管理手段から参照し、当該判定された区間を示す情報及びこの区間列車運行情報を端末装置に返信する返信手段と、
を有し、
前記端末装置は、
前記無線通信手段による当該端末装置の前記無線通信網における通信状況から当該端末装置と通信する基地局を特定し、当該基地局の通信エリアを端末装置の存在推定域として推定する存在推定域推定手段と、
前記外部システムに通信接続し、前記外部システムの返信手段によって前記前記端末装置が存在すると判定された区間を示す情報及び当該区間列車運行情報を受信するように制御させる列車運行情報受信制御手段と、
前記存在推定域推定手段により推定された存在推定域の情報、前記列車運行情報受信制御手段の受信制御により受信された前記端末装置が存在すると判定された区間を示す情報及び当該区間列車運行情報に基づいて当該端末装置の保有者の乗車列車を同定する乗車列車同定手段と、
を有する乗車列車同定システム。
【請求項3】
前記乗車列車同定手段は、前記存在推定域の情報の変化に応じて前記列車運行情報受信制御手段により前記端末装置が存在すると判定された区間を示す情報及び当該区間列車運行情報を受信し、この受信された区間を示す情報及び当該区間列車運行情報と、前記変化後の存在推定域の情報とに基づいて、当該端末装置の保有者の乗車列車を同定する請求項1又は2に記載の乗車列車同定システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、乗車列車同定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、人物の位置の推定方法として、当該人物が保持する携帯電話機やPHS等の基地局からの情報を基にして推定する方法や、GPS衛星との通信を利用した方法がある。そして、このような位置の推定方法を利用した技術として、鉄道分野では、次の技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、利用者が保持する携帯電話機の位置を検知して最寄り駅を判断するとともに、この最寄り駅から利用者によって入力された目的駅までの経路や発車時刻を検索し、携帯電話機に送信して表示させる列車の案内方法等が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、携帯電話機の位置を移動通信網に対して予め位置登録しておき、利用者によって目的駅が入力されると、目的駅方向の路線の時刻表を検索し、携帯電話機に対して提供する移動通信システムが開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、携帯電話端末を列車に搭載するとともに、列車が走行する軌道に沿って携帯電話サービス網の無線基地局を配置して、無線ゾーンレベルでの列車位置情報を発生する列車位置情報発生装置が開示されている。

【特許文献1】特開2002-293241号公報
【特許文献2】特開2001-022216号公報
【特許文献3】特開2000-071985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の基地局からの情報による推定方法では、基地局の通信エリアを単位として位置を推測しているため、精度が数百m~数km程度しか得られない。従って、ピンポイントでの位置の推定、即ち同定は困難であった。一方、GPSによる同定方法では、基地局による位置の同定方法と比較して精度良く同定することができるが、GPS衛星との通信が不可能な地下やトンネル等では検出ができないという問題がある。このため、鉄道分野における鉄道利用者の位置の同定方法として、適当であるとはいえなかった。
【0007】
例えば、特許文献1に記載の技術は、利用者の位置を携帯電話機の基地局を利用して検出しているため、駅間の距離が短い地域や、複数路線の駅が接近して設けられている地域では、最寄り駅を確実に判断できるとはいい難かった。
【0008】
また、特許文献2に記載の技術は、携帯電話機の基地局を利用して該当する路線を推測している、即ち、利用者が乗車している列車の同定までを行うものではないため、例えば都心部などの複数の路線が並行している地域では、利用者が所望する時刻表を確実に提供できない可能性もあった。
【0009】
ところで、鉄道分野での利用者の位置の同定は、各利用者に対してより適切なサービスを提供するために望まれているものである。そして、鉄道分野におけるサービスとしては、乗車列車に関わる情報の提供(リアルタイムな乗換案内や遅延情報の通知等)がある。このため、利用者の位置そのものよりも、乗車中の列車(或いは、乗車しようとする列車)を高精度に同定することが望まれる。
【0010】
上記課題に鑑み、本発明は、鉄道利用者の位置の同定を、精度良く且つ簡易な方法で実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、
互いに通信可能に接続する第1の外部システム、第2の外部システム、所定の無線通信網を利用した無線通信を行う無線通信手段を有する携帯型の端末装置を有する乗車列車同定システムであって、
前記第1の外部システムは、
前記無線通信手段による前記端末装置の前記無線通信網における通信状況から当該端末装置と通信する基地局を特定し、当該基地局の通信エリアを前記端末装置の存在推定域として推定する存在推定域推定手段を有し、
前記第2の外部システムは、
列車運行情報を管理する列車運行情報管理手段と、
前記無線通信網における基地局の設置位置と駅構内又は駅間の区間との対応に関する基地局設置位置情報を管理する基地局設置情報管理手段と、
前記端末装置からの通信接続に基づいて、前記存在推定域推定手段により特定された基地局で前記基地局設置位置情報を参照し、前記通信接続された端末装置が存在する区間を判定するとともに、この区間の列車運行情報を前記列車運行情報管理手段から参照し、当該判定された区間を示す情報及びこの区間列車運行情報を端末装置に返信する返信手段と、を有し、
前記端末装置は、
前記第1の外部システムに通信接続し、当該端末装置の現在の存在推定域の情報を受信するように制御させる存在推定域情報受信制御手段と、
前記第2の外部システムに通信接続し、前記第2の外部システムの返信手段によって前記端末装置が存在すると判定された区間を示す情報及び当該区間列車運行情報を受信するように制御させる列車運行情報受信制御手段と、
前記存在推定情報受信制御手段の受信制御により受信された存在推定域の情報、前記列車運行情報受信制御手段の受信制御により受信された前記端末装置が存在すると判定された区間を示す情報及び当該区間列車運行情報に基づいて当該端末装置の保有者の乗車列車を同定する乗車列車同定手段と、
を有する乗車列車同定システムである。
【0013】
この請求項に記載の発明によれば、携帯型の端末装置において、第1の外部システムから該携帯端末の存在推定域の情報を受信するとともに、第2の外部システムから列車運行情報を受信し、受信したこれらの情報に基づいて、当該端末装置の保有者の乗車列車を同定することができる。ここで、列車運行情報には、例えば列車番号や駅の番線(ホーム番号)、在線情報(駅間の閉塞区間等の軌道回路を単位とした列車の位置の情報)、各列車の駅での発着時刻や閉塞区間での在線時間(通過時間)等が含まれる。
【0014】
従って、鉄道利用者が端末装置を携帯することとし、広さをもつ存在推定域として端末装置の位置を推定した情報と、列車運行情報としてこの存在推定域内に在線する列車の情報と、を組み合わせることで、端末装置の保有者、即ち鉄道利用者の乗車列車の同定を、精度良く且つ簡易に行うことができる。
【0015】
また、第1の外部システムは、携帯電話機やPHS等の公知の移動電話システムにおける基地局の通信エリアを存在推定域として端末装置の位置を推定するとともに、第2の外部システムを公知の鉄道システムによって実現することとすれば、既存の情報を利用することができるので、乗車列車の同定をより簡易に実現することができる。尚、この第1の外部システムと第2の外部システムとは、同じシステムであっても良い。
【0016】
請求項2に記載の発明は、
所定の無線通信網を利用した無線通信を行う無線通信手段を有する携帯型の端末装置、前記端末装置と通信可能に接続する外部システムを有する乗車列車同定システムであって、
前記外部システムは、
列車運行情報を管理する列車運行情報管理手段と、
前記無線通信網における基地局の設置位置と駅構内又は駅間の区間との対応に関する基地局設置位置情報を管理する基地局設置情報管理手段と、
前記端末装置からの通信接続に基づいて、前記基地局設置位置情報を参照し、前記通信接続された端末装置が存在する区間を判定するとともに、前記列車運行情報管理手段により前記端末装置が存在する区間の列車運行情報を参照し、当該判定された区間を示す情報及びこの区間列車運行情報を端末装置に返信する返信手段と、
を有し、
前記端末装置は、
前記無線通信手段による当該端末装置の前記無線通信網における通信状況から当該端末装置と通信する基地局を特定し、当該基地局の通信エリアを端末装置の存在推定域として推定する存在推定域推定手段と、
前記外部システムに通信接続し、前記外部システムの返信手段によって前記前記端末装置が存在すると判定された区間を示す情報及び当該区間列車運行情報を受信するように制御させる列車運行情報受信制御手段と、
前記存在推定域推定手段により推定された存在推定域の情報、前記列車運行情報受信制御手段の受信制御により受信された前記端末装置が存在すると判定された区間を示す情報及び当該区間列車運行情報に基づいて当該端末装置の保有者の乗車列車を同定する乗車列車同定手段と、
を有する乗車列車同定システムである。
【0018】
この請求項に記載の発明によれば、携帯型の端末装置が、無線通信網における通信状況から該携帯端末の位置を存在推定域として推定することができる。また、外部システムから列車運行情報を受信し、これらの情報に基づいて当該端末装置の保有者の乗車列車を同定することができる。
【0019】
従って、鉄道利用者が端末装置を携帯することとし、広さをもつ存在推定域として端末装置の位置を推定した情報と、列車運行情報としてこの存在推定域内に在線する列車の情報と、を組み合わせることで、端末装置の保有者、即ち鉄道利用者の乗車列車の同定を、精度良く且つ簡易に行うことができる。
【0020】
また、請求項3に記載の発明のように、請求項1又は2に記載の乗車列車同定システムであって、
前記乗車列車同定手段は、前記存在推定域の情報の変化に応じて前記列車運行情報受信制御手段により前記端末装置が存在すると判定された区間を示す情報及び当該区間列車運行情報を受信し、この受信された区間を示す情報及び当該区間列車運行情報と、前記変化後の存在推定域の情報とに基づいて、当該端末装置の保有者の乗車列車を同定する乗車列車同定システムであっても良い。
【0021】
この請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明と同様の効果を奏するとともに、存在推定域と運行情報との照査を繰り返し実行することで、端末装置の保有者の乗車列車をより精度良く同定することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、携帯型の端末装置において、第1の外部システムから該携帯端末の存在推定域の情報を受信するとともに、第2の外部システムから列車運行情報を受信し、受信したこれらの情報に基づいて、当該端末装置の利用者の乗車列車を同定することができる。ここで、列車運行情報には、例えば列車番号や駅の番線(ホーム番号)、在線情報(駅間の閉塞区間等の軌道回路を単位とした列車の位置の情報)、各列車の駅での発着時刻や閉塞区間での在線時間(通過時間)等が含まれる。
【0023】
従って、鉄道利用者が端末装置を携帯することとし、広さをもつ存在推定域として端末装置の位置を推定した情報と、列車運行情報としてこの存在推定域内に在線する列車の情報と、を組み合わせることで、端末装置の利用者、即ち鉄道利用者の乗車列車の同定を、精度良く且つ簡易に行うことができる。
【0024】
また、第1の外部システムは、携帯電話やPHS等の公知の移動電話システムにおける基地局の通信エリアを存在推定域として端末装置の位置を推定するとともに、第2の外部システムを公知の鉄道システムによって実現することとすれば、既存の情報を利用することができるので、乗車列車の同定をより簡易に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。尚、以下の説明においては、本発明を、鉄道利用者が現在乗車している列車を同定する乗車列車同定システムに適用した場合について説明するが、本発明の適用がこれに限定されるものではない。
【0026】
[構成]
図1は、本実施の形態における乗車列車同定システムの概略構成を示す図である。同図によれば、乗車列車同定システムは、無線通信システム100と、列車運行管理システム200と、鉄道利用者(以下、単に「利用者」と称する。)が保有(携帯)する携帯電話機300と、を備えている。
【0027】
無線通信システム100は、例えば携帯電話事業者によって運営される公知の携帯電話システムにより実現され、これには、無線通信サーバ110と、無線通信サーバ110に接続された複数の無線基地局(以下、単に「基地局」と称する。)120と、が含まれる。
【0028】
基地局120は、無線通信網を形成するために各地に設置されるものであり、駅構内や駅間の列車が走行する軌道沿線にも配置されている。携帯電話機300は、基地局120の通信エリアによって形成される無線通信網を利用して、無線通信サーバ110や列車運行管理システム200等の外部システムとの無線通信を行う。また、各基地局120には固有の基地局番号が割り振られており、これによって各基地局120を識別できるようになっている。
【0029】
無線通信サーバ110は、CPU等の制御装置、ハードディスク等の記憶装置、CDやMOといった外部記憶媒体に記憶された情報を読み込み自在な記憶媒体読込装置、通信回線Nに接続するための通信装置等がシステムバスを介して接続される公知の汎用サーバ装置等によって実現される。
【0030】
ここで、通信回線Nは、装置間でデータの送受信が可能な通信路であって、直接接続のための専用線(専用ケーブル)やイーサネット(登録商標)等によるLANの他、電話通信網やケーブル網、インターネット等の通信網である。また、通信方法については有線/無線を問わない。
【0031】
また、無線通信サーバ110が備える記憶装置には、位置登録情報112が記憶される。
【0032】
位置登録情報112とは、携帯電話機300の位置登録に関する情報であり、図2にそのデータ構成の一例を示す。
【0033】
図2は、位置登録情報112のデータ構成の一例を示す図である。同図によれば、位置登録情報112には、携帯電話機300の識別番号である電話番号(112a)毎に、当該携帯電話機300が現在通信可能な基地局120の基地局番号(112b)が対応付けて格納されている。この位置登録情報112は、携帯電話機300による位置登録に応じて、随時最新の情報に更新される。
【0034】
図1において、列車運行管理システム200は、例えば鉄道事業者によって運営される公知の鉄道システムに含まれるシステムであり、運行ダイヤの管理や列車追跡、進路制御、運行表示、運転整理等をコンピュータ等によって集中制御する。
【0035】
また、列車運行管理システム200は、列車の運行に関する情報である列車運行情報や基地局設置位置情報220を管理する。列車運行情報には、列車番号や駅の番線(ホーム番号)、在線情報(駅間の閉塞区間等の軌道回路を単位とした列車の位置の情報)の他、各列車の駅での発着時刻や閉塞区間での在線時間(通過時間)等で構成される運行時刻情報が含まれる。この運行時刻情報のデータ構成の一例を、図3に示す。
【0036】
図3は、運行時刻情報210のデータ構成例を示す図である。同図によれば、運行時刻情報210には、実際の運行時刻(210a)が、列車(210b)毎に対応付けて格納される。ここで、運行時刻(210a)には、各駅での発着時刻や、駅間の各区間での通過時刻(入出時刻)が含まれる。この列車運行時刻情報210は、列車の運行状況に応じて、随時最新のデータに更新される。
【0037】
基地局設置位置情報220とは、駅や沿線等の鉄道施設を通信エリア内とする基地局120の設置位置に関する情報であり、そのデータ構成の一例を図4に示す。
【0038】
図4は、基地局設置位置情報220のデータ構成例を示す図である。同図によれば、基地局設置位置情報220には、駅構内や駅間の区間を表す設置区間(220a)毎に、該設置区間(220a)において携帯電話機300と通信可能な基地局120の基地局番号(220b)が対応付けて格納されている。尚、この基地局設置位置情報220は、基地局120の設置位置に基づいて予め設定される固定的な情報である。
【0039】
また、列車運行管理システム200は、通信回線Nを介して無線通信サーバ110と接続されており、無線通信網に接続された携帯電話機300との間のデータ通信が可能となっている。そして、列車運行管理システム200は、携帯電話機300から在線列車の問い合せを受けると、基地局設置位置情報220を参照して、該携帯電話機300と通信可能な基地局120の基地局番号に対応付けられている設置区間(1又は複数)を判断する。そして、運行時刻情報210を参照して、判断した設置区間内に存在する列車(在線列車)を判断し、該携帯電話機300に返信(返答)する。また、今後の運行予定の問い合せを受けた場合には、予め定められた運行ダイヤに列車遅延等を考慮した該列車の今後の運行予定を返信(返答)する。
【0040】
図1において、携帯電話機300は、CPUやICメモリ等からなる制御装置(コンピュータ)と、小型LCD等の表示装置と、方向キーや数字キー等の入力装置と、基地局120との無線通信を実現するための通信装置と、がシステムバスを介して接続される公知の携帯電話機である。
【0041】
この携帯電話機300は、無線電話機能に加えて、外部装置とのデータ授受を行うデータ通信機能を有している。即ち、基地局120によって形成される無線通信網に接続することで、いわゆる無線電話として利用可能になるとともに、無線通信サーバ110に接続された列車運行管理システム200等の外部システムとのデータ通信が可能となる。
【0042】
また、携帯電話機300は、常時、基地局120から発信される制御電波を受信して通信可能な基地局120を把握している。そして、利用者の移動によって通信可能な基地局120が切り換わる(変化する)毎に、新たに通信可能となった基地局120を無線通信サーバ110に通知するための制御電波を送出する、いわゆる位置登録を行う。この位置登録によって、無線通信サーバ110は、基地局120の通信エリアを単位とした携帯電話機300の位置を把握することができる。
【0043】
携帯電話機300が備える記憶装置には、後述する乗車列車同定処理(図7参照)を実現するための乗車列車同定プログラム310と、識別番号情報320と、登録位置情報330と、移動履歴情報340と、推定結果情報350と、が記憶される。
【0044】
識別番号情報320とは、携帯電話機300の識別番号の情報であり、具体的には、携帯電話機300の電話番号が記憶される。
【0045】
登録位置情報330とは、携帯電話機300の現在位置の情報であり、具体的には、通信可能な基地局120の基地局番号が保持される。
【0046】
移動履歴情報340とは、携帯電話機300の移動(位置の変化)に関する情報であり、図5に、そのデータ構成の一例を示す。
【0047】
図5は、移動履歴情報340のデータ構成例を示す図である。同図によれば、移動履歴情報340には、時刻(340a)と基地局番号(340b)とが対応付けて格納される。ここで、時刻(340a)は、携帯電話機300と通信可能な基地局120が変化した時点での時刻が格納される。また、基地局番号(340b)は、対応する時刻(340a)で新たに通信可能となった基地局120の基地局番号が格納される。即ち、この移動履歴情報340は、携帯電話機300と通信可能な基地局120が変化する毎に、新たなデータが追加されて更新される。
【0048】
推定結果情報350とは、乗車列車の推定に関する情報であり、図6に、そのデータ構成の一例を示す。
【0049】
図6は、推定結果情報350のデータ構成例を示す図である。同図によれば、推定結果情報350には、推定を行った時刻(350a)毎に、在線列車(350b)と、推定した乗車列車(350c)と、が対応付けて格納される。
【0050】
ここで、在線列車(350b)は、携帯電話機300の現在位置に存在する列車であり、詳細には、携帯電話機300と通信可能な基地局120の設置区間内に存在する列車である。また、推定列車(350c)は、その時点までの在線列車(350b)に基づいて、携帯電話機300の保有者(利用者)が乗車しているであろうと推定された列車である。この推定は、利用者が駅構内に入場した後、携帯電話機300と通信可能な基地局120が変化する毎に行われる。即ち、時刻(350a)は、上述の移動履歴情報340の時刻(340a)に相当する時刻が格納される。また、この推定結果情報350は、乗車列車の推定が行われる度に新たなデータが追加されて更新される。
【0051】
携帯電話機300は、内蔵されたコンピュータが乗車列車同定プログラム310を実行することによって、後述する乗車列車同定処理(図7参照)を実現する。具体的には、通信可能な基地局120が変化する毎に、移動履歴情報340を更新するとともに、駅構内への入場を検知した後は、列車運行管理システム200に在線列車を問い合わせ、その問い合わせ結果に応じて利用者の乗車列車を推定し、推定結果情報350を更新する。
【0052】
[処理の流れ]
図7は、乗車列車同定処理にかかる携帯電話機300の動作を説明するためのフローチャートである。
【0053】
同図によれば、利用者が駅構内へ入場すると、該利用者が保有する携帯電話機300が、該駅構内を通信エリアとする基地局120と通信可能となる。携帯電話機300は、通信可能な基地局120の変化から利用者の移動を検知する。具体的には、携帯電話機300は、通信可能な基地局120が変化する毎に、列車運行管理システム200に対して、新たに通信可能となった基地局120の基地局番号を送信し、現在位置の問い合わせを行う。現在位置の問い合わせを受けた列車運行管理システム200は、基地局設置位置情報220を参照して、受信した基地局番号に対応付けられている設置区間を現在位置として携帯電話機300に返信(返答)する。そして、利用者の駅構内への入場を検知すると(ステップS11:YES)、通信可能な基地局120が変化する毎に次の処理を繰り返し行うことで、利用者の乗車列車の同定を行う。
【0054】
即ち、利用者が乗車した列車が発車することで、通信可能な基地局120が変化すると(ステップS12:YES)、携帯電話機300は、列車運行管理システム200に対して、通信可能な基地局120の基地局番号を送信して在線列車の問い合わせを行う。在線列車の問い合せを受けた列車運行管理システム200は、基地局設置位置情報220を参照して、受信した基地局番号に対応する設置区間を判断する。そして、運行時刻情報210を参照して、判断した設置区間に該当する在線列車を抽出し、携帯電話機300に返信(返答)する。列車運行管理システム200から現在位置に該当する在線列車を受信(取得)すると、携帯電話機300は、取得した在線列車を現在の時刻tと対応付けて推定結果情報350に追加する。(ステップS13)。
【0055】
続いて、携帯電話機300は、推定結果情報350を参照して、現時点での乗車列車の推定を行う。具体的には、現時点での(取得した)在線列車と、直前に乗車列車として推定した列車との共通の列車を、現時点での乗車列車であると推定する(ステップS14)。
【0056】
乗車列車を推定すると、続いて、該推定した列車を乗車列車として確定するか否かを判断する。具体的には、推定した列車が1台であり、且つ、所定回数N(例えば、3回)以上連続して当該列車のみを乗車列車として推定している場合に、乗車列車として確定する。判断の結果、乗車列車として確定できなければ(ステップS15:NO)、ステップS12に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0057】
ステップS14~S15の処理を具体的に説明する。
【0058】
図8は、利用者がB駅に入場し、列車Xに乗車した場合の状態遷移を示す概略図である。同図において、破線又は太線で示されている円は、B駅からC駅にかけて設置された基地局120-11~18の通信エリアを表しており、当該通信エリアに付されている番号「11」から「18」は、該当する各基地局120-11~18の基地局番号を表している。
【0059】
図8(a)は、利用者がB駅に入場直後の時刻t1の状態を示す図である。このとき、携帯電話機300は、基地局120-11と通信可能となったことを検知する。そして、列車運行管理システム200から、現在位置として「B駅構内」を取得する。
【0060】
図8(b)は、利用者が乗車した列車XがB駅から発車した直後の時刻t2の状態を示す図である。このとき、携帯電話機300は、通信可能な基地局120が、基地局120-11から基地局120-12に変化したことを検知する。そして、列車運行管理システム200により現在位置として「区間BC1」が判断され、列車運行管理システム200から、在線列車として「列車X、Y」を取得する。
【0061】
この時点では1回目の推定であるので、携帯電話機300は、取得した在線列車である列車X及び列車Yの2台を、そのまま乗車列車として推定する。また、2台の列車を推定しているので乗車列車としては未だ確定できないと判断し、通信可能な基地局120が変化した後、同様の処理を繰り返す。
【0062】
通信可能な基地局120が基地局120-12から基地局120-13に変化した時刻t3において、携帯電話機300は、同様に、在線列車として「列車X、Y」の2台を取得する。そして、これらの在線列車(列車X及び列車Y)と、直前(時刻t2)において推定した列車(列車X及び列車Y)との共通な列車X及び列車Yの2台を、乗車列車として推定する。即ち、乗車列車として未だ確定できないと判断し、再度通信可能な基地局120が変化した後、同様の処理を繰り返す。
【0063】
図8(c)は、通信可能な基地局120が基地局120-13から基地局120-14に変化した時刻t4の状態を示す図である。このとき、列車運行管理システム200により現在位置として「区間BC2」が判断され、列車運行管理システム200から、在線列車として「列車X」を取得する。
【0064】
従って、携帯電話機300は、取得した在線列車(列車X)と、直前(時刻t3)において推定した列車(列車X及び列車Y)との共通の列車である列車Xを、乗車列車として推定する。即ち、列車Xのみを推定しているが、当該列車Xのみの連続推定回数が3回に達していないので、乗車列車としては未だ確定できないと判断し、再度通信可能な基地局120が変化した後、同様の処理を繰り返す。
【0065】
そして、通信可能な基地局120が基地局120-14から基地局120-15が変化した時刻t5、及び、基地局120-15から基地局120-16に変化した時刻t6においても同様に、携帯電話機300は、列車Xのみを乗車列車として推定する。即ち、時刻t4から時刻t6にかけて、連続して3回、列車Xのみを乗車列車として推定しているので、時刻t6の時点で、携帯電話機300は、列車Xを乗車列車として確定する。尚、この時点での移動履歴情報340及び推定結果情報350は、それぞれ、図5、図6に示すように格納されている。
【0066】
このように、乗車列車の推定を繰り返して確定(即ち、同定)すると(ステップS15:YES)、携帯電話機300は、続いて、列車運行管理システム200に、同定した乗車列車の今後の運行予定を問合せる。列車運行管理システム200は、問合せを受けた列車の今後の運行予定を列車運行情報に基づいて生成し、携帯電話機300に返信(返答)する。
【0067】
そして、列車運行管理システム200から今後の運行予定を取得すると(ステップS16)、携帯電話機300は、続いて、同定した乗車列車に応じた各種サービスの提供を行う(ステップS17)。尚、このサービスの詳細については後述する。
【0068】
また、携帯電話機300は、乗車列車を同定した後も、通信可能な基地局120が変化する毎に、列車運行管理システム200に対して現在位置の問い合わせを行う。そして、取得した現在位置と、同定した乗車列車の今後の運行予定とを照らし合わせて、利用者の駅構内からの出場を判断する。ここで、駅構内からの出場は、ある駅に到着した後、次に変化した基地局120が該駅に隣接する区間に対応する何れの基地局120にも該当しないことで判断しても良いし、また、取得した運行予定から出発予定時刻を予測し、列車運行管理システム200に実際の運行状況を問い合せることで出発が確認されたにも関わらず、通信可能な基地局120が変化しないことにより判断しても良い。
【0069】
そして、利用者の駅構内からの出場を検知すると(ステップS18:YES)、携帯電話機300は、本処理を終了する。
【0070】
[同定結果を利用した各種サービス]
ここで、同定した乗車列車に基づいて実行されるサービス(図7のステップS17)の具体例を説明する。
【0071】
(1)列車運行メールサービス
乗車列車の運行に乱れ(遅延や運転区間の変更等)が発生した場合に、運行乱れ発生等をメールによって利用者に通知する。この場合、携帯電話機300は、電子メールの受信を行う電子メール受信機能を有し、列車運行管理システム200は、電子メールの送信を行う電子メール送信機能を有するとともに携帯電話機300のメールアドレスを記憶していることとする。そして、携帯電話機300は、利用者からの操作指示に応じて、同定した乗車列車の遅延状況を列車運行管理システム200に問い合わせる。列車運行管理システム200は、この問い合せに対する返信メールを、携帯電話機300のメールアドレス宛に送信する。このメールの内容には、運行乱れの内容や今後の運行予定の他、他線の運行状況が掲載されているホームページへの案内も含まれ、利用者は、ホームページを閲覧することでより詳細な情報を知ることができる。
【0072】
(2)位置情報サービス
同定した乗車列車や該乗車列車の現在の走行位置(区間)を、利用者以外の他者に通知する。具体的には、(1)予め登録されている該利用者の関係者からの問い合わせに応じて該関係者に、或いは、(2)利用者の操作指示に応じて該利用者が所望する他者に、携帯電話機300が、例えばメールの送信によって通知する。
【0073】
(3)降車コール
利用者が降車したい駅が近づいたことを報知する。具体的には、携帯電話機300は、運行予定情報に基づいて、利用者によって予め登録された降車駅に到着する所定時間前に降車コールを通知する。通知方法としては、例えば通知音を出力する(アラーム)、降車駅名や降車までの時間等を表示画面に表示する等がある。
【0074】
(4)乗換案内
乗車列車或いは今いる駅を起点とした乗換案内を行う。この場合、携帯電話機300は、列車運行管理システム200から最新の列車運行情報を受信し、この最新の情報に基づいて経路等を検索することとすれば、列車の運行に乱れが発生した場合であっても、より的確な乗換案内を行うことができる。また、利用者にとっては、慣れない土地等、現在位置が良く分からなくとも、目的地のみを入力することで、目的地までの経路を容易に知ることができる。
【0075】
[変形例]
尚、本発明の適用は、上述した実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0076】
(1)推定タイミング
上述した実施の形態では、駅構内への入場が検知された後は、携帯電話機300と通信可能な基地局120が変化する毎に列車運行管理システム200から在線列車を取得して乗車列車の推定を行うこととしたが、この推定を、所定時間(例えば、1分)毎に実行することとしても良い。
【0077】
(2)現在位置の推定
また、列車運行管理システム200が管理する基地局設置位置情報220を、無線通信サーバ100等の携帯電話機300以外の装置或いはシステム(外部システム)が管理することとしても良いし、携帯電話機300が管理(記憶)することとしても良い。
【0078】
例えば無線通信サーバ110が記憶する場合には、携帯電話機300は、通信可能な基地局120が変化する毎に、無線通信サーバ110に対して、通信可能な基地局番号を送信して現在位置の問い合わせを行い、無線通信サーバ110は、基地局設置位置情報220を参照して、受信した基地局番号に対応する設置区間を現在位置として携帯電話機300に返信(返答)する。そして、携帯電話機300は、列車運行管理システム200に対して、受信した設置区間を送信して在線列車の問合せを行う。
【0079】
また、携帯電話機300が記憶する場合には、この携帯電話機300は、基地局設置位置情報220を参照し、現在通信可能な基地局120に対応する設置区間を現在位置と判断する。そして、列車運行管理システム200に対して、現在位置(設置区間)を送信して在線列車の問い合わせを行う。
【0080】
(3)所定回数N
また、上述した実施の形態では、推定した列車を乗車列車として確定する際の基準となる所定回数Nを「3」として説明したが(図7のステップS15参照)、これは何回であっても構わない。即ち、所定回数Nを大きな数にする程高い確度で乗車列車を同定できるため、例えば“早く位置の同定をしたい”場合には所定回数N=1としたり、或いは“間違いなく同定したい”場合には所定回数Nを大きい数にする等、望む同定の正確さに応じて適宜設定することができる。
【0081】
(4)携帯電話機300に代わる端末装置
また、上述した実施の形態では、携帯型の端末装置として携帯電話機300に適用した場合について説明したが、本発明の適用可能なものはこれに限らない。例えば、PHSや無線通信機能を有するPDA等の携帯型のコンピュータに適用することも勿論可能である。
【0082】
(5)鉄道システムに代わるシステム
更に、鉄道システムに含まれる列車運行管理システム200について説明したが、乗り物の運行経路が予め定められており、且つ、その乗り物の位置が管理されている(運行情報が取得可能な)交通機関システム(例えば、バスに関する交通システム)についても同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本実施の形態における乗車列車同定システムの概略構成図。
【図2】位置登録情報のデータ構成例を示す図。
【図3】運行時刻情報のデータ構成例を示す図。
【図4】基地局設置位置情報のデータ構成例を示す図。
【図5】移動履歴情報のデータ構成例を示す図。
【図6】推定結果情報のデータ構成例を示す図。
【図7】乗車列車同定処理にかかる携帯電話機の動作を説明するフローチャート。
【図8】乗車列車の同定を具体的に説明する状態遷移図。
【符号の説明】
【0084】
100 無線通信システム
110 無線通信サーバ
112 位置登録情報
120 無線基地局(基地局)
200 列車運行管理システム
210 運行時刻情報
220 基地局設置位置情報
300 携帯電話機
310 乗車列車同定プログラム
320 識別情報
330 登録位置情報
340 移動履歴情報
350 推定結果情報
N 通信回線
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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