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明細書 :列車保安制御装置用ソフトウェアシミュレーション装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4443206号 (P4443206)
公開番号 特開2005-170174 (P2005-170174A)
登録日 平成22年1月22日(2010.1.22)
発行日 平成22年3月31日(2010.3.31)
公開日 平成17年6月30日(2005.6.30)
発明の名称または考案の名称 列車保安制御装置用ソフトウェアシミュレーション装置
国際特許分類 B61L  27/00        (2006.01)
FI B61L 27/00 G
B61L 27/00 K
請求項の数または発明の数 5
全頁数 11
出願番号 特願2003-411627 (P2003-411627)
出願日 平成15年12月10日(2003.12.10)
審査請求日 平成18年4月12日(2006.4.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
発明者または考案者 【氏名】岩田 浩司
【氏名】西堀 典幸
【氏名】平尾 裕司
【氏名】日▲だか▼ 康子
個別代理人の代理人 【識別番号】100100413、【弁理士】、【氏名又は名称】渡部 温
【識別番号】100110777、【弁理士】、【氏名又は名称】宇都宮 正明
審査官 【審査官】日比谷 洋平
参考文献・文献 特開2000-225948(JP,A)
特開平09-006582(JP,A)
特開2000-016295(JP,A)
特開2001-354139(JP,A)
調査した分野 B61L 1/00 - 29/32
特許請求の範囲 【請求項1】
列車を安全に制御するための信号保安装置に搭載するソフトウェアをシミュレーションするためのソフトウェアシミュレーション装置であって、
前記信号保安装置に搭載されるソフトウェアを用いて、所定の区間及び各駅毎に列車検知及び列車制御を行うプロセスを実行する以上の駅処理と、
前記以上の駅処理の起動条件を管理する起動管理プロセスと、
前記以上の駅処理での列車検知条件と列車検知結果等の列車制御に要するデータを記憶する共有メモリと、
を備え、
前記以上の駅処理と前記起動管理プロセスは、1台のコンピュータ内で稼動するOSによって実行され、
前記共有メモリは、前記1台のコンピュータで稼動するOSの前記各プロセス間通信用の共有メモリであり、前記2以上の駅処理と前記起動管理プロセスとの間で通信される前記列車検知条件と前記列車検知結果等の列車制御に要するデータを前記共有メモリに記憶することにより、複数の装置がネットワークで接続された信号保安装置を、前記2以上の駅処理と前記起動管理プロセスにより1台のコンピュータでシミュレーションすることができる、
ことを特徴とするソフトウェアシミュレーション装置。
【請求項2】
前記起動管理プロセスは、所定の時刻毎に各駅処理毎の前記共有メモリの装置間通信データを変更し、
所定の時刻毎に各駅処理の起動を制御する、
ことを特徴とする請求項1記載のソフトウェアシミュレーション装置。
【請求項3】
前記起動管理プロセスは、前記共有メモリ内に記憶されている前記以上の全ての駅処理の入力データを管理する、ことを特徴とする請求項1又は2記載のソフトウェアシミュレーション装置。
【請求項4】
前記起動管理プロセスは、前記共有メモリ内に記憶されている駅処理の内任意の出力データを制御することによって、他駅処理の異常処理をシミュレーションする、ことを特徴とする請求項1から何れか記載のソフトウェアシミュレーション装置。
【請求項5】
前記起動管理プロセスは、列車の在線区間を特徴付けるデータを識別子として保持し、前記識別子に基づいて、ソフトウェアのシミュレーション結果を生成する、ことを特徴とする請求項1から何れか記載のソフトウェアシミュレーション装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、信号保安装置用のソフトウェアをシミュレーションするソフトウェアシミュレーション装置に関する。特には、1台のPC(Personal Computer)で、複数の駅において各駅毎に列車等の運行を管理する複数のソフトウェアを効果的にシミュレーションすることができるソフトウェアシミュレーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
列車等の安全な運行を行うために、信号機等の制御を行うシステムとしてバリス式列車検知形閉そく装置(COMBAT)がある。この装置においては、列車の前後に車上応答器を備え、地上に設置されたセンサ(地上応答器及び質問器)間の車体による通信の遮断・回復、及び、車上応答器の情報受信によって、列車を検知している。
【0003】
この様な列車の運行を管理するためには、列車の移動方向と在線区間を検出する列車検知装置と、この列車検知装置からの列車位置データに基づいて信号機を制御する連動装置、及び通信設備等が必要となる。これらの各信号保安装置上で実行されるソフトウェアの開発においては、そのソフトウェアのシミュレーションによってコーディングミスや仕様誤りがないことを検証する必要がある。従来の信号保安装置用のソフトウェアについては、シミュレーション装置及び一部ハードウェアを用いたシミュレーション方法が種々考えられている。
【0004】
例えば、特開2000-276502公報では、単一の装置でのデータ交換のシミュレーションができるようになっている。
【0005】
また、特開平9-114700公報では、単一の装置でのシミュレーションができ、さらに、複数のコンピュータを使用して複数の装置間でのシミュレーションができるようになっている。
【0006】
また、特開2002-29423公報では、実際のネットワークを使用して複数の装置間でのシミュレーションができるようになっている。
【0007】
また、特開平7-81569公報では、正確で試験効率のよい列車走行シミュレーションができるようになっている。

【特許文献1】特開2000-276502公報
【特許文献2】特開平9-114700公報
【特許文献3】特開2002-29423公報
【特許文献4】特開平7-81569公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来からの列車等の運行を管理するソフトウェアのシミュレーションにおいては、実際の装置を使用して現場や工場内で試験を行い、又は1以上の実際の装置と仮想装置(シミュレータ)を使用して行っていたため、シミュレーションの手間やコストがかかっていた。
【0009】
また、特開2000-276502によるシミュレーションは、単一装置のハードウェアのシミュレーションに限定されたものであるため、ネットワーク系でのアプリケーション論理(例えば、装置間処理・1装置停止時の異常処理など)の検証ができない。
【0010】
また、特開平9-114700によるシミュレーションは、単一装置のハードウェアのシミュレーションに限定されたものであり、上記と同様に、ネットワーク系でのアプリケーション論理(例えば、装置間処理・1装置停止時の異常処理など)の検証ができない。さらに、複数台のPCを用いてシミュレーションを行っており、1台PCで簡易にシミュレーションを行うことができない。
【0011】
また、特開2002-29423によるシミュレーションは、ハードウェアを動作させた上で一部シミュレーションを行う構成であり、実際のハードウェアがなければ動作検証できない。
【0012】
また、特開平7-81569によるシミュレーションは、正確で試験効率のよい列車走行シミュレーションを行うことを目的としているが、実際のハードウェアを用いて行うため、実装するソフトウェアのみで動作確認ができない。また、複数列車の在線状態や装置の故障時の異常処理の検証を容易に行うことができない。
【0013】
従って、本発明の目的は、複数の駅がネットワークで接続され、各駅毎に列車検知処理並びに連動処理を行う構成のシステムにおいて、複数のソフトウェアを1台のPCで効率的に検証することができるソフトウェアシミュレーション装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明のソフトウェアシミュレーション装置は、信号保安装置(列車を安全に制御するための装置)に搭載するソフトウェアをシミュレーションするための装置であって、所定の区間及び各駅毎に列車検知及び連動処理を行うプロセスを実行する1以上の駅処理と、1以上の駅処理の起動条件を管理する起動管理プロセスと、1以上の駅処理での列車検知条件と列車検知結果等の列車制御に要するデータを記憶する共有メモリと、を備え、1以上の駅処理と起動管理プロセスは、1台のコンピュータ内で稼動するOS(Operating System)によって実行され、共有メモリは、1台のコンピュータで稼動するOSの各プロセス間通信用の共有メモリである、ことを特徴とする。
【0015】
ここで、1以上の駅処理と起動管理プロセスとの間で通信される列車検知条件と列車検知結果等の列車制御に要するデータを共有メモリに記憶することにより、複数の装置がネットワークで接続された信号保安装置を、1以上の駅処理と起動管理プロセスにより1台のコンピュータでシミュレーションすることができる。
【0016】
また、起動管理プロセスは、所定の時刻毎に各駅処理毎の共有メモリの装置間通信データを変更することができ、所定の時刻毎に各駅処理の起動を制御する、こともできる。さらに、起動管理プロセスは、共有メモリ内に記憶されている1以上の全ての駅処理の入力データを管理する、ことができる。
【0017】
また、起動管理プロセスは、共有メモリ内に記憶されている駅処理の内任意の出力データを制御(固定、誤りデータ等)することによって、他駅処理の異常処理をシミュレーションする、ことができる。
【0018】
さらに、起動管理プロセスは、列車の在線区間を特徴付けるデータを識別子として保持し、識別子に基づいて、ソフトウェアのシミュレーション結果を生成する、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のシミュレーション装置によれば、列車等を安全に制御するための複数の信号保安装置で実行される各装置のデータを1台のPCの共有メモリに記憶することによって、実際のハードウェアを用いなくても、各々が入出力を有する複数の信号保安装置を接続したネットワーク構成で、各装置に搭載されたソフトウェアのアプリケーション論理(例えば、列車検知処理・連動処理・異常処理など)の検証が1台のPCで簡易に行うことができる。
【0020】
また、本発明のソフトウェアシミュレーション装置は、実際のハードウェアを用いないため、システム開発段階から使用することができ、ソフトウェアのバグ検出や仕様上の誤りの検出を容易に行うことができ、さらに、複数列車の在線状態だけでなく、多様な装置の故障条件も設定可能であるため、各装置の単一故障・多重故障時の異常処理の検証を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明のソフトウェアシミュレーション装置の実施の形態を説明する。本発明のソフトウェアシミュレーション装置の特徴は、実際のハードウェアを用いないで、複数の装置で実行されるソフトウェアを1台のPCで各プロセスに置き換え、データの通信は共有メモリを利用して行うことである。以下、具体的に説明する。
【0022】
図1は、本発明のソフトウェアシミュレーション装置であるPCの構成を示す図である。図1において、このPC10は、ソフトウェアを実行し、各ハードウェア構成を制御するCPU11と、CPU11に接続され所定のデータや命令を記憶するバッファ(BUF)12と、BIOS等が記憶されているROM13と、CPU11で実行されるOSやソフトウェア(アプリケーションを含む)及び各種データを記憶するためのRAM14と、OSやソフトウェア(アプリケーションを含む)及び各種データを記憶するHD15と、入力装置及び出力装置(図示せず)を備える、一般的なPCの構成である。
【0023】
図2は、バリス式列車検知形閉そく装置(COMBAT)におけるシステム構成を示す図である。このシステムは、列車を検知するために線路上の所定の区間毎に設けられた質問器50及び応答器60と、各駅毎に質問器50及び応答器60で検出された信号に基づき列車の在線する区間を特定する列車検知装置(図2においては、A駅列車検知装置40A、B駅列車検知装置40B及びC駅列車検知装置40Cを示す)と、各駅の列車検知装置で検出した列車の検知情報をもとに信号機並びに転てつ機を制御する駅連動装置(図2においては、A駅連動装置30A、B駅連動装置30B及びC駅連動装置30Cを示す)と、各駅連動装置30A~30Cを制御する連動中央装置20と、連動中央装置20及び各駅連動装置30A~30Cを通信可能に接続する伝送回線70と、を備えている。
【0024】
図3は、図2の質問器50及び応答器60による列車の在線区間(ブロック)の構成を示す図である。以下においては、列車がB駅の「05B」からA駅の「11B」まで運行するときのシミュレーションを説明する。
【0025】
図4は、図1に示したPC10(ソフトウェアシミュレーション装置)内で実行されるソフトウェアの論理ブロックを示す図である。図4において、このPC内ソフトウェア論理ブロック200は、シミュレーションの対象となる各駅の処理(所定の区間及び各駅A~C毎に列車検知を行うプロセスを実行するA駅処理220A、B駅処理220B及びC駅処理220C)のソフトウェアが実行される駅プロセス220と、駅プロセス220の各駅処理220A~220Cの起動条件を管理する起動管理プロセス210と、駅プロセス220の各駅処理220A~220Cでの列車検知条件と列車検知結果等の列車制御に要するデータを記憶する共有メモリ250と、を備えている。
【0026】
図4においては、図2で示した駅連動装置30A~30C及び列車検知装置40A~40Cで実行されるソフトウェアが駅プロセス220としてシミュレーションされる。また、列車検知装置40A~40C及び質問器50及び応答器60で検出される列車の検知情報(各駅処理220A~220Cの起動条件、列車検知条件、列車検知結果等)並びに連動処理結果は共有メモリ250に記憶される。起動管理プロセス210は、連動中央装置20で実行されるソフトウェア(駅連動装置30A~30C間の列車運行情報の伝送プログラム)をシミュレーションし、データ通信の管理を行う。図2の伝送回路70上を流れるデータは、図4では、共有メモリ250で各プロセス210,220の共有データとして記憶することによって、データ伝送のシミュレーションを行うことができる。
これらにより、伝送回線70に関する正常時の遅延時間の測定、片回線故障時などの異常時のシミュレーションができる。
【0027】
このように、実際の装置20,30A~30C,40A~40C,50,60で実行される各信号保安装置のソフトウェアは、駅プロセス220と起動管理プロセス210としてシミュレーションすることができる。
【0028】
すなわち、実際の装置20,30A~30C,40A~40C,50,60で実行される各信号保安装置のソフトウェア全てが、1台のPC10内で稼動するOSによって(例えば、Windows上で)実行され、共有メモリ250は、1台のPC10で稼動するOSの各プロセス210,220間通信用の共有メモリとなる。
【0029】
ここで、各駅処理220A~220Cと起動管理プロセス210との間で通信される列車検知条件と列車検知結果等の列車制御に要するデータは、共有メモリ250に記憶される。これにより、複数の装置20,30A~30C,40A~40C,50,60で処理されるソフトウェアを1台のPC10でシミュレーションすることができる。
【0030】
また、起動管理プロセス210は、所定の時刻毎に各駅処理220A~220C毎の共有メモリ250のデータを変更することができ、所定の時刻毎に各駅処理220A~220Cの起動を制御することもできる。さらに、起動管理プロセス210は、共有メモリ250内に記憶されている各駅処理220A~220Cの全ての入出力データを管理することができ、伝送系を考慮した信号保安装置のネットワーク構成でのソフトウェアシミュレーションができる。
【0031】
また、起動管理プロセス210は、共有メモリ250内に記憶されている各駅処理220A~220Cの内、任意の駅処理の出力データを制御(固定、誤りデータ等)することによって、他駅処理の異常処理をシミュレーションすることができる。
【0032】
図5は、図3に対応したB駅処理220Bに関連する列車の検知情報等の共有メモリ250上でのメモリマップを示す図である。他の駅処理220A,220Cも図3に対応した同様なメモリマップとなる。ここで、「入力」は、質問器50及び応答器60からの列車検知情報であり、「出力」は、通信用データの記憶場所となる。
【0033】
図6は、本発明のソフトウェアシミュレーション方法の処理を示すフローチャートである。図6において、起動管理プロセス210と駅プロセス220(各駅処理220A~220C)が実行されると、最初に初期化が行われる(ステップ600,ステップ701)。この初期化では、共有メモリ250の初期化、各駅処理の起動開始タイミングのオフセット量の設定、シミュレーション終了時刻のセットなどが行われる。駅プロセス220は、起動管理プロセス210からの制御(フラグを「0」から「1」にする)によって起動する(ステップ607)。
【0034】
次に、起動管理プロセス210は、終了時刻をチェックし、所定の終了時刻まで以下の処理を繰り返す(ステップ601)。先ず、入力ファイルに記述されている全駅分の列車検知データ(図5参照)を読み込み(ステップ602)、また、全駅構内リレー条件を同様に読み込み(ステップ603)、各駅処理の入力データとして共有メモリ250に設定する(ステップ604)。そして、共有メモリ250に記憶されている各駅の連動装置(図2では連動装置30A~30C)のデータを読み込み(ステップ605)、駅間の伝送処理を行う(ステップ606)。
【0035】
次に、全駅分の列車検知処理の起動判定を行い、予め定められている起動条件(時刻や入力信号)に応じて、各駅処理毎にフラグを「0」から「1」にする(ステップ607)。最後に、起動管理プロセス210では、現在時刻を更新し(ステップ608)、ステップ601からの処理を繰り返す。
【0036】
一方、駅プロセス220の各駅処理では、フラグのチェックによる起動開始判定が行われており(ステップ703)、起動管理プロセス210からフラグを「1」に設定される(ステップ702)と、リレー条件の読み込みが行われる(ステップ704)。
【0037】
そして、駅処理論理が起動されて実行される(ステップ705)。この後、フラグを「0」に設定し、起動管理プロセス210からフラグを「1」に設定されるまで、ステップ702~ステップ703の処理を繰り返す。
【0038】
以下、駅処理論理(ステップ705)の具体的なシミュレーションの一例を説明する。図3において、列車はB駅の「05B」からA駅の「11B」まで運行する。
【0039】
図3において、(1)列車(編成番号(列車ID)1111)がB駅の「05B」へ進入する。(2)A駅側出発信号機位置(質問器50及び応答器60)を通過し「03B」へ進入する。(3)B駅「05B」から進出する。(4)駅間ブロック「20B」へ進入する。(5)A駅側到着信号機位置(質問器50及び応答器60)を通過し「12B」へ進入する。(6)駅間ブロック「20B」から進出する。(7)列車がA駅の「11B」へ進入する。(8)A駅進入ブロック「12B」から進出する。
【0040】
(A)正常な場合
各駅処理220A~220Cでの最終状態は次のようになる。
A駅 11B:1111
B駅 列車なし
C駅 列車なし
【0041】
(B)車上応答器後側1つ故障
列車の後部車上応答器が故障しているため進出機能縮退となり、以下のようになる。
A駅 11B:1111,12B:1111
B駅 列車なし
C駅 列車なし
【0042】
(C)車上応答器後側1つ故障及びB駅出発信号機位置の質問器故障
列車の後部車上応答器が故障しているため進出機能縮退となり、また、B駅出発信号機位置の質問器の故障により関係する区間に故障状態「FFFF」が登録され、以下のようになる。
A駅 11B:1111,12B:1111
B駅 02B:FFFF,03B:FFFF,04B:FFFF,05B:FFFF
C駅 列車なし
【0043】
以上のように、本発明のシミュレーション装置によれば、列車等の運行を安全に実施するための複数の信号保安装置で実行される各装置のデータを1台のPCの共有メモリに記憶することによって、実際のハードウェアを用いなくても、各々が入出力を有する複数の信号保安装置を接続したネットワーク構成で、各装置に搭載されたソフトウェアのアプリケーション論理(例えば、列車検知処理・連動処理・異常処理など)の検証が1台のPCで簡易に行うことができる。
【0044】
また、本発明のソフトウェアシミュレーション装置は、実際のハードウェアを用いないため、システム開発段階から使用することができ、ソフトウェアのバグ検出や仕様上の誤りの検出を容易に行うことができ、さらに、複数列車の在線状態だけでなく、多様な装置の故障条件も設定可能であるため、各装置の単一故障・多重故障時の異常処理の検証を容易に行うことができる。
【0045】
図7は、本発明のソフトウェアシミュレーション装置における実際の列車の移動が80に示す状態でのシミュレーションの出力結果を示す図である。図7に示すように、起動管理プロセス210は、列車の在線区間ブロックを特徴付けるデータを識別子テーブル81として保持し、識別子に基づいて、必要な部分のみのソフトウェアのシミュレーション結果を生成することができる。すなわち、シミュレーションの出力データがデータ長の一定でないジャーナルデータ71の場合、時系列順(I,I+1,I+2,・・・)に有意箇所(在線状態に関わる情報)72を抽出する(ステップ801)。
なお、ジャーナルデータにおいて、「FF」は、終端を示す。また、列車IDは、ブロックの識別子と異なる値を設定する。
【0046】
次に、前の時刻の状態と比較して、異なるデータ部分(I,I+2,・・・)73を抽出する(ステップ802)。そして、識別子テーブル81の在線ID及び非在線IDに基づいて、列車が在線か非在線かを判断し、在線ならば「列車ID」を、非在線ならば「—」を登録し、各ブロック内の許容列車数を考慮して一定のデータ長74にする(ステップ803)。最後に、グラフ化(一覧表化)を行い(ステップ804)、各時刻における各ブロック内の列車の在線状態を示す表75を作成する。
この処理を適用することにより、列車の在線状態の時系列変化が明確化できる。
【0047】
図8は、本発明のソフトウェアシミュレーション装置が適用できる信号保安装置のシステム構成を示す図である。列車検知装置は、軌道回路並びに軌道回路によらないものも含む。本発明は、図2に示したバリス式列車検知形閉そく装置(COMBAT)のソフトウェアのみならず、図8に示すような構成のシステムにも対応することができる。
【0048】
以上、上述においては普通鉄道の列車等について説明したが、モノレール、ケーブルカー、ロープウェイ、新交通システム等の所定の軌道上を運行する車両を制御する信号保安装置に搭載されるソフトウェアに対して、本発明のシミュレーション技術を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明のソフトウェアシミュレーション装置であるPCの構成を示す図である。
【図2】バリス式列車検知形閉そく装置(COMBAT)における実際のシステム構成を示す図である。
【図3】図2の質問器50及び応答器60による列車の在線区間(ブロック)の構成を示す図である。
【図4】図1に示したPC10(ソフトウェアシミュレーション装置)内で実行されるソフトウェアの論理ブロックを示す図である。
【図5】図3に対応したB駅処理220Bに関連する列車の検知情報等の共有メモリ250上でのメモリマップを示す図である。
【図6】本発明のソフトウェアシミュレーション方法の処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明のソフトウェアシミュレーション装置におけるシミュレーションの出力結果を示す図である。
【図8】本発明のソフトウェアシミュレーション装置が適用できる信号保安装置のシステム構成を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
10 PC
11 CPU
12 BUF
13 ROM
14 RAM
15 HD
20 連動中央装置
30A,30B,30C,30N 連動装置
40A,40B,40C,40N 列車検知装置
50 質問器
60 応答器
200 PC内ソフトウェア論理ブロック
210 起動管理プロセス
220 駅プロセス
220A,220B,220C 駅処理
250 共有メモリ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7