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明細書 :吊架線用ダンパ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4179507号 (P4179507)
公開番号 特開2005-178582 (P2005-178582A)
登録日 平成20年9月5日(2008.9.5)
発行日 平成20年11月12日(2008.11.12)
公開日 平成17年7月7日(2005.7.7)
発明の名称または考案の名称 吊架線用ダンパ
国際特許分類 B60M   1/234       (2006.01)
F16F  15/02        (2006.01)
FI B60M 1/234 K
F16F 15/02 E
請求項の数または発明の数 3
全頁数 6
出願番号 特願2003-422439 (P2003-422439)
出願日 平成15年12月19日(2003.12.19)
審査請求日 平成18年4月7日(2006.4.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
発明者または考案者 【氏名】網干 光雄
【氏名】飯国 元久
【氏名】岩間 祐一
個別代理人の代理人 【識別番号】100078950、【弁理士】、【氏名又は名称】大塚 忠
審査官 【審査官】根本 徳子
参考文献・文献 特開昭54-40410(JP,A)
調査した分野 B60M 1/00-1/36
F16F 15/02
特許請求の範囲 【請求項1】
それぞれ下方に異なるトロリ線を吊支して互いにほぼ平行に伸びるように架設された2本の吊架線の間を接続して当該2本の吊架線相互間の相対振動を抑制するダンパであって、
一方の前記吊架線に固着される本体と、
この本体に一端が枢支され他端が他方の前記吊架線に対して軸線方向相対移動自在に枢支され、前記2本の吊架線の間の相対振動により旋回する旋回アームと、
この旋回アームと前記本体の枢支部との間に介在し、相対回転に対し摩擦抵抗を付与する摩擦抵抗部材とを具備することを特徴とする吊架線用ダンパ。
【請求項2】
前記本体が、一方の前記吊架線を把持する把持部と、一方の前記吊架線の軸線に対して直交方向に突出する支持片を有するブラケット部とを具備し、
前記旋回アームが、一端において前記ブラケット部の支持片に枢支され、他端に一方の前記吊架線を軸線方向相対移動及び相対回転自在に把持する把持部を具備し、
前記摩擦抵抗部材は、前記旋回アームの一端側に固着され前記ブラケット部の支持片を貫通して支持片に軸支された枢軸と、この枢軸の外周に軸線方向移動可能で回転不能にはめ込まれ前記ブラケット部の支持片に摩擦接触可能な摩擦面を備えた摩擦部材と、この摩擦部材と対向するように前記枢軸の外周に軸線方向の固定位置を調整可能にはめ込まれたばね受け部材と、このばね受け部材と前記摩擦部材との間に介設され摩擦部材の摩擦面を前記ブラケット部の支持片に圧接させるばねとを具備することを特徴とする請求項1に記載の吊架線用ダンパ。
【請求項3】
前記本体のブラケット部は、一対の前記支持片を備え、
前記枢軸は、両端部にねじ部を備え、中央において前記旋回アームに固着され、両側が前記ブラケット部の支持片を貫通して支持片に軸支され、
前記摩擦部材は、前記支持片から突出した前記枢軸の両側にそれぞれはめ込まれ、
前記ばね受け部材は、前記枢軸の両端部のねじ部に螺合され、螺合位置により前記ばねの圧縮度を変更して、前記摩擦部材の前記支持片に対する摩擦力を調整可能であることを特徴とする請求項2に記載の吊架線用ダンパ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、それぞれ下方に異なるトロリ線を吊支して互いにほぼ平行に伸びるように架設された電気鉄道用の2本の吊架線相互間の相対振動を抑制するダンパに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば多導体架空送電線用スペーサーとして、特許文献1に記載されたものが知られている。このスペーサーは、並行する一対の送電線間を連結するもので、風等によって起こる送電線の振動を吸収する機能を備えている。このスペーサーは、各電線を把持する一対のクランプアーム間をスペーサー本体で連結してなり、電線を把持した各クランプアームの一端をスペーサーの端部に枢着し、その枢軸として、弾性体からなるスプライン軸を用い、電線の相対振動に伴うクランプアームの旋回動に対し、弾性スプライン軸の弾性的な軸周りのねじれにより対抗し、振動エネルギーを吸収するというものである。

【特許文献1】実公昭57-28517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のスペーサーは、2つのクランプアームが送電線を固く把持するものであって、相互の軸線方向の相対変位を許容しなければならない吊架線には適用できない。
従って、この発明は、それぞれ下方に異なるトロリ線を吊支して互いにほぼ平行に伸びるように架設されている2本の吊架線の間を接続し、当該2本の吊架線相互間の相対振動を部材間の摩擦抵抗によって抑制するダンパを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明においては、上記課題を解決するため、一方の吊架線に固着される本体と、他方の吊架線に軸線方向相対移動自在に枢支される旋回アームとを本体の枢支部で枢着し、2本の吊架線間の相対振動による旋回アームの旋回動を摩擦抵抗部材による摩擦抵抗で抑制する。
【発明の効果】
【0005】
この発明においては、2本の吊架線間の相対振動により旋回アームが旋回すると、旋回アームと本体との間に介在する摩擦抵抗部材が本体に対して摩擦接触し、その摩擦抵抗で振動を抑制する。吊架線の軸線方向の相対移動は拘束しない。例えばこれを架空電車線のエアジョイント部、すなわち、2本の異なるトロリ線の端部が並行する部位の吊架線に適用する場合、パンタグラフ通過時の吊架線の振動を効果的に抑制して、パンタグラフの離線率を低下させる効果は大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1は吊架線用ダンパの使用状態の斜視図、図2は同正面図、図3は同平面図、図4は同断面図である。
【0007】
図において、エアジョイント部における2本の吊架線Mは、互いにほぼ平行に伸びるように架設される。各吊架線Mの下方には、それぞれ異なるトロリ線の端部がハンガイヤを介して吊支される(図示せず)。一方のトロリ線に接触しつつ進行してきた電車のパンタグラフは、ここで他方のトロリ線に移って、そこから給電を受けることになる。
【0008】
ダンパ1は、互いにほぼ平行に伸びるように架設された2本の吊架線Mの間を接続して当該2本の吊架線Mの相互間の相対振動を抑制するもので、本体2と、旋回アーム3と、摩擦抵抗部材4とを具備している。本体2は、一方の吊架線Mに固着される。旋回アーム3は、一端が本体2に枢支され、他端が他方の吊架線Mに軸線方向相対移動自在に枢支され、2本の吊架線Mの間の相対振動により、枢支点を中心に本体2に対して旋回する。摩擦抵抗部材4は、旋回アーム3と本体2の枢支部との間に介在し、相対回転を摩擦抵抗で抑制する。摩擦抵抗部材4の摩擦抵抗は加減調整可能である。
【0009】
本体2は、吊架線Mを把持する把持部5とブラケット部6とを具備し、ブラケット部6は、吊架線Mの軸線に対して直交方向に突出する対向一対の支持片7を有する。
【0010】
旋回アーム3は、一端においてブラケット部の支持片7に枢軸9で枢支され、他端には吊架線Mを緩く把持する把持部8を具備する。把持部8は、吊架線Mに対して軸線方向相対移動、及び相対回転自在である。
【0011】
摩擦抵抗部材4は、枢軸9、摩擦部材10、ばね受け部材11、ばね12を具備する。
【0012】
枢軸9は、旋回アーム3の一端側に固着され、ブラケット部2の支持片7を貫通して支持片に軸支される。すなわち、枢軸9は、両端部にねじ部9aを備え、中央において旋回アーム3に固着され、両側がブラケット部の支持片7を貫通して支持片7に軸支される。
【0013】
摩擦部材10は、枢軸9の外周に軸線方向移動可能で回転不能にはめ込まれ、ブラケット部の支持片7に摩擦接触可能な摩擦面10aを備える。すなわち、摩擦部材10は、支持片7から突出した枢軸9の両側に一対がそれぞれはめ込まれ、ピン受け溝10bとピン13との係合により、軸線方向には所定距離移動でき、回転は不能となる。
【0014】
ばね受け部材11は、図4に示すように、摩擦部材10と対向し、枢軸9の外周に軸線方向の固定位置を調整可能にはめ込まれる。すなわち、ばね受け部材11は、枢軸9の両端部のねじ部9aに螺合され、螺合位置によりばね12の圧縮度を変更して、摩擦部材10の支持片7に対する摩擦力を調整可能である。摩擦力は、製作時に設計基準に従って調整し、また必要に応じて現場で微調整ができる。
【0015】
ばね12は、ばね受け部材11と摩擦部材10との間に介設され、摩擦部材10の摩擦面10aをブラケット部の支持片7に圧接させる。
【0016】
2本の吊架線間に相対振動が生じると、旋回アーム3が枢軸9と共に本体2に対して回転する。摩擦部材10は、枢軸9と一体回転するが、ばね12により支持片7に圧接されているので、支持片7との間に摩擦抵抗が生じる。この摩擦抵抗により、2本の吊架線間の相対振動が抑制される。具体的には、この実施形態のダンパを適用した電車線のエアジョイント部において、トロリ線にパンタグラフ(集電試験装置)を接触させた試験で、以下のような効果が確認された。(1)2本の吊架線間の最大変位差が、ダンパなしの場合のほぼ2/3に低減した。(2)吊架線変位の対数減衰率が0.7程度に増加し、架線振動の減衰効果が見られる。(3)以上の結果、パンタグラフの離線率の低減が見られた。
【産業上の利用可能性】
【0017】
この発明は、例えば架空電車線のエアジョイント部、すなわち、2本の異なるトロリ線の端部が並行する部位の吊架線に適用する場合に効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る吊架線用ダンパの使用状態の仰視図である。
【図2】本発明に係る吊架線用ダンパの正面図である。
【図3】本発明に係る吊架線用ダンパの平面図である。
【図4】本発明に係る吊架線用ダンパの断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 ダンパ
2 本体
3 旋回アーム
4 摩擦抵抗部材
5 把持部
6 ブラケット部
7 支持片
8 把持部
9 枢軸
10 摩擦部材
10a 摩擦面
10b 溝
11 ばね受け部材
12 ばね
13 ピン
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3