TOP > 国内特許検索 > 磁気共鳴イメージング装置および撮像方法 > 明細書

明細書 :磁気共鳴イメージング装置および撮像方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4576534号 (P4576534)
公開番号 特開2007-260001 (P2007-260001A)
登録日 平成22年9月3日(2010.9.3)
発行日 平成22年11月10日(2010.11.10)
公開日 平成19年10月11日(2007.10.11)
発明の名称または考案の名称 磁気共鳴イメージング装置および撮像方法
国際特許分類 A61B   5/055       (2006.01)
FI A61B 5/05 382
A61B 5/05 362
A61B 5/05 311
請求項の数または発明の数 4
全頁数 18
出願番号 特願2006-086897 (P2006-086897)
出願日 平成18年3月28日(2006.3.28)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 特許法第30条第1項適用、筑大広報第05-249号(平成18年3月10日)にて発表
審査請求日 平成19年3月2日(2007.3.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
発明者または考案者 【氏名】巨瀬 勝美
【氏名】飯田 奈智子
個別代理人の代理人 【識別番号】100067541、【弁理士】、【氏名又は名称】岸田 正行
【識別番号】100087398、【弁理士】、【氏名又は名称】水野 勝文
【識別番号】100103506、【弁理士】、【氏名又は名称】高野 弘晋
審査官 【審査官】島田 保
参考文献・文献 特開2002-052008(JP,A)
特開2003-305020(JP,A)
特開平01-141656(JP,A)
特開昭61-196145(JP,A)
特開2003-033331(JP,A)
特表2008-514368(JP,A)
特開2007-054214(JP,A)
特開2002-048851(JP,A)
特開2003-038456(JP,A)
特開平08-322817(JP,A)
特開2005-261924(JP,A)
「MRIのすべて(all about MRI)」,goo ブログ(http://blog.goo.ne.jp/kose1953),2006年 3月14日
調査した分野 A61B 5/055
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
Wiley InterScience
特許請求の範囲 【請求項1】
均一な静磁場領域を形成する磁石と、
該磁石により形成される均一な静磁場内に配置され、該均一な静磁場領域内に均一な勾配磁場を発生する勾配磁場コイルと、
該勾配磁場コイルの内部に配置され、円筒形の形状を有しており、該円筒形の内部に配置された撮像対象である被撮像者の指の領域に均一な高周波磁場を発生させ前記指から発生するNMR信号を受信する高周波コイルと、
前記高周波コイルに高周波パルスシーケンスを印加するとともに、当該高周波パルスシーケンスの印加に基づき前記高周波コイルにて受信されたNMR信号に基づいて前記指の海綿骨を三次元的に表示する画像を構成する画像形成部と
前記高周波コイルおよび前記指を含む被撮像者の手部を電磁シールドする電磁シールド材と、を備え、
前記電磁シールド材は、円筒形である前記高周波コイルの外周部を電磁シールドする高周波シールドボックスと前記指を含む被撮像者の手部を局所的に電磁シールドするシールドカバーで構成されており、
前記高周波パルスシーケンスが、複数のスピンエコーを発生させた後に、縦磁化の強制回復高周波パルスを印加するパルスシーケンスであることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記高周波コイルは前記高周波シールドボックス内に収容されており、被撮像者の前記指は、前記高周波シールドボックスが有する開口部を介してその内部の前記高周波コイル内に挿入され、
前記高周波シールドボックスの開口部の幅は、被撮像者の手部の指1本のみを挿入可能である大きさに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
均一な静磁場領域を形成する磁石と、該磁石により形成される均一な静磁場内に配置され、該均一な静磁場領域内に均一な勾配磁場を発生する勾配磁場コイルと、該勾配磁場コイルの内部に配置され、円筒形の形状を有しており、該円筒形の内部に配置された撮像対象である指の領域に均一な高周波磁場を発生させ前記指から発生するNMR信号を受信する高周波コイルと前記高周波コイルに高周波パルスシーケンスを印加するとともに、当該高周波パルスシーケンスの印加に基づき前記高周波コイルにて受信されたNMR信号に基づいて前記指の海綿骨を三次元的に表示する画像を構成する画像形成部と前記高周波コイルおよび前記指を含む被撮像者の手部を電磁シールドする電磁シールド材と、を備える磁気共鳴イメージング装置を使用して行う磁気共鳴イメージング撮像方法であって、
前記電磁シールド材は、前記円筒形の高周波コイルの外周部を電磁シールドする高周波シールドボックスと被検者の指および手の部分を局所的に電磁シールドするシールドカバーで構成されており、
前記高周波パルスシーケンスが、複数のスピンエコーを発生させた後に、縦磁化の強制回復高周波パルスを印加するパルスシーケンスであることを特徴とする磁気共鳴イメージング撮像方法。
【請求項4】
前記高周波コイルは、前記高周波シールドボックス内に収容されており、被撮像者の前記指は、前記高周波シールドボックスの開口部を介してその内部の前記高周波コイル内に挿入され、
前記高周波シールドボックスの開口部の幅は、被撮像者の手部の指1本のみを挿入可能である大きさに設定されていることを特徴とする請求項に記載の磁気共鳴イメージング撮像方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴イメージング装置および撮像方法に関し、特に骨粗鬆症診断を行うための高い空間分解能を有する人指用の磁気共鳴イメージング装置(以下「MRI装置」ともいう。」)および撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
骨粗鬆症は、高齢者の骨折や寝たきりなどにつながる疾患である。国内における骨粗鬆症患者の患者総数は、1000万人を超えると言われ、骨粗鬆症の克服は社会的要請となっている。
【0003】
一方、最近の研究により骨粗鬆症の診断や治療効果判定には、骨密度計測ばかりでなく、海綿骨の三次元的微細構造を反映する骨質の評価が重要であることが分かってきた。
【0004】
図13は下記特許文献1に示されている従来例に係るMRI装置の全体構成図であり、図14は図13に係るMRI装置の位置制御の下での局所用プローブの位置の変化の一例を示す図である。
【0005】
図13に示すように、このMRI装置は、架台内に静磁場を発生する磁石1と、静磁場内に配置された被検体Rに勾配磁場を印加する勾配磁場コイル2と、勾配磁場が印加された被検体Rから磁気共鳴信号を受信する高周波コイル4とを備えている。
【0006】
そして、制御部10gは、被検体Rの外形を検出し、その検出した外形に基づいて、高周波コイル4を被検体Rに対して遠近方向に移動するよう位置調整機構7を駆動し、高周波コイル4により受信された磁気共鳴信号に基づいて磁気共鳴画像を生成する。
【0007】
図14に示すように、この位置制御は被検体Rと局所用プローブ6とが干渉することなく近接させた状態を維持するように、局所用プローブ6の上下位置が調される。すなわち、被検体Rの移動にともなって局所用プローブ6に対向する被検体Rの部位が変化することにより、被検体Rと局所用プローブ6との間隔が変化するので、この間隔の変化を補償するように局所用プローブ6の上下位置(L1、L2、L3)が調整される。
【0008】
そして、この撮像処理は、受信部8から出力される磁気共鳴信号データ、すなわち局所用プローブ6で受信された磁気共鳴信号から受信部8で生成された磁気共鳴信号データに基づいて行われ、この磁気共鳴信号データに基づき、被検体Rについての局所的画像データを集積することで、被検体Rの全体に関する画像データが求められる。
【0009】
図15は下記特許文献2示された従来の他の例に係る局所的磁気共鳴イメージング装置の全体構成図であり、図16は図15に係る磁気共鳴イメージング装置の磁気シールドを示す断面図である。
【0010】
この従来の他の例は、均一な静磁場の中に置かれた高周波コイル52中に、被検体Rの踵の端部より踵を挿入し、踵骨を含む断層面の核磁気共鳴画像を、骨粗鬆症診断のための基準試料と同時に、骨髄の緩和時間変化の影響が少ないパルスシーケンス(例えばスピン・エコー撮像パルス)で撮像するものであり、小型の装置で安価に、かつ楽な姿勢で検査が受けられ、骨粗鬆症診断を可能とするものである。

【特許文献1】特開2005-261924号公報
【特許文献2】特開2002-52008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1に示されたMRI装置は、位置調整機構7を備えプローブ6が、被検者の検査部位の形状に合わせて上下に移動して、被検者の検査部位とプローブとの距離を適正な値に保持し、測定感度を高めることができるが、高価で大きな設置スペースを必要とし、検査費用が高く、被検者の姿勢が拘束されることになる。また海綿骨の三次元微細構造を反映した骨質の評価を行うことはできない。
【0012】
なお、この問題を解決するため、人体全身用磁気共鳴イメージング装置と小型の高周波コイルを併用することにより、撓骨の海綿骨微細構造の計測が試みられているが、人体全身用MRI装置に特殊なハードウェアを接続するために、特別な接続技術が必要であり、またその製造メーカーの許可も必要なため、実施上制約が大きかった。
【0013】
また、上記特許文献2に示されたMRI装置は、小型・安価に、かつ楽な姿勢で検査が受けられ、踵骨の骨髄の撮像により骨粗鬆症診断を可能とするものであるが、海綿骨の三次元微細構造を反映した骨質の評価を行うことのできるものではない。
【0014】
本発明は、係る問題点に鑑みて鋭意研究を重ねてなされたものであり、指骨を対象とし、小型・安価で、かつ被検者の姿勢に自由度が高く楽な姿勢で、しかも安全に骨密度と骨質を検査し、骨粗鬆症の診断を可能とするMRI装置および撮像方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するための第1の発明は、均一な静磁場領域を形成する磁石と、該磁石により形成される均一な静磁場内に配置され、該均一な静磁場領域内に均一な勾配磁場を発生する勾配磁場コイルと、該勾配磁場コイルの内部に配置され、円筒形の形状を有しており、該円筒形の内部に配置された撮像対象である被撮像者の指の領域に均一な高周波磁場を発生させ前記指から発生するNMR信号を受信する高周波コイルと、前記高周波コイルに高周波パルスシーケンスを印加するとともに、当該高周波パルスシーケンスの印加に基づき前記高周波コイルにて受信されたNMR信号に基づいて前記指の海綿骨を三次元的に表示する画像を構成する画像形成部と前記高周波コイルおよび前記指を含む被撮像者の手部を電磁シールドする電磁シールド材と、を備え、前記電磁シールド材は、円筒形である前記高周波コイルの外周部を電磁シールドする高周波シールドボックスと前記指を含む被撮像者の手部を局所的に電磁シールドするシールドカバーで構成されており、前記高周波パルスシーケンスが、複数のスピンエコーを発生させた後に、縦磁化の強制回復高周波パルスを印加するパルスシーケンスであることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置である。

【0016】
第2の発明は、第1の発明において、前記高周波コイルは前記高周波シールドボックス内に収容されており、被撮像者の前記指は、前記高周波シールドボックスが有する開口部を介してその内部の前記高周波コイル内に挿入され、前記高周波シールドボックスの開口部の幅は、被撮像者の手部の指1本のみを挿入可能である大きさに設定されていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置である。

【0017】
第3の発明は、均一な静磁場領域を形成する磁石と、該磁石により形成される均一な静磁場内に配置され、該均一な静磁場領域内に均一な勾配磁場を発生する勾配磁場コイルと、該勾配磁場コイルの内部に配置され、円筒形の形状を有しており、該円筒形の内部に配置された撮像対象である指の領域に均一な高周波磁場を発生させ、前記指から発生するNMR信号を受信する高周波コイルと前記高周波コイルに高周波パルスシーケンスを印加するとともに、当該高周波パルスシーケンスの印加に基づき前記高周波コイルにて受信されたNMR信号に基づいて前記指の海綿骨を三次元的に表示する画像を構成する画像形成部と、前記高周波コイルおよび前記指を含む被撮像者の手部を電磁シールドする電磁シールド材と、を備える磁気共鳴イメージング装置を使用して行う磁気共鳴イメージング撮像方法であって、前記電磁シールド材は、前記円筒形の高周波コイルの外周部を電磁シールドする高周波シールドボックスと被検者の指および手の部分を局所的に電磁シールドするシールドカバーで構成されており、前記高周波パルスシーケンスが、複数のスピンエコーを発生させた後に、縦磁化の強制回復高周波パルスを印加するパルスシーケンスであることを特徴とする磁気共鳴イメージング撮像方法である。

【0018】
第4の発明は、第の発明において、前記高周波コイルは、前記高周波シールドボックス内に収容されており、被撮像者の前記指は、前記高周波シールドボックスの開口部を介してその内部の前記高周波コイル内に挿入され、 前記高周波シールドボックスの開口部の幅は、被撮像者の手部の指1本のみを挿入可能である大きさに設定されていることを特徴とする磁気共鳴イメージング撮像方法である。

【発明の効果】
【0026】
本発明は、指骨を対象とするため、小型の永久磁石を用いても、高い強度の静磁場を発生することができ、また、小さな口径の高周波コイルを用いることにより、単位体積あたりのNMR(Nuclear Magnetic Resonance)信号の信号対雑音比を高めることができ、海綿骨などの微細な組織の検査が容易になるという効果がある
また、指骨を対象とするため、測定対象が小さく、局所的な電磁シールドによって、広いスペースを必要とする大型の電磁シールドルームが不要となることによって、装置全体のサイズの小型化、設置スペースの縮小化ができ、安価な装置にすることも可能である。
【0027】
さらに、指骨を対象とするため、被検者の姿勢の自由度が高く楽な姿勢で、しかも電離放射線を使用しないため、安全に骨密度と骨質の検査を受けることができるという効果がある。
【0028】
また、磁気共鳴イメージングの撮像を行う際には、核磁化(縦磁化)の強制回復パルスシーケンスを用いることにより、骨髄の水素原子核の長い縦緩和時間と高周波パルスの早い繰り返し励起による信号減衰の問題を解消して計測時間を短縮できる。
【0029】
さらに、複数のスピンエコーを発生させた後に、強制回復パルスシーケンスを用いることで、単位測定時間あたりの画像の信号対雑音比を向上させる効果がある。強制回復パルスシーケンスを用いる際、位相エンコード勾配磁場の振幅ないし印加時間の最適化により、強制回復効果が高まり、位相エンコード勾配磁場方向の画像のぼけを解消することができる。
【0030】
また、撮像中の静磁場の強度変化を計測し、静磁場の強度変化に共鳴周波数を追従させることにより、撮像中の静磁場のドリフトの影響による画質の低下を防ぐことができるという効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る磁気共鳴イメージング装置のブロック図であり、指骨を対象とした磁気共鳴イメージング装置であり、海綿骨の三次元微細構造を反映した骨質の評価を可能とする点に特徴を有し、上記特許文献1、2に示されたMRI装置と異なる。
【0032】
先ず、本磁気共鳴イメージング装置の構成を簡単に説明する。図1に示すように、均一な静磁場を発生して核磁化を作り出す磁石141、x、y、z方向の静磁場勾配を作る勾配磁場コイル143~145、核スピン系に高周波を与え、また信号を受信するRFコイル(高周波コイル)142、システム全体を制御しNMR信号収集し、画像再構成などを行うコンピュータ110、核スピンを励起する高周波信号を作り、また受信したNMR信号を増幅・検波する高周波信号受信系(155、131、120、111)、勾配磁場コイルをドライブする勾配磁場電源系(112、151~153、)、核スピンを励起する高周波信号送信系(112、132、120、154)、そして、取得したNMR信号から再構成される画像を表示する画像ディスプレイ180からなっている。
【0033】
次に、本磁気共鳴イメージング装置の動作を簡単に説明する。まず撮像に必要なパラメータとなる、繰返し時間TR、エコー時間TEを入力デバイス160からコンピュータ110に入力する。コンピュータ110は、入力されたパラメータをパルス発生器113を駆動するためのデータ形式に変換して出力し、パルス発生器113を駆動する。
【0034】
パルス発生器113はMRI装置のパルスシーケンス、即ちRFパルスの波形と位置情報、勾配パルスの波形等を正確なタイミングで出力し、さらにNMR信号をAD変換するためのトリガ信号等を出力する。高周波のシンセサイザ120から定常的に出力されるラーモア周波数の高周波は、このRFパルスの波形によって変調器132で変調される。このとき同時にパルス発生器113から出力された位相情報により、高周波の位相も決定され、回転座標系における所定の位相のRFパルスが変調器から出力される。そしてこのRFパルスは、パワーアンプ154で増幅されRFコイル142に供給される。
【0035】
一方、パルス発生器113から出力された勾配磁場パルスの波形は、x、y、zの3軸方向の勾配磁場コイルを駆動するための3つの電流増幅器151、152、153にそれぞれ入力される。そして被検体Rの核磁化のラーモア歳差運動は、RFコイル142で受信されてNMR信号となり、プリアンプ155に入力され増幅された後、位相敏感検波器131において、シンセサイザ120から出力されたラーモア周波数の参照信号を用いて位相敏感検波される。
【0036】
このとき、互いに90°位相の異なる2つの参照信号を用いることにより、回転座標系における互いに直交した成分の核磁化の信号を検出することができ、その結果2種類の信号が得られ、ADC111によってデジタルデータに変換され、変換されたデジタルデータはコンピュータ110へ転送される。
【0037】
コンピュータ110では、後述するパルスシーケンスが終了し、画像再構成に必要なデータが取得されると、画像再構成プログラムが起動されて再構成が行われ、取得された画像が画像ディスプレイ180に表示される。なお被検者は椅子に着座したままの自然な姿勢で中指を円筒形状のRFコイルの内部に挿入して検査を受ける。
【0038】
図2は、図1に係る磁気共鳴イメージング装置に用いられる信号検出プローブ部140の正面図、図3は図2に係る検出コイル部の上面図、図4は図2に係る磁気共鳴イメージング装置の電磁シールドの説明図である。
【0039】
図2~図4において、信号検出プローブは、高周波コイル142とチューニングキャパシタC、マッチングキャパシタCなどからなる並列共振回路、信号を取り出すための高周波コネクタ148、それらを収容する高周波シールドボックス147から形成される。
【0040】
高周波シールドボックス147は、一本の指Rのみが高周波シールドボックス147の内部に入るような設計となっているため、他の指や組織からの熱雑音の混入が防がれる。
【0041】
図4において、146は電磁シールドカバーであり、この電磁シールドカバーは、手を覆うように成形された板状の成形板や、変形の容易な織物でなり、電磁シールド性の高い素材とし、磁石141本体に電気的に接続され、指への外部からの電波の混入を防いでいる。
【0042】
図5は、本発明の実施の形態に係る磁気共鳴イメージング装置に用いられる磁化の強制回復を組み込んだ三次元スピンエコー撮像パルスシーケンスの説明図であり、(A)は高周波パルスとそのエコー信号波形を示し、(B)、(C)、(D)はそれぞれy、x、z方向の勾配磁場を示している。このパルスシーケンスは、縦磁化の強制回復を行った三次元スピンエコー撮像パルスシーケンスであり、本磁気共鳴イメージング装置において代表的に使用される。
【0043】
このシーケンスにおいては、90°パルス(90°x´パルス)と180°パルス(180°y´パルス)によって発生させたスピンエコー信号を、二つの勾配磁場(GxとGz)で位相エンコードを行い、その後に、もう一つの勾配磁場(Gy)を印加しながら、画像再構成に必要な信号を取得する。
【0044】
そして、信号観測された横向きの磁化(静磁場に垂直な磁化)を、効率よく静磁場方向に戻すために、撮像のためのスピンエコー信号の発生プロセスにおいて分散した横磁化を、スピンエコー信号を発生させた後に、前述の撮像のために印加した位相エンコード勾配磁場とは逆の符号を持った勾配磁場(リワインド勾配磁場)と、二つ目の180°パルス(180°y´パルス)の後に加えた信号読み出し勾配磁場Gyによって収束させる。
【0045】
また、このとき二つ目の180°パルス(180°y´パルス)を使用することにより、静磁場の不均一性による横磁化の分散も同時に収束させている。このように収束させた横磁化を、それに垂直な方向の高周波パルス(90°-x´パルス)を印加することにより、静磁場方向に強制的に戻している。これが強制回復パルスであり、この強制回復パルスを用いることによって計測時間を短縮できる。
【0046】
図5(E)、(F)に、縦磁化と横磁化の時間的変化を示している。図(E)に示すように、縦磁化は強制回復パルスによってほぼゼロの値から熱平衡状態に近い値まで回復する。図(F)に示すように、横磁化は最初の励起パルスから強制回復パルスまでの間に、横緩和により減衰するため、エコー時間(TE)はできるだけ短く設定する必要がある。
【0047】
臨床におけるMRI画像では緩和時間によるコントラストによって病変の描出を行っており、強制回復法の画像コントラストは、縦緩和時間と横緩和時間による関数となり、組織間の画像コントラストを得るには複雑であるため、従来臨床ではほとんど用いられなかった。
【0048】
しかし、骨構造の計測では、海綿骨の三次元構造の可視化だけを目的としており、骨髄の水素原子核からの信号だけが取得できればよいので、強制回復法が好適である。
【0049】
図6は、本発明の実施の形態に係る磁気共鳴イメージング装置に用いられる複数のスピンエコーの発生と磁化の強制回復を組み込んだ三次元スピンエコー撮像パルスシーケンスの説明図である。(A)は高周波パルスとそのエコー信号波形を、(B)、(C)、(D)はそれぞれy、x、z方向の勾配磁場を示している。
【0050】
図6に示すように、パルスシーケンスの繰り返し時間TRの間に、複数のエコー(NMR)信号を取得することができ、横緩和時間による減衰が少ない場合には、単位時間あたりの画像の信号対雑音比を向上させることができる。
【0051】
図(E)、(F)に縦磁化と横磁化の時間的変化を示している。図(E)に示すように、縦磁化は最初の励起パルスによってゼロとなり、繰り返し180°パルス(180°y´)を順次かけて行くと、180°パルス(180°y´)間において、縦緩和と反転を繰り返し、強制回復パルス(90°-x´)の直前ではほぼゼロの値となっているが、強制回復パルスによってその値から熱平衡状態に近い値まで回復する。図(F)に示すように、横磁化は最初の励起パルスから強制回復パルス(90°-x´)までの間に、横緩和により減衰するため、エコー時間TEはできるだけ短く設定する必要がある。
【0052】
図7は、図5に示すパルスシーケンスにおける位相エンコード勾配磁場の立ち上がり時間、立ち下がり時間による影響を示した図であり、図(A)~図(D)は、図5の(A)~(D)と同じものである。図(E)、(F)において、実線と破線で囲まれた方形領域の、黒丸の部分同士、白丸の部分同士が同じ面積になるように、Gx、Gyの位相エンコード勾配磁場の振幅ないし印加時間を大き目にしている。図(E)、(F)は理論上の方形パルス波形であるが、図(G)、(H)実施の形態における信号の応答遅れを含む実際のパルス波形を示している。この補正を行うことによって撮像画像の鮮明度が向上する。
【0053】
図8は、本発明の実施の形態に係る撮像法によって撮像した人指の三次元画像より選択した二次元断層像であり、従来の強制回復を使用していない撮像法によるもの(A)と、強制回復(図5に示したパルスシーケンスによる強制回復)を使用した本実施の形態にかかる撮像法によるもの(B)と、を対比して示している。
【0054】
図9は、本発明の実施の形態に係る撮像法によって撮像した人指海綿骨の三次元画像の直方体状の領域における画素値のヒストグラムであり、従来の強制回復を使用していない撮像法によるもの(A)と、強制回復(図5に示したパルスシーケンスによる強制回復)を使用した本実施の形態に係る撮像法によるもの(B)と、を対比して示している。
【0055】
図8、図9における、強制回復法を使用しないもの(A)と、使用したもの(B)のいずれも、画像マトリクスサイズは、128×128×128画素、画素サイズは160ミクロン立方である。
【0056】
図8に示すように、従来の撮像法で撮像した(A)よりも、強制回復を用いた方法で撮像した(B)のほうが、骨の形態がはっきりとしていることが分かる。
【0057】
また、従来法ではパルスの繰返し時間TRを100msとし、本実施の形態による方法ではパルスの繰返し時間TRを50msとしたが、半分の計測時間でも、画像の信号対雑音比は1、5倍以上向上することが、図9に示す指骨海綿骨領域の画素値のヒストグラムより確認できる。
【0058】
図9に示したヒストグラムは、横軸に信号値を、縦軸にその信号値に対応する画素数をとったものである。ヒストグラムの信号値の低いほうの山はノイズの分布を示しており、信号値が高いほうの山は骨髄の信号値の分布を示している。図(A)と図(B)では、骨髄の信号値の分布は同じような形状をしている。ノイズの分布にのみ着目すると、ノイズの信号値が大きくなると、ノイズの信号値の領域の山は広がりを持つようになる。ノイズの信号値の分布の広がりを比較すると、図(B)では信号値が約3から16であるのに対して、図(A)では信号値が約5から26であり、図(B)では図(A)に比較してノイズを示している信号値の狭くなっていることが分かる。したがって、図(B)はノイズの信号値が低下し、図(A)も図(B)も、骨髄の信号値の分布は同様の形状をしていることから、本実施の形態における強制回復を用いた撮像法では、強制回復を用いない従来法より信号対雑音比が向上している。
【0059】
図10は、本発明の実施の形態に係る磁気共鳴イメージング装置によって撮像した表示画像であり、(A)は位相エンコード方向の勾配磁場の補正を行わない強制回復法、(B)は位相エンコード方向の勾配磁場を最適化した撮像法(図7に示した補正を組込んだ方法)で撮像したオイルファントムの三次元画像より選択した二次元断層像である。
【0060】
図(A)、(B)とも、画像マトリクスサイズは、128×128×128画素、画素サイズは160ミクロン立方である。特に、矢印の周辺に注目すると、位相エンコード方向(図10では縦方向)の勾配磁場の振幅ないし印加時間の最適化により、図(A)よりも図(B)の画像の方が、ぼけが少なく画質の低下が抑えられている。
【0061】
図11は、本発明の実施の形態に係る撮像法(図5に示したパルスシーケンスによる強制回復を使用した方法)によって撮像した人指の三次元画像より海綿骨を立体的に構築した表面表示画像であり、本実施の形態に係る撮像手法で撮像した指骨海綿骨より、直方体状の領域を切り出し、画素値を反転させて、海綿骨を三次元的に表示した画像である。このように、本実施の形態によれば、海綿骨の三次元的構造の把握と画像処理が可能となる。
【0062】
指骨海綿骨の三次元画像の計測時間には10分以上を要するが、この間の磁石温度の変化による静磁場強度の変動が、MRI画像の画質を大きく低下させるため、このドリフトの効果を補正する手法が不可欠となる。
図12は、本発明の実施の形態に係る、静磁場の変化に共鳴周波数を追従させながら三次元画像を計測する方法とその手順の説明図であり、(A)は三次元画像を計測する方法を、(B)はフロー図を示している。
【0063】
図12に示すように、撮像する被検体より、RFコイル142によって計測されたFID(Free Induction Decay:自由誘導減衰)信号をコンピュータ110でフーリエ変換して、歳差運動周波数を求めることによって静磁場強度を計測し、シンセシザ120で発生する送受信系の参照周波数を、静磁場の強度変化に追従させるように補正しながら、撮像を行う。
【0064】
これにより、撮像中の静磁場のドリフトの影響を低減させ、MRI画像の画質の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態に係る磁気共鳴イメージング装置のブロック図である。
【図2】図1に係る磁気共鳴イメージング装置に用いられる信号検出プローブ部の正面図である。
【図3】図2に係る磁気共鳴イメージング装置の信号検出プローブ部の上面図である。
【図4】図2に係る磁気共鳴イメージング装置の磁気シールドの説明図である
【図5】本発明の実施の形態に係る磁気共鳴イメージング装置に用いられる磁化の強制回復を組み込んだ三次元スピンエコー撮像パルスシーケンスの説明図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る磁気共鳴イメージング装置に用いられる複数のスピンエコーの発生と磁化の強制回復を組み込んだ三次元スピンエコー撮像パルスシーケンスの説明図である。
【図7】図5に示すパルスシーケンスにおける位相エンコード勾配磁場の立ち上がり時間、立ち下がり時間による影響を示した図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る撮像法(強制回復を使用した方法)によって撮像した人指の三次元画像より選択した二次元断層像である。
【図9】本発明の実施の形態に係る撮像法(強制回復を使用した方法)によって撮像した人指海綿骨の三次元画像の直方体状の領域における画素値のヒストグラムである。
【図10】本発明の実施の形態に係る磁気共鳴イメージング装置によって撮像した表示画像であり、(A)は位相エンコード方向の勾配磁場の補正を行わない強制回復法、(B)は位相エンコード方向の勾配磁場を最適化した撮像法で撮像したオイルファントムの三次元画像より選択した二次元断層像である。
【図11】本発明の実施の形態に係る撮像法(強制回復を使用した方法)によって撮像した人指の三次元画像より海綿骨を立体的に構築した表面表示画像である。
【図12】本発明の実施の形態に係る静磁場の変化に共鳴周波数を追従させるながら三次元画像を計測する方法とその手順の説明図であり、(A)は三次元画像を計測する方法を、(B)はフロー図を示している。
【図13】従来例に係る磁気共鳴イメージング装置の全体構成図である
【図14】図13に係る磁気共鳴イメージング装置の局所用プローブの位置の変化の一例を示す説明図である。
【図15】従来の他の例に係る局所的磁気共鳴イメージング装置の全体構成図である。
【図16】図15に係る磁気共鳴イメージング装置の磁気シールドを示す断面図である。
【符号の説明】
【0066】
100・・MRI装置
110・・PC(コンピュータ)
111・・ADC
112・・DSP
120・・シンセサイザ
130・送受信機
131・・検波器
132・・変調器
140・・信号検出プローブ部
141・・磁石
142・・RFコイル(高周波コイル)
143・・勾配磁場コイル(x方向)
144・・勾配磁場コイル(y方向)
145・・勾配磁場コイル(z方向)
146・・電磁シールドカバー
147・・高周波シールドボックス
148・・高周波コネクタ
150・・アンプ
151・・勾配アンプ(x方向)
152・・勾配アンプ(y方向)
153・・勾配アンプ(z方向)
154・・パワーアンプ
155・・プリアンプ
160・・入力デバイス
170・・切替装置(切替え回路)
180・・画像ディスプレイ
R・・被検体
・・中指
図面
【図2】
0
【図5】
1
【図6】
2
【図7】
3
【図8】
4
【図9】
5
【図12】
6
【図13】
7
【図14】
8
【図15】
9
【図16】
10
【図1】
11
【図3】
12
【図4】
13
【図10】
14
【図11】
15