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明細書 :反射防止構造および該反射防止構造を有する発光素子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5082097号 (P5082097)
公開番号 特開2007-264613 (P2007-264613A)
登録日 平成24年9月14日(2012.9.14)
発行日 平成24年11月28日(2012.11.28)
公開日 平成19年10月11日(2007.10.11)
発明の名称または考案の名称 反射防止構造および該反射防止構造を有する発光素子
国際特許分類 G02B   1/11        (2006.01)
G02F   1/1335      (2006.01)
G09F   9/00        (2006.01)
FI G02B 1/10 A
G02F 1/1335 500
G09F 9/00 313
請求項の数または発明の数 8
全頁数 31
出願番号 特願2007-045170 (P2007-045170)
出願日 平成19年2月26日(2007.2.26)
優先権出願番号 2006053731
優先日 平成18年2月28日(2006.2.28)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成22年2月3日(2010.2.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
発明者または考案者 【氏名】伊藤 雅英
【氏名】谷田貝 豊彦
【氏名】星野 鉄哉
個別代理人の代理人 【識別番号】100110179、【弁理士】、【氏名又は名称】光田 敦
審査官 【審査官】竹村 真一郎
参考文献・文献 特開2003-344855(JP,A)
特開2003-066203(JP,A)
特開2002-352956(JP,A)
特開平04-254801(JP,A)
特開2004-126220(JP,A)
特開2005-189264(JP,A)
特開2003-114316(JP,A)
特開2003-174191(JP,A)
調査した分野 G02B 1/10-1/12
G02F 1/13353-1/13363
G09F 9/00
特許請求の範囲 【請求項1】
凹凸を持つ媒体1と媒体2の界面に対して光が入射するときに、凹凸の平均溝幅をΛ、平均深さをd、媒体1での波長をλ1、媒体2での波長をλ2として、下記式(1)、(2)の条件を充たす平均溝幅Λと平均深さdを持ち、かつ深さ方向への平均屈折率が連続的に変化することによって界面での全反射率を低減し、
凹凸の溝幅の80%以上が、平均溝幅×{1±λ1/Λ}の範囲に入り、しかも、溝幅の50%以上が平均溝幅×{1±λ1/(5・Λ)}の範囲に入らないことを特徴する複数の波長に対応した白色光用反射防止構造。
(1)0.45×Λ<d
(2)4<Λ/λ1<120
但し、λ1>λ2
【請求項2】
凹凸を持つ透明な媒体1と透明な媒体2の界面に対して光が入射するときに、凹凸の平均溝幅をΛ、平均深さをd、媒体1での波長をλ1、媒体2での波長をλ2として、下記式(3)、(4)の条件を充たす平均溝幅Λと平均深さdを持ち、媒体2の凸部の頂角が96°以下であり、かつ深さ方向への平均屈折率が連続的に変化し、媒体1から媒体2に入る光の反射を防止する場合に、媒体2の前記界面と反対側の面が接する媒体3の屈折率が媒体2と0.2以下異なるか、または直交する偏光の片方だけを利用し、
凹凸の溝幅の80%以上が、平均溝幅×{1±λ1/Λ}の範囲に入り、しかも、溝幅の50%以上が平均溝幅×{1±λ1/(5・Λ)}の範囲に入らないことを特徴とする白色光用反射防止構造。
(3)0.45×Λ<d
(4)3<Λ/λ1<120
但し、λ1>λ2
【請求項3】
凹凸を持つ透明な媒体1と透明な媒体2の界面に対して光が入射するときに、凹凸の平均溝幅をΛ、平均深さをd、媒体1での波長をλ1、媒体2での波長をλ2として、下記式(3)、(4)の条件を充たす平均溝幅Λと平均深さdを持ち、媒体2の凸部の頂角が96°以下であり、媒体2から媒体1に入射する光の反射を防止する場合に媒体2自身が発光体であるかまたは、媒体2から発光源までの媒体の屈折率が媒体2よりも高いか等しく、
凹凸の溝幅の80%以上が、平均溝幅×{1±λ1/Λ}の範囲に入り、しかも、溝幅の50%以上が平均溝幅×{1±λ1/(5・Λ)}の範囲に入らないことを特徴とする白色光用反射防止構造。
(3)0.45×Λ<d
(4)3<Λ/λ1<120
但し、λ1>λ2
【請求項4】
周期的な凹凸を持つ媒体1と媒体2の界面に対して光が入射するときに、凹凸の平均溝幅をΛ、平均深さをd、媒体1での波長をλ1、媒体2での波長をλ2として、下記式(3)、(4)の条件を充たす平均溝幅Λと平均深さdを持ち、溝の頂角が96°以下であり、かつ深さ方向への平均屈折率が連続的に変化することによって界面での全反射率を低減するとともに、凹凸の一周期の両端が左右にほぼ線対称な不等辺三角形である凹凸形状を規定する変数a、b、cについて、aが左側の三角形の底辺を、bが右側の三角形の底辺を、cが両端の三角形を平行移動によりつけたときの山と山の距離を表すとき、次の(7)、(8)式を満足する界面の凹凸を1周期の両端に含むことを特徴とする白色光用反射防止構造。
(3)0.45×Λ<d
(4)3<Λ/λ1<120
但し、λ1>λ2
(7)0.8<a/b<1.2
(8)c/(a+b)>1.2 または c/(a+b)<0.8
【請求項5】
前記界面の凹凸の斜面が、平均粗さRaがλ以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の白色光用反射防止構造。
【請求項6】
媒体2における前記界面の凹凸のある面と反対側の面が、ディスプレイのフロントパネルの観察者側の表面に粘着または接着剤を介して貼り付けられて使用され、該粘着または接着剤の厚さが200λ1以下であり、かつ前記反対側の面と粘着または接着剤との屈折率差が0.2以下であることを特徴とする請求項1、3又は4に記載の白色光用反射防止構造を持つディスプレイ。
【請求項7】
前記界面の凹凸のある面と反対側の面が、有機または無機の発光素子の出射面に粘着または接着剤を介して貼り付けられて使用され、該粘着または接着剤の厚さが20λ1以下であり、かつ前記界面の凹凸のある面と反対側の面との屈折率差が0.01以上0.6以下であることを特徴とする請求項1、3又は4に記載の白色光用反射防止構造を持つ発光素子。
【請求項8】
前記媒体2における、媒体1との界面の凹凸のある面と反対側の面の距離から、平均深さdを引いた値のある断面での平均が4λ1以上100λ1以下であり、媒体2と、媒体1との界面の凹凸のある面と反対側の面で媒体2に接する媒体3とで屈折率が0.1以上異なることを特徴とする請求項1、3又は4に記載の白色光用反射防止構造。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、各種平面ディスプレイや白色の発光素子等に使用可能な反射防止構造およびその反射防止構造を有する発光素子に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
反射防止膜は、ディスプレイを中心に多くの用途で用いられている。さらに、近年、広い波長範囲に対応できる反射防止構造が開発された。この反射防止構造は波長以下の溝幅を持つことを特徴とするものであり、この反射防止構造には多くの人が取り組んできた(非特許文献1、2、3参照)。
【0003】
しかし、上記反射防止構造は、溝幅が波長以下で微細であるゆえに作製が難しく、必ずしも普及していない。それを解決するには、波長以上の溝幅にある共鳴領域で反射防止構造を作ればよい。ここで共鳴領域とは波長の数倍から数十倍の溝幅の領域を指している。実際、反射防止構造の文献には、共鳴領域に着目した文献もある(非特許文献4参照)。しかし、反射率2%前後と、従来の反射防止膜や反射防止構造に比べて見劣りがし、また、反射率波長依存性がある。
【0004】
共鳴領域の反射防止構造をさらに、ディスプレイや照明の白色光へも適用するには出射角や反射率の波長依存性を抑えることが重要である。反射防止用途で波長分散をなくすためには、上記非特許文献1記載のように溝幅を一定でなくしたり、非特許文献2記載のように溝幅を短くしてゼロ次光のみを利用したり、或いは多層膜(非特許文献5参照)にしたり、等の方法が採用されてきた。しかし、反射防止構造の波長分散をなくす試みは、共鳴領域では行われていない。
【0005】
本発明者らは、共鳴領域の低い反射率を十分に活用することを目標とし、この領域で出射角や反射率の波長依存性を抑えることを考えた。共鳴領域に着目した理由は、安価な光学素子作成方法である機械加工が適用できるからである。また、溝幅が大きいとアスペクト比(縦横比)を高くしても、熱や湿気による影響で構造が変形することも少ない(非特許文献6参照)。したがって、材料選択の幅が広がり、多様な目的に用いることが出来る。
【0006】
しかしながら、一方で、溝幅があまりに大きな構造では、周期性のある画素との干渉によるモアレがしばしば問題となる(非特許文献7参照)。したがって、波長依存性だけでなく、モアレの抑制も考慮した光学設計が必要である。
【0007】
ところで、溝幅が共鳴領域にある金属膜の反射型回折格子について、斜めから入射した光の波長が変わっても出射角度分布に大きな変化がないことは、知られている(非特許文献8参照)。また、拡散用途ではホログラム拡散体のように、スペックルパターンを用いて波長依存性をなくした光学素子もあるが、この拡散体も溝幅が共鳴領域にある(非特許文献9参照)。これらは、波長分散を小さくする手法としてヒントになる。
【0008】
また、近年、ディスプレイ用途で反射率を下げる試みとして、有機ELの表面に凹凸を作製する試みがされている。(非特許文献10参照)さらに、半導体発光素子の表面に凹凸を形成することで光取り出し効率を上げる試みもされている。(特許文献1、2参照)このように、反射防止構造は産業上有用である。
【0009】

【非特許文献1】FUJIMOTO AkiraとASAKAWA Koji著:”Higher Luminescence LED Using Nanostructured Surface Fabricated by Self-Assembled Block Copolymer Lithography”、東芝レビュー、Vol.60、No.10、2005年、p .32~p .35
【非特許文献2】Y. Kanamori、M.SasakiとK. Hane著:”Broadband antireflection gratings fabricated upon silicon substrates.”、Optics Letters、Volume 24、 Issue 20、1999年、p .1422 ~p .1424
【非特許文献3】Ping Sheng、A. N. BlochとR. S. Stepleman著:”Wavelength-selective absorption enhancement in thin-film solar cells”、Applied Physics Letters、15、 1983年、Volume 43、Issue 6、p .579~p .581
【非特許文献4】L. Escoubas、J.J. Simon、M. Loli、G. Berginc、 F. Flory とH. Giovannini著:”An antireflective silicon grating working in the resonance domain for the near infrared spectral region. ”、Optics Communications、Volume 226、 2003年、p .81~p .88
【非特許文献5】H. A. MacLeod著:”Thin Film Optical Filters Second Edition”、ADAM HILGER LTD、(英国)、(1986)、p .85~p .156
【非特許文献6】Pere Roca-Cusachs、Fe'lix Rico、Elena Marti'nez、Jordi Toset、Ramon Farre'と Daniel Navajas:”Stability of Microfabricated High Aspect Ratio Structures in Poly(dimethylsiloxane)”、Langmuir、Volume 21、2005年、p .5542~p .5548
【非特許文献7】Makoto Okui、 Masaki Kobayashi、Jun AraiとFumio Okano著: ”Moire fringe reduction by optical filters in integral three-dimensional imaging on a color flat-panel display”、APPLIED OPTICS、 Vol. 44、 No. 21、2005年、p .4475~p .4483
【非特許文献8】Hiroyuki Ichikawa著:”Numerical analysis of microretroreflectors: Transition reflection to diffraction.” Journal of Optics A: Pure Applied Optics、 Vol.6 、2004年、p .S121~p .S127
【非特許文献9】Sien Chia著:”Fabrication of light-shaping diffusion screensYing Tsung Lua”、Optics Communications、 Vol.214 、2002年、p .55~p .63
【非特許文献10】Toshitaka Nakamura、Naoto Tsutsumi、Noriyuki Juniと Hironaka Fujii著:”Thin-film waveguiding mode light extraction in organic electroluminescent device using high refractive index substrate”、JOURNAL OF APPLIED PHYSICS、 Vol. 97, Issue 054505 、2005年、p .1~p .5
【特許文献1】2003-174191号公報
【特許文献2】2005-223100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来の技術で生じる上記問題点のない反射防止構造を実現することを課題とするものであり、垂直から入射した透過型の回折格子について、光が表面に垂直に入射したときに、反射率が十分に小さく、しかも、反射回折角度分布および透過回折角度分布、さらに全反射率が、波長により大きく変化しない周期や深さの領域を設計、作製することを課題とする。さらに、溝幅を適度に小さくして拡散効果を持たらしたり、非周期的にすることでモアレをなくすことを課題とする。
【0011】
さらに、本発明の課題を具体的に説明すると次のとおりである。
(1)波長依存性を抑えるための手段の一つとして、全反射率の波長依存性を指標とした、深さと溝幅の最適化を行う。なお、全反射率は、界面での吸収を無視すると、(1-全透過率)で与えられる。
【0012】
(2)波長依存性を抑えるための別の手段として、二つ目が溝幅の分布の最適化を行う。回折角の間隔は凹凸の山の位置についてフーリエ変換する事で得られる(谷田貝豊彦著:「光とフーリエ変換」、朝倉書店、1992年、p.1~p.30参照。)が、山の位置が周期的であって回折角があまりに離散的であると、波長分散して虹が生じやすい。そこで、ある程度溝幅を変動させた方が良いが、一方で、変動幅が大きすぎると作製が困難になる。そこで、これらの条件に対応できる変動幅を得ることを課題とする。
【0013】
(3)全反射率が小さくなるよう格子形状の最適化を行う。ここで、共鳴領域では格子の先端が尖っているか丸まっているかによって透過率が大きく異なる。
【0014】
(4)全反射率が小さくなるよう、反射防止構造に隣接する媒体の屈折率を設計する。反射防止構造単独の反射率が小さくても、隣接する媒体との間で大きな反射があっては反射防止の役に立たない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上記課題を解決するために、凹凸を持つ媒体1と媒体2の界面に対して光が入射するときに、凹凸の平均溝幅をΛ、平均深さをd、媒体1での波長をλ1、媒体2での波長をλ2として、下記式(1)、(2)の条件を充たす平均溝幅Λと平均深さdを持ち、かつ深さ方向への平均屈折率が連続的に変化することによって界面での全反射率を低減することを特徴する複数の波長に対応した反射防止構造を提供する。
(1)0.45×Λ<d
(2)4<Λ/λ1<120
但し、λ1>λ2
【0016】
本発明は上記課題を解決するために、凹凸を持つ透明な媒体1と透明な媒体2の界面に対して光が入射するときに、凹凸の平均溝幅をΛ、平均深さをd、媒体1での波長をλ1、媒体2での波長をλ2として、下記式(3)、(4)の条件を充たす平均溝幅Λと平均深さdを持ち、媒体2の凸部の頂角が96°以下であり、かつ深さ方向への平均屈折率が連続的に変化し、媒体1から媒体2に入る光の反射を防止する場合に、媒体2の前記界面と反対側の面が接する媒体3の屈折率が媒体2と0.2以下異なるか、または直交する偏光の片方だけを利用することを特徴とする白色光用反射防止構造を提供する。
(3)0.45×Λ<d
(4)3<Λ/λ1<120
但し、λ1>λ2
【0017】
本発明は上記課題を解決するために、凹凸を持つ透明な媒体1と透明な媒体2の界面に対して光が入射するときに、凹凸の平均溝幅をΛ、平均深さをd、媒体1での波長をλ1、媒体2での波長をλ2として、下記式(3)、(4)の条件を充たす平均溝幅Λと平均深さdを持ち、媒体2の凸部の頂角が96°以下であり、媒体2から媒体1に入射する光の反射を防止する場合に媒体2自身が発光体であるかまたは、媒体2から発光源までの媒体の屈折率が媒体2よりも高いか等しいことを特長とする白色光用反射防止構造を提供する。
(3)0.45×Λ<d
(4)3<Λ/λ1<120
但し、λ1>λ2
【0018】
前記反射防止構造では、凹凸の溝幅の80%以上がΛ±4%に入っており、しかも、下記式(5)、(6)の条件を充たす溝幅と深さを持つことによって界面での全反射率を低減する構成としてもよい。
(5)0.45×Λ<d
(6)8<Λ/λ1<40
【0019】
前記反射防止構造では、凹凸の溝幅の80%以上が、平均溝幅×{1±λ1/Λ}の範囲に入り、しかも、溝幅の50%以上が平均溝幅×{1±λ1/(5・Λ)}の範囲に入らない構成としてもよい。
【0020】
前記白色光用反射防止構造では、凹凸を持つ媒体1と媒体2の界面に対して光が入射するときに、凹凸の平均溝幅をΛ、平均深さをd、媒体1での波長をλ1、媒体2での波長をλ2として、下記式(3)、(4)の条件を充たす平均溝幅Λと平均深さdを持ち、媒体2の凸部の頂角が96°以下であり、断面形状は、媒体2の凸部の先端に向けて先すぼまりの三角形であり、かつ深さ方向への平均屈折率が連続的に変化することによって界面での全反射率を低減する構成としてもよい。
(3)0.45×Λ<d
(4)3<Λ/λ1<120
但し、λ1>λ2
【0021】
前記白色光用反射防止構造では、界面の凹凸の最表面または谷底の平らな部分の割合が5%以下である構成としてもよい。
【0022】
本発明は上記課題を解決するために、周期的な凹凸を持つ媒体1と媒体2の界面に対して光が入射するときに、凹凸の平均溝幅をΛ、平均深さをd、媒体1での波長をλ1、媒体2での波長をλ2として、下記式(3)、(4)の条件を充たす平均溝幅Λと平均深さdを持ち、溝の頂角が96°以下であり、かつ深さ方向への平均屈折率が連続的に変化することによって界面での全反射率を低減するとともに、凹凸の一周期の両端が左右にほぼ線対称な不等辺三角形である凹凸形状を規定する変数a、b、cについて、aが左側の三角形の底辺を、bが右側の三角形の底辺を、cが両端の三角形を平行移動によりつけたときの山と山の距離を表すとき、次の(7)、(8)式を満足する界面の凹凸を1周期の両端に含む白色光用反射防止構造を提供する。
(3)0.45×Λ<d
(4)3<Λ/λ1<120
但し、λ1>λ2
(7)0.8<a/b<1.2
(8)c/(a+b)>1.2 または c/(a+b)<0.8
【0023】
前記反射防止構造では、界面の凹凸の斜面が、平均粗さRaがλ以下である構成としてもよい。
【0024】
本発明は上記課題を解決するために、前記媒体2における前記界面の凹凸のある面と反対側の面が、ディスプレイのフロントパネルの観察者側の表面に粘着または接着剤を介して貼り付けられて使用され、該粘着または接着剤の厚さが200λ1以下であり、かつ前記反対側の面と粘着または接着剤との屈折率差が0.2以下であることを特徴とする反射防止構造を持つディスプレイを提供する。
【0025】
本発明は上記課題を解決するために、前記界面の凹凸のある面と反対側の面が、有機または無機の発光素子の出射面に粘着または接着剤を介して貼り付けられて使用され、該粘着または接着剤の厚さが20λ1以下であり、かつ前記界面の凹凸のある面と反対側の面との屈折率差が0.01以上0.6以下であることを特徴とする反射防止構造を持つ発光素子を提供する。
【0026】
前記反射防止構造の媒体2における、媒体1との界面の凹凸のある面と反対側の面の距離から、平均深さdを引いた値のある断面での平均が4λ1以上100λ1以下であり、媒体2と、媒体1との界面の凹凸のある面と反対側の面で媒体2に接する媒体3とで屈折率が0.1以上異なる構成としてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る反射防止構造によれば、異なる2つの媒体の界面での高い透過率を与えると同時に適度に反射または透過拡散をさせ、しかも、透過率や拡散角度の波長依存性の小さい凹凸を与えることが可能となる。
【0028】
即ち、次のような効果が生じる。
(1)波長以上の平均溝幅を持つ凹凸について、周期的な構造でも波長分散が小さく、また、非周期的にすればさらに波長分散を小さく出来る。
(2)溝幅を比較的大きく形成でき、しかも反射率を十分小さくすることができ、さらに拡散性が損なわれることがない。このため作りやすく、低コストで反射防止効果の大きい反射防止構造が得られる。
(3)溝幅や深さをコントロールすることで、反射率をより一層小さくした拡散体も形成できる。
【0029】
(4) これらの効果から、例えば、次のような利点がある。即ち、入射光が単色ではなく、複数の波長を持つとき、それらの波長に対して、同じまたは相似な溝形状を反射防止に適用することができる。複数の波長に同じまたは相似な溝形状を適用できるために、金型の作製に関しては、同じ形状のバイトで複数の波長に対応できるというメリットがある。
【0030】
また、金型から転写した凹凸に関しては、同じ凹凸で複数の波長に対応できるという利点がある。さらに、カラーフィルタのように、異なる色が並んでいるところにこの凹凸を適用する場合に関して、個々の画素に対応した凹凸を用いる必要がないという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明に係る反射防止構造を実施するための最良の形態を、いろいろな実施の形態(実施の態様)で説明するとともに、実施例に基づき図面も参照して、以下に説明する。
【0032】
(発明の概要)
本発明は、垂直から入射した透過型の回折格子について、光が表面に垂直に入射したときに、反射率が十分に小さく、しかも、反射回折角度分布および透過回折角度分布、さらに全反射率が、波長により大きく変化しない周期や深さの領域を設計・作製するものであり、さらに、溝幅を適度に小さくして拡散効果を持たらしたり、非周期的にすることでモアレをなくそうとするものである。
【0033】
本発明者等は、上記課題を解決する構成を鋭意開発する過程において、媒体1の波長と媒体2の波長がそれぞれλ1、λ2であり、λ1>λ2であり、光が媒体1から媒体2に進む場合、共鳴領域を反射防止構造として十分使えること、たとえば、アスペクト比が1以上で反射率を0.2%以下に下げられるという知見を、回折効果を考慮した計算で得るとともに、共鳴領域で偏光や媒体の屈折率を適宜制御可能であるという知見を得た。
【0034】
一方、光が媒体2から媒体1に進む場合に、共鳴領域を反射防止構造として十分使えること、たとえば、アスペクト比が3以上で反射率を1%以下に下げられるという知見を得るとともに、共鳴領域において透過光の分布や透過率を制御するための格子形状をどのようにすればよいかについて新規な知見を得た。
【0035】
さらに、光が媒体1から媒体2に進む場合と光が媒体2から媒体1に進む場合において、可視光の領域において、共鳴領域での反射防止構造の波長依存性が小さくなる溝幅の構成についての知見を得るとともに、格子形状が相似で周期が異なる共鳴領域の回折格子数種類を用いて、周期が違うときの色分散や色づきの変化を、目視観察を通して明らかにした。
【0036】
これらの知見は、従来回折効果を考慮せず、物理光学的な計算が中心であった共鳴領域より溝幅の大きい凹凸の構造についても適用可能である。他方、溝の幅および深さが変化したときの、共鳴領域における電場強度分布と反射率の関係について計算を行い、また電場解析をすることで、全反射率の波長依存性を抑える知見を得た。以上の知見等に基づき、発明者等は、以下の発明を想到した。
【0037】
即ち、本発明の反射防止構造では、凹凸を持つ媒体1と媒体2の界面に対して光が入射するときに、凹凸の平均溝幅をΛ、平均深さをd、媒体1での波長をλ1、媒体2での波長をλ2として、下記式(1)、(2)の条件を充たす平均溝幅Λと平均深さdを持ち、かつ深さ方向への平均屈折率が連続的に変化することによって界面での全反射率を低減する特徴を有する。
(1)0.45×Λ<d
(2)4<Λ/λ1<120
但し、λ1>λ2
【0038】
さらに、本発明の白色光用反射防止構造では、凹凸を持つ透明な媒体1と透明な媒体2の界面に対して光が入射するときに、凹凸の平均溝幅をΛ、平均深さをd、媒体1での波長をλ1、媒体2での波長をλ2として、下記式(3)、(4)の条件を充たす平均溝幅Λと平均深さdを持ち、媒体2の凸部の頂角が96°以下であり、かつ深さ方向への平均屈折率が連続的に変化し、媒体1から媒体2に入る光の反射を防止する場合に、媒体2の前記界面と反対側の面が接する媒体3の屈折率が媒体2と0.2以下異なるか、または直交する偏光の片方だけを利用することを特徴とする。
(3)0.45×Λ<d
(4)3<Λ/λ1<120
但し、λ1>λ2
【0039】
ここでは、白色光とは、ディスプレイや照明用途では人の目に白色にみえればよい。たとえば、カラーフィルタのように赤青緑のストライプであっても良い。また、透明とは、反射防止構造の媒体1と2の全光線透過率がフレネル損を除いて80%以上となる透過率を持つことである。
【0040】
媒体3の屈折率と媒体2の屈折率差を小さくすることで、全反射率を小さくできる。この屈折率差は、より好ましくは0.2以下であり、さらに好ましくは0.1以下である。0.2以下とすることで反射率を1/4以下に、0.1以下とすることでさらに反射率を1/4以下にできる。これらの数値の根拠は、いずれも本発明者らが行った数値シミュレーションによるものである。また、凹凸が縞状である場合には、縞に対して電場が垂直なTMモードでは屈折率差が大きくても反射率は小さいが、縞に対して電場が平行なTEモードでは反射率が大きくなる。
【0041】
媒体1、2、3、4………のように順に積層しており、媒体3が入射光を拡散せずに媒体3から媒体4以降へ光が抜けるとき、媒体4以降についても拡散や光吸収効果がなく、しかも、光がそれぞれの入射面と反対側の裏面で反射される恐れがあるときには、やはり、隣接する媒体間の屈折率差は、好ましくは0.2以下であり、より好ましくは0.1以下である。屈折率差を小さくすることで反射を抑えることができる。
【0042】
アスペクト比(平均深さd/平均溝幅Λ)は、好ましくは0.5以上、さらに好ましくは1以上、さらにより好ましくは2以上である。アスペクト比は、大きい方が反射率が下がり、広い範囲に使うことができる。
【0043】
そして、Λ/λ1はより好ましくは、4以上120以下、より好ましくは5以上60以下、さらに好ましくは10以上40以下、さらにより好ましくは15以上30以下である。大きい方が分光による回折角度の波長分散はすくないが、例えば、カラーフィルタとの干渉で、モアレが生じやすくなる。Λ/λ1が5以下あるいは4以下では、後述のように周期や深さを設計することで虹を少なくできる。
【0044】
溝が縞状であるとき、電場が溝に平行な偏光をTEモード(下記の参考文献1参照。この参考文献1のH modeに相当する。)、電場が溝に垂直な偏光をTMモード(下記の参考文献2参照。この参考文献2のE modeに相当する。)とすると、媒体2と3の屈折率差が大きい場合にも、TMモードは反射率が小さいので、TMモードの透過光だけを利用するかTMモードの反射光を少なくしたい場合には上記反射防止構造を使うことができる。
【0045】
参考文献1:M. G. Moharam と T. K. Gaylord著、” Diffraction analysis of dielectric surface-relief gratings”、J. Opt. Soc. Am.、 Vol. 46、 No. 72、1982年、p . 1385~p . 1392
参考文献2: M. G. Moharam と T. K. Gaylord著: ” Rigorous coupled-wave analysis of grating diffraction E-mode polarization and losses, ”、Optics Communications、 Vol. 73、1983年、p . 451~p . 455
【0046】
また、本発明の白色光用反射防止構造では、凹凸を持つ透明な媒体1と透明な媒体2の界面に対して光が入射するときに、凹凸の平均溝幅をΛ、平均深さをd、媒体1での波長をλ1、媒体2での波長をλ2として、下記式(3)、(4)の条件を充たす平均溝幅Λと平均深さdを持ち、媒体2の凸部の頂角が96°以下であり、かつ深さ方向への平均屈折率が連続的に変化し、媒体2から媒体1に入射する光の反射を防止し、媒体2自身が発光体であるかまたは、媒体2から発光源までの媒体の屈折率が媒体2よりも高いか等しいことを特長とする白色光用反射防止構造を提供する。
(3)0.45×Λ<d
(4)3<Λ/λ1<120
但し、λ1>λ2
【0047】
ここで、d/Λは好ましくは、0.5以上、さらに好ましくは2以上、さらにより好ましくは3以上である。アスペクト比が大きい方が、反射率が下がり、広い範囲に使うことができる。Λ/λ1はより好ましくは、5以上60以下、さらに好ましくは10以上40以下、さらにより好ましくは15以上30以下である。大きい方が分光による回折角度の波長分散はすくないが、例えば、カラーフィルタとの干渉で、モアレが生じやすくなる。Λ/λ1が5以下あるいは4以下では、後述のように周期や深さを設計することで虹を少なくできる。
【0048】
また、本発明は上記課題を解決するために、凹凸の溝幅の80%以上がΛ±4%に入っており、しかも、下記式(5)、(6)の条件を充たす溝幅と深さを持つことによって界面での全反射率を低減することを特徴とする請求項1記載の反射防止構造を提供する。
(5)0.45×Λ<d
(6)8<Λ/λ1<40
【0049】
d/Λは好ましくは、0.5以上、さらに好ましくは1以上さらにより好ましくは2以上である。アスペクト比が大きい方が、反射率が下がり、広い範囲に使うことができる。Λ/λ1はより好ましくは、9以上60以下、さらに好ましくは10以上40以下、さらにより好ましくは15以上30以下である。大きい方が分光による回折角度の波長分散はすくないが、例えば、カラーフィルタとの干渉で、モアレが生じやすくなる。
【0050】
λ1>λ2とするときに、凹凸の溝幅の80%以上が、平均溝幅×{1±λ1/Λ}の範囲に入り、しかも、溝幅の50%以上が平均溝幅×{1±λ1/(5・Λ)}の範囲に入らない構成とすることが好ましい。なお、これらの数値範囲は、本発明者が行った数値シミュレーションの結果である。
【0051】
凹凸の溝幅の80%以上がΛ±4%に入るというように作製精度に余裕をもたせることで、格子溝の作製が容易になる。この条件は、金型を機械加工した場合の精度がΛ±4%はばらつくことがあるということ、および、溝幅の80%以上がその精度に入っていれば、実用上差し支えないという二つの側面から定められる。溝幅の90%以上がその精度に入っていることがより好ましく、さらに好ましくは溝幅の95%以上がその精度に入っている方が良い。
【0052】
さらに、凹凸の溝幅の80%以上が、平均溝幅×{1±λ2/Λ}の範囲に入る方がより好ましい。溝幅の変動は大きすぎない方が作製しやすいので、必要十分なλ2だけ変動すればよい。また、溝幅だけでなく、溝深さについても平均溝深さd×{1±λ2/d}の範囲で変動する方が好ましい。この変動は波長依存性の大きい、平均溝幅Λ/λ1が3以上9以下の範囲で特に有効である。溝幅を変動させることで、反射率波長依存性の少ない凹凸を作製できる。
【0053】
また、本発明白色光用反射防止構造では、凹凸を持つ媒体1と媒体2の界面に対して光が入射するときに、凹凸の平均溝幅をΛ、平均深さをd、媒体1での波長をλ1、媒体2での波長をλ2として、下記式(3)、(4)の条件を充たす平均溝幅Λと平均深さdを持ち、媒体2の凸部の頂角が96°以下であり、断面形状は、媒体2の凸部の先端に向けて先すぼまりの三角形であり、かつ深さ方向への平均屈折率が連続的に変化することによって界面での全反射率を低減することを特徴する。
(3)0.45×Λ<d
(4)3<Λ/λ1<120
但し、λ1>λ2
【0054】
d/Λは好ましくは、0.5以上、さらに好ましくは1以上さらにより好ましくは2以上である。アスペクト比が大きい方が、反射率が下がり、広い範囲に使うことができる。Λ/λ1はより好ましくは、5以上60以下、さらに好ましくは10以上40以下、さらにより好ましくは15以上30以下である。大きい方が分光による回折角度の波長分散はすくないが、例えば、カラーフィルタとの干渉で、モアレが生じやすくなる。
【0055】
このような形状では、入射光の透過率が向上し、波長依存性も小さくなる。入射光とは、例えば、ディスプレイでは映像、太陽電池パネルでは太陽光、発光素子では発光した光である。
【0056】
界面の凹凸の最表面または谷底の平らな部分の割合が5%以下である構成とすることが好ましい。平らな部分が大きいと透過率が低下するためである。なお、媒体2の凸部の頂角は平らな部分を挟む二辺のなす角度で評価される。
【0057】
また、本発明白色光用反射防止構造では、周期的な凹凸を持つ媒体1と媒体2の界面に対して光が入射するときに、凹凸を持つ媒体1と媒体2の界面に対して光が入射するときに、凹凸の平均溝幅をΛ、平均深さをd、媒体1での波長をλ1、媒体2での波長をλ2として、下記式(3)、(4)の条件を充たす平均溝幅Λと平均深さdを持ち、溝の頂角が96°以下であり、かつ深さ方向への平均屈折率が連続的に変化することによって界面での全反射率を低減することを特徴とし、凹凸の一周期の両端が左右に線対称な不等辺三角形である凹凸形状を規定する変数a、b、cについて、aが左側の三角形の底辺を、bが右側の三角形の底辺を、cが両端の三角形を平行移動によりつけたときの山と山の距離を表すとき、次の(7)、(8)式を満足する界面の凹凸を1周期の両端に含む。
(3)0.45×Λ<d
(4)3<Λ/λ1<120
(7)0.5<a/b<2
(8)c/(a+b)>1.2 または c/(a+b)<0.8
但し、λ1>λ2
【0058】
ここで、d/Λは好ましくは、0.5以上、さらに好ましくは1以上さらにより好ましくは2以上である。アスペクト比が大きい方が、反射率が下がり、広い範囲に使うことができる。
【0059】
Λ/λ1はより好ましくは、5以上60以下、さらに好ましくは10以上40以下、さらにより好ましくは15以上30以下である。大きい方が分光による回折角度の波長分散はすくないが、例えば、カラーフィルタとの干渉で、モアレが生じやすくなる。
【0060】
入射光の角度分布が観察者から見て左右方向または縦横方向に輝度分布の半値幅で10°程度しかない場合、反射防止構造を通した輝度分布が一様でないことがある。そのときには、図1に示すように、個々には非対称の凹凸形状を用いて全体として対称となるようにすることで、輝度分布を一様に近づけることができる。
【0061】
ここで、図1の凹凸形状を規定する変数a、b、cが次の(7)、(8)式を満足する界面の凹凸を持つ反射防止構造であることが好ましい。
(7)0.5<a/b<2
(8)c/(a+b)>1.2 または c/(a+b)<0.8
【0062】
凹凸が3個以上で1周期となる場合には、1周期の両端の凹凸について、(7)、(8)式を適用する。図1のmの数は作製コストを抑えるために0または1が好ましい。光が溝に対して対称に出射されることが要求される場合、0.8<a/b<1.2である方がより好ましい。
【0063】
前記界面の凹凸の斜面が、平均粗さRaがλ以下であることを特徴とする請求項1ないし5記載の反射防止構造が好ましい。表面が粗いと、その部分で乱反射されるため透過率が落ちるからである。より好ましくは0.5λ以下、さらに好ましくは0.25λ以下である。λはディスプレイや白色照明では真空中における光の中心波長の0.55μmとしてよい。
【0064】
前記界面の凹凸のある面と反対側の面が、ディスプレイのフロントパネルの観察者側の表面に粘着または接着剤を介して貼り付けられて使用され、該粘着または接着剤の厚さが200λ1以下であり、かつ前記界面の凹凸を有さない側の粘着または接着剤と隣接する面と粘着または接着剤との屈折率差が0.2以下であることが好ましい。
【0065】
ここで、粘着剤の厚さを200λ1以下とすることで、透過率を上げることができる。屈折率差を0.2以下とすることで反射を抑えることができる。
【0066】
さらに、本発明は、上記反射防止構造をした発光素子を対象とするものである。即ち、この発光素子は、前記反射防止構造の界面の凹凸のある面と反対側の面が、有機または無機の発光素子の出射面に粘着または接着剤を介して貼り付けられて使用され、該粘着または接着剤の厚さが20μm以下であり、かつ前記界面の凹凸のある面と反対側の面との屈折率差が0.01以上0.6以下である反射防止構造を持つ発光素子である。
【0067】
ここで、粘着剤の厚さを200λ1以下とすることで、透過率を上げることができる。屈折率差を0.01以上0.6以下にすることで発光素子の光の反射を抑えることができる。
【0068】
媒体2について媒体1との界面の凹凸のある面と反対側の面の距離から、平均深さdを引いた値のある断面での平均が4λ1以上100λ1以下であり、媒体2と、媒体1との界面の凹凸のある面と反対側の面で媒体2に接する媒体3とで屈折率が0.1以上異なる反射防止構造の構成とすることが好ましい。
【0069】
上記発光素子が媒体4として、媒体3に接しているとき、一般に、発光素子は高屈折率であり、媒体2として一般の樹脂の屈折率1.5の樹脂を使うことを考えると、その屈折率差は大きい。そこでその屈折率差を埋め、反射率を低減すると同時に、反射防止構造の透過率波長依存性を小さくするために、上記平均厚さが好ましくは、8λ1以上、さらに好ましくは16λ1以上である。一方、光透過率を上げ、界面間距離の均一性を上げるために、好ましくは50λ1以下、さらに好ましくは32λ1以下である。
【0070】
(実施の形態1)
図2は、2種類の媒体の界面60における、断面を示す図である。図2(a)では2種類の媒体1、2の界面60に、図2(b)では媒体1が空気で媒体2との界面60(媒体2の表面)に、例えば、鋸歯型の格子のような凹凸形状が形成されている。これらの図2(a)、(b)の要部を被拡大部として、図2(c)に拡大して示す。
【0071】
この実施の形態1では、界面60における凹凸で形成される格子溝の平均深さdと平均溝幅Λの関係を後述するような範囲に形成した構成を特徴とする。図2(c)において、真空中の光の波長をλとすると、媒体1および媒体2の屈折率をそれぞれn1、n2として、n1=λ/λ1、n2=λ/λ2となる。但し、λ1>λ2である。屈折率は、切り出した試料について、微分干渉顕微鏡および電子顕微鏡を用いて測定することができる。
【0072】
λの値は、反射防止構造を使用する目的によって異なるが、家庭用ディスプレイや太陽電池、一般照明では中心波長の550nmとしてよい。反射防止については、光が媒体1から媒体2に入る場合と媒体2から媒体1に入る場合の両方について効果がある。
【0073】
ここで、界面60の凹凸における「平均溝幅」は、次のとおり定義する。即ち、平均溝幅は、媒体1と媒体2の界面60におけるある一断面を見たときに、「表面の山」(ここでの「表面」は、図2(c)中の下位に位置する媒体2の媒体1側に面する面を言う。)から再び、隣接する「表面の山」に戻るまでの間隔を、界面方向(図2(c)中、左右方向)に互いに隣接する複数の山について合計し、それを平均化したものである。要するに、「平均溝幅」は、界面方向に複数の互いに隣接する「表面の山」の間隔(ピーク間隔)である溝幅70を平均化したものである。
【0074】
そして、界面60の「最表面」を次のように定義する。界面方向(図2(c)中、左右方向)に所定の長さにおける界面60の断面(例えば、図2(c)に示す断面)において、表面の山のうち、上位3つの山の頂点A、B、Cの高さの平均値の高さの線10から、深さ方向(図2(c)中下方の媒体2に向かう方向)に1.5×λの高さの線20(最表面平均値-λ×1.5を示す線)までの範囲に入る領域を、「最表面」とする。
【0075】
最表面の上位3つの山の頂点のA、B、Cの高さの平均値の高さの線10(最表面平均値を示す線)からもっとも遠い谷底の高さの線40(谷底を示す線)までの距離の半分の高さに線30(深さ1/2の線)を引く。この線30より上の部分にあるそれぞれの凸部の局所的に高いところ(頂点ではない。)を「表面の山」と定める。レンズのように面が湾曲している場合は、この定義で単純に「表面の山」を定めるのは困難であるが、用途に応じて適宜、基準面の形状を定義する。
【0076】
格子溝の「平均深さd」は、表面の山の高さを平均した高さに引かれた線と平行に各表面の山の頂点を通って引いた線と谷底との距離である。なお、山の高さの平均値を結ぶ直線は、山の頂点の位置を直線で最小二乗近似して定める。
【0077】
媒体1と媒体2は空気と有機高分子、あるいは有機高分子と無機化合物などの組み合わせである。
【0078】
界面60の形状は鋸歯型回折格子に代表される凹凸形状である。上面から見たパターンは縞状、格子状、無作為に穴の開いたクレータ模様、市松模様などさまざまなパターンが考えられる。
【0079】
全反射率は、光吸収を無視した場合、入射光に対する界面60を透過しなかったすべての光の割合である。本発明では時空にたいして線形な挙動をする、一次元系で次の波動方程式式(7)に従う波を主たる対象としている(谷田貝豊彦著:「光とフーリエ変換」、朝倉書店、1992年、p.1~p.30参照)。
【0080】
Φ/∂t=c×∂Φ/∂x………(7)
ここでΦは波動関数、tは時間、xは波の進行方向を示す座標である。cは波の進行速度である。左辺は時間に関する、右辺は距離に関する二階の偏微分である。
【0081】
深さ方向への平均屈折率が連続的に変化するとは、図3に示すようなシルクハット型でなく三角形やお椀型のように、深さ方向に滑らかに形状が変化することにより、面と平行に輪切りにしたときの各スライスの平均屈折率の変化が小さいことを意味する。
【0082】
また、三角形やお椀型の斜面の表面粗さが中心線平均粗さRaにしてλ/4未満であることが好ましく、より好ましくはλ/8未満である。その理由は、表面が粗いと、その部分で乱反射されるため透過率が落ちるからである。このRaはJIS規格に基づいて算出されるが、カットオフ値は平均溝幅Λの1/2とし、基準長さを3~4Λとする。
【0083】
なお、本発明の反射防止構造では、その凹凸の斜面には反射防止のための光学薄膜(誘電多層膜等)や波長以下の周期を持つ微細凹凸は設けなくてよい。
【0084】
以上のような構成の本発明の反射防止構造において、本発明の特徴とする構成は次のとおりである。即ち、媒体1と媒体2の界面60おける凹凸の平均溝幅をΛ、平均深さをdとすると、格子溝の平均深さdと平均溝幅Λの関係は、次のような範囲とする構成がが好ましい。この範囲は、0.45×Λ<dであり、より好ましくは0.55×Λ<dであり、さらに好ましくはΛ<dであり、よりさらに好ましくは2×Λ<dである。
【0085】
0.45×Λ<dとすることで最低限の反射防止機能が果たせる。0.55×Λ<dとすることで全反射率を波長以下の平均溝幅Λを持つ構造と同等にできる。Λ<dとすることで、媒体1から媒体2に光が入射する場合には、全反射率を0.2%以下にでき、広い用途で使える。
【0086】
2×Λ<dとすることで、媒体1から媒体2に光が入射する場合には全反射率を0.1%以下にでき、広い波長域で今までにない透過率を得ることができる。
【0087】
波長と平均溝幅Λに関しては、次のような範囲が好ましい。この範囲は、3<Λ/λ1<120、より好ましくは8<Λ/λ1<40、さらに好ましくは8<Λ/λ1<30である。
【0088】
8<Λ/λ1<40とすることで、平均溝幅が大きくなりさらに作りやすくなる。8<Λ/λ1<30とすることで、平均溝幅が短くなり、また拡散の度合いも増すため、完全にモアレを防ぐことができる。
【0089】
平均深さdについては、あまりに平均溝幅Λに対してあまりに深いと、全反射率や出射角度の波長依存性を生じやすい。また、この波長依存性は、周期が小さいほど大きくなる。そこで、17×d/Λ-Λ/λ1<30とすることで、虹や色むらの発生を防ぐことが出来る。
【0090】
ディスプレイなど、より虹や色むらの発生を抑えたい用途では、17×d/Λ-Λ/λ1<15とした方がこのましい。なお、ここで、考えている主な状況は時空にたいして線形な挙動をする光が表面に垂直に入射する場合である。
【0091】
以上から、この実施の形態1では、凹凸をもつ透明な媒体1と透明な媒体2の界面60に対して、光が入射するときに、凹凸の平均溝幅をΛ、平均深さをd、媒体1での波長をλ1、媒体2での波長をλ2として、下記式(1)、(2)を充たす平均溝幅Λと平均深さdを持ち、溝の頂角が96°以下であり、かつ深さ方向への平均屈折率が連続的に変化し、媒体1から媒体2に入る光の反射を防止する場合に、媒体2の前記界面と反対側の面が接する媒体3(図20参照)の屈折率が媒体2と0.4以下異なるか、または直交する偏光の片方だけを利用することを特徴とするか、または、媒体2から媒体1に光が入射する光の反射を防止する場合に、媒体2から発光源までの媒体の屈折率が媒体2よりも高いか等しいことを特徴とする透明な媒体1、2よりなる白色光用反射防止構造が好ましい。
(1)0.45×Λ<d
(2)3<Λ/λ1<120
但し、λ1>λ2
【0092】
また、格子溝の谷底の位置(格子の先端位置)は、図4のように格子溝の幅方向について、a:bに分割された位置にあるとすると、全ての格子溝についての先端位置の平均はa:bが0.5:0.5の近傍であることが望ましい。なぜなら、出射光の角度分布の偏りが少なくなるからである。
【0093】
(実施の形態2)
この実施の形態2は、全ての溝幅70を一定にし、格子溝の平均深さdと溝幅70の関係は、上記実施の形態1と同様の範囲とする構成を特徴とする。要するに、実施の形態1において、平均溝幅の代わりに一定の溝幅とした構成である。ここで、溝幅が一定であるとき、この溝幅を周期と呼ぶ。溝幅70が一定の方が、形状の作製は容易であるが、周期が大きいとディスプレイにおける画素との干渉によるモアレが生じる。そこで、ある程度周期の大きさを小さくして、拡散特性を持たせることになる。
【0094】
凹凸の溝幅の80%以上をΛ±4%に入れることで、格子溝の作製が容易になる。この条件は、周期を一定にする目的で、金型を機械加工した場合の精度がΛ±4%はばらつくことがあるということ、および、溝幅の80%以上がその精度に入っていれば、実用上差し支えないという二つの側面から定められる。溝幅の90%以上がその精度に入っていることがより好ましく、さらに好ましくは溝幅の95%以上がその精度に入っている方が良い。また、このときΛ/λ1<40でないと、モアレが発生しやすくなり、一方で、8<Λ/λ1でなければ、虹が発生しやすくなる。
【0095】
この実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、凹凸をもつ媒体1と媒体2の界面60に対して、光が入射するときに、凹凸の溝幅70をΛ、深さをd、媒体1での波長をλ1、媒体2での波長をλ2として、下記式(1)、(2)の条件を充たす溝幅Λと平均深さdを持ち、かつ深さ方向への平均屈折率が連続的に変化することによって界面60での全反射率を低減することを特徴する反射防止構造が好ましい。
(1)0.45×Λ<d
(2)3<Λ/λ1<120
但し、λ1>λ2
【0096】
(実施の形態3)
この実施の形態3では、溝幅が一定でない非周期的回折格子とし、その溝幅分布を後述するように規定する構成を特徴とする。これを以下説明する。図5は、本発明における反射防止構造に入射してくる入射光90と反射光100に関する入射角θi、反射角θr、透過回折光110の角θtの定義を示す図である。
【0097】
そして、図5は、垂直入射光120の回折次数mの分布を模擬的に示す図である。このとき、屈折率n1、n2と角度との間には一般に次のような関係があることが知られている(Hiroyuki Ichikawa著:”Numerical analysis of microretroreflectors: Transition reflection to diffraction.” Journal of Optics A: Pure Applied Optics、 Vol.6 、2004年、p .S121~p .S127参照)。
【0098】
n1・sin(θi) - n2・sin(θt) = m・λ/Λ (8)
【0099】
媒体1から媒体2に向かって面に垂直に入射して、面にほぼ平行に出射する場合、周期が大きくなると、式(8)より、平行に出射する回折次数mが変化する。そのとき、mが1でない場合、周期がどのぐらい変化したことになるか、次の式(9)および式(10)のとおり計算される。
n1・0 - n2・1 = m・λ/Λ (9)
ここで、m=-n2・Λ/λであるから、
1/m=-λ/(n2・Λ)
=-λ2/Λ (10)
【0100】
したがって、この場合mが1と異なると比率にしてλ2/Λ程度周期が変化したことになる。媒体2から媒体1に入射するときは指標はλ1/Λとなる。山の位置が周期的であって回折角があまりに離散的であると、波長分散して虹が生じやすい。それを防ぐためには、溝幅を変動させて、出射角分布を滑らかにすればよい。
【0101】
上述の検討から、平均溝幅×{1±λ1/Λ}程度変動すれば十分出射角度分布を離散的でなく滑らかにできることが分かる。凹凸の溝幅の80%以上が、この範囲で変動すれば実用上十分である。また、その変動幅は最低でも、平均溝幅×{1±λ1/(5・Λ)}あることが実用上望ましい。
【0102】
上記では出射角度から溝幅の変動をどのくらい大きくすれば良いか説明したが、全反射率について、溝幅の変動をどのくらい大きくすれば良いか検討し、その結果、以下のように、FDTD法(時間領域差分法)による電場強度分布の計算とRCWA法(厳密結合波解析法)による全反射率の計算から、電場の強度分布と反射率に密接な関係があるという知見を得た。
【0103】
溝幅を変動させる理由は、周期や深さを制御すれば電場の強度分布を制御できるため波長依存性を抑えられるからである。以下では、凹凸を持つ媒体2として回折格子を例にとり、溝幅の変動による波長依存性を抑える効果について説明する。回折格子フィルムの電場を格子の周期、アスペクト比、基材厚を変えて計算し、反射に及ぼす影響を検討した。
【0104】
図8は、TEモードの散乱光の強度分布の計算例で、図7の格子ひとつを取り出して拡大してある。格子の溝形状は二等辺三角形でアスペクト比は1、周期は波長λ1の9倍である。屈折率は媒体1と3が1、媒体2が回折格子フィルムで1.5である。
【0105】
図8のa)、b)、c)で示す回折格子フィルムa、b、cは、基材厚dが異なる。格子底辺の上下に分かれて強度が強い白い領域が6個あることが分かる。回折格子フィルムa、cは白い領域が底辺と重なっているが、回折格子フィルムbは重なりがなく領域に乱れがなく反射率が低い。格子の大きさや基材厚が変わったときに、白い領域が底辺と重なると反射率が上がると考えられる。このように強度分布と反射率は密接に関係している。
【0106】
同様の計算で白い領域の数は、縦方向は格子深さと基材厚で、横方向は格子周期で決まり、これらの数が、RCWA法で計算した波長に対する後述の、全反射率の周期性に対応していることが分かった。この白い領域の大きさは2・λ2程度であるので、λ2と同じくらいの変動幅で格子のサイズを変えれば、反射率の波長依存性を小さくすることができる。
【0107】
周期的構造の場合は、Λ/λが20以下であれば、拡散効果によりモアレは生じないが、Λ/λが20を大きく上回るときはモアレが生じる。そこで、この場合には非周期的な回折格子を用いることが必要である。その非周期的な溝幅の条件としても、実施の形態2は適用できる。ここで、周期的な構造とは、溝幅が一定である凹凸を、非周期的な構造とは溝幅が一定でない構造を意味する。本発明では、凹凸の溝幅の80%以上がΛ±4%に入っている場合は、周期的と考えられる。
【0108】
(実施の形態4)
この実施の形態4では、格子溝の形状が格子溝の谷底に向けて三角形の「先すぼまり」の構成とした点が特徴である。ここで、「先すぼまり」の溝とは、図9に示すように、山と谷底とを直線で結ぶ三角形の斜辺について、凹凸の界面60が三角形の辺上または内側に来る、或いは図10のような形状の溝である。
【0109】
このような形状では、入射光の透過率が向上し、波長依存性も小さくなる。入射光とは、例えば、ディスプレイでは映像、太陽電池パネルでは太陽光、発光ダイオードでは発光した光である。
【0110】
図10は、斜辺が曲線からなり、xy座標における次の式(11)において平均深さdとして、sが1未満である。
|2x/Λ|^s+|y/d|^s=1 (11)
但し、y<0である。
【0111】
(実施の形態5)
図9は実施の形態5の一例を示し、この反射防止構造の格子溝は、斜辺が2本のほぼ直線からなり、格子溝の深さの1/2の線140の位置において、溝幅方向に沿って、凹凸の山と谷を結ぶ線130の内側にpだけ入っている。
【0112】
なお、本発明の反射防止構造では、どの実施の形態においても、格子溝を、最表面の山または谷底に平らな部分を残さない形状の構成とすると、透過率を上げることが出来る。ここで谷底とは、溝のある断面で見た溝のもっとも深い部分をつないだ部分である。具体的には、最表面または谷底の平らな部分の割合が5%以下であることが好ましい。
【0113】
(実施の形態6)
この実施の形態6は、本発明の反射防止構造の用途に係る構成である。この実施の形態6では、図11に示すように、反射防止構造をその界面60の凹凸を有さない側の面がフロントパネル(ディスプレイパネル180)の前面に粘着フィルムまたは粘着材170を介して貼り付けられて、ディスプレイ等の反射防止構造に適用される構成である。反射防止構造の材質は防汚性のあるフッ素樹脂が望ましい。あるいは、ほこりが付着しにくいよう、帯電防止のために金属酸化物を含む樹脂であることが望ましい。
【0114】
(実施の形態7)
この実施の形態7も、本発明の反射防止構造の用途に係る構成である。この実施の形態7では、図12に示すように、反射防止構造をその界面60の凹凸を有さない側の面が有機または無機材料で形成された発光ダイオード19の表面に粘着フィルムまたは粘着材170を介して貼り付けられて、拡散体として使用される構成である。
【0115】
接着フィルムや粘着フィルム、および凹凸の形成される反射防止構造となる基材は、耐熱性があることが望ましい。気温85℃湿度85%で一時間の放置試験で、反射率の変化が10%以下であることが好ましい。そのため、これら材料のガラス転移温度は100度以上であることが好ましい。
【実施例】
【0116】
以下、本発明を具体的に実施例で説明する。本発明のように、全反射率を溝幅やアスペクト比に応じてどのように変化しているかシミュレーションを行うことによってはじめて、反射防止構造の設計が可能となった。
【0117】
この全反射率の変動が小さく、また、モアレも生じず、しかも、高次の回折光を利用して回折角度の波長分散も抑えるような条件を検討した。その結果、以下のように設計および作製すれば、本発明を実施できるという知見を得た。
【0118】
(形状の設計)
ここで、形状の設計は以下のようにして行う。周期的構造の計算には市販のRCWA(Rigorous Coupled Wave Analysis)ソフトを使うことが出来る。それ以外でも、例えば、RSOFT社のDIFFRACT MODやGrating Solver Development社のGSOLVERなどを用いることができる。
【0119】
以下の波長は、上記実施の形態1で説明したλ1を用いている。設計は次のように行う。まず、使用波長の範囲を決める。
【0120】
二等辺三角形の格子溝についてd/Λを0.5から0.5刻みで5まで変える。それぞれのd/Λに対して、横軸Λ/λとして、全反射率を計算する。偏光にはTEモードとTMモードの両方について計算し、平均を用いた方がよい。入射方向は表面に対する垂直入射で計算し、色度は最も強い回折効率の角度について±5°の範囲の平均で評価する。
【0121】
簡便に、TEモードについてのみ計算して形状を決めても良い。また、入射方向は媒体1から媒体2とその逆の媒体2から媒体1に入射する条件で計算し、両方の特性が満たされるような形状を探す。例えば、両方の反射率の積が最小になるようにする。最短の波長λaから最長の波長λbまでの全反射率の変化を調べる。入射角は媒体1と2の表面に垂直になるようにする。
【0122】
ディスプレイではλaが367nm、λbが734nmなどとする。Λ/λを波長に対してなるべく均等なきざみで、標準偏差を計算する。例えば、下記のような刻みで計算する。
Λ/λ=(11.4、10.1、9.09、8.26、7.58、6.99、6.49、6.06、5.68、5.35、5.05、4.78、4.55、4.13、3.79、 3.50、3.25、3.03、2.84、2.67、2.53、2.39、2.27)
【0123】
この場合、9.09から4.55、あるいは4.55から2.27などの範囲内で標準偏差を計算する。実施の形態1の領域内で、上記波長範囲の全反射率について標準偏差/平均値が0.9以下好ましくは0.3以下となる条件を探す。この値が小さく、しかも、Λもある程度小さい条件を見つける。0.3以下であれば、色付がなくなる。
【0124】
色がついているかどうかは、肉眼でも良いがより客観的には次のように評価される。2°または10°視野のCIE1976均等色空間Lにおいて、光源が等エネルギー白色を与える場合に、色度uvについてu±0.8、v±0.8の中に入っていることが望ましい。テレビなどより白色度が要求される場合にはu±0.4、v±0.4の中に入っていることが望ましい。
【0125】
図13、14に、TEモードでd/Λを0.5から5.0まで0.5刻みで変えて反射率を計算した結果を示す。図13は媒体の屈折率1から媒体の屈折率1.5の領域に、光が進む場合を、図14はそれと逆の場合を示している。このときΛ/λが9.09から4.55まの範囲で、標準偏差/平均値は、図15の表1のようになる。なお、表1中、「Case A」と、「Case B」は、それぞれ図13と図14に対応する。
【0126】
本発明では、Case Aは媒体1から媒体2に光が進む場合を、Case Bは媒体2から媒体1に光が進む場合を意味している。なお、Λ/λが10から40までの間では反射率に揺らぎはあるものの、Λ/λが9に比べ大きな違いはない。図13、14ではΛ/λが1から5までの領域で全反射率の変動に周期性が見られ、Λ/λが整数値近傍でピークとなっている。
【0127】
作製条件の容易さや拡散条件から溝幅と平均深さdが決まったら形状を決める。図10または図9の形状で、溝幅と深さを固定して、それぞれの前出のパラーメータ、pまたはsについてシミュレーションを行い、作りやすさと反射率の観点から最適な構造を定める。λは(λa+λb)/2とし、p/Λは0から0.1まで0.02刻みで変える。sは1から0.5まで0.1刻みで変える。これらのうちで、全反射率の低いもの3つを選び作製の容易そうな形状を選択する。
【0128】
さらに、用途に応じて拡散パターンや反射率を制御するための設計の計算例を示す。光分布を一様にする場合には次のような方法がある。以下、回折格子の屈折率nは1.5で、次の(1)、(2)共に前記Case Bの場合であり、偏光はTEモードで、光は表面に垂直に入射させた。
【0129】
(1)図16のように二等辺三角形の相似形で溝幅の異なる格子を混ぜる。図17は同じ周期と異なる周期の回折格子の回折角度分布の比較である。計算結果は補助線で結んである。s-transが同じ溝幅の格子でΛ/λが9、d-transが異なる溝幅の格子で、溝幅/λが7.2と10.8である。異なる溝幅のd-transでは出射角度が表面に垂直方向に分布する割合が増加することがわかる。
【0130】
(2)図18のように不等辺三角形を用い、一周期では左右対称になるように並べる。図19は二等辺三角形と不等辺三角形の回折格子の回折角度分布の比較である。計算結果は補助線で結んである。二等辺三角形はΛ/λが9で、アスペクト比が1である。不等辺三角形はΛ/λが18で、d/Λが1、a:b:cが5:2:5である。不等辺三角形では二等辺三角形に比べ、出射角度が表面と垂直方向の透過光分布が増加することがわかる。
【0131】
また、透過率を上げるための具体的な計算例を示す。以下では媒体1の屈折率は1、媒体2は1.5、媒体3の屈折率は1.0~1.6とし、光は、Case Aで、格子表面に垂直に入射させた。
【0132】
図20は、媒体1、2、3の存在する裏面つき回折格子である。媒体1と3それぞれの境界は媒体2との界面だけであると考える。媒体3と媒体2の格子裏面の屈折率差を小さくすると反射が小さくなることを示す。
【0133】
図21は媒体2の凹凸の裏面に接する媒体3の屈折率を変化させたときの全反射率である。媒体3のd/λが0.55と0.65の場合について計算した。格子の二等辺三角形はΛ/λが9.1で、アスペクト比が1である。媒体4の屈折率は1.5である。媒体3の屈折率が媒体2の屈折率±0.2以内のとき反射率2%以下が得られている。
【0134】
アスペクト比を上げて、斜面を急傾斜角にすることで透過率を上げることができる。図23は、アスペクト比を変えたときの反射率変化を示す図である。Λ/λが9.1または18.2、偏光はTEまたはTMモードである。図22のようにθは斜面に対する入射角である。アスペクトが高くθが大きいほうが、反射率が低いことが分かる。
【0135】
以下に格子形状が二等辺三角形と正弦曲線と先すぼまりの3条件についてTEモードの全反射率を計算した結果を図25に示す。計算結果は補助線で結んである。先すぼまりの形状は図24のように、y1=y2であり、U=x1/Λが先端の形状を決定する。’sine’ は正弦曲線である。
【0136】
いずれも媒体1のnは1.5、d/Λは1である。媒体0と媒体2の屈折率は1である。全反射率は、’U=0.35’<’U=0.25’<’sine’の順に高くなっており、先すぼまりの方が、全反射率が低いことがわかる。
【0137】
非周期的構造の計算は、RSOFT社の計算ソフト「FDTDソフトFullWAVE」またはサイバネット社の計算ソフト「OptiFDTD」を用いて行った。
【0138】
あるいは、FDTDのプログラム( 一例として、Saswatee Banerjee、 Toyohiko Yatagai と James B. Cole著 :”Boosting light transmission through interfaces using subwavelength Moth-eye structuring: nonstandard FDTD simulations”、11th Microoptics Conference(MOC'05) 、H48、2005年、 p .212~p .213参照)を自作し、これを用いて非周期的構造の計算を行ってもよい。
【0139】
得られた形状について、得られた溝幅および深さを相似に変えた形状を並べる。例えば、図26のように形状を並べる。10個ほど並べた格子溝についてFDTDで計算をし、反射率が十分小さいことを確認する。また別の10個ほどの並びを計算する。これを繰り返して、全部で10組ほど作る。この組み合わせを無作為に変えつつ、大面積の格子溝を設計する。
【0140】
(RCWAによる設計の検証実験)
さらに、周期、アスペクト比と反射率や虹との関係について、RCWA(厳密結合波解析法)の実験による検証を行った。図6のように媒体1の空気から媒体2の表面の凹凸に光が入る場合で、有効な界面が表面の凹凸のみの場合を考える。図27は媒体1と2だけの場合の全反射率の測定方法を示す図である。媒体2の裏面からの反射を防ぐために、媒体2と屈折率差0.1以下の接着剤で、屈折率差0.1以下のダブプリズムを貼り付ける。
【0141】
プリズムの材質としては水晶や一般の透明ガラスが使える。接着剤としてはUV硬化樹脂サンラッドRC-610Rが使える。水晶製ダブプリズムとPMMA製回折格子の裏面との間に媒体3としてUV硬化樹脂(サンラッドRC-610R)、水、ヘキサンをはさんだところ、UV硬化樹脂に比べ水やヘキサンでは反射率が明らかに大きくなることが目視で確認された。
【0142】
屈折率は水晶1.46、PMMA1.49、ヘキサン1.375、UV硬化樹脂1.52であるので、実験結果は図21の計算結果を裏付けている。さらに、反射率の測定は次のように行う。アルゴンレーザーで514.5nmの強い光を入射させる。凹凸は異方性を考慮して適宜回転させ、必要ならば複数の回転角度で測定する。
【0143】
偏光子を途中に入れ、異方性の短軸に電場が平行な場合と垂直な場合について測定し、後で平均する。異方性の短軸とは平均周期が最も短くなる軸である。パワーメータで、ほぼ半円状に一定間隔ごとに測定する。間隔は十分短くして誤差を小さくする。表面の反射点からの距離とパワーメータの受光素子の大きさを考慮して、各点の反射率の合計を算出する。回折パターンが明瞭な場合には、各回折角にパワーメータの位置を合わせる。各回折効率の和を計算する。
【0144】
正反射の測定位置は無視するか、凹凸表面を5.6°傾けて正反射光を測定し、代わりの値とする。測定値のバックグラウンド補正は適宜行う。格子形状が周期10μm深さ7μmの二等辺三角形をしており、基材の厚みは2mmであり、また、中心線平均表面粗さが60nmである縞状のアクリル製回折格子についてこの測定を試しに行った。その結果、TEモードとTMモードの平均は反射防止用途として十分小さい反射率0.4%が得られた。この値はRCWAの計算結果0.4%と一致した。
【0145】
図28は、回折による色づきや虹の測定方法を示す図である。虹の評価は目視で行った。イルミネータからフレキシブルライトガイドを通して出てきた光を使う。光はアイリス絞り、レンズ1、レンズ2を通して集光し、回折格子に当てる。レンズ1で光を平行化した。レンズ2は焦点距離100mm、直径80mmである。回折格子で透過および反射して、白紙に当てた。
【0146】
イルミネータはハロゲンランプを用い、光強度を大きくして白色に近づける。イルミネータのハロゲンランプから出た光を、回折格子から10cm離れたところに白色の紙を置いて照射し、もっとも明るいところから±5°の範囲の色を観察する。虹が出ているときは、光の角度分散により、白色光が緑や赤や青に分離して見える。媒体2は回折格子で、格子の形状は二等辺三角形で、基材の厚みは2mmである。媒体1は空気である。
【0147】
入射光を拡散光とする場合には拡散体をなるべく回折格子に近いところに挿入し、拡散体としてはEdmund Optics社のground glassを用いた。周期の異なる回折格子による色づきの変化を目視で調べた。その結果を図29の表2にまとめた。格子のアスペクト比は、周期10μmは0.7でそれ以外は0.48である。
【0148】
Case A、Case Bについて、入射光が平行・拡散、反射・透過、垂直入射・斜め45°入射の場合について検討した。垂直入射は回折格子の表面に対して光が垂直に入射した。拡散体を光路に入れない場合を‘平行’とした。周期3μmでは拡散光に対してだけが、回折光が白色となっており、たとえば、発光体の拡散光の反射率防止用途に使えるが、一般のディスプレイには使えない。一方、周期5μm以上では大抵の用途に使えることが分かる。実験では、アスペクト比が1以下ではΛ/λが9近傍で反射率の波長依存性が小さいことから、図13、14の計算結果を裏付けている。
【0149】
図30は、界面が媒体2の凹凸面とその裏面である場合の反射率の測定方法である。媒体1と3は空気である。反射率の算出は裏面がない場合と同様である。格子は二等辺三角形をしており、アスペクト比は0.48であり、周期と基材厚が異なる。UV硬化したアクリル樹脂からなる縞状の回折格子で屈折率1.52である。媒体1の空気から媒体2の表面の凹凸に光が入る。
【0150】
He-Neレーザーで632.8nmの強い光を入射させる。正反射を除く全反射率について、TEモードとTMモードの比を測定した結果、図31の表3のようになった。計算結果とよく一致しており、また、いずれもTEモードのほうがTMモードより2倍程度反射率が大きい。したがって、TMモードの透過光だけが必要な場合にこの凹凸を使うことができる。
【0151】
なお、この比率はアスペクト比を上げれば高くすることができ、アスペクト比が2で比率を10程度にできる。膜厚は共焦点顕微鏡で測定した後、TE/TMの比が実験と計算でよく合う膜厚を測定値±0.1μm以内で探した。TE/TMの全反射率の計算値は、膜厚のばらつきを考慮し、±0.05μmの2点を加えた3点で平均を計算した。膜厚は図32の表4のようになった。
【0152】
(RCWAによる屈折率の影響の検討)
屈折率を変えて、入射方向、形状、入射角度範囲、偏光などの異なる条件での媒体1と媒体2の界面での全反射率を調べ、屈折率の影響を検証した。矩形の格子形状のCaseAでは図33のようになる。
【0153】
図34の表5は媒体1を屈折率1と媒体2を屈折率1.5または3の格子とし、媒体1と媒体2の界面のみの条件下で計算した結果である。形状は深さd/周期Λが同じ、鋸歯および矩形について検討した。屈折率が変わっても、CaseA、Bともに、平行光に対する鋸歯は矩形よりも全反射率は小さいことがわかる。拡散光についてもCaseAでは鋸歯は矩形よりも全反射率が小さい。
【0154】
(製作)
次に反射防止構造の作成方法について以下説明する。この作成方法は、回折格子の金型を作製し、それをUV硬化樹脂150へ転写および硬化し、ディスプレイのフロントパネルなどに貼り付けるという一連の工程から成る。以下、各工程についてさらに詳細に説明する。
【0155】
(1)金型の作製は、次のようにする。機械加工で作成する場合、例えば、ファナックや東芝機械、ナガセインテグレックスの超精密微細溝加工機を使える。機械加工に用いるダイヤモンドバイトは、溝形状にあわせて適宜加工する。より具体的には例えば次のように加工できる。
【0156】
装置は非接触油静圧軸受を持つナガセインテグレックス製NIC-200を用いる。温度を23±0.1℃、湿度を40±10%とする。金型の材質は銅またはNi-Pを用いる。銅ではバイト加工後に、腐食を防ぐために0.5ミクロン前後の厚さでメッキする。
【0157】
(2)転写は、次のようにする。UV硬化樹脂150を用いて金型から凹凸を転写する。UV硬化樹脂150としては硬化後10μm厚でヘーズが1%以下のものが望ましい。例えば、三洋化成製サンラッドや日立化成工業製ヒタロイドを使える。無溶剤型で一液硬化するものを使う。さらに、樹脂の耐熱性が必要な場合には、旭電化のシリコーン系絶縁透明コーティング材料であるFX-V550を用いても良い。
【0158】
(3)UV硬化は、紫外線露光装置を使用して行い、露光装置としては、ハリソン東芝ライティングの紫外線露光装置や大日本スクリーンのマスクアライナーが使える。光源は高圧水銀灯である。また、図11、図12に示すように、紫外線硬化樹脂150を乗せるベースフィルム160としては.帝人デュポンフィルムのFT3や東洋紡製PETフィルムA4300を使える。
【0159】
(4)UV硬化は、樹脂を金型にたらしてから、ベースフィルムを乗せ、フィルム表面をこすってならし、紫外線照射による露光を行う。酸素阻害のある樹脂の場合は窒素気流中で露光する。より具体的には例えば、次のように行う。装置はミカサ株式会社製マスクアライナーM-2L型を用いる。超高圧水銀灯のランプ電流を6.3A、ランプ電圧を40Vとする。露光時間は35秒とする。
【0160】
(5)凹凸形状の測定は次のように行う。転写されたフィルムの断面を、カッターやはさみの他、集束イオンビームを用いて切り出す。フィルムを液体窒素で固めて、カッターで断面を切り出してもよい。
【0161】
(6)次に、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)でこの断面の深さや形状を測定する(この工程については、Yoshiaki Kanamori とKazuhiro Hane:”Broadband Antireflection Subwavelength Gratings for Polymethyl Methacrylate Fabricated with Molding Technique.”、Optical Review、Volume 9、Issue 5 、2002年、p .183~p .185参照)。なお、SEMとしては、日立走査電子顕微鏡 S-3600N やTechnex Co. Ltd 製TINY-SEMが使える。
【0162】
(7)他方、周期と表面粗さの測定にはAFM(Atomic Force Microscopy)を用いる。AFMはSeico Instruments のNanopicsが使える。表面粗さを測定する場合、その測定長さは平均周期の3~4倍とする。縞状の回折格子の場合、平均周期は縞と垂直な方向で決める。一方、表面粗さは縞と平行な方向で決める。山と谷の中間部分で溝に平行に粗さを計る。碁盤目格子状の回折格子の場合、平均周期が最も短くなる方向で、周期の値を定める。
【0163】
(8)表面粗さの測定は、平均周期が最も短くなる方向と垂直な方向で行う。カットオフ値を平均周期の半分として、測定した全長さが平均周期の3~4倍となるようにする。ここで用いる表面粗さは中心線平均表面粗さである。ここでの定義は、測定長さとカットオフ値以外は日本工業規格JISに準拠している。
【0164】
(9)図12に示すように、反射防止構造を使用するに際して、ベースフィルム160と発光ダイオード190の発光面を貼り付けるためには透明な粘着フィルムまたは粘着剤170を用いる。粘着フィルムとしては1μm厚でヘーズが1%以下のものが好ましい。また、屈折率は反射率を低減するためにベースフィルム160と発光面の平均くらいのものが好ましい。
【0165】
例えば、リンテック製の透明な両面粘着テープ、日立化成工業製の光学機能シート用粘着フィルムが使える。また、耐熱性が必要な場合には住友3Mのアクリル系粘着剤Y-9479や東レ・ダウコーニング製の付加反応型シリコーン粘着剤SD4592が使える。これらをロールラミネータやゴムのローラーを用いて気泡が入らないように貼り付ける。
【0166】
最終使用形態が微細な素子の場合にはさらにダイサーを用いて切り出す。
【0167】
(比較例との比較)
以上の製作工程で得られた、凹凸の界面60は、光を拡散し、低反射率であり、白色光を当てても虹は視認されず、カラーフィルタマトリクスなど画素との干渉によるモアレも生じない。それと比較して、従来の回折格子や拡散体の特性は以下の通りである。
【0168】
(1)波長の1/2以下の溝幅を持つ周期的回折格子では、光を拡散しない。
(2)ホログラム拡散体は、界面における光の反射率が2%以上ある。
(3)周期が60λ以上の周期的な格子溝を持つプリズムシートは画素のカラーフィルタと干渉してモアレを生じる。
【0169】
一方、表2から分かるように、周期1.8以上では虹はでない。また、図30の測定結果からわかるように全反射率0.4%と反射防止に十分な反射率が得られる。また、液晶ディスプレイのカラーフィルタとの干渉でモアレが生じることもない
【0170】
以上、本発明を実施するための最良の形態を実施の形態、実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施の形態、実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな態様があることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0171】
以上の構成から成る本発明に係る反射防止構造は、各種平面ディスプレイ、太陽電池パネル、発光素子など広い分野で適用可能である。特に、大面積あるいは安価な反射防止構造として有用である。有機や無機の発光素子の出射面に請求項1ないし5記載の反射防止構造を、粘着あるいは接着フィルムを介して貼り付けることで、界面反射率を低減した発光素子として適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1】本発明の原理を説明する図であり、二つの異なる形状の凹凸を1周期とする場合の各凹凸の頂点を規定する図である。
【図2】凹凸の平均溝幅および平均深さdを定めるための補助線の引き方を示す図である。
【図3】実施の形態1を説明する図であり、深さ方向に不連続な屈折率変化をする凹凸を示す図である。
【図4】実施の形態1を説明する図であり、溝の谷底の幅方向の位置を示す図である。
【図5】実施の形態3を説明する図であり、入射角、反射角、透過回折角を示す図である。
【図6】透過回折角の回折次数を示す図である。
【図7】実施の形態3、4を説明する図であり、周期がΛ、溝深さがdで基材厚がdの格子フィルムを示す断面図である。
【図8】実施の形態3を説明する図であり、溝形状が同じで異なる基材厚の格子フィルムの散乱光の電場強度分布を示す図である。
【図9】実施の形態4を説明する図であり、溝の形状を示す図である。
【図10】実施の形態4を説明する図であり、溝の形状を示す図である。
【図11】実施の形態6を説明する図であり、ディスプレイ前面パネルに貼り付けた凹凸を示す図である。
【図12】実施の形態7を説明する図であり、発光素子表面に貼り付けた凹凸を示す図である。
【図13】本発明の実施例を説明する図であり、光が屈折率1の媒体から1.5の媒体へ進むときの各d/Λ に対する反射率の周期性を示す図である。
【図14】本発明の実施例を説明する図であり、光が屈折率1.5の媒体から1の媒体へ進むときの各d/Λ に対する反射率の周期性を示す図である。
【図15】本発明の実施例を説明する図であり、Λ/λの範囲が 4.5 から9であるときの各d/Λについての標準偏差/平均の値を示す表1である。
【図16】本発明の実施例を説明する図であり、周期がΛで溝幅の異なる相似形の格子を示す断面図である。
【図17】本発明の実施例を説明する図であり、同じ三角形を1周期とする回折格子と、異なる2種の三角形を1周期とする回折格子の回折角度分布の比較を示す図である。
【図18】本発明の実施例を説明する図であり、一周期では左右対称の不等辺三角形の格子を示す断面図である。
【図19】本発明の実施例を説明する図であり、二等辺三角形と不等辺三角形の回折格子の回折角度分布の比較を示す図である。
【図20】本発明の実施例を説明する図であり、媒体2の裏面つき回折格子と媒体3、4の層を示す断面図である。
【図21】本発明の実施例を説明する図であり、媒体2の凹凸の裏面に接する媒体3の屈折率を変化させたときの全反射率を示す図である。
【図22】本発明の実施例を説明する図であり、溝と斜面への入射角の関係を示す断面図である。
【図23】本発明の実施例を説明する図であり、アスペクト比を変えたときの反射率変化を示す図である。
【図24】本発明の実施例を説明する図であり、先すぼまりの形状
【図25】本発明の実施例を説明する図であり、先すぼまりの3条件について反射率を計算した結果
【図26】本発明の実施例を説明する図であり、相似な三角形を一周期とする凹凸を示す図である。
【図27】本発明の実施例を説明する図であり、界面が凹凸面だけの場合の全反射率の測定方法を示す図である。
【図28】本発明の実施例を説明する図であり、回折による色づきや虹の測定方法を示す図である。
【図29】本発明の実施例を説明する図であり、周期の異なる回折格子による色づきの変化を示す表2である。
【図30】本発明の実施例を説明する図であり、界面が媒体2の凹凸面とその裏面である場合の反射率の測定方法を示す図である。
【図31】本発明の実施例を説明する図であり、正反射を除く全反射率について、TEモードとTMモードの比を測定した結果を示す表3である。
【図32】本発明の実施例を説明する図であり、基材の厚さdsの測定および計算結果を示す表4である。
【図33】矩形格子形状の断面図である。
【図34】入射方向、形状、屈折率、入射角度範囲、偏光などの異なる条件での媒体1と2の界面での全反射率を示す表5である。
【符号の説明】
【0173】
10 最表面平均値
20 最表面平均値-λ×1.5
30 深さ1/2の線
40 谷底の線
50 谷底を示す円
60 媒体1と2の界面の凹凸
61 m個で左右対称となる任意の三角形
60 凹凸の界面
70 溝幅
80 不連続な屈折率変化
90 入射光
100 反射光
110 透過回折光
120 垂直入射光
130 凹凸の山と谷を結ぶ線
140 1/2の線
150 媒体2のUV硬化樹脂
160 媒体3のベースフィルム(PETフィルム等)
170 媒体4の粘着フィルムまたは粘着剤
180 媒体5のディスプレイパネル
190 発光素子
200 回折格子フィルムの媒体2
210 屈折率可変の媒体3
215 基材厚ゼロの回折格子
220 ダブプリズム
230 UV硬化樹脂
240 反射光
250 透過光
260 イルミネータ
270 フレキシブルライトガイド
280 アイリス絞り
290 レンズ1
300 レンズ2
310 拡散体
320 回折格子
330 ライトスポット
340 白い紙
350 矩形の格子の媒体2
θi 入射角
θr 反射角
θt 透過回折角
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
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【図13】
12
【図14】
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【図15】
14
【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
18
【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
33