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明細書 :表面硬さ測定装置とその測定方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3908578号 (P3908578)
公開番号 特開2003-287483 (P2003-287483A)
登録日 平成19年1月26日(2007.1.26)
発行日 平成19年4月25日(2007.4.25)
公開日 平成15年10月10日(2003.10.10)
発明の名称または考案の名称 表面硬さ測定装置とその測定方法
国際特許分類 G01N   3/40        (2006.01)
FI G01N 3/40 Z
請求項の数または発明の数 6
全頁数 13
出願番号 特願2002-092086 (P2002-092086)
出願日 平成14年3月28日(2002.3.28)
審査請求日 平成17年3月22日(2005.3.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】曽根 康友
【氏名】鈴木 政治
個別代理人の代理人 【識別番号】100104064、【弁理士】、【氏名又は名称】大熊 岳人
審査官 【審査官】福田 裕司
参考文献・文献 特開2000-214015(JP,A)
特開2000-035393(JP,A)
実開昭63-054052(JP,U)
実開昭57-186844(JP,U)
実開昭55-014847(JP,U)
調査した分野 G01N 3/40
特許請求の範囲 【請求項1】
測定子を略一定速度で降下させて、測定対象物の表面にこの測定子の接触部を略均一の圧力で面接触するように加圧したときに、この測定対象物からこの測定子に作用する荷重に基づいて、この測定対象物の表面硬さを測定する表面硬さ測定装置であって、
前記測定対象物の表面に前記接触子が接触してからこの測定対象物内をこの接触子が通過するときの前記荷重の時間変化に基づいて、この測定対象物の表面硬さを評価する評価手段を備え、
前記評価手段は、前記測定子が前記測定対象物の硬化層を破ったときの荷重の大きさと、前記測定対象物の表面に前記測定子が接触してから前記硬化層を通過するまでの時間とに基づいて、この測定対象物の表面硬さを評価すること、
を特徴とする表面硬さ測定装置。
【請求項2】
測定子を略一定速度で降下させて、測定対象物の表面にこの測定子の接触部を略均一の圧力で面接触するように加圧したときに、この測定対象物からこの測定子に作用する荷重に基づいて、この測定対象物の表面硬さを測定する表面硬さ測定装置であって、
前記測定対象物の表面に前記接触子が接触してからこの測定対象物内をこの接触子が通過するときの前記荷重の時間変化に基づいて、この測定対象物の表面硬さを評価する評価手段を備え、
前記評価手段は、前記荷重の時間変化を示す曲線の傾き、前記測定対象物の表面に前記測定子が接触してから前記荷重の時間変化を示す曲線の変曲点までの時間、又は前記測定対象物の表面に前記測定子が接触してからこの測定対象物内を通過するまでの時間に基づいて、この測定対象物の表面硬さを評価すること、
を特徴とする表面硬さ測定装置。
【請求項3】
測定子を略一定速度で降下させて、測定対象物の表面にこの測定子の接触部を略均一の圧力で面接触するように加圧したときに、この測定対象物からこの測定子に作用する荷重に基づいて、この測定対象物の表面硬さを測定する表面硬さ測定装置であって、
前記測定対象物の表面に前記接触子が接触してからこの測定対象物内をこの接触子が通過するときの前記荷重の時間変化に基づいて、この測定対象物の表面硬さを評価する評価手段を備え、
前記評価手段は、前記荷重の時間変化を示す曲線の極大値と極小値との間の差に基づいて前記測定対象物の表面硬さを評価すること、
を特徴とする表面硬さ測定装置。
【請求項4】
測定子を略一定速度で降下させて、測定対象物の表面にこの測定子の接触部を略均一の圧力で面接触するように加圧したときに、この測定対象物からこの測定子に作用する荷重に基づいて、この測定対象物の表面硬さを測定する表面硬さ測定方法であって、
前記測定対象物の表面に前記接触子が接触してからこの測定対象物内をこの接触子が通過するときの前記荷重の時間変化に基づいて、この測定対象物の表面硬さを評価する評価工程を含み、
前記評価工程は、前記測定子が前記測定対象物の硬化層を破ったときの荷重の大きさと、前記測定対象物の表面に前記測定子が接触してから前記硬化層を通過するまでの時間とに基づいて、この測定対象物の表面硬さを評価すること、
を特徴とする表面硬さ測定方法。
【請求項5】
測定子を略一定速度で降下させて、測定対象物の表面にこの測定子の接触部を略均一の圧力で面接触するように加圧したときに、この測定対象物からこの測定子に作用する荷重に基づいて、この測定対象物の表面硬さを測定する表面硬さ測定方法であって、
前記測定対象物の表面に前記接触子が接触してからこの測定対象物内をこの接触子が通過するときの前記荷重の時間変化に基づいて、この測定対象物の表面硬さを評価する評価工程を含み、
前記評価工程は、前記荷重の時間変化を示す曲線の傾き、前記測定対象物の表面に前記測定子が接触してから前記荷重の時間変化を示す曲線の変曲点までの時間、又は前記測定対象物の表面に前記測定子が接触してからこの測定対象物内を通過するまでの時間に基づいて、この測定対象物の表面硬さを評価すること、
を特徴とする表面硬さ測定方法。
【請求項6】
測定子を略一定速度で降下させて、測定対象物の表面にこの測定子の接触部を略均一の圧力で面接触するように加圧したときに、この測定対象物からこの測定子に作用する荷重に基づいて、この測定対象物の表面硬さを測定する表面硬さ測定方法であって、
前記測定対象物の表面に前記接触子が接触してからこの測定対象物内をこの接触子が通過するときの前記荷重の時間変化に基づいて、この測定対象物の表面硬さを評価する評価工程を含み、
前記評価工程は、前記荷重の時間変化を示す曲線の極大値と極小値との間の差に基づいて前記測定対象物の表面硬さを評価すること、
を特徴とする表面硬さ測定方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、測定対象物の表面に測定子を加圧したときにこの測定対象物からこの測定子に作用する荷重に基づいて、この測定対象物の表面硬さを測定する表面さ測定装置、及び測定対象物の表面硬さを測定するときに、この測定対象物の表面に測定子を加圧する加圧装置とこの測定子とを着脱自在に接続する表面硬さ測定用アダプタに関する。
【0002】
【従来の技術】
JIS K 2220には、ちょう度計を使用してグリースの硬さを測定するちょう度試験方法が規定されている。このちょう度計は、所定量の試料を載せる試料台と、試料に対して垂直に落下する円錐と、円錐の先端部が試料中に進入した深さを測定するダイヤルゲージなどを備えている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
グリースには、熱を受けると硬化するものがあり、特に表面だけが硬化するものもある。しかし、従来のちょう度計は、グリース全体の硬さを測定することを目的としており、グリースの表面硬さを測定することができず、グリースの表面硬さは測定者の感覚により評価されていた。
【0004】
この発明の課題は、測定対象物の表面硬さを簡単に評価することができる表面硬さ測定装置とその測定方法を提供することである。また、この発明の課題は、既存の加圧装置に装着して測定対象物の表面硬さを簡単に測定することができる表面硬さ測定用アダプタを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、測定子(2)を略一定速度で降下させて、測定対象物(G)の表面(G1 )にこの測定子の接触部を略均一の圧力で面接触するように加圧したときにこの測定対象物からこの測定子に作用する荷重に基づいて、この測定対象物の表面硬さを測定する表面さ測定装置であって、前記測定対象物の表面に前記接触子が接触してからこの測定対象物内をこの接触子が通過するときの前記荷重の時間変化に基づいて、この測定対象物の表面硬さを評価する評価手段(6)を備え、前記評価手段は、前記測定子が前記測定対象物の硬化層 (G2)を破ったときの荷重の大きさ(h1)と、前記測定対象物の表面 に前記測定子が接触してから前記硬化層 を通過するまでの時間(T0)とに基づいてこの測定対象物の表面硬さを評価することを特徴とする表面硬さ測定装置(1)である。
【0006】
請求項2の発明は、測定子(2)を略一定速度で降下させて、測定対象物(G)の表面(G1 )にこの測定子の接触部を略均一の圧力で面接触するように加圧したときに、この測定対象物からこの測定子に作用する荷重に基づいて、この測定対象物の表面硬さを測定する表面硬さ測定装置であって、前記測定対象物の表面に前記接触子が接触してからこの測定対象物内をこの接触子が通過するときの前記荷重の時間変化に基づいて、この測定対象物の表面硬さを評価する評価手段(6)を備え、前記評価手段は、前記荷重の時間変化を示す曲線の傾き、前記測定対象物の表面 に前記測定子が接触してから前記荷重の時間変化を示す曲線の変曲点(Linf)までの時間(T1)、又は前記測定対象物の表面 に前記測定子が接触してからこの測定対象物内を通過するまでの時間(T2)に基づいて、この測定対象物の表面硬さを評価することを特徴とする表面硬さ測定装置(1)である。
【0007】
請求項3の発明は、測定子(2)を略一定速度で降下させて、測定対象物(G)の表面(G1 )にこの測定子の接触部を略均一の圧力で面接触するように加圧したときに、この測定対象物からこの測定子に作用する荷重に基づいて、この測定対象物の表面硬さを測定する表面硬さ測定装置であって、前記測定対象物の表面に前記接触子が接触してからこの測定対象物内をこの接触子が通過するときの前記荷重の時間変化に基づいて、この測定対象物の表面硬さを評価する評価手段(6)を備え、前記評価手段は、前記荷重の時間変化を示す曲線の極大値(Lmax )と極小値(Lmin )との間の差(h2 )に基づいて前記測定対象物の表面硬さを評価することを特徴とする表面硬さ測定装置である。
【0008】
請求項4の発明は、測定子(2)を略一定速度で降下させて、測定対象物(G)の表面(G1)にこの測定子の接触部を略均一の圧力で面接触するように加圧したときにこの測定対象物からこの測定子に作用する荷重に基づいて、この測定対象物の表面硬さを測定する表面さ測定方法であって、前記測定対象物の表面に前記接触子が接触してからこの測定対象物内をこの接触子が通過するときの前記荷重の時間変化に基づいて、この測定対象物の表面硬さを評価する評価工程を含み前記評価工程は、前記測定子が前記測定対象物の硬化層(G2 を破ったときの荷重の大きさ(h1)と、前記測定対象物の表面 に前記測定子が接触してから前記硬化層 を通過するまでの時間(T0)とに基づいて、この測定対象物の表面硬さを評価することを特徴とする表面硬さ測定方法である。
【0009】
請求項5の発明は、測定子(2)を略一定速度で降下させて、測定対象物(G)の表面(G1)にこの測定子の接触部を略均一の圧力で面接触するように加圧したときに、この測定対象物からこの測定子に作用する荷重に基づいて、この測定対象物の表面硬さを測定する表面硬さ測定方法であって、前記測定対象物の表面に前記接触子が接触してからこの測定対象物内をこの接触子が通過するときの前記荷重の時間変化に基づいて、この測定対象物の表面硬さを評価する評価工程を含み、前記評価工程は、前記荷重の時間変化を示す曲線の傾き、前記測定対象物の表面 に前記測定子が接触してから前記荷重の時間変化を示す曲線の変曲点(Linf)までの時間(T1)、又は前記測定対象物の表面 に前記測定子が接触してからこの測定対象物内を通過するまでの時間(T2)に基づいて、この測定対象物の表面硬さを評価することを特徴とする表面硬さ測定方法である。
【0010】
請求項6の発明は、測定子(2)を略一定速度で降下させて、測定対象物(G)の表面(G1)にこの測定子の接触部を略均一の圧力で面接触するように加圧したときに、この測定対象物からこの測定子に作用する荷重に基づいて、この測定対象物の表面硬さを測定する表面硬さ測定方法であって、前記測定対象物の表面に前記接触子が接触してからこの測定対象物内をこの接触子が通過するときの前記荷重の時間変化に基づいて、この測定対象物の表面硬さを評価する評価工程を含み、前記評価工程は、前記荷重の時間変化を示す曲線の極大値(Lmax )と極小値(Lmin )との間の差(h2 )に基づいて前記測定対象物の表面硬さを評価することを特徴とする表面硬さ測定方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の実施形態に係る表面硬さ測定装置の正面図である。図2は、この発明の実施形態に係る表面硬さ測定装置の側面図である。図3は、この発明の実施形態に係る表面硬さ測定装置に使用されるアダプタの断面図である。
【0013】
測定対象物Gは、表面G1 が内部に比べて硬くなるグリースなどの試料である。測定対象物Gは、所定の大きさの膜を形成するように鋼板S上に塗布される。鋼板Sは、測定対象物Gを載せる部材である。鋼板Sは、研磨紙によって表面が研磨された鋼板などである。
【0014】
表面硬さ測定装置1は、測定対象物Gの表面G1 に測定子2を加圧したときにこの測定対象物Gからこの測定子2に作用する荷重に基づいて、この測定対象物Gの表面硬さを測定する装置である。表面硬さ測定装置1は、図1及び図2に示すように、測定子2と、アダプタ3と、加圧装置4と、検出装置5と、評価装置6と、記憶装置7と、表示装置8などから構成されている。
【0015】
測定子2は、測定対象物Gと加圧接触する部材である。測定子2には、図3に示すように、測定対象物Gの表面G1 と面接触する平坦面を有する円板状の接触部2aと、この接触部2aの中心から突出した軸部2bとが形成されており、軸部2bの端部には雄ねじ部2cが形成されている。測定子2は、アルミニウム又は黄銅などの錆び難い軽量金属によって形成されている。この実施形態では、従来のちょう度計における円錐のように先端部が点接触する場合に比べて、測定子2と表面G1 との間の面圧を均一にすることができ、表面硬さに応じて測定対象物G内に測定子2を沈み込ませることができる。
【0016】
アダプタ3は、測定対象物Gの表面硬さを測定するときに、測定子2と加圧装置4とを着脱自在に接続する装置である。アダプタ3は、例えば、既存の材料試験機などを利用して測定対象物Gの表面硬さを測定するときに、この材料試験機に測定子2を装着するための表面硬さ試験用のアダプタである。アダプタ3は、図3に示すように、固定部材31と支持部材32とから構成されている。アダプタ3は、測定子2と同様に軽量金属によって形成されている。
【0017】
固定部材31は、測定子2及び検出装置5を固定する部材である。固定部材31には、検出装置5を固定する円板状の固定部31aと、この固定部31aの中心から突出した軸部31bとが形成されている。軸部31bの端部には、測定子2の雄ねじ部2cと噛み合う雌ねじ部31cが形成されている。
【0018】
支持部材32は、固定部材31を支持する部材である。支持部材32は、検出装置5を保持する保持部32a,32bと、保持部32aと保持部32bとを着脱自在に固定するねじ32cとを備えている。保持部32aには、円板部32dと、この円板部32dの中心から突出した円筒部32eと、この円板部32dをねじ32cが貫通する貫通孔32fとが形成されている。円筒部32eの内周部には、雌ねじ部32gが形成されている。保持部32bには、円筒部32hと、この円筒部32hを貫通する貫通孔32iと、固定部材31の固定部31aを支持する円環部32jとが形成されており、円筒部32hの端部にはねじ32cと噛み合う雌ねじ部32kが形成されている。
【0019】
図1及び図2に示す加圧装置4は、測定対象物Gの表面G1 に測定子2を加圧する装置である。加圧装置4は、測定子2を略一定速度で降下して測定対象物Gの表面G1 と接触部2aとが略均一の圧力で面接触するように加圧する。加圧装置4は、図1及び図2に示すように、テーブル41と、支柱42と、昇降機構部43と、昇降軸44と、操作レバー45と、固定ノブ46と、調整つまみ47と、目盛板48と、重錘49とを備えている。
【0020】
テーブル41は、鋼板Sを載せる試料台である。支柱42は、昇降機構部43を上下方向にスライド自在にガイドするガイド部材であり、テーブル41に固定されている。昇降機構部43は、昇降軸44を昇降動作させる装置であり、支柱42に支持されている。昇降軸44は、上下方向に移動する軸部材であり、昇降軸44の下端部には図3に示す支持部材32の雌ねじ部32gと噛み合う雄ねじ部44aが形成されている。操作レバー45は、昇降軸44を昇降動作させるときに操作する部材であり、昇降軸44を降下させるときには降下位置PDに操作され、昇降軸44を上昇させるときには上昇位置PU に操作される。固定ノブ46は、昇降機構部43を支柱42に固定する部材であり、昇降機構部43の高さを調節した後に締め付けられる。調整つまみ47は、昇降軸44の降下速度を調整するときに操作する部材であり、回転位置に応じて昇降軸44の降下速度を調整する。目盛板48は、昇降軸44の降下速度を表示する部材である。重錘49は、昇降軸44の降下速度を速くしたいときに装着される部材であり、昇降軸44の上端部に着脱自在に装着される。
【0021】
検出装置5は、測定対象物Gから測定子2に作用する荷重を検出する装置である。検出装置5は、図3に示すように、保持部32aと保持部32bとの間の間隙部に収容されている。検出装置5は、測定子2に作用する荷重によって生ずる歪みを電気信号に変換して出力するロードセルなどの機械電気変換部である。検出装置5は、測定子2に作用する荷重を受けるロードボタン5aと、図3に示す貫通孔32iを通過するケーブル線5bなどを備えている。検出装置5は、ロードボタン5aと保持部32aとの間に僅かに間隙(がた)が形成されるようにアダプタ3内に収容されている。固定部31aの外周面と保持部32bの内周面との間の隙間は非常に小さくすることが好ましい。このように構成することで、ヘッド部に相当する固定部材31が首を振って誤差を生ずることが防止される。
【0022】
図1及び図2に示す評価装置6は、測定対象物Gの表面G1 に接触子2が接触してからこの測定対象物G内をこの接触子2が通過するときの荷重の時間変化に基づいて、この測定対象物Gの表面硬さを評価する装置である。評価装置6は、測定対象物Gの表面G1 に測定子2が接触してからこの測定対象物Gの硬化層をこの接触子2が通過するまでの荷重の時間変化に基づいて、この測定対象物Gの表面硬さを評価する。また、評価装置6は、荷重の時間変化を示す曲線(荷重-時間曲線)の極大値と極小値との間の差に基づいて測定対象物Gの表面硬さを評価する。評価装置6は、例えば、記憶装置7が記憶する評価基準データを読み出して検出装置5が検出した測定データと比較し、測定対象物Gの硬さを相対的に評価する。
【0023】
記憶装置7は、検出装置5が検出した荷重の時間変化を示す曲線や評価装置6の評価結果などを記憶するメモリである。表示装置8は、これらの曲線や評価結果などを表示する装置である。
【0024】
図4は、この発明の実施形態に係る表面硬さ測定装置の測定結果を一例として示す図である。
図4に示す縦軸は、検出装置5が検出した荷重の大きさ(荷重値)を示し、横軸は時間Tを示す。時間T0 は、測定対象物Gの表面G1 に測定子2が接触してからこの表面G1 の硬化した部分をこの測定子2が通過するまでの時間である。時間T1 は、測定対象物Gの表面G1 に測定子2が接触してから測定対象物G内をこの測定子2が沈み込んでいく時間であり、荷重の時間変化を示す曲線の変曲点(荷重が急激に増加を開始する点)Linf までの時間である。時間T2 は、測定子2が測定対象物Gの表面G1 に接触してこの測定対象物G内を通過し鋼板Sと接触するまでの時間である。高さHは、測定子2が鋼板Sと接触したときの荷重の大きさである。高さh1 は、測定対象物Gの表面G1 に測定子2が接触して測定対象物Gの硬化した部分を破ったときの荷重の大きさである。高さh2 は、荷重の時間変化を示す曲線の極大値Lmax と極小値Lmin との間の差である。
【0025】
次に、この発明の実施形態に係る表面硬さ測定装置による表面硬さの評価方法を説明する。
図5は、この発明の実施形態に係る表面硬さ測定装置の測定子が降下してからこの測定対象物内を通過するまでの動作を模式的に示す図である。
図1及び図2に示す昇降機構部43を支柱42に沿ってスライドさせて昇降機構部43の高さを調節した後に、固定ノブ46を締め付けて昇降機構部43を位置決めする。そして、調整つまみ47を回転して昇降機構部43内のエアダンパの吸気口開度を調整し、昇降軸44の降下速度を調整する。また、測定対象物Gを鋼板Sの表面に塗布して、テーブル41上にこの鋼板Sを設置する。
【0026】
図1及び図2に示す操作レバー45を上昇位置PU から降下位置PD に操作すると、図5に示す位置P0 から測定子2が降下を開始する。このとき、昇降機構部43内のエアダンパには測定子2、アダプタ3及び昇降軸44などの昇降部分の自重が作用して、測定子2が略一定速度で降下する。測定子2が位置P0 から降下して測定対象物Gの表面G1 と位置P1 で接触すると、接触部2aが表面G1 を加圧しながら押し下げる。このとき、測定子2から測定対象物Gに加圧力が作用するとともに、測定対象物Gから測定子2にこの加圧力による反力が作用する。
【0027】
測定子2が測定対象物Gの表面G1 と位置P1 で接触すると、接触部2aが測定対象物Gを略均一に加圧しながら測定対象物G内を沈下して、測定対象物Gの硬化層G2 を通過して硬化層G2 と軟化層G3 との境界の位置P2 に達する。このとき、測定対象物Gから測定子2に作用する反力を検出装置5が検出すると、図4に示すように荷重の大きさが高さh1 に達する。このため、荷重の大きさの変化を検出することで、測定子2が測定対象物Gの表面G1 に接触してから硬化層G2 を通過するまでの時間T0 が分かる。また、高さh1 が高いときには表面G1 が硬化しており高さh1 が低いときには表面G1 が硬化していないと考えられ、時間T0 が長いときには硬化層G2 が厚く時間T0 が短いときには硬化層G2 が薄いと考えられる。
【0028】
図5に示すように、測定子2が位置P2 からさらに降下すると、硬化層G2 から軟化層G3 内に測定子2が進入して鋼板Sと接触し停止する。図5に示す接触部2aが硬化層G2 を破り軟化層G3 に進入すると検出装置5に作用する荷重が僅かに減少するため、図4に示す時間T0 から時間T1 までの間に、荷重の時間変化を示す曲線が極大値Lmax から極小値Lmin まで低下して谷部分を描くことがある。このため、高さh2 が高いときには表面G1 のみが硬化しており内部がそれほど硬化してないと考えられ、高さh2 がゼロに近い(低い)ときには表面G1 がそれほど硬化してないと考えられる。
【0029】
時間T1 から時間T2 までの間に接触子2が鋼板Sに到達するが、測定対象物Gの内部が硬化している場合には硬化層G3 を掻き分けながら鋼板Sに到達する。その結果、図4に示すように、荷重の大きさが増加して高さhから高さHに達する。高さHは測定子2が鋼板Sに接触したときの荷重の大きさであり、この荷重の大きさは測定子2、アダプタ3及び昇降軸44などの昇降部分の自重に等しい。図4に示す時間T2 が長いときや、荷重の時間変化を示す曲線の傾きが小さいときには測定対象物Gの内部が硬く、時間T2 が短いときや曲線の傾きが大きいときには、測定対象物Gの内部が柔らかいと考えられる。また、時間T2 に比べて時間T1 が長いときには、表面G1 のみが硬化しており、時間T1 ,T2 が長いときには測定対象物G全体が硬いと考えられる。なお、測定対象物Gを鋼板Sに塗布せずに測定子2を鋼板Sに直接接触させると、図4に示す高さh1 =0の曲線が検出される。
【0030】
この発明の実施形態に係る表面硬さ測定装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この実施形態では、測定対象物Gの表面G1 に接触子2が接触してからこの測定対象物G内をこの接触子2が通過するときの荷重の時間変化に基づいて、この測定対象物Gの表面硬さを評価装置6が評価する。その結果、測定対象物Gの表面硬さが評価されて、使用や保存などにより表面が硬化しないグリースを開発する際の指標を得ることができる。
【0031】
(2) この実施形態では、測定対象物Gの表面G1 に測定子2が接触してからこの測定対象物Gの硬化層G2 をこの接触子2が通過するまでの荷重の時間変化に基づいてこの測定対象物Gの表面硬さを評価装置6が評価する。このため、この荷重の時間変化を示す曲線の荷重値が大きいときには、表面G1 が硬化しており、この荷重値が小さいときには表面G1 が硬化していないと評価することができる。また、この荷重の時間変化を示す曲線の時間T0 が長いときには硬化層G2 が厚く、この時間T0 が短いときには硬化層G2 が薄いと評価することができる。
【0032】
(3) この実施形態では、荷重の時間変化を示す曲線の極大値Lmax と極小値Lmin との間の差(高さh2 )に基づいて測定対象物Gの表面硬さを評価装置6が評価する。このため、高さh2 が高いときには硬化層G2 の表面G1 側が硬化しており内部がそれほど硬化してないと評価することができる。また、高さh2 が低いときには硬化層G2 がそれほど硬化していないか測定対象物G内も硬化していると評価することができる。
【0033】
(4) この実施形態では、加圧装置4と測定子2とを着脱自在にアダプタ3によって接続し、検出装置5を保持する保持部32a,32bをこのアダプタ3が備える。このため、既存の材料試験機などの構成を大幅に変更せずに材料試験機などにアダプタ3によって測定子2を装着して、測定対象物Gの表面硬さを安価で簡単に測定することができる。
【0034】
【実施例】
次に、この発明の実施例について説明する。
表1は、この発明の実施形態に係る表面硬さ測定装置によりグリースの表面硬さを測定したときの測定結果である。
【0035】
【表1】
JP0003908578B2_000002t.gif【0036】
表1に示す実施例1~3及び比較例1,2は、ウレアグリースAの測定結果であり、実施例4~6及び比較例3,4はウレアグリースBの測定結果である。Newは、グリースを塗布した後に室温で放置したものであり、Heat1は150℃で3時間加熱後に放置し冷却したものであり、Heat2は 150℃で20時間加熱後に放置し冷却したものである。ヘッドφは、図3に示す接触部2aの外径であり、実施例1~6はヘッドφ8mmで測定し、比較例1~4はヘッドφ5mmで測定した。また、縦80mm×横60mm×厚さ2mmの鋼板上に縦70mm×横50mm×厚さ3mmでグリースを塗布し、加熱装置には恒温槽(ヤマト科学0V400)を使用した。
【0037】
図6は、この発明の実施形態に係る表面硬さ測定装置によってウレアグリースAの表面硬さを測定したときのグラフであり、図6(A)~(C)は実施例1~実施例3のグラフであり、図6(D)(E)は比較例1,2のグラフである。図7は、この発明の実施形態に係る表面硬さ測定装置によってウレアグリースBの表面硬さを測定したときのグラフであり、図7(A)~(C)は実施例4~実施例6のグラフであり、図7(D)(E)は比較例3,4のグラフである。
【0038】
実施例1~3は、表6及び図6(A)~(C)に示すように、未加熱のものに比べて加熱時間が長いものほど高さh1 が高く時間T0 が長くなっており、加熱時間が長いものほど表面が硬化してグリース内部の硬化も進んでいることが分かる。実施例4~6についても、表6及び図7(A)~(C)に示すように、実施例1~3と同様に加熱時間が長いと硬化する傾向がある。また、ウレアグリースBは、ウレアグリースAと比較して、感覚的に加熱放冷で表面が硬化しやすいと言われている。実施例1~3に比べて実施例4~6は高さh1 が高く時間T1 も長いため、ウレアグリースAに比べてウレアグリースBは硬くなり易い傾向があることが確認された。特に、実施例6は、長時間加熱しているため高さh2 が高く表面の硬化がかなり進んでいるものと考えられる。
【0039】
比較例1,2は、表6及び図6(D)(E)に示すように、実施例1~3に比べて高さh1 及び時間T0 に変化が余り見られない。このため、ヘッドφが小さく接触部2aとグリース表面との間の接触圧が大きい場合には、グリースの表面硬さを反映した結果とはならず、正確な測定が困難であることが分かる。一方、比較例3,4は、表6及び図7(D)(E)に示すように、比較例1,2に比べて高さh1 に僅かに変化が見られる。このため、ウレアグリースBのように表面が硬化し易いグリースを測定する場合には、ヘッドφの小さい接触部2aにより表面硬さを測定可能であると考えられる。
【0040】
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、測定対象物Gとしてグリースを例に挙げて説明したが、ボンド、パテ、接着剤、合成樹脂などの表面硬さを測定する場合についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、測定子2の先端部を円板状に形成しているが、測定子2を円柱状に形成してもよく、外径の異なる複数の測定子2を用意して測定対象物Gの種類に応じて交換してもよい。
【0041】
(2) この実施形態では、グリースを鋼材Sに塗布して表面硬さを測定する場合を例に挙げて説明したが、グリースの付着した軸受やグリースを収容するグリースカップなどをテーブル41に設置して表面硬さを測定してもよい。また、この実施形態では、昇降機構部43内のエアダンパによって測定子2の降下速度を調整しているが、昇降機構部43を省略して測定子2を自由落下させてもよい。さらに、この実施形態では、測定子2に作用する荷重の時間変化を検出しているが、測定子2の速度変化を検出して表面硬さを評価してもよい。
【0042】
(3) この実施形態では、測定対象物Gの表面硬さを評価装置6によって評価しているが、ペンレコーダなどの記録装置や測定装置によって荷重の時間変化を記録して測定対象物Gの表面硬さを利用者が机上で評価してもよい。また、この実施形態では、保持部32a,32bによって検出装置5を保持しているが、測定子2や固定部材31に歪みゲージを貼り付けてこれらによって検出装置5を保持してもよい。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によると、測定対象物の表面硬さを簡単に評価することができる。また、この発明によると、既存の加圧装置に装着して測定対象物の表面硬さを簡単に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態に係る表面硬さ測定装置の正面図である。
【図2】この発明の実施形態に係る表面硬さ測定装置の側面図である。
【図3】この発明の実施形態に係る表面硬さ測定装置に使用されるアダプタの断面図である。
【図4】この発明の実施形態に係る表面硬さ測定装置の測定結果を一例として示す図である。
【図5】この発明の実施形態に係る表面硬さ測定装置の測定子が降下してからこの測定対象物内を通過するまでの動作を模式的に示す図である。
【図6】この発明の実施形態に係る表面硬さ測定装置によってウレアグリースAの表面硬さを測定したときのグラフであり、(A)~(C)は実施例1~実施例3のグラフであり、(D)(E)は比較例1,2のグラフである。
【図7】この発明の実施形態に係る表面硬さ測定装置によってウレアグリースBの表面硬さを測定したときのグラフであり、(A)~(C)は実施例4~実施例6のグラフであり、(D)(E)は比較例3,4のグラフである。
【符号の説明】
1 表面硬さ測定装置
2 測定子
2a 接触部
3 アダプタ
4 加圧装置
5 検出装置
6 評価装置
31 固定部材
32 支持部材
32a,32b 保持部
G 測定対象物
1 表面
0 ,T1 ,T2 時間
H,h1 ,h2 高さ
max 極大値
min 極小値
inf 変曲点
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6