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明細書 :軌間可変機構付輪軸及び台車

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4216000号 (P4216000)
公開番号 特開2003-327121 (P2003-327121A)
登録日 平成20年11月14日(2008.11.14)
発行日 平成21年1月28日(2009.1.28)
公開日 平成15年11月19日(2003.11.19)
発明の名称または考案の名称 軌間可変機構付輪軸及び台車
国際特許分類 B61F   7/00        (2006.01)
FI B61F 7/00
請求項の数または発明の数 3
全頁数 7
出願番号 特願2002-140181 (P2002-140181)
出願日 平成14年5月15日(2002.5.15)
審査請求日 平成16年7月28日(2004.7.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
【識別番号】000002118
【氏名又は名称】住友金属工業株式会社
発明者または考案者 【氏名】岡本 勲
【氏名】藤田 豊志
【氏名】徳田 憲暁
【氏名】豊岡 友裕
【氏名】伊藤 智広
【氏名】山村 佳成
【氏名】和田 篤行
【氏名】角富 幸博
個別代理人の代理人 【識別番号】100060829、【弁理士】、【氏名又は名称】溝上 満好
【識別番号】100089462、【弁理士】、【氏名又は名称】溝上 哲也
【識別番号】100116344、【弁理士】、【氏名又は名称】岩原 義則
審査官 【審査官】西中村 健一
参考文献・文献 特開2001-018796(JP,A)
特開平10-217963(JP,A)
特開平10-297487(JP,A)
特開平06-270811(JP,A)
特開平10-278783(JP,A)
特開平08-253147(JP,A)
調査した分野 B61F 7/00
B61C 9/38-52
B60B 35/10
特許請求の範囲 【請求項1】
すべり軸受を介して車軸に取り付けられ、軌間に合わせて車軸の軸方向に移動した後、位置を固定される車輪に、車軸と車輪との間に設けられた回転トルク伝達機構により主電動機の回転トルクを伝達して車軸と車輪とを一体に回転させる構造とした軌間可変機構付輪軸において、
車軸の中央位置に歯車装置を嵌合配置し、車輪と歯車装置との間に回転トルク伝達機構を配置すると共に、車輪の位置固定装置を、車軸軸受を配置した車軸の軸端に設け、
かつ前記回転トルク伝達機構が、
前記歯車装置の大歯車のボスを両端に延出して形成したスリーブと、車輪を外嵌し内側にすべり軸受を圧入した外スリーブとの間に配置したころスプライン
または前記スリーブと内側にすべり軸受を圧入した車輪に取り付けたスリーブとの間に配置したころスプラインであることを特徴とする軌間可変機構付輪軸。
【請求項2】
すべり軸受を介して車軸に取り付けられ、軌間に合わせて車軸の軸方向に移動した後、位置を固定される車輪に、車軸と車輪との間に設けられた回転トルク伝達機構により主電動機の回転トルクを伝達して車軸と車輪とを一体に回転させる構造とした軌間可変機構付輪軸において、
車軸の中央位置に歯車装置を嵌合配置し、車輪と歯車装置との間に回転トルク伝達機構を配置すると共に、車輪の位置固定装置を、前記回転トルク伝達機構の外周位置に設け
かつ前記回転トルク伝達機構が、
前記歯車装置の大歯車のボスを両端に延出して形成したスリーブと、車輪を外嵌し内側にすべり軸受を圧入した外スリーブとの間に配置したころスプライン、
または、前記スリーブと、内側にすべり軸受を圧入した車輪に取り付けたスリーブとの間に配置したころスプラインであることを特徴とする軌間可変機構付輪軸。
【請求項3】
請求項1又は2記載の軌間可変機構付輪軸を備えたことを特徴とする台車。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車軸上に滑り軸受を介して設置された車輪が、異なる軌間に対しても対応が可能なように、車軸上を軌間に合わせて移動した後位置を固定される軌間可変機構付輪軸及びこの輪軸を備えた台車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばJR在来線の狭軌と新幹線の標準軌のように軌間寸法が異なるレール上の連続走行を可能とするために、軌間可変台車の開発が進んでいる。このうち、平行カルダン構造を用いた左右車輪一体回転式の台車は、図4に示したように、回転トルク伝達機構にころスプライン1を用い、車軸2からの動力を車輪3に伝達する構造が採用されている。
【0003】
すなわち、上記の構造の軌間可変台車は、車軸2に外嵌された外スリーブ4に車輪3、軸箱5が取り付けられており、これらが一体となって車軸2の軸方向に移動するようになっている。
【0004】
そして、前記外スリーブ4の軸端側と車軸2の端部に嵌められた内スリーブ6間にころスプライン1を配設することで、歯車装置を介して車軸2に伝えた主電動機の回転トルクを、内スリーブ6-ころスプライン1-外スリーブ4-車輪3へと伝え、軌間変換中は前記外スリーブ4の内側に圧入されたすべり軸受7の作用で車輪3が前記軸方向に移動するようになっている。
【0005】
また、前記した移動後における車輪3の位置固定は、軸箱5と軸箱はり10間で行い、それぞれに相対するように設けられた縦溝にロック用のスライドストッパを挿入する車輪位置固定装置11によって行なうようになっている。
【0006】
なお、図4中の8は外スリーブ4と軸箱5間に介設され、車軸2の負担荷重を受ける車軸軸受(ジャーナル軸受)、9は車軸2の端部に介設されたスラスト軸受である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、平行カルダン式駆動装置を有した輪軸一体回転式軌間可変台車は、駆動装置等を車輪間に構成するため、軌間変換量が大きい場合や、狭軌時の車輪間隔が狭い場合等では、車輪~車軸間の回転トルク伝達機構を車軸端に構成する必要があり、軸端に配置される車軸軸受は、この外周に取り付けられることになって、軸受径が拡大するため、使用時の周速度が大きくなり軸受温度が上昇して、高速走行性能や耐久性に支障を来すようになる。また、軸端部に大型の機器類が配置されるため、ばね下質量の増大や、走行安定性の低下、車両限界に対する余裕が少なくなることによる車輪削正代の縮小などの問題がある。
【0008】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、高速での連続走行を可能とする軌間可変機構付輪軸及びこの輪軸を備えた台車を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明に係る軌間可変機構付輪軸は、
車軸の中央位置に歯車装置を嵌合配置し、車輪と歯車装置との間に回転トルク伝達機構を配置すると共に、車輪の位置固定装置を、車軸軸受を配置した車軸の軸端或いは前記回転トルク伝達機構の外周位置に設け、
かつ前記回転トルク伝達機構が、
前記歯車装置の大歯車のボスを両端に延出して形成したスリーブと、車輪を外嵌し内側にすべり軸受を圧入した外スリーブとの間に配置したころスプライン
または前記スリーブと内側にすべり軸受を圧入した車輪に取り付けたスリーブとの間に配置したころスプラインであることとしている。
そして、このようにすることで、ばね下質量の低減が図れるのと共に、車軸の両端部に配置されて車軸の負担荷重を受ける車軸軸受は、通常の輪軸と同じサイズのものが使用でき、小径化が図れるようになる。
【0010】
また、上記の本発明に係る軌間可変機構付輪軸を備えた台車では、ジャーナル軸受の径大化に伴って周速度が大きくなることに起因する従来の問題を解決でき、高速走行を連続して行えるようになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、左右車輪一体回転式の軌間可変台車における歯車装置を車軸の中心に設置すれば、車輪と歯車減速装置の間にトルク伝達機構を設置するスペースを確保でき、車軸の負担荷重を受ける車軸軸受は、従来の軌間可変台車の輪軸のような制約がなくなって、通常の輪軸と同じサイズのものが使用できると考え、以下の本発明を成立させた。
【0012】
本発明に係る軌間可変機構付輪軸は、
すべり軸受を介して車軸に取り付けられ、軌間に合わせて車軸の軸方向に移動した後、位置を固定される車輪に、車軸と車輪との間に設けられた回転トルク伝達機構により主電動機の回転トルクを伝達して車軸と車輪とを一体に回転させる構造とした軌間可変機構付輪軸において、
車軸の中央位置に歯車装置を嵌合配置し、車輪と歯車装置との間に回転トルク伝達機構を配置すると共に、車輪の位置固定装置を、車軸軸受を配置した車軸の軸端或いは前記回転トルク伝達機構の外周位置に設け、
かつ前記回転トルク伝達機構を、
前記歯車装置の大歯車のボスを両端に延出して形成したスリーブと、車輪を外嵌し内側にすべり軸受を圧入した外スリーブとの間に配置したころスプライン
または前記スリーブと内側にすべり軸受を圧入した車輪に取り付けたスリーブとの間に配置したころスプラインとするものである。
【0013】
上記の本発明に係る軌間可変機構付輪軸によれば、車軸の中央位置に歯車装置を設置することで、車輪と歯車装置の間に回転トルク伝達機構を設置するスペースを確保しつつ、車軸の負担荷重を受ける車軸軸受は通常の輪軸と同じサイズのものが使用できるようになって、周速度が大きくなることに起因する従来の問題を解決できるようになる。
【0014】
また、上記の本発明に係る軌間可変機構付輪軸を備えた台車では、通常の輪軸と同じサイズの車軸軸受を使用できるので、周速度が大きくなることに起因する従来の問題を解決でき、高速走行を連続して行えるようになる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明に係る軌間可変機構付輪軸を図1、図2及び図3に示す実施例に基づいて説明し、この軌間可変機構付輪軸を備えた台車の説明に及ぶ。なお、図1、図2及び図3中、図4と同一符号は同一部分或いは相当部分を示し、詳細な説明を省略する。
【0016】
図1は本発明に係る軌間可変機構付輪軸の第1の例を示した要部断面図、図2は同じく本発明に係る軌間可変機構付輪軸の第2の例を示した要部断面図、図3は同じく本発明に係る軌間可変機構付輪軸の第3の例を示した要部断面図であり、本発明では、車軸2の中央位置に、主電動機の回転トルクを車軸2に伝える歯車装置21を設置することで、車軸2に伝えられた回転トルクを車輪3に伝える回転トルク伝達機構であるころスプライン1の設置スペースを、車輪3と歯車装置21の間に確保しつつ、車軸2の両端部に配置する車軸軸受8の径大化を抑制し、通常の輪軸と同じサイズのものを使用できるようにしている。
【0017】
そして、図1に示した第1の例では、前記車軸2の中央位置に設置した歯車装置21の大歯車21aのボス21aaを両側に延出してスリーブ21abを形成し、このスリーブ21abと車輪3を外嵌し内側にすべり軸受7を圧入した外スリーブ4との間に、夫々ころスプライン1を配置することで、質量増加を抑制すると共に、前記ジャーナル軸受8を配置した車軸2の軸端に車輪3の位置固定装置11を設けたものを示している。
【0018】
一方、図2及び図3に示した第2及び第3の例では、前記歯車装置21の大歯車21aのボス21aaを両側に延出してスリーブ21abを形成し、このスリーブ21abと、内側にすべり軸受7を圧入した車輪3に取り付けたスリーブ22間にころスプライン1を配置すると共に、このスリーブ22の外周位置に車輪3の位置固定装置11を設けたものを示している。
【0019】
この図2に示した車輪3の位置固定装置11は、基端側をピン11aにより枢支されたストッパ11bを、バー11cの押し引きによりその先端側を図2における紙面前後方向に揺動させることによって行うものを示している。また、図3に示した車輪3の位置固定装置11は、スラスト軸受9の外輪9aをラック11dの上下方向の揺動により回転させることによって行うものを示している。
【0020】
図1~図3に示した構成の本発明に係る軌間可変機構付輪軸によれば、車軸2の負担荷重を受ける車軸軸受8は、従来のようなころスプラインの外周側に配置するのではないので、通常の輪軸と同じサイズのものが使用できるようになって、周速度が大きくなることに起因する軸受の温度上昇や潤滑のシール性悪化といった問題を解決することができる。
【0021】
従って、上記の本発明に係る軌間可変機構付輪軸を備えた台車では、通常の輪軸と同じサイズの車軸軸受を使用できることになって、周速度が大きくなることに起因する上記問題を解決でき、連続した高速走行が可能になる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、車軸の負担荷重を受ける車軸軸受は、従来のようなころスプラインの外周側に配置するのではなく、車軸の外周側に直接設置できるので、通常の輪軸と同じサイズの車軸軸受が使用できるようになって、周速度が大きくなることに起因する軸受の温度上昇や潤滑のシール性悪化といった問題を解決でき、連続した高速走行が行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る軌間可変機構付輪軸の第1の例を示した要部断面図で、上半分は車輪が狭軌走行位置にある場合、下半分は車輪が標準軌走行位置にある場合を示した図である。
【図2】本発明に係る軌間可変機構付輪軸の第2の例を示した要部断面図で、上半分は車輪が狭軌走行位置にある場合、下半分は車輪が標準軌走行位置にある場合を示した図である。
【図3】(a)は本発明に係る軌間可変機構付輪軸の第3の例を示した要部断面図で、上半分は車輪が狭軌走行位置にある場合、下半分は車輪が標準軌走行位置にある場合を示した図、(b)は(a)の矢視A-A図である。
【図4】従来の軌間可変機構付輪軸の例を示した要部断面図で、上半分は車輪が狭軌走行位置にある場合、下半分は車輪が標準軌走行位置にある場合を示した図である。
【符号の説明】
1 ころスプライン
2 車軸
3 車輪
4 外スリーブ
7 すべり軸受
8 ジャーナル軸受
9 スラスト軸受
11 車輪位置固定装置
11d ラック
21 歯車装置
21a 大歯車
21aa ボス
21ab スリーブ
22 スリーブ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3