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明細書 :回転電機

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3989809号 (P3989809)
公開番号 特開2004-129372 (P2004-129372A)
登録日 平成19年7月27日(2007.7.27)
発行日 平成19年10月10日(2007.10.10)
公開日 平成16年4月22日(2004.4.22)
発明の名称または考案の名称 回転電機
国際特許分類 H02K   9/06        (2006.01)
FI H02K 9/06 C
請求項の数または発明の数 4
全頁数 9
出願番号 特願2002-289636 (P2002-289636)
出願日 平成14年10月2日(2002.10.2)
審査請求日 平成16年12月2日(2004.12.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】清水 康弘
個別代理人の代理人 【識別番号】100090033、【弁理士】、【氏名又は名称】荒船 博司
【識別番号】100093045、【弁理士】、【氏名又は名称】荒船 良男
審査官 【審査官】櫻田 正紀
参考文献・文献 特開平11-146605(JP,A)
特開平10-164799(JP,A)
特開2001-275309(JP,A)
特開2000-152561(JP,A)
実開昭54-045904(JP,U)
実開昭52-013403(JP,U)
実開昭58-153551(JP,U)
実開昭57-069468(JP,U)
実開昭56-110771(JP,U)
調査した分野 H02K 9/00-9/28
特許請求の範囲 【請求項1】
筐体内に、この筐体内に設けられた各部材を冷却する冷却風を吸引し排出するファンが内蔵された回転電機において、
前記ファン近傍の筐体の内壁に、前記ファンから排出される冷却風を受ける複数のフィンが前記ファンの周方向に所定間隔でかつ排気空間に突出するようにして設けられており、前記ファンを構成するブレードの数と、前記フィンの数とが互いに異なる数に設定されており、
前記筐体の内壁にはリング状をなすシールド板が筐体の内周に沿って、かつ前記ファンの内周壁との間に所定の隙間をもって設けられ、前記ファンの内周壁は前記ファンの外周壁より小径に形成され、
前記シールド板の側面に前記フィンが前記ファンの外周壁の先端より前記ブレードの外周側に近付けて設けられていることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機において、
前記ブレードと前記フィンとはそれぞれ周方向に等間隔で設けられていることを特徴とする回転電機。
【請求項3】
請求項に記載の回転電機において、
前記ブレードの数と前記フィンの数とが、共通の約数を持たない数に設定されていることを特徴とする回転電機。
【請求項4】
請求項1~のいずれか一項に記載の回転電機において、
前記フィンは、前記筐体の端面側を構成する蓋部の裏面に形成されていることを特徴とする回転電機。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道車両などに用いられる回転電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄道車両などに用いられる回転電気では、小形・軽量で大出力が要求されることから十分な冷却が必要であり、回転電機内に設けられた各部材を冷却するためのファンが内蔵されている。
このようなファンが内蔵された回転電機の一例として、次のような構成のものが知られている。
すなわち、回転電機の筐体の一端部に冷却風導入口が設けられており、他端部に冷却風排出口が設けられている。また、筐体の内周面に固定子鉄心が設けられ、そのスロット内に固定子巻線が巻回されている。
さらに、筐体に回転可能に支持された回転軸には回転子鉄心が取り付けられており、この固定子鉄心のスロット内には回転子バーが挿入され、両端はエンドリングで短絡されている。また、回転軸にはファンが取り付けられている。
このファンは、外周部を構成する外周壁と、内周部を構成する内周壁と、これら外周壁と内周壁との間に形成された環状の空間を周方向に一定間隔で仕切る複数のブレードとによって構成されている。(特許文献1参照)
【0003】
以上のように構成された回転電機において、固定子巻線に電圧が印加されると、回転磁界が生じて電磁誘導作用により回転子バーに回転力が生じ、回転子鉄心と共に回転軸が所定の方向に回転する。
そうすると、ファンの吸引力により冷却風導入口から冷却空気が機内(筐体内)に導入されて固定子巻線の反負荷側端部を冷却し、一方は固定子鉄心と回転子鉄心との間のギャップを経て、他方は回転子鉄心に設けられた風穴を経て、それぞれ固定子巻線、回転子バー及びエンドリングなどで発生したジュール熱や固定子鉄心及び回転子鉄心で発生した鉄損による熱或いは回転による摩擦熱などを吸収して合流し、ファンにより排気空間に排出され冷却風排出口から機外(筐体外)へ排気される。
【0004】
【特許文献1】
特開2002-78282号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような従来の回転電機では、ファンを構成するブレードが周方向に等間隔で設けられているので、ファンの回転によって共鳴音が発生して、空力騒音が大きくなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、ファンによる共鳴を抑制して、空力騒音の増大を抑制できる回転電機を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、例えば図1~図3に示すように、筐体1内に、この筐体1内に設けられた各部材を冷却する冷却風を吸引し排出するファン15が内蔵された回転電機において、
前記ファン近傍の筐体1の内壁に、前記ファン15から排出される冷却風を受ける複数のフィン18が前記ファン15の周方向に所定間隔でかつ排気空間17に突出するようにして設けられており、前記ファン15を構成するブレード15cの数と、前記フィン18の数とが互いに異なる数に設定されており、
前記筐1体の内壁にはリング状をなすシールド板16が筐体1の内周に沿って、かつ前記ファン15の内周壁15bとの間に所定の隙間をもって設けられ、前記ファン15の内周壁15bは前記ファン15の外周壁15aより小径に形成され、
前記シールド板16の側面に前記フィン18が前記ファン15の外周壁15aの先端より前記ブレード15cの外周側に近付けて設けられていることを特徴とする。
【0008】
ここで、フィン18は筐体1の内壁に直接設けてもよいし、間接的に設けてもよいが、フィン18はファン15のブレードの外周になるべく近付けて設けるのが望ましい。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、ファンを構成するブレードの数と、フィンの数とが互いに異なる数に設定されているので、ファンの回転によって発生する共鳴音による空力騒音を、フィンによって抑えることができ、よって、空力騒音の増大を抑制できる。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の回転電機において、
前記ブレード15cと前記フィン18とはそれぞれ周方向に等間隔で設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項に記載の発明によれば、ブレードとフィンとがそれぞれ、周方向に等間隔に設けられているので、ファンの回転時に発する空力騒音の発生のタイミングを、ファンが1回転する時間内で分散させることができる。
したがって、回転電機全体から発生する空力騒音の増大抑制効果がさらに高まる。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の回転電機において、
前記ブレード15cの数と前記フィン18の数とが、共通の約数を持たない数に設定されていることを特徴とする。
【0013】
請求項に記載の発明によれば、ファンのブレードの数とフィンの数とが、共通の約数を持たない数に設定されているので、ファンの高速回転時にファンが発する空力騒音の発生のタイミングを、ファンが1回転する時間内でほぼ完全に均等に分散させることができる。
したがって、回転電機全体から発生する空力騒音の増大抑制効果が一層高まる。
【0014】
請求項に記載の発明は、例えば図4に示すように、請求項1~のいずれか一項に記載の回転電機において、
前記フィン18は、前記筐体1の端面側を構成する蓋部1bの裏面に形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項に記載の発明によれば、フィンを蓋部の裏面に形成したので、筐体の内壁にフィンを容易に形成できる。つまり、蓋部を筐体から外した状態で、この蓋部の裏面にフィンを形成し、この蓋部を筐体に取り付けることによって、筐体の内壁にフィンを容易に形成できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本実施の形態に係る回転電機の側断面図、図2は回転電機の平面図、図3は回転電機のファンとフィンを概略的に示す正面図である。なお、図1では回転軸の軸線と平行な断面における回転電機の上半分を示しており、回転軸の軸線でほぼ対称となる下半分は図示を省略している。
【0017】
図1および図2に示す回転電機は、鉄道車輌用主誘導電動機であり、以下のように構成されている。
すなわち、図1および図2において符号1は回転電機の筐体を示す。この筐体1は、有底円筒状をなす筐体本体1aと、この筐体本体1aの開口部を閉塞する蓋部1bとを備えている。
【0018】
筐体本体1aの外周部の左端部には、平面視略四角形状の冷却風導入口2が形成されている。この冷却風導入口2には図示しないフィルタが被され、これによって、冷却風導入口2から筐体1内に塵や埃が侵入するのを防止している。
一方、筐体本体1aの外周部の右端部には、冷却風排出口3が形成されている。この冷却風排出口3は筐体本体1aの外周に沿って形成されたものであり、冷却風排出口3には環状をなす帯板4が被されている。帯板4は図2に示すように、ボルト4aによって筐体本体1aに固定されており、この帯板4には多数のスリット4bが周方向に所定間隔で形成され、これらスリット4bから冷却風が外部に放出されるようになっている。
【0019】
筐体本体1aの内周面には、図1に示すように、固定子鉄心5が積層して設けられ、そのスロット(図示せず)内には固定子巻線6が巻回されている。
また、筐体1の右端部の中心部には、転がり軸受7が設けられており、左端部の中心部には、転がり軸受8が設けられている。なお、転がり軸受7は筐体本体1aに取り付けられており、転がり軸受8は蓋部1bに取り付けられている。
筐体1の中心部には回転軸10が設けられており、この回転軸10の左右両端部はそれぞれ転がり軸受7,8に支持され、これによって回転軸10はその軸線回りに回転可能となっている。なお、回転軸10の右端は筐体1から突出している。
【0020】
回転軸10には回転子鉄心11が嵌合されており、この回転子鉄心11には、軸方向に貫通した風穴11aが形成されている。また、回転子鉄心11のスロット(図示せず)内には回転子バー12が挿入され、両端はエンドリング13で短絡されている。なお、固定子鉄心5の内径と回転子鉄心11の外径とは所要のギャップgで隔てられている。
【0021】
また、回転軸10にはファン15が取り付けられている。このファン15は、筐体1内に、この筐体1内に設けられた各部材を冷却する冷却風を冷却風導入口2から吸引し、冷却風排出口3から排出するものであり、外周部を構成し排気をガイドする外周壁15aと、ファン効果を増し排気をガイドする内周壁15bと、これら外周壁15aと内周壁15bとの間に形成された環状の空間を周方向に等間隔で仕切ってファン作用をなすブレード15c…とによって構成されている。
外周壁15aは回転軸10から筐体1の内壁側に向けて立ち上がる円盤状のものである。内周壁15bは外周壁15aの内側に形成されたリング状のものであり、ブレード15c…によって外周壁15aに支持されている。
ブレード15cは図3に示すように、ファン15の周方向に等間隔で配置されており、ブレード15cの数をnとすると、n=17に設定されている。
【0022】
そして、このような構成のファン15では、このファン15が回転軸10と共に回転すると、ブレード15c、外周壁15a、内周壁15bによって囲まれた空洞の入口から筐体1内の空気が吸引され、これによって冷却風導入口2から冷却風が導入され、筐体1内の各部分を冷却して前記空洞の入口から吸引されて、空洞の出口から排出され、さらに冷却風排出口3を通って外部に排気されるようになっている。
【0023】
また、筐体1の内壁には、図1に示すように、リング状をなすシールド板16が筐体1の内周に沿って設けられている。
このシールド板16は、ファン15の内周壁15bの外径との間に所要の間隙をもって筐体1の内壁に取り付けられて、排気をガイドするとともに、固定子鉄心5側への排気の逆流を防ぐものである。そして、シールド板16と、筐体本体1aの右端内壁と、蓋部1bの裏面外周部とにより囲まれた空間が排気空間17とされ、この排気空間17から冷却風排出口3を通って冷却風が外部に排気されるようになっている。
【0024】
さらに、シールド板16の右側面には、フィン18が排気空間17に突出するように複数設けられている。これらフィン18は、ファン15から排出される冷却風を受けるものであり、図3に示すように、ファン15の周方向に等間隔で配置されている。フィン18の数をmとすると、m=16に設定されている。つまり、フィン18の数とブレード15cの数とが、共通の約数を持たない数に設定されている。
なお、フィン18はブレード15cの外周からなるべく近くなるようにして配置するのが好ましいので、シールド板16の内周側に設けられている。
【0025】
以上のように構成された回転電機において、固定子巻線6に電圧が印加されると、回転磁界が生じて電磁誘導作用により回転子バー12に回転力が生じ、回転子鉄心11と共に回転軸10が所定の方向に回転する。
そうすると、ファン15の吸引力により冷却風導入口2から冷却空気が吸気され、実線矢印でフローを示すように、冷却風導入口2から筐体1内に導入されて固定子巻線6の左端部側を冷却し、一方はギャップgを経て、他方は回転子鉄心11の風穴11aを経て、それぞれ固定子巻線6、回転子バー12及びエンドリング13などで発生したジュール熱や固定子鉄心5及び回転子鉄心11で発生した鉄損による熱或いは回転による摩擦熱などを吸収して合流し、ファン15により排気空間17に排出され冷却風排出口3から筐体1外へ排気される。
【0026】
この場合、ファン15の回転によって冷却風がファン15の外周側に放射されるが、この冷却風を発生するブレード15cの数n(=17)と、放射された冷却風を受けるフィン18の数m(=16)とが互いに異なる数に設定されているので、ファン15の回転によって発生する共鳴音による空力騒音を、フィン18によって抑えることができ、よって、空力騒音の増大を抑制できる。
また、ブレード15cとフィン18とがそれぞれ、ファン15周方向に等間隔に設けられているので、ファン15の回転時に発する空力騒音の発生のタイミングを、ファンが1回転する時間内で分散させることができる。
したがって、回転電機全体から発生する空力騒音の増大抑制効果がさらに高まる。
さらに、ブレード15の数n(=17)とフィン18の数m(=16)とが、共通の約数を持たない数に設定されているので、ファン15の高速回転時にファン15が発する空力騒音の発生のタイミングを、ファン15が1回転する時間内でほぼ完全に均等に分散させることができる。
したがって、回転電機全体から発生する空力騒音を増大抑制効果が一層高まる。
【0027】
また、フィン18をシールド板16の内周側に設けたので、フィン18をファン15のブレード15cの外周側に容易に近付けることができ、よって、空力騒音の増大を音源付近で効果的に抑制できる。
【0028】
(第2の実施の形態)
図4は本発明の第2の実施の形態を示す図である。図4は本実施の形態に係る回転電機の側断面図であるが、この図に示す回転電機が、図1~図3に示した第1の実施の形態の回転電機と主に異なる点は、フィン18の取り付け箇所であるので、以下ではこの点を中心に説明し、第1の実施の形態と同一構成部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0029】
図4に示すように、ファン15を構成する外周壁15aは、図1に示す外周壁15aより外周が低くなっている。つまり、外周壁15aの外径が小さくなっている。そして、筐体1の蓋部1bの裏面外周部には、フィン18が外周壁15の外周より外側位置において、排気空間17に突出するようにして設けられている。
これらフィン18は、第1の実施の形態と同様に、ファン15の周方向に等間隔で配置されている。フィン18の数をmとすると、m=16に設定されている。つまり、フィン18の数とブレード15cの数とが、共通の約数を持たない数に設定されている。
【0030】
このような第2実施の形態の回転電気では、第1の実施の形態と同様にして冷却を行うが、フィン18を蓋部1bの裏面に形成したので、筐体1の内壁にフィン18を容易に形成できる。つまり、蓋部1bを筐体本体1aから外した状態で、この蓋部1bの裏面にフィン18を形成し、この蓋部1bを筐体本体1aに取り付けることによって、筐体1の内壁にフィン18を容易に形成できる。
【0031】
なお、フィン18の取り付け位置は、第1および第2実施の形態に示した例に限らず、フィン18を排気空間17に突出するように、かつ、ファン15の外周側に位置するように設けることができれば、どの位置に直接または間接的に取り付けてもよい。この場合でもフィン18はファン15のブレード15cの外周側になるべく近付けるようにして配置するのが望ましい。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ファンのブレードの数と、フィンの数とを互いに異なる数に設定したので、ファンの回転によって発生する共鳴音による空力騒音を、フィンによって抑えることができ、よって、空力騒音の増大を抑制できる。
【0033】
また、ブレードとフィンとをそれぞれ、周方向に等間隔に設けたので、ファンの回転時に発する空力騒音の発生のタイミングを、ファンが1回転する時間内で分散させることができ、よって、回転電機全体から発生する空力騒音の増大抑制効果がさらに高まる。
【0034】
さらに、ブレードの数とフィンの数とを、共通の約数を持たない数に設定したので、ファンの高速回転時にファンが発する空力騒音の発生のタイミングを、ファンが1回転する時間内でほぼ完全に均等に分散させることができ、よって、回転電機全体から発生する空力騒音の増大抑制効果が一層高まる。
【0035】
また、フィンを蓋部の裏面に形成したので、筐体の内壁にフィンを容易に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の回転電機の第1の実施の形態を示すもので、回転電機の側断面図である。
【図2】同、平面図である。
【図3】同、回転電機のファンとフィンを概略的に示す正面図である。
【図4】本発明の回転電機の第2の実施の形態を示すもので、回転電機の側断面図である。
【符号の説明】
1 筐体
1b 蓋部
2 冷却風導入口
3 冷却風排出口
10 回転軸
15 ファン
15c ブレード
18 フィン
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3