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明細書 :構造物の振動特性の非接触計測による同定方法及び装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4001806号 (P4001806)
公開番号 特開2004-184377 (P2004-184377A)
登録日 平成19年8月24日(2007.8.24)
発行日 平成19年10月31日(2007.10.31)
公開日 平成16年7月2日(2004.7.2)
発明の名称または考案の名称 構造物の振動特性の非接触計測による同定方法及び装置
国際特許分類 G01H   9/00        (2006.01)
E02D  33/00        (2006.01)
FI G01H 9/00 C
E02D 33/00
請求項の数または発明の数 6
全頁数 19
出願番号 特願2002-355051 (P2002-355051)
出願日 平成14年12月6日(2002.12.6)
審査請求日 平成17年6月27日(2005.6.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】上半 文昭
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
審査官 【審査官】秋田 将行
参考文献・文献 特開平08-240478(JP,A)
特開平11-044615(JP,A)
特開平02-134531(JP,A)
特開平03-218421(JP,A)
特開平04-331328(JP,A)
特開平05-288760(JP,A)
特開平09-105665(JP,A)
特開平10-122947(JP,A)
特開昭60-238727(JP,A)
特開2000-162096(JP,A)
調査した分野 G01H 1/00-17/00
G01M 5/00- 7/00
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)支持装置(105)と、
(b)該支持装置(105)上に配置される水準器付きベース(104)と、
(c)該水準器付きベース(104)上に配置される角度測定器(103)と、
(d)該角度測定器(103)と連動し角度を調整できる構造物の振動を非接触で検出する非接触型振動計(25,101)と、
(e)該非接触型振動計(25,101)に取り付けられる接触型振動計(26,102)とを配置し、
(f)構造物(21)上の点(22)をその振動方向(23)と角度θずれた位置(24)から前記非接触型振動計(25)で計測し、該非接触型振動計(25)に取り付けられた前記接触型振動計(26)で振動方向(23)と角度θをなす振動方向(27)の振動を同時計測し、前記非接触型振動計(25)で得られた時系列振動データをスペクトル演算して求めた周波数特性SL (f)(28)から、前記接触型振動計(26)で得られた時系列振動データをスペクトル演算して求めた周波数特性SS (f)(29)を減じたものを、cosθで除し、前記構造物(21)上の点(22)の振動方向(23)の周波数特性SM (f)(30)を得るとともに、振動レベルが非常に小さい微動を非接触計測し、前記構造物(41)上の点(42)の振動方向(43)の振動の周波数特性SM (f)(44)を求める際に、構造物(41)上のある基準点(45)に設置した振動計で振動方向(43)の振動を同時測定し、得られた時系列データをスペクトル演算して求めたSR (f)(46)のピーク値SR MAX (47)で、周波数特性SM (f)(44)を除することにより、前記基準点(45)の振動レベルを用いて基準化した前記構造物(41)上の点(42)の振動方向(43)の振動の周波数特性SN (f)(48)を求め、前記周波数特性SN (f)(48)において、ある分析対象のモード成分に対応するスペクトル振幅を基準化振幅SN MAX (49)となし、これを前記構造物(41)上の複数の点(50~52)も対象として実施し、ある分析対象のモード成分に対応する各点の基準化振幅(53~55)を求め、それらを用いて前記構造物(41)の振動モード形状(56)を得ることを特徴とする構造物の振動特性の非接触計測による同定方法。
【請求項2】
(a)支持装置(105)と、
(b)該支持装置(105)上に配置される水準器付きベース(104)と、
(c)該水準器付きベース(104)上に配置される角度測定器(103)と、
(d)該角度測定器(103)と連動し角度を調整できる構造物の振動を非接触で検出する非接触型振動計(35,101)と、
(e)該非接触型振動計(35,101)に取り付けられる接触型振動計(36,102)とを配置し、
(f)構造物(31)上の点(32)をその振動方向(33)と角度θずれた位置(34)から前記非接触型振動計(35)で計測し、該非接触型振動計(35)に取り付けた前記接触型振動計(36)で振動方向(33)と角度θをなす振動方向(37)の振動を同時計測し、前記非接触型振動計(35)で得られた時系列振動データXL (t)(38A)に、前記接触型振動計(36)で得られた時系列振動データX S(t)(38B)を加えて得られる時系列振動データをcosθで除することにより、前記構造物(31)上の点(32)の振動方向(33)の振動の時系列データXM (t)(38C)を求め、この時系列データXM (t)(38C)をスペクトル演算することにより前記構造物(31)上の点(32)の振動方向の周波数特性SM (f)(38D)を得るとともに、振動レベルが非常に小さい微動を非接触計測し、得られた時系列データをスペクトル演算して求めたSR (f)(46)のピーク値SR MAX (47)で、周波数特性SM (f)(44)を除することにより、前記基準点(45)の振動レベルを用いて基準化した前記構造物(41)上の点(42)の振動方向(43)の振動の周波数特性SN (f)(48)を求め、前記周波数特性SN (f)(48)において、ある分析対象のモード成分に対応するスペクトル振幅を基準化振幅SN MAX (49)となし、これを前記構造物(41)上の複数の点(50~52)も対象として実施し、ある分析対象のモード成分に対応する各点の基準化振幅(53~55)を求め、それらを用いて前記構造物(41)の振動モード形状(56)を得ることを特徴とする構造物の振動特性の非接触計測による同定方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の構造物の振動特性の非接触計測による同定方法において、地盤および基礎(61)を伴った構造物(62)の地表面付近の点(63)およびその他の点(64~67)を対象として、前記点(64~67)の基準化振幅(68~72)から前記地表面付近の点(63)の基準化振幅を減ずることにより、構造物(62)の地上部のみの振動モード形状(73)を近似することを特徴とする構造物の振動特性の非接触計測による同定方法。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項記載の構造物の振動特性の非接触計測による同定方法において、前記非接触型振動計そのものの振動レベルが、構造物の振動に対して十分に小さい時に、前記非接触型振動計そのものの振動を無視して計測することを特徴とする構造物の振動特性の非接触計測による同定方法。
【請求項5】
(a)構造物の振動を非接触で検出する非接触型振動計(101)と、
(b)該非接触型振動計に取り付けられる接触型振動計(102)と、
(c)水準器付きベース(104)と、
(d)該水準器付きベース(104)と前記非接触型振動計(101)との間に配置される角度測定器(103)と、
(e)前記非接触型振動計(101)、接触型振動計(102)、角度測定器(103)及び水準器付きベース(104)を支える支持装置(105)と、
(f)電源装置(106)と、
(g)前記非接触型振動計(101)と接触型振動計(102)からの情報を取り込み、構造物の振動特性の非接触計測による同定を行う、データを記録・表示できるデータ処理・記録・表示装置(107)を具備し、
(h)振動レベルが非常に小さい微動を非接触計測し、前記構造物(41)上の点(42)の振動方向(43)の振動の周波数特性SM (f)(44)を求める際に、構造物(41)上のある基準点(45)に設置した振動計で振動方向(43)の振動を同時測定し、得られた時系列データをスペクトル演算して求めたSR (f)(46)のピーク値SR MAX (47)で、周波数特性SM (f)(44)を除することにより、前記基準点(45)の振動レベルを用いて基準化した前記構造物(41)上の点(42)の振動方向(43)の振動の周波数特性SN (f)(48)を求め、前記周波数特性SN (f)(48)において、ある分析対象のモード成分に対応するスペクトル振幅を基準化振幅SN MAX (49)となし、これを前記構造物(41)上の複数の点(50~52)も対象として実施し、ある分析対象のモード成分に対応する各点の基準化振幅(53~55)を求め、それらを用いて前記構造物(41)の振動モード形状(56)を得ることを特徴とする構造物の振動特性の非接触計測による同定装置
【請求項6】
請求項5記載の構造物の振動特性の非接触計測による同定装置において、前記データ処理・記録・表示装置(107)は、前記非接触型振動計(101)の信号を適切な電気信号に変換するための復調器(108)、前記非接触型振動計(101)と接触型振動計(102)からの信号を等しい感度特性に調整するためのバンドパスフィルタ(109)、アナログの電気信号をデジタル化するためのA/D変換装置(110)、および、入力された情報(及び演算結果)を記録する記録装置(111)、必要な処理を演算装置(112)に指示するための入力装置(113)、前記記録装置(111)に入力された情報および演算結果を表示する表示装置(114)とを具備することを特徴とする構造物の振動特性の非接触計測による同定装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造物の固有振動数や固有振動モードなどの振動特性を、振動、特に微動を非接触計測することにより同定する、構造物の振動特性の非接触計測による同定方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄道分野などでは、構造物の健全度などを振動測定を用いて検査する手法が研究されてきた。それらの検査では、接触型の振動計(ムービングコイル型、サーボ型などの加速度または速度センサなど)を構造物に設置して、構造物の振動を測定してきた(下記特許文献1、非特許文献1~3参照)。
【0003】
一方、本願発明者らは、振動特性で構造物の地震時損傷度を精度良く検査できる手法を開発することを目的として、非線形構造解析を利用した構造物の振動特性の分析(下記非特許文献4及び5参照)、振動測定による構造物の振動特性の同定手法の開発(下記非特許文献6参照)などに取り組んできた。
【0004】
【特許文献1】
特開平9-105665号公報 第6~9頁 図1
【0005】
【非特許文献1】
鈴木武夫:振動による橋脚の健全性の判定法、土木学会第6回年次学術講演会概要,p.18,1950.
【0006】
【非特許文献2】
西村昭彦:ラーメン高架橋の健全度評価法の研究,鉄道総研報告,Vol.4,No.9,1990.9.
【0007】
【非特許文献3】
中村豊:総合地震防災システムの研究,土木学会論文集,No.531/I-34,pp.1-33,1996.1.
【0008】
【非特許文献4】
上半文昭,目黒公郎:非線形構造解析によるRC構造物の即時地震損傷度判定法に関する一考察,応用力学論文集,Vol.3,pp.621-628,2000.8.
【0009】
【非特許文献5】
上半文昭,目黒公郎:鋼板補強された実大高架橋の損傷度判定に関する基礎的検討、土木学会第56回年次学術講演会概要集(CD-ROM),I-B097,2001.10.
【0010】
【非特許文献6】
上半文昭,目黒公郎:固有振動数と振動モードを利用したRC構造物の損傷度評価,第1回日本地震工学研究発表会・討論会梗概集,p.166,2001.11.
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
接触型振動計を用いた従来の構造物振動測定の問題点としては、振動測定を利用した構造物の検査においては、橋梁等構造物上に振動測定用のセンサを設置する必要があるという点が挙げられる。センサの設置個所が高所、狭所などの場合にはセンサの設置が容易ではなく、多くの作業時間を要するだけでなく、検査作業員の安全確保が難しくなる場合がある。特に、地震後の構造物の損傷度検査の場合等には、検査作業員を余震による構造物倒壊などの2次災害の危険にさらすことになる。
【0012】
これに対応して、レーザドップラ振動計などを用いた構造物の非接触振動測定技術は既に実用化されている。
【0013】
しかしながら、このような、非接触型振動計を用いた構造物振動測定にも以下のような問題点が挙げられる。
【0014】
(1)非接触型振動計自体の振動(ノイズ振動)の影響
すなわち、測定対象の振動レベルに対して、非接触型振動計自体の振動が無視できない大きさを持つ場合には、非接触型振動計による振動測定結果に含まれる誤差が大きくなることが予想される。つまり、微動のように振動レベルの非常に小さい振動を用いて土木構造物などを検査する場合、非接触型センサを支持する地盤や三脚等の振動の影響を無視できなくなる。特に、地震後の構造物の損傷度検査の場合等には、復旧工事などによって生じる各種のノイズ振動が非接触型センサに影響を与えると予想される。
【0015】
レーザドップラ振動計で物体を測定する際に、レーザドップラ振動計自体の振動(センサに入力されるノイズ振動)を除去する方法としては、物体とレーザドップラ振動計を一つの除震台の上に設置する方法、2つのレーザドップラ振動計を利用して、それらから得られる速度情報の差分を用いて構造物の振動特性を得る方法などが考えられる。
【0016】
しかし、サイズの大きな土木構造物などを測定対象とする場合には、構造物とセンサを一つの除震台に乗せて計測することは出来ない。また、2つのレーザドップラ振動計の記録の差分を利用して振動計自体の振動の影響を除去する手法を用いて装置を構成する場合、2つのレーザドップラセンサおよび復調装置を用いることになるため、現状では装置が非常に高価になるとともに、装置の制御が複雑になる(故障の危険度も高くなる)ため、現場で用いる検査用装置としては不向きであるといった問題があった。
【0017】
(2)構造物の振動モード測定
レーザドップラ振動計で構造物の振動モード形状を計測する際には、複数のレーザドップラ振動計を用いて、構造物上の複数の点を対象とした同時測定を行う手法が用いられる。また、非定常性を考慮する必要の無い振動系を対象として振動モード形状を計測する際には、一つのドップラ振動計を制御して、構造物の振動をスキャンする手法が用いられる。
【0018】
複数の非接触型振動計を用いた多点同時測定によって構造物の振動モード形状を測定することができるが、現場用検査装置に見合う金額での多点測定用の装置を構成することは現状では難しい。また、一つの非接触型振動計を用いたスキャニングによる手法では、時間的な非定常性のある微動を用いて構造物の振動モード形状を計測することは難しい。
【0019】
本発明は、上記状況に鑑みて、構造物検査のための振動測定をより容易にかつ安全に実施できる構造物の振動特性の非接触計測による同定方法及び装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を解決するために、
〔1〕構造物の振動特性の非接触計測による同定方法において、支持装置105と、この支持装置105上に配置される水準器付きベース104と、この水準器付きベース104上に配置される角度測定器103と、この角度測定器103と連動し角度を調整できる構造物の振動を非接触で検出する非接触型振動計25,101と、この非接触型振動計25,101に取り付けられる接触型振動計26,102とを配置し、構造物21上の点22をその振動方向23と角度θずれた位置24から前記非接触型振動計25で計測し、この非接触型振動計25に取り付けられた前記接触型振動計26で振動方向23と角度θをなす振動方向27の振動を同時計測し、前記非接触型振動計25で得られた時系列振動データをスペクトル演算して求めた周波数特性SL (f)28から、前記接触型振動計26で得られた時系列振動データをスペクトル演算して求めた周波数特性SS (f)29を減じたものを、cosθで除し、前記構造物21上の点22の振動方向23の周波数特性SM (f)30を得るとともに、振動レベルが非常に小さい微動を非接触計測し、前記構造物(41)上の点(42)の振動方向(43)の振動の周波数特性SM (f)(44)を求める際に、構造物(41)上のある基準点(45)に設置した振動計で振動方向(43)の振動を同時測定し、得られた時系列データをスペクトル演算して求めたSR (f)(46)のピーク値SR MAX (47)で、周波数特性SM (f)(44)を除することにより、前記基準点(45)の振動レベルを用いて基準化した前記構造物(41)上の点(42)の振動方向(43)の振動の周波数特性SN (f)(48)を求め、前記周波数特性SN (f)(48)において、ある分析対象のモード成分に対応するスペクトル振幅を基準化振幅SN MAX (49)となし、これを前記構造物(41)上の複数の点(50~52)も対象として実施し、ある分析対象のモード成分に対応する各点の基準化振幅(53~55)を求め、それらを用いて前記構造物(41)の振動モード形状(56)を得ることを特徴とする。
【0021】
〔2〕構造物の振動特性の非接触計測による同定方法において、支持装置105と、この支持装置105上に配置される水準器付きベース104と、この水準器付きベース104上に配置される角度測定器103と、この角度測定器103と連動し角度を調整できる構造物の振動を非接触で検出する非接触型振動計35,101と、この非接触型振動計35,101に取り付けられる接触型振動計(36,102とを配置し、構造物31上の点32をその振動方向33と角度θずれた位置34から前記非接触型振動計35で計測し、この非接触型振動計35に取り付けた前記接触型振動計36で振動方向33と角度θをなす振動方向37の振動を同時計測し、前記非接触型振動計35で得られた時系列振動データXL (t)38Aに、前記接触型振動計36で得られた時系列振動データX S(t)38Bを加えて得られる時系列振動データをcosθで除することにより、前記構造物31上の点32の振動方向33の振動の時系列データXM (t)38Cを求め、この時系列データXM (t)38Cをスペクトル演算することにより前記構造物31上の点32の振動方向33の周波数特性SM (f)38Dを得るとともに、振動レベルが非常に小さい微動を非接触計測し、前記構造物(41)上の点(42)の振動方向(43)の振動の周波数特性SM (f)(44)を求める際に、構造物(41)上のある基準点(45)に設置した振動計で振動方向(43)の振動を同時測定し、得られた時系列データをスペクトル演算して求めたSR (f)(46)のピーク値SR MAX (47)で、周波数特性SM (f)(44)を除することにより、前記基準点(45)の振動レベルを用いて基準化した前記構造物(41)上の点(42)の振動方向(43)の振動の周波数特性SN (f)(48)を求め、前記周波数特性SN (f)(48)において、ある分析対象のモード成分に対応するスペクトル振幅を基準化振幅SN MAX (49)となし、これを前記構造物(41)上の複数の点(50~52)も対象として実施し、ある分析対象のモード成分に対応する各点の基準化振幅(53~55)を求め、それらを用いて前記構造物(41)の振動モード形状(56)を得ることを特徴とする。
【0022】
〕上記〔1〕又は〔2〕記載の構造物の振動特性の非接触計測による同定方法において、地盤および基礎61を伴った構造物62の地表面付近の点63およびその他の点64~67を対象として、前記点64~67の基準化振幅68~72から前記地表面付近の点63の基準化振幅を減ずることにより、構造物62の地上部のみの振動モード形状73を近似することを特徴とする。
【0023】
〕上記〔1〕から〔〕の何れか1項記載の構造物の振動特性の非接触計測による同定方法において、前記非接触型振動計そのものの振動レベルが、構造物の振動に対して十分に小さい時に、前記非接触型振動計そのものの振動を無視して計測することを特徴とする。
【0024】
〕構造物の振動特性の非接触計測による同定装置において、構造物の振動を非接触で検出する非接触型振動計101と、この非接触型振動計101に取り付けられる接触型振動計102と、水準器付きベース104と、この水準器付きベース104と前記非接触型振動計101との間に配置される角度測定器103と、前記非接触型振動計101、接触型振動計102、角度測定器103及び水準器付きベース104を支える支持装置105と、電源装置106と、前記非接触型振動計101と接触型振動計102からの情報を取り込み、構造物の振動特性の非接触計測による同定を行う、データを記録・表示できるデータ処理・記録・表示装置107を具備し、振動レベルが非常に小さい微動を非接触計測し、前記構造物(41)上の点(42)の振動方向(43)の振動の周波数特性SM (f)(44)を求める際に、構造物(41)上のある基準点(45)に設置した振動計で振動方向(43)の振動を同時測定し、得られた時系列データをスペクトル演算して求めたSR (f)(46)のピーク値SR MAX (47)で、周波数特性SM (f)(44)を除することにより、前記基準点(45)の振動レベルを用いて基準化した前記構造物(41)上の点(42)の振動方向(43)の振動の周波数特性SN (f)(48)を求め、前記周波数特性SN (f)(48)において、ある分析対象のモード成分に対応するスペクトル振幅を基準化振幅SN MAX (49)となし、これを前記構造物(41)上の複数の点(50~52)も対象として実施し、ある分析対象のモード成分に対応する各点の基準化振幅(53~55)を求め、それらを用いて前記構造物(41)の振動モード形状(56)を得ることを特徴とする。
【0025】
〕上記〔〕記載の構造物の振動特性の非接触計測による同定装置において、前記データ処理・記録・表示装置107は、前記非接触型振動計101の信号を適切な電気信号に変換するための復調器108、前記非接触型振動計101と接触型振動計102からの信号を等しい感度特性に調整するためのバンドパスフィルタ109、アナログの電気信号をデジタル化するためのA/D変換装置110、および、入力された情報(及び演算結果)を記録する記録装置111、必要な処理を演算装置112に指示するための入力装置113、前記記録装置111に入力された情報および演算結果を表示する表示装置114とを具備することを特徴とする。
【0026】
すなわち、
1.センサの設置が危険な対象を測定する手段として、非接触計測を導入する。
2.非接触型振動計自体の振動の影響を取り除くために、非接触型振動計にその非接触型振動計と等しい感度特性を持った接触型振動計を取り付け、非接触型振動計自体の振動を同時測定する。接触型振動計で記録された非接触型振動計自体の振動成分を利用して、非接触型振動計で記録された構造物の振動測定結果を補正する。この補正方法として2つの方法を提案する。
【0027】
(1)簡易補正方法
非接触型振動計で記録した構造物振動の周波数特性から、接触型振動計で記録した非接触型振動計自体の振動の周波数特性を減じることにより、簡易に構造物振動の周波数特性を補正する。
【0028】
(2)詳細補正方法
非接触型振動計で記録した構造物振動の時系列データに、接触型振動計で記録した非接触型振動計自体の振動の時系列データを加えることにより、構造物振動の時系列データを補正する。
3.構造物の振動モード形状を得るためには、上記2つの方法を用いて構造物の振動のより正確な振幅成分を得る。背の高い構造物を下方から計測できるようにするために、構造物の振動方向と異なる角度から上記2の方法を用いて構造物の振動を測定する場合の振幅の補正方法を提案する。一つの非接触型振動計で構造物をスキャニングすることにより構造物の振動モード形状を測定する場合に、構造物の振動の時間的非定常性の影響を取り除くために、構造物の1箇所に基準センサを設置して振動を同時計測し、非接触計測された構造物の振幅成分を、基準センサで記録された振動の振幅成分で基準化する。
4.非接触型振動計自体の振動を除去する技術および構造物の振動モード形状を求める技術として、複数の非接触型振動計を用いる手法も考えられる。しかし、現状では、レーザドップラ振動計などの非接触型振動計の価格は1台あたり数百万円程度であり、複数の非接触型振動計を用いて装置を構成しようとすれば、非常に高価になってしまう。そこで、1台あたり数万円~数十万円程度と比較的安価な接触型振動計を利用することにより、非接触型振動計自体の振動の除去や構造物の振動モード形状の推定が可能な装置を低価格で構成できるようにする。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0030】
図1は本発明の実施例を示す構造物の振動特性の非接触計測による同定装置の構成図であり、図1(a)はその全体構成図、図1(b)はそのシステムの構成図である。
【0031】
これらの図において、101は構造物の振動を非接触で検出する非接触型振動計であり、ここでは、非接触型振動計101としてはレーザドップラ速度計を用いる。102はこの非接触型振動計101に取り付けられる接触型振動計であり、この接触型振動計102としてはセンサの傾きの影響を受けないサーボ型速度計(例えば、(株)東京測振製 VSE-15 小型微動測定用)などを用いる。103は非接触型振動計101及び接触型振動計102が水準面となす角度を測定できる角度測定器、104は水準器付きベース、105は非接触型振動計101、接触型振動計102、角度測定器103及び水準器付きベース104を支える支持装置であり、ここでは3脚を用いる。
【0032】
一方、106は電源装置、107は非接触型振動計101と接触型振動計102と角度測定器103からの情報を取り込み、構造物の振動特性の非接触計測による同定を行う、データを記録・表示できるデータ処理・記録・表示装置であり、このデータ処理・記録・表示装置107は非接触型振動計101の信号を適切な電気信号に変換するための復調器108、非接触型振動計101と接触型振動計102からの信号を等しい感度特性に調整するためのバンドパスフィルタ109、アナログの電気信号をデジタル化するためのA/D変換装置110、及び入力された情報(及び演算結果)を記録する記録装置111、必要な処理を演算装置112に指示するための入力装置113、記録装置111に入力された情報及び演算結果を表示する表示装置114とを具備する。
【0033】
なお、上記実施例では、角度測定器103を設けるようにしているが、えず、非接触型振動計101の向く方向を一定に設定、例えば、水平方向や所定の角度に固定して用いる場合には、その値をあらかじめ記録装置111に記憶させておき、角度測定器103は省略することもできる。
【0034】
上記した構造物の振動特性の非接触計測による同定装置を用いて以下に説明する構造物の振動特性の非接触計測を行う。
【0035】
以下では、まず、簡易補正方法(周波数補正方法)について説明する。
【0036】
図2は本発明の第1実施例を示す構造物の振動特性の非接触計測による同定方法の模式図である。
【0037】
図2に示すように、非接触型振動計1で、構造物2の振動方向3の振動を計測する際に、非接触型振動計1に接触型振動計4を取り付けて振動方向3の振動を同時測定し、非接触型振動計1で計測された時系列振動データをスペクトル演算して求めた周波数特性SL (f)5から接触型振動計4で計測された時系列振動データをスペクトル演算して求めた周波数特性SS (f)6を減じることにより、非接触型振動計1の振動の影響を取り除いた構造物2の振動の周波数特性SM (f)7を得る。
【0038】
ここで、非接触型振動計1は、構造物2と非接触型振動計1間の相対振動を測定するため、非接触型振動計1で計測される構造物2の振動の周波数特性が含まれている。この非接触型振動計1自体の振動の周波数特性SL (f)5から接触型振動計4で計測される構造物2の振動の周波数特性SS (f)6を減じることにより、構造物2の振動の周波数特性SM (f)7をより正しく計測できる。ただし、この方法では、非接触型振動計1と構造物2の振動間に生じる位相差は考慮されていない。
【0039】
次に、本発明の詳細補正方法(時系列補正方法)について説明する。
【0040】
図3は本発明の第2実施例を示す構造物の振動特性の非接触計測による同定方法の模式図である。
【0041】
図3に示すように、非接触型振動計11で構造物12の振動方向13の振動を計測する際に、非接触型振動計11に接触型振動計14を取り付けて振動方向13の振動を同時測定し、非接触型振動計11で計測された時系列振動データXL (t)15に接触型振動計14で計測された時系列振動データXS (t)16を加えて、非接触型振動計11の振動の影響を取り除いた構造物12の時系列振動データXM (t)17を求め、この時系列振動データXM (t)17をスペクトル演算して非接触型振動計11の振動の影響を取り除いた構造物12の振動の周波数特性SM (f)18を求める。
【0042】
ここで、非接触型振動計11は、構造物12と非接触型振動計11間の相対速度を測定するため、非接触型振動計11で計測される構造物12の時系列振動データXL (t)15には、非接触型振動計11自体の振動の時系列データの影響が含まれている。非接触型振動計11の速度をv11,構造物12の速度をv12とすれば非接触型振動計11で計測される構造物12の速度はv12-v11となる。したがって、非接触型振動計11で計測された構造物12の振動の時系列データXL (t)15に、接触型振動計14で計測した非接触型振動計11自体の振動の時系列データを加えることにより、構造物12の時系列振動データXM (t)17を正しく求めることができる。
【0043】
図4は本発明の第1及び第2実施例の具体例であるフレーム構造模型の1次振動モード特性の同定装置を示す図、図5はそのフレーム構造模型の1次振動モード特性の同定結果を示す図である。
【0044】
図4において、フレーム構造模型210は、4本のL字鋼211で錘213を載せた桁212を支えた構造を有しており、実験室の床200上に固定されている。非接触型振動計として用いたレーザドップラ振動計201はノイズの多い測定状況を模擬するため、剛性をやや低めた三脚203に設置されている。フレーム構造模型210とレーザドップラ振動計201には、接触型振動計(速度計)202,214が設置されている。各振動計201,202,214で微動(起振機や打撃による加振によらない常時の振動)を約41sec間、時間刻み0.01secで測定し、振動データを保存した。
【0045】
図5(a)にフレーム構造模型210上に設置した接触型振動計214で記録された微動のフーリエスペクトルを示す。その卓越振動数(1次振動モードの固有振動数に相当)は4.6Hzであり、同卓越振動数における振幅は1.4μmであった。
【0046】
一方、図5(b)に示すレーザドップラ振動計201で記録された振動のフーリエスペクトルには、2つの明瞭なピークが現れている。図5(c)に示すレーザドップラ振動計201上に設置した接触型振動計202で記録された微動のフーリエスペクトルには、振動数5.2Hzのピークがあり、これはレーザドップラ振動計201自体の振動の特性を表しているものと考えられる。
【0047】
ここで、図5(b)の2つのピークはそれぞれ、振動数4.6Hz、振幅1.4μmと振動数5.2Hz,振幅1.3Hzである。よって、図5(c)より、後者がレーザドップラ振動計201の振動特性の影響を受けたものであることがわかるので、前者がフレーム構造模型210の1次振動モード特性を表すものと推定できる。この推定処理を機械的に行う場合には、図5(b)のスペクトルから図5(c)のスペクトルを減じた図5(d)のスペクトルを作成し、そのピークを調べれば良い。
【0048】
さらに、計測精度を高めるためには、レーザドップラ振動計201で測定された時系列振動データにレーザドップラ振動計201上に設置した接触型振動計202で測定された時系列振動データを加えて得た時系列データを用いるのが良い。前記処理により得られた時系列データのフーリエスペクトルが図5(e)である。その卓越ピークは振動数4.6Hz、振幅1.4μmで、図5(a)と等しいことが確かめられた。
【0049】
図6は本発明の第3実施例を示す構造物の振動特性の非接触計測による同定方法の模式図であり、基本技術を構造物の振動モード形状測定へ応用したものである。
【0050】
図6において、構造物21上の点22をその振動方向23と角度θずれた位置24から非接触型振動計25で計測し、この非接触型振動計25に取り付けられた接触型振動計26で振動方向23と角度θをなす振動方向27の振動を同時計測し、非接触型振動計25で得られた時系列振動データをスペクトル演算して求めた周波数特性SL (f)28から、接触型振動計26で得られた時系列振動データをスペクトル演算して求めた周波数特性SS (f)29を減じたものを、cosθで除することにより、構造物21上の点22の振動方向23の周波数特性SM (f)30を求める。
【0051】
レーザドップラ振動計は、「ドップラ効果」と「光ヘテロダイン干渉法」を利用して物体の振動速度と振動周波数を非接触で検出できるセンサである。
【0052】
周波数f0 、波長λ0 のレーザ光を、レーザ光の照射方向と角度θずれた方向に速度vで移動するターゲットに照射すると、ターゲットからの反射光の持つ周波数は次に示すfD だけ変化する。
【0053】
D =2v・cosθ/λ0
レーザドップラ振動計では、このドップラシフト振動数fD を、光ヘテロダイン干渉法で検出することにより、ターゲットの速度を検出する。従って、ターゲットの振動方向とレーザの照射方向が角度θを持っているときには、ターゲットの振動速度はcosθ倍だけ小さく検出される。
【0054】
そのため、この実施例では、構造物21上の点22の振動を振動方向23と角度θずれた位置24から測定する場合には、まず、非接触型振動計25で測定した構造物21の振動の周波数特性から、接触型振動計26で測定した振動の周波数特性を減じて非接触型振動計25自体の振動方向23の振動の影響を除去し、次にcosθで除して、角度ずれの影響を除去する。
【0055】
図7は本発明の第4実施例を示す構造物の振動特性の非接触計測による同定方法の模式図である。
【0056】
図7において、構造物31上の点32をその振動方向33と角度θずれた位置34から非接触型振動計35で計測し、この非接触型振動計35に取り付けた接触型振動計36で振動方向33と角度θをなす振動方向37の振動を同時計測し、非接触型振動計35で計測された時系列振動データXL (t)38Aに、接触型振動計36で計測された時系列振動データXS (t)38Bを加えて得られる時系列振動データをcosθで除することにより、構造物31上の点32の振動方向33の時系列振動データXM (t)38Cをスペクトル演算することにより構造物31上の点32の振動方向33の周波数特性SM (f)38Dを得る。
【0057】
この実施例でも、構造物31上の点32の振動を角度θずれた位置34から測定する場合には、まず、非接触型振動計35で測定した構造物31の振動の時系列データXL (t)38Aから、接触型振動計36で測定した振動の時系列データXS (t)38Bを減じて非接触型振動計35自体の振動方向33の振動の影響を除去し、次にcosθで除して、角度ずれの影響を除去する。
【0058】
図8は本発明の第5実施例を示す構造物の振動特性の非接触計測による同定方法の模式図である。
【0059】
一つの非接触型振動計で構造物各部の振動を順番に測定した結果から、構造物の振動モード形状を推定する場合には、利用した振動の時間的な非定常性を考慮しなければならない。微動などの時間的な非定常性を有する振動を用いる場合、ある部分を測定した時の構造物の振動レベルと異なる部分を測定した時の構造物の振動レベルが異なることは珍しくない。
【0060】
図8に示すように、構造物41上の点42の振動方向43の振動の周波数特性SM (f)44を求める際に、構造物41上のある基準点45に設置した接触型振動計で振動方向43の振動を同時測定し、得られた時系列振動データをスペクトル演算して求めたSR (f)46のピーク値SR MAX 47で、周波数特性SM (f)44を除することにより、基準点45の振動レベルを用いて基準化した構造物41上の点42の振動方向43の振動の周波数特性SN (f)48を求める。周波数特性SN (f)48において、ある分析対象のモード成分に対応するスペクトル振幅を基準化振幅SN MAX 49とする。この方法を構造物41上の複数の点(50~52)も対象として実施し、ある分析対象のモード成分に対応する各点の基準化振幅(53~55)を求め、それらを用いて構造物41の振動モード形状56を求める。
【0061】
図9は本発明の第6実施例を示す構造物の振動特性の非接触計測による同定方法の模式図である。
【0062】
構造物の地盤および基礎61より上の部分(上部構造)のみを対象とした振動特性を調べたいときに、地盤および基礎を伴った構造物の振動モード形状から、地盤および基礎の振動に伴う上部構造の並進運動分を取り除くことによって、上部構造のみの振動モード形状を概算する。
【0063】
図9に示すように、地盤および基礎61を伴った構造物62の地表面付近の点63およびその他の点64~67を対象として地表面付近の点63の基準化振幅68~72から地表面付近の点63の基準化振幅を減ずることにより、構造物62の地上部のみの振動モード形状73を近似する。
【0064】
図10は上記した第3~第6実施例の具体例を示す図であり、図11は図10におけるフレーム構造模型の1次振動モード特性の同定結果を示す図である。
【0065】
レーザドップラ振動計301に接触型振動計302を設置した非接触型振動計を用いて、柱312と桁313の接合部を剛に結合したフレーム構造模型311上の点A(高さ1.17m)、点B(高さ0.90m)、点C(高さ0.60m)、点D(高さ0.30m)および点E(高さ0.03m)の各点の振動を上から順に測定する。フレーム構造模型311は、地盤・基礎を模擬した台310の上に設置してある。1点あたりの測定時間は約41secで測定時間刻みは0.01secである。各点の振動測定結果を第3実施例(第4実施例でも良い)の方法により、スペクトル化したものを図11(a)~図11(e)に、そのピーク値を表1に示す。
【0066】
【表1】
JP0004001806B2_000002t.gif
【0067】
一方、各点(A~E)の振動をレーザドップラ振動計301で測定する際に、フレーム構造模型311上に設置した接触型振動計315で同時測定した振動測定結果を基準点での振動測定結果とした。表1には、そのフーリエスペクトルSR (f)のピーク値SR MAX 及びこのSR MAX を用いて第5実施例の手法で求めた各点の基準化振幅SN MAX 、また、この基準化振幅SN MAX を第6実施例の方法で整理し、さらにフレーム構造模型311上の点Aの振幅を1として正規化した結果が示されている。さらに同結果を、下端固定-上端回転拘束の境界条件を持つ梁の1次振動モードの理論解と合わせて図12に示す。
【0068】
このように構成したので、フレーム構造模型の1次振動モード形状を、微動の時間的な非定常性の影響を受けることなく、ほぼ正確に同定することができる。
【0069】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0070】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0071】
(A)構造物検査のための振動測定をより容易にかつ安全に実施できる。また、構造物への振動計の取付けに要していた時間と費用を節約することができる。
【0072】
(B)複数の非接触型振動計を用いる場合に比べて、検査用装置の価格を大幅に低減できる。
【0073】
(C)非接触型振動計自体の振動の周波数特性SL (f)から接触型振動計で計測される構造物の振動の周波数特性SS (f)を減じることにより、構造物の振動の周波数特性SM (f)をより正しく計測できる。フレーム構造模型の1次振動モード形状を、微動の時間的な非定常性の影響を受けることなく、ほぼ正確に同定することができる。
【0074】
(D)非接触型振動計で計測された構造物の振動の時系列データに、接触型振動計で計測した非接触型振動計自体の振動の時系列データを加えることにより、構造物の時系列振動データXM (t)を正しく求めることができる。
【0075】
(E)レーザドップラ振動計で測定された時系列振動データにレーザドップラ振動計上に設置した接触型振動計で測定された時系列振動データを加えて得た時系列データを用いることにより、更なる精度の向上を図ることができる。
【0076】
(F)構造物上の点をその振動方向と角度θずれた位置から非接触型振動計で計測する場合には、非接触型振動計に取り付けられた接触型振動計で振動方向と角度θをなす振動方向の振動を同時計測し、非接触型振動計で得られた時系列振動データをスペクトル演算して求めた周波数特性SL (f)から、接触型振動計で得られた時系列振動データをスペクトル演算して求めた周波数特性SS (f)を減じたものを、cosθで除することにより、構造物上の点の振動方向の周波数特性SM (f)を求め、簡便な手法で角度ずれの影響を除去することができる。
【0077】
(G)構造物上の点の振動を角度θずれた位置から測定する場合には、まず、非接触型振動計で測定した構造物の振動の時系列データXL (t)から、接触型振動計で測定した振動の時系列データXS (t)を減じて非接触型振動計自体の振動方向の振動の影響を除去し、次にcosθで除して、角度ずれの影響を除去することができる。
【0078】
(H)フレーム構造模型の1次振動モード形状を、微動の時間的な非定常性の影響を受けることなく、ほぼ正確に同定することができる。
【0079】
(I)構造物の振動特性の非接触計測による同定方法において、微動測定を用いて行うことにより、簡便で、かつ正確な計測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示す構造物の振動特性の非接触計測による同定装置の構成図である。
【図2】 本発明の第1実施例を示す構造物の振動特性の非接触計測による同定方法の模式図である。
【図3】 本発明の第2実施例を示す構造物の振動特性の非接触計測による同定方法の模式図である。
【図4】 本発明の第1及び第2実施例の具体例であるフレーム構造模型の1次振動モード特性の同定装置を示す図である。
【図5】 図4におけるフレーム構造模型の1次振動モード特性の同定結果を示す図である。
【図6】 本発明の第3実施例を示す構造物の振動特性の非接触計測による同定方法の模式図である。
【図7】 本発明の第4実施例を示す構造物の振動特性の非接触計測による同定方法の模式図である。
【図8】 本発明の第5実施例を示す構造物の振動特性の非接触計測による同定方法の模式図である。
【図9】 本発明の第6実施例を示す構造物の振動特性の非接触計測による同定方法の模式図である。
【図10】 本発明の第3~第6実施例の具体例を示す図である。
【図11】 図10におけるフレーム構造模型の1次振動モード特性の同定結果を示す図である。
【図12】 フレーム構造模型上の点の振幅を1として正規化した結果を下端固定-上端回転拘束の境界条件を持つ梁の1次振動モードの理論解と合わせて示す図である。
【符号の説明】
1,11,25,35,101 非接触型振動計(レーザドップラ速度計)
2,12,21,31,41 構造物
3,13,23,33,43 振動方向
4,14,26,36,102 非接触型振動計上に取り付けた接触型振動計(サーボ型速度計)
5 非接触型振動計で計測された時系列振動データをスペクトル演算して求めた周波数特性SL (f)
6 接触型振動計で計測された時系列振動データをスペクトル演算して求めた周波数特性SS (f)
7,18,38D,44 構造物の振動の周波数特性SM (f)
15,38A 非接触型振動計で計測された時系列振動データXL (t)
16,38B 接触型振動計で計測された時系列振動データXS (t)
17,38C 構造物の時系列振動データXM (t)
22,32,42 構造物上の点
24,34 振動方向と角度θずれた位置
27,37 振動方向と角度θをなす振動方向
28 非接触型振動計で得られた時系列振動データをスペクトル演算して求めた周波数特性SL (f)
29 接触型振動計で得られた時系列振動データをスペクトル演算して求めた周波数特性SS (f)
30 構造物上の点の振動方向の周波数特性SM (f)
45 構造物上のある基準点
46 構造物上のある基準点に設置した振動計で振動方向の振動を同時測定し、得られた時系列データをスペクトル演算して求めたSR (f)
47 SR (f)のピーク値SR MAX
48 構造物上の点の振動方向の振動の周波数特性SN (f)
49 基準化振幅SN MAX
50~52 構造物上の複数の点
53~55 ある分析対象のモード成分に対応する各点の基準化振幅
56 構造物の振動モード形状
61 地盤および基礎
62 地盤および基礎を伴った構造物
63 地盤および基礎を伴った構造物の地表面付近の点
64~67 その他の点
68~72 基準化振幅
73 構造物の地上部のみの振動モード形状
103 角度測定器
104 水準器付きベース
105 支持装置
106 電源装置
107 データ処理・記録・表示装置
108 復調器
109 バンドパスフィルタ
110 A/D変換装置
111 記録装置
112 演算装置
113 入力装置
114 表示装置
200 実験室の床
201,301 レーザドップラ振動計
202,214,302,315 接触型振動計(速度計)
203 三脚
210,311 フレーム構造模型
211 4本のL字鋼
212,313 桁
213 錘
310 台
312 柱
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11