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明細書 :超電導磁石保護装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4580561号 (P4580561)
公開番号 特開2002-217021 (P2002-217021A)
登録日 平成22年9月3日(2010.9.3)
発行日 平成22年11月17日(2010.11.17)
公開日 平成14年8月2日(2002.8.2)
発明の名称または考案の名称 超電導磁石保護装置
国際特許分類 H01F   6/02        (2006.01)
FI H01F 7/22 ZAAK
請求項の数または発明の数 4
全頁数 11
出願番号 特願2001-006526 (P2001-006526)
出願日 平成13年1月15日(2001.1.15)
審査請求日 平成20年1月8日(2008.1.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】五十嵐 基仁
【氏名】浅原 哲郎
【氏名】根本 薫
【氏名】岸川 昭彦
【氏名】眞田 芳直
個別代理人の代理人 【識別番号】100083806、【弁理士】、【氏名又は名称】三好 秀和
【識別番号】100100712、【弁理士】、【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
【識別番号】100100929、【弁理士】、【氏名又は名称】川又 澄雄
【識別番号】100108707、【弁理士】、【氏名又は名称】中村 友之
【識別番号】100095500、【弁理士】、【氏名又は名称】伊藤 正和
【識別番号】100101247、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 俊一
【識別番号】100098327、【弁理士】、【氏名又は名称】高松 俊雄
審査官 【審査官】山田 倍司
参考文献・文献 特開平06-208922(JP,A)
特開平07-045422(JP,A)
特開平09-260130(JP,A)
特開昭58-201319(JP,A)
調査した分野 B60L 13/03-13/10
H01F 6/00- 6/06
特許請求の範囲 【請求項1】
左右に相対向するように同数の超電導コイルが左右それぞれにおいて直列に接続され、前記左右それぞれにおける直列に接続された超電導コイルの内の始端位置の超電導コイルそれぞれの始端端子間に電源が接続され、前記左右それぞれにおける直列に接続された超電導コイルの内の終端位置の超電導コイルそれぞれの終端端子間が短絡接続されて成る超電導磁石装置と、
前記左右に相対向する超電導コイル毎にそれらの端子間に挿入された、ループ放電管と強制消磁保護抵抗との直列回路と、
右側又は左側の前記超電導コイル毎にその両端子間毎に接続された緊急消磁保護抵抗と、
前記左右の終端位置の超電導コイルそれぞれの終端端子間の接続点と前記電源との間に前記緊急消磁保護抵抗群と並列に接続された、回路保護抵抗と回路保護放電管との直列回路から成り、
前記回路保護抵抗は、前記緊急消磁保護抵抗群との並列合成抵抗値が基準値以下となる抵抗値を持ち、
前記回路保護放電管は、基準設定電圧で放電開始する特性を持つことを特徴とする超電導磁石保護装置。
【請求項2】
左右に相対向するように同数の超電導コイルが左右それぞれにおいて直列に接続され、前記左右それぞれにおける直列に接続された超電導コイルの内の始端位置の超電導コイルそれぞれの始端端子間に電源が接続され、前記左右それぞれにおける直列に接続された超電導コイルの内の終端位置の超電導コイルそれぞれの終端端子間が短絡接続されて成る超電導磁石装置と、
前記左右に相対向する超電導コイルの両端子の接続中点間毎に挿入された緊急消磁保護抵抗と、
前記接続中点と左右いずれか一方の前記超電導コイルの端子との間毎に挿入された、ループ放電管と強制消磁保護抵抗との直列回路と、
前記接続中点と左右いずれか他方の前記超電導コイルの端子との間毎に挿入されたループ放電管と
前記左右の終端位置の超電導コイルそれぞれの終端端子間の接続点と前記電源との間に前記緊急消磁保護抵抗群と並列に接続された、回路保護抵抗と回路保護放電管との直列回路から成り、
前記回路保護抵抗は、前記緊急消磁保護抵抗群との並列合成抵抗値が基準値以下となる抵抗値を持ち、
前記回路保護放電管は、基準設定電圧で放電開始する特性を持つことを特徴とする超電導磁石保護装置。
【請求項3】
左右に相対向するように同数の超電導コイルが左右それぞれにおいて直列に接続され、前記左右それぞれにおける直列に接続された超電導コイルの内の始端位置の超電導コイルそれぞれの始端端子間に電源が接続され、前記左右それぞれにおける直列に接続された超電導コイルの内の終端位置の超電導コイルそれぞれの終端端子間が短絡接続されて成る超電導磁石装置と、
前記左右に相対向する超電導コイルの両端子の接続中点間毎に挿入された緊急消磁保護抵抗と、
前記接続中点と左右それぞれの前記超電導コイルの端子との間毎に挿入された、ループ放電管と強制消磁保護抵抗との直列回路と
前記左右の終端位置の超電導コイルそれぞれの終端端子間の接続点と前記電源との間に前記緊急消磁保護抵抗群と並列に接続された、回路保護抵抗と回路保護放電管との直列回路から成り、
前記回路保護抵抗は、前記緊急消磁保護抵抗群との並列合成抵抗値が基準値以下となる抵抗値を持ち、
前記回路保護放電管は、基準設定電圧で放電開始する特性を持つことを特徴とする超電導磁石保護装置。
【請求項4】
請求項1~のいずれかに記載の超電導磁石保護装置において、その中点電位点をアース抵抗を介して接地したことを特徴とする超電導磁石保護装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁場を応用した磁気浮上列車に搭載される超電導コイルを用いた超電導磁石装置に対する超電導磁石保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁場を応用した磁気浮上列車の車両の概略的な構造は図5に示すようなものである。超電導コイル1及び永久電流スイッチを収納した超電導磁石装置6は、車両3の床下の左右両側に取り付けられ、地上側の左右に設けられた推進コイル4及び浮上案内コイル5それぞれと対向している。このような構造の磁気浮上列車の車両3は、超電導磁石装置6と推進コイル4との電磁力で推進され、それに伴う超電導磁石装置6と浮上案内コイル5との誘導電流で浮上力が発生すると共に、左右の変位に対して常に中央位置になるように案内力が作用する。
【0003】
このような磁気浮上列車の超電導磁石装置6には、超電導コイル1のクエンチに対する保護装置として、図6~図8に示すような回路構成のものが採用されている。図6に示す超電導磁石保護装置は、ダイオード7と保護抵抗8との直列回路を左右両側の超電導コイル1毎にそれぞれに並列に接続したものである。図7に示す保護装置は、励消磁電源10に近い側と遠い側との両端位置の超電導コイル1のみ、特許第2708678号公報に記載されている構成の放電管9を用いて強制消磁する回路と緊急消磁する回路を兼ねさせた回路構成にし、中央部の超電導コイル1は図6に示した回路構成と同じである。そして図8に示す超電導磁石保護回路は、超電導磁石装置6のすべての超電導コイル1に対して放電開始電圧が異なるループ放電管9a,9b,9c,9dを用いて緊急消磁する回路と強制消磁する回路とを兼ねた回路構成である。なお、ここで、ループ放電管9,9a,9b,…等には、特許第2708678号の発明の「超電導磁石保護回路用スイッチ」が用いられている。
【0004】
このような従来の超電導磁石保護装置では、片方の超電導コイル1がクエンチした場合に、対向する反対側の超電導コイル1の永久電流スイッチ2のヒータを投入して緊急消磁する。また、励消磁電源10がない場合でも、超電導コイル1をクエンチさせずに永久電流スイッチ2のヒータを投入して強制消磁が可能なように、保護抵抗値を選択している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のいずれの構成の超電導磁石保護装置にあっても、次のような問題点があった。図6に示した超電導磁石保護装置では、強制消磁でクエンチを起こさない保護抵抗値としているため、緊急消磁時においてクエンチした超電導コイル1の速い電流減衰に比べて、対向側の超電導コイル1の電流減衰が遅く、対向側の超電導コイルのクエンチによる緊急消磁時の異常左右力の低減ができない問題点があった。
【0006】
また図7に示した超電導磁石保護装置では、超電導コイル1の4コイルの同時クエンチを想定した場合、中央コイルの回路構成のために、クエンチした中央コイルに対する対向側コイルの電流減衰が遅く、対向側コイルのクエンチによる緊急消磁時の異常左右力の低減効果が十分に期待できない問題点があった。
【0007】
さらに図8に示した超電導磁石保護装置では、超電導コイル1の4コイルの同時クエンチを想定した場合、対向側コイルのクエンチによる緊急消磁時の異常左右力の低減は可能であるが、抵抗値の選択及び超電導コイルのインダクタンス、常電導転移時のコイル抵抗などによっては、発生電圧が機器の許容耐電圧を超える可能性がある問題点があった。また、励消磁時に保護抵抗のある片側の超電導コイルで保護抵抗への電流分流が発生し、コイル電流が定格電流に達するまで定格電流保持時間が必要となり、操作性が悪くなる問題点もあった。さらに、電流リードの熱容量の増加、励消磁ロスの増加を伴い、熱侵入量、熱負荷が大きくなる問題点もあった。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、高電圧の発生を防止できる超電導磁石保護装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の超電導磁石保護装置は、左右に相対向するように同数の超電導コイルが左右それぞれにおいて直列に接続され、前記左右それぞれにおける直列に接続された超電導コイルの内の始端位置の超電導コイルそれぞれの始端端子間に電源が接続され、前記左右それぞれにおける直列に接続された超電導コイルの内の終端位置の超電導コイルそれぞれの終端端子間が短絡接続されて成る超電導磁石装置と、前記左右に相対向する超電導コイル毎にそれらの端子間に挿入された、ループ放電管と強制消磁保護抵抗との直列回路と、右側又は左側の前記超電導コイル毎にその両端子間毎に接続された緊急消磁保護抵抗と、前記左右の終端位置の超電導コイルそれぞれの終端端子間の接続点と前記電源との間に前記緊急消磁保護抵抗群と並列に接続された、回路保護抵抗と基準設定電圧で放電開始する回路保護放電管との直列回路とから成り、前記回路保護抵抗は、前記緊急消磁保護抵抗との並列合成抵抗値が基準値以下となる抵抗値であることを特徴とするものである。
【0010】
請求項1の発明の超電導磁石保護装置では、電源に対して、右側又は左側の超電導コイル毎にその両端子間毎に接続された緊急消磁保護抵抗群と並列に、当該緊急消磁保護抵抗との並列合成抵抗値が基準値以下となる抵抗値の回路保護抵抗と基準設定電圧で放電開始する回路保護放電管との直列回路を接続することにより、異常時の高電圧発生時にも電圧制御が可能な基準値よりも高い電圧を発生させない。これにより、超電導磁石装置の構成機器である超電導コイル及び電流リードの印加電圧を耐電圧の規定値以下に確実に制御でき、耐電圧設計ができると共に不確定要素のための裕度を設定しなくても済むようになる。
【0011】
請求項2の発明の超電導磁石保護装置は、左右に相対向するように同数の超電導コイルが左右それぞれにおいて直列に接続され、前記左右それぞれにおける直列に接続された超電導コイルの内の始端位置の超電導コイルそれぞれの始端端子間に電源が接続され、前記左右それぞれにおける直列に接続された超電導コイルの内の終端位置の超電導コイルそれぞれの終端端子間が短絡接続されて成る超電導磁石装置と、前記左右に相対向する超電導コイルの両端子の接続中点間毎に挿入された緊急消磁保護抵抗と、前記接続中点と左右いずれか一方の前記超電導コイルの端子との間毎に挿入された、ループ放電管と強制消磁保護抵抗との直列回路と、前記接続中点と左右いずれか他方の前記超電導コイルの端子との間毎に挿入されたループ放電管と、前記左右の終端位置の超電導コイルそれぞれの終端端子間の接続点と前記電源との間に前記緊急消磁保護抵抗群と並列に接続された、回路保護抵抗と回路保護放電管との直列回路から成り、前記回路保護抵抗は、前記緊急消磁保護抵抗群との並列合成抵抗値が基準値以下となる抵抗値を持ち、前記回路保護放電管は、基準設定電圧で放電開始する特性を持つことを特徴とするものである。
【0012】
請求項2の発明の超電導磁石保護装置では、左右の相対向する超電導コイルそれぞれの端子と両者間の接続中点との間毎にループ放電管が存在することにより、片側の超電導コイルのみに生じる保護抵抗の励消磁時の電流分流を防止することができ、電源による定格電流での保持やこの間の永久電流スイッチヒータの通電が不要となり、励消磁時の電源操作性が良くなり、また電流リードの熱容量の増加、永久電流スイッチヒータの発熱による励消磁ロスなどの熱負荷増分を低減することができる。
さらに、請求項2の発明の超電導磁石保護装置では、電源に対して、緊急消磁保護抵抗群と並列に接続された、当該緊急消磁保護抵抗との並列合成抵抗値が基準値以下となる抵抗値の回路保護抵抗と、基準設定電圧で放電開始する回路保護放電管との直列回路を備えたことにより、請求項1の発明のように、超電導磁石装置の構成機器である超電導コイル及び電流リードの印加電圧を耐電圧の規定値以下に確実に制御でき、耐電圧設計ができると共に不確定要素のための裕度を設定しなくても済むようになる。
【0013】
請求項3の発明の超電導磁石保護装置は、左右に相対向するように同数の超電導コイルが左右それぞれにおいて直列に接続され、前記左右それぞれにおける直列に接続された超電導コイルの内の始端位置の超電導コイルそれぞれの始端端子間に電源が接続され、前記左右それぞれにおける直列に接続された超電導コイルの内の終端位置の超電導コイルそれぞれの終端端子間が短絡接続されて成る超電導磁石装置と、前記左右に相対向する超電導コイルの両端子の接続中点間毎に挿入された緊急消磁保護抵抗と、前記接続中点と左右それぞれの前記超電導コイルの端子との間毎に挿入された、ループ放電管と強制消磁保護抵抗との直列回路と、前記左右の終端位置の超電導コイルそれぞれの終端端子間の接続点と前記電源との間に前記緊急消磁保護抵抗群と並列に接続された、回路保護抵抗と回路保護放電管との直列回路から成り、前記回路保護抵抗は、前記緊急消磁保護抵抗群との並列合成抵抗値が基準値以下となる抵抗値を持ち、前記回路保護放電管は、基準設定電圧で放電開始する特性を持つことを特徴とするものである。
【0014】
請求項3の発明の超電導磁石保護装置では、ループ放電管、強制消磁保護抵抗、緊急消磁保護抵抗が左右の相対向する超電導コイルに対して対称的に接続されているので、請求項2の発明の作用に加えて、左右の超電導コイルにおいて、片側の超電導コイルだけに強制消磁保護抵抗が挿入されている場合にはクエンチ発生時に起こり得る左右コイル間の発生電圧のアンバランスを防止することができ、左右両側の構成機器に電圧仕様が同一のものを採用することできるようになる。
さらに、請求項3の発明の超電導磁石保護装置では、電源に対して、緊急消磁保護抵抗群と並列に接続された、当該緊急消磁保護抵抗との並列合成抵抗値が基準値以下となる抵抗値の回路保護抵抗と、基準設定電圧で放電開始する回路保護放電管との直列回路を備えたことにより、請求項1の発明のように、超電導磁石装置の構成機器である超電導コイル及び電流リードの印加電圧を耐電圧の規定値以下に確実に制御でき、耐電圧設計ができると共に不確定要素のための裕度を設定しなくても済むようになる。
【0016】
請求項の発明は、請求項1~のいずれかに記載の超電導磁石保護装置において、さらに、その中点電位点をアース抵抗を介して接地したものであり、請求項1~の発明の作用に加えて、発生電圧を中点アースから両側に分割発生させることによって両端の電圧を1/2に固定でき、超電導コイル、電流リードの機器の耐電圧に余裕を確保することができ、また保護抵抗の設定値を上げることができて緊急消磁の異常左右力をより低減することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図1は本発明の第1の実施の形態の超電導磁石保護装置の回路構成を示している。この実施の形態の超電導磁石保護装置は、左右両側に配置された超電導コイル1と、永久電流スイッチ2と、左右両側の超電導コイル1の端子間毎に挿入されたループ放電管9と強制消磁保護抵抗8bとの直列回路と、各超電導コイル1の両端子間毎に並列に接続された緊急消磁保護抵抗8aから構成されている。そして、この超電導磁石保護装置に対して、端位置の緊急消磁保護抵抗8aの外側の端子Cnと励消磁電源10との間に緊急消磁保護抵抗8a群と並列に、回路保護抵抗8pと回路保護放電管9pとの直列回路で成る保護回路11が接続されている。
【0018】
この保護回路11における回路保護抵抗8pは、緊急消磁保護抵抗8a群との並列回路の合成抵抗が基準値以下となるようにその抵抗値が選択されている。また、回路保護放電管9pは、基準設定電圧値で放電を開始する特性のものが選択されている。
【0019】
ループ放電管9には、全ループ放電管9a、3/4ループ放電管9b、1/2ループ放電管9c、1/4ループ放電管9dが用いられていて、これらループ放電管9a~9dは順次比例的に放電開始電圧が低いものである。
【0020】
なお、これらのループ放電管9,9a,…等にはすべて、従来例でも説明したように、特許第2708678号の発明にかかる「超電導磁石保護回路用スイッチ」を採用している。そしてその動作の原理は、内部の電極をあらかじめ不活性ガス中に微小距離をおいて配置し、保護時には超電導磁石に蓄えられているエネルギーを利用し、保護の初期には両電極がアーク放電によって回路を構成し、その後はアーク放電中にアーク熱によって電極を溶解し両電極を溶着させることで回路を構成することにより、アーク放電による回路構成から両電極の溶着による回路構成に移行するというものである。
【0021】
上記の実施の形態の超電導磁石保護装置では、緊急消磁保護抵抗8a、強制消磁保護抵抗8b、ループ放電管9a~9dで構成される保護装置に対し、これに並列に、回路保護抵抗8pと回路保護放電管9pとで成る保護回路11を並列に設け、また回路保護抵抗8pの抵抗値を保護抵抗8a群との並列合成抵抗値が基準値以下となるように設定し、また回路保護放電管9pとして基準電圧値で放電開始するもの選択したので、基準電圧値よりも高い異常な高電圧が発生した時に回路保護放電管9pが最初に放電し、電圧分担により電圧を低く制御することが可能である。このため、基準値以上の電圧が発生するのを防止することができる。
【0022】
次に、本発明の第2の実施の形態を図2に基づいて説明する。第2の実施の形態の超電導磁石保護装置は、左右に相対向する超電導コイル1の両端子の接続中点間毎に緊急消磁保護抵抗8aを挿入し、また各接続中点と左右いずれか一方(ここでは上側を右、下側を左とすれば、左側)の超電導コイル1の端子との間毎に、ループ放電管9lと強制消磁保護抵抗8bとの直列回路を挿入し、また各接続中点と左右いずれか他方(ここでは右側)の超電導コイル1の端子との間毎にループ放電管9rを挿入した構成である。
【0023】
ループ放電管9r,9lには、全ループ放電管9ar,9al、3/4ループ放電管9br,9bl、1/2ループ放電管9cr,9cl、1/4ループ放電管9dr,9dlが用いられ、これらのループ放電管9ar~9dr;9al~9dlは順次比例的に放電開始電圧が低いものである。
【0024】
この第2の実施の形態の超電導磁石保護装置では、図1に示した第1の実施の形態の回路構成に対して、ループ放電管9r,9lを左右の超電導コイル1各々に対して個別に接続した構成であるので、左右片側の超電導コイル1のみに生じる緊急消磁保護抵抗8aへの励消磁時の電流分流を防止することができ、コイル電流を励消磁電源10の電源電流まで持ち上げる定格電流の保持を不要とし、また分流が消滅するまでの時間の永久電流スイッチ2のヒータへの通電を不要とし、励消磁時の超電導磁石コイル1及び励消磁電源10の操作性を良くすると共に、電流リードの熱容量増加、永久電流スイッチ2のヒータ発熱による励消磁ロスなどの熱負荷増分を低減する。
【0025】
次に、本発明の第3の実施の形態を図3に基づいて説明する。第3の実施の形態の超電導磁石保護装置は、図2に示した第2の実施の形態の超電導磁石保護装置に対して、さらに左右両側の超電導コイル1の相対向する端子と接続中点との間毎に、左右対称にループ放電管9rと強制消磁保護抵抗8rとの直列回路、またループ放電管9lと強制消磁保護抵抗8lとの直列回路を挿入し、左右両側のこれらの直列回路の接続中点間毎に、緊急消磁保護抵抗8aを接続した構成である。なお、ループ保護放電管9r,9lには、第1、第2の実施の形態と同様に、全ループ放電管9ar,9al、3/4ループ放電管9br,9bl、1/2ループ放電管9cr,9cl、1/4ループ放電管9dr,9dlが用いられている。
【0026】
この第3の実施の形態の超電導磁石保護装置では、強制消磁保護抵抗とループ放電管とを一対とした直列回路を、左右の超電導コイル1それぞれに対して個別に挿入した構成であるので、図2に示した第2の実施の形態の保護装置と同様に、左右片側の超電導コイル1のみに生じる緊急消磁保護抵抗8aへの励消磁時の電流分流を防止することができ、コイル電流を励消磁電源10の電源電流まで持ち上げる定格電流の保持を不要とし、また分流が消滅するまでの時間の永久電流スイッチ2のヒータへの通電を不要とし、励消磁時の超電導磁石コイル1及び励消磁電源10の操作性を良くすると共に、電流リードの熱容量増加、永久電流スイッチ2のヒータ発熱による励消磁ロスなどの熱負荷増分を低減する。
【0027】
そして、これに加えて、回路構成が左右対称であることにより、図2に示した第2の実施の形態のように片側の超電導コイル1だけに強制消磁保護抵抗8bが挿入されていることに起因するクエンチ発生のコイル側の差違による発生電圧の違いが起きず、したがって、左右の機器に電圧仕様が同一のものを採用することができる。
【0028】
次に、本発明の第4の実施の形態を図4に基づいて説明する。この第4の実施の形態の超電導磁石保護装置は、図1に示した第1の実施の形態の超電導磁石保護装置に対して、回路中点Ctを数kオームのアース抵抗8rを介して接地したことを特徴とする。
【0029】
このように超電導磁石保護装置の回路中点Ctをアース抵抗8rを介してアース接地することにより、発生電圧を中点接地点Ctから両側に分割発生させて、両端の発生電圧を2分の1に固定することができ、超電導コイル1、電流リードの機器の耐圧電圧の余裕度を確保することができ、さらに、保護抵抗8pの設定値を上げて電流減衰を速めることが可能となり、緊急消磁時の異常左右力のさらなる低減が図れる。
【0030】
なお、本発明は上記の各実施の形態に限定されることはなく、次のような構成を採用することもできる。図2に示した第2の実施の形態、また図3に示した第3の実施の形態において、超電導コイル1群の外側の端部の端子Cnと励消磁電源10との間に、第1の実施の形態と同様に、回路保護抵抗8pと回路保護放電管9pとで成る保護回路11を並列に接続することができる。これによって、第1の実施の形態と同様に、基準電圧値よりも高い異常な高電圧が発生した時に回路保護放電管9pが最初に放電し、電圧分担により電圧を低く制御することが可能である。
【0031】
また、図1に示した第1の実施の形態、図2に示した第2の実施の形態、図3に示した第3の実施の形態それぞれにおいて、図4に示した第4の実施の形態と同様に、回路中点Ctをアース抵抗8rを介して接地することができ、これによって、発生電圧を中点接地点Ctから両側に分割発生させて、両端の発生電圧を2分の1に固定することができ、超電導コイル1、電流リードの機器の耐圧電圧の余裕度を確保することができる。
【0032】
さらに、図2に示した第2の実施の形態、図3に示した第3の実施の形態において、図4に示した第4の実施の形態と同様に、保護回路11と共に回路中点Ctの接地を行うことができ、これによって、第4の実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0033】
【発明の効果】
以上のように請求項1の発明によれば、電源に対して、右側又は左側の超電導コイル毎にその両端子間に並列に接続された緊急消磁保護抵抗群と並列に、当該緊急消磁保護抵抗との並列合成抵抗値が基準値以下となる抵抗値の回路保護抵抗と基準設定電圧で放電開始する回路保護放電管との直列回路を接続することにより、異常時の高電圧発生時にも電圧制御が可能な基準値よりも高い電圧を発生させることがなく、超電導磁石装置の構成機器である超電導コイル及び電流リードの印加電圧を耐電圧の規定値以下に確実に制御でき、耐電圧設計ができると共に不確定要素のための裕度を設定しなくても済む。
【0034】
請求項2の発明によれば、左右の相対向する超電導コイルそれぞれの端子と両者間の接続中点との間毎にループ放電管が存在することにより、片側の超電導コイルのみに生じる保護抵抗の励消磁時の電流分流を防止することができ、電源による定格電流での保持やこの間の永久電流スイッチヒータの通電が不要となり、励消磁時の電源操作性が良くなり、また電流リードの熱容量の増加、永久電流スイッチヒータの発熱による励消磁ロスなどの熱負荷増分を低減することができ、その上に、請求項1の発明のように、超電導磁石装置の構成機器である超電導コイル及び電流リードの印加電圧を耐電圧の規定値以下に確実に制御でき、耐電圧設計ができると共に不確定要素のための裕度を設定しなくても済む。
【0035】
請求項3の発明によれば、ループ放電管、強制消磁保護抵抗、緊急消磁保護抵抗が左右の相対向する超電導コイルに対して対称的に接続されているので、請求項2の発明のように、左右の相対向する超電導コイルそれぞれの端子と両者間の接続中点との間毎にループ放電管が存在することにより、片側の超電導コイルのみに生じる保護抵抗の励消磁時の電流分流を防止することができ、電源による定格電流での保持やこの間の永久電流スイッチヒータの通電が不要となり、励消磁時の電源操作性が良くなり、また電流リードの熱容量の増加、永久電流スイッチヒータの発熱による励消磁ロスなどの熱負荷増分を低減することができ、加えて、左右の超電導コイルにおいて、片側の超電導コイルだけに強制消磁保護抵抗が挿入されている場合にはクエンチ発生時に起こり得る左右コイル間の発生電圧のアンバランスを防止することができ、左右両側の構成機器に電圧仕様が同一のものを採用することできる。その上に、請求項3の発明によれば、請求項1の発明のように、超電導磁石装置の構成機器である超電導コイル及び電流リードの印加電圧を耐電圧の規定値以下に確実に制御でき、耐電圧設計ができると共に不確定要素のための裕度を設定しなくても済む。
【0037】
請求項の発明によれば、当該保護装置の中点電位点をアース抵抗を介して接地したので、請求項1~それぞれの発明の効果に加えて、発生電圧を中点アースから両側に分割発生させることによって両端の電圧を1/2に固定でき、超電導コイル、電流リードの機器の耐電圧に余裕を確保することができ、また保護抵抗の設定値を上げることができて緊急消磁時の異常左右力をより低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の回路図。
【図2】本発明の第2の実施の形態の回路図。
【図3】本発明の第3の実施の形態の回路図。
【図4】本発明の第4の実施の形態の回路図。
【図5】一般的な磁気浮上列車の構造を示す断面図。
【図6】従来例の回路図。
【図7】他の従来例の回路図。
【図8】さらに他の従来例の回路図。
【符号の説明】
1 超電導コイル
2 永久電流スイッチ
6 超電導磁石装置
8a,8ar,8al 緊急消磁保護抵抗
8b,8br,8bl 強制消磁保護抵抗
8p 回路保護抵抗
8r アース抵抗
9 ループ放電管
9a,9ar,9al 全ループ放電管
9b,9br,9bl 3/4ループ放電管
9c,9cr,9cl 1/2ループ放電管
9d,9dr,9dl 1/4ループ放電管
9p 回路保護放電管
10 励消磁電源
11 保護回路
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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