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明細書 :零相電流制御機能付きPWM変換器の制御装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3797879号 (P3797879)
公開番号 特開2002-238263 (P2002-238263A)
登録日 平成18年4月28日(2006.4.28)
発行日 平成18年7月19日(2006.7.19)
公開日 平成14年8月23日(2002.8.23)
発明の名称または考案の名称 零相電流制御機能付きPWM変換器の制御装置
国際特許分類 H02M   7/48        (2006.01)
G05F   1/00        (2006.01)
FI H02M 7/48 C
H02M 7/48 D
G05F 1/00 G
請求項の数または発明の数 4
全頁数 11
出願番号 特願2001-036737 (P2001-036737)
出願日 平成13年2月14日(2001.2.14)
審査請求日 平成16年6月15日(2004.6.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000003115
【氏名又は名称】東洋電機製造株式会社
発明者または考案者 【氏名】村井 敏昭
【氏名】山本 貴光
【氏名】長谷川 均
【氏名】塩田 剛
【氏名】田中 孝佳
【氏名】佐野 尚
個別代理人の代理人 【識別番号】100100930、【弁理士】、【氏名又は名称】長澤 俊一郎
審査官 【審査官】杉浦 貴之
参考文献・文献 特開平11-150986(JP,A)
特開平10-337047(JP,A)
特開平6-98402(JP,A)
特開平6-98401(JP,A)
特開2000-225939(JP,A)
調査した分野 H02M 7/48
G05F 1/00
特許請求の範囲 【請求項1】
絶縁された多相負荷より電力を授受するための共通直流部を有し、多相の相数と同一数の単相PWM変換器よりなる零相電流制御機能付きPWM変換器の制御装置であって、
上記制御装置は、多相各相実電流値を検出する検出手段と、
上記検出手段により検出された多相各相実電流値の和から零相実電流値を出力する零相実電流出力手段と、
上記零相実電流値と、零相電流指令値とを一致させるための零相電圧指令値を出力する零相電圧指令手段と、
前記多相負荷を制御するための多相各相の第1の電圧指令値と、上記零相電圧指令値とを加算して、前記単相PWM変換器の各相の第2の電圧指令値を出力する電圧指令手段と、
上記第2の電圧指令値により、単相PWM変換器の各相の出力電圧を制御する手段とを備えた
ことを特徴とする零相電流制御機能付きPWM変換器の制御装置。
【請求項2】
前記零相電圧指令手段は、
前記零相電流指令値と前記零相実電流値との偏差を増幅し、前記零相電圧指令値を出力する手段から構成される
ことを特徴とする請求項1の零相電流制御機能付きPWM変換器の制御装置。
【請求項3】
前記零相電圧指令手段は、
前記零相電流指令値と前記零相実電流値との偏差を増幅する増幅手段と、
前記零相電流指令値と前記多相負荷の各相の抵抗分との積と、前記零相電流指令値の微分値と前記多相負荷の各相のインダクタンス分との積との加算値を求める加算手段と、
上記増幅手段と上記加算手段の出力を加算して前記零相電圧指令値を出力する手段とから構成される
ことを特徴とする請求項1の零相電流制御機能付きPWM変換器の制御装置。
【請求項4】
絶縁された多相負荷より電力を授受するための共通直流部を有し、多相の相数と同一数の単相PWM変換器よりなる零相電流制御機能付きPWM変換器の制御装置であって、
上記制御装置は、零相電流指令値と前記多相負荷の各相の抵抗分との積と、上記零相電流指令値の微分値と前記各相負荷の各相のインダクタンス分との積を加算して零相電圧指令値を出力する零相電圧指令手段と、
前記多相負荷を制御するための多相各相の第1の電圧指令値と、上記零相電圧指令値とを加算して、前記単相PWM変換器の各相の第2の電圧指令値を出力する電圧指令手段と、
上記第2の電圧指令値により、前記単相PWM変換器の各相の出力電圧を制御する手段とを備えた
ことを特徴とする零相電流制御機能付きPWM変換器の制御装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気浮上式鉄道等において使用される非接触で車上に電力を供給するための集電コイルからの電力の供給や、あるいは、上記鉄道等において推進力と吸引力を得るためのコイルへの通電等に適用される零相電流制御機能付きPWM変換器の制御装置に関し、特に、相数と同一数の単相PWM変換器から構成されるPWM変換器に零相電流制御機能を付加し、ダンピング力の制御や吸引力の制御等を実現することができるPWM変換器の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気浮上式鉄道等における誘導式磁気浮上方式は、磁気ダンピングが小さいことが指摘されており、車両振動により乗り心地が低下するというという問題が提起されている。
そこで、非接触で車上への電力を供給するための集電コイルの各相に同一極性の値がバランスした電流(本発明ではこの各相に流れる電力の授受に関係しない電流の多相平均値を零相電流と呼ぶこととする)を流して磁気ダンピングを実現することにより、振動を抑制し乗り心地を改善する提案なされている(例えば、「誘導集電装置を利用したアクティブ磁気ダンパ」、村井敏昭他、電気学会論文誌D、119巻11号、平成11年参照)。
集電電力を発生する集電コイルのU、V、W相に、例えば図5に示すような、車両振動速度に応じた低周波の電流Iou,Iov,Iow(周波数は集電コイルに発生する電圧の周波数の数十分の1程度)を重畳することによりダンピング力を発生することができ、この電流を制御すれば、専用のダンピングコイルを設けることなく振動の抑制を図ることができると期待される。
【0003】
また、磁気浮上車両等における常電導リニアモータの主回路においては、従来、推進力を得るためのコイルおよびそれに通電するための推進用のインバータと、吸引力を得るためのコイルおよびそれに通電するための吸引用のインバータをそれぞれ設け、推進力と吸引力を制御していた。
しかし、上記制御においても、推進力を得るためのコイルに上記零相電流を通電すれば、このコイルにより吸引力も得ることができ、推進力を得るためのコイルと吸引力を得るためのコイル、および、これらに通電するためのインバータをそれぞれ設けることなく、一つのコイルと一台のインバータにより推進力と吸引力の制御を実現することができるものと期待される。
従来においては、上記集電コイルからの電力の供給や、推進力や吸引力を得るためのコイルへの通電に使用されるコンバータやインバータの制御装置において、上記零相電流を制御できるものは実現されていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように従来においては、磁気浮上式鉄道等における集電コイルからの電力の供給や、あるいは、推進力や吸引力を得るためのコイルへの通電等に用いられるコンバータやインバータの制御装置において、零相電流を制御できるものは開発されておらず、ダンピング力の制御や吸引力の制御等を実現することができなかった。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、多相負荷と、共通の直流部との間での電力の授受の制御を行うPWM変換器の制御装置において、上記多相負荷に流れる零相電流を制御することができる零相電流制御機能付きPWM変換器の制御装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明では、電力の授受に関係しない零相電流制御を容易にするために、多相負荷を、絶縁された多相の相数と同一数の単相電源もしくは負荷(以下の説明では、電源および負荷を合わせて負荷と呼ぶこととし、集電コイルのように誘起電圧源として作用するものも負荷と呼ぶ)により構成すると共に、PWM変換器を、共通の直流部を有する相数と同一数の単相PWM変換器により構成した。
以下では、特にこだわらない限り3相により説明するが、本発明は3相に限らず、4相等の任意の多相に対しても同様に適用することができる。
コンバータにおいて、3台の単相負荷(この場合の負荷は電源)より、3台の単相PWM変換器により電力を入力する時、入力電力に関係する周波数成分の3相電流の和は、瞬時瞬時零になる。そこで、この3相各相の単相PWM変換器に流れる電流をIu、Iv、Iwとし、これら3相電流を加算すると、単相各相に流れる上記周波数成分以外の入力電力に関係しない電流の3相平均値Ioは以下に示す(1)式で示される。
同様に、インバータにおいて、3台の単相負荷にトルク等の電力を出力する時、トルク等に関係する周波数成分の3相電流の和は零になるので、単相各相に流れる上記周波数成分以外の出力電力に関係しない電流の3相平均値Ioは、上記と同様に(1)式で示される。
(1)式は3相の場合であるが、3相以外の例えば4相においては、各相の電力に関係する周波数成分の位相が90°異なるが同様に(2)式で示される。
【0006】
本発明では、上記多相各相に流れる同一極性で値がほぼ等しい電力の授受に関係しない電流の多相平均値Ioを零相電流と呼び、この零相電流Ioが零相電流指令値Io* に一致するように制御する。この零相電流Ioは、前記したPWM変換器をコンバータとして動作させる集電コイルに適用した場合には、磁気ダンピングを実現するための電流となり、また、前記したようにPWM変換器をインバータとして動作させる駆動用コイルに適用した場合には、吸引力を得るための電流となる。
【0007】
また、上記3台の単相負荷に流れる電力の授受に関係しない電流、すなわち零相電流Ioがそれぞれ単相負荷に流れると、上記3台の単相負荷の抵抗値をRs、インダクタンス値をLs、微分演算子をPとすると、上記抵抗値Rs及びインダクタンス値Lsによる零相電圧降下Voは(3)式で示される。
そこで、この零相電圧降下Voを補償するように各相の単相PWM変換器の電圧制御を行えば、単相負荷に零相電流Ioを流すことができる。
すなわち、零相電流指令値Io* と単相負荷の抵抗値Rs及びインダクタンス値Lsから零相電圧降下Voを求め、各相の単相PWM変換器の電圧指令値にこの零相電圧降下Voを加算して各相の電圧指令値を求め、この電圧指令値により各相の単相PWM変換器を制御する。このようにすれば、単相負荷に零相電流指令値Io* にほぼ一致する零相電流Ioを流すことができる。
【0008】
【数1】
JP0003797879B2_000002t.gif
【0009】
以上のように、本発明では、多相各相実電流値を検出して(1)式もしくは(2)式により零相電流Ioを算出し、零相電流指令値Io* との偏差から零相電圧指令値を求め、この零相電圧指令値と、上記多相の単相負荷を制御するための多相の各相電圧指令値を加算して、単相各相PWM変換器の電圧指令値とし、単相PWM変換器の出力端子電圧をパルス幅変調によって制御する。
あるいは、零相電流指令値Io* と多相各相負荷の抵抗値Rs及びインダクタンス値Lsとから、(3)式により零相電流による負荷電圧降下Voを求めて、これを零相電圧指令値として、上記と同様、上記多相の単相負荷を制御するための多相の各相電圧指令値に加算して、単相各相PWM変換器の電圧指令値とし、単相PWM変換器の出力端子電圧をパルス幅変調によって制御する。
【0010】
本発明は上記原理に基づき前述の課題を解決するものであり、本発明においては次のようにPWM変換器を構成し、零相電流を制御する。
(1)PWM変換器を、絶縁された多相負荷より電力を授受するための共通直流部を有し、多相の相数と同一数の単相PWM変換器より構成する。
そして、このPWM変換器の制御装置に、多相各相実電流値を検出する検出手段と、該検出手段により検出された多相各相実電流値の和から零相実電流値を出力する零相実電流出力手段と、上記零相実電流値と、零相電流指令値とを一致させるための零相電圧指令値を出力する零相電圧指令手段と、前記多相負荷を制御するための多相各相の第1の電圧指令値と、上記零相電圧指令値とを加算して、前記単相PWM変換器の各相の第2の電圧指令値を出力する電圧指令手段と、上記第2の電圧指令値により、単相PWM変換器の各相の出力電圧を制御する手段とを設ける。
(2)上記(1)において、零相電圧指令手段を、零相電流指令値と前記零相実電流値との偏差を増幅し、前記零相電圧指令値を出力する手段から構成する。
(3)上記(1)において、前記零相電圧指令手段を、零相電流指令値と前記零相実電流値との偏差を増幅する増幅手段と、零相電流指令値と前記多相負荷の各相の抵抗分との積と、前記零相電流指令値の微分値と前記多相負荷の各相のインダクタンス分との積との加算値を求める加算手段と、上記増幅手段と上記加算手段の出力を加算して前記零相電圧指令値を出力する手段とから構成する。
(4)上記(1)と同一構成のPWM変換器の制御装置に、零相電流指令値と前記多相負荷の各相の抵抗分との積と、上記零相電流指令値の微分値と前記単相各相負荷の各相のインダクタンス分との積を加算して零相電圧指令値を出力する零相電圧指令手段と、前記多相負荷を制御するための多相各相の第1の電圧指令値と、上記零相電圧指令値とを加算して、前記単相PWM変換器の各相の第2の電圧指令値を出力する電圧指令手段と、上記第2の電圧指令値により、単相PWM変換器の各相の出力電圧を制御する手段とを設ける。
【0011】
上記(1)(2)のように、多相各相の実電流値から零相実電流値を求め、零相実電流値と零相電流指令値とから、零相電圧指令値を求め、多相負荷を制御するための多相各相の第1の電圧指令値と加算して、第2の電圧指令値を得て、この第2の指令値により多相各相の単相PWM変換器を制御することにより、多相負荷の各相に零相電圧指令値に一致する零相電流を流すことができ、前記したように集電コイルにおいては磁気ダンピングを実現することができ、推進用コイルにおいては、吸引力を得ることができる。
また上記(3)のように、零相電流指令値と前記多相負荷の各相の抵抗分との積と前記零相電流指令値の微分値と前記多相負荷の各相のインダクタンス分との積とを求め、零相実電流値と零相電流指令値の偏差に加算して零相電圧指令値を得ることにより、上記(1)と同様に多相負荷に零相電流指令値に一致する零相電流を流すことができるとともに、零相電流指令値の変動に迅速に応動させて零相電流を制御することができる。
さらに、上記(4)のように、零相電流指令値と前記多相負荷の各相の抵抗分との積と、上記零相電流指令値の微分値と前記多相負荷の各相のインダクタンス分との積を加算して零相電圧指令値を求め、この零相電圧指令値により上記(1)のようにPWM変換器を制御することにより、零相電流指令値に迅速に応動させて零相電流を制御することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施例のPWM変換器の主回路構成および制御装置の構成を示すブロック図である。なお、本発明は前記したように3相に限定されず、4相等の多相に適用することができるが、以下の実施例においては、3相の場合について説明する。
同図において、1はPWM変換器であり、PWM変換器1はU,V,W相の3台の単相PWM変換器31~33から構成される。単相PWM変換器31~33は、逆並列に接続されたダイオードを有するスイッチング素子S1~S4をブリッジ状に接続して構成したものであり、その直流側は共通の直流電源2に並列に接続され、また、交流側はそれぞれ単相負荷51~53からなる3相負荷5に接続される。
【0013】
単相負荷51~53において、511、521、531はそれぞれ単相負荷のU、V、W相のインダクタンス、512、522、532はそれぞれ単相負荷のU、V、W相の誘起電圧源であり、これら単相負荷51~53の相間は電気的に絶縁されているとともに、上記誘起電圧源512,522,532及びインダクタンス511、521、531はバランスしている。
なお、本実施例では、上記単相負荷51~53が誘起電圧源として動作する前記集電コイルであり、PWM変換器がコンバータとして動作する場合について説明するが、本実施例のPWM変換器を前記した常電導リニアモータの推進力を得るコイルに適用し、PWM変換器をインバータとして動作させる場合には、上記誘起電圧源51~53は、負荷の逆起電力となる。
また、本実施例は3相の場合であるが、4相の場合には、4個の単相PWM変換器と、絶縁されバランスした4個の単相負荷から構成すればよい。
【0014】
図1において、単相負荷51~53に流れる各相の電流Iu、Iv、Iwは、それぞれ電流検出器41~43により検出され、零相電流制御装置100に与えられる。
零相電流制御装置100は、後述するように上記電流検出器41~43により検出された各相の電流Iu、Iv、Iwの和から実零相電流を求め、零相電流指令値Io* と一致させるための零相電圧指令値Vo* を出力する。
一方、制御装置200は、各単相PWM変換装置31~33を駆動するための120°位相が異なる3相の電圧指令値Vmu* 、Vmv* 、Vmw* を出力する。加算器104は、この電圧指令値Vmu* 、Vmv* 、Vmw* と、零相電圧指令値とを加算して、各相の電圧指令値Vcu* 、Vcv* 、Vcw* を出力する。
このようにして生成した各相の電圧指令値Vcu* 、Vcv* 、Vcw* は、変調回路201~203に与えられ、変調回路201~203は、例えば上記電圧指令値Vcu* 、Vcv* 、Vcw* と三角波を比較することにより上記電圧指令値をPWM変調して、各相のPWM変換器31~33に送出する。
なお、上記制御装置200および変調回路201~203の構成及び動作は、通常使用されている周知のPWM変換器の制御装置および変調回路と同様であり、ここでは詳細な説明は省略する。
【0015】
図2は、図1に示した零相電流制御装置の第1の実施例を示す図である。
同図において、101は零相電流検出回路、102は減算器、103は偏差増幅器であり、104は前記図1に示した加算器である。
以下、図2に示す本実施例の動作を説明する。
零相電流検出回路101は、電流検出器41~43により検出されたU、V、W相の単相負荷51~53の各相実電流値Iu、Iv、Iwから、前記(1)式に基づいて零相実電流値Ioを求めて、減算器102に出力する。
減算器102は零相電流指令値Io* と上記零相実電流値Ioから、その偏差である零相電流偏差値ΔIoを求める。偏差増幅器103は、この偏差値ΔIo増幅し、零相電圧指令値Vo* として出力する。
加算器104は前記したように上記零相電圧指令値Vo* と、制御装置200で生成された単相各相の負荷51~53を制御する電圧指令値Vmu* 、Vmv* 、Vmw* を加算して、単相各相PWM変換器31~33の電圧指令値Vcu* 、Vcv* 、Vcw* を求め、前記図1に示した変調回路201~203に出力する。
【0016】
上記単相負荷51~53が前記した集電コイルの場合には、上記電圧指令値Vmu* 、Vmv* 、Vmw* は、図1に示したPWM変換器1に入力する電力制御のための電圧指令値であり、集電コイルに発生する電力は、コンバータとして動作するPWM変換器1で、直流に変換され、直流電源2に供給される。
また、各相の集電コイルに流れる零相実電流は、上記零相電流検出回路101で検出され、検出された零相実電流と零相電流指令値Io* との偏差が求められ、この偏差から零相電圧指令Vo* が生成される。そして、上記電圧指令値Vmu* 、Vmv* 、Vmw* に加算され、電圧指令値Vcu* 、Vcv* 、Vcw* として変調回路201~203に与えられる。
PWM変換器1は、集電コイルに発生する電力を上記電圧指令値Vmu* 、Vmv* 、Vmw* に応じて直流に変換し、直流電源2に供給するとともに、集電コイルに流れる零相電流が、上記零相電流指令値Io* に一致するように制御する。
以上のようにして3台の単相PWM変換器31~33により、直流電源2に供給される電力が制御されるととも、集電コイルに流れる零相電流が制御され、この零相電流により集電コイルに磁気ダンピング力が発生する。
【0017】
上記説明は、単相負荷51~53が集電コイルであり、PWM変換器1をコンバータとして動作させる場合であるが、上記単相負荷51~53が前記した常電導リニアモータの推進用のコイルであり、PWM変換器1をインバータとして動作させる場合には、上記電圧指令値Vmu* 、Vmv* 、Vmw* は、PWM変換器1が出力する電力制御のための電圧指令値となり、上記とはエネルギーの流れる方向が逆となる。そして、上記コイルに流れる零相電流により、上記推進用コイルに吸引力を発生させる。
すなわち、PWM変換器1をインバータとして動作させる場合にも、図1、図2に示した構成と同一の構成の装置で、零相電流の制御を実現することができる。
なお、4相の場合には、4相実電流値を零相電流検出回路101に入力し、前記(2)式に基づいて各相の零相電流値Ioを求めて、零相電流を制御すればよい。他の多相においても同様である。
【0018】
図3は本発明の零相電流制御装置の第2の実施例を示す図である。なお、本実施例の零相電流制御装置は、図2に示した零相電流検出回路101を備えておらず、電流検出器41~43の出力は使用しない。したがって、本実施例の零相電流制御装置を図1のものに適用する場合には、必ずしも電流検出器41~43を設ける必要はない。
図3において、105は零相電圧演算回路であり、零相電圧演算回路105は零相電流指令値Io* を入力して、前記(3)式に基づいて零相電圧降下分零相電圧指令値Vo* を出力する。加算器104は零相電圧降下分である零相電圧指令値Vo2* と、前記したように制御装置200で生成される単相負荷を制御するための単相各相の電圧指令値Vmu* 、Vmv* 、Vmw* を加算して、単相各相PWM変換器31~33の電圧指令値Vcu* 、Vcv* 、Vcw* を前記した変調回路201~203に出力する。
【0019】
ここで、(3)式における抵抗値Rs及びインダクタンス値Lsは、インダクタンス511、521、531の内部抵抗値及びインダクタンス値と同一であり、零相電流指令値Io* について(3)式の計算を行うことにより、零相電流指令値Io* に相当した零相電流が各単相負荷に流れたときの単相負荷による零相電圧降下分を求めることができる。
したがって、この零相電圧降下分を零相電圧指令値Vo2* として、前記したようにこの零相電圧降下分を補償するように各相の単相PWM変換器31~33の電圧制御を行えば、単相負荷に零相電流指令値Io* にほぼ一致する零相電流Ioを流すことができる。
単相負荷が集電コイルであり、PWM変換器1をコンバータとして動作させる場合には、以上のようにして3台の単相PWM変換器31~33により、直流電源2に供給される電力が制御されるととも、単相負荷に流れる零相電流が制御され、この零相電流により集電コイルに磁気ダンピング力が発生する。
また、単相負荷が例えば前記した推進用のコイルであり、PWM変換器1をインバータとして動作させる場合には、上記とエネルギーの流れる方向が逆になり、零相電流により推進用コイルに発生する吸引力が制御される。
上記説明は3相の場合であるが、4相、あるいは、その他の多相の場合も同様である。
【0020】
図4は本発明の零相電流制御装置の第3の実施例を示す図である。本実施例は、前記図2に示した第1の実施例の装置に図3に示した第2の実施例を適用し、(3)式により求めた零相電圧指令値Vo2* を偏差増幅器103の出力にフィードフォワード的に加算するようにしたものであり、図2及び図3に示したものと同一のものには同一の符号を付している。
図4において、零相電流検出回路101は、前記したように前記(1)式に基づいて零相実電流値Ioを求めて、減算器102に出力する。
減算器102は零相電流指令値Io* と上記零相実電流値Ioから、その偏差である零相電流偏差値ΔIoを求める。偏差増幅器103は、この偏差値ΔIo増幅し、零相電圧指令値Vo1* として、加算器106に出力する。
【0021】
一方、零相電圧演算回路105は零相電流指令値Io* を入力して、前記(3)式に基づいて零相電圧降下分零相電圧指令値Vo2* を加算器106に出力する。
加算器106は、上記零相電圧指令値Vo1* と零相電圧降下分零相電圧指令値Vo2* を加算し、零相電圧指令値Vo* を出力する。
この零相電圧指令値Vo* は、前記したように制御装置200が出力する単相各相の負荷51~53を制御する電圧指令値Vmu* 、Vmv* 、Vmw* と加算器104において加算される。加算器104の出力は、単相各相PWM変換器31~33の電圧指令値Vcu* 、Vcv* 、Vcw* として、前記図1に示した変調回路201~203に出力される。
以上のようにして3台の単相PWM変換器31~33により、第1,2の実施例と同様に、単相負荷と直流電源2の間の電力の授受が制御されるとともに、単相負荷に流れる零相電流が制御され、この零相電流により磁気ダンピング力や吸引力が発生する。
本実施例においては、上記のように(3)式により求めた零相電圧指令値Vo2* を偏差増幅器103の出力にフィードフォワード的に加算するようにしたのて、偏差増幅器103のゲインを増大させることなく、即応性を確保することができる。
また、4相の場合には、4相実電流値を零相電流検出回路101に入力し、前記(2)式に基づいて各相の零相電流値Ioを求めて、零相電流を制御すればよい。他の多相においても同様である。
【0022】
以上では、多相の各単相負荷がバランスしている場合について説明したが、単相負荷のインダクタンスがアンバランスであっても、各相のインダクタンスの抵抗値Rs及びインダクタンス値Lsに比例させて、各相の零相電圧指令を制御すれば、各相の零相電流をバランスして制御することができる。
【0023】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明においては、絶縁された多相の相数と同一数の単相負荷(単相電源)に対して、電力の授受に関係しない零相電流制御を容易にするために、共通直流部を有する相数と同一数の単相PWM変換器で構成したPWM変換器を上記単相負荷に接続し、零相電流指令値と、実零相電流値あるいは零相電圧降下分に基づき零相電圧指令値を生成し、該零相電圧指令値と各相の単相負荷を制御する電圧指令値とを加算して、各単相PWM変換器の電圧指令値を得て、各単相PWM変換器をPWM制御するようにしたので、零相電流指令値に追従した零相電流制御を容易に行うことができる。
このため、例えば磁気浮上式鉄道等において使用される集電コイルに適用することにより、磁気ダンピングを実現して乗り心地の改善を図ることができ、また、上記常電導リニアモータの推進用コイルに適用することにより、吸引用コイルを設けることなく、上記コイルにより吸引力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のPWM変換器の主回路構成および制御装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示した零相電流制御装置の第1の実施例を示す図である。
【図3】本発明の零相電流制御装置の第2の実施例を示す図である。
【図4】本発明の零相電流制御装置の第3の実施例を示す図である。
【図5】本発明における零相電流の概念を説明する図である。
【符号の説明】
1 PWM変換器
2 直流電源
31~33 単相PWM変換器
41~43 電流検出器
5 3相負荷
51~53 単相負荷(単相電源)
511、521、531 インダクタンス
512、522、532 誘起電圧源
100 零相電流制御装置
101 零相電流検出回路
102 減算器
103 偏差増幅器
104、106 加算器
105 零相電圧演算回路
200 制御装置
201~203 変調回路
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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