TOP > 国内特許検索 > 列車検知管理システム > 明細書

明細書 :列車検知管理システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4766759号 (P4766759)
公開番号 特開2002-255033 (P2002-255033A)
登録日 平成23年6月24日(2011.6.24)
発行日 平成23年9月7日(2011.9.7)
公開日 平成14年9月11日(2002.9.11)
発明の名称または考案の名称 列車検知管理システム
国際特許分類 B61L   3/12        (2006.01)
FI B61L 3/12 Z
請求項の数または発明の数 3
全頁数 14
出願番号 特願2001-057433 (P2001-057433)
出願日 平成13年3月1日(2001.3.1)
審査請求日 平成20年1月24日(2008.1.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
発明者または考案者 【氏名】西堀 典幸
【氏名】佐々木 達也
【氏名】平栗 滋人
【氏名】平尾 裕司
【氏名】河内 弘一
【氏名】笠井 貴之
【氏名】日▲高▼ 康子
個別代理人の代理人 【識別番号】100078330、【弁理士】、【氏名又は名称】笹島 富二雄
審査官 【審査官】神山 貴行
参考文献・文献 特開2000-016292(JP,A)
特開平05-213202(JP,A)
特開平11-255125(JP,A)
特開昭60-124566(JP,A)
特開昭57-026049(JP,A)
特開2000-095109(JP,A)
調査した分野 B61L 1/00~29/32
特許請求の範囲 【請求項1】
列車走行の閉そく区間であるブロックの各境界にてレールの近傍に設置された質問器と、
上記質問器と相互に通信可能とされ、かつ、列車通過時に列車の車体により通信領域が遮断されるように上記質問器に対向して設置された地上応答器と、
上記質問器と相互に通信可能とされ、かつ、列車上に設置された車上応答器と、
上記各ブロックの境界の質問器が受信した地上応答器又は車上応答器からの応答信号に基づいて各ブロックの列車の進入・進出を検知する列車検知装置と、
上記各ブロックを検知対象として連続する複数のブロック毎に設けられた各列車検知装置を双方向に通信可能に接続するネットワークと、
を備え、上記質問器で得た列車の進入・進出検知の情報を上記各列車検知装置間で送受信する列車検知管理システムであって、
上記各列車検知装置は、
自分が検知対象とする端部のブロックと、自分に隣接する列車検知装置が検知対象とする端部のブロックと、の間の境界ブロック、及び、
自分が検知対象とする端部のブロックと、自分に隣接する列車検知装置を一つとばしたその次の列車検知装置が検知対象とする端部のブロックと、の間の長大ブロック、
も列車の進入・進出の検知対象とし、
更に、上記各列車検知装置は、自分の再立上げ時に、
自分の検知対象ブロック及び境界ブロックの在線列車情報を仮に在線とし、
自分に隣接する列車検知装置により管理されて自分の検知対象ブロック及び境界ブロックと同一の範囲を有する長大ブロックの在線列車情報をネットワークを介して受信し、
受信した長大ブロックの在線列車情報により自分の検知対象ブロック及び境界ブロックの在線列車情報を設定する
ことを特徴とする列車検知管理システム。
【請求項2】
上記各列車検知装置は、自分の再立上げ時に、上記受信した長大ブロックの在線列車情報が非在線の場合には、仮に在線にしている自分の検知対象ブロック及び境界ブロックの在線列車情報を非在線とし、自分の在線列車情報を設定することを特徴とする請求項1記載の列車検知管理システム。
【請求項3】
上記各列車検知装置は、自分の再立上げ時に、上記受信した長大ブロックの在線列車情報が在線の場合には、当該長大ブロックに在線している列車の識別信号を車上応答器から当該長大ブロック内のいずれかの質問器が受信することにより当該長大ブロック内における列車の在線ブロックを特定し、在線している総ての列車の在線ブロックを特定してそのブロックの在線列車情報を設定した後、それ以外の自分の検知対象ブロック及び境界ブロックの在線列車情報を非在線とし、自分の在線列車情報を設定することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の列車検知管理システム。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地上又は車上に設置された通信手段による通信状態をもとにして列車の在線管理を実現しようとする列車検知管理システムに係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、レール上を走行する列車の位置を検知するものとして、点検知方式による列車検知システムがあった。この点検知方式による列車検知システムは、例えば無線送受信機を備えた質問器と応答器とを列車走行のブロック毎に設け、上記質問器と応答器とが設置されたポイントを列車が通過することを検知し、その点検知情報を取り込んで列車検知装置が在線列車情報を作成して、列車がどのブロックに在線するか、又は非在線かを検知していた。
【0003】
また、従来、駅間など広範囲な区間の列車の在線を検知するものとして、長大軌道回路があった。さらに、閉そく区間の列車検知情報を用いて信号機を制御し、その区間を防護する装置として閉そく装置がある。特に単線においては、対向列車に対する閉そく機能も必要であり、従来単線用として主に使用されている閉そく装置は、駅構内の軌道回路の他、停車場へ進入、進出した列車を識別する装置を備えていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の点検知方式による列車検知システムにおいては、列車検知装置が故障してシステムがダウンすると、列車の在線、非在線のデータ(在線列車情報)の連続性が失われてしまう。そして、再立上げ後とダウン前で列車が同じ位置に在線しているとは限らないので、上記列車検知装置を復旧して列車検知システムを再立上げしても、それだけでは正確な在線列車情報は得られないものであった。これは、点検知方式による列車検知システムでは、例えば質問器と応答器とが対向したポイントを列車が通過して始めて在線列車情報が得られるようになっているからである。
【0005】
したがって、列車検知システムを再立上げした場合は、各ブロックにおける列車の在線、非在線の状態を確認して手動で在線列車情報を当該列車検知装置に設定しなければならなかった。このことから、列車の運行をスムーズに再開することができないことがあった。
【0006】
また、従来の長大軌道回路においては、大容量の電源設備が必要であった。さらに、従来単線用として主に使用されている閉そく装置には、駅構内の軌道回路の他、停車場へ進入、進出した列車を識別する装置が必要であった。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、複数のブロック毎に設けられた各列車検知装置をネットワークで接続し、列車の進入、進出及び在線、非在線の情報を互いに送受信することによって、ブロック単位での連続的な在線管理を実現し、在線列車情報も含む在線情報を外部装置へ出力する列車検知管理システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による列車検知管理システムは、列車走行の閉そく区間であるブロックの各境界にてレールの近傍に設置された質問器と、上記質問器と相互に通信可能とされ、かつ、列車通過時に列車の車体により通信領域が遮断されるように上記質問器に対向して設置された地上応答器と、上記質問器と相互に通信可能とされ、かつ、列車上に設置された車上応答器と、上記各ブロックの境界の質問器が受信した地上応答器又は車上応答器からの信号に基づいて各ブロックの列車の進入・進出を検知する列車検知装置と、上記各ブロックを検知対象として連続する複数のブロック毎に設けられた各列車検知装置を双方向に通信可能に接続するネットワークとを備え、上記質問器で得た列車の進入・進出検知の情報を上記各列車検知装置間で送受信する。また、上記各列車検知装置は、自分が検知対象とする端部のブロックと、自分に隣接する列車検知装置が検知対象とする端部のブロックと、の間の境界ブロック、及び、自分が検知対象とする端部のブロックと、自分に隣接する列車検知装置を一つとばしたその次の列車検知装置が検知対象とする端部のブロックと、の間の長大ブロック、も列車の進入・進出の検知対象とする。更に、上記各列車検知装置は、自分の再立上げ時に、自分の検知対象ブロック及び境界ブロックの在線列車情報を仮に在線とし、自分に隣接する列車検知装置により管理されて自分の検知対象ブロック及び境界ブロックと同一の範囲を有する長大ブロックの在線列車情報をネットワークを介して受信し、受信した長大ブロックの在線列車情報により自分の検知対象ブロック及び境界ブロックの在線列車情報を設定する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明による列車検知管理システムの実施の形態を示すシステム構成図である。この列車検知管理システムは、列車走行の閉そく区間であるブロックへの列車の進入、進出を検知すると共に在線列車の情報を管理するもので、質問器Q(Qa1~Qa4,Qb1,Qb2,…)と、地上応答器G(Ga1~Ga4,Gb1,Gb2,…)と、車上応答器Vと、列車検知装置1(1a,1b,…)と、ネットワークNWとを備えて成る。
【0021】
上記質問器Qは、後述の地上応答器G又は車上応答器Vに対して質問信号を送信すると共に、上記地上応答器G又は車上応答器Vからの応答信号を受信する第1通信手段となるもので、指向性を有する通信領域を持つ電波又は光を送受信するようになっており、レール2上を走行する列車3の閉そく区間であるブロックA1~A3,B1,B2,…の各境界にてレール2の近傍に設置されている。
【0022】
例えば、図1において、レール2の左側方を列車走行の起点側とし、右測方を列車走行の終点側として、起点側から終点側に向けて所定間隔で第1のブロックA1、第2のブロックA2、第3のブロックA3,…が設定されているとすると、ブロックA1の左端に質問器Qa1が、ブロックA1とブロックA2の境界に質問器Qa2が、ブロックA2とブロックA3の境界に質問器Qa3が、ブロックA3の右端に質問器Qa4が設置されている。そして、これらの質問器Qa1~Qa4に対して列車検知装置1aが接続されている。また、隣接する列車検知装置1bには、同じようにして質問器Qb1,Qb2,…が設けられている。
【0023】
地上応答器Gは、上記質問器Qから送信された質問信号を受信すると共に、自分が地上応答器であることを示す識別情報を含んだ応答信号を送信する第2通信手段となるもので、指向性を有する通信領域を持つ電波又は光を送受信するようになっており、列車通過時に列車3の車体により通信領域が遮断されるように上記各質問器Qa1~Qa4,Qb1,Qb2,…に対向してそれぞれ地上応答器Ga1~Ga4,Gb1,Gb2,…が設置されている。なお、上記各質問器Qと地上応答器Gとは、常時通信状態とされており、レール2上を走行する列車3が該両者間を通過することにより両者間の通信が遮断される位置に配置されている。
【0024】
車上応答器Vは、上記質問器Qから送信された質問信号を受信すると共に、自分が搭載された列車3の編成を示す識別情報を含んだ応答信号を送信する第3通信手段となるもので、指向性を有する通信領域を持つ電波又は光を送受信するようになっており、上記列車3を構成する編成毎に1個又は複数個搭載されている。そして、列車3がレール2上を走行して、質問器Qa1~Qa4,Qb1,Qb2,…の位置を通過するときに、上記車上応答器Vは各質問器Qa1~Qa4,Qb1,Qb2,…と通信するようになっている。
【0025】
また、列車検知装置1は、上記各ブロックの境界の質問器Qa1~Qa4,Qb1,Qb2,…が受信した地上応答器Ga1~Ga4,Gb1,Gb2,…又は車上応答器Vからの応答信号を取り込んで進行方向前方のブロックへの列車3の進入を検知すると共に、列車進出の検知方式を実行して進行方向後方のブロックからの列車3の進出を検知し、在線列車情報を作成し、在線列車情報も含む各ブロックの在線情報を管理し、該情報を外部装置4に送出するもので、複数の質問器Qa1~Qa4に対して列車検知装置1aが接続され、他の複数の質問器Qb1,Qb2,…に対して他の列車検知装置1bが接続されている。
【0026】
なお、上記各列車検知装置1a,1bは、例えば線区のいずれかの駅毎に設置されている。また、上記各列車検知装置1a,1bには、例えば信号機及び転轍機等の動作を制御する連動装置、運行管理装置、旅客案内装置等の外部装置4a,4bが接続されている。
【0027】
さらに、ネットワークNWは、上記各ブロックA1~A3,B1,B2,…を検知対象として連続する複数のブロックA1~A3,B1~B3毎に設けられた各列車検知装置1a,1bを双方向に通信可能に接続するもので、例えば金属ケーブル又は光ファイバケーブル等の通信ケーブルからなる。そして、このネットワークNWを介して、上記各列車検知装置1a,1b間で質問器Qで得た列車3の進入、進出検知の情報を送受信するようになっている。
【0028】
なお、上記各列車検知装置1は、図1に示すように、自分(例えば1a)が検知対象とする端部のブロックA3と、隣接する列車検知装置1bが検知対象とする端部のブロックB1との間の境界ブロックABも列車3の進入、進出の検知対象としている。この場合は、列車検知装置1aは、隣接する列車検知装置1bに接続された端部の質問器Qb1が受信した応答信号を上記ネットワークNWを介して取り込み、自分の端部の質問器Qa4が受信した応答信号とで、上記境界ブロックABにおける列車3の進入、進出の検知を行う。なお、上記各列車検知装置1a,1bを駅単位で設置した場合は、上記境界ブロックABは、駅間ブロックに相当する。
【0029】
また、上記各列車検知装置1は、図2に示すように、自分(例えば1a)が検知対象とする端部のブロックA3と、隣接する列車検知装置1bを一つとばしたその次の列車検知装置1cが検知対象とする端部のブロックC1との間の長大ブロックLBも列車3の進入、進出の検知対象としている。この場合は、列車検知装置1aは、隣接する列車検知装置1bの次の列車検知装置1cに接続された端部の質問器Qc1が受信した応答信号を上記ネットワークNWを介して取り込み、自分の端部の質問器Qa4が受信した応答信号とで、一つの長大ブロックLBにおける列車3の進入、進出の検知を行う。
【0030】
なお、上記長大ブロックLBは、列車検知装置1bが検知対象とするブロックB1~B3と、その両端部の境界ブロックABと、BCとを含んだ範囲であり、該列車検知装置1bの全検知対象ブロックと一致する。また、図2において、符号CRは、上記ネットワークNWを介して複数の列車検知装置1a,1b,1c間で情報を送受信するときの制御をするコントロールセンターを示している。
【0031】
図3は、上記質問器Qと、地上応答器Gと、車上応答器Vと、列車検知装置1の内部構成を示すブロック図である。まず、質問器Qは、地上応答器G又は車上応答器Vに対して質問信号を送信する送信部5と、上記地上応答器G又は車上応答器Vからの応答信号を受信する受信部6と、この受信部6で受信した応答信号を列車検知装置1へ送信する送信部7と、それらの動作を制御する制御部(例えばCPUから成る)8とを備えて成る。
【0032】
次に、地上応答器Gは、上記質問器Qからの質問信号を受信する受信部9と、この質問信号に対する応答信号を送信する送信部10とを備えて成る。また、車上応答器Vは、同じく上記質問器Qからの質問信号を受信する受信部11と、この質問信号に対する応答信号を送信する送信部12とを備えて成る。
【0033】
さらに、列車検知装置1は、上記質問器Qの送信部7から送られる地上応答器G又は車上応答器Vからの応答信号を受信する受信部13と、この取り込んだ応答信号を用いて前記ブロックA1~A3や境界ブロックAB又は長大ブロックLB等への列車3の進入、進出を検知すると共に在線列車情報を作成、管理する制御部(例えばCPUから成る)14と、この作成された在線列車情報を記録するメモリ15と、該在線列車情報をネットワークNWや外部装置4に送出する送信部16と、他の列車検知装置からネットワークNW経由で当該列車検知装置1が管理する各ブロックの在線クリア情報を受信する手段としての受信部17と、当該列車検知装置1が管理する各ブロックの在線クリア情報を手動で入力するための手段としての入力部18とを備えて成る。
【0034】
なお、上記列車検知装置1内の送信部16と受信部17とは、ネットワークNWに接続されている。また、列車検知装置1内の入力部18は、当該列車検知装置1が検知対象とするブロックや境界ブロック又は長大ブロック等の数に応じて、そのブロック毎に在線クリア情報を手動で入力するための操作ボタンを備えている。
【0035】
図4は、上記列車3に搭載された車上応答器Vの配置を示す説明図である。この図4は、列車進出の基本的な検知方式を実行する場合の配置の一例を示しており、列車3を構成する個々の編成毎に列車走行の起点側に所定間隔で第1の車上応答器V1と第2の車上応答器V2の2個が設置され、終点側に所定間隔で第3の車上応答器V3と第4の車上応答器V4の2個が設置されており、それぞれの車上応答器V1~V4の応答信号には各々の取付位置の情報が含まれている。この場合、列車3の編成の先頭側の車上応答器Vでブロックへの進入を検知し、後尾側の車上応答器Vでブロックからの進出を検知する。また、2個の車上応答器V1,V2と、車上応答器V3,V4とで、列車3の編成の進行方向を検知する。
【0036】
なお、上記の構成は一例であって、図4に示す車上応答器Vの配置の他に、列車3の編成毎に1個の車上応答器Vを設けてもよい。また、列車3を構成する複数の編成のうち最先頭側の編成には1個だけ搭載し、最後尾側の編成には、図4に示すと同様に列車走行の起点側に所定間隔で2個(V1,V2)、終点側に所定間隔で2個(V3,V4)搭載し、それぞれの応答信号には取付位置の情報を含んだものとしてもよい。さらに、列車3を構成する複数の編成のうち最先頭側の編成には1個搭載し、最後尾側の編成にも1個だけ搭載してもよい。
【0037】
次に、このように構成された列車検知管理システムの動作により行う列車の進入、進出検知の一例について、図5~図7を参照して説明する。まず、図1において、一つの編成からなる列車3がブロックA1に在線するとし、図面左側の起点側から右側の終点側に向かって矢印D方向に進行し、ブロックA2に進入するとする。この状態で、図5に示すように、レール2上を走行する列車3の先頭部がブロックA1とA2との境界に対向配置された質問器Qa2と地上応答器Ga2との間に進むと、該両者間の通信が遮断される。すると、図1に示す列車検知装置1aは、上記質問器Qa2から送られる地上応答器Ga2の応答信号受信無しを検出して、「列車あり」を点検知する。これにより、上記列車検知装置1aは、前方のブロックA2への列車3の進入を検知する。このときは、まだ、どの編成の列車3が進入したかは不確定である。
【0038】
次に、図6に示すように、レール2上を走行する列車3がさらに進み、該列車3を構成する編成の終点側の車上応答器V4が質問器Qa2の位置に来ると、上記車上応答器V4からの応答信号(編成識別情報を含む)を質問器Qa2が受信する。すると、列車検知装置1aは、上記質問器Qa2から送られる車上応答器V4の編成識別情報を検出して、「編成検知」とする。これにより、上記列車検知装置1aは、当該ブロックA2へ進入した列車3の編成を確定する。このとき、列車検知装置1aは、上記ブロックA2へ進入した列車3の編成識別情報を在線列車情報として管理する。なお、一度進入を検知した在線列車情報は、その列車3の進出が検知できるまで保持する。
【0039】
次に、図7に示すように、レール2上を走行する列車3がさらに進み、上記列車3の編成の起点側に搭載された複数個の車上応答器V2,V1が質問器Qa2の位置を順次通過すると、上記車上応答器V2,V1からの応答信号を質問器Qa2が順次受信する。すると、列車検知装置1aは、上記質問器Qa2から送られる車上応答器V2(終点側),V1(起点側)の順の応答信号受信を検出して、「終点方向検知」とする。これにより、上記列車検知装置1aは、当該ブロックA2を進行する編成の進行方向を編成後方にて検知する。
【0040】
そして、図7において、レール2上を走行する列車3がさらに進み、該列車3の後尾部がブロックA1とA2との境界に対向配置された質問器Qa2と地上応答器Ga2との間を通過すると、該両者間の通信が回復される。すると、列車検知装置1aは、上記質問器Qa2から送られる地上応答器Ga2の応答信号受信有りを検出して、「列車無し」を点検知する。これにより、上記列車検知装置1aは、後方のブロックA1からの列車3の編成の進出を検知する。そして、列車検知装置1aは、ブロックA1における在線列車情報を削除し、ブロックA1を非在線として管理する。以後、このような動作を繰り返して、各ブロックへの列車3の進入、進出が検知され、在線列車情報が作成、管理される。
【0041】
なお、以上の列車の進入、進出検知は、図2に示す境界ブロックAB,BC及び長大ブロックLB等についても同様に行われる。このとき、各列車検知装置1a,1b,1cは、ネットワークNWで双方向に通信可能に接続されており、上記境界ブロックAB,BC及び長大ブロックLBがそれぞれ隣接するブロックとの境の質問器Q、地上応答器Gのポイントを列車3が通過することにより、その点検知情報が上記ネットワークNWを介して各列車検知装置に送られ、列車3の進入、進出が検知される。
【0042】
次に、本発明による在線列車情報管理方法について、図2を参照して説明する。ここでは、列車検知管理システムの列車検知装置1bを中心にして説明する。まず、列車走行のレール2に沿って設置された列車検知装置1bは、自分が検知対象とする複数のブロックB1,B2,B3と、隣接する列車検知装置1a,1cの検知対象の端部ブロックとの間の境界ブロックAB,BCと、隣接する列車検知装置1a又は1cを一つとばしたその次の列車検知装置(図示外)の検知対象の端部ブロックとの間の長大ブロックLA,LCとを管理対象のブロックとしている。
【0043】
この状態で、上記各列車検知装置1a,1b,1c間で各ブロックの境界の質問器Qと地上応答器G又は車上応答器Vとで得た列車3の進入、進出の検知情報をネットワークNWを介して送受信する。このときの列車3の進入、進出の検知は、図1及び図5~図7を参照して説明したように行われる。そして、上記列車3の進入、進出の検知情報から列車3がどのブロックに在るかを判断し、在線、非在線の在線列車情報を作成して各列車検知装置1a,1b,1c間でネットワークNWを介して送受信する。
【0044】
このとき、列車検知装置1aは長大ブロックLBの在線列車情報をも管理し、列車検知装置1cは長大ブロックLBの在線列車情報をも管理している。これらにより、列車検知装置1bは、隣接する列車検知装置1a及び1cの管理する長大ブロックLBの在線列車情報も利用して、列車走行のレール2に沿った各ブロックの在線列車情報を管理することができる。
【0045】
次に、本発明による在線列車情報再立上げ方法について、図8~図10を参照して説明する。ここでは、図2に示す列車検知管理システムの各列車検知装置1a,1b,1cのうちの列車検知装置1bを中心にして説明する。まず、図8において、列車走行のレール2に沿って設置された各列車検知装置(1a,1b,1c)のうちの或る列車検知装置1bが故障して自分の全検知対象ブロックの在線列車情報が失われたとする。ここで、列車検知装置1bの全検知対象ブロックは、該列車検知装置1bが検知対象とするブロックB1~B3と、その両端部の境界ブロックABと、BCとを含んだ範囲である。
【0046】
この状態で、上記列車検知装置1bの故障を復旧してシステムを再立上げする時、当該列車検知装置1bの再立上げ時の自分の検知対象ブロックB1~B3及び境界ブロックAB,BCを在線状態にする。その手段の一例として、各ブロックの在線列車情報として、全ブロック「列車在り」として在線状態の仮編成を設定する。このときの在線列車の仮編成として、境界ブロックABについて識別符号Dabを設定し、検知対象ブロックB1について識別符号Db1を設定し、検知対象ブロックB2について識別符号Db2を設定し、検知対象ブロックB3について識別符号Db3を設定し、さらに境界ブロックBCについて識別符号Dbcを設定する。
【0047】
なお、上記列車検知装置1bは、自分の全検知対象ブロックAB,B1~B3,BC以外に、図2に示すように該列車検知装置1bが管理する長大ブロックLA,LCについても「列車在り」として在線状態の仮編成を設定する。このときの在線列車の仮編成として、長大ブロックLAについて識別符号DAを設定し、長大ブロックLCについて識別符号DCを設定する。このような状態で、図8に示すように、取り敢えず全ブロック在線状態でシステムを立ち上げる。
【0048】
次に、図9に示すように、上記列車検知装置1bの全検知対象ブロックAB,B1~B3,BCと同一の範囲を有する長大ブロックLBの在線列車情報として、隣接の列車検知装置1a又は1c(図示外)の管理している長大ブロックLBの在線列車情報(識別符号DB)をネットワークNWを介して送受信して取り込み、該列車検知装置1bの全検知対象ブロックAB,B1~B3,BCの在線列車情報として自動で設定する。この長大ブロックLBの在線列車情報は、上記列車検知装置1bの全検知対象ブロックAB,B1~B3,BCの在線列車情報の再設定が完了するまで、その在線列車情報(識別符号DB)が更新される度に受信する。
【0049】
そして、上記長大ブロックLB内の在線列車情報の内容が非在線であることを示している場合は、当該列車検知装置1bの自分の全検知対象ブロックAB,B1~B3,BCの在線状態の仮編成を削除する。すなわち、図8で設定した「列車在り」の仮編成は現在の在線状態に合致しないので、各ブロックについて設定した識別符号Dab,Db1,Db2,Db3,Dbcを総て削除する。また、列車検知装置1bが管理する長大ブロックLA,LCについては、その長大ブロックLA,LCと同じ範囲の全検知対象ブロックを有してその在線列車情報を管理している隣接の列車検知装置1a,1cからネットワークNWを介して在線列車情報を受信し、該情報をそのままコピーし、図8で設定した「列車在り」の仮編成を示す識別符号DA,DCを削除する。これにより、図9に示すように、非在線の状態で当該列車検知装置1bの在線列車情報を設定する。
【0050】
一方、上記長大ブロックLB内の在線列車情報の内容が在線であることを示している場合は、図10に示すように、当該列車検知装置1bの自分の全検知対象ブロックAB,B1~B3,BC内に在線している列車3の車上応答器Vの応答信号を各ブロックの境界のいずれかの質問器Qが受信することにより列車3の在線ブロックを特定し、在線している総ての列車3の在線ブロックを特定して在線列車情報を設定した後、当該列車検知装置1bはそれまでの在線状態の仮編成を削除する。
【0051】
例えば、上記長大ブロックLB内の在線列車情報の内容として、識別符号D01が含まれている場合は、列車検知装置1bの全検知対象ブロックAB,B1~B3,BC内のいずれかのブロックに識別符号D01で表された列車3の編成が在ることになる。そして、上記列車3を適宜移動させ、例えばブロックB2とブロックB3との境界の質問器Qb3が列車3の車上応答器Vの応答信号を受信して、列車3がブロックB3に進入すると共にブロックB2から進出したことを検出することにより、列車検知装置1bは、ブロックB3に識別符号D01の編成の列車3が在ることを検出する。このとき、上記長大ブロックLB内の在線列車情報の内容としての識別符号D01と、列車検知装置1bが検出した列車3の編成の識別符号D01とが一致していることにより、列車3の在線ブロックを正しく特定する。このようにして、上記長大ブロックLBに在線している列車3の在線ブロックが特定でき、その在線列車情報の設定を完了したら、当該列車検知装置1bはそれまでの在線状態の仮編成を削除する。すなわち、図10で設定したブロックB3の識別符号D01を除き、他のブロックについて設定した識別符号Dab,Db1,Db2,Dbcを総て削除する。
【0052】
もし、上記長大ブロックLB内の在線列車情報の内容として、複数の列車3の編成の識別符号が含まれている場合、例えば図11に示すように識別符号D02,D03が含まれている場合は、列車検知装置1bは、上述と同様にしてその複数の列車3の在線ブロックを特定する。すなわち、列車検知装置1bの全検知対象ブロックAB,B1~B3,BC内のいずれか一つ又は複数のブロックに識別符号D02,D03で表された複数の列車3の編成が在ることになる。そして、いずれか一つの列車3を適宜移動させ、例えばブロックB1とブロックB2との境界の質問器Qb2が識別符号D02の列車3の車上応答器Vの応答信号を受信して、該列車3がブロックB2に進入すると共にブロックB1から進出したことを検出することにより、列車検知装置1bは、ブロックB2に識別符号D02の編成の列車3が在ることを検出する。
【0053】
また、他の列車3を適宜移動させ、例えばブロックB3とブロックBCとの境界の質問器Qb4が識別符号D03の列車3の車上応答器Vの応答信号を受信して、該列車3がブロックBCに進入すると共にブロックB3から進出したことを検出することにより、列車検知装置1bは、ブロックBCに識別符号D03の編成の列車3が在ることを検出する。このとき、上記長大ブロックLB内の在線列車情報の内容としての識別符号D02,D03と、上記列車検知装置1bがそれぞれ検出した列車3の編成の識別符号D02,D03とが一致していることにより、複数の列車3の在線ブロックを正しく特定する。このようにして、上記長大ブロックLBに在線している全列車の在線ブロックが特定でき、その在線列車情報の設定を完了したら、当該列車検知装置1bはそれまでの在線状態の仮編成を削除する。すなわち、図11で設定したブロックB2及びBCの識別符号D02,D03を除き、他のブロックについて設定した識別符号Dab,Db1,Db3を総て削除する。
【0054】
なお、図11では、複数の列車3が複数のブロックに在線する状態について説明したが、この場合に限らず、複数の列車3が一つのブロックに在線する場合であっても、列車検知装置1bは、上述と同様にしてその複数の列車3の在線ブロックを特定することができる。例えば、いずれか一つの列車3を適宜移動させて質問器Qb2が識別符号D02の列車3の車上応答器Vの応答信号を受信して、該列車3がブロックB2に進入すると共にブロックB1から進出したことを検出し、次に、他の列車3を適宜移動させて同じく質問器Qb2が識別符号D03の列車3の車上応答器Vの応答信号を受信して、該列車3がブロックB2に進入すると共にブロックB1から進出したことを検出することにより、列車検知装置1bは、ブロックB2に識別符号D02,D03の複数の列車3が在ることを検出する。
【0055】
そして、これらの場合も、列車検知装置1bが管理する長大ブロックLA,LCについては、その長大ブロックLA,LCと同じ範囲の全検知対象ブロックを有してその在線列車情報を管理している隣接の列車検知装置1a,1cからネットワークNWを介して在線列車情報を受信し、該情報をそのままコピーし、図8で設定した「列車在り」の仮編成を示す識別符号DA,DCを削除する。これにより、図10に示すように、各ブロックに応じて在線、非在線の状態で当該列車検知装置1bの在線列車情報を設定する。
【0056】
なお、以上の説明は、図3に示す列車検知装置1内の送信部16及び受信部17と、ネットワークNWとを用いて、他の列車検知装置からネットワークNW経由で当該列車検知装置1が管理する各ブロックの在線クリア情報を自動的に受信する場合について述べたが、これ以外に、図3に示す列車検知装置1内の入力部18を用いて、当該列車検知装置1が管理する各ブロックの在線、非在線を係員が目視等により確認して、在線クリア情報を手動で入力してもよい。これによっても、図10に示すように、各ブロックに応じて在線、非在線の状態で当該列車検知装置1bの在線列車情報を設定することができる。
【0064】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されたので、請求項1に係る列車検知管理システムによれば、各列車検知装置は、自分の再立上げ時に、自分の検知対象ブロック及び境界ブロックの在線列車情報を仮に在線とし、自分に隣接する列車検知装置により管理されて自分の検知対象ブロック及び境界ブロックと同一の範囲を有する長大ブロックの在線列車情報をネットワークを介して受信し、受信した長大ブロックの在線列車情報により自分の検知対象ブロック及び境界ブロックの在線列車情報を設定することにより、例えば、列車検知装置が故障して自分の全検知対象ブロックの在線列車情報が失われたときに、隣接の列車検知装置の管理している長大ブロックの在線列車情報をネットワークを介して受信し、自分の全検知対象ブロックの在線列車情報を設定することができる。したがって、列車の運行をスムーズに再開することができる。
【0065】
そして、請求項2に係る発明によれば、各列車検知装置は、自分の再立上げ時に、上記受信した長大ブロックの在線列車情報が非在線の場合は、仮に在線している自分の検知対象ブロック及び境界ブロックの在線列車情報を非在線とし、自分の在線列車情報を設定することにより、列車の運行をスムーズに再開することができる。
【0066】
また、請求項3に係る発明によれば、各列車検知装置は、自分の再立上げ時に、上記受信した長大ブロックの在線列車情報が在線の場合は、当該長大ブロックに在線している列車の識別信号を車上応答器から当該長大ブロック内のいずれかの質問器が受信することにより当該長大ブロック内における列車の在線ブロックを特定し、在線している総ての列車の在線ブロックを特定してそのブロックの在線列車情報を設定した後、それ以外の自分の検知対象ブロック及び境界ブロックの在線列車情報を非在線とし、自分の在線列車情報を設定することにより、列車の運行をスムーズに再開することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による列車検知管理システムの実施の形態を示すシステム構成図である。
【図2】 上記列車検知管理システムの列車検知装置が検知対象としている長大ブロックの状態及び在線列車情報管理方法を説明する図である。
【図3】 上記列車検知管理システムにおける質問器と、地上応答器と、車上応答器と、列車検知装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】 列車に搭載された車上応答器の配置を示す説明図である。
【図5】 上記列車検知管理システムの動作により行う列車の進入、進出検知を示す説明図であり、前方のブロックへの列車の進入検知を示す図である。
【図6】 同じく列車の進入、進出検知を示す説明図であり、前方のブロックへ進入した列車の編成確定を示す図である。
【図7】 同じく列車の進入、進出検知を示す説明図であり、後方のブロックからの編成の進出検知を示す図である。
【図8】 本発明による在線列車情報再立上げ方法を説明する図であり、再立上げ時の在線状態を示す説明図である。
【図9】 同じく本発明の在線列車情報再立上げ方法を説明する図であり、長大ブロックが非在線の状態を示す説明図である。
【図10】 同じく本発明の在線列車情報再立上げ方法を説明する図であり、長大ブロックが在線の状態を示す説明図である。
【図11】 同じく本発明の在線列車情報再立上げ方法を説明する図であり、長大ブロックが在線状態の他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1a,1b,1c…列車検知装置
2…レール
3…列車
4a,4b,4c…外部装置
Q,Qa1~Qa4,Qb1~Qb4…質問器
G,Ga1~Ga4,Gb1~Gb4…地上応答器
V,V1~V4…車上応答器
A1~A3,B1~B3…ブロック
AB,BC…境界ブロック
LA,LB,LC…長大ブロック
NW…ネットワーク
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10