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明細書 :レールのテルミット溶接方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4351402号 (P4351402)
公開番号 特開2002-263866 (P2002-263866A)
登録日 平成21年7月31日(2009.7.31)
発行日 平成21年10月28日(2009.10.28)
公開日 平成14年9月17日(2002.9.17)
発明の名称または考案の名称 レールのテルミット溶接方法
国際特許分類 B23K  23/00        (2006.01)
E01B  11/52        (2006.01)
B23K 101/26        (2006.01)
FI B23K 23/00 A
E01B 11/52
B23K 101:26
請求項の数または発明の数 2
全頁数 8
出願番号 特願2001-065300 (P2001-065300)
出願日 平成13年3月8日(2001.3.8)
審査請求日 平成16年7月14日(2004.7.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】391023725
【氏名又は名称】株式会社峰製作所
発明者または考案者 【氏名】深田 康人
【氏名】山本 隆一
【氏名】鈴木 理三郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100090033、【弁理士】、【氏名又は名称】荒船 博司
【識別番号】100093045、【弁理士】、【氏名又は名称】荒船 良男
審査官 【審査官】中島 昭浩
参考文献・文献 特開平11-058042(JP,A)
調査した分野 B23K 23/00
E01B 11/52
特許請求の範囲 【請求項1】
レールをテルミット溶接するに際し、レール溶接部頭部の余盛を除去し、レール溶接部頭部を、レール溶接部底部の温度降下速度及び自然放冷より速く、マルテンサイト組織が生成される温度降下速度より遅い冷却速度で空冷して溶接熱を除熱することを特徴とするレールのテルミット溶接方法。
【請求項2】
請求項1記載のレールのテルミット溶接方法において、
残留する溶接熱によりレール溶接部頭部の中心部がオーステナイト変態温度以上の温度を有する時点から、レール溶接部頭部表面の温度が少なくとも400℃になるまで、前記空冷を行うことを特徴とするレールのテルミット溶接方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道用レールのロングレール化に使用される溶接方法のうち、テルミット溶接方法に係り、特に、施工時間の短縮及び溶接部の強度向上を図るものに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、軌道保守コストの低減や騒音振動の低減のために溶接によって継目を連続化するロングレール化が普及しつつある。鉄道用レールのロングレール化は、軌道の最弱点箇所である継目をなくし、騒音、振動及びメンテナンスコスト低減、さらには乗り心地を向上させる等の多くの利点がある。このロングレールは一般に25m乃至50mのレールを溶接して製造される。
その溶接方法として、フラッシュ溶接、ガス圧接、エンクローズアーク溶接、及びテルミット溶接が日本では採用されている。その中でもテルミット溶接は、使用器具が軽量で、大きな電源や加圧装置が不要であり、機動性に優れ、さらには溶接時間が比較的短い等の理由により、レールの現地溶接法として広く利用されており、全レール溶接のうちの約4割を占めるに至っている。
テルミット溶接法は酸化鉄等の酸化金属とアルミニウム等の酸化傾向の強い金属との化学反応を利用した溶接法である。一般に、レールのテルミット溶接では、2本のレール端部を間隔を設けて対向設置し、耐火物鋳型によって前記レール端部間の隙間とその周囲を取り囲みキャビティを形成する。さらに、そのキャビティの上方に反応るつぼを設置して、るつぼ内の酸化鉄とアルミニウムとの化学反応によって生成した溶融鉄を、るつぼ底部の流出孔を開口させて前記キャビティに注入し、前記レールを溶接する。
また、テルミット溶接では、アーク溶接におけるアークのような集中熱源がない。このため、テルミット溶接ではレール鋼の溶融がアーク溶接に比較すると不完全になりやすく、粗大な溶け込み不良を生じることがある。これを避けるために、高温の予熱が行われるが、母材溶融が特に不利になりやすいレール外表面近傍に対しては、十分な熱量が加わるように、比較的大きい余盛を形成させる。溶接後、レール溶接部頭部の余盛はレール形状に沿って除去され、レール溶接部腹部及び底部の余盛は溶接部の強度向上のためそのまま残される。そしてレール溶接部が常温まで冷却された後、レール溶接部の超音波探傷検査及び浸透探傷検査が実施される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述のようにテルミット溶接は、使用器具が軽量で、大きな電源や加圧装置が不要であり、機動性に優れ、さらには溶接時間が比較的短い等の理由により、汎用されている。
しかしその一方で、テルミット溶接部の投入熱量は、比較的大きく、溶鋼を鋳型の中に注入してから常温、すなわち超音波探傷検査が実施できるようになる温度まで冷却するまでには、現在約1時間を要しているという時間的負担がある。テルミット溶接は現場で溶接作業を行うことが主体で、限られた列車間合いで作業を終了する必要があることから、溶接準備から溶接終了まで、さらにはグラインダー仕上げ及び超音波探傷検査に至るトータル時間の一層の短縮が強く要望される。
そこで、少しでも冷却時間を短縮するために水冷を実施している。しかし、時間の短縮のみを優先し、変態温度以上の高温から水冷した場合、溶接部に硬くて脆い組織であるマルテンサイト組織が生成され、列車通過時に発生する応力により溶接部が損傷するおそれがある。したがって、変態温度以上の高温から不用意に溶接部に対し水冷することができない。そのため、通常、レールの温度が300℃以下になった時点で水冷を実施している。ここで、300℃以下とするのは、レールの表面温度と中心部温度とでは中心部温度の方が高いが、表面温度が300℃以下であれば、レール溶接部全体が十分に変態温度以下であることが確実だからである。
以上のように溶接部の強度を維持するため、さらなる冷却時間の短縮を図り難いという問題がある。
【0004】
一方、テルミット溶接の溶接金属は鋳造組織であるため、レール溶接部底部などに比較的大きい余盛を有すること等から、実用上は十分な強度を有しているものの、他の溶接による接合部と比べ強度的にやや劣っており、世界の鉄道の代表と位置付けられる日本の新幹線軌道には、現在テルミット溶接の使用例は少なく、そのロングレール化は主に前掲した他の3種類の溶接方法により行われている。
【0005】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、レールのテルミット溶接方法において、テルミット溶接部の強度を維持しつつ冷却時間の短縮化を図り施工性を向上させることを課題とする。
また本発明は、レールのテルミット溶接方法において、テルミット溶接部の特性・性能の向上、特に、疲労強度の向上を図ることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために請求項1記載の発明は、レールをテルミット溶接するに際し、レール溶接部頭部の余盛を除去し、レール溶接部頭部を、レール溶接部底部の温度降下速度及び自然放冷より速く、マルテンサイト組織が生成される温度降下速度より遅い冷却速度で空冷して溶接熱を除熱することを特徴とする。
【0007】
一般に溶接を行うと、溶接部にはその冷却過程で熱応力による変形が生じる。その際に、外部拘束や、自拘束により変形が制限されると、応力に見合う変形ができず、発生した応力の一部が残留応力として部材内に残存する。残留応力は断面内で均衡しており、断面内の積分値は零になる。したがって、局部的に引張の領域があれば必ず他の領域が圧縮となる。引張残留応力の存在する部位に外部から繰り返し応力が負荷されると、外部荷重による応力に残留応力が加算され、疲労強度が低下することがある。レールの場合、列車の通過によりレール底部に引張応力が加わるため、レール底部には圧縮残留応力を残存させた方が強度上有利といえる。
そこで、請求項1記載の発明によれば、レール溶接部頭部を、レール溶接部底部の温度降下速度及び自然放冷より速い冷却速度で空冷するので、レール溶接部頭部はレール溶接部底部に比べ速く冷却され、レール溶接部底部の残留応力をより圧縮側とすることができ、その結果、溶接部の強度を向上させることができる。
レール溶接部底部は自然放冷によればよい。すなわち、レール溶接部頭部のみを自然放冷より速い冷却速度で空冷すればよい。レール溶接部底部をも自然放冷より速い冷却速度で空冷する場合には、レール溶接部底部に加える風圧より、レール溶接部頭部に加える風圧を高くして、レール溶接部頭部を、レール溶接部底部の温度降下速度より速い冷却速度で空冷する。
【0008】
また、請求項1記載の発明によれば、レール溶接部頭部を自然放冷より速い冷却速度で空冷するので、水冷を開始できる温度まで自然放冷とする場合に比較して、冷却時間を短縮することができる。
さらに、請求項1記載の発明によれば、レール溶接部頭部を自然放冷より速い冷却速度で空冷して溶接熱を除熱する、すなわち、溶接熱と自然放冷より速い冷却速度の空冷とを利用して冷却速度を制御し熱処理を完了するため、再加熱し二次冷却するという熱処理工程を行わずに済み、全体として施工時間の短縮の効果を得ることができる。
【0009】
冷却後に、レール溶接部頭部の余盛を除去する場合は、硬化した大量の余盛部を仕上げ時にグラインダーで除去しなければならず、作業時間の延長につながる。しかし請求項1記載の発明によれば、溶接後、自然放冷より速い冷却速度の空冷開始前に、レール溶接部頭部の余盛を押抜き剪断除去するので、短時間でレール溶接部頭部の余盛を除去することができ、全体として施工時間の短縮の効果を得ることができる。
【0010】
また請求項2記載の発明は、請求項1記載のレールのテルミット溶接方法において、
残留する溶接熱によりレール溶接部頭部の中心部がオーステナイト変態温度以上の温度を有する時点から、レール溶接部頭部表面の温度が少なくとも400℃になるまで、前記空冷を行うことを特徴とする。
【0011】
溶接部の温度を短時間で常温にするために、強制冷却を行うことは特別なことではない。しかし、本技術分野においては、レールにマルテンサイト組織を生成させることが不可の条件であり、したがって、マルテンサイト組織を生成しないように冷却速度をコントロールしながら、冷却時間の短縮化を図る必要がある。
以上の観点から請求項1及び請求項2記載の発明は自然放冷より速く、マルテンサイト組織が生成される温度降下速度より遅い冷却速度の空冷を採用した。
また請求項2記載の発明によれば、残留する溶接熱によりレール溶接部頭部の中心部がオーステナイト変態温度以上の温度を有する時点から、レール溶接部頭部の自然放冷より速い冷却速度の空冷を開始するので、レール溶接部頭部とレール溶接部底部とでオーステナイト組織からパーライト組織への変態時期が異なり(但し、変態開始温度はほぼ同等)、レール溶接部頭部はレール溶接部底部より早く、かつ、自然放冷より早く変態を開始することになる。このことによりレール溶接部底部の残留応力をより圧縮側とすることができ、溶接部の強度を向上させることができる。
さらに請求項2記載の発明によれば、少なくとも400℃まで自然放冷より速い冷却速度で空冷する、すなわち400℃以下まで自然放冷より速い冷却速度で空冷することにより、変態が十分に終了するとともに、400℃以下の温度であれば水冷を用いることができるため、冷却時間短縮の効果が十分に得られるからである。
【0012】
自然放冷より速い冷却速度の空冷の手段としては、例えば頭部熱処理レールのガス圧接の後熱処理時に用いられている冷却装置により、必要でかつコントロールされた風圧を容易に得ることができる。
なお、実施に際しては、レール溶接部頭部の表面温度を測定し、600℃以上であることを確認すれば、レール溶接部頭部の中心部がオーステナイト変態温度以上であることを確認することがきる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施の形態のレールのテルミット溶接方法につき図1を参照して説明する。図1は本発明のレールのテルミット溶接方法を説明するためのレール溶接部断面図である。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。
【0014】
まず、2本のレール端部(図示せず)を間隔を設けて対向設置し、耐火物鋳型(図示せず)によって前記レール端部間の隙間とその周囲を取り囲みキャビティ(図示せず)を形成する。そのキャビティの上方に反応るつぼ(図示せず)を設置して、前記るつぼ内の酸化鉄並びに若干の成分調整済剤とアルミニウムとの化学反応によって生成した溶融鉄を、前記るつぼ底部の流出孔を開口させて前記キャビティに注入し、前記レールを溶接する。
溶接後、型開きし、レール溶接部頭部1の余盛4を除去する。図1に示すように、レール溶接部はレール溶接部頭部1と、レール溶接部腹部2と、レール溶接部底部3とから構成される。図1(a)に示すレール溶接部頭部1の余盛4を押し抜き剪断等により除去し、図1(b)に示すような断面を得る。すなわち、レール溶接部腹部2及びレール溶接部底部3の余盛6は除去せずそのまま残す。
【0015】
次ぎに、図1(b)に示すレール溶接部頭部1の表面温度を測定し、その温度が600℃以上であることを確認する。これは、レール溶接部頭部1の中心部5がオーステナイト変態温度以上であることを確認するためである。表面温度が600℃以上である時点から、レール溶接部頭部1の自然放冷より速い冷却速度の空冷を開始する。レール溶接部頭部1の自然放冷より速い冷却速度の空冷は、例えば頭部熱処理レールのガス圧接の後熱処理に用いられている冷却装置により行う。但し、これに限定されない。冷却装置の風圧は、0.25kPa以上4.90kPa以下の値に設定する。4.90kPaを越える圧力ではマルテンサイト組織生成の危険性があるからである。レール溶接部腹部2及びレール溶接部底部3は自然放冷より速い冷却速度の空冷その他の強制冷却は行わず、自然放冷状態に保つ。このようにして、レール溶接部頭部1の表面温度が400℃以下、例えば350℃程度になるまで自然放冷より速い冷却速度で空冷する。これにより、レール溶接部頭部1はレール溶接部底部3より早く変態を開始することになり、レール溶接部底部3に比較的大きな圧縮残留応力が残存する。
350℃程度から常温程度までは、レール溶接部全体を水冷する。水冷後、レール溶接部をグラインダーで表面仕上げする。さらにその後、超音波探傷検査及び浸透探傷検査を実施する。
以上の工程により本発明のレールのテルミット溶接方法の施工が完了する。
なお以上の実施の形態では、冷却後に仕上げ作業を行ったが、自然放冷より速い冷却速度の空冷開始時にレール溶接部頭部1の中心部5の温度がオーステナイト変態温度以上であることが確保される限り、レール溶接部頭部1の余盛の押抜き除去後、自然放冷より速い冷却速度の空冷開始前に、仕上げ作業を行っても良い。
【0016】
【実施例】
次ぎに、本発明の実施例につき説明する。本実施例では、JIS60kg普通レールをテルミット溶接で接合し、種々の風圧条件で自然放冷より速い冷却速度の空冷を行った。施工後、レール溶接部の疲労試験と、レール溶接部底部3の残留応力測定を行った。実施条件及び疲労試験の結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
JP0004351402B2_000002t.gif【0018】
表1に示すように、発明実施例として上記実施の形態に従い、レール溶接部頭部1の自然放冷より速い冷却速度の空冷時の風圧を2.21kPa(試験片No.1,No.2,No.3),0.25kPa(試験片No.4,No.5),4.41kPa(試験片No.6)とする3つの条件で実施した。比較例として、レール溶接部全体を自然放冷する場合(試験片No.7,No.8),レール溶接部頭部の自然放冷より速い冷却速度の空冷時の風圧を0.18kPa(試験片No.9),6.86kPa(試験片No.10)とする場合、レール溶接部全体を2.21kPaの風圧で空冷する場合(試験片No.11)、レール溶接部底部3のみを2.21kPaの風圧で空冷する場合(試験片No.12)を実施した。表1において冷却時間比は、溶接後自然放冷した場合(試験片No.7,No.8)のレール溶接部頭部表面温度が100℃になるまでの時間に対する比率である。強制空冷は350℃までとし、すべての試験において350℃以下の冷却は水冷とした。
本疲労試験は1mスパン中央集中荷重で、レール溶接部底部3に引張応力が作用するようにした3点支持片振り曲げ疲労試験である。最小応力を30N/mm2とし、最大応力を表1に示すような応力範囲(全振幅応力)で変化させ、繰返し数2×106回を限度として試験を実施した。
【0019】
表1に示すように本発明実施例(試験片No.1からNo.6)によると、自然放冷した溶接部に対し、冷却時間は約73%から88%となり、時間の短縮が図られている。それとともに、270N/mm2の応力範囲の試験では、何れの実施例も未破断であった。風圧を2.21kPaとした発明実施例(試験片No.3)では、290N/mm2の応力範囲でも未破断であった。
フラッシュ溶接部・ガス圧接部の疲労強度は320N/mm2、健全なエンクローズアーク溶接部は280N/mm2であるとされている。本試験は、本発明の適用によりテルミット溶接部は健全なエンクローズアーク溶接部の疲労強度とほぼ同等となることを示した。以上の本発明のレールのテルミット溶接方法によって、溶接部の特性、特に疲労強度が格段に改善され、エンクローズアーク溶接部の疲労強度とほぼ同等になることがわかった。
【0020】
一方、溶接後自然放冷した溶接部は230N/mm2では未破断であったが(試験片No.7)、250N/mm2では0.53×106回で破断した(試験片No.8)。冷却速度(風圧)が上記実施の形態の下限値0.25kPaを下回る比較例(試験片No.9)では、250N/mm2で破断し、上記実施の形態の上限値4.90kPaを超える比較例(試験片No.10)では、マルテンサイト組織の生成が認められ、疲労試験でも早期に破断した。溶接部全体を自然放冷より速い冷却速度で空冷した比較例(試験片No.11)及び底部のみを自然放冷より速い冷却速度で空冷した比較例(試験片No.12)の場合にも、疲労試験で低応力範囲の値で早期に破断した。
なお、本発明実施例(試験片No.1からNo.6)の頭部を強制冷却した溶接部に対し硬さ分布の測定を行ったところ、異常な硬さは測定されなかった。
【0021】
次ぎに、レール底部溶接余盛の止端部にひずみゲージを貼付して残留応力を測定した。その測定位置と測定結果を図2に示す。図2(a)は、従来の自然放冷によるレール底部溶接余盛中央の止端部の残留応力分布と、風圧2.21kPaの空冷をレール溶接部頭部1に施した本発明実施例のレール底部溶接余盛中央の止端部の残留応力分布とを対比して示したグラフである。図2(b)は、1から9の各測定位置を示す模式図である。 図2(a)のグラフからわかるように、本発明実施例によれば従来の自然放冷による比較例に対して、レール溶接部底部3の残留応力がより圧縮側に偏在することが確認された。
【0022】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、レール溶接部底部の残留応力をより圧縮側とすることができ、その結果、溶接部の強度を向上させることができる。
また請求項1記載の発明によれば、自然放冷より速い冷却速度の空冷により冷却時間を短縮し、工程数の増加及び余盛除去時間の長期化等を抑え、全体として施工時間を短縮することができる。
【0023】
請求項2記載の発明によれば、残留する溶接熱によりレール溶接部頭部の中心部がオーステナイト変態温度以上の温度を有する時点から、レール溶接部頭部の自然放冷より速い冷却速度の空冷を開始するので、レール溶接部頭部とレール溶接部底部とでオーステナイト組織からパーライト組織への変態時期が異なり(但し、変態開始温度はほぼ同等)、レール溶接部頭部はレール溶接部底部より早く、かつ、自然放冷より早く変態を開始することになる。このことによりレール溶接部底部の残留応力をより圧縮側とすることができ、溶接部の強度を向上させることができる。
さらに請求項2記載の発明によれば、少なくとも400℃まで自然放冷より速い冷却速度の空冷する、すなわち400℃以下まで自然放冷より速い冷却速度で空冷することにより、変態が十分に終了するとともに、400℃以下の温度であれば水冷を用いることができるため、冷却時間短縮の効果が十分に得られるからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のレールのテルミット溶接方法を説明するためのレール溶接部断面図である。
【図2】 (a)は、従来例の残留応力分布と、本発明実施例の残留応力分布とを対比して示したグラフである。(b)は、1から9の各測定位置を示す模式図である。
【符号の説明】
1…レール溶接部頭部
2…レール溶接部腹部
3…レール溶接部底部
4…レール溶接部頭部の余盛
5…レール溶接部頭部1の中心部
6…レール溶接部腹部2及びレール溶接部底部3の余盛
図面
【図1】
0
【図2】
1