TOP > 国内特許検索 > 車両の支持構造 > 明細書

明細書 :車両の支持構造

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4066129号 (P4066129)
公開番号 特開2002-264807 (P2002-264807A)
登録日 平成20年1月18日(2008.1.18)
発行日 平成20年3月26日(2008.3.26)
公開日 平成14年9月18日(2002.9.18)
発明の名称または考案の名称 車両の支持構造
国際特許分類 B61F   5/24        (2006.01)
B61F   5/00        (2006.01)
FI B61F 5/24 C
B61F 5/00 B
請求項の数または発明の数 7
全頁数 12
出願番号 特願2001-066742 (P2001-066742)
出願日 平成13年3月9日(2001.3.9)
審査請求日 平成16年9月14日(2004.9.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】801000049
【氏名又は名称】財団法人生産技術研究奨励会
発明者または考案者 【氏名】宮本 岳史
【氏名】須田 義大
個別代理人の代理人 【識別番号】100064908、【弁理士】、【氏名又は名称】志賀 正武
【識別番号】100089037、【弁理士】、【氏名又は名称】渡邊 隆
審査官 【審査官】出口 昌哉
参考文献・文献 特開2002-067942(JP,A)
特開平10-250573(JP,A)
特開昭58-112869(JP,A)
特開昭57-099457(JP,A)
調査した分野 B61F 5/00、04、06、10、24、30、36
特許請求の範囲 【請求項1】
両端に車輪を有する一つの車輪軸が台車枠に設けられた一軸台車上に車両本体が載置されて走行可能とされた車両の支持構造であって、前記車両本体と前記台車枠との間には、主まくらバネ及び副まくらバネが設けられ、前記車輪軸と前記台車枠との間には、軸バネが設けられ、前記主まくらバネ及び前記副まくらバネは、それぞれ前記軸バネに対して前記台車枠との連結点がずらされ、前記副まくらバネは、前記主まくらバネに対して前記台車枠との連結点がずらされ、前記台車枠は、前記軸バネ、主まくらバネ及び副まくらバネのそれぞれの連結点におけるピッチング方向のモーメントが釣り合わされていることを特徴とする車両の支持構造。
【請求項2】
前記副まくらバネの前記台車枠への連結点は、前記主まくらバネの前記台車枠への連結点よりも前記軸バネの前記台車枠への連結点から遠くされ、前記副まくらバネは、前記主まくらバネよりも、そのバネ剛性が小さくされていることを特徴とする請求項1記載の車両の支持構造。
【請求項3】
前記車両本体は、前記主まくらバネ及び前記副まくらバネのそれぞれの連結点におけるピッチング方向のモーメントの和が所定値よりも小さくされ、前記所定値は、前記車両本体の乗り心地に影響を与えない程度の値であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両の支持構造。
【請求項4】
前記車両本体の前記主まくらバネ及び前記副まくらバネとの連結点にて前記主まくらバネ及び前記副まくらバネから受ける力の和が所定値よりも小さくされ、前記所定値は、前記車両本体の乗り心地に影響を与えない程度の値であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の車両の支持構造。
【請求項5】
前記主まくらバネの前記台車枠との連結点と前記副まくらバネの前記台車枠との連結点との距離は、前記軸バネの前記台車枠との連結点と前記台車枠のピッチング方向の回転中心との距離よりも大きくされていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項記載の車両の支持構造。
【請求項6】
前記車両本体には、前記台車枠の裏面側へ延在する支持フレームが設けられ、前記副まくらバネは、前記台車枠と前記支持フレームとの間に設けられていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項記載の車両の支持構造。
【請求項7】
前記主まくらバネ及び前記副まくらバネと前記車両との連結点にて、前記台車枠の運動によって発生する力がそれぞれ反対向きに作用するように前記主まくらバネ及び前記副まくらバネが配置されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項記載の車両の支持構造。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道車両等の走行車両に加わる上下方向や左右方向の荷重を支える車両の支持構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、軌道上を走行する鉄道車両等の走行車両には、その車両本体の前後に設けられた台車に支持されている。
この台車としては、図6に示すように、車両本体1の下部にまくらバネ2を介して支持された台車枠3の前後に、両端部に車輪4が設けられた一対の車輪軸5の軸受5aを軸バネ6を介して支持した二軸台車が一般的であるが、軽量化、摩耗部品点数の削減に優れ、メンテナンス性が良好で低コストな台車として、図7に示すように、台車枠3に、一つの車輪軸5だけが設けられた一軸台車が実用化されつつある。
【0003】
この一軸台車は、二軸台車よりも曲線通過中に発生する横圧が低減されることがあり、このことから、急曲線が連続するような地方交通線の普通車両、都心の通勤車両あるいは都市内における高速中量交通機関として開発された近代化路面電車であるLRV(Light Rail Vehicle)などに用いることにより、その性能を有効に発揮させることができる可能性を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記一軸台車は、例えば、レールの継ぎ目を通過した際に車輪4から伝わる上下方向あるいは左右方向の高い周波数の振動・衝撃が入力した際に、二軸台車と比較して、乗り心地の面で多少劣る点があった。
このため、車輪4から加わる各種振動・衝撃を低減させて良好な乗り心地を得ることが可能な一軸台車が望まれているのが現状であった。
【0005】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、乗り心地を損ねることなく、軽量化及び低コスト化を図ることが可能な車両の支持構造を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の鉄道車両の支持構造は、両端に車輪を有する一つの車輪軸が台車枠に設けられた一軸台車上に車両本体が載置されて走行可能とされた車両の支持構造であって、前記車両本体と前記台車枠との間には、主まくらバネ及び副まくらバネが設けられ、前記車輪軸と前記台車枠との間には、軸バネが設けられ、前記主まくらバネ及び前記副まくらバネは、それぞれ前記軸バネに対して前記台車枠との連結点がずらされ、前記副まくらバネは、前記主まくらバネに対して前記台車枠との連結点がずらされ、前記台車枠は、前記軸バネ、主まくらバネ及び副まくらバネのそれぞれの連結点におけるピッチング方向のモーメントが釣り合わされていることを特徴としている。
【0007】
このように、台車枠との連結点が、軸バネと台車枠との連結点に対してずらされた主まくらバネと副まくらバネとを有し、さらに、主まくらバネと副まくらバネとの台車枠との連結点がずらされているので、車輪から入力される振動・衝撃が、台車枠がピッチング運動することにより吸収され、さらに、主まくらバネ及び副まくらバネに分散されるので、車両本体への伝達を極力抑えることができる。
これにより、例えば、鉄道車両に適応した場合、一軸台車構造であることにより車両本体へ伝達され易い線路の継ぎ目を通過した際の高周波の振動・衝撃を確実に低減させることができ、したがって、乗り心地を損ねることなく、一軸台車としたことによる軽量化及び低コスト化を図ることができる。
【0008】
請求項2記載の車両の支持構造は、請求項1記載の車両の支持構造において、前記副まくらバネの前記台車枠への連結点が、前記主まくらバネの前記台車枠への連結点よりも前記軸バネの前記台車枠への連結点から遠くされ、前記副まくらバネは、前記主まくらバネよりも、そのバネ剛性が小さくされていることを特徴としている。
【0009】
つまり、副まくらバネの台車枠への連結点が主まくらバネの台車枠への連結点よりも軸バネの台車枠への連結点から遠くされ、さらに、副まくらバネのバネ剛性が、主まくらバネのバネ剛性よりも小さくされているので、副まくらバネにおける変位が大きくされ、この大きな変位をバネ剛性が小さな副まくらバネにて柔軟に吸収することができ、さらなる乗り心地の向上を図ることができる。
【0010】
請求項3記載の車両の支持構造は、請求項1または請求項2記載の車両の支持構造において、前記車両本体が、前記主まくらバネ及び前記副まくらバネのそれぞれの連結点におけるピッチング方向のモーメントの和が所定値よりも小さくされ、前記所定値は、前記車両本体の乗り心地に影響を与えない程度の値であることを特徴としている。
【0011】
すなわち、主まくらバネ及び副まくらバネの車両本体との連結点に作用するモーメントの和が所定値よりも小さくされているので、所定値をゼロもしくは車両本体における乗り心地に影響を与えることのない値とすることにより、車両本体の揺れを確実に低減あるいはなくすことができ、さらなる乗り心地の向上を図ることができる。
【0012】
請求項4記載の車両の支持構造は、請求項1~3のいずれか1項記載の車両の支持構造において、前記車両本体の前記主まくらバネ及び前記副まくらバネとの連結点にて前記主まくらバネ及び前記副まくらバネから受ける力の和が所定値よりも小さくされ、前記所定値は、前記車両本体の乗り心地に影響を与えない程度の値であることを特徴としている。
【0013】
つまり、主まくらバネ及び副まくらバネから車両本体に加わる力の和が所定値よりも小さくされているので、所定値をゼロもしくは車両本体における乗り心地に影響を与えることのない値とすることにより、車両本体に主まくらバネ及び副まくらバネからの力を剛に受ける座を設けることにより、車両本体に加わる力を極力小さくあるいはなくすことができ、乗り心地のさらなる向上を図ることができる。
【0014】
請求項5記載の車両の支持構造は、請求項1~4のいずれか1項記載の車両の支持構造において、前記主まくらバネの前記台車枠との連結点と前記副まくらバネの前記台車枠との連結点との距離は、前記軸バネの前記台車枠との連結点と前記台車枠のピッチング方向の回転中心との距離よりも大きくされていることを特徴としている。
【0015】
このように、主まくらバネの台車枠との連結点と副まくらバネの台車枠との連結点との距離が、軸バネの台車枠との連結点と台車枠のピッチングの回転中心との距離よりも大きくされているので、副まくらバネによる振動・衝撃の吸収効率をさらに向上させることができ、さらなる乗り心地の向上を図ることができる。
【0016】
請求項6記載の車両の支持構造は、請求項1~5のいずれか1項記載の車両の支持構造において、前記車両本体に、前記台車枠の裏面側へ延在する支持フレームが設けられ、前記副まくらバネは、前記台車枠と前記支持フレームとの間に設けられていることを特徴としている。
【0017】
つまり、台車枠と、台車枠の裏面側へ延在された車両本体の支持フレームとの間に、副まくらバネが設けられているので、副まくらバネとして、主まくらバネと同じ鉄道車両にて一般的に多く用いられている圧縮バネを使用することができ、特殊なバネを用いることによるコストアップをなくすことができる。
【0018】
請求項7記載の車両の支持構造は、請求項1~6のいずれか1項記載の車両の支持構造において、前記主まくらバネ及び前記副まくらバネと前記車両との連結点にて、前記台車枠の運動によって発生する力がそれぞれ反対向きに作用するように前記主まくらバネ及び前記副まくらバネが配置されていることを特徴としている。
【0019】
つまり、主まくらバネ及び副まくらバネから車両本体に加わる力がそれぞれ反対向きであるので、車両本体側には、これら主まくらバネ及び副まくらバネの力の差分しか加わらなくなり、主まくらバネ及び副まくらバネから受ける力による車両本体への影響を小さくすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態例の車両の支持構造を図面を参照し、さらに後述する符号の諸元に基づいて説明する。
図1に示すものは、本実施形態例の車両の支持構造が適用された台車の概略構造を示すものである。
図において、符号11は、鉄道車両の車両本体であり、この車両本体11の下部に、主まくらバネ12及び副まくらバネ13を介して台車枠14が支持されている。
【0021】
また、台車枠14の下方側には、両端部に車輪15が設けられた車輪軸16の軸受16aが軸バネ17を介して支持されている。
つまり、この台車は、台車枠14の下方に車輪軸16が一つだけ支持された一軸台車である。
【0022】
主まくらバネ12は、軸バネ17に対して、その軸線がずらされており、副まくらバネ13は、主まくらバネ12よりも軸バネ17の軸線に対してさらに離されている。
【0023】
副まくらバネ13は、軸バネ17に対して主まくらバネ12をオフセットさせたことにより台車枠14に生じる曲げモーメントを相殺させるもので、圧縮バネである軸バネ17及び主まくらバネ12とは異なる引張バネから構成されている。
なお、ここでは、台車枠14の自由度が、上下方向及びピッチング方向の2自由度であることを前提としている。
【0024】
上記のように構成された支持構造において、軸バネ17、主まくらバネ12及び副まくらバネ13が設けられた台車枠14では、各バネとの連結点17a、12a、13aにおける曲げモーメントが釣り合わされて、次式(1)が成立されている。
【0025】
【数1】
JP0004066129B2_000002t.gif【0026】
そして、上記のように各バネ12、13、17が配置された支持構造においては、台車枠14の軸バネ17の連結点17aに加わる上向きの力Fが、主まくらバネ12の連結点12aでは、上向きの力F1として作用し、副まくらバネ13の連結点13aでは、下向きの力F2として作用することとなり、これら主まくらバネ12及び副まくらバネ13を介して、車両本体11に、上向きの力F1及び下向きの力F2が伝達されることとなる。
【0027】
つまり、軸バネ17から台車枠14に伝えられた上向きの力Fが、台車枠14に伝わって、主まくらバネ12及び副まくらバネ13を介して車両本体11に伝達される互いに逆方向の力F1、F2は、次式(2)の関係が成り立つ。
【0028】
【数2】
JP0004066129B2_000003t.gif【0029】
したがって、車両本体11における主まくらバネ12及びまくらバネ13の連結点12b、13bに、主まくらバネ12及び副まくらバネ13からの力F1、F2を剛に受け止める座を設けることにより、車輪15から軸バネ17を介して伝達される力Fは、車両本体11には、主まくらバネ12及び副まくらバネ13を介して伝達される力F1、F2の差分の力しか作用しないこととなる。
これにより、車輪15から入力する振動・衝撃が、車両本体11には、小さな力とされて伝達される。
【0030】
また、副まくらバネ13としては、次式(3)に示すように、その剛性k2が主まくらバネ12の剛性k1よりも小さいものが用いられている。
【0031】
【数3】
JP0004066129B2_000004t.gif【0032】
そして、このように、主まくらバネ12の剛性k1よりも副まくらバネ13の剛性k2が小さいことにより、車輪15から入力する振動・衝撃による台車枠14のピッチング方向の動きを大きくして、副まくらバネ13側による振動・衝撃の吸収を効果的に行うことができ、車両本体11への伝達をさらに低減させることができる。
【0033】
また、次式(4)が成立するように設定することにより、主まくらバネ12及び副まくらバネ13から車両本体11に作用する力F1、F2による車両本体11の曲げモーメントが理論上ゼロとなり、車両本体11の力F1、F2に起因するピッチングをなくすことができる。
【0034】
【数4】
JP0004066129B2_000005t.gif【0035】
つまり、主まくらバネ12及び副まくらバネ13の車両本体11との連結点12a、13aに作用するモーメントの和を、ゼロもしくは車両本体11における乗り心地に影響を与えない程度の所定値αより小さくすることにより、車両本体11の揺れを確実に低減させることができ、さらなる乗り心地の向上を図ることができる。
【0036】
また、特に、次式(5)が成り立つような設定を行うと、車両本体11に加わる力は理論上ゼロとなり、車輪15からの振動・衝撃の車両本体11への伝達をなくすことができる。
【0037】
【数5】
JP0004066129B2_000006t.gif【0038】
つまり、主まくらバネ12及び副まくらバネ13から車両本体11に加わる力の和を、ゼロもしくは車両本体11における乗り心地に影響を与えない程度の所定値βより小さくすることにより、車両本体11に加わる力を極力小さくすることができ、乗り心地のさらなる向上を図ることができる。
【0039】
さらに、次式(6)が成立するように各バネ12、13、17を配置させることにより、副まくらバネ13による振動・衝撃の吸収効果を良好にすることができる。
【0040】
【数6】
JP0004066129B2_000007t.gif【0041】
なお、メンテナンス時における車両本体11の台車からの取り外し及び設置を考慮した場合、主まくらバネ12及び副まくらバネ13としては、台車へ車両本体11を組み立てる組み立て工具や各バネ12、13を固定するボルトの長さ等に応じて、作業に支障のないたわみ量の差のものを用いることが望ましい。
【0042】
このように、上記車両の支持構造によれば、台車枠14との連結点12a、13aが、軸バネ17と台車枠14との連結点17aに対してずらされた主まくらバネ12と副まくらバネ13とを有し、さらに、主まくらバネ12と副まくらバネ13との台車枠14との連結点12a、13aがずらされているので、車輪15から入力される振動・衝撃が、台車枠14がピッチング運動することにより吸収され、さらに、主まくらバネ12及び副まくらバネ13に分散されるので、車両本体11への伝達を極力抑えることができる。
これにより、一軸台車構造であることにより車両本体11へ伝達され易い線路の継ぎ目を通過した際の高周波の振動・衝撃を確実に低減させることができ、したがって、乗り心地を損ねることなく、一軸台車としたことによる軽量化及び低コスト化を図ることができる。
【0043】
しかも、副まくらバネ13の台車枠14への連結点13aが主まくらバネ12の台車枠14への連結点12aよりも軸バネ17の台車枠14への連結点17aから遠くされ、さらに、副まくらバネ13のバネ剛性k2が、主まくらバネ12のバネ剛性k1よりも小さくされているので、副まくらバネ13における変位が大きくされ、この大きな変位をバネ剛性が小さな副まくらバネ13にて柔軟に吸収することができ、さらなる乗り心地の向上を図ることができる。
【0044】
また、所定値αをゼロもしくは車両本体11における乗り心地に影響を与えることのない値とし、主まくらバネ12及び副まくらバネ13の車両本体11との連結点12a、13aに作用するモーメントの和が所定値αよりも小さくなるように設定すると、車両本体11の揺れを確実に低減あるいはなくすことができ、さらなる乗り心地の向上を図ることができる。
【0045】
さらには、所定値βをゼロもしくは車両本体11における乗り心地に影響を与えることのない値とし、主まくらバネ12及び副まくらバネ13から車両本体11に加わる力の和が所定値βよりも小さくなるように設定すると、車両本体11に加わる力を極力小さくあるいはなくすことができ、乗り心地のさらなる向上を図ることができる。
【0046】
また、主まくらバネ12の台車枠14との連結点12aと副まくらバネ13の台車枠14との連結点13aとの距離(b2-b1)が、軸バネ17の台車枠14との連結点17aと台車枠14のピッチングの回転中心Pとの距離bwよりも大きくされているので、副まくらバネ13による振動・衝撃の吸収効率をさらに向上させることができ、さらなる乗り心地の向上を図ることができる。
【0047】
なお、上記の例では、台車枠14と車両本体11との間に、圧縮バネからなる主まくらバネ12及び引張バネからなる副まくらバネ13を設けたが、図2に示すように、車両本体11の下面から下方へ延在して、台車枠14の下面側へ屈曲した支持フレーム21を形成し、この支持フレーム21と台車枠14との間に、圧縮バネからなる副まくらバネ13を設けても良い。
つまり、このような構造とすることにより、副まくらバネ13としても、鉄道車両において通常用いられる圧縮バネを使用することができる。
【0048】
さらに、上記の例では、本発明の車両の支持構造を、車両本体11を鉛直方向に支持する支持部分に適応させたが、この支持構造は、鉛直方向の支持に限らず、例えば、車両本体11の左右方向等の水平方向の支持部分に適応させて、左右方向の衝撃・振動の入力に対して防振性能を向上させても良い。
【0049】
なお、上記の車両の支持構造における車輪軸16としては、左右の車輪15が車軸に剛結合されて一体化されたものでも、あるいは、左右の車輪15が独立に回転するような独立回転車輪でも、さらには、それぞれの車輪15が完全に独立して支持された構造でも良いことは勿論である。
【0050】
また、図1、2及び上式(1)~(6)にて用いられた符号の諸元は、次の通りである。
【0051】
【数7】
JP0004066129B2_000008t.gif【0052】
(試験例)
ここで、上下方向及びピッチング方向の自由度を有する本実施形態例の一軸台車による車両の支持構造と、上下方向の自由度のみの従来の一軸台車による車両の支持構造との上下方向の周波数応答の比較試験を行った。
なお、ここでは、まくらバネにそれぞれダンパーを設け、また、主まくらバネを台車枠の回転中心に配設した。
【0053】
図3に本実施形態例の一軸台車による支持構造の場合の周波数応答解析の結果を示し、図4に従来の一軸台車による支持構造の場合の周波数応答解析の結果を示す。
図からわかるように、本実施形態例の一軸台車による支持構造は、従来の一軸台車による支持構造に比べて、高い周波数にて良好な防振効果が得られることがわかった。
【0054】
また、図5は、従来の一軸台車による支持構造において、まくらバネの減衰係数を2倍にしたときの解析結果を示すものであり、この図からもわかるように、共振点付近のゲインはあまり改善されないまま、高い周波数帯にて負のゲインが大きくなった。つまり、まくらバネの減衰係数を大きくすることは、高周波数の減衰を目的とした場合、不適切であることがわかった。
【0055】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の車両の支持構造によれば、下記の効果を得ることができる。
請求項1記載の車両の支持構造によれば、台車枠との連結点が、軸バネと台車枠との連結点に対してずらされた主まくらバネと副まくらバネとを有し、さらに、主まくらバネと副まくらバネとの台車枠との連結点がずらされているので、車輪から入力される振動・衝撃が、台車枠がピッチング運動することにより吸収され、さらに、主まくらバネ及び副まくらバネに分散されるので、車両本体への伝達を極力抑えることができる。
これにより、例えば、鉄道車両に適応した場合、一軸台車構造であることにより車両本体へ伝達され易い線路の継ぎ目を通過した際の高周波の振動・衝撃を確実に低減させることができ、したがって、乗り心地を損ねることなく、一軸台車としたことによる軽量化及び低コスト化を図ることができる。
【0056】
請求項2記載の車両の支持構造によれば、副まくらバネの台車枠への連結点が主まくらバネの台車枠への連結点よりも軸バネの台車枠への連結点から遠くされ、さらに、副まくらバネのバネ剛性が、主まくらバネのバネ剛性よりも小さくされているので、副まくらバネにおける変位が大きくされ、この大きな変位をバネ剛性が小さな副まくらバネにて柔軟に吸収することができ、さらなる乗り心地の向上を図ることができる。
【0057】
請求項3記載の車両の支持構造によれば、主まくらバネ及び副まくらバネの車両本体との連結点に作用するモーメントの和が所定値よりも小さくされているので、所定値をゼロもしくは車両本体における乗り心地に影響を与えることのない値とすることにより、車両本体の揺れを確実に低減あるいはなくすことができ、さらなる乗り心地の向上を図ることができる。
【0058】
請求項4記載の車両の支持構造によれば、主まくらバネ及び副まくらバネから車両本体に加わる力の和が所定値よりも小さくされているので、所定値をゼロもしくは車両本体における乗り心地に影響を与えることのない値とすることにより、車両本体に主まくらバネ及び副まくらバネからの力を剛に受ける座を設けることにより、車両本体に加わる力を極力小さくあるいはなくすことができ、乗り心地のさらなる向上を図ることができる。
【0059】
請求項5記載の車両の支持構造によれば、主まくらバネの台車枠との連結点と副まくらバネの台車枠との連結点との距離が、軸バネの台車枠との連結点と台車枠のピッチングの回転中心との距離よりも大きくされているので、副まくらバネによる振動・衝撃の吸収効率をさらに向上させることができ、さらなる乗り心地の向上を図ることができる。
【0060】
請求項6記載の車両の支持構造によれば、台車枠と、台車枠の裏面側へ延在された車両本体の支持フレームとの間に、副まくらバネが設けられているので、副まくらバネとして、主まくらバネと同じ鉄道車両にて一般的に多く用いられている圧縮バネを使用することができ、特殊なバネを用いることによるコストアップをなくすことができる。
【0061】
請求項7記載の車両の支持構造によれば、主まくらバネ及び副まくらバネから車両本体に加わる力がそれぞれ反対向きであるので、車両本体側には、これら主まくらバネ及び副まくらバネの力の差分しか加わらなくなり、主まくらバネ及び副まくらバネから受ける力による車両本体への影響を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態例の車両の支持構造を説明する車両を支持する台車をモデル化した概略図である。
【図2】 本発明の他の実施形態例の車両の支持構造を説明する車両を支持する台車をモデル化した概略図である。
【図3】 本実施形態例の車両の支持構造である一軸台車の振動の周波数応答特性の解析結果を示すグラフ図である。
【図4】 従来の車両の支持構造である一軸台車の振動の周波数応答特性の解析結果を示すグラフ図である。
【図5】 従来の車両の支持構造である一軸台車の振動の周波数応答特性の解析結果を示すグラフ図である。
【図6】 従来の車両の支持構造である二軸台車を説明する台車をモデル化した概略図である。
【図7】 従来の車両の支持構造である一軸台車を説明する台車をモデル化した概略図である。
【符号の説明】
11 車両本体
12 主まくらバネ
12a、13a、17a 連結点
13 副まくらバネ
14 台車枠
15 車輪
16 車輪軸
17 軸バネ
21 支持フレーム
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6