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明細書 :列車進入進出検知方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4033650号 (P4033650)
公開番号 特開2003-072551 (P2003-072551A)
登録日 平成19年11月2日(2007.11.2)
発行日 平成20年1月16日(2008.1.16)
公開日 平成15年3月12日(2003.3.12)
発明の名称または考案の名称 列車進入進出検知方法
国際特許分類 B61L   3/12        (2006.01)
FI B61L 3/12 Z
請求項の数または発明の数 2
全頁数 12
出願番号 特願2001-263846 (P2001-263846)
出願日 平成13年8月31日(2001.8.31)
審査請求日 平成16年4月20日(2004.4.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
発明者または考案者 【氏名】西堀 典幸
【氏名】佐々木 達也
【氏名】平栗 滋人
【氏名】平尾 裕司
【氏名】笠井 貴之
個別代理人の代理人 【識別番号】100078330、【弁理士】、【氏名又は名称】笹島 富二雄
審査官 【審査官】日比谷 洋平
参考文献・文献 実開平06-078148(JP,U)
特開2001-063578(JP,A)
特開平09-169270(JP,A)
特開2001-063575(JP,A)
特開2000-038135(JP,A)
調査した分野 B61L 1/00 - 29/32
特許請求の範囲 【請求項1】
レール上を走行する列車が検知区間の境界に対向配置された第1通信手段と第2通信手段との間の通信を遮断するのを検知して境界地点からの検知区間への列車の進入を検知し、列車を構成する編成の最後尾に設置された第3通信手段からの編成識別情報を上記第1通信手段で受信することにより列車の最後尾を検知し、その後上記対向配置された第1通信手段と第2通信手段との間の通信の回復を検知して当該境界地点の検知区間からの列車の進出を検知する列車進入進出検知方法において、
列車の進路制御のための進路方向が定められた検知区間にて、該検知区間を列車の進路方向別に分けて検知し、上記列車の進路方向に沿って、当該検知区間の後方側に隣接する検知区間との境界地点で上記後方側検知区間からの列車の進出を検知することにより当該検知区間への列車の進入検知とし、当該検知区間の前方側に隣接する検知区間との境界地点で上記前方側検知区間への列車の進出を検知することにより当該検知区間からの列車の進出検知とし、
上記列車の進路制御を行う進路方向毎に検知区間を対応させて列車の進入進出情報を作成する、
ことを特徴とする列車進入進出検知方法。
【請求項2】
上記検知区間は、複線のレール、単線のレール又は三方に分岐するレールに沿って設定されるものであり、複線及び単線は2箇所の境界地点で、分岐は3箇所の境界地点で構成し、列車の進路方向の数だけ検知区間を分けて設定することを特徴とする請求項記載の列車進入進出検知方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地上又は車上に設置された検知手段による検知結果をもとにして検知区間への列車の進入、進出を検知する列車進入進出検知方法に関し、詳しくは、列車の進路方向に沿った検知区間について当該検知区間への確実な進入、進出の検知が可能な列車進入進出検知方法に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、レール上を走行する列車の位置を検知するには、列車が走行する2本のレールを検知回路中に組み込んだ軌道回路によって主に行われている。そして、上記レールの切れ目の位置を列車の車輪が通過した際に、該車輪及び車軸で軌道回路が短絡されることにより、当該レール上に列車が在ることを検知していた。この列車の在線の検知により、その軌道回路を内方とする信号機を青から赤に変えて、列車運行の安全性を確保していた。しかし、この軌道回路は、レールと列車の車軸を電気回路の一部として構成しているので、天候の影響を受けやすい、細かな現場調整作業や定期的な保守作業が必要である、大容量の電源設備が必要である、などの問題点があった。
【0003】
また、近年では、軌道回路によらないシステムとして、無線通信手段を利用した新しい方式の列車検知システムが開発されている。この列車検知システムは、図1に示すように、列車走行の検知区間であるブロックB(B1~B3)の各境界にてレール2の近傍に設置された質問器Q(Q1~Q3)と、上記質問器Qと相互に通信可能とされ、列車通過時に列車3の車体により通信領域が遮断されるように上記質問器Qに対向して設置された地上応答器G(G1~G3)と、上記質問器Qと相互に通信可能とされ、上記列車3上に設置された車上応答器Vと、上記各ブロックBの境界の質問器Qが受信した地上応答器G又は車上応答器Vからの信号を取り込んで各ブロックBの列車3の進入、進出を検知する列車検知装置1とを備えて成っている。なお、上記列車3は、車両31と32で編成されているとする。また、符号4は、上記列車検知装置1で得た各ブロックBの列車3の進入、進出情報を取り込んで列車の進路制御等に利用する外部装置を示している。
【0004】
上記列車検知システムにおいて、列車3の進入、進出を検知するには、図1において、列車3がブロックB1に在線するとし、図面左側の起点側から右側の終点側に向かって矢印C方向に進行し、ブロックB2に進入するとする。この状態で、レール2上を走行する列車3の先頭部がブロックB1とB2との境界に対向配置された質問器Q2と地上応答器G2との間に進むと、該両者間の通信が遮断される。すると、列車検知装置1は、上記質問器Q2から送られる地上応答器G2の応答信号受信無しを検出して、「列車あり」を検知する。これにより、上記列車検知装置1は、前方のブロックB2への列車3の進入を検知する。
【0005】
次に、列車3がレール2上を走行してさらに進み、上記列車3を構成する車両32の後尾側の位置に搭載された車上応答器Vが質問器Q2の位置を通過すると、上記車上応答器Vからの応答信号を質問器Q2が受信する。すると、列車検知装置1は、上記質問器Q2から送られる車上応答器Vの応答信号の受信を検出して、その識別情報により列車3の編成を検知する。
【0006】
そして、レール2上を走行する列車3がさらに進み、該列車3の最後尾部がブロックB1とB2との境界に対向配置された質問器Q2と地上応答器G2との間を通過すると、該両者間の通信が回復される。すると、列車検知装置1は、上記質問器Q2からの地上応答器G2の応答信号の受信有りを検出して、「列車無し」を検知する。これにより、上記列車検知装置1は、後方のブロックB1からの列車3の進出を検知する。
【0007】
このような列車検知システムにおいては、次のようなブロックBへの異常進入検知が発生したり、ブロックBへの不正進入後の後退解除の失敗などがあり、列車3の進路方向の前方の信号機が赤となって、列車3が出発できなくなることがある。
【0008】
例えば、図9に示すように、列車3がブロックB1に在線するとし、矢印C方向に進行してブロックB2に進入する手前にいるとする。このとき、例えば電波妨害又は外乱等により質問器Q2と地上応答器G2との間の通信が遮断され、列車3が質問器Q2と地上応答器G2との間に入らないにも拘らず、列車3がブロックB2に進入したと検知する異常進入検知があったとする。すると、この異常進入検知によりブロックB2は在線状態となる。そして、ブロックB2の入口側に設置された信号機Sが青(G)から赤(R)に変わる。したがって、実際にはブロックB2には列車3がいないにも拘らず、上記信号機Sが赤(R)であることから列車3は出発できなくなる。
【0009】
また、図10に示すように、列車3がブロックB1に在線するとし、矢印C方向に進行して一旦ブロックB2に進入した(同図(a)参照)後、矢印D方向に後退して再びブロックB1内に戻ってきた(同図(b)参照)とする。この場合、図10(a)に示すように、列車3が質問器Q2と地上応答器G2との間に入りブロックB2への進入検知が成立すると、ブロックB2は在線状態となり、ブロックB2の入口側に設置された信号機Sが青(G)から赤(R)に変わる。その後、図10(b)に示すように、列車3が矢印D方向に後退したとき、質問器Q2と地上応答器G2との間の通信が回復すれば、ブロックB2から矢印D方向への列車3の進出検知が成立して、信号機Sが赤(R)から青(G)に変わる。この場合は、上記列車3が再び矢印C方向に前進する際に、該列車3は出発可能となり問題はない。
【0010】
ところが、図10(b)において、列車3が矢印D方向に後退したとき、質問器Q2が何らかの異常において進出検知が不成立となった場合、ブロックB2は在線状態となり、信号機Sは赤(R)のままとなる。したがって、この場合は、上記列車3が再び矢印C方向に前進しようとすると、上記信号機Sが赤(R)であることから、実際にはブロックB2には列車3がいないにも拘らず、列車3は出発できなくなる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の列車検知システムにおける列車の進入進出検知においては、各検知区間Bにおける列車3の進路方向とは関係なく、各検知区間Bの境界地点において質問器Qと地上応答器Gとの間の通信が遮断されるか、その後その通信が回復するかだけで検知区間への列車3の進入、進出を検知していたので、図9又は図10に示すように、異常進入検知又は進出検知不成立の状態が発生した場合は、いま在線している検知区間の進路方向前方の検知区間に列車3がいないときでも、在線状態がそのまま維持され、列車3の運行ができなくなることがあった。
【0012】
上記のような異常進入検知又は進出検知不成立の状態が発生して列車3の運行ができなくなった場合は、列車検知システムで自動的に復旧するのが困難であった。これを正常な状態に復帰させるには、係員が現地に行くなどして列車3が境界地点にいないのを確認して、マニュアル操作により所定の手順によってシステムを復旧させる必要があった。したがって、従来の列車の進入進出検知においては、検知区間への列車の進入、進出検知が確実にできないことがあった。また、異常検知の状態が発生して列車の運行ができなくなった場合の復旧に、多くの労力と時間を要するものであった。
【0013】
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、列車の進路方向に沿った検知区間について当該検知区間への確実な進入、進出の検知が可能な列車進入進出検知方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による列車進入進出検知方法は、レール上を走行する列車が検知区間の境界に対向配置された第1通信手段と第2通信手段との間の通信を遮断するのを検知して境界地点からの検知区間への列車の進入を検知し、列車を構成する編成の最後尾に設置された第3通信手段からの編成識別情報を上記第1通信手段で受信することにより列車の最後尾を検知し、その後上記対向配置された第1通信手段と第2通信手段との間の通信の回復を検知して当該境界地点の検知区間からの列車の進出を検知する列車進入進出検知方法において、列車の進路制御のための進路方向が定められた検知区間にて、該検知区間を列車の進路方向別に分けて検知し、上記列車の進路方向に沿って、当該検知区間の後方側に隣接する検知区間との境界地点で上記後方側検知区間からの列車の進出を検知することにより当該検知区間への列車の進入検知とし、当該検知区間の前方側に隣接する検知区間との境界地点で上記前方側検知区間への列車の進出を検知することにより当該検知区間からの列車の進出検知とし、上記列車の進路制御を行う進路方向毎に検知区間を対応させて列車の進入進出情報を作成するものである。
これにより、列車の進路方向に沿った検知区間について当該検知区間への確実な列車の進入、進出の検知が可能となる。
【0016】
また、上記検知区間は、複線のレール、単線のレール又は三方に分岐するレールに沿って設定されるものであり、複線及び単線は2箇所の境界地点で、分岐は3箇所の境界地点で構成し、列車の進路方向の数だけ検知区間を分けて設定するものである。
これにより、各種形式のレール上を走行する列車についても、検知区間への確実な列車の進入、進出の検知が可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明による列車進入進出検知方法を実施するのに使用する列車検知システムを示すシステム構成図である。この列車検知システムは、列車検知の単位とする検知区間の境界に該検知区間への列車の進入及び進出を検知するための検知手段を備え、該検知手段の検知結果を利用して上記検知区間への列車の進入、進出を検知するもので、質問器Q(Q1~Q3)と、地上応答器G(G1~G3)と、車上応答器Vと、列車検知装置1とを備えている。ここで、質問器Q(Q1~Q3)と地上応答器G(G1~G3)と車上応答器Vとが、上記の検知手段となる。
【0018】
上記質問器Qは、後述の地上応答器G又は車上応答器Vに対して質問信号を送信すると共に、上記地上応答器G又は車上応答器Vからの応答信号を受信する第1通信手段となるもので、指向性を有する通信領域を持つ電磁波を送受信するようになっており、レール2上を走行する列車3の検知区間であるブロックB(B1~B3)の各境界にてレール2の近傍に設置されている。
【0019】
例えば、図1において、レール2の左側方を列車進路方向の起点側とし、右側方を列車進路方向の終点側として、起点側から終点側に向けて所定間隔で第1のブロックB1、第2のブロックB2、第3のブロックB3,…が設定されているとすると、ブロックB1の左端に質問器Q1が、ブロックB1とブロックB2の境界に質問器Q2が、ブロックB2とブロックB3の境界に質問器Q3が設置されている。
【0020】
地上応答器Gは、上記質問器Qから送信された質問信号を受信すると共に、自分が地上応答器であることを示す識別情報を含んだ応答信号を送信する第2通信手段となるもので、指向性を有する通信領域を持つ電磁波を送受信するようになっており、列車通過時に列車3の車体により通信領域が遮断されるように上記各質問器Q1~Q3に対向してそれぞれ地上応答器G1~G3が設置されている。なお、上記質問器Q1~Q3と地上応答器G1~G3とは、常時通信状態とされており、レール2上を走行する列車3が該両者間を通過することにより両者間の通信が遮断される位置に配置されている。
【0021】
また、車上応答器Vは、上記質問器Qから送信された質問信号を受信すると共に、自分が搭載された列車3の編成を示す識別情報を含んだ応答信号を送信する第3通信手段となるもので、指向性を有する通信領域を持つ電磁波を送受信するようになっており、車両31と32で編成された列車3の編成の最後尾に搭載されている。そして、列車3がレール2上を走行して、質問器Q1~Q3の位置を通過するときに、上記車上応答器Vは各質問器Q1~Q3と通信するようになっている。
【0022】
さらに、列車検知装置1は、上記各ブロックB1,B2,B3,…の境界の質問器Q1~Q3が受信した地上応答器G1~G3又は車上応答器Vからの応答信号を取り込んで進路方向前方のブロックBへの列車3の進入を検知すると共に、進路方向後方のブロックBからの列車3の進出を検知し、各ブロックBの列車3の進入進出情報を作成し、該情報を外部装置4に送出するもので、複数の質問器Q1~Q3に共通に例えば1個設けられており、例えば線区のいずれかの駅に設置されている。
【0023】
ここで、本発明においては、列車の進路制御のための進路方向が定められた検知区間(例えばB2)にて、該検知区間を列車の進路方向別に分けて検知し、上記列車の進路方向に沿って、当該検知区間(B2)の後方側に隣接する検知区間(B1)との境界地点(例えばQ2)で上記後方側検知区間(B1)からの列車3の進出を検知することにより当該検知区間(B2)への列車3の進入検知とし、当該検知区間(B2)の前方側に隣接する検知区間(B3)との境界地点(Q3)で上記前方側検知区間(B3)への列車3の進出を検知することにより当該検知区間(B2)からの列車3の進出検知とし、上記列車3の進路制御を行う進路方向毎に検知区間を対応させて列車3の進入進出情報を作成するものである。この進入検知の場合、列車3の検知(例えば列車の先端部の検知)をもって列車3の進入条件とし、列車3の最後尾の検知をもって列車3の進出条件とする。
【0024】
そして、具体的には、列車3の進路方向の後方側から前方側に向かうブロック(例えばB2)にて、その進路方向に沿って、後方側の境界地点(Q2)で隣接ブロック(B1)からの列車3の進出を検知することにより当該ブロック(B2)への列車3の進入検知とし、当該ブロック(B2)の前方側の境界地点(Q3)から外方への列車3の進出を検知することにより当該ブロック(B2)からの列車3の進出検知とするものである。
【0025】
このような列車3の進入、進出検知の方法を実際のレール2に適用すると次のようになる。図2は、上記検知区間を複線のレール2に適用したもので、1本のレール2上の進路方向が一方向(例えば図2において左側から右側方向)のみの場合を示している。この場合、列車3の進路方向に沿う検知区間をブロックB2とすると、後方側の境界地点において質問器Q2と地上応答器G2とで隣接ブロックB1からの列車3の進出を検知することにより、当該ブロックB2への列車3の進入検知とし、当該ブロックB2の前方側の境界地点において質問器Q3と地上応答器G3とで外方への列車3の進出を検知することにより、当該ブロックB2からの列車3の進出検知とする。
なお、上記列車3がレール2上を定められた進路方向と逆方向に走行した場合には、前方側の境界地点において質問器Q3と地上応答器G3とで列車3の進入を検知することにより当該ブロックB2への列車3の進入検知とし、後方側の境界地点において質問器Q2と地上応答器G2とで外方への列車3の進出を検知することにより当該ブロックB2からの列車3の進出検知とする。
【0026】
図3は、上記検知区間を単線のレール2に適用したもので、1本のレール2上の進路方向が双方向の場合を示している。すなわち、図3において、左側から右側の矢印E方向を上り方向の進路とし、逆に右側から左側の矢印F方向を下り方向の進路とする。このとき、ブロックB2を上り方向用と下り方向用の検知区間に分けて検知する以外は、列車3の進入、進出の検知は図2と全く同様にして行われる。例えば、ブロックB2においては、列車3が上り方向に走行した場合、左側の境界地点において質問器Q2と地上応答器G2とで列車3の進入検知をすることにより、列車の進路方向と逆方向となる下り方向用のブロックB2への列車3の進入検知とし、質問器Q2と地上応答器G2とで隣接の上り方向用のブロックB1からの列車3の進出を検知することにより、列車の進路方向と同一方向となる上り方向用のブロックB2への列車3の進入検知とする。さらに、右側の境界地点において、質問器Q3と地上応答器G3とで外方への列車3の進出を検知することによって、上り方向用のブロックB2及び下り方向用のブロックB2からの列車3の進出検知とする。
【0027】
図4は、上記検知区間を三方向に分岐したレール2に適用したもので、三方向のレール2a,2b,2c上を列車3が走行する場合を示している。この場合は、例えば、境界地点Q1-G1から境界地点Q2-G2に進行するL方向ブロックと、境界地点Q3-G3から境界地点Q2-G2に進行するM方向ブロックと、境界地点Q2-G2から境界地点Q3-G3又は境界地点Q2-G2から境界地点Q1-G1に進行するN方向ブロックとがある。三方向に分岐したL,M,N方向の列車3の走行において、列車3の進路方向に沿う各検知区間における列車3の進入、進出の検知は図2と全く同様に行われる。
【0028】
次に、列車3の進入、進出の検知について、図5を参照して具体的に説明する。図5は、図2に示す複線のレール2にて1本のレール2上を列車3が同一方向に走行する場合を示している。いま、図5(a)に示すように、列車3がブロックB1に在線するとし、図面左側の起点側(後方側)から右側の終点側(前方側)に向かって矢印C方向に進行し、ブロックB2に進入するとする。この状態では、ブロックB1の入口側に設置された信号機S1は赤(R)であり、ブロックB2の入口側に設置された信号機S2は青(G)であり、ブロックB3の入口側に設置された信号機S3も青(G)である。したがって、ブロックB1の後方側にいる列車3(図示せず)は、信号機S1の赤(R)によってブロックB1に進入することはできない。一方、ブロックB1に在線する列車3は、信号機S2の青(G)によってブロックB1に向けて前進することができる。
【0029】
次に、図5(b)に示すように、列車3がレール2上を走行してその先頭部がブロックB1とB2との境界に対向配置された質問器Q2と地上応答器G2との間に進むと、該両者間の通信が遮断される。すると、図1に示す列車検知装置1は、上記質問器Q2から送られる地上応答器G2の応答信号受信無しを検出して、「列車あり」を検知する。しかし、上記列車検知装置1は、この「列車あり」の検知をもって前方側のブロックB2への列車3の進入検知とはせず、また後方側のブロックB1からの列車3の進出検知とはしない。したがって、この状態では、ブロックB1の入口側に設置された信号機S1は赤(R)のままであり、ブロックB2の入口側に設置された信号機S2は青(G)のまま維持される。
【0030】
次に、列車3がレール2上を走行してさらに進み、上記列車3を構成する車両の最後尾に搭載された車上応答器V(図1参照)が質問器Q2の位置を通過すると、上記車上応答器Vからの応答信号を質問器Q2が受信する。すると、列車検知装置1は、上記質問器Q2から送られる車上応答器Vの応答信号の受信を検出して、その識別情報により列車3の最後尾を検知する。
【0031】
そして、図5(c)に示すように、レール2上を走行する列車3がさらに進み、該列車3の最後尾がブロックB1とB2との境界に対向配置された質問器Q2と地上応答器G2との間を通過すると、該両者間の通信が回復される。すると、列車検知装置1は、上記質問器Q2からの地上応答器G2の応答信号受信有りを検出して、「列車無し」を検知する。これにより、上記列車検知装置1は、後方側の隣接ブロックB1からの列車3の進出を検知し、この隣接ブロックB1からの進出検知をもってその前方のブロックB2への列車3の進入検知とする。したがって、この状態で、ブロックB1の入口側に設置された信号機S1は赤(R)から青(G)に変わり、これと同時にブロックB2の入口側に設置された信号機S2は青(G)から赤(R)に変わる。
【0032】
この場合は、図5(c)に示すように、後方側の隣接ブロックB1から列車3が完全に進出したことを検知して、その前方のブロックB2への列車3の進入検知とし、その状態で各ブロックB1,B2の信号機S1,S2を変えるので、ブロックB1からの列車3の進出が検知されない限り、該ブロックB1内に在線する列車3は信号機S2により前方のブロックB2へ前進可能となる。
【0033】
このような本発明の方法を、従来例で説明した図9及び図10の場合に当てはめると、本発明では次のようになる。まず、図9に対応する図6について説明する。図6において、列車3がブロックB1に在線するとし、矢印C方向に進行してブロックB2に進入する手前にいるとする。このとき、例えば電波妨害又は外乱等により質問器Q2と地上応答器G2との間の通信が遮断され、列車3が質問器Q2と地上応答器G2との間に入らないにも拘らず、列車3がブロックB2に入ったとする異常検知があったとする。しかし、本発明では、上記のように質問器Q2と地上応答器G2との間の通信が遮断されただけではブロックB2への進入検知とはせず、後方側の隣接ブロックB1からの進出検知をもって初めてブロックB2への進入検知とするので、上記ブロックB2は在線とならず、該ブロックB2の入口側の信号機Sは青(G)のまま維持される。したがって、ブロックB1に在線する列車3は、上記信号機Sの青(G)を見て出発可能となる。
【0034】
次に、図10に対応する図7について説明する。図7において、列車3がブロックB1に在線するとし、矢印C方向に進行して一旦ブロックB2に入った(同図(a)参照)後、矢印D方向に後退して再びブロックB1内に戻ってきた(同図(b)参照)とする。この場合、本発明では、図7(a)に示すように、列車3が質問器Q2と地上応答器G2との間を遮断しブロックB2へ入っても該ブロックB2への進入検知とはせず、上記ブロックB2は在線とならないので、該ブロックB2の入口側の信号機Sは青(G)のまま維持される。その後、図7(b)に示すように、列車3が矢印D方向に後退して、質問器Q2と地上応答器G2との間の通信が回復しても、上記図7(a)でブロックB2への進入検知が成立していないので、この状態ではブロックB1からの進出検知も成立せず、該ブロックB2の入口側の信号機Sはやはり青(G)のまま維持される。したがって、この場合は、上記列車3が再び矢印C方向に前進しようとすると、ブロックB1に在線する列車3はそのまま出発可能となる。
【0035】
図8は、三方向に分岐したレール2a,2b,2cにおける列車3の進入、進出の検知について説明する図である。図4に示すと同様に、境界地点Q1-G1から境界地点Q2-G2に進行するL方向ブロックと、境界地点Q3-G3から境界地点Q2-G2に進行するM方向ブロックと、境界地点Q2-G2から境界地点Q3-G3又は境界地点Q2-G2から境界地点Q1-G1に進行するN方向ブロックとがあるとする。ここでは、境界地点Q1-G1から境界地点Q2-G2に進行するL方向ブロックの走行について説明する。この場合、L方向ブロックの進入条件は、境界地点Q1-G1側にて隣接検知区間からの列車3の進出を検知したことを条件とし、境界地点Q2-G2又は境界地点Q3-G3側からの進入は、当該境界地点での当該検知区間への進入検知を条件とする。また、境界地点からの進出は、当該境界地点での当該検知区間からの進出検知を条件とする。
【0036】
いま、図8(a)に示すように、列車3が境界地点Q1-G1の後方側の検知区間に在線するとし、図面左側(後方側)から右側(前方側)に向かって矢印C方向に進行し、上記境界地点Q1-G1から境界地点Q2-G2に進行するL方向ブロックに進入するとする。この状態では、境界地点Q1-G1の後方側の検知区間の入口側に設置された信号機S0は赤(R)であり、L方向ブロックの入口側(Q1-G1)に設置された信号機S1は青(G)であり、上記L方向ブロックの出口側(Q2-G2)に設置された信号機S2も青(G)である。したがって、境界地点Q1-G1の後方側の検知区間に在線する列車3は、信号機S1の青(G)によってL方向ブロックに向けて前進することができる。
【0037】
次に、図8(b)に示すように、列車3がレール2a上を走行してその先頭部がL方向ブロックの境界地点Q1-G1に対向配置された質問器Q1と地上応答器G1との間に進むと、該両者間の通信が遮断される。すると、図1に示す列車検知装置1は、上記質問器Q1から送られる地上応答器G1の応答信号受信無しを検出して、「列車あり」を検知する。しかし、上記列車検知装置1は、この「列車あり」の検知をもって前方側のL方向ブロックへの列車3の進入検知とはせず、また後方側の検知区間からの列車3の進出検知とはしない。したがって、この状態では、上記後方側の検知区間の入口側に設置された信号機S0は赤(R)のままであり、L方向ブロックの入口側(Q1-G1)に設置された信号機S1は青(G)のまま維持される。しかし、M方向ブロック及びN方向ブロックには列車進入となり、境界地点のG3側に設置された信号機S3′及び境界地点のG2側に設置された信号機S2′は、それぞれ赤(R)となる。
【0038】
次に、列車3がレール2a上を走行してさらに進み、上記列車3を構成する車両の最後尾に搭載された車上応答器V(図1参照)が質問器Q1の位置を通過すると、上記車上応答器Vからの応答信号を質問器Q1が受信する。すると、列車検知装置1は、上記質問器Q1から送られる車上応答器Vの応答信号の受信を検出して、その識別情報により列車3の最後尾を検知する。
【0039】
そして、図8(c)に示すように、レール2a上を走行する列車3がさらに進み、該列車3の最後尾がL方向ブロックの境界地点Q1-G1に対向配置された質問器Q1と地上応答器G1との間を通過すると、該両者間の通信が回復される。すると、列車検知装置1は、上記質問器Q1からの地上応答器G1の応答信号受信有りを検出して、「列車無し」を検知する。これにより、上記列車検知装置1は、後方側の隣接検知区間からの列車3の進出を検知し、この隣接検知区間からの進出検知をもってその前方のL方向ブロックへの列車3の進入検知とする。したがって、この状態で、後方側の検知区間の入口側に設置された信号機S0は赤(R)から青(G)に変わり、これと同時にL方向ブロックの入口側に設置された信号機S1は青(G)から赤(R)に変わる。
【0040】
この場合は、図8(c)に示すように、後方側の隣接検知区間から列車3が完全に進出したことを検知して、その前方のL方向ブロックへの列車3の進入検知とし、その状態で各信号機S0,S1,S2を変えるので、後方側の隣接検知区間からの列車3の進出が検知されない限り、該隣接検知区間内に在線する列車3は信号機S1により前方のL方向ブロックへ前進可能となる。
【0041】
なお、図8は、代表的に列車3が境界地点の後方側の隣接検知区間に在線するとして、境界地点Q1-G1から境界地点Q2-G2に進行するL方向ブロックに進入する場合について説明したが、その他のM方向ブロック、N方向ブロックに、それぞれ後方側の隣接検知区間から進入する場合についても同様に進入、進出を検出する。
【0042】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されたので、請求項に係る発明によれば、列車の進路制御のための進路方向が定められた検知区間にて、該検知区間を列車の進路方向別に分けて検知し、上記列車の進路方向に沿って、当該検知区間の後方側に隣接する検知区間との境界地点で上記後方側検知区間からの列車の進出を検知することにより当該検知区間への列車の進入検知とし、当該検知区間の前方側に隣接する検知区間との境界地点で上記前方側検知区間への列車の進出を検知することにより当該検知区間からの列車の進出検知とすることができる。そして、上記列車の進路制御を行う進路方向毎に検知区間を対応させて列車の進入進出情報を作成して、外部装置に提供することができる。これにより、列車の進路方向に沿った検知区間について当該検知区間への確実な列車の進入、進出の検知が可能となる。したがって、例えば電波妨害又は外乱等により前方側の検知区間への異常進入検知が発生したり、前方側の検知区間への不正進入後の後退解除の失敗などがあっても、後方側の隣接検知区間からの列車の進出を検知して前方側の検知区間への進入検知が成立しない限り、列車は進路方向前方に走行することができる。このことから、列車の運行状態を確保することができる。
【0043】
また、請求項に係る発明によれば、上記検知区間は、複線のレール、単線のレール又は三方に分岐するレールに沿って設定されるものであり、複線及び単線は2箇所の境界地点で、分岐は3箇所の境界地点で構成し、列車の進路方向の数だけ検知区間を分けて設定することにより、各種形式のレール上を走行する列車についても、検知区間への確実な列車の進入、進出の検知が可能となる。したがって、各種形式のレール上を走行する場合も、列車の運行状態を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明及び従来の列車進入進出検知方法を実施するのに使用する列車検知システムを示すシステム構成図である。
【図2】 本発明の列車進入進出検知方法を実際のレールに適用した場合を示し、検知区間を複線のレールに適用したものである。
【図3】 本発明の列車進入進出検知方法を実際のレールに適用した場合を示し、検知区間を単線のレールに適用したものである。
【図4】 本発明の列車進入進出検知方法を実際のレールに適用した場合を示し、検知区間を三方に分岐するレールに適用したものである。
【図5】 本発明の列車進入進出検知方法における列車の進入、進出の検知を具体的に説明する図であり、複線のレールを列車が同一方向に走行する場合を示している。
【図6】 本発明の列車進入進出検知方法を、従来例で説明した電波妨害又は外乱等により前方側の検知区間への異常進入検知が発生した場合に対応して説明する図である。
【図7】 本発明の列車進入進出検知方法を、従来例で説明した前方側の検知区間への不正進入後の後退解除の失敗などがあった場合に対応して説明する図である。
【図8】 本発明の列車進入進出検知方法における列車の進入、進出の検知を具体的に説明する図であり、三方に分岐するレールを列車が走行する場合を示している。
【図9】 従来の列車の進入、進出検知において、電波妨害又は外乱等により前方側の検知区間への異常進入検知が発生した場合を説明する図である。
【図10】 従来の列車の進入、進出検知において、前方側の検知区間への不正進入後の後退解除の失敗などがあった場合を説明する図である。
【符号の説明】
1…列車検知装置
2…レール
3…列車
1,32…列車の車両
4…外部装置
Q1~Q3…質問器
G1~G3…地上応答器
V…車上応答器
B1~B3…ブロック
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
6
【図8】
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【図9】
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【図10】
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