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明細書 :ディスクブレーキ装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3875062号 (P3875062)
公開番号 特開2003-130102 (P2003-130102A)
登録日 平成18年11月2日(2006.11.2)
発行日 平成19年1月31日(2007.1.31)
公開日 平成15年5月8日(2003.5.8)
発明の名称または考案の名称 ディスクブレーキ装置
国際特許分類 F16D  65/12        (2006.01)
FI F16D 65/12 X
請求項の数または発明の数 2
全頁数 10
出願番号 特願2001-325934 (P2001-325934)
出願日 平成13年10月24日(2001.10.24)
審査請求日 平成16年4月2日(2004.4.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
【識別番号】598143103
【氏名又は名称】川重車両エンジニアリング株式会社
発明者または考案者 【氏名】松岡 孝一
【氏名】佐藤 潔
【氏名】奥 保政
【氏名】井上 浩樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100085291、【弁理士】、【氏名又は名称】鳥巣 実
【識別番号】100117798、【弁理士】、【氏名又は名称】中嶋 慎一
審査官 【審査官】林 道広
参考文献・文献 特開平10-002359(JP,A)
特開平03-189431(JP,A)
実開昭53-046480(JP,U)
実開昭55-094928(JP,U)
特表平07-507376(JP,A)
実開昭59-066037(JP,U)
調査した分野 F16D 49/00-71/04
特許請求の範囲 【請求項1】
円周方向で二分割され、車輪や車軸などと一体回転するボス部に装着される分割式ブレーキディスクを備えたディスクブレーキ装置において、 前記ボス部の周囲に半径方向外方に突出するリング状のフランジを一体に突設し、前記各分割式ブレーキディスクを分割面で突き合わせて接続可能な半円形状の単板構造とし、
前記各ブレーキディスク内周部側の前記フランジとの当接位置に、一定の溝幅で半径方向に延びる係合溝および下記貫通孔および下記開口より口径のやや大きな円形の取付孔をそれぞれ円周方向に間隔をあけて設け、直径方向に延びる角形突起部を円盤部上に一体に備えたセンタリング部材を前記フランジの側面に円形凹部を設けて遊嵌し、前記センタリング部材の角形突起部を前記ディスクの係合溝に長手方向に沿って摺動可能に嵌挿することにより、前記フランジに対し各ブレーキディスクを円周方向で位置決めするとともに、
前記フランジを挟んで前記ブレーキディスクと反対側に、円周方向に二分割した一対の半円環状バックアッププレートを当接し、前記フランジに前記取付孔と一連に貫通孔を設け、さらに前記バックアッププレートの、前記貫通孔の対応位置に開口を設け、前記取付孔に遊嵌されるボルトを前記貫通孔および前記開口に一連に挿通し皿ばね座金や弾性座金等の弾性部材を介在させてナットを螺合して緊締することにより、前記各ブレーキディスクを半径方向への移動を許容して前記フランジに固定することを特徴とするディスクブレーキ装置。
【請求項2】
前記各ブレーキディスクに設けた前記各係合溝の内周端側をそれぞれ開放した請求項1に記載のディスクブレーキ装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、主として鉄道車両用ディスクブレーキ装置に最適なブレーキディスクに関するもので、詳しくは車輪や車軸などと一体回転するボス部に装着される分割式ブレーキディスクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の分割式ブレーキディスクは、図6に示す構造のものが一般的である。すなわち、同図のように、円周方向で等間隔に二分割された一対の半円形状ブレーキディスク51・51が分割面で突き合わせられ連結ピン52を介して接続可能に構成され、車軸等と一体回転するボス55の周囲にリング状フランジ56が一体に突設され、このフランジ56とこれに当接されるブレーキディスク51の内周部側とに一連に貫通する複数の取付孔53・57が穿設され、これらの取付孔53・57にリーマボルト58を嵌挿してナット59により締め付けることによって結合する構造からなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の分割式ブレーキディスクでは、次のような点で改良すべき余地がある。すなわち、
従来のブレーキディスクのボス部に対する結合構造では、結合状態でのアライメント精度が結合部におけるリーマボルトの嵌め合い精度に支配される。このため、リーマボルトの嵌め合い精度を上げると、組み立て作業性が悪化する一方、逆に同嵌め合い精度を下げると、アライメント精度が悪くなる。
【0004】
また、上記した結合構造では、ボス部に対しブレーキディスクが堅固に結合されるため、ブレーキ装置の使用時にディスクが摩擦熱等により加熱され熱膨張しようとしても、この熱膨張を許容できるようになっていない。いいかえれば、ブレーキディスク自体に放熱手段を組み込んで冷却できるようにする必要があり、放熱手段が施されていない場合には、ボス部とディスクとの結合箇所に無理な力が作用して熱変形したりするおそれがある。
【0005】
このために従来の分割式ブレーキディスクは、図6(b)(c)に示すように、ボス部55と結合される内周部分を除いて両側方に複数のリブ54を円周方向に等間隔に張り出させ、それらのリブ54を一対の円環状板51aにより挟持するように一体に固着して両側の各リブ54間に半径方向の冷却通路54aを形成し、ディスク51が回転することにより各リブ54が冷却フィン(羽根)の役目をしてディスク51が冷却されるように構成されている。この結果、分割式ブレーキディスクの全体構造が非常に複雑になり、またディスクの厚みが非常に厚くなるなどの不都合がある。
【0006】
この発明は上述の点に鑑みなされたもので、構造が簡単で、軽量化でき、組み立てが容易で、しかもアライメント精度が高く、ディスクの熱膨張を吸収でき、冷却構造を省ける分割式ブレーキディスクを備えたディスクブレーキ装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明のディスクブレーキ装置は、円周方向で二分割され、車輪や車軸などと一体回転するボス部に装着される分割式ブレーキディスクを備えたディスクブレーキ装置において、前記ボス部の周囲に半径方向外方に突出するリング状のフランジを一体に突設し、前記各分割式ブレーキディスクを分割面で突き合わせて接続可能な半円形状の単板構造とし、前記各ブレーキディスク内周部側の前記フランジとの当接位置に、一定の溝幅で半径方向に延びる係合溝および円形の取付孔をそれぞれ円周方向に間隔をあけて設け、角形突起部を円盤部上に一体に備えたセンタリング部材を前記フランジの側面に円形凹部を設けて遊嵌し、前記センタリング部材の角形突起部を前記ディスクの係合溝に長手方向に沿って摺動可能に嵌挿することにより、前記フランジに対し各ブレーキディスクを円周方向で位置決めするとともに、前記フランジを挟んで前記ブレーキディスクと反対側に、円周方向に二分割した一対の半円環状バックアッププレートを当接し、前記フランジに前記取付孔と一連に貫通孔を設け、さらに前記バックアッププレートの、前記貫通孔の対応位置に開口を設け、前記取付孔に遊嵌されるボルトを前記貫通孔および前記開口に一連に挿通し皿ばね座金や弾性座金等の弾性部材を介在させてナットを螺合して緊締することにより、前記各ブレーキディスクを半径方向への移動を許容して前記フランジに固定することを特徴としている。
【0008】
上記の構成を有する本発明にかかる請求項1記載のディスクブレーキ装置によれば、前記ボス部あるいはリング状のフランジに対し二分割されたブレーキディスクは複数の前記係合機構を介して位置決めされるため、ボルト等の緊締具は軸力だけを負担し、ブレーキディスクの位置決めとしての精度に関係しない。また位置決めを支配する係合機構は、ブレーキディスクの半径方向への移動を許容するから、ブレーキ装置の使用によりブレーキディスクが摩擦熱の作用で熱膨張を起こしても、ボス部との結合箇所に無理な力が作用しない。したがって、ブレーキディスクに複雑な放熱手段を施す必要がなくなり、単板構造にすることができ、構造を簡素化して小型軽量化が容易に図られる。
【0010】
本発明のディスクブレーキ装置では、前記各ブレーキディスクの位置決め(センタリング)はディスク側係合溝とフランジ側角形突起部との係合関係のみに支配されるため、ボルト・ナットによる緊締部分には軸力のみが作用するだけで、ブレーキディスクの位置決めのための精度は要求されない。また、フランジに対するブレーキディスクのボルト・ナットによる締付は、皿ばね座金や弾性座金等の弾性部材を介在して弾力的に緊締しているため、ブレーキの使用によりブレーキディスクが摩擦熱などにより熱膨張しても、前記係合溝と角形突起部との係合関係によりセンタリングが保たれた状態でのブレーキディスクの熱膨張が半径方向へ許容される。この結果、ブレーキディスクに従来のような放熱手段を施さなくても、熱膨張時にフランジとの結合部に無理な力が作用したり変形が生じたりするおそれがない。
【0012】
また、本発明のディスクブレーキ装置によれば、センタリング部材が前記フランジの円形凹部内に回転が許容されるように遊嵌されているので、ブレーキディスクの係合溝に対するセンタリング部材の角形突起部の挿入がスムーズに行われ、組み立て作業性が良好になる。
【0014】
さらに、本発明のディスクブレーキ装置によれば、前記リング状フランジを挟んでブレーキディスクとバックアッププレートとでボルト・ナットにより締め付けるので、緩みが起こりにくく堅固に固定される。しかも、分割されたブレーキディスクと分割されたバックアッププレートとの分割位置を望ましくは90°円周方向にずらすことにより、分割したブレーキディスクを十分に補強することができる。
【0015】
請求項2に記載のように、前記ブレーキディスクに設けた係合溝の内周端側を開放することができる。
【0016】
この構成により、ブレーキディスクの組み立て時に分割された各ブレーキディスクをフランジの側面に接近させることにより各係合溝をフランジ側から外方へ突出するセンタリング部材の角形突起部に対しスムーズに嵌挿でき、ブレーキディスクの位置決めを確実にかつ瞬時に行い得る。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかるディスクブレーキ装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明の実施例にかかる鉄道車両用ディスクブレーキ装置を示す断面図で、ボスに対するブレーキディスクの取付部分を表している。図2(a)はセンタリングピンを示す斜視図、図2(b)はセンタリングピンと係合溝との関係を概略的に示す部分断面図である。図3(a)は図1のA-A線断面図、図3(b)は図1のB-B線断面図、図3(c)は図1のC-C線断面図、図3(d)は図1のD-D矢視図である。図4(a)は図1のディスクブレーキ装置のキャリパー部位を示す側面図、図4(b)は同平面図である。
【0019】
図4に示すように、本例のディスクブレーキ装置1では、車軸などのボス2にブレーキディスク3が一体回転可能に取り付けられている。ブレーキディスク3の材質については限定するものではないが、たとえば黒鉛鋳鉄のように耐熱・耐摩耗性に優れた材質が用いられている。
【0020】
ブレーキディスク3は、図1~図3に示すように、円周方向で等間隔に二分割され、各分割ディスク3Aは、中央部に開口部を有する半円形の単板構造である。そして、各分割ディスク3Aを、分割面3cでノックピン4を介して突き合わせ接合することにより一体に接続できるように構成されている。
【0021】
ボス2の外周面には、軸方向の一部に半径方向外方へ突出するリング状のフランジ5が一体に突設されている。フランジ5の各分割ディスク3Aが結合される側面には、センタリング部材としてのセンタリングピン6が遊嵌される円形凹部7が図2(b)のように円周方向に間隔をあけ、かつ一部を他方の側面に穿設されている。センタリングピン6は、図2(a)のように、前記円形凹部7に対応する円盤部6aとこの一面に中心を通り直径方向に延びて一体に突設された角形突起部としての角形ピン部6bとからなり、角形ピン部6bは正面の両側角部をテーパー状に落として丸くしている。これは、後述する係合溝9に挿入しやすくするためである。またフランジ5には、円形凹部7と交互に円形の貫通孔8が貫通して穿設されている。本例では、円形凹部7および貫通孔8がそれぞれ6個ずつ設けられている。
【0022】
一方、各分割ディスク3Aの内周部側には、フランジ5の側面の円形凹部7に対応する位置に、図2(b)のように角形ピン部6bに対応し一定の溝幅で半径方向(放射状)に延びる係合溝9が穿設されている。また貫通孔8に対応する位置には、円形あるいは長円形などの取付孔10が各分割ディスク3Aの内周部に貫通して穿設されているが、取付孔10は貫通孔8に比べて口径がやや大きく形成されている。本例では、係合溝9および取付孔10がそれぞれ6個ずつ設けられている。
【0023】
また、円周方向に等間隔に二分割された一対のバックアッププレート11がフランジ5の反対側面に当接されるが、各バックアッププレート11は半円環状板体からなり、図1のように分割ディスク3Aの分割面3cとは分割面11cが円周方向に90°ずらせて配置される。そして、この状態で各バックアッププレート11においてフランジ5の貫通孔8に対応する位置に、開口12が貫通して各々の3個ずつ合計で6個穿設されている。各開口12は貫通孔8と対応する同一の口径にする。
【0024】
以上の各構成部材により本実施例のディスクブレーキ装置1が構成されるが、通常は下記のような手順で組み立てられる。すなわち、
▲1▼ ボス2の周囲に2分割した各分割ディスク3Aを配置し、ノックピン4を介して突き合わせて円形に接合する。
【0025】
▲2▼ フランジ5の各円形凹部7内に、センタリングピン6の円盤部6aを遊嵌し、角形ピン部6bをほぼ放射状に平行に向ける。
【0026】
▲3▼ 接合して円形状にしたブレーキディスク3をフランジ5の側面に当接させるが、この際に係合溝9にフランジ5側から突出するセンタリングピン6の角形ピン部6bを嵌め込む。センタリングピン6は円形凹部7に遊嵌され、回転自在な状態であるので、係合溝9と角形ピン部6bとの向きが多少ずれていてもセンタリングピン6が回転し、係合溝9にスムーズに角形ピン部6bが挿入される。
【0027】
▲4▼ ブレーキディスク3とともにフランジ5を挟むように反対面に分割された一対のバックアッププレート11を当接させ、ピンボルト13をブレーキディスク3側から取付孔10内に挿入し、さらに貫通孔8および開口12に一連に貫通させる。そしてピンボルト13の先端ねじ部13aに皿ばね形座金14を通したのち、ナット15を螺合して締め付ける。なお、一対のバックアッププレート11は分割面11cがブレーキディスク3の分割面3cと円周方向に90°ずれるように配置する。
【0028】
▲5▼ 以上のようにして、ディスクブレーキ装置1の組み立て作業が終了する。
【0029】
上記のようにして組み立てられた本発明の実施例にかかるディスクブレーキ装置1について、その使用態様を説明する。
【0030】
図4に示すように、分割式ブレーキディスク3に対し両側から挟むようにブレーキシュー17を備えたブレーキキャリパ16が配置され、このブレーキキャリパ16に内蔵されているスプリング(不図示)に抗して両側のブレーキシュー17によって分割式ブレーキディスク3が挟持されることによりブレーキが作動する。このブレーキ操作によりブレーキシュー17との間でブレーキディスク3が摺動することから摩擦熱が発生し、ブレーキディスク3が熱膨張するが、ブレーキディスク3がフランジ5の一側面に対し皿ばね座金14を介して弾性的にピンボルト13で締め付けられており、またピンボルト13は取付孔10に遊嵌されており、さらにセンタリングピン6の角形ピン部6bとブレーキディスク3の係合溝9との間で半径方向の移動が許容されているから、ブレーキディスク3がフランジ5に対して半径方向への熱膨張が許容されることになる。したがって、ブレーキディスク3が熱膨張してもピンボルト13等の緊締部に無理な力が作用せず、ブレーキディスク3の熱膨張が妨げられることがない。
【0031】
(他の実施例)
1)図2(c)に示すように、ブレーキディスク3の内周部の各係合溝9を逆U字状に下端を開放した形状の係合溝9’に形成して、フランジ5の側面に対するブレーキディスク3の組付けや加工をいっそう容易にすることができる。
【0032】
2)たとえば図5に示すように、分割式ブレーキディスク3の外面にも、分割した一対のバックアッププレート11’を当接し、バックアッププレート11’には取付孔10に対応する開口12’を設けてブレーキディスク3およびフランジ5を両側からバックアッププレート11・11’にて挟むように固定することができる。このとき、バックアッププレート11’の分割面もブレーキディスク3の分割面と90°位置が円周方向にずれるようにするのが好ましい。
【0033】
3)バックアッププレート11を省いて、フランジ5に分割式ブレーキディスク3をピンボルト6により締め付けて固定してもよい。
【0034】
4)フランジ5のディスク当接面に角形ピン部6bを一体的に突設し、各ブレーキディスク3の係合溝9に嵌挿することも可能である。
【0035】
5)フランジ5の側面に対するブレーキディスク3の半径方向への動きを許容する係合機構は、センタリングピン6と係合溝9との組み合わせに限られるものではなく、たとえばブレーキディスク3側からフランジ5へ突出する突起部を設け、フランジ5側に半径方向へ延びる一定の溝幅の係合溝を設けてもよく、あるいはディスク3とフランジ5間に相互に係合する凹凸部を設けてもよい。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明のディスクブレーキ装置には、次のような優れた効果がある。
【0037】
(1) ディスクの熱膨張を吸収でき、冷却構造を省け、構造が簡単で、軽量化でき、組み立てが容易で、しかもアライメント精度が高い。つまり、ボス部あるいはリング状フランジに対し二分割されたブレーキディスクは係合機構を介して位置決めされるため、ボルト等の緊締具は軸力だけを負担し、ブレーキディスクの位置決めとしての精度に関係せず、位置決めを支配する係合機構は、ブレーキディスクの半径方向への移動を許容するから、ブレーキ装置の使用によりブレーキディスクが摩擦熱の作用で熱膨張を起こしても、ボス部との結合箇所に無理な力が作用しないので、ブレーキディスクに複雑な放熱手段を施す必要がなくなり、単板構造にすることができ、構造を簡素化して小型軽量化が可能になる。
【0038】
(2) 本発明では、ブレーキディスクの位置決め(芯出し)はディスク側係合溝とフランジ側角形突起部との係合関係に支配されるため、ボルト・ナットなどの緊締具による結合部分には軸力のみが作用するだけで、ディスクの位置決めのための精度には要求されない。また、フランジに対するブレーキディスクのボルト・ナットなどによる締付は、皿ばね等の付勢部材を介在して弾力的に緊締しているため、ブレーキの使用によりブレーキディスクが摩擦熱などにより熱膨張しても、前記係合溝と角形突起部との係合関係によりセンタリングが保たれた状態でのブレーキディスクの熱膨張が半径方向へ許容されるから、ブレーキディスクに従来のような放熱手段を施さなくても、熱膨張時にフランジとの結合部に無理な力が作用したり変形が生じたりするおそれがない。
【0039】
(3) 本発明では、センタリング部材が前記フランジに対してそれぞれ回転が許容されるように遊嵌されているので、ブレーキディスクの係合溝に対するセンタリング部材の角形突起部の挿入がスムーズに行われ、組み立て作業性が向上する。
【0040】
(4) 本発明では、リング状フランジを挟んでブレーキディスクとバックアッププレートとでボルト・ナットにより締め付けるので、緩みが起こらず堅固に固定でき、しかも、分割されたブレーキディスクと分割されたバックアッププレートとの分割位置を望ましくは90°円周方向にずらすことによって、分割したブレーキディスクが十分に補強される。
【0041】
(5) 請求項2記載の発明では、ブレーキディスクの組み立て時に分割された各ブレーキディスクの係合溝をフランジ側から突出する角形突起部に対し半径方向内方へ移動させることにより、スムーズに嵌挿できてブレーキディスクの位置決めを効率よく行い得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例にかかる鉄道車両用ディスクブレーキ装置を示す側面図で、ボスに対するブレーキディスクの取付部分を表している。
【図2】図2(a)はセンタリングピンを示す斜視図、図2(b)はセンタリングピンと係合溝との関係を概略的に示す部分断面図、図2(c)は係合溝の異なる他のブレーキディスクの実施例を示す部分断面図である。
【図3】図3(a)は図1のA-A線断面図、図3(b)は図1のB-B線断面図、図3(c)は図1のC-C線断面図、図3(d)は図1のD-D矢視図である。
【図4】図4(a)は図1のディスクブレーキ装置のキャリパー部位を示す側面図、図4(b)は同平面図である。
【図5】本発明の他の実施例にかかる鉄道車両用ディスクブレーキ装置を示す断面図で、ボスに対するブレーキディスクの取付部分を表しており、図3(b)に対応している。
【図6】図6(a)は従来の一般的なディスクブレーキ装置を示すブレーキディスクの一部を省略した正面図、図6(b)は図6(a)のA-A線断面図、図6(c)は図6(a)のB-B線断面図である。
【符号の説明】
1 ディスクブレーキ装置
2 ボス
3 分割式ブレーキディスク
3A 分割ディスク
4 ノックピン
5 リング状フランジ
6 センタリングピン(センタリング部材)
6a円盤部
6b角形ピン部(角形突起部)
7 円形凹部
8 貫通孔
9 係合溝
10取付孔
11バックアッププレート
12開口
13 ピンボルト
14 皿ばね座金(弾性部材)
15 ナット
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5