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明細書 :直流き電回路の地絡による変電所遮断器の不要動作防止装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3895148号 (P3895148)
公開番号 特開2003-134657 (P2003-134657A)
登録日 平成18年12月22日(2006.12.22)
発行日 平成19年3月22日(2007.3.22)
公開日 平成15年5月9日(2003.5.9)
発明の名称または考案の名称 直流き電回路の地絡による変電所遮断器の不要動作防止装置
国際特許分類 H02H   3/10        (2006.01)
H02H   3/14        (2006.01)
H02H   7/26        (2006.01)
FI H02H 3/10 A
H02H 3/14
H02H 7/26 B
請求項の数または発明の数 2
全頁数 9
出願番号 特願2001-330751 (P2001-330751)
出願日 平成13年10月29日(2001.10.29)
審査請求日 平成16年4月1日(2004.4.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】501284767
【氏名又は名称】株式会社ジェイアール総研電気システム
発明者または考案者 【氏名】川原 敬治
【氏名】長谷 伸一
【氏名】森本 大観
【氏名】伊東 利勝
個別代理人の代理人 【識別番号】100089761、【弁理士】、【氏名又は名称】八幡 義博
審査官 【審査官】小曳 満昭
参考文献・文献 特開2003-32882(JP,A)
特開2000-156928(JP,A)
調査した分野 H02H 3/08-3/253
H02H 7/26
特許請求の範囲 【請求項1】
変電所にて外部からの交流入力を受け交流遮断器および変圧器を経て整流器で直流に変換し直流母線から各き電区間毎に対応して直流遮断器および、架線地絡発生時の地絡電流を検知し架線地絡検知信号を出力するき電回線過電流継電器を経て各区間の架線へき電する直流電気鉄道において、下記の各手段を有することを特徴とする直流き電回路の地絡による変電所遮断器の不要動作防止装置。
(イ) 変電所構内の接地マットとき電区間のレールとの間に接続され接地マットに地絡電圧が加わると放電するとともに放電したことを示す放電検知信号を出力する放電ギャップ
(ロ) レールから整流器への帰線の途中に設けられ、地絡電流が流れるとこれを検知し、地絡が発生したことを示す地絡検知信号を出力する帰線過電流継電器
(ハ) 放電ギャップ、帰線過電流継電器およびき電回線過電流継電器からの検知信号線が接続され、き電回線過電流継電器からの架線地絡検知信号を受けたときは、他の検知信号の有無にかかわらず、当該き電回線過電流継電器と直列の直流遮断器に対してのみこれを遮断する遮断信号を出力し、放電ギャップからの放電検知信号と帰線過電流継電器からの地絡検知信号のみを受けたときは、前記交流遮断器および前記すべての直流遮断器に対してこれらを遮断する遮断信号を出力し、その他のときには、交流遮断器に対しても直流遮断器に対しても遮断信号を出力しない遮断制御器
【請求項2】
変電所にて外部からの交流入力を受け交流遮断器および変圧器を経て整流器で直流に変換し直流母線から各き電区間毎に対応して直流遮断器および、架線地絡発生時の地絡電流を検知し架線地絡検知信号を出力するき電回線過電流継電器を経て各区間の架線へき電する直流電気鉄道において、下記の各手段を有することを特徴とする直流き電回路の地絡による変電所遮断器の不要動作防止装置。
(イ) 変電所構内の接地マットとき電区間のレールとの間に接続され接地マットに地絡電圧が加わるとこれを検知し地絡検知信号を出力する直流高圧接地継電器
(ロ) レールから整流器への帰線の途中に設けられ、地絡電流が流れるとこれを検知し、地絡が発生したことを示す地絡検知信号を出力する帰線過電流継電器
(ハ) 直流高圧接地継電器、帰線過電流継電器およびき電回線過電流継電器からの検知信号線が接続され、き電回線過電流継電器からの架線地絡検知信号を受けたときは、他の検知信号の有無にかかわらず、当該き電回線過電流継電器と直列の直流遮断器に対してのみこれを遮断する遮断信号を出力し、直流高圧接地継電器からの地絡検知信号と帰線過電流継電器からの地絡信号のみを受けたときは、前記交流遮断器および前記すべての直流遮断器に対してこれらを遮断する遮断信号を出力し、その他のときには、交流遮断器に対しても直流遮断器に対しても遮断信号を出力しない遮断制御器
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流電気鉄道において、変電所が複数存在する場合、或る変電所において直流母線地絡やその変電所管内の架線低抵抗地絡が発生した場合に、隣接する変電所がその影響を受けて、自変電所内或いは管内架線では地絡が発生していないにもかかわらず、交流遮断器や直流遮断器が遮断されるのを防止する技術の分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
図3に、従来の直流電気鉄道の、変電所からのき電の状況を示す。
変電所5では外部交流送電線から高圧の交流を受電し、交流遮断器6を経て変圧器7で降圧し、整流器8で整流して直流母線9から架線の各区間へき電される。例えば、直流遮断器10とき電回線過電流継電器14を経て上り架線18の区間Aへき電され、直流遮断器11とき電回線過電流継電器15を経て上り架線18の区間Bへ、直流遮断器12とき電回線過電流継電器16を経て下り架線19の区間Eへ、直流遮断器13とき電回線過電流継電器17を経て下り架線19の区間Fへとき電される。
こうして、例えば直流1500Vのプラス側が上り架線18、下り架線19へ、マイナス側(帰線27)がレール21へ接続され電車20のモータが駆動されることになる。
【0003】
一方、変電所構内には接地マット23が設けられており、この接地マット23とレール21の間に、直流高圧接地継電器22が接続されている。
これは、直流母線9が接地マット23へ地絡(直流母線地絡24)したり、架線が低抵抗地絡事故を起こしたり(外線低抵抗地絡25)した場合に、交流遮断器6および直流遮断器10~13を遮断してき電を停止させるための継電器である。
【0004】
直流母線地絡事故は、何らかの工事を行うときに安全のために直流母線を、接地マット接続端子へ接続して接地していたのを工事終了後に外し忘れた場合とか、ねずみや蛇等の野生動物が直流母線と地表に出ている接地マット接続端子との間にかかったり、或いは外線地絡時に作動した直流遮断器10~13のアークがよく消弧されないで変則的に飛んで直流母線と接地マット接続端子の間にアークが飛び移ったりした場合などに発生する。
【0005】
また、架線の低抵抗地絡は架線の近くで土木工事が行われている場合に地中深く打ち込んだ鉄パイルと架線が接触した場合等に発生する。
このような直流母線地絡24或いは外線低抵抗地絡25が発生すると、接地マット23を通じて接地マット23とレール21の間に接続された直流高圧接地継電器22に直流高電圧がかかり、これが作動することにより交流遮断器6および直流遮断器10~13がすべて遮断され架線へのき電がすべて停止される。
このように、直流高圧接地継電器22が作動して交流遮断器6、直流遮断器10~13が遮断状態になった変電所は、保守員が当該変電所に赴き、地絡の原因を調査除去した後各遮断器を再投入することになる。
【0006】
以上、変電所5について述べたが、隣接の変電所28についても、変電所構内で直流母線地絡を生じたり、き電中の架線で外線低抵抗地絡を生じた場合には変電所5の場合と同様の事態に至る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、変電所5の関係で地絡事故が発生した時に、直流高圧接地継電器22が作動して交流遮断器6や直流遮断器10~13が遮断されるだけでなく、隣接変電所28の直流高圧接地継電器42も作動して、該変電所28の交流遮断器29や直流遮断器33~36が遮断され、変電所5からき電している区間に加えて変電所28からき電している区間の電車も運行停止になることがあるという問題がある。その理由は、地絡により接地マット23にかかった高電圧が大地を通して、隣接変電所28の接地マット43に伝わりこれとレール21との間に接続された直流高圧接地継電器42が作動してしまうためである。
【0008】
このように、着目変電所の接地マットと隣接変電所の接地マット間が大地であり導体で繋がっていない場合の他に、例えば、地下鉄などのように地下トンネル中に変電所が存在する場合にはトンネル構造体の鉄筋によって接地マット同士が繋がっていたり、或いは変電所の受電が同一送電線で行われている場合そのシースアースを各変電所の接地マットに接続するので、結局各変電所の接地マット同士が送電線のシースで繋がってしまう場合がある。
【0009】
このような場合、地絡により接地マット23にかかった高圧は、大地だけの場合よりも一層確実に隣接変電所28の接地マット43に伝わってしまい、隣接変電所の直流高圧接地継電器42が作動してその変電所の交流遮断器29や直流遮断器33~36を遮断してしまうことがある。図3では変電所が2つであるが、事故変電所を含む多数の変電所がき電停止となることもあり得る。
【0010】
このような場合、電車の運行停止が広範囲に渡るという問題に加えて、保守員が多数の変電所に出向いて、地絡原因を調査除去したうえでなければ遮断器の再投入ができないため、復旧に時間がかかるという問題があるので重大な運行障害を来すという問題がある。
【0011】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑みて、他の変電所で地絡事故が発生しても自変電所が連鎖反応で遮断器が遮断しないようにする不要動作防止装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は下記の構成を有する。
第1の構成は、変電所にて外部からの交流入力を受け交流遮断器および変圧器を経て整流器で直流に変換し直流母線から各き電区間毎に対応して直流遮断器および、架線地絡発生時の地絡電流を検知し架線地絡検知信号を出力するき電回線過電流継電器を経て各区間の架線へき電する直流電気鉄道において、下記の各手段を有することを特徴とする直流き電回路の地絡による変電所遮断器の不要動作防止装置である。
(イ) 変電所構内の接地マットとき電区間のレールとの間に接続され接地マットに地絡電圧が加わると放電するとともに放電したことを示す放電検知信号を出力する放電ギャップ
(ロ) レールから整流器への帰線の途中に設けられ、地絡電流が流れるとこれを検知し、地絡が発生したことを示す地絡検知信号を出力する帰線過電流継電器
(ハ) 放電ギャップ、帰線過電流継電器およびき電回線過電流継電器からの検知信号線が接続され、き電回線過電流継電器からの架線地絡検知信号を受けたときは、他の検知信号の有無にかかわらず、当該き電回線過電流継電器と直列の直流遮断器に対してのみこれを遮断する遮断信号を出力し、放電ギャップからの放電検知信号と帰線過電流継電器からの地絡検知信号のみを受けたときは、前記交流遮断器および前記すべての直流遮断器に対してこれらを遮断する遮断信号を出力し、その他のときには、交流遮断器に対しても直流遮断器に対しても遮断信号を出力しない遮断制御器
【0013】
第2の構成は、変電所にて外部からの交流入力を受け交流遮断器および変圧器を経て整流器で直流に変換し直流母線から各き電区間毎に対応して直流遮断器および、架線地絡発生時の地絡電流を検知し架線地絡検知信号を出力するき電回線過電流継電器を経て各区間の架線へき電する直流電気鉄道において、下記の各手段を有することを特徴とする直流き電回路の地絡による変電所遮断器の不要動作防止装置である。
(イ) 変電所構内の接地マットとき電区間のレールとの間に接続され接地マットに地絡電圧が加わるとこれを検知し地絡検知信号を出力する直流高圧接地継電器
(ロ) レールから整流器への帰線の途中に設けられ、地絡電流が流れるとこれを検知し、地絡が発生したことを示す地絡検知信号を出力する帰線過電流継電器
(ハ) 直流高圧接地継電器、帰線過電流継電器およびき電回線過電流継電器からの検知信号線が接続され、き電回線過電流継電器からの架線地絡検知信号を受けたときは、他の検知信号の有無にかかわらず当該き電回線過電流継電器と直列の直流遮断器に対してのみこれを遮断する遮断信号を出力し、直流高圧接地継電器からの地絡検知信号と帰線過電流継電器からの地絡信号のみを受けたときは、前記交流遮断器および前記すべての直流遮断器に対してこれらを遮断する遮断信号を出力し、その他のときには、交流遮断器に対しても直流遮断器に対しても遮断信号を出力しない遮断制御器
【0014】
【発明の実施の形態】
従来は、直流高圧接地継電器(図3の22,42)に予め設定した電圧(整定電圧という)を超える高電圧が印加されると作動して交流遮断器、直流遮断器のすべてを遮断するように構成されていた。
そして、直流高圧接地継電器に高電圧が印加されるのが自変電所にかかわる地絡による場合だけでなく、隣接変電所での地絡によっても高電圧が印加されることがあり交流遮断器、直流遮断器のすべてが遮断されてしまうというのが問題であった。
【0015】
そこで、本発明においては、隣接変電所にかかわる地絡によって自変電所の接地マットに高電圧が印加されても、交流遮断器および総ての直流遮断器が一括遮断とはならない装置を構成した。
【0016】
1つの形態として、変電所の接地マットとレールの間に、従来の直流高圧接地継電器に代えて、予め設定した値以上の高電圧が印加されると放電し放電電流(地絡電流)が流れるとともに放電検知信号を出力する放電ギャップを設け、従来何も設けられていなかった、レールから整流器への帰線の途中に、地絡電流を検知し、地絡検知信号を出力する帰線過電流継電器を設け、更に、遮断制御器を設け、この遮断制御器が、放電ギャップからの放電検知信号と帰線過電流継電器からの地絡検知信号とを受け、各区間の架線へのき電経路に設けられているき電回線過電流継電器からの架線地絡検知信号を受けていないときは、直流母線地絡があったことを示すから、交流遮断器と各き電経路の直流遮断器すべてに遮断信号を送り、架線地絡検知信号もあったときは、直流母線地絡ではなくいずれかの区間の架線地絡があったことを示すから、その区間の架線へき電している経路に設けられている直流遮断器のみへ遮断信号を送るようにしている。
【0017】
このようにすることにより、隣接変電所にかかわる地絡によって、大地或いは鉄筋・電力線シース等の導体を通して自変電所の接地マットに高電圧が印加し放電ギャップが放電して放電検知信号を出力しても、自変電所にかかわる地絡ではないから、帰線過電流継電器からは地絡検知信号が出力されず遮断制御器からは交流遮断器と全直流遮断器を一括遮断する遮断信号が出力されず、交流遮断器と全直流遮断器が一括遮断となることはない。この点で、隣接変電所の地絡の影響を受けることがないということになる。
【0018】
第2の形態は、上記放電ギャップを従来の直流高圧接地継電器のままとし、但し、従来のように高電圧が印加されて動作したときに、即、交流遮断器や直流遮断器を遮断するのではなく、地絡検知信号を遮断制御器へ送るようにする。その他は、第1の形態と同様である。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。図1は第1の実施の形態に対応する実施例の回路構成図である。
従来の回路構成と異なる点は、レール21と接地マット23の間に、従来の直流高圧接地継電器に代えて放電ギャップ3を設けた点、帰線27に帰線過電流継電器2を設けた点、更に、遮断制御器1を設けた点である。そして、放電ギャップ3からは放電検知信号が、帰線過電流継電器2からは地絡検知信号が、き電回線過電流継電器14,15,16,17からはそれぞれ架線地絡検知信号が遮断制御器1へ送られるようになっている。
【0020】
これに対して、遮断制御器1からは、交流遮断器6、直流遮断器10,11,12,13のそれぞれへ個別に遮断信号が送られるようになっている。
き電回線過電流継電器14,15,16,17および帰線過電流継電器2は、それを流れる電流の時間変化率ΔI(=dI/dt)が予め設定した値を越えたときに検知信号を出力するようになっている継電器である。ただし、帰線過電流継電器2の設定値は、き電回線過電流継電器14,15,16,17の設定値よりも大きくする。
【0021】
電車の通常の運行時においても、或る変電所の管内と隣接変電所の管内との間での電車の出入り増減や、1つの変電所の管内でもき電区間とき電区間との間での電車の出入り増減により、各過電流継電器を流れる電流値は変化し、時間変化率ΔIが存在するが、地絡発生時のΔIは通常の電車運行の場合よりもはるかに大きい値を示すので、各過電流継電器の動作設定値を、通常の電車運行時のΔI値と地絡発生時のΔI値の間の適切な値に設定することにより、地絡発生を検知することが可能となる。放電ギャップ3は地絡電流のΔIをより大きくするので、地絡発生の検知をより確実にすることになる。
【0022】
このような設定の回路構成において、今、直流母線地絡24が発生したとすると、レール21と接地マット23の間に直流高電圧がかかるので放電ギャップ3が放電し、放電電流が流れ、この電流は帰線27の途中に設けられている帰線過電流継電器2を流れる。従って、放電ギャップ3からは放電検知信号が、また帰線過電流継電器2からは地絡検知信号が、遮断制御器1へ送られる。
【0023】
このときは、直流母線9は放電ギャップ3を経てレール21へ短絡状態になっているから、各区間への電流は流れず、従ってき電回線過電流継電器14,15,16,17は架線地絡検知信号は出力しない。
【0024】
このとき、遮断制御器1は、交流遮断器6と直流遮断器10,11,12,13へ遮断信号を送り、これらの遮断器をすべて遮断状態にする。
【0025】
次に、外線低抵抗地絡25が発生した場合は、地絡を起した区間へき電しているき電回線過電流継電器(図1の場合17)に地絡電流が流れ、この電流は大地からレール漏れ抵抗4を経て帰線過電流継電器2を流れて整流器8へ戻る。放電ギャップが放電するに至ったときは放電ギャップ3を経て帰線過電流継電器2を流れて整流器8へ戻る。
【0026】
そして、き電回線過電流継電器17からは、架線地絡検知信号が出力される。しかし、放電ギャップは放電する場合もあるし、しない場合もあるから放電検知信号は出力される場合もあるし、されない場合もある。
また、帰線過電流継電器2はその動作する設定値がき電回線過電流継電器17の設定値よりも大きいから、き電回線過電流継電器17が架線地絡検知信号を出力しても、帰線過電流継電器2は地絡検知信号を出力しない場合がある。
このように、き電回線過電流継電器17からの架線地絡検知信号が存在するときは、前記放電検知信号や地絡検知信号の有無にかかわりなく、外線低抵抗地絡の発生を示すものであるから、遮断制御器1は直流遮断器13のみへ遮断信号を出力しこれを遮断する。
【0027】
以上のように、遮断制御器1が交流遮断器6と総ての直流遮断器10,11,12,13へ遮断信号を出力するのは、放電ギャップ3と帰線過電流継電器2がそれぞれ放電検知信号と地絡検知信号を出力したときのみである。
また、き電回線過電流継電器14,15,16,17のいずれかが架線地絡検知信号を出力した場合には、放電検知信号や地絡検知信号の有無にかかわらず、架線地絡検知信号を出力したき電回線過電流継電器と直列の直流遮断器のみに対してこれを遮断する遮断信号を出力する。
【0028】
ところで、図1の変電所5の隣接変電所、例えば図3の変電所28に相当する変電所において母線地絡が発生した場合には、隣接変電所の交流遮断器29と直流遮断器33,34,35,36のすべてに遮断信号を出力するが、隣接変電所の直流遮断器が遮断されるまでの間、変電所5と変電所28から並列にき電されている区間Bおよび区間Fの架線(図3参照)を通じて変電所5からも地絡電流が流れることがある。しかし、変電所5からの地絡電流は、区間Bへのき電経路にあるき電回線過電流継電器15および区間Fへのき電経路にあるき電回線過電流継電器17を経由して流れるので、これらのき電回線過電流継電器15、17が地絡検知信号を出力するため、遮断制御器1はこの地絡電流を外線低抵抗地絡とみなし、それぞれ直列に接続されている直流遮断器11および13にのみ遮断信号を出力することになる。このため、変電所5の交流遮断器6および直流遮断器10、11、12、13のすべてが一括遮断されてしまうことは発生しない。したがって、変電所5における直流遮断器11および13の再投入は速やかに行われ、電車の運行に対する影響は殆どない。
【0029】
図2は、第2の実施の形態に対応する実施例の回路構成であり、図1と異なる点は図1の放電ギャップ3に代えて、従来の直流高圧接地継電器22となっている点である。
ここでは、直流高圧接地継電器22が作動しても直ちに、交流遮断器6や直流遮断器10,11,12,13を遮断するのではなく、地絡検知信号を遮断制御器1へ出力するようにすることにより放電ギャップ3と同様の機能を果す。
【0030】
直流高圧接地継電器は高電圧が印加されて作動しても電流は流れないから、地絡電流は専らレール漏れ抵抗4を経てレール21、帰線27へと流れる。その他の動作は図1の場合と同様である。図2の構成は、既設の直流高圧接地継電器を用いることができるという利点がある。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の直流き電回路の地絡による変電所遮断器の不要動作防止装置は、遮断制御器を設け、帰線に設けられた帰線過電流継電器からの地絡検知信号と、接地マットとレールの間に設けられた放電ギャップからの放電検知信号(或いは直流高圧接地継電器からの地絡検知信号)の2つの検知信号のみが出力されたときだけ交流遮断器と総ての直流遮断器とを遮断するようにし、き電回線過電流継電器から架線地絡検知信号が出力されたときは、他の検知信号の有無にかかわらず、架線地絡検知信号を出力したき電回線過電流継電器と直列の直流遮断器だけを遮断するようにしたので、隣接変電所にかかわる地絡または外線低抵抗地絡の影響を受けて自変電所の交流遮断器および全直流遮断器を一括遮断にすることがなく、1変電所にかかわる地絡事故が複数の変電所の遮断を招き、電車の運行停止が広範囲に及ぶということを防止することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の、第1の実施例の回路構成図である。
【図2】本発明の、第2の実施例の回路構成図である。
【図3】従来の直流電気鉄道における変電所からのき電の状況を示す図である。
【符号の説明】
1 遮断制御器
2 帰線過電流継電器
3 放電ギャップ
4 レール漏れ抵抗
5 変電所
6 交流遮断器
7 変圧器
8 整流器
9 直流母線
10,11,12,13 直流遮断器
14,15,16,17 き電回線過電流継電器
18 上り架線
19 下り架線
20 電車
21 レール
22 直流高圧接地継電器
23 接地マット
24 直流母線地絡
25 外線低抵抗地絡
26 大地
27 帰線
28 変電所
29 交流遮断器
30 変圧器
31 整流器
32 帰線
33,34,35,36 直流遮断器
37,38,39,40 き電回線過電流継電器
41 電車
42 直流高圧接地継電器
43 接地マット
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2