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明細書 :超電導コイルの冷却装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4236404号 (P4236404)
公開番号 特開2003-151822 (P2003-151822A)
登録日 平成20年12月26日(2008.12.26)
発行日 平成21年3月11日(2009.3.11)
公開日 平成15年5月23日(2003.5.23)
発明の名称または考案の名称 超電導コイルの冷却装置
国際特許分類 H01F   6/04        (2006.01)
FI H01F 5/08 ZAAG
請求項の数または発明の数 1
全頁数 6
出願番号 特願2001-352637 (P2001-352637)
出願日 平成13年11月19日(2001.11.19)
審査請求日 平成16年6月21日(2004.6.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】長嶋 賢
個別代理人の代理人 【識別番号】100088270、【弁理士】、【氏名又は名称】今井 毅
審査官 【審査官】酒井 朋広
参考文献・文献 特開平09-036442(JP,A)
特開平09-312209(JP,A)
特開2000-353614(JP,A)
特開2000-161802(JP,A)
特開2000-022226(JP,A)
特開平07-170714(JP,A)
特開平07-049154(JP,A)
特開昭54-081099(JP,A)
調査した分野 B60L 13/03-13/10
F25B 9/00-11/04
H01F 6/00- 6/06
H01L 39/02-39/04
39/14-39/16
39/20
特許請求の範囲 【請求項1】
冷媒ガス圧縮機にガス分配用のバルブモ-タを介して複数のパルスチュ-ブ冷凍機の高温端を接続し、当該パルスチュ-ブ冷凍機の低温端を、低温系への熱侵入源となる“超電導コイルを収容したコイル保持容器を支持する複数の円筒状荷重支持材”に内挿して超電導コイルの接触伝導冷却を行うようにさせて成る、磁気浮上式鉄道に搭載する超電導コイルの冷却装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、均一冷却が可能で、かつ装置構成を小型化できる磁気浮上式鉄道に搭載する超電導コイルの冷却装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気浮上式鉄道,医療機器(医療用MRI等),エネルギ-貯蔵装置,発電機等に超電導コイルを用いた超電導磁石の使用が試みられているが、これらの機器類では、その稼働時に超電導コイルを超電導状態とするための“超電導コイルを臨界温度以下の極低温に冷却するための装置”が不可欠である。
【0003】
例えば、図2は、Nb-Ti系超電導材料製の超電導コイルを使用した浮上式鉄道用超電導磁石に用いられている“超電導コイルの冷却装置”の説明図である。
この超電導コイルの冷却装置では、ヘリウム圧縮機11で圧縮したヘリウムガスを高圧ヘリウム配管を通じてGMサイクル冷凍機12に導入し、この冷凍機のディスプレ-サ-を往復運動させてヘリウムガスを冷却した後、冷却したヘリウムガスから熱交換器と絞り弁による Lindeサイクルにより沸点が 4.2Kの液体ヘリウムを生成させて液体ヘリウム溜13に溜め、これを複数の超電導コイル14を収納した内槽15の中に供給することにより超電導コイルを液体ヘリウムに浸して冷却する構成が採られている。
なお、当該装置では、上記内槽15を覆う形で液体窒素にて冷却された輻射熱シ-ルド板16が設置されており、これらが外槽17と呼ばれるアルミニウム製の容器内に収容された形態となっている。この外槽17は地上コイルからの変動磁界を遮蔽する役割も担っており、外槽17の内側でかつ内槽15の外側の輻射熱シ-ルド板16を含む空間部分は熱伝導を遮断するために真空に保持されている。
【0004】
図3は、上記装置における超電導コイル収納部分の内部構造をより具体的に示した説明図であり、超電導コイル14は高剛性のステンレス鋼から成るコイル保持容器3に収納され、電磁気的な変形力や走行中の振動等により相対ズレが生じないように両者間は取付金具18で強固に締結されている。
ところで、極低温に保たれた超電導コイル14及びコイル保持容器3には地上コイルとの相互作用による推進,浮上,案内といった強力な磁力が働くので、これらの力を支持しつつその力を常温部の台車に伝えるため、コイル保持容器3は荷重支持材4により台車部分に強固に固設されている。そして、この荷重支持材4は、軽量で強度が高くて熱伝導率の小さいアルミナ繊維強化プラスチックス製の円筒状のものが好適であるとされている。
【0005】
しかし、このような従来形式の冷却装置には、極低温の冷却媒体(液体ヘリウム)をコイル保持容器に送り込んで超電導コイルを冷却する方式であるので、極低温の冷却媒体を取り扱うための様々な設備や注意が必要であって、設備スペ-ス,設備コスト,取り扱い面等で不利であるだけでなく、冷却温度域の調整が難しいという難点があった。
また、上記冷却装置では、用いられているGMサイクル冷凍機はモ-タで駆動されるディスプレ-サ-や磁性蓄冷材を構成要素としているために磁石(超電導コイル)の近くに配置するのが好ましくないにもかかわらず、極低温の冷却媒体(液体ヘリウム)を生成し供給するGMサイクル冷凍機を超電導コイルに近接配置して冷却媒体への入熱を極力阻まなければならないという問題も有しており、更に、ディスプレ-サ-やディスプレ-サ-駆動モ-タを有したGMサイクル冷凍機を超電導コイルに近接配置しなければならないので超電導コイル近辺部の一層の小型化が叶わないなどの問題もあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このようなことから、本発明が目的としたのは、磁気的な悪影響を及ぼすことなく超電導コイルの的確な冷却を行うことができる上、冷却温度を幅広い領域で調整することも可能で、かつ超電導コイル近辺部の更なる小型化を叶え得る取り扱いの容易な超電導コイルの冷却装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述の観点に立って鋭意研究を行ったところ、超電導コイル冷却装置の冷凍機としてこれまで用いられていた“ピストンを有するスタ-リングサイクル冷凍機”や“ディスプレ-サ-を有するGMサイクル冷凍機”に代えてバブルモ-タと複数の“パルスチュ-ブ冷凍機”を適用し、この複数のパルスチュ-ブ冷凍機の低温端(コ-ルドヘッド)をコイル保持容器の構成部材の複数箇所に配置することによって前記目的を達成できることを見出した。
【0008】
本発明は、上記知見事項等に基づいてなされたものであり、次に示す超電導コイルの冷却装置を提供するものである。
冷媒ガス圧縮機にガス分配用のバルブモ-タを介して複数のパルスチュ-ブ冷凍機の高温端を接続し、当該パルスチュ-ブ冷凍機の低温端を、低温系への熱侵入源となる“超電導コイルを収容したコイル保持容器を支持する複数の円筒状荷重支持材”に内挿して超電導コイルの接触伝導冷却を行うようにさせて成る、磁気浮上式鉄道に搭載する超電導コイルの冷却装置。
【0009】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る超電導コイル冷却装置の一例であり、磁気浮上式鉄道に搭載する超電導コイル冷却装置例の要部説明図である。
この冷却装置では、冷却媒体であるヘリウムを圧縮するためのヘリウム圧縮機(COMP)には、ガス分配用のバルブモ-タ1を介して複数のパルスチュ-ブ冷凍機2の高温端を接続されている。なお、ヘリウム圧縮機とバルブモ-タ1との間は、従前のヘリウム圧縮機にGMサイクル冷凍機を接続する場合と同様に常温のヘリウム配管で接続される。
【0010】
そして、ガス分配用のバルブモ-タ1に高温端を接続した複数のパルスチュ-ブ冷凍機2の低温端(コ-ルドヘッド)は、超電導コイルを収納・固定したコイル保持容器3の複数箇所、即ちこの例では4箇所でコイル保持容器を支持する荷重支持材4に配置され固設されている。
【0011】
なお、パルスチュ-ブ冷凍機は、冷却媒体がチュ-ブ内に止まっており、その低温端を被冷却物に接触させて伝導冷却を行う方式であるため、被冷却物の均一冷却が難しいものである。
しかし、上述のようにバルブモ-タを介在させることによって、1基の冷却媒体圧縮機に複数のパルスチュ-ブ冷凍機を取り付けることができる上、それら複数のパルスチュ-ブ冷凍機の低温端をコイル保持容器の複数箇所に配置することによって、伝導冷却方式の欠点である“被冷却物(超電導コイル)の温度分布の不均一”を防止することができる。
【0012】
勿論、パルスチュ-ブ冷凍機2の低温端はコイル保持容器3を支持する荷重支持材4以外の箇所に固設しても良いが、通常はアルミナ繊維強化プラスチックス製円筒が用いられるコイル保持容器を支持する荷重支持材4の中に挿入して内蔵させるのが好ましい。なぜなら、コイル保持容器を支持する荷重支持材4は低温系(超電導コイル近辺)への熱侵入源となる部位であり、この部位を直接冷却することににより熱の侵入を効果的に防止することができる。更に、上述のようにパルスチュ-ブ冷凍機2の低温端をコイル保持容器構造材の内部に埋め込むことにより、装置の省スペ-ス化(小型化)も達成される。
【0013】
なお、この場合にはバルブモ-タも複数必要となるが、それでも従来のGMサイクル冷凍機等を付設する場合に比べれば装置の小型化が可能となる上、超電導コイル部位と極力近接配置することが必要であったGMサイクル冷凍機等と違ってパルスチュ-ブ冷凍機の場合はその高温端は超電導コイル部分にそれほど近接配置する必要がないので、パルスチュ-ブ冷凍機の高温端を接続するバルブモ-タは設置場所の選択範囲が拡大される。従って、この点も装置の省スペ-ス化設計にとって有利な条件となる。
【0014】
また、バルブモ-タも磁場の影響を受けるので極力磁場の低い場所に設置する必要があるが、前述したようにバルブモ-タの設置場所は選択可能範囲が大きいため、磁場の影響の少ない設置場所を選ぶことも可能になる。
【0015】
何よりも、本発明に係る超電導コイル冷却装置は、パルスチュ-ブ冷凍機の適用を可能としたので極低温の冷却媒体を送給したり管理したりする設備を必要とせず、また極低温冷却媒体の取り扱いに付随する様々な配慮を要しないという大きな便益を有している。
【0016】
ところで、パルスチュ-ブ冷凍機はその高温端から低温端にかけて温度勾配をもった冷却がなされるので、このパルスチュ-ブ冷凍機を適用した本発明に係る超電導コイル冷却装置では極低温からそれよりも比較的高い温度まで幅広い温度領域で冷却能力を発揮することができる。
そのため、本発明に係る超電導コイル冷却装置は、金属系超電導コイルの冷却に必要な液体ヘリウム(沸点:4.2K)温度に冷却する場合だけでなく、むしろ近年注目されている酸化物系高温超電導体で構成された超電導コイルの冷却(20K程度乃至は100K前後への冷却)に一層好適なものであると言える。
【0017】
上述のように、本発明に係る超電導コイル冷却装置では、ヘリウム圧縮機と冷凍機を常温のヘリウム配管で接続する構成は従来のGMサイクル冷凍機を用いた冷却装置と同様であるが、冷凍機部分が複数に分割されていてそれらの低温端が超電導磁石のコイル保持容器を構成する部材の複数部位に配置されている(好ましくはコイル保持容器の構造材の内部に埋め込まれている)ので、次のような便益を享受することができる。
(a) 極低温の冷却媒体を送給したり管理したりする設備を必要とせず、また極低温冷却媒体の取り扱いに付随する様々な配慮を要しない,
(b) パルスチュ-ブ冷凍機を使用してはいても、伝導冷却型冷凍の欠点である“被冷却物の温度分布の不均一”という問題を抑えることができる,
(c) 省スペ-ス化によって超電導磁石装置の小型化が図れる,
(d) 比較的高温から極低温まで幅広い温度領域で冷却能力を発揮できるので様々な材料の超電導コイルの冷却に適用することができ、冷却装置の効率向上が期待できる。
【0018】
なお、この実施例では冷媒ガスとしてヘリウム(He)を使用したが、窒素等の他のガスを冷媒ガスとして用いても良いことは言うまでもない
【0019】
【発明の効果】
以上に説明した如く、この発明によれば、超電導コイルの均一冷却が可能であり、また高温(例えば高温超電導体の臨界温度)から低温(例えばNb-Ti系超電導体の臨界温度)までの幅広い温度領域で冷却能力を発揮でき、超電導磁石の小型化を図ることができる取り扱いの容易な超電導コイルの冷却装置を提供することが可能となって超電導磁石を用いる磁気浮上式鉄道の性能向上に大きく寄与することができるなど、産業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超電導コイルの冷却装置例の概要説明図である。
【図2】 Nb-Ti系超電導材料製の超電導コイルを使用した浮上式鉄道用超電導磁石に用いられている“超電導コイルの冷却装置”の説明図である。
【図3】図2に係る装置の超電導コイル収納部分の内部構造をより具体的に示した説明図である。
【符号の説明】
1 バルブモ-タ
2 パルスチュ-ブ冷凍機
3 コイル保持容器
4 荷重支持材
11 ヘリウム圧縮機
12 GMサイクル冷凍機
13 液体ヘリウム溜
14 超電導コイル
15 内槽
16 輻射熱シ-ルド板
17 外槽
18 取付金具
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2