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明細書 :スペクトラム拡散通信波受信装置及び方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3710122号 (P3710122)
公開番号 特開2002-185369 (P2002-185369A)
登録日 平成17年8月19日(2005.8.19)
発行日 平成17年10月26日(2005.10.26)
公開日 平成14年6月28日(2002.6.28)
発明の名称または考案の名称 スペクトラム拡散通信波受信装置及び方法
国際特許分類 H04B  1/713     
FI H04J 13/00 E
請求項の数または発明の数 18
全頁数 11
出願番号 特願2000-385367 (P2000-385367)
出願日 平成12年12月19日(2000.12.19)
審判番号 不服 2003-010926(P2003-010926/J1)
審査請求日 平成12年12月19日(2000.12.19)
審判請求日 平成15年6月13日(2003.6.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
発明者または考案者 【氏名】上家 和幸
【氏名】小林 雅志
【氏名】石井 寛之
個別代理人の代理人 【識別番号】100077838、【弁理士】、【氏名又は名称】池田 憲保
参考文献・文献 特開平8-288887(JP,A)
特開平10-65646(JP,A)
特開平10-229352(JP,A)
特開平9-8769(JP,A)
特開平10-163926(JP,A)
調査した分野 H04J13/00-13/06
H04B1/69-1/713
特許請求の範囲 【請求項1】
受信空中線により、実空間の周波数ホッピング(FH)通信波を受信する受信手段と、
FH通信波周波数チャネル間隔に基づき、入力信号のサンプリングを行い、拡散された前記FH通信波を逆拡散する逆拡散処理手段と、
その逆拡散処理された信号より、復調対象信号帯域の信号を抽出する信号抽出手段と、
この抽出された信号を復調する復調手段と、
前記逆拡散処理手段に入力する信号の周波数をシフトさせ、受信した周波数ホッピング通信波の周波数と、前記復調手段の同調周波数及び信号抽出手段の出力周波数とにオフセットが生じていた場合に、前記可変局部発振器からオフセット周波数の信号を入力することで前記オフセットを解消するための周波数変換器及び可変局部発振器
を有することを特徴とするスペクトラム拡散通信波受信装置。
【請求項2】
前記逆拡散処理手段にて逆拡散処理された受信信号をディジタル信号からアナログ信号に変換するディジタル/アナログ変換回路を前記信号抽出手段の入力側に設けたことを特徴とする請求項1記載のスペクトラム拡散通信波受信装置。
【請求項3】
前記逆拡散処理手段として、受信した信号をディジタル信号へと変換するサンプリング回路を用い、受信信号周波数より低い拡散チャネル間隔周波数でサンプリングがなされ、送信側で任意のパターンの周波数で発振した周波数ホッピング通信波が、受信機側で全て同じ周波数につなぎ合わされ、送信側の情報が復調されることを特徴とする請求項1又は2記載のスペクトラム拡散通信波受信装置。
【請求項4】
信号抽出手段として帯域制限フィルタを用い、復調しようとする周波数の信号以外に生じた不要信号(他の周波数の折り返し信号)を除去することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載のスペクトラム拡散通信波受信装置。
【請求項5】
受信空中線により、実空間の周波数ホッピング(FH)通信波を受信する受信手段と、
FH通信波周波数チャネル間隔に基づき、入力信号のサンプリングを行い、拡散された前記FH通信波を逆拡散する逆拡散処理手段と、
この逆拡散処理された受信信号から復調対象信号帯域の信号を抽出し、この抽出された信号を復調するDSP(Digital Signal Processor)と、
復調信号をディジタル信号からアナログ信号に変換するディジタル/アナログ変換回路と、
前記逆拡散処理手段に入力する信号の周波数をシフトさせ、受信した周波数ホッピング通信波の周波数と、前記復調手段の同調周波数及び信号抽出手段の出力周波数とにオフセットが生じていた場合に、前記可変局部発振器からオフセット周波数の信号を入力することで前記オフセットを解消するための周波数変換器及び可変局部発振器
を有することを特徴とするスペクトラム拡散通信波受信装置。
【請求項6】
前記逆拡散処理手段として、受信した信号をディジタル信号へと変換するサンプリング回路を用い、受信信号周波数より低い拡散チャネル間隔周波数でサンプリングがなされ、送信側で任意のパターンの周波数で発振した周波数ホッピング通信波が、受信機側で全て同じ周波数につなぎ合わされ、送信側の情報が復調されることを特徴とする請求項記載のスペクトラム拡散通信波受信装置。
【請求項7】
前記サンプリング回路の入力側に外部可変クロック回路を設け、該外部可変クロック回路のクロック周波数を変更することにより、対象とする周波数ホッピング波の拡散チャネル間隔周波数が異なる通信波に対しても逆拡散処理を可能とすることを特徴とする請求項2記載のスペクトラム拡散通信波受信装置。
【請求項8】
送信側より拡散チャネル間隔上の任意の周波数で送信された周波数ホッピング波を受信手段で受信すると共に、サンプリング手段に入力する信号の周波数をシフトさせるために、前記サンプリング回路の入力側に設けられた周波数変換器と可変局部発振器によって、受信した周波数ホッピング通信波の周波数と、前記復調手段の同調周波数及び信号抽出手段の出力周波数とにオフセットが生じていた場合に、前記可変局部発振器からオフセット周波数の信号を周波数変換器に入力することで前記オフセットを解消し
オフセット解消後の受信信号を高周波増幅手段により増幅し、
この増幅された受信信号をサンプリング手段にて受信信号周波数より低い拡散チャネル間隔周波数でサンプリングして逆拡散処理を施し、
この逆拡散処理された受信信号を帯域制限フィルタで不要な信号成分を除去して、復調対象信号帯域の信号を抽出し、
この抽出された信号を復調手段にて復調する
ことを特徴とするスペクトラム拡散通信波受信方法。
【請求項9】
前記サンプリング手段にて逆拡散処理された受信信号を、ディジタル/アナログ変換回路にてディジタル信号からアナログ信号に変換することを特徴とする請求項記載のスペクトラム拡散通信波受信方法。
【請求項10】
前記サンプリング手段を用い、受信信号周波数より低い拡散チャネル間隔周波数でサンプリングを行い、送信側で任意のパターンの周波数で発振した周波数ホッピング通信波を、受信機側で全て同じ周波数につなぎ合わせ、送信側の情報を復調することを特徴とする請求項8又は9記載のスペクトラム拡散通信波受信方法。
【請求項11】
受信空中線により、実空間の周波数ホッピング(FH)通信波を受信すると共に、サンプリング手段に入力する信号の周波数をシフトさせるために、前記サンプリング回路の入力側に設けられた周波数変換器と可変局部発振器によって、受信した周波数ホッピング通信波の周波数と、前記復調手段の同調周波数及び信号抽出手段の出力周波数とにオフセットが生じていた場合に、前記可変局部発振器からオフセット周波数の信号を周波数変換器に入力することで前記オフセットを解消し
オフセット解消後の受信信号を逆拡散処理手段にて、FH通信波周波数チャネル間隔に基づき、入力信号のサンプリングを行い、
拡散された前記FH通信波を逆拡散し、
DSP(Digital Signal Processor)にて、前記逆拡散処理された受信信号から復調対象信号帯域の信号を抽出して、この抽出された信号を復調し、
ディジタル/アナログ変換回路にて、復調信号をディジタル信号からアナログ信号に変換する
ことを特徴とするスペクトラム拡散通信波受信方法。
【請求項12】
前記サンプリング回路にて、受信信号周波数より低い拡散チャネル間隔周波数でサンプリングを行い、送信側で任意のパターンの周波数で発振した周波数ホッピング通信波を、受信機側で全て同じ周波数につなぎ合わせ、送信側の情報を復調することを特徴とする請求項11記載のスペクトラム拡散通信波受信方法。
【請求項13】
前記サンプリング回路の入力側に設けられた外部可変クロック回路にて、該外部可変クロック回路のクロック周波数を変更することにより、対象とする周波数ホッピング波の拡散チャネル間隔周波数が異なる通信波に対しても逆拡散処理を可能とすることを特徴とする請求項記載のスペクトラム拡散通信波受信方法。
【請求項14】
拡散符号が未知のFH通信波に対しても、入力信号をサンプリング処理することにより逆拡散が可能であることを特徴とする請求項記載のスペクトラム拡散通信波受信方法。
【請求項15】
逆拡散処理を、入力信号の周波数よりもアンダーサンプリング手法により、信号の折り返しを利用して実現することを特徴とする請求項記載のスペクトラム拡散通信波受信方法。
【請求項16】
FH通信波の受信、復調処理において、同期捕捉及び同期追跡処理を必要としないことを特徴とする請求項記載のスペクトラム拡散通信波受信方法。
【請求項17】
FH通信波の受信、復調処理において、高速周波数シンセサイザ、及びFH通信波拡散符号を必要としないことを特徴とする請求項記載のスペクトラム拡散通信波受信方法。
【請求項18】
FH通信波受信装置の装置構成を簡略化するととともに、小型・軽量化を実現できることを特徴とする請求項15記載のスペクトラム拡散通信波受信方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、周波数ホッピング(FH)通信波受信装置に関し、特に拡散符号が未知のFH通信波を復調処理する手法と、復調処理において、装置の小型化・軽量化を実現する手段と、同期捕捉処理及び同期追跡処理を不要とするための手法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、周波数ホッピング通信波受信装置において、通信波復調のためには、拡散符号を受信側が有するとともに、同期捕捉回路および同期追跡回路にて同期処理を行う必要があった。例えば、特開平10-163926には、周波数ホッピング波同期追跡方式として、逆拡散のための局部発振周波数のホッピングパターンの位相を2乗処理、マルチプレクサ、加算、ラッチ、位相制御による相関検出部を設けることで実現する技術が記載されている。
【0003】
図7は、山内雪路著「スペクトラム拡散通信」1994年11月20日東京電機大学出版局発行、第118項~第122項に示された、従来の周波数ホッピング通信波を受信・復調するための回路の一例を示すブロック図である。
【0004】
上記した従来の技術の構成について図7を参照して説明する。図7において、受信空中線101は、実空間より周波数ホッピング通信波を受信する。高周波増幅器102は、受信信号を内部で処理するのに必要なところまで増幅する。周波数変換器103は、周波数シンセサイザ104の発振周波数の信号と、受信FH通信波とを乗算処理し、周波数変換処理を行う。周波数シンセサイザ104は、高速に発振周波数が可変可能な信号発生器である。符号変調器105は、周波数の拡散符号(ホッピングパターン)が記憶され、これに基づき、周波数シンセサイザ104より信号を発生させる。
【0005】
同期捕捉回路は、狭帯域のBPF(バンドパスフィルタ)106と、その出力の包絡線を検出する包絡線検出器107と、その出力を一定時間積分する積分器108と、積分の結果、同期捕捉が完了したかをスレッショルドレベルにより判定するスレッショルド判定器109と、同期捕捉が出来なかった場合、逆拡散の為の信号発生位相を変化させる発生位相制御器110によりなる。同期追跡回路は、FH通信波の同期確立状態を維持するための回路であり、同期追跡状態を確認するためのクロックを発生するVCO(Voltage Control Oscillator)111と、周波数変換器112と、LPF(Low Pass Filter)113よりなる。復調回路114は逆拡散処理後の1次変調波信号を復調処理するための回路である。
【0006】
次に動作について、図7を参照して説明する。受信空中線101より受信されたFH通信波は、高周波増幅器102にて受信された微弱な信号を、内部処理に必要なまで増幅する。増幅された信号は、周波数変換器103にて符号変調器105の拡散符号に基づき、周波数シンセサイザ104より発振された信号と乗算されることで、逆拡散処理が行われる。同期不確立な場合、すなわち、周波数シンセサイザの発振信号と、受信信号の位相が一致していない場合、BPF106を通過し、包絡線検出器107により検出される信号は、雑音だけがごくたまに受信信号として検出される。
【0007】
そこで、復調に際し、同期捕捉が第一に必要であり、スレッショルド判定器109で一定レベル以上の信号が検出されるまで、発生位相制御器110より、符号変調器105からの周波数発生位相をずらし、スレッショルド判定器109の出力が連続して検出されるまで検索を行うことにより同期捕捉を実現する。同期捕捉後、復調処理を安定して行うために、同期追跡が実施される。図7ではVCO111からクロック信号を出力し、周波数変換器112にて同期捕捉後の信号と乗算処理を行い、LPF113の出力を検出することで、その出力の同期はずれ状態を検出する。検出結果は、VCO111にフィードバックされ、その出力がゼロとなるようにVCO111にて符号変調器105からの周波数発生位相制御することで同期追跡を行う。このように従来の技術では、FH通信波の復調処理には、同期捕捉、追跡処理が必要であった。
【0008】
一方、同期捕捉回路及び同期追跡回路を必要としない周波数ホッピング波用非同期受信方法としては、周波数ホッピング波のホッピング周波数に対応した複数の発振周波数を同時に出力することで、ホッピング周波数のパターンを知らずに逆拡散を行う手法が考えられる。図8を参照して、同期捕捉回路及び同期追跡回路を必要としない周波数ホッピング波用非同期受信方法を実現する装置の構成について説明する。図8にて、101は受信空中線、102は高周波増幅器、103は周波数変換器、104aからeまでは個々の送受信周波数(ホッピング周波数)に対応した局部周波数(f1~f5)を発振する局部発振器(単一周波数)である。115は中間周波フィルタ、114は復調回路である。
【0009】
次に図9にて、その動作について説明する。送信側より任意のパターンで発振された周波数の信号(図では、f1r、f2r、f3r、f4r、f5r)が空中線101で受信される。局部発振器104からは、送信された全ての周波数パターンに対応した全ての局部発振周波数が合成された信号が、周波数変換器に入力され、周波数変換器103からは、ホッピング周波数に依存せず、中間周波フィルタ115を見通した復調出力が得られる。この動作をより詳細に説明すると、送信周波数f1rが受信された期間は、送信周波数f1rに対応する復調出力f1dが出力され、送信周波数f3rが受信された期間は、送信周波数f3rに対応する復調出力f3dが出力される。送信周波数f2r、f4r、f5rについても同様である。復調出力f1d,f2d,f3d,f4d,f5dは、全て同一周波数(fIF)である。すなわち、送信側でばらばらの周波数で送信された送信周波数(f1r~f5r)は全て同一の周波数に逆拡散される。これにより、送信側の情報を再生できる。しかもこの受信機では、局部発振周波数を切り替えていないので、理想となる送信側の周波数シーケンス、及びその変化タイミングが不正確であっても非同期で受信可能であるが、逆拡散には、複数の局部発振器を対象とする周波数ホッピング周波数の数を、並列に接続する必要があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来技術では、第1の問題点として、逆拡散処理のために局部発振器を必要とし、また、逆拡散処理のための高速切替可能な周波数シンセサイザ、及び同期捕捉、同期追跡のための回路を必要とするため、FH(周波数ホッピング)通信波受信装置の小型化、軽量化が困難であることが挙げられる。
【0011】
また、第2の問題点として、FH通信波は、その搬送周波数を変化させながら通信を行う方式故に、同期捕捉により対象通信波の抽出を行う必要があり、復調を正常に継続して実施するためには、同期確立状態を維持するための同期追跡が必要であるため、FH通信波を復調する場合、同期捕捉、同期追跡処理が必要とされ、そのため、復調処理までに時間を要するとともに、複雑な処理実行する必要があることが挙げられる。
【0012】
また、第3の問題点として、上記した従来の技術では、FH通信波を逆拡散処理するためには、送信側の拡散符号と同期して逆拡散の為の信号を出力する必要があるため、拡散符号が未知であるFH通信波の逆拡散処置が困難であることが挙げられる。
【0013】
また、第4の問題点として、FH通信波を逆拡散処理するためには、周波数シンセサイザを拡散符号に従い、同期を確立したまま高速に切り替えなければならないため、高速拡散速度のFH通信波の受信復調処理が困難なことが挙げられる。
【0014】
本発明の目的は、従来必要とした局部発振器を使用しないことにより、非同期FH通信波受信装置の小型・軽量化を実現するスペクトラム拡散通信波受信方法を提供することにある。
【0015】
また、本発明の目的は、FH通信波の拡散符号が未知のFH通信波の復調処理を実現するスペクトラム拡散通信波受信方法を提供することにある。
【0016】
また、本発明の目的は、FH通信波受信装置の小型、軽量化を実現するためのスペクトラム拡散通信波受信方法を提供することにある。
【0017】
また、本発明の目的は、FH通信波受信装置において、同期処理を不要とするスペクトラム拡散通信波受信方法を提供することにある。
【0018】
また、本発明の目的は、高速な拡散速度のFH通信波を受信、復調するためのスペクトラム拡散通信波受信装置を提供することにある。
【0019】
また、本発明の目的は、同期回路を不要とすることにより装置構成簡易化が図れるスペクトラム拡散通信波受信装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明のスペクトラム拡散通信波受信装置では、FH通信波の逆拡散処理をサンプリング(ディジタル化)に伴う折り返しを利用することで実現する。より具体的には、受信したFH通信波を最小周波数ホッピング間隔にてサンプリングする手段(図1)を有する。また、サンプリングの周波数も可変であることも他の特徴である。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態について、図1及び図2を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るスペクトラム拡散通信波受信装置の構成を示す図である。図1において、1は所要信号を捕捉する受信空中線、2は微弱な受信波を内部処理に必要なまで増幅する高周波増幅器、3,4は受信した信号をディジタル信号へと変換するサンプリング回路及びディジタル・アナログ変換回路、5は不要波成分を除去する帯域制限フィルタ、6は逆拡散された信号を復調するための復調回路である。
【0022】
次に本実施の形態の動作について説明する。図2(a)のように、送信側より拡散チャネル間隔上(Δf)の任意の周波数で送信された周波数ホッピング波は、受信空中線1で受信され、高周波増幅器2により内部処理に必要なまで増幅される。増幅された受信信号は、サンプリング回路3にて受信信号周波数より低い拡散チャネル間隔周波数(f=Δf)でサンプリングされる。この時、サンプリング周波数が受信信号周波数の2倍より低いため、折り返し信号が図2(b)のように生ずる。すなわち、周波数軸上に受信信号の情報を有したコピー成分の信号が、Δf/2の間隔で生ずる。この信号をディジタル・アナログ変換回路4を通し、帯域制限フィルタ5で不要な信号成分を除去すると、周波数fBBの信号が出力される。出力された信号は、復調回路6で復調され、送信側より送信された情報が復調される。
【0023】
次に周波数ホッピング通信波の周波数が、図2(c)のように周波数f2にホッピングした場合も、折り返しにより周波数軸上に受信信号の情報を有したコピー成分の信号がΔf/2の間隔で生ずる。ここで、サンプリング周波数と拡散チャネル周波数の間隔が同じであるので、折り返しにより生ずる信号周波数の配置は、図2(b)で周波数f3の周波数ホッピング波の折り返しの場合と同様となる。この関係は、その他のホッピング周波数でも同様である。
【0024】
すなわち、図2(d)に示すように、送信側で任意のパターンの周波数で発振した周波数ホッピング通信波は、受信機側で全て同じ周波数につなぎ合わされ(逆拡散処理)、送信側の情報が復調できる。しかも、この方式では、同期捕捉、同期追従のための処理が不必要な非同期受信が可能である。また、従来の方式では複数の局部発振器を必要としたが、局部発振による逆拡散処理方式ではないので、局部発振器を必要としない。
【0025】
次に上記した第1の実施の形態のより具体的な実施例について、図3を参照して詳細の説明する。図3に示すように、本実施例は、図1の本発明の実施の形態におけるサンプリング回路3をA/D変換器31で、ディジタル・アナログ変換回路4をD/A変換器41で実現している。受信空中線1では、送信側より送信された周波数ホッピング通信波が受信される。受信された微弱な受信信号は、高周波増幅器2により、内部で処理するために必要なまで増幅される。増幅された信号は、A/D変換器31でサンプリング処理される。ここでサンプリング周波数は、受信した(対象とする)周波数ホッピング通信波の拡散チャネル間隔周波数であり、この周波数でサンプリングすることにより、送信側で、任意のパターンで拡散された周波数ホッピング通信波が逆拡散処理される。逆拡散処理された受信信号は、D/A変換器41によりディジタル信号からアナログ信号に変換され、帯域制限フィルタ5により復調しようとする周波数の信号以外に生じた不要信号(他の周波数の折り返し信号)が除去される。帯域制限フィルタ5の出力は、復調回路6により復調され、送信側の情報が再生される。
【0026】
次に本発明の第2の実施の形態について、図4を参照して詳細に説明する。本実施の形態は、上記した第1の実施の形態に加えて、周波数変換器7と可変局部発振器8が追加された形態を有している。本実施の形態は、第1の実施の形態の効果に加えて、サンプリング回路に入力する信号の周波数をシフトさせることを可能としている。これは、受信した周波数ホッピング通信波の周波数と、復調回路6の同調周波数及び帯域制限フィルタ5の出力周波数とにズレ(オフセット)が生じていた場合に、可変局部発振器8からオフセット周波数の信号を周波数変換器に入力することでオフセットを解消し、逆拡散処理及び復調処理を実現させることが可能である。また、受信した信号の信号帯域がサンプリング周波数(nfs+1/2fs、nは整数)の周波数を越えて存在する場合、折り返しにより受信信号に含まれる情報が失われる。これを防ぐために、受信信号の周波数オフセットを可能とする。
【0027】
次に本発明の第3の実施の形態について、図5を参照して詳細に説明する。本実施の形態は、上記した本発明の第1の実施の形態におけるサンプリング回路3が、A/D変換器31で実現され、帯域制限フィルタ5、復調回路6がDSP(Digital Signal Processor)で実現され、アナログ・ディジタル変換回路4がD/A変換器41で実現されている。本実施の形態は、第1の実施の形態の効果に加え、帯域制限フィルタ処理及び復調処理を、DSPと呼ばれるディジタル信号処理素子により実現していることで、第1の実施の形態では困難であった帯域制限フィルタの帯域等の諸元を、柔軟に変更可能である。また、第1の実施の形態では、復調対象の周波数ホッピング波の変調方式が異なる場合、複数の復調回路を必要とするが、これを単一のアーキテクチャにて実現可能としている。
【0028】
次に本発明の第4の実施の形態について、図6を参照して詳細に説明する。本実施の形態は、上記した第1の実施の形態に加えて、サンプリング回路3に供給するための外部可変クロック回路10が追加された形態を有している。本実施の形態は、第1の実施の形態の効果に加え、外部可変クロック回路10のクロック周波数を変更することで、対象とする周波数ホッピング波の拡散チャネル間隔周波数が、異なる通信波に対しても逆拡散処理を可能とする。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、周波数ホッピング波の逆拡散処理をサンプリングによる折り返し効果により実現しているため、周波数ホッピング波受信のための複数の局部発振器を必要とせず、これにより、受信装置の小型・簡略化が可能となる。
【0030】
又、本発明によれば、局部発振器を使用しないと同時に、その局部発振周波数を切り替える必要もないサンプリングによる折り返し効果を利用することで、逆拡散処理を実現しているため、高速にホッピングする周波数ホッピング波の受信・復調が可能である。
【0031】
又、本発明によれば、サンプリングにより生ずる折り返し効果を利用することで、逆拡散処理を実現しているため、周波数ホッピングのための周波数シーケンス、タイミングに依存せず、このため周波数ホッピング波のホッピングのための周波数シーケンスタイミングを知ることなく、周波数ホッピング通信波の受信が可能となる。
【0032】
又、本発明によれば、サンプリングにより生ずる折り返し効果を利用することで、逆拡散処理を実現しているため、周波数ホッピングのための周波数シーケンス、タイミングに依存せず、周波数ホッピング波受信のための同期捕捉、同期追従回路を必要としないことである。これにより、処理の簡略化、装置の小型化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るスペクトラム拡散通信波受信装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示されるスペクトラム拡散通信波受信装置の動作を説明するための図である。
【図3】図1に示されるスペクトラム拡散通信波受信装置の具体例を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るスペクトラム拡散通信波受信装置の構成を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係るスペクトラム拡散通信波受信装置の構成を示す図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係るスペクトラム拡散通信波受信装置の構成を示す図である。
【図7】従来の周波数ホッピング通信波を受信・復調するための回路の一例を示すブロック図である。
【図8】同期捕捉回路及び同期追跡回路を必要としない周波数ホッピング波用非同期受信装置の構成を示す図である。
【図9】図8の装置の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
1 受信空中線
2 高周波増幅器
3 サンプリング回路
4 ディジタル・アナログ変換回路
5 帯域制限フィルタ
6 復調回路
7 周波数変換器
8 可変局部発振器
9 DSP
10 外部可変クロック回路
31 A/D変換器
41 D/A変換器
101 受信空中線
102 高周波増幅器
103 周波数変換器
104 周波数シンセサイザ
105 符号変調器
106 BPF
107 包絡線検出器
108 積分器
109 スレッショルド判定器
110 発生位相制御器
111 VCO
112 周波数変換器
113 LPF
114 復調回路
115 中間周波フィルタ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8