TOP > 国内特許検索 > 汚染水域用潜水具 > 明細書

明細書 :汚染水域用潜水具

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3716306号 (P3716306)
公開番号 特開2004-074956 (P2004-074956A)
登録日 平成17年9月9日(2005.9.9)
発行日 平成17年11月16日(2005.11.16)
公開日 平成16年3月11日(2004.3.11)
発明の名称または考案の名称 汚染水域用潜水具
国際特許分類 B63C 11/22      
B63C 11/08      
FI B63C 11/22
B63C 11/08
請求項の数または発明の数 4
全頁数 7
出願番号 特願2002-239553 (P2002-239553)
出願日 平成14年8月20日(2002.8.20)
審査請求日 平成14年8月20日(2002.8.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
発明者または考案者 【氏名】橋本 昭夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100067323、【弁理士】、【氏名又は名称】西村 教光
審査官 【審査官】三宅 達
参考文献・文献 特開平8-150995(JP,A)
特開平9-66889(JP,A)
調査した分野 B63C 11/22
B63C 11/08
特許請求の範囲 【請求項1】
環境水とダイバーとの接触を遮断するためにダイバーの皮膚表面を水密的に覆う水密性潜水服と、ダイバーが水中において身につけて独立して移動でき、ダイバーに対し閉鎖呼吸回路内での呼吸を許容する自給式潜水器を用い、前記潜水服又は潜水器の少なくともいずれか一方若しくはそれらの連続部分に、環境水への排気を行なう排気弁を設け、該排気弁は、環境水への排気を通気性はあるが通水性のないスパンボンド不織布を通して行う構造としたことを特徴とする汚染水域用潜水具。
【請求項2】
前記排気弁は、排気口内に挿入保持された厚手のスパンボンド不織布と、排気口の内周螺子部に排気口の外部から螺回操作自在として螺挿され、該螺回操作により多孔板面によってスパンボンド不織布を圧縮自在とした開圧調整ネジ具とを有していることを特徴とする請求項1に記載の汚染水域用潜水具。
【請求項3】
前記呼吸回路内には、不測の事態により呼吸回路内に浸入した環境水を遮断するように、スパンボンド不織布が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の汚染水域用潜水具。
【請求項4】
前記呼吸回路内には炭酸ガス吸収装置が設けられ、該炭酸ガス吸収装置は、炭酸ガス吸収剤が付着され、円筒形に成形されたスパンボンド不織布をフィルターとして用い、その外周側から呼気側ガスが導入され、内周側から吸気側にガスが移動する構成になることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の汚染水域用潜水具。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚染水域で安全に潜水作業を行うための汚染水域用潜水具に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1は、従来の汚染水域用潜水具の使用状態の全体を示す図である。
これまでに知られている汚染水域用潜水具としては、図1に示すように水中で作業するダイバーへの呼吸ガスが、水上に設置したガスカードル9やあるいはコンプレッサーから供給される他給気式のものしか存在しない。
【0003】
ガスカードル9に貯蔵されている高圧ガスは、給気コントロールパネル1で調圧され、アンビリカル3の給気ホース4を介してダイバーに供給される。
ここで、アンビリカル3とは、給気ホース4、排気ホース5、通信ケーブル6及び深度計ホース7をひとまとめにしたものである。また、ガスカードル9とは、ダイバーの呼吸ガスを高圧状態で貯蔵しておく高圧容器の集合体である。参照符号2は排気コントロールパネルである。
【0004】
このような汚染水域用潜水具では、装備が大がかりになり、価格も高価で、運用要員も多数を必要とするので運用コストもかかるという欠点がある。更に、他給気式潜水具では、ダイバーが水面からのアンビリカル3と接続されているため、水中での機動性に制限がある。
【0005】
このため、他給気式汚染水域用潜水具を運用する場合は、費用がかさむと共に、ダイバーの水中での行動範囲が制限されることとなる。
【0006】
また、水中での急激な環境圧の変化に伴う容積の膨張収縮という気体の性質のため、潜水具には必ず排気弁が取り付けられているが、従来の排気弁では、気相と液相の接触面となる弁からの環境水の潜水具内への漏水を完全に遮断することが不可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、汚染水域用潜水具を自給気式にすることによって運用コストを低減すると共に水中での機動性を提供することと、潜水具の気相と液相の接触面となる部分において気相側への環境水の移動を遮断することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するための手段を、実施の態様を示す図2乃至5を参照して説明する。
すなわち、本発明に係る汚染水域用潜水具では、環境水とダイバーとの接触を遮断するためにダイバーの皮膚表面を水密的に覆う水密性潜水服12と、ダイバーが水中において身につけて独立して移動でき、ダイバーに対し閉鎖呼吸回路内での呼吸を許容する自給式潜水器15を用い、前記潜水服12又は潜水器15の少なくともいずれか一方、若しくはフードや面マスクなどそれらの空間的に連続する連続部分に、環境水への排気を行なう排気弁14、17を設け、該排気弁14、17は、環境水への排気を通気性はあるが通水性のないスパンボンド不織布18を通して行う構造としたことを特徴としている。
【0009】
このような構造により、ダイバーは、上記アンビリカル3に拘束されることなく、汚染水域内を容易に移動して所定の作業を安全に行なうことができる。水圧の変化に伴い、排気弁14、17から排気されるが、この排気はスパンボンド不織布18を通して行なわれることから、環境水が潜水具内に浸入することはない。
【0010】
前記排気弁14、17は、図4に示すように、排気口を形成する排気筒22内に挿入保持された厚手のスパンボンド不織布18と、排気筒22の内周ネジ部22aに排気筒22の外部から螺回操作自在として螺挿され、該螺回操作により多孔板面(穴あき押さえ板20)によってスパンボンド不織布18を圧縮自在とした開弁圧調整ネジ具19とを有している。開弁圧調整ネジ具19は、筒形を有し、その外周に上記排気筒22の内周ネジ部22aに螺合する外周ネジ部を有し、底面に穴あき押さえ板20が設けられている。穴あき押さえ板20は、板に孔が明けられた構成、或いは網板の構成とすることができる。
【0011】
このような排気弁の構成により、ダイバーは、開弁圧調整ネジ具19を螺回操作することにより、スパンボンド不織布18を圧縮して開弁圧を高め、排気量を少なくし、又は、遮断するようにして、排気量を確実に調整させることができる。この螺回調整時、排気口は常にスパンボンド不織布18を通して排気されるものであるから、環境水が潜水具内に浸入することはない。
【0012】
また、前記呼吸回路内には、不測の事態により呼吸回路内に浸入した環境水を遮断するように、スパンボンド不織布が設けられている。このスパンボンド不織布は、呼吸回路内に設けられる炭酸ガス吸収フィルター24の素材として用いると共に、呼吸回路の吸気側に適宜挿入して用いることが望ましい。
【0013】
すなわち、図5に示すように、呼吸回路内に設けた炭酸ガス吸収装置23として、炭酸ガス吸収剤が付着され、円筒形に成形されたスパンボンド不織布をフィルター24として用い、その外周側から呼気側ガスを導入し、円筒の内周側から吸気側にガスを移動させる構造とする。
【0014】
このような構造とすることにより、不測の事態により呼吸回路内に浸入した環境水をスパンボンド不織布により確実に遮断でき、かつ、装置を大きくさせることなくスパンボンド不織布を介設させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の実施の形態を図2乃至図5に従って説明する。
【0016】
図2は、この発明の実施の形態を示したもので、図3はその構成とスパンボンド不織布を使用した箇所を示す図である。
ダイバーの皮膚表面と環境水との接触遮断のための面マスク10、フード11若しくはヘルメット及び水密性潜水服12を内部空間が連続する一体型とする。装着は背中側に取り付けた従来の水密性ジッパー13を開けて行う。水密性潜水服12に取り付ける自動排気弁14には、スパンボンド不織布18を採用し、また、自動気式潜水器である水密性半閉式潜水器15を利用することによって水中機動性の向上と運用コストの低減を図っている。
【0017】
図4は、水密性潜水服12に取り付ける自動排気弁14の開弁圧調整について示したものである。排気弁14は、排気口を形成する排気筒22内に張設された穴あき支持板21上に密に挿入保持された厚手のスパンボンド不織布18と、排気筒22の内周ネジ部22aに排気筒22の外部から螺回操作自在として螺挿され、該螺回操作により多孔板面(穴あき押さえ板20)によってスパンボンド不織布18を圧縮自在とした開弁圧調整ネジ具19とを有している。開弁圧調整ネジ具19は、筒形を有し、その外周に上記排気筒22の内周ネジ部22aに螺合する外周ネジ部を有し、底面に穴あき押さえ板20が設けられている。穴あき支持板21及び穴あき押さえ板20は、板に孔が明けられた構成、或いは網板の構成とすることができる。
【0018】
厚手のスパンボンド不織布18の弾力性を利用して開圧弁(通気量)が自動調整される。つまり、開弁圧調整ネジ具19を締め付けて穴あき押さえ板20を押さえつけることによって、スパンボンド不織布18が圧縮され、密度が高くなるので通気抵抗が大きくなり、通気量が減少する(図4下図)。また、反対に圧縮を緩めるに従って通気抵抗は小さくなるので、通気量が増大するという仕組みである(図4上図)。
【0019】
従来の自動排気弁では、開弁圧調整ネジにより押さえバネのバネ圧を変えて、マッシュルームバルブ開弁圧の調整を行う。この方法では、マッシュルームバルブが開いたとき、環境水が水密性潜水服内部に浸入するのを完全に防止できない。ところが、上記本発明では、開弁圧の調整操作時、常に排気口はスパンボンド不織布18によって遮蔽されているので、環境水が浸入することがない。
【0020】
図5は、ダイバーの呼吸器系と環境水との接触遮断のための潜水器呼吸回路内に取り付けたスパンボンド不織布の役目について示したものである。不測の事態により呼吸回路内に環境水が浸入した場合の誤飲を防止するために、要所要所に最適なスパンボンド不織布を取り付けて、浸入した環境水が呼吸回路内を移動しない構造となっている。
【0021】
すなわち、呼吸回路内に設けた炭酸ガス吸収装置23として、円筒形に成形されたスパンボンド不織布をフィルター24として用い、その外周側から呼気側ガスを導入し、円筒の内周側から吸気側にガスを移動させる構造とする。フィルター24には、炭酸ガス吸収剤が付着されている。符号25は、背負い式のガスボンベであり、高圧窒素酸素混合ガスが封入され、ガス流量調整器26を介して呼吸回路の吸気側に接続される。
【0022】
また、図2に示すように、呼吸回路の一部分である水密性呼吸バッグ16の自動排気弁17も水密性潜水服12に取り付けた自動排気弁14と同じく、スパンボンド不織布の弾力性を利用した開弁圧調整となっている。
【0023】
【発明の効果】
本発明では、半閉式潜水器と水密性潜水服との組み合わせに、排気弁等からの環境水の浸入を防止するためにスパンボンド不織布を採用することにより、即応性、機動性、運用コストに優れた自給気式汚染水域用潜水具が製作できる。また、不測の事態により潜水器呼吸回路内に浸水した環境水の誤飲も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の他吸気式汚染水域用潜水具を示す図である。
【図2】本発明の全体を示す図である。
【図3】本発明の全体構成とスパンボンド不織布フィルタ使用箇所を示す図である。
【図4】本件の自動排気弁の原理を示す図である。
【図5】潜水器呼吸回路内に取り付けたスパンボンド不織布の役目を示す図である。
【符号の説明】
1 給気コントロールパネル
2 排気コントロールパネル
3 アンビリカル
4 給気ホース
5 排気ホース
6 通信ケーブル
7 深度計ホース
9 ガスカードル
10 面マスク
11 フード(もしくはヘルメット)
12 水密性潜水服
13 水密性ジッパー
14 水密性潜水服の自動排気弁
15 水密性半閉式潜水器
16 水密性呼吸バッグ
17 呼吸バッグの自動排気弁
18 スパンボンド不織布
19 開弁圧調整ネジ具
20 穴あき押さえ板(多孔板面)
21 穴あき支持板
22 排気筒(排気口)、22a 内周ネジ部
23 炭酸ガス吸収装置
24 フィルター(スパンボンド不織布)
25 ガスボンベ
26 ガス流量調整器
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4