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明細書 :レーザーアブレーションを利用した光学膜の屈折率制御方法及び光学素子形成方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3673829号 (P3673829)
公開番号 特開2003-277918 (P2003-277918A)
登録日 平成17年5月13日(2005.5.13)
発行日 平成17年7月20日(2005.7.20)
公開日 平成15年10月2日(2003.10.2)
発明の名称または考案の名称 レーザーアブレーションを利用した光学膜の屈折率制御方法及び光学素子形成方法
国際特許分類 C23C 14/28      
FI C23C 14/28
請求項の数または発明の数 6
全頁数 9
出願番号 特願2002-082289 (P2002-082289)
出願日 平成14年3月25日(2002.3.25)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 2002年1月19-25日「Photonics West 2002」においてポスターセッションにて発表
審査請求日 平成14年3月25日(2002.3.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
発明者または考案者 【氏名】大越 昌幸
【氏名】井上 成美
【氏名】倉松 雅章
個別代理人の代理人 【識別番号】100079290、【弁理士】、【氏名又は名称】村井 隆
審査官 【審査官】新居田 知生
参考文献・文献 特開平10-046322(JP,A)
特開平08-041631(JP,A)
調査した分野 C23C 14/28
特許請求の範囲 【請求項1】
光学使用を目的とした膜の原材料となる化合物にレーザー光を照射し、アブレーションにより対向した基体上に光学膜を形成する場合に、前記光学膜の前記基体への堆積速度を変化させて前記光学膜の屈折率を制御することを特徴とするレーザーアブレーションを利用した光学膜の屈折率制御方法。
【請求項2】
前記化合物がSi-O-Si結合を含む化合物であって、前記基体上にSiO膜を形成する請求項1記載のレーザーアブレーションを利用した光学膜の屈折率制御方法。
【請求項3】
Si-O-Si結合を含む化合物にレーザー光を照射し、アブレーションにより対向した基体上にSiO膜を形成する場合に、雰囲気酸素ガス圧を変化させて前記光学膜の屈折率を制御することを特徴とするレーザーアブレーションを利用した光学膜の屈折率制御方法。
【請求項4】
光学使用を目的とした膜の原材料となる化合物にレーザー光を照射し、アブレーションにより対向した基体上に異なる堆積速度で光学膜を積層形成して、異なる屈折率を有する複数層の光学膜を前記基体上に設けることを特徴とするレーザーアブレーションを利用した光学素子形成方法。
【請求項5】
前記化合物がSi-O-Si結合を含む化合物であって、前記基体上に異なる屈折率を有する複数層のSiO膜を形成する請求項4記載のレーザーアブレーションを利用した光学素子形成方法。
【請求項6】
Si-O-Si結合を含む化合物にレーザー光を照射し、アブレーションにより対向した基体上に雰囲気酸素ガス圧を変えてSiO膜を積層形成して、異なる屈折率を有する複数層のSiO膜を前記基体上に設けることを特徴とするレーザーアブレーションを利用した光学素子形成方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトニクスを目的としたシリカガラス(SiO)等の光学膜の屈折率制御に係り、とくにレーザーアブレーションにより膜厚と屈折率が制御された良質のSiO膜等の光学膜を室温で形成可能なレーザーアブレーションを利用した光学膜の屈折率制御方法及び光学素子形成方法に関するものであり、従来困難とされてきた熱影響を受けやすい基体(高分子材料や生体材料、低融点材料、熱拡散しやすい材料等)への光導波路素子形成を例とした光インタコネクション素子形成や複雑な3次元構造の光インタコネクション素子形成も可能となり、その用途は電気電子のみならずあらゆる分野で有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来、SiOの屈折率制御法は、紫外線(真空紫外線も含む)を発生するエキシマレーザーや、極めて高い尖頭出力を発生する超短パルス・チタンサファイヤレーザーのレーザー光を、バルクのSiO表面あるいはその内部に直接照射して、欠陥や密度変化を誘起する手法が主として利用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の方法では、基本的にバルクのSiOを扱うため、任意の基体上に屈折率を制御してSiO膜を形成することは困難であり、さらに異なる屈折率を有する複数層のSiO膜を前記基体上に設けて光学素子、例えば光インタコネクション素子を形成することも困難であった。また本発明のように、薄膜を部品として積層していく方法とは異なり、従来方法では複雑な構造の光学素子形成には制限があった。
【0004】
本発明の第1の目的は、上記の点に鑑み、膜厚と屈折率が制御された良質のSiO膜等の光学膜を、基体材料を選ばずに堆積、積層させることが可能なレーザーアブレーションを利用した光学膜の屈折率制御方法を提供することにある。
【0005】
本発明の第2の目的は、異なる屈折率を有する複数層のSiO等の光学膜を、レーザーアブレーションを利用して基体上に形成可能としたレーザーアブレーションを利用した光学素子形成方法を提供することにある。
【0006】
本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願請求項1の発明に係るレーザーアブレーションを利用した光学膜の屈折率制御方法は、光学使用を目的とした膜の原材料となる化合物にレーザー光を照射し、アブレーションにより対向した基体上に光学膜を形成する場合に、前記光学膜の前記基体への堆積速度を変化させて前記光学膜の屈折率を制御することを特徴としている。
【0008】
本願請求項2の発明に係るレーザーアブレーションを利用した光学膜の屈折率制御方法は、請求項1において、前記化合物がSi-O-Si結合を含む化合物であって、前記基体上にSiO膜を形成することを特徴としている。
【0009】
本願請求項3の発明に係るレーザーアブレーションを利用した光学膜の屈折率制御方法は、Si-O-Si結合を含む化合物にレーザー光を照射し、アブレーションにより対向した基体上にSiO膜を形成する場合に、雰囲気酸素ガス圧を変化させて前記光学膜の屈折率を制御することを特徴としている。
【0010】
本願請求項4の発明に係るレーザーアブレーションを利用した光学素子形成方法は、光学使用を目的とした膜の原材料となる化合物にレーザー光を照射し、アブレーションにより対向した基体上に異なる堆積速度で光学膜を積層形成して、異なる屈折率を有する複数層の光学膜を前記基体上に設けることを特徴としている。
【0011】
本願請求項5の発明に係るレーザーアブレーションを利用した光学素子形成方法は、請求項4において、前記化合物がSi-O-Si結合を含む化合物であって、前記基体上に異なる屈折率を有する複数層のSiO膜を形成することを特徴としている。
【0012】
本願請求項6の発明に係るレーザーアブレーションを利用した光学素子形成方法は、Si-O-Si結合を含む化合物にレーザー光を照射し、アブレーションにより対向した基体上に雰囲気酸素ガス圧を変えてSiO膜を積層形成して、異なる屈折率を有する複数層のSiO膜を前記基体上に設けることを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るレーザーアブレーションを利用した光学膜の屈折率制御方法及び光学素子形成方法の実施の形態を図面に従って説明する。
【0014】
図1は本発明に係るレーザーアブレーションを利用した光学膜の屈折率制御方法及び光学素子形成方法の実施の形態で用いる成膜装置の例であり、成膜容器1内に、光学使用を目的とした膜の原材料となる化合物のターゲット2及び基体としての基板3を対向配置し、合成石英ガラス等で形成された成膜容器1の入射窓4を通してレーザー装置で発生したパルスレーザー光5を前記ターゲット2に照射する。また、成膜容器1外部にレーザー光の収束のための光学系6及びレーザー光量を制限するアパーチャー#1,#2,…を設ける。アパーチャー#1,#2,…は方形等の開口を有する遮蔽板であり、開口部分のみレーザー光を透過させ、その他の部分では遮断するものである。ここでは、アパーチャー#1よりもアパーチャー#2の開口が小さく設定されているが、使用するアパーチャーは2個に限らず、レーザー光量を可変制御するために開口の異なるものを必要個数用意し、光学系6の手前に配置して光学系6への入射光量を可変調整する。前記ターゲット2は成膜容器1外部の回転手段としてのモータ7で回転されるようになっている。また、成膜容器1には酸素ガス供給バルブ8や減圧手段としての真空ポンプ9が接続され、さらに容器内部の真空度を測定するための真空ゲージ10が設けられている。成膜容器1内は真空ポンプ9で4×10-5Torr以下の真空度に真空排気されており、さらに酸素ガス供給バルブ8から酸素ガスを所定圧力(後述するように10-1Torr以下が望ましい)となるように供給しておく。
【0015】
ここで、光学使用を目的とした膜、つまり光学膜形成の方法として、レーザーアブレーション法(Pulsed laser deposition;以下PLD法と記す)を選択した。この方法は強力なレーザー光照射のため、ターゲット材料から電子励起された原子、分子あるいは一部イオン化されたもの等が高い運動エネルギーを有して飛散するため、堆積膜表面の局所加熱やマイグレーション効果等を誘起し、良質の膜を低温で形成できる。また成膜容器内にターゲット材料を溶融蒸発させるような熱源を必要としないため、クリーンな成膜を行うことができ、膜中への不純物混入が極めて少ない。加えて装置が極めてシンプルである等、良質の膜を簡単に得る方法として産業利用もなされている。
【0016】
前記光学膜としてSiO膜を形成する場合には、ターゲット材料としてシリコーン(シリコーンゴム、シリコーンオイル、シリコーン樹脂等)のような、Si-O-Si結合(シロキサン)を含む化合物を選択する。通常、PLD法では、コンポジショナル・フィデェリティ(compositional fidelity;ターゲット材料の組成とそれを膜にしたときの組成ずれが少ないこと)という長所を利用した膜形成例がほとんどである。従って常識的には、SiO膜をPLD法で形成する場合、シリカガラスをターゲット材料として用いる。しかしこの場合、膜中にガラス片や粉のようなフラグメントの混入が顕著となり、また基板加熱も必要となる。そこで本発明ではコンポジショナル・フィデェリティという常識に逆らい、多元組成の材料から所望の原子、分子もしくは結合部のみを選択的に膜堆積する新しいPLD法をシロキサンの場合で実証している。すなわちシリコーンのようなシロキサンを含む物質を図1のターゲット2として利用することにより、レーザー波長や照射エネルギー密度によってターゲットの開裂状態が制御できる。そして、雰囲気ガスの種類やガス圧を含めた最適な成膜条件を見出してシロキサン結合のみを選択的に膜堆積させ、室温(常温)、換言すれば非加熱雰囲気中で良好なSiO膜を形成可能としている。
【0017】
以下の式(1)及び式(2)は、PLD法でシロキサンを含む化合物からシロキサン結合のみを選択的に膜堆積させ、酸素ガス雰囲気にてSiO膜を成膜する過程を示している。
【0018】
【数1】
JP0003673829B2_000002t.gifここで、(RSiO):シロキサンを含む化合物であるターゲット、R:CH基等の側鎖、n:正の整数で通常1万以上の値、hν:光のエネルギー(レーザー光の振動数ν、プランク定数h)である。
【0019】
前記式(1)のようにターゲットの側鎖を開裂させるため、図1のターゲット2に照射されるレーザー光のhνがターゲットにおける側鎖の結合エネルギーよりも大きいことが必要である。このため、紫外線乃至真空紫外線のレーザー光を発生可能なArFエキシマレーザー等のレーザー装置を光源として用いる。なお、シロキサン結合の結合エネルギーよりも前記レーザー光のhνは小さいことが必要であるが、側鎖の結合エネルギーよりもシロキサン結合の結合エネルギーは十分大きいので、紫外線乃至真空紫外線のレーザー光であればこの条件を満足させ得る。
【0020】
前記レーザー光の照射エネルギー密度については、1J/cm以上、好ましくは10J/cm以上であることが、透明で良好なSiO膜を成膜するために望ましい。但しレーザー装置により上限値は制約され、現状では100J/cm以下である。
【0021】
前記式(2)の反応が進むように、図1の成膜容器1内は酸素ガス雰囲気であり、紫外線乃至真空紫外線のレーザー光が酸素ガス雰囲気中で減衰しないように成膜容器1内は真空ポンプ9によって減圧された状態である。成膜容器1内の酸素ガス圧は、10-4Torr以上で10-1Torr以下の範囲が透明で良好なSiO膜を成膜するために望ましい。
【0022】
上記の基板への成膜は室温で実行可能であるから、基板材質は、スライドガラス、NaCl、石英、Si等の無機材料の他、熱影響を受けやすいポリエステル等の有機高分子材料、生体材料等も利用可能である。
【0023】
実施の形態1
この実施の形態1では、図1の成膜装置を使用し、光学膜の原材料となる化合物で構成されたターゲット2にレーザー光を照射し、アブレーションにより対向した基板3上に光学膜を形成する場合に、前記光学膜の前記基板3への堆積速度を変化させて前記光学膜の屈折率を制御する。ここでは、ターゲット2としてSi-O-Si結合を含む化合物を用い、基板3にSiウエハを用いて、基板3上にSiO膜を形成した。
【0024】
図2に、4種類の異なる堆積速度(0.02nm/pulse、0.05nm/pulse、0.07nm/pulse及び0.1nm/pulse)で形成した純粋なSiO膜の屈折率の測定結果を示す。基板にはSiウエハを用いている。また、形成膜の膜厚は、約120~140nmの範囲で一定になるよう成膜時間により調整している。屈折率は波長633nmでの値を測定している。その他、レーザー光の照射エネルギー密度(レーザーフルエンス)は10J/cm、成膜容器内の雰囲気酸素ガス圧は4.4×10-2Torr一定である。SiO膜の堆積速度は、成膜容器外部においてレーザー光のパルスエネルギーを変化させることにより調整している(例えば、図1の開口の異なるアパーチャー#1,#2,…の交換等による)。膜の堆積速度が0.1nm/pulseのとき、屈折率は1.37~1.40の範囲であるが、レーザー光のパルスエネルギーを低下させて堆積速度を低くするのに従って屈折率は高くなっていくことがわかる。そして0.02nm/pulseでは膜の屈折率は1.43であり、膜の堆積速度を変化させることにより10-2オーダーで屈折率が制御できることを示している。このような膜の堆積速度による屈折率変化は、膜の構造(密度)変化によることがわかった。すなわち、膜の堆積速度を低くしていくと、走査電子顕微鏡より、より緻密な膜が形成することが観察できた。
【0025】
なお、膜の堆積速度は0.02~0.1nm/pulseと低いため、レーザーパルスの積算数により、ナノメートルオーダーでの膜厚制御が可能である。この手法は、光導波路素子等の製作に有効である。
【0026】
実施の形態2
この実施の形態2では、図1の成膜装置を使用し、Si-O-Si結合を含む化合物で構成されたターゲット2にレーザー光を照射し、アブレーションにより対向した基板3上にSiO膜を形成する場合に、成膜容器1内の雰囲気酸素ガス圧を変化させて前記SiO膜の屈折率を制御する。ここでは、基板3にSiウエハを用いた。
【0027】
図3は、3種類の異なる雰囲気酸素ガス圧(4.4×10-5Torr、4.4×10-3Torr及び4.4×10-2Torr)で形成したSiO膜の屈折率の測定結果を示す。基板にはSiウエハを用いている。また、形成膜の膜厚は、400nm一定としている。屈折率は先と同様波長633nmでの値を測定している。レーザー光の照射エネルギー密度は10J/cm一定である。
【0028】
酸素ガス圧が4.4×10-5Torrのとき、SiO膜の屈折率は1.86であるが、酸素ガス圧を高くしていくのに従い屈折率は低くなっていくことがわかる。そして、4.4×10-2Torrでは膜の屈折率は1.42であり、雰囲気酸素ガス圧を変化させることにより10-1オーダーで屈折率が制御できることを示している。このような雰囲気酸素ガス圧による屈折率変化は、形成膜中の微量な炭素混入量の変化によるものである。このことは、図4の形成膜のラマンスペクトルで示されている。この図4に示すように、雰囲気酸素ガス圧を増加するに従って、1585cm-1及び1355cm-1を中心とした二つのブロードなピークが減少していくことがわかった。この二つのピークは炭素の存在を示し、酸素ガス圧増加に伴って膜中に混入する炭素が減少していることを示唆している。すなわち、酸素ガス圧を高くしていくと、アブレーションによりターゲットから放出された炭素が酸化、ガス化され、成膜容器外へ排出される割合が高くなるからである。
【0029】
なお、この手法は、形成膜同士に、より大きな屈折率差を持たせる必要がある場合にとくに有効であり、SiO膜の屈折率を連続的に制御可能である。この場合、10-1オーダーでの屈折率制御が可能であり、例えばフォトニック結晶等の製作に有効である。
【0030】
実施の形態3
この実施の形態3では、図1の成膜装置を用いて実施の形態1の方法を実施して、異なる屈折率を有する複数層の光学膜を基体上に設けることにより、光学素子としての光インタコネクション素子を形成する。ここでは、ターゲット2としてSi-O-Si結合を含む化合物を用い、基板3にSiウエハを用いて、基板3上にSiO膜を順次、積層形成することにより光導波路素子を作製した。
【0031】
図5(A)において、図2の結果を基に、まず0.1nm/pulseの堆積速度で、膜厚約0.4μmのSiOクラッド層11を基板3の全面に形成し、その後堆積速度を0.05nm/pulseまで下げて、膜厚約1μmのSiOコア層12を線幅約1mmで形成させた。従って、SiOクラッド層11よりもSiOコア層12の屈折率が大きくなっており、両者の境界面で光の反射面を構成している。
【0032】
そして形成されたコア層12と、レンズ13を通して入射されたHe-Neレーザー光とをBK-7製プリズム(屈折率1.52)14により結合させた(プリズムとコア層の隙間に水を介在させた)。さらに、もう1つのBK-7製プリズム15により、コア層12中を導波したHe-Neレーザー光をコア層12から取り出し(プリズムとコア層の隙間に水を介在させた)、その導波光のスクリーンイメージを図5(B)のように撮影した。図5(B)の導波光のスクリーンイメージ図(写真)から、単一モードで伝搬した導波光が確認できる。
【0033】
図5はSi基板を用いたときの結果であるが、厚さ100μmのポリエステルフィルム基板を用いても図5と同様SiO光導波路が形成できる。
【0034】
なお、実施の形態3では、実施の形態1の屈折率制御により屈折率の異なるSiO膜を形成したが、実施の形態2の屈折率制御により図5(A)のSiOクラッド層11及びSiOコア層12を形成してもよい。つまり、Si-O-Si結合を含む化合物にレーザー光を照射し、アブレーションにより対向した基体上に雰囲気酸素ガス圧を変えてSiO膜を積層形成して、異なる屈折率を有する複数層のSiO膜を前記基体上に設けた構成とする。
【0035】
なお、図1の装置で成膜可能な光学膜としては、SiO層の他にAl膜、TiO膜があり、実施の形態1で述べた方法で屈折率を制御できる。また、光学膜は可視光を対象とするものだけでなく、赤外線や紫外線を透過させる材質であってもよい。
【0036】
以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、膜厚と屈折率が制御された良質のSiO膜等の光学膜を、基体材料を選ばずに堆積、積層させることができる。したがって、高分子フィルム基体上に膜形成を行えば、光学素子としてフレキシブルな光インタコネクション素子も形成できる。光導波路やフォトニック結晶等の光インタコネクション素子形成は、現在の電気配線から将来の光配線へ移行するために必要不可欠な技術であり、本発明はこれらフォトニクス分野に多大に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態において用いる成膜装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1であって、レーザーアブレーションを利用した光学膜の屈折率制御法について、膜の堆積速度と屈折率(波長633nmにおける)との関係を示すグラフである。
【図3】本発明の実施の形態2であって、レーザーアブレーションを利用したSiO膜の屈折率制御法について、雰囲気酸素ガス圧と膜の屈折率(波長633nmにおける)との関係を示すグラフである。
【図4】本発明の実施の形態2における形成膜について、酸素ガス圧力をパラメータとしたラマンシフトと強度との関係を示すラマンスペクトル図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係るレーザーアブレーションを利用した光学素子形成方法について、(A)は異なる2種類の屈折率を有するSiO膜を堆積、積層させ形成した光導波路素子の構成及びその光導波実験例を示す構成図、(B)はそのときの導波光(He-Neレーザー光)のスクリーンイメージ図(写真)である。
【符号の説明】
1 成膜容器
2 ターゲット
3 基板
4 入射窓
5 パルスレーザー光
6 光学系
7 モータ
8 酸素ガス供給バルブ
9 真空ポンプ
10 真空ゲージ
11 クラッド層
12 コア層
13 レンズ
14,15 プリズム
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4