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明細書 :接合強度測定方法及びこの方法を用いた接合強度測定装置並びに接合強度変動検出器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4876241号 (P4876241)
公開番号 特開2007-121241 (P2007-121241A)
登録日 平成23年12月9日(2011.12.9)
発行日 平成24年2月15日(2012.2.15)
公開日 平成19年5月17日(2007.5.17)
発明の名称または考案の名称 接合強度測定方法及びこの方法を用いた接合強度測定装置並びに接合強度変動検出器
国際特許分類 G01N  27/00        (2006.01)
FI G01N 27/00 Z
請求項の数または発明の数 6
全頁数 18
出願番号 特願2005-317491 (P2005-317491)
出願日 平成17年10月31日(2005.10.31)
審査請求日 平成20年9月3日(2008.9.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
発明者または考案者 【氏名】多田 直哉
個別代理人の代理人 【識別番号】100080160、【弁理士】、【氏名又は名称】松尾 憲一郎
審査官 【審査官】田中 洋介
参考文献・文献 特開2001-141683(JP,A)
特開平05-157721(JP,A)
特開平08-201255(JP,A)
堀高志 他,繰返し引張りにおけるはんだボールと銅の接合界面の直流電位差法によるモニタリング,第53期日本材料学会学術講演会講演論文集,2004年 5月,pp.423-424
調査した分野 G01N 27/00-27/24
JSTPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
接合用金属と、この接合用金属が接合された被接合用金属との接合部に通電し、
前記接合用金属の電位を前記被接合用金属の電位を基準として測定し、
この電位の測定結果を解析することにより前記接合用金属と前記被接合用金属との接合強度を算定する接合強度測定方法において、
電子回路基板に設けられた複数の被接合用金属と、半導体装置に設けられた複数の被接合用金属と、を接合用金属でそれぞれ接合することにより、前記電子回路基板に前記半導体装置を接合し、
複数の前記接合用金属の1つに、測定用の電流を入力する電流入力線を接続し、
複数の前記接合用金属の他の1つに、測定用の電流を出力する電流出力線を接続し、
複数の前記接合用金属のいずれか2つに測定用配線をそれぞれ直接に接続し、
前記電流入力線から入力される電流を、前記半導体装置や前記電子回路基板の内部配線を用いつつ複数の前記接合用金属の全てを通るように形成された通電経路を通って、前記電流出力線から出力させ、
複数の前記接合用金属に直接に接続された前記2つの測定用配線を介して、1つの電位測定回路により、前記測定用配線を接続された2つの前記接合用金属の電位を測定することを特徴とする接合強度測定方法。
【請求項2】
前記測定用配線が接続される2つの接合用金属と、これら2つの接合用金属が接続される前記被接合用金属の少なくともいずれか一つの温度を計測して、計測された温度に基づいて、前記測定用配線が接続される2つの接合用金属の少なくとも一方の電位の測定結果を補正することを特徴とする請求項1記載の接合強度測定方法。
【請求項3】
接合用金属と、この接合用金属が接合された被接合用金属との接合部に測定用の電流を通電する通電手段と、
前記被接合用金属の電位を基準として前記接合用金属の電位を測定する電位測定手段と、
この電位測定手段の測定結果を解析して前記接合用金属と前記被接合用金属との接合強度を算定する解析手段を備えた接合強度測定装置において、
電子回路基板に設けられた複数の被接合用金属と、半導体装置に設けられた複数の被接合用金属と、を接合用金属でそれぞれ接合することにより、前記電子回路基板に前記半導体装置を接合し、
前記通電手段は、複数の前記接合用金属の1つに接続した電流入力線に測定用の電流を入力し、複数の前記接合用金属の他の1つに接続した電流出力線から測定用の電流を出力させ、
前記電流入力線から入力される電流は、前記半導体装置や前記電子回路基板の内部配線を用いつつ複数の前記接合用金属の全てを通るように形成された通電経路を通って、前記電流出力線から出力するように構成されており、
前記電位測定手段は、測定用配線を複数の前記接合用金属のいずれか2つにそれぞれ直接に接続しており、これら2つの測定用配線を介して、1つの電位測定回路により、前記測定用配線を接続された2つの前記接合用金属の電位を測定することを特徴とする接合強度測定装置。
【請求項4】
前記測定用配線が接続される2つの接合用金属と、これら2つの接合用金属が接続される前記被接合用金属の少なくともいずれか一つの温度を計測する温度計測手段を設け、
前記解析手段では、前記温度計測手段での計測結果に基づいて、前記測定用配線が接続される2つの接合用金属の少なくとも一方の電位の測定結果を補正するように構成したことを特徴とする請求項3記載の接合強度測定装置。
【請求項5】
被接合用金属に接合された接合用金属の接合強度が低下したことを検出する接合強度変動検出器であって、
電子回路基板に設けられた複数の被接合用金属と、半導体装置に設けられた複数の被接合用金属と、をそれぞれ接合する複数の接合用金属の接合強度が低下したことを検出するにあたり、
複数の前記接合用金属の1つに接続した電流入力線に測定用の電流を入力し、複数の前記接合用金属の他の1つに接続した電流出力線から測定用の電流を出力させる通電手段と、
測定用配線を複数の前記接合用金属のいずれか2つにそれぞれ直接に接続しており、これら2つの測定用配線を介して、1つの電位測定回路により、前記測定用配線を接続された2つの前記接合用金属の電位を測定する電位測定手段と、
この電位測定手段の測定結果を解析して接合強度の低下を検出する検出手段を備え
前記電流入力線から入力される電流は、前記半導体装置や前記電子回路基板の内部配線を用いつつ複数の前記接合用金属の全てを通るように形成された通電経路を通って、前記電流出力線から出力するように構成されていることを特徴とする接合強度変動検出器。
【請求項6】
前記測定用配線が接続される2つの接合用金属と、これら2つの接合用金属が接続される前記被接合用金属の少なくともいずれか一つの温度を計測する温度計測手段を備えるとともに、
前記解析手段では、前記温度計測手段での計測結果に基づいて、前記測定用配線が接続される2つの接合用金属の少なくとも一方の電位の測定結果を補正するように構成したことを特徴とする請求項5記載の接合強度変動検出器。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、接合用金属と、この接合用金属が接合された被接合用金属との接合部の接合強度を測定する接合強度測定方法、及びこの方法を用いた接合強度測定装置、並びに接合強度変動検出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品を実装基板に実装するための半田接合や、溶接による金属同士の接合では、接合される一方の金属と他方の金属とが所要の接合強度を有して接合される必要があり、所望の強度で接合していることを確認するために接合強度の様々な測定方法が提案されている。
【0003】
最も簡単には、第1の基体と第2の基体とを所要の接合方法で接合した後に、第1の基体と第2の基体とを互いに反対方向に引っ張って引張り強度を測定し、この引張り強度を接合強度とみなす方法が用いられている。
【0004】
たとえば、実装基板に接合するための半田バンプを設けた電子部品における半田バンプの接合強度の測定は、半田バンプを介して電子部品を実装基板に実装した後に、電子部品を実装基板から引き剥がす際に加えた引張り強度の測定によって行われている。
【0005】
ただし、半田バンプを用いた電子部品の実装基板への実装では、数十~数百個の半田バンプを用いて実装が行われており、電子部品を実装基板から引き剥がして強度測定を行う場合には、各半田バンプの接合強度の総和しか測定することができず、半田バンプごとの接合強度を測定できなかった。この場合における部分的な接合不良の有無判定は、強度による判定ではなく、電子部品を実装基板から引き剥がした後の半田バンプの形状を目視観察し、剥がれ具合のモードを判定することによって行っていた。
【0006】
すなわち、電子部品を実装基板から引き剥がした際に、半田バンプ部分で破壊が生じていた場合には、半田バンプが電子部品との接続界面及び実装基板との接続界面と十分な強度で接合していたと判定でき、一方、電子部品との接続界面、または実装基板との接続界面が露出するように破壊または分離が生じていた場合には、その界面では十分な強度で接合されていなかったと判定していた。
【0007】
昨今では、このような半田バンプの接合強度の判定において、1個ずつの半田バンプの接合強度を数値的に測定して判定可能とするために、電子部品に装着した半田バンプを再溶融させてプローブを接続し、このプローブを引っ張って引張り強度を測定することによって接合強度を測定可能とした測定装置も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
一方、スポット溶接などでは、引張り強度を接合強度とみなす測定方法ではなく、接合した金属間の電気抵抗の大きさから接合界面の状態を推察し、接合強度に換算する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0009】
すなわち、接合用金属と、この接合用金属が接合された被接合用金属との接合部に所要の測定用電流を通電して、被接合用金属の電位を基準として接合用金属の電位を測定し、この電位の測定結果を解析することにより接合用金属と被接合用金属との接合強度を算定しているものである。

【特許文献1】特開平08-111417号公報
【特許文献2】特開昭48-079145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記した引張り試験による接合部分の接合強度の測定では、接合面積の影響や、引張りにともなう金属の変形の影響、さらには接合部分に作用する引張りの力の不均一さの影響などが測定結果に含まれており、これらの影響を受けた間接的な数値としてしか接合強度を測定することができないという不具合があった。
【0011】
一方、電気抵抗を利用した接合強度の測定では、引張り強度の測定よりも直接的に接合強度を測定可能とすることができるが、電気抵抗を測定するためには、測定用電流の通電と、所要の2点間の電位差の測定が必要であって、半田バンプを用いた電子部品の実装基板への装着などのように極めて微小な接合用金属と被接合用金属との接合強度の測定は極めて困難であるという問題があった。
【0012】
本発明者はこのような現状に鑑み、微小な接合用金属においても接合強度を精度よく測定可能な接合強度測定方法及び接合強度測定装置を開発すべく研究をおこない、本発明を成すに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の接合強度測定方法では、接合用金属と、この接合用金属が接合された被接合用金属との接合部に通電し、接合用金属の電位を被接合用金属の電位を基準として測定し、この電位の測定結果を解析することにより接合用金属と被接合用金属との接合強度を算定する接合強度測定方法において、電子回路基板に設けられた複数の被接合用金属と、半導体装置に設けられた複数の被接合用金属と、を接合用金属でそれぞれ接合することにより、前記電子回路基板に前記半導体装置を接合し、複数の前記接合用金属の1つに、測定用の電流を入力する電流入力線を接続し、複数の前記接合用金属の他の1つに、測定用の電流を出力する電流出力線を接続し、複数の前記接合用金属のいずれか2つに測定用配線をそれぞれ直接に接続し、前記電流入力線から入力される電流を、前記半導体装置や前記電子回路基板の内部配線を用いつつ複数の前記接合用金属の全てを通るように形成された通電経路を通って、前記電流出力線から出力させ、複数の前記接合用金属に直接に接続された前記2つの測定用配線を介して、1つの電位測定回路により、前記測定用配線を接続された2つの前記接合用金属の電位を測定することとした。
【0014】
さらに、前記測定用配線が接続される2つの接合用金属と、これら2つの接合用金属が接続される前記被接合用金属の少なくともいずれか一つの温度を計測して、計測された温度に基づいて、前記測定用配線が接続される2つの接合用金属の少なくとも一方の電位の測定結果を補正することにも特徴を有するものである。
【0015】
また、本発明の接合強度測定装置では、接合用金属と、この接合用金属が接合された被接合用金属との接合部に測定用の電流を通電する通電手段と、被接合用金属の電位を基準として接合用金属の電位を測定する電位測定手段と、この電位測定手段の測定結果を解析して接合用金属と被接合用金属との接合強度を算定する解析手段を備えた接合強度測定装置において、電子回路電子回路基板に設けられた複数の被接合用金属と、半導体装置に設けられた複数の被接合用金属と、を接合用金属でそれぞれ接合することにより、前記電子回路基板に前記半導体装置を接合し、前記通電手段は、複数の前記接合用金属の1つに接続した電流入力線に測定用の電流を入力し、複数の前記接合用金属の他の1つに接続した電流出力線から測定用の電流を出力させ、前記電流入力線から入力される電流は、前記半導体装置や前記電子回路基板の内部配線を用いつつ複数の前記接合用金属の全てを通るように形成された通電経路を通って、前記電流出力線から出力するように構成されており、 前記電位測定手段は、測定用配線を複数の前記接合用金属のいずれか2つにそれぞれ直接に接続しており、これら2つの測定用配線を介して、1つの電位測定回路により、前記測定用配線を接続された2つの前記接合用金属の電位を測定するように構成した。
【0016】
さらに、前記測定用配線が接続される2つの接合用金属と、これら2つの接合用金属が接続される前記被接合用金属の少なくともいずれか一つの温度を計測する温度計測手段を設け、前記解析手段では、前記温度計測手段での計測結果に基づいて、前記測定用配線が接続される2つの接合用金属の少なくとも一方の電位の測定結果を補正するように構成したことにも特徴を有するものである。
【0017】
また、本発明の接合強度変動検出器では、被接合用金属に接合された接合用金属の接合強度が低下したことを検出する接合強度変動検出器であって、電子回路基板に設けられた複数の被接合用金属と、半導体装置に設けられた複数の被接合用金属と、をそれぞれ接合する複数の接合用金属の接合強度が低下したことを検出するにあたり、複数の前記接合用金属の1つに接続した電流入力線に測定用の電流を入力し、複数の前記接合用金属の他の1つに接続した電流出力線から測定用の電流を出力させる通電手段と、測定用配線を複数の前記接合用金属のいずれか2つにそれぞれ直接に接続しており、これら2つの測定用配線を介して、1つの電位測定回路により、前記測定用配線を接続された2つの前記接合用金属の電位を測定する電位測定手段と、この電位測定手段の測定結果を解析して接合強度の低下を検出する検出手段を備え、前記電流入力線から入力される電流は、前記半導体装置や前記電子回路基板の内部配線を用いつつ複数の前記接合用金属の全てを通るように形成された通電経路を通って、前記電流出力線から出力する
【0018】
さらに、前記測定用配線が接続される2つの接合用金属と、これら2つの接合用金属が接続される前記被接合用金属の少なくともいずれか一つの温度を計測する温度計測手段を備えるとともに、前記解析手段では、前記温度計測手段での計測結果に基づいて、前記測定用配線が接続される2つの接合用金属の少なくとも一方の電位の測定結果を補正するように構成したことにも特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の接合強度測定方法によれば、接合用金属と被接合用金属との接合部分に確実に通電することができ、接合強度を精度よく測定できる。しかも、複数カ所の接合部分の接合強度を同時に測定できるので、測定不良の検出を行いやすく、測定結果の信頼性を向上させることができる。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、測定結果の信頼性をさらに向上させることができる。
【0021】
請求項3記載の接合強度測定装置によれば、接合用金属と被接合用金属との接合部分に確実に通電することができ、接合強度を精度よく測定可能な接合強度測定装置を提供できる。特に、複数カ所の接合部分の接合強度を同時に測定できるので、接合強度測定装置では、誤測定の検出を可能とすることもできる。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、測定結果の信頼性を向上させることができ、高精度とした接合強度測定装置を提供できる。
【0023】
請求項5記載の接合強度変動検出器によれば、目視では確認不可能な接合強度の低下を、その発生の比較的早い段階で検出できるので、復旧不可能な状態となる前に補修などの対応を実施可能とすることができる。
【0024】
請求項6記載の発明によれば、検出精度の高い接合強度変動検出器を提供可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の金属接合の接合強度測定方法、及びこの方法を用いた接合強度測定装置、並びに接合強度変動検出器では、接合用金属と、この接合用金属が接合された被接合用金属との接合部分に電位測定用の通電を行って、接合部分の電位及び電位変動から接合強度及びその推移を測定するものである。
【0026】
特に、被接合用金属には第1の接合用金属と第2の接合用金属を接合して、第1の接合用金属から被接合用金属に測定用の電流を入力するとともに、第2の接合用金属から電流を出力させて、第1の接合用金属の電位と第2の接合用金属の電位を測定している。
【0027】
したがって、接合用金属と被接合用金属との接合部分に確実に通電することができるので、接合強度を精度よく測定できるとともに、少なくとも2カ所の接合部分の接合強度を同時に測定できるので、測定不良の検出を行いやすくすることができる。
【0028】
特に、電圧の測定とともに、第1の接合用金属と、第2の接合用金属と、被接合用金属の少なくともいずれか一つの温度の計測を行って、計測された温度の値に基づいて第1の接合用金属の電位及び/または第2の接合用金属の電位の測定結果を補正することによって、測定された電圧値の信頼性を向上させることができ、より正しい接合強度を測定することができる。
【0029】
以下において、説明の便宜上、金属接合が半田接合であって、電子部品のランド部分に形成した半田バンプとランドとの接合強度の測定装置及び測定方法を実施形態に基づいて説明する。
【0030】
図1は、電子部品Aの第1ランド11-1に形成した第1半田バンプ12-1と第1ランド11-1との接合強度、及び第2ランド11-2に形成した第2半田バンプ12-2と第2ランド11-2との接合強度を測定する測定装置の模式図である。なお、第1半田バンプ12-1は、いわゆる半田ボールと呼ばれる球状半田を第1ランド11-1部分で溶融させて形成し、また、第2半田バンプ12-2も、半田ボールを第2ランド11-2部分で溶融させて形成している。
【0031】
第1ランド11-1及び第2ランド11-2は、電子部品Aの絶縁性基板10の底面に装着した絶縁膜14の所定位置に円形状の開口を設けることにより内部配線となっている導通用金属13を露出させて構成している。この導通用金属13が、接合用金属である半田に対する被接合用金属である。
【0032】
本実施形態では、絶縁性基板10はガラスエポキシ基板、導通用金属13は銅薄膜で構成しており、さらに、絶縁膜14に設けた開口を介して露出した導通用金属13からなる第1ランド11-1及び第2ランド11-2にはめっきなどによりニッケル被膜と金被膜を順次形成して半田ボールを溶着することにより半田バンプ12を形成している。
【0033】
特に、本実施形態の電子部品Aでは、第1半田バンプ12-1と第1ランド11-1の接合強度、及び第2半田バンプ12-2と第2ランド11-2の接合強度を測定するために、第1半田バンプ12-1が接合された導通用金属13は第2半田バンプ12-2とも接合されるように、少なくとも導通用金属13は第1ランド11-1部分から第2ランド11-2部分まで伸延させて配置している。
【0034】
さらに、導通用金属13の電位を基準電位として利用するために、電子部品Aでは、第1半田バンプ12-1及び第2半田バンプ12-2が接合された導通用金属13の一部を露出させて、導通用金属13に所要の配線を接続可能としている。
【0035】
すなわち、本実施形態の電子部品Aでは、第1ランド11-1及び第2ランド11-2とは別の第3ランド11-3部分の電位を基準電位としており、導通用金属13を第3ランド11-3部分まで伸延させて配置している。
【0036】
接合強度測定装置は、第1半田バンプ12-1と導通用金属13の接合部、及び第2半田バンプ12-2と導通用金属13の接合部に所定の電流を通電する通電手段である通電部17と、第1半田バンプ12-1及び第2半田バンプ12-2の電位を測定する電位測定手段である測定部18と、この測定部18での測定結果を解析して接合強度を算出する解析手段である解析部19を備えている。
【0037】
さらに、接合強度測定装置には、第1半田バンプ12-1と導通用金属13との接合部分の温度を計測する第1温度計測部15と、第2半田バンプ12-2と導通用金属13との接合部分の温度を計測する第2温度計測部16を設け、第1温度計測部15での計測結果、及び第2温度計測部16での計測結果を解析部19に入力するように構成している。
【0038】
第1温度計測部15及び第2温度計測部16は、本実施形態ではそれぞれ熱電対で構成しており、説明の便宜上、図1では、第1温度計測部15及び第2温度計測部16の検出部をそれぞれ導通用金属13の裏面側に接続しているが、第1半田バンプ12-1と導通用金属13との接合部分、及び第2半田バンプ12-2と導通用金属13との接合部分の温度を計測することができれば、第1温度計測部15及び第2温度計測部16の検出部はどこに接続してもよい。
【0039】
特に、本実施形態のように、第1半田バンプ12-1と第2半田バンプ12-2とが極めて近接されて配置される場合には、第1半田バンプ12-1と導通用金属13との接合部分と、第2半田バンプ12-2と導通用金属13との接合部分との間での温度差は、導通用金属13によって緩和されることにより極めて小さくなっているので、導通用金属13の温度を計測して、その計測値を第1半田バンプ12-1と導通用金属13との接合部分の温度、及び第2半田バンプ12-2と導通用金属13との接合部分の温度と見なし、第1温度計測部15と第2温度計測部16のいずれか一方だけを設けるようにしてもよい。
【0040】
通電部17は、電流源回路17aと、この電流源回路17aにそれぞれ一端を接続した電流入力線17bと電流出力線17cを備えており、電流入力線17bの他端は第1半田バンプ12-1に接続し、電流出力線17cの他端は第2半田バンプ12-2に接続して、電流入力線17bと、第1半田バンプ12-1と、導通用金属13と、第2半田バンプ12-2と、電流出力線17cとにより閉曲線状の通電経路17dを形成している。
【0041】
このように、第1半田バンプ12-1に電流入力線17bを接続するとともに、第2半田バンプ12-2に電流出力線17cを接続することにより、第1半田バンプ12-1と第1ランド11-1の接合部、及び第2半田バンプ12-2と第2ランド11-2の接合部に確実に通電することができる。
【0042】
特に、電流入力線17b及び電流出力線17cは、第1半田バンプ12-1及び第2半田バンプ12-2を用いて接続することにより、第1半田バンプ12-1及び第2半田バンプ12-2を再溶融させることにより容易に接続できる。
【0043】
測定部18は、第1半田バンプ12-1の電位を測定する第1電位測定回路18a-1と、第2半田バンプ12-2の電位を測定する第2電位測定回路18a-2を備え、第1電位測定回路18a-1には、一端を第1半田バンプ12-1に接続した第1測定用配線18b-1と、一端を第3ランド11-3に接続した基準接続用配線18cとを接続し、第2電位測定回路18a-2には、一端を第2半田バンプ12-2に接続した第2測定用配線18b-2と、一端を第3ランド11-3に接続した基準接続用配線18cとを接続している。
【0044】
第1電位測定回路18a-1と第2電位測定回路18a-2に接続した基準接続用配線18cは、半田などを用いて第3ランド11-3に接続し、第3ランド11-3の電位を基準電位として利用可能としている。なお、基準接続用配線18cの第3ランド11-3への電気的な接続は半田を用いた接続に限定するものではなく、他の接合用金属や導通性接着材を用いてもよい。
【0045】
あるいは、基準接続用配線18cは、第1測定用配線18b-1や第2測定用配線18b-2と同様に半田バンプを設けて接続してもよい。ただし、基準接続用配線18cの第3ランド11-3との接続部分は、接続状態が変動すると第1電位測定回路18a-1及び第2電位測定回路18a-2での測定のバラツキを生じさせることとなるので、接続状態ができるだけ経時変化が生じないように接続することが望ましい。
【0046】
解析部19は、測定部18の第1電位測定回路18a-1及び第2電位測定回路18a-2から出力された測定結果の電圧情報信号を解析する解析用回路を有し、この解析用回路では電圧情報信号に基づいて接合強度に換算している。なお、解析用回路はパーソナルコンピュータなどの電子計算機で構成してもよいし、電圧情報信号から得られた電圧値と接合強度とをあらかじめ対応付けした数式あるいはテーブルに基づいて接合強度を出力する単なる回路で構成してもよい。
【0047】
特に、解析部19では、第1温度計測部15及び第2温度計測部16から入力されたそれぞれの接合部分近傍の温度情報に基づいて、第1電位測定回路18a-1及び第2電位測定回路18a-2から出力された測定結果をそれぞれ補正した後に接合強度の換算を行っている。
【0048】
この温度補正では、あらかじめ特定した補正係数αと、基準温度からの温度差ΔTとの積α×ΔTで表される電位差の温度因子増分を差し引いて補正するようにしており、この補正によってより正しい接合強度の測定を可能とすることができる。
【0049】
しかも、このように接合用金属である第1半田バンプ12-1及び第2半田バンプ12-2と、被接合用金属である導通用金属13との接合強度を接合部分の電位変動から判定することにより、それぞれの接続部での接合状態を直接的に反映した測定を行うことができ、接合強度を直接的に測定することができる。
【0050】
特に、本実施形態のように、電流入力線17b及び電流出力線17cを、接合用金属である第1半田バンプ12-1及び第2半田バンプ12-2を利用して接続することにより、第1半田バンプ12-1及び第2半田バンプ12-2と導通用金属13とのそれぞれの接合部分に確実に通電することができ、測定部18での電位測定の精度を向上させることができる。
【0051】
しかも、第1測定用配線18b-1及び第2測定用配線18b-2も、第1半田バンプ12-1及び第2半田バンプ12-2を利用してそれぞれ接続することにより、第1測定用配線18b-1及び第2測定用配線18b-2を第1半田バンプ12-1及び第2半田バンプ12-2にそれぞれ確実に接続することができ、測定部18での電位測定の精度を向上させて、接合強度をより精度よく測定できる。
【0052】
電流入力線17b及び第1測定用配線18b-1の第1半田バンプ12-1への接続は、第1ランド11-1部分に形成した第1半田バンプ12-1を再溶融させて行ってもよいし、第1ランド11-1部分で半田ボールを溶融させて第1半田バンプ12-1を形成する際に同時に行ってもよく、同様に、電流出力線17c及び第2測定用配線18b-2の第2半田バンプ12-2への接続は、第2ランド11-2部分に形成した第2半田バンプ12-2を再溶融させて行ってもよいし、第2ランド11-2部分で半田ボールを溶融させて第2半田バンプ12-2を形成する際に同時に行ってもよい。
【0053】
上記したように、第1半田バンプ12-1に電流入力線17bを接続するとともに、第2半田バンプ12-2に電流出力線17cを接続し、さらに第1半田バンプ12-1の電位を測定するとともに、第2半田バンプ12-2の電位も測定可能としているので、第1半田バンプ12-1と第1ランド11-1の接合部と、第2半田バンプ12-2と第2ランド11-2の接合部の接合強度を同時に測定することができる。
【0054】
したがって、2カ所の接合部分の接合強度を同時に測定できるので、2つの測定結果を比較することにより誤測定の検出を可能とすることができる。
【0055】
本実施形態では、図1に示すように、第3ランド11-3に接続した基準接続用配線18cは、中途部で分岐させて第1電位測定回路18a-1と第2電位測定回路18a-2にそれぞれ接続するようにしているが、それぞれ別々の配線を用いて接続してもよい。また、測定部18には、第1電位測定回路18a-1と第2電位測定回路18a-2の2つの電位測定回路を設けているが、1つの電位測定回路のみを設けて、この電位測定回路に第1測定用配線18b-1と第2測定用配線18b-2とを交互に接続して、第1半田バンプ12-1の電位と第2半田バンプ12-2の電位を交互に測定して、第1半田バンプ12-1と第1ランド11-1の接合部と、第2半田バンプ12-2と第2ランド11-2の接合部の接合強度を交互にしてもよい。
【0056】
次に、上記した解析部19での接合強度の換算に用いる基礎データの測定について説明する。図2は、上記した半田バンプとなる半田ボールと金属基板との接合界面における強度評価の測定に用いた試験装置の概略図である。
【0057】
この試験装置では、試験片20と、この試験片20に力学的負荷を加える負荷装置と、試験片20に電流を通電する電流源装置21と、試験片20に装着した半田ボールの電位を測定する電位測定装置と、この電位測定装置から出力された電圧情報信号を記録する記録部24とで構成している。
【0058】
さらに、試験装置には、試験片20の所定位置における温度を計測する温度計測装置28a,28bを設け、この温度計測装置28a,28bでの計測結果も記録部24に入力して記録するようにしている。
【0059】
試験片20は、本実施形態では銅板であって、中間部には細幅矩形状の試験領域20aを設けるとともに、この試験領域20aの両端には試験領域20aよりも太幅とした把持領域20bを設けている。ここでは、試験片20は、純度99.9%、厚さ1mmの銅板で構成し、特に長手方向の長さ寸法を126mm、把持領域20bの幅寸法を30mm、試験領域20aの幅寸法を15mm、試験領域20aの長手方向の長さ寸法を35mmとした。試験片20は、所定形状とした後に、800番から2000番の耐水研磨紙で機械研磨している。
【0060】
試験領域20aに装着する半田ボールは、本実施形態では、日立金属株式会社製鉛フリー半田ボール(Sn-3Ag-0.5Cu)で、平均粒径が758.92μmのものを用い、フラックスには株式会社日本スペリア社製有機酸系水溶性フラックスNS30を用いた。本実施形態では、試験領域20aには第1半田ボール22aと第2半田ボール22bを約10mm間隔として装着した。
【0061】
さらに、試験片20における第1半田ボール22aの装着部分の裏面側と、第2半田ボール22bの装着部分の裏面側には、それぞれ熱電対で構成した温度計測装置28の計測部を装着して、第1半田ボール22aと試験片20の接合部分、及び第2半田ボール22bと試験片20の接合部分の温度データを計測可能としている。
【0062】
負荷装置は、本実施形態では、株式会社島津製作所製電気油圧式疲労試験機サーボパルサーEHF-FB01を用い、試験片20を上部把持部25aと下部把持部25bとで把持して引張応力を繰返し作用させるようにしている。
【0063】
電流源装置21は、電流入力線26aを介して第1半田ボール22aと接続するとともに、電流出力線26bを介して第2半田ボール22bと接続して、第1半田ボール22aと第2半田ボール22bとの間の試験片20に測定用の電流を通電している。本実施形態では測定用の電流として1.0アンペアの電流を流すようにしている。
【0064】
電位測定装置は、本実施形態では第1半田ボール22aの電位を測定する第1電位測定装置23aと、第2半田ボール22bの電位を測定する第2電位測定装置23bとで構成しており、第1電位測定装置23aには、一端を第1半田ボール22aに接続した第1測定用配線27aと、一端を試験片20の把持領域20bに接続した基準接続用配線27cとを接続し、第2電位測定装置23bには、一端を第2半田ボール22bに接続した第2測定用配線27bと、一端を試験片20の把持領域20bに接続した基準接続用配線27cとを接続している。
【0065】
基準接続用配線27cは、第1半田ボール22aと第2半田ボール22bとの間の通電経路から離隔した位置に接続されていればよく、第1半田ボール22a及び第2半田ボール22bの電位測定の基準電位として用いているものである。
【0066】
記録部24は、本実施形態ではパーソナルコンピュータで構成し、第1電位測定装置23a及び第2電位測定装置23bから出力された電圧情報信号、及び温度計測装置28a,28bから出力された温度情報信号を記録可能としている。
【0067】
上記した試験片20において、第1半田ボール22a及び第2半田ボール22bの試験片20への装着は、図3に示す温度プロファイルに基づいてホットプレートにより試験片20を加熱して第1半田ボール22a及び第2半田ボール22bを溶融させて行っており、第1半田ボール22a及び第2半田ボール22bの溶融時に、第1半田ボール22aには電流入力線26a及び第1測定用配線27aを接続し、第2半田ボール22bには電流出力線26bと第2測定用配線27bを接続している。
【0068】
図4は、上記した試験片20での第1半田ボール22a及び第2半田ボール22bの電位の経時変化の結果を示している。なお、ここでは、温度による補正を行っていない補正前の電位の経時変化を示している。
【0069】
今回の試験では、最大応力180MPa、最小応力2MPa、周波数1.0Hzの片振り応力正弦波形で、繰返し回数20,000サイクル、50,000サイクル、70,000サイクル、100,000サイクルで引張り負荷を逐次中断する試験を行ったものである。引張り負荷の中断時には、試験片20は試験装置に装着したままとしている。引張り負荷の中断時間は24時間以上としている。
【0070】
図4に示すように、第1半田ボール22a及び第2半田ボール22bの電位は、時間の経過にともなって増加する傾向は見られるが、繰返し引張り負荷の有無による明瞭な違いは見られなかった。
【0071】
一方、温度計測装置28a,28bでそれぞれ計測した温度データに基づいて補正を行った電位の経時変化の結果を図5に示す。図5に示すように、繰返し引張り負荷を与えていない区間では所定の電位が維持される一方で、繰返し引張り負荷を与えている区間では電位が短調に増加していることが分かる。このことから、温度補正を行った補正電位の増分が、接合用金属と被接合用金属との接合状態を反映していると考えることができることを知見した。
【0072】
さらに、試験後の第1半田ボール22a及び第2半田ボール22bの断面観察を行ったところ、第1半田ボール22a及び第2半田ボール22bと試験片20との接合面部分にはき裂が生じていることを知見し、補正電位の増分が接合面部分のき裂の影響を反映しているものと考え、き裂面積比に対する補正電位の増分の相関を調べたところ、図6に示す結果を得た。
【0073】
この図6に示すき裂面積比と補正電位の増分との相関を利用することにより、補正電位の増分を検出することによって接合用金属と被接合用金属との接合界面に生じたき裂の大きさを推定することができ、このき裂の大きさから接合強度を測定できる。
【0074】
最後に、上記した接合強度測定装置を種々の電子部品が実装されるマザーボードなどの実装基板に組み込んで、たとえば、実装基板に実装したBGA型半導体装置の半田バンプによる接合の強度変動を検出可能とした接合強度変動検出器について説明する。
【0075】
ここで、接合強度変動検出器が検出する接合強度の変動は、図7に示すように、BGA型半導体装置Cに設けたチップ側第1ランド31-1及びチップ側第2ランド31-2と、そのランド31-1,31-2にそれぞれ接合した第1半田バンプ32-1及び第2半田バンプ32-2との接合強度である。
【0076】
BGA型半導体装置Cのように多数の半田バンプが形成される電子部品では、矩形状の半田バンプ配設面を有しており、この半田バンプ配設面に縦方向及び横方向にそれぞれ等間隔で半田バンプが配置されている。
【0077】
このようなBGA型半導体装置Cにおいて、半田バンプ配設面の四隅部分に位置した半田バンプには、実装基板Dへの実装後に比較的大きな応力が作用しやすいことが知られている。すなわち、BGA型半導体装置Cは動作にともなって発熱し、発熱にともなってBGA型半導体装置Cが膨張することにより、膨張の影響が最も大きくなる半田バンプ配設面の四隅部分の半田バンプに大きな応力が作用するものであり、この応力によって半田バンプが破損するおそれがあった。
【0078】
したがって、半田バンプ配設面の四隅部分には敢えて半田バンプを設けない半田バンプの配設パターンが採用されることが多い。
【0079】
そこで、通常はあまり使用されない半田バンプ配設面の四隅部分の半田バンプを用いて半田バンプの接合強度の変動検出を行うものである。したがって、接合強度の変動検出に用いる半田バンプは、電気信号の伝達や電源供給あるいはグランド供給などの機能を果たすものではなく、接合強度の変動検出のためだけに設けているものである。
【0080】
第1半田バンプ32-1と、第2半田バンプ32-2でそれぞれ接合強度を測定のための電位を測定するために、第1半田バンプ32-1及び第2半田バンプ32-2が形成されるチップ側第1ランド31-1とチップ側第2ランド31-2は内部配線33で接続している。
【0081】
さらに、電位測定のための基準電位を得るために、BGA型半導体装置Cでは、チップ側第1ランド31-1とチップ側第2ランド31-2に隣接させて設けたチップ側第3ランド31-3において、チップ側第1ランド31-1及びチップ側第2ランド31-2に接続した内部配線33を露出させ、この露出した内部配線33部分の電位を基準電位として用いている。
【0082】
そして、チップ側第1ランド31-1には第1半田バンプ32-1を形成し、チップ側第2ランド31-2には第2半田バンプ32-2を形成し、チップ側第3ランド31-3には、所要の配線を接続するために用いる接続用半田32-3を装着している。
【0083】
一方、第1半田バンプ32-1及び第2半田バンプ32-2が接続される実装基板Dには、第1半田バンプ32-1及び第2半田バンプ32-2に対応させて基板側第1ランド34-1、基板側第2ランド34-2をそれぞれ設けている。図7中、35はチップ側絶縁膜、36は基板側絶縁膜であり、チップ側絶縁膜35及び基板側絶縁膜36は所定位置にそれぞれ開口を設けてチップ側第1~3ランド31-1、31-2,31-3及び基板側第1ランド34-1、基板側第2ランド34-2を露出させている。
【0084】
そして、実装基板Dには、チップ側第1ランド31-1と第1半田バンプ32-1の接合部、及びチップ側第2ランド31-2と第2半田バンプ32-2の接合部に所定の電流を通電する通電部37と、第1半田バンプ32-1及び第2半田バンプ32-2の電位を測定する測定部38と、この測定部38での測定結果を解析して接合強度を算出する解析部39からなる接合強度変動検出器Eを設けている。
【0085】
さらに、接合強度変動検出器Eには温度計測部40を設け、この温度計測部40での温度データの計測結果を解析部39に入力している。
【0086】
通電部37は、電流源回路37aと、この電流源回路37aにそれぞれ一端を接続した電流入力線37bと電流出力線37cを備えており、電流入力線37bの他端は基板側第1ランド34-1に接続し、電流出力線37cの他端は基板側第2ランド34-2に接続して、電流入力線37b→基板側第1ランド34-1→第1半田バンプ32-1→チップ側第1ランド31-1→内部配線33→チップ側第2ランド31-2→第2半田バンプ32-2→基板側第2ランド34-2→電流出力線37cからなる閉曲線状の通電経路を形成している。
【0087】
この通電部37によって、チップ側第1ランド31-1と第1半田バンプ32-1の接合部、及びチップ側第2ランド31-2と第2半田バンプ32-2の接合部に所定の電流を通電可能としている。
【0088】
測定部38は、第1半田バンプ32-1の電位を測定する第1電位測定回路38a-1と、第2半田バンプ32-2の電位を測定する第2電位測定回路38a-2を備え、第1電位測定回路38a-1には、一端を第1半田バンプ32-1に接続した第1測定用配線38b-1と、一端をチップ側第3ランド31-3に接続した基準接続用配線38cとを接続し、第2電位測定回路38a-2には、一端を第2半田バンプ32-2に接続した第2測定用配線38b-2と、一端をチップ側第3ランド31-3に接続した基準接続用配線38cとを接続している。
【0089】
基準接続用配線38cのチップ側第3ランド31-3への接続は、チップ側第3ランド31-3に設けた接続用半田32-3を介して行っており、この接続用半田32-3は、第1半田バンプ32-1及び第2半田バンプ32-2の形成に用いた半田ボールよりも小径の半田ボールを溶融させて凝固させたものである。
【0090】
さらに、本実施形態では、温度計測部40における測定部を、チップ側第3ランド31-3部分の接続用半田32-3を用いて内部配線33に接続し、内部配線33の温度を計測することによって、第1半田バンプ32-1と内部配線33との接合部分、及び第2半田バンプ32-2と内部配線33との接合部分の温度を計測したものとみなすこととしている。
【0091】
解析部39は、測定部38の第1電位測定回路38a-1及び第2電位測定回路38a-2から出力された測定結果の電圧情報信号を解析する解析用回路を有し、特に、この解析用回路は、温度計測部40から入力された温度情報信号に基づいて、入力された電圧情報信号から得られた電位の値を補正するようにしており、補正後の第1電位測定回路38a-1または第2電位測定回路38a-2の測定結果の電位の値が所定の閾値電位の値を超えたかどうかを判定している。
【0092】
第1電位測定回路38a-1または第2電位測定回路38a-2の測定結果の電位が所定の閾値を超えた場合には、接合強度変動検出器Eは接合強度が変動したことを通知する信号を出力するようにしている。
【0093】
このように、実装基板Dに接合強度変動検出器Eを設けることにより、BGA型半導体装置Cの実装基板Dへの接合状態の異常を早期に検出することができ、BGA型半導体装置Cを内蔵した装置が復旧不可能な状態となる前に補修あるいは交換などの適宜な対応を実施可能とすることができる。
【0094】
なお、BGA型半導体装置Cに装着された半田バンプは極めて微小な形状をしており、この半田バンプに測定部38の第1測定用配線38b-1、第2測定用配線38b-2、及び基準接続用配線38cを接続する作業は極めて困難である。
【0095】
そこで、本実施形態の実装基板Dには、図8に示すように、第1測定用配線38b-1が接続されることとなる第1半田バンプ32-1が接続される基板側第1ランド34-1、及び第2測定用配線38b-2が接続されることとなる第2半田バンプ32-2が接続される基板側第2ランド34-2の上方位置にそれぞれ第1ワイヤ41-1、及び第2ワイヤ41-2をあらかじめ架設している。
【0096】
すなわち、第1ワイヤ41-1は、基板側第1ランド34-1に隣接して設けた第1内側補助ランド42-1と第1外側補助ランド43-1との間でワイヤボンディングすることにより基板側第1ランド34-1上に第1ワイヤ41-1を架け渡している。
【0097】
また、第2ワイヤ41-2は、基板側第2ランド34-2に隣接して設けた第2内側補助ランド42-2と第2外側補助ランド43-2との間でワイヤボンディングすることにより、基板側第2ランド34-2上に第2ワイヤ41-2を架け渡している。
【0098】
さらに、第2内側補助ランド42-2に隣接させて第3内側補助ランド42-3を設けるとともに、第2外側補助ランド43-2に隣接させて第3外側補助ランド43-3を設けて、第3内側補助ランド42-3と第3外側補助ランド43-3との間で第3ワイヤ41-3のワイヤボンディングを行って、第1ワイヤ41-1及び第2ワイヤ41-2と平行に第3ワイヤ41-3を架設している。
【0099】
ここで、本実施形態では、第1内側補助ランド42-1、第2内側補助ランド42-2、第3内側補助ランド42-3は、それぞれ電気的に独立させて終端としている。
【0100】
さらに、第1外側補助ランド43-1には図示しない内部配線により第1測定用配線38b-1を接続し、第2外側補助ランド43-2には図示しない内部配線により第2測定用配線38b-2を接続し、第3外側補助ランド43-3には図示しない内部配線により基準接続用配線38cを接続している。
【0101】
このように、第1~3ワイヤ41-1,41-2,41-3を設けた実装基板DにBGA型半導体装置Cを装着することにより、図9に示すように、BGA型半導体装置Cの第1半田バンプ32-1に第1ワイヤ41-1を接続するとともに、第2半田バンプ32-2に第2ワイヤ41-2を接続し、さらに、接続用半田32-3に第3ワイヤ41-3を接続して、第1電位測定回路38a-1及び第2電位測定回路38a-2への接続を行っている。
【0102】
そして、図示しないが、接続用半田32-3には、温度計測部40の測定部を接続して、内部配線33の温度を計測可能としている。温度計測部40の測定部の接続用半田32-3への接続は、接続用半田32-3を再溶融させて接続してもよいし、銀ペーストなどの導通製材料を用いて接続してもよい。
【0103】
上記した実施形態では、チップ側第1ランド31-1と第1半田バンプ32-1の接合部、及びチップ側第2ランド31-2と第2半田バンプ32-2の接合部における接合強度の変動を検出しているが、図10に示すように、BGA型半導体装置Cに通電用の内部配線を設けることにより、基板側第1ランド34-1と第1半田バンプ32-1の接合部、及び基板側第2ランド34-2と第2半田バンプ32-2の接合部における接合強度の変動を検出可能とすることもできる。
【0104】
すなわち、基板側第1ランド34-1と、基板側第2ランド34-2と、基板側第3ランド34-3は基板内部配線44によって接続し、基板側第1ランド34-1に接続した第1半田バンプ32-1には第1測定用配線38b-1を接続し、基板側第2ランド34-2に接続した第2半田バンプ32-2には第2測定用配線38b-2を接続し、基板側第3ランド34-3には基準接続用配線38cを接続して、第1電位測定回路38a-1で第1半田バンプ32-1の電位を測定するとともに、第2電位測定回路38a-2で第2半田バンプ32-2の電位を測定して、解析部39で接合強度の変動の検出を行うようにしている。
【0105】
さらに、基板側第3ランド34-3には温度計測部40の測定部を接続して、内部配線33の温度を計測可能としている。温度計測部40の測定部の基板側第3ランド34-3への接続は半田を用いてもよいし、銀ペーストなどの導通製材料を用いてもよい。
【0106】
一方、第1半田バンプ32-1に接合されたチップ側第1ランド31-1は、第1チップ内部配線45-1を介してチップ側第4ランド31-4に接続するとともに、第2半田バンプ32-2に接合されたチップ側第2ランド31-2は、第2チップ内部配線45-2を介してチップ側第5ランド31-5に接続している。
【0107】
チップ側第4ランド31-4には第4半田バンプ32-4を接合し、この第4半田バンプ32-4は基板側第4ランド34-4とも接合させている。
【0108】
チップ側第5ランド31-5には第5半田バンプ32-5を接合し、この第5半田バンプ32-5は基板側第5ランド34-5とも接合させている。
【0109】
そして、基板側第4ランド34-4には通電部37の電流入力線37bを接続するとともに、基板側第5ランド34-5には通電部37の電流出力線37cを接続して、通電部37の電流源回路37aによって、電流入力線37b→基板側第4ランド34-4→第4半田バンプ32-4→チップ側第4ランド31-4→第1チップ内部配線45-1→チップ側第1ランド31-1→第1半田バンプ32-1→基板側第1ランド34-1→基板内部配線44→基板側第2ランド34-2→第2半田バンプ32-2→チップ側第2ランド31-2→第2チップ内部配線45-2→チップ側第5ランド31-5→第5半田バンプ32-5→基板側第5ランド34-5→電流出力線37cからなる閉曲線状の通電経路に電流を通電している。
【0110】
このように、接合強度変動検出器Eでは、通電部37の電流入力線37b及び電流出力線37cの接続先を適宜調整することにより、実装基板D側のランドと半田バンプとの接合強度の変動、またはBGA型半導体装置C側のランドと半田バンプとの接合強度の変動のいずれか一方を検出できる。
【0111】
そこで、たとえば1つのBGA型半導体装置Cの四隅のいずれか2カ所で実装基板D側のランドと半田バンプとの接合強度の変動を検出するとともに、他の2カ所でBGA型半導体装置C側のランドと半田バンプとの接合強度の変動を検出することによって、実装基板D側のランドと半田バンプとの接合強度の変動と、BGA型半導体装置C側のランドと半田バンプとの接合強度の変動の両方を検出することができ、BGA型半導体装置Cの実装基板Dにおける接合状態の異常発生を速やかに検出可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本実施形態の接合強度測定装置の模式図である。
【図2】試験装置の概略模式図である。
【図3】試験片への半田装着時に用いた温度プロファイルを示すグラフである。
【図4】試験装置による試験結果の説明図である。
【図5】試験装置による試験結果の説明図である。
【図6】試験装置による試験結果の説明図である。
【図7】接合強度変動検出器の概略模式図である。
【図8】半田バンプへのワイヤからなる配線接続の方法の説明図である。
【図9】半田バンプへのワイヤからなる配線接続の方法の説明図である。
【図10】他の実施形態の接合強度変動検出器の概略模式図である。
【符号の説明】
【0113】
A 電子部品
11-1 第1ランド
11-2 第2ランド
11-3 第3ランド
12-1 第1半田バンプ
12-2 第2半田バンプ
13 導通用金属
14 絶縁膜
15 第1温度計測部
16 第2温度計測部
17 通電部
17a 第1電流源回路
17b 電流入力線
17c 電流出力線
18 測定部
18a-1 第1電位測定回路
18a-2 第2電位測定回路
18b-1 第1測定用配線
18b-2 第2測定用配線
18c 基準接続用配線
19 解析部

図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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