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明細書 :フロン分解物混入成形物の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3760193号 (P3760193)
公開番号 特開2004-181335 (P2004-181335A)
登録日 平成18年1月20日(2006.1.20)
発行日 平成18年3月29日(2006.3.29)
公開日 平成16年7月2日(2004.7.2)
発明の名称または考案の名称 フロン分解物混入成形物の製造方法
国際特許分類 B09B   3/00        (2006.01)
B29C  43/02        (2006.01)
C02F  11/00        (2006.01)
C08J  11/06        (2006.01)
E01C   5/12        (2006.01)
E01C   7/10        (2006.01)
E01C   7/22        (2006.01)
FI B09B 3/00 301J
B09B 3/00 301W
B29C 43/02
C02F 11/00 101Z
C08J 11/06
E01C 5/12
E01C 7/10
E01C 7/22
請求項の数または発明の数 2
全頁数 11
出願番号 特願2002-350561 (P2002-350561)
出願日 平成14年12月2日(2002.12.2)
審査請求日 平成17年4月20日(2005.4.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
【識別番号】599100604
【氏名又は名称】カースチール株式会社
発明者または考案者 【氏名】小島 昭
【氏名】中嶋 朗
【氏名】古川 茂
【氏名】諸田 伊津夫
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100091498、【弁理士】、【氏名又は名称】渡邉 勇
【識別番号】100092406、【弁理士】、【氏名又は名称】堀田 信太郎
【識別番号】100093942、【弁理士】、【氏名又は名称】小杉 良二
【識別番号】100109896、【弁理士】、【氏名又は名称】森 友宏
【識別番号】100118500、【弁理士】、【氏名又は名称】廣澤 哲也
審査官 【審査官】小久保 勝伊
参考文献・文献 特開昭58-083059(JP,A)
特開2002-316137(JP,A)
特開平10-216669(JP,A)
特開平10-094716(JP,A)
特開2000-237526(JP,A)
特開2001-031460(JP,A)
特開2001-253764(JP,A)
調査した分野 A61D 3/00
B09B 3/00
B29B 17/00
特許請求の範囲 【請求項1】
フロンと水蒸気とをフロン分解無害化装置で分解して分解ガスを生成し、
前記分解ガスを消石灰で中和して、フッ化カルシウムと、炭酸カルシウムとからなる半ナマ状またはスラリー状のフロン分解物を生成し、
前記半ナマ状またはスラリー状のフロン分解物に廃棄粉体塗料を混合し、
次いで当該混合物を型枠に充填して、130~150℃の熱処理温度で加熱処理し、しかる後に脱型することを特徴とするフロン分解物混入成形物の製造方法。
【請求項2】
前記型枠充填前の混合物に繊維状補強材を加えてなる請求項1に記載のフロン分解物混入成形物の製造方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フロン分解無害化処理によって生成されたフロン分解物を利用したフロン分解物混入成形物の製造方法、フロン分解物混入道路舗装材およびフロン分解物混入路盤材に関する。
【0002】
【従来の技術】
特定フロン(以下、単にフロンと称する)は、極めて安定した化合物であり、冷媒、発泡剤、洗浄剤等として広く使用されてきた。しかし、大気中に放出されたフロンは、成層圏のオゾン層を破壊することが明らかになったため、我が国では1995年以降その生産が中止されている。
【0003】
しかし、オゾン層の破壊を防ぐためには、フロンの生産を中止するだけでは不十分で、これまでに生産され使用されている大量のフロンを廃棄処分するにあたっては分解無害化処理が不可欠である。
【0004】
フロンの分解無害化処理に供される装置(フロン分解無害化装置)としては、アークプラズマ方式、高周波プラズマ方式、化学的熱分解方式、触媒方式、液中分解方式等がある。最近、上記各種フロン分解無害化装置のなかでも小型・低コストで分解処理能力の高いアークプラズマ方式(特開平10-249161号等)が注目されている。
【0005】
かかるアークプラズマ方式のフロン分解無害化装置は、放電によって空気をプラズマ化して超高温(約10,000℃)のアークを発生させ、そこにフロン〔例えば、フロン12(CCl)〕と水蒸気(HO)とを送り込んで瞬時に分解処理する。
【0006】
CCl+2HO → 2HCl + 2HF + CO
【0007】
分解ガスは、消石灰〔Ca(OH)〕で急冷されながら中和して、下記反応式で示すように、塩化カルシウムCaClとフッ化カルシウム(CaF)と炭酸カルシウム(CaCO)とからなる無害化物質(フロン分解物)となる。下記反応式中のCaClは水溶性であるので、固形物化しない。
【0008】
2HCl + Ca(OH)2 → CaCl2+2H
【0009】
2HF + Ca(OH)2 → CaF2+2H
【0010】
CO2 + Ca(OH)2 → CaCO3+H
【0011】
なお、プラズマアーク方式以外のフロン分解無害化装置でも、上記したのと同様にフロン分解物が生成される。
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したフロン分解無害化処理によって生成されたフロン分解物は、一般廃棄物とは異なり厳格な廃棄物流出防止措置が施された管理型処分場で埋立て処分しなければならず、廃棄処理費用が嵩む欠点を有している。廃棄処分されるフロンは年々増加しており、今後廃棄処理費用が高騰化するものと推測される。
【0012】
ここに、フロン分解物を単に廃棄処分してしまうことは経済的にも得策ではなく、資源の有効利用の観点からいっても問題がある。本出願人の一人(カースチール株式会社)は、平成10年7月に群馬県自動車販売店協会から委託を受け、廃棄自動車のカーエアコンに入っているフロンを回収し、分解無害化処理を行ってきた。その結果、分解無害化処理の結果生成されたフロン分解物は、平成14年9月までで46トンにも達しており、これらは全部再資源化しなければならないとの信念から、総べて貯蔵している。フロン分解物は、成分が判明しており、これを有効利用することは、フロンの回収業務を行う者としての責務であると考えている。
【0013】
また、自動車の塗装などに粉体塗料が広く用いられているが、塗膜を形成することなく産業廃棄物として廃棄される量も膨大なものとなっている。この廃棄粉体塗料も上記したフロン分解物とともに再資源化できれば、産業の発展に大きく貢献することになる。
【0014】
本発明の目的は、フロン分解無害化処理によって生成されたフロン分解物を再資源化するとともに、廃棄された粉体塗料も再資源化して産業の発展に貢献するフロン分解物混入成形物の製造方法を提供することにある。また、フロン分解物を再資源化するのに貢献するフロン分解物混入道路舗装材を提供することを目的とする。また、フロン分解物を再資源化するのに貢献するフロン分解物混入路盤材を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、フロンと水蒸気とをフロン分解無害化装置で分解して分解ガスを生成し、前記分解ガスを消石灰で中和して、フッ化カルシウムと、炭酸カルシウムとからなる半ナマ状またはスラリー状のフロン分解物を生成し、前記半ナマ状またはスラリー状のフロン分解物に廃棄粉体塗料を混合し、次いで当該混合物を型枠に充填して、130~150℃の熱処理温度で加熱処理し、しかる後に脱型することを特徴とするフロン分解物混入成形物の製造方法である。
【0016】
上記請求項1の発明の場合、従来産業廃棄物(ゴミ)として捨てられていたフロン分解物と廃棄粉体塗料とを有効利用して成形物(各種エクステリア製品等)を製造できることになる。したがって、フロン分解物と廃棄粉体塗料を再資源化して産業の発展に貢献することができる。そして、製造方法が容易である、エネルギーを必要としない、加工性および成形性が良い、機械的強度が大、表面性状が制御できる、耐水性および耐候性を持つなどの顕著な効果も奏する。
【0020】
フロン分解物が半ナマ状またはスラリー状とされたものであるので、フロン分解物と廃棄粉体塗料との混合を一段と容易かつ均一にしかも迅速に行える。また、フロン分解物を加熱して乾燥する必要がないので、エネルギー消費量が少なくなり経費節減にもなる。
【0023】
請求項の発明は、前記型枠充填前の混合物に繊維状補強材が加えられたものである。
【0024】
上記請求項の発明の場合、請求項1の発明の場合と同様な作用・効果を奏し得るほか、一段と軽量で強度の高いものを製造できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面等を参照して説明する。
【0030】
(第1の実施形態)
【0031】
第1の実施形態に係るフロン分解物混入成形物の製造方法は、図1に示すように、フロン分解無害化処理によって生成された粉末状のフロン分解物に廃棄粉体塗料を混合し、次いで当該混合物を型枠に充填して加熱処理し、しかる後に脱型して成る(同図中ステップST1~ST4)。
【0032】
この実施形態では、フロンとしては、カーエアコンの冷媒として使用されていたフロン12(CCl)が選定されている。なお、フロン12以外の特定フロンを選定してもよい。粉末状フロン分解物は、図2に示すように、フロン12をプラズマアーク方式のフロン分解無害化装置で分解無害化処理等することによって生成される。
【0033】
こうして生成されたフロン分解物は、塩化カルシウム(CaCl)と炭酸カルシウム(CaCO)とフッ化カルシウム(CaF)との混合物である。フロン分解物中の水溶性の塩化カルシウム(CaCl)は、水洗し除去される。そして、水洗後にフィルタープレスで脱水ケーキとされる。この脱水ケーキは、十分に乾燥された後、粉砕されて粉末状とされる。かかる方法により、粉末状のフロン分解物が生成される(図2中、ステップST1~ST10)。
【0034】
一方、上記した廃棄粉体塗料は、産業廃棄物として廃棄された粉状の塗料である。粉体塗料は、熱可塑性樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)あるいは熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等)に、顔料、充填材、硬化剤および可塑剤などを加えて微粉末状にした合成樹脂組成物であり、次のような多くの長所を有している。すなわち、無溶剤塗装である。大気汚染の心配がない。塗装が粉末状のため、回収、再利用が可能である。高度な塗膜性能をもつ。硬さ、付着性、耐薬品性などの性質が極めて優秀である。被塗物の長寿命化による省資源効果が期待できる。
【0035】
粉体塗料は、上記したような長所を有しているが、塗着効率が35~70%程度であるため、塗装作業時における吹き付け量の約30%~65%の塗料は、第1段階では塗膜にならない。これらの粉体中には、回収後再使用されるものもあるが、回収装置で回収できなかったものや粗粉などは、産業廃棄物として廃棄されているのが現状である。
【0036】
ここにおいて、本発明者は、かかる廃棄された粉体塗料(廃棄粉体塗料)を産業廃棄物として扱うのではなく、再利用したほうが環境にも経済的にも望ましいと考えた。そこで、数年前から研究・開発を続けてきているフロン分解物の再利用技術を更に発展させるために、上記廃棄粉体塗料を役立てることができるのではないかとの着想を得、当該塗料をフロン分解物を集合して固形化するバインダーとして採用することとしたのである。一般に、バインダーは、安価、無害、無毒、成形性、成形時のエネルギーが少ない、高温加熱を要しないなどの条件を満たすことが求められるが、廃棄粉体塗料は何れの条件も満たしている。
【0037】
以下に、廃棄粉体塗料をバインダーとしたフロン分解物混入成形物の作製実験を図1を参照しながら説明する。
【0038】
まず、粉末状フロン分解物と廃棄粉体塗料とを、重量比3:7の割合で混ぜ、乳鉢中で混合する。次に、混合物を金属製の型枠中に充填し、ホットプレス上で100℃に加熱した。すると、型枠内の混合物中、廃棄粉体塗料は溶融したが、フロン分解分は融けなかった。そこで、150℃まで加熱したところ、一部融け全体として固形化した。固形物(成形物)を破断して内部を観察したところ、フロン分解物が2~3mm程度の凝集体になっていた。乾燥した固形物(成形物)は、硬くて粉砕に多くの手間とエネルギーを要することがわかった。
【0039】
(第2の実施形態)
【0040】
第2の実施形態に係るフロン分解物混入成形物の製造方法は、図3に示すように、半ナマ状のフロン分解物に廃棄粉体塗料を混合し、次いで当該混合物を型枠に充填して加熱処理し、しかる後に脱型して成る(同図中ステップST1~ST4)。
【0041】
ここで、半ナマ状のフロン分解物とは、図2において、フィルタープレス(同図ステップST7)後で乾燥(ステップST9)される前のフロン分解物(ステップST8)である。この第2の実施形態における半ナマ状フロン分解物は、含水率が35%であったので、水分をゼロの状態に換算して調製した.例えば、フロン分解物を10%含む配合では、フロン分解物13.5gに対して廃棄粉体塗料90gを加え、固形化を試みた各種配合を表1に示す。
【0042】
【表1】
JP0003760193B2_000002t.gif【0043】
フロン分解物と廃棄粉体塗料との混合をよくするために水50gを加え、乳鉢中で混合した。そして、混合物を型枠中に充填し、ホットプレスの加熱板上で140℃まで熱し、板上成形物を作った。この場合、加圧は行わなかった。室温から140℃までの加熱速度は、20℃/1時間であった。
【0044】
次に、熱処理温度140℃でフロン分解物と廃棄粉体塗料との配合による影響を検討した。スラッジ状のフロン分解物と粉体塗料とを、1:9、2:8、3:7、4:6および5:5とした。これに水を全体量の60%相当を加え十分に混合した後、ヌッチェで吸引ろ過した。混合物は、板上のまま取り出し3日間自然乾燥後、乾燥器中で140℃に6時間保持して硬化した。得られた板状成形物の密度、曲げ強度および空隙率を測定し、その結果を表1に示す。
【0045】
最も高い密度および曲げ強度を示したのは1:9の場合であった。表1の中で、試料Aおよび試料Bは、平坦で平滑な表面を持つ成形板ができた。とりわけ、試料Bの成形板波の表面状態が良好であった。それに対し、試料CおよびDでは、フロン分解物の分散が不十分で、凝集体のままであった。フロン分解物が多くなると、空隙が多く、表面硬度も小さくなり、表面形状は凹凸が多くなり成形はしにくくなった。
【0046】
次に、成形版製作時の熱処理温度による影響について検討した。脱水ケーキ状のフロン分解物は、粉体塗料を2:8(重量比)で混合した。水を全体量の40%加え十分に混合した後、ヌッチェで吸引ろ過した。混合物は、板状のまま取り出し、乾燥器で100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃および160℃で3時間保持して硬化した。得られた成形板の嵩密度、曲げ強度および空隙率を測定した。その結果を表2に示す。熱処理温度は嵩密度、曲げ強度および空隙率の結果から130~150℃(特に140℃)が適していることがわかった。以上より、フロン分解物にバインダーとして粉体塗料を1:9の割合で混合し140℃に加熱して固形化させれば、比較的簡単な方法で、空隙率が少なく曲げ強度が大きい成形物を作製できることが分かった。
【0047】
【表2】
JP0003760193B2_000003t.gif【0048】
次に、補強材としてセルロース繊維を添加した場合の影響を検討した。スラッジ状のフロン分解物と廃棄粉体塗料の混合比を1:9(重量比)とし、その中にセルロース繊維を全体重量の5%,10%,15%加えた。その中に水を全体重量の70%を加え混合した後、上記の方法と同じで成形板を作り、密度、曲げ強度、弾性率および伸びを測定した。その結果を表3に示す。セルロース繊維の添加量を増大すると、嵩密度、曲げ強度および弾性率はいずれも低くなったが、破壊エネルギーと伸びの増加が認められた。
【0049】
【表3】
JP0003760193B2_000004t.gif【0050】
以上より、セルロース繊維を添加することにより、脆性破壊が起こりにくくなるとともに成形性が良くなることが分かった。セルロース繊維混入成形物の断面をSEMで観察すると、繊維がしっかりと絡み合っているのが確認できた。
【0051】
なお、フロン分解物と繊維だけを素材として成形物を作製する実験も行ってみた。すなわち、フロン分解物と繊維(ここでは、ろ紙)を、5:5、6:4、7:3の割合で混合し、80℃で加熱して板状の成形物を作製し、測定を行った。その結果を表4に示す。
【0052】
【表4】
JP0003760193B2_000005t.gif【0053】
表4より、フロン分解物と紙だけで成形物を作製した場合には、密度および曲げ強度とも低下した。しかし、従来までのものに比べると伸びが格段に良くなった。また、繊維添加量が多いため成形性が更に良くなり、水に溶けるため、自然崩壊性、分解性にも優れるなどの特徴が得られた。この実験では,繊維として、ろ紙を用いたが、家庭や事業者などから大量に廃棄される紙類(新聞紙、チラシ等)を用いた場合にも、表4と同じような結果が得られるものと思われる。
【0054】
なお、セルロース混入カップ状成形物も製作してみた。半ナマ状のフロン分解物と廃棄粉体塗料とを、1:9(重量比)で混合した。この中にセルロース繊維を全体量の15%加えた。水は、全体量の70%を加え混合した。混合物は、かための泥水状であった。これを植木鉢(直径10cm)の外側に厚さ2cm程度で、全表面に貼り付けた。その上から別の植木鉢(直径12cm程度)を被せ、手で軽く押し付け、1時間保持した。その後、外側の植木鉢を取り除いて、80℃の乾燥器中に入れ1日間乾燥した。
【0055】
フロン分解物、粉体塗料、セルロース繊維との混合物は、140℃に加熱した乾燥器中で1日間加熱し、カップ状の成形物を製作した。このカップ状成形物は、軽量で実用に耐えるものであった。さらに、植木鉢の表面にフィルム状シート(ラップ)を掛けて製作すると、表面の平滑な成形物が得られた。
【0056】
なお、上記成形物を植木鉢として実際に植物を育ててみたところ、植物の生育に何ら悪影響を及ぼさないばかりか、当該成形物に触れた虫(ナメクジ等)が死んでしまい害虫駆除効果もあることが分かった。
【0057】
(第3の実施形態)
【0058】
第3の実施形態に係るフロン分解物混入成形物の製造方法は、図4に示すように、スラリー状フロン分解物に廃棄粉体塗料を混合し、次いで当該混合物を型枠に充填して加熱処理し、しかる後に脱型して成る(同図中ステップST1~ST8)。
【0059】
ここで、スラリー状フロン分解物とは、図2において、フィルタープレス(同図のステップST7)前の状態にあるフロン分解物(ステップST6)であって塩化カルシウムが除去(ステップST5)されているものである。この第3の実施形態では、スラリー状フロン分解物中に、廃棄粉体塗料の所定量を加えた。この場合には、スラリー中に含まれているフロン分解物量を予め測っておくことが必要である。スラリー状フロン分解物と廃棄粉体塗料との配合は、2:8であった。
【0060】
ミキサーで両者を混合した後、分離が生じないように撹拌しながらフィルター式の型枠に流し入れた。実験では、吸引ロート(直径10cm)を用い、これを吸引瓶に取り付け水流ポンプに接続して減圧にした。吸引ロート上には、円盤状の成形物が生成した。これを吸引ロートから取外し、金属製の型枠中に充填し、ホットプレスの加熱板上に置いて、所定温度、所定圧力に加熱、加圧した。
【0061】
脱型後、フロン分解物と廃棄粉体塗料とからなる板状の固形物(厚さ1cm、直径10cm)が得られた。この円盤状成形物を、乾燥器中で100℃で1時間保持した後、更に150℃で1時間加熱した。得られた円盤状の成形板は、嵩密度で1300kg/mで平滑表面をもつものであった。加熱温度が100℃では樹脂の溶融が不十分で、表面がざらついていたが、150℃に加熱した場合には光沢をもつ滑らかな表面となった。
【0062】
また、得られた板状成形物は、手で曲げようとしたが、破壊することはできなかった。また、ゴルフボール大の球状固形物を作り、床に激しくぶつけても壊れることはなかった。なお、加圧処理を加えれば、今以上に強度は向上し、嵩密度は高くなることは明白である。この成形物の耐水性は、水中に10日間浸けて評価した。形状が崩れることはなく、表面が脆くなることもなく、また亀裂の発生などは見られなかった。フロン分解物中に塩化カルシウムが混入していた成形物では容易に破壊したことに比べれば、本技術で作製した固形物の耐水性は抜群であった。
【0063】
なお、上記した第1~第3の実施の形態に記載した成形物製造方法は、各種エクステリア製品、マンホール蓋、側溝蓋、ステップ、敷石板、平板状床板、インターロッキングなどの製造に利用できる。そして、廃棄粉体塗料をバインダーとして使用したので、着色、白色化、嵩密度の制御、表面の模様の付与なども可能であり、商品としての市場性は一段と高まることになる。
【0064】
(第4の実施形態)
【0065】
第4の実施形態に係るフロン分解物混入道路舗装材の製造方法は、図5に示すように、フロン分解無害化処理によって生成されたフロン分解物を、粉砕した後再生アスファルトと混合してなる(同図中ステップST1)。
【0066】
ここで、道路などで使用されるアスファルト舗装は、表面から舗装部と路床部とに大別される。路床部は地面そのものである。上層部の舗装部は、表層、基層、路盤となる。表層は、舗装の最上部にあって加熱アスファルト混合物を用いて作られる。表層は、交通車両による摩耗とせん断とに抵抗し、平坦で滑りにくい、快適な走行ができ、また雨水が下部に浸透するのを防ぐ機能を持つものである。
【0067】
これに使用するアスファルトには、補足材としてフィラーが添加される。それらは石粉(石灰岩粉末または火成岩粉末)、消石灰、セメント、各種ダスト(鋳物ダスト、フライアッシュ)である。この中で使用量の多いのは、石粉であり、粒度範囲が規定されている。
【0068】
ふるい目(mm)と通過重量百分率(%)の関係である。例えば、0.6mmでは100%、0.15mmでは90~100%、0.074mmでは70~100%である。
【0069】
粉末状フロン分解物の粉砕を表5に示す3種類の方法で検討した。孔の開いた鉄板上に擦りつける方式の回転式では、規格に達しなかった。また、相互式ではやや規格値に近づいたが、不十分である。しかし、MFJ式で粉砕すれば可能となった。したがって、フロン分解物は、粉砕すれば再生アスファルトの補足材として使用できることが判明した。
【0070】
【表5】
JP0003760193B2_000006t.gif【0071】
(第5の実施形態)
【0072】
第5の実施形態に係るフロン分解物混入路盤材の製造方法は、図6に示すように、フロン分解無害化処理によって生成されたフロン分解物を、粉砕して粉末化した後、土と混合してなる(同図中ステップST1)。
【0073】
路盤は、交通荷重を分散させて安全に路床に伝えるのに重要な役割を果たす部分である。したがって、十分な支持力と耐久性に富む材料を、必要な厚さによく締め固めたものでなければならない。路盤は、通常下層路盤と上層路盤とに分けられる。下層路盤は比較的支持力の小さい安価な材料が、上層路盤には支持力の大きい良質な材料が用いられる。
【0074】
下層路盤は、一般に施工現場近くで入手できる材料を利用する。入手できない場合は、セメントや石灰などで安定処理をした下層路盤として用いることがある。その場合には、一軸圧縮試験(CBR試験)結果が0.98MPa以上である必要がある。
【0075】
ここで、粉末状フロン分解物が路盤材の充填材として使用できるかの検討を行った。粉末状フロン分解物は、決められた方法で土中に混合分散し、一軸圧縮試験を行い、土の強度を測定した。
【0076】
その結果を表6に示す。無添加での圧縮強度は1.47MPaに対し、10%の添加では1.42MPa、15%の添加では0.765MPaであった。これらの結果から土の10%まで添加しても強度の低下はないので、実用になるものであった。
【0077】
【表6】
JP0003760193B2_000007t.gif【0078】
【発明の効果】
発明によれば、フロン分解物に廃棄粉体塗料を混合し、次いで当該混合物を型枠に充填して加熱処理し、しかる後に脱型してなるので、フロン分解物および廃棄粉体塗料の再資源化に貢献することができる。そして、製造方法が容易である、エネルギーを必要としない、加工性および成形性が良い、機械的強度が大、表面性状が制御できる、耐水性および耐候性を持つなどの顕著な効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を説明するための図である。
【図2】粉末状フロン分解物の作製を説明するための図である。
【図3】本発明の第2の実施形態を説明するための図である。
【図4】本発明の第3の実施形態を説明するための図である。
【図5】本発明の第4の実施形態を説明するための図である。
【図6】本発明の第5の実施形態を説明するための図である。
【符号の説明】
ST1~ST10 実験の各ステップ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5