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明細書 :スリップ防止用粒子の噴射装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4242095号 (P4242095)
登録日 平成21年1月9日(2009.1.9)
発行日 平成21年3月18日(2009.3.18)
発明の名称または考案の名称 スリップ防止用粒子の噴射装置
国際特許分類 B61C  15/10        (2006.01)
FI B61C 15/10
請求項の数または発明の数 6
全頁数 12
出願番号 特願2001-566956 (P2001-566956)
出願日 平成13年3月14日(2001.3.14)
国際出願番号 PCT/JP2001/001996
国際公開番号 WO2001/068432
国際公開日 平成13年9月20日(2001.9.20)
優先権出願番号 2000075747
優先日 平成12年3月17日(2000.3.17)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成18年6月19日(2006.6.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】390037648
【氏名又は名称】株式会社ニッチュー
発明者または考案者 【氏名】大野 薫
【氏名】松岡 光祐
【氏名】渡辺 幸三
個別代理人の代理人 【識別番号】100077573、【弁理士】、【氏名又は名称】細井 勇
審査官 【審査官】西中村 健一
参考文献・文献 実開昭56-018203(JP,U)
特開平04-310464(JP,A)
特開昭58-202103(JP,A)
特公平05-014673(JP,B2)
調査した分野 B61C 15/08-12
B65G 53/00
B60B 39/00-08
B05B 7/04-34
B24C 5/04
特許請求の範囲 【請求項1】
スリップ防止用粒子を貯留した粒子貯留タンクと、該タンク内に設けられ両端がタンク外方に開口した空気流通管と、前記タンク内に一端を開口し他端が空気流通管に連通して設けられる空気流入管と、前記空気流通管の一端側に連結され圧縮空気を空気流通管と空気流入管とに供給する空気供給管と、空気流通管の空気流入管との連結部近傍の出口側に設けた細幅空気通路部と、前記粒子と圧縮空気とが混合される混合室と、前記粒子を混合室に導くための粒子導入孔と、前記タンク内に一端を開口した空気排出管と、前記空気流通管の他端側に連結され粒子を圧縮空気と共に噴射する噴射管とからなることを特徴とするスリップ防止用粒子の噴射装置。
【請求項2】
空気流入管は粒子貯留タンク内において空気流通管に連結されている請求の範囲第1項記載のスリップ防止用粒子の噴射装置。
【請求項3】
空気流入管に圧縮空気の流量を調節する空気流量調節手段を設けた請求の範囲第1項記載のスリップ防止用粒子の噴射装置。
【請求項4】
空気排出管は粒子貯留タンク内において空気流通管に連結されている請求の範囲第1項記載のスリップ防止用粒子の噴射装置。
【請求項5】
空気流通管と空気排出管との連結部は、混合室よりも空気流通管の出口側寄りの位置に設けられている請求の範囲第4項記載のスリップ防止用粒子の噴射装置。
【請求項6】
粒子貯留タンクに透視窓を設けた請求の範囲第1項記載のスリップ防止用粒子の噴射装置。
発明の詳細な説明 【0001】
技術分野
本発明は、鉄道車両の車輪の近傍に取り付けて車輪のスリップを防止するための粒子を散布するようにしたスリップ防止用粒子の噴射装置に関する。
【0002】
背景技術
高速でレール上を走行する鉄道車両において、雨や雪は車輪のスリップを起こさせる原因となる。事実、レールが雨で濡れたり或いはレールの上に雪が堆積したりすると車輪とレールとの間の粘着係数が減少し、車輪の空転が起こって走行スピードが低下し、所定の走行スピードに到達することができないという現象を生じている。また停車のためにブレーキをかけた場合において、車輪のスリップのために所定の停車位置で停車できず、ブレーキをかけてから車両が停止するまでの停止時間が長くかかるという現象も生じている。
【0003】
このような問題を解決するため、従来から車輪とレールの間に砂を撒いて車輪のスリップ防止を図ることが行われている。従来の初歩的な砂撒き装置は砂を貯留するタンクと砂を落下するための案内管とからなる単純な構造のものであり、砂の自然落下により砂を撒く機構であったから、車両走行時の風圧により砂が拡散されてしまい、車輪とレールとの間の適正位置に的確に砂を撒くことが困難であった。
【0004】
近年、従来の初歩的な砂撒き装置を改良して噴射により砂を散布する装置が開発された。実開昭56-18203号は、砂を貯留している砂箱と、該砂箱に連結された砂撒管と、砂撒管に空気を送るための空気管と、砂箱に空気を送るための空気管とを有する鉄道車両用砂撒き装置を開示している。この装置は砂撒管に圧縮空気を送ることによって生じる吸引力によって砂箱内の砂を砂撒管に導くと共に圧縮空気によって砂を車輪とレールとの間に噴射するものである。特開昭62-77204号は、砂等の粒子を供給する粒子供給管と、圧縮空気を供給する圧縮空気供給管と、粒子供給管と圧縮空気供給管とが接続された混合室と、混合室に接続された、噴射口を有する噴射管とからなる鉄道車両用粒子噴射装置を開示している。この装置は圧縮空気供給管から供給された圧縮空気と粒子供給管から供給された粒子とを混合室で混合し、噴射管の噴射口から粒子を圧縮空気と共に車輪とレールとの間に噴射するものである。特公平5-14673号は、砂等の粒子を貯留する貯蔵容器と、輸送パイプを介して貯蔵容器に接続された貯留室と、貯留室に接続された粒子供給管と、給気管に接続された圧縮空気供給管とを有する鉄道車両用粒子噴射装置を開示している。この装置は給気管を通して圧縮空気供給管に圧縮空気を送り、この圧縮空気の流れによって粒子供給管の出口付近に吸引力を生じさせ、それにより貯留室内の粒子を粒子供給管に導き、この粒子供給管から粒子を圧縮空気と共に車輪とレールとの間に噴射するものである。
【0005】
上記した実開昭56-18203号、特開昭62-77204号及び特公平5-14673号の装置はいずれも粒子を噴射するための噴射管を備え、この噴射管に圧縮空気を送って粒子と圧縮空気とを混合し、粒子を圧縮空気と共に噴射管より車輪とレールとの間に噴射する機構を備えているものであるが、いずれも粒子の噴射量の調整が困難であるという欠点を有する。即ち、車両走行時の車輪付近に生じる乱気流や風の影響によって粒子が車輪とレールとの間の正確な位置に届かない場合には噴射圧を高めなければならないが、上記従来の装置においては、噴射圧を高めようとして圧縮空気の流量を増大すると噴射量が過大となる欠点がある。粒子の過大な噴射は粒子の無駄な消費を招き、スリップ防止処理コストが上昇するばかりか、余分に撒かれた粒子がポイントの隙間に入り甚だしい場合にはポイントの作動不能を引き起こしたり、或いは信号回路への悪影響を及ぼす虞がある。また従来の装置において、噴射量が過大とならないよう圧縮空気量を調整すると所定の噴射圧を得ることができず、車輪とレールとの間の目標位置に正確に粒子を噴射することができなくなるという欠点を有する。このように、粒子を所定の噴射圧で確実に目標位置に噴射しようとすると噴射量が過大となり、反対に噴射量を適正な量にコントロールするため圧縮空気量を調整すると噴射圧が不足することとなり、粒子が目標位置に噴射されないという問題があり、粒子の噴射量の調整が困難であった。
【0006】
特開平4-310464号は粒子を貯留するタンクと、この粒子貯留タンクに接続された混合装置と、粒子貯留タンクに圧縮空気を送り込む空気管と、この空気管と分岐して混合装置に圧縮空気を送り込む空気管と、粒子貯留タンクから混合装置に導く粒子量を制御する制御装置と、混合装置に接続された噴射管と、噴射量を調節するピンチ弁とからなる鉄道車両用粒子噴射装置を開示している。この装置は圧縮空気により加圧されたタンクより粒子を混合装置に導き、この混合装置内で粒子と圧縮空気とを混合し、噴射管の噴射口から粒子を圧縮空気と共に車輪とレールとの間に噴射するものである。この場合、タンクから混合室に導かれる粒子の量は制御装置によって所定の量に調整され、また噴射管からの噴射量はピンチ弁によって調整されるようになっている。この特開平4-310464号の装置によれば、粒子の噴射量の調整を行うことができるが、複数の制御装置やそれに伴う多くの電気配線を必要とし、構造が複雑となる不利がある。この種のスリップ防止用粒子噴射装置は一般に車輪の近傍に設置され、いわば外部に露出して設けられるものであるため材料の腐食や劣化を受けやすく、その結果、制御装置の故障や電気配線系統の不良発生という不具合を生じる虞がある。このような理由から、スリップ防止用粒子の噴射装置は構造が簡単なものであることが求められる。
【0007】
そこで本発明者等は粒子貯留タンク及び混合室に圧縮空気を送り込み、圧縮空気によりタンク内を加圧してその押圧力により粒子を混合室に送り出し、混合室にて粒子と圧縮空気とを混合し、噴射量を電気的に制御する機構を設けずに所定量の粒子を圧縮空気と共に噴射管から噴射するようにした噴射装置を開発すべく鋭意研究した。本発明者等は検討を続けていくなかで次のような課題があることが判った。
【0008】
第1の課題は、粒子の噴射量の調整という問題点である。圧縮空気によりタンク内を加圧してその押圧力によりタンク内の粒子を混合室に送り出すという構造は本質的に上記した噴射量の調整という問題を解決できない。即ち、所定の噴射圧で粒子を噴射しようとすると噴射量が過大となり、反対に噴射量を適正な量に調整しようとすると粒子散布に必要な噴射圧が得られず目標位置に粒子を散布することができないという問題を包含する。
第2の課題は、粒子散布の運転停止時のタンク内残留圧力による粒子の移動という問題点である。噴射量制御機構を設けない構造においては、混合室と噴射管とをつなぐ通路には開閉弁はなく、通路は解放されたままである。ところで、粒子散布の運転を停止するとき圧縮空気を供給する空気流路は閉じられ、粒子貯留タンク及び混合室への圧縮空気の供給は停止される。この場合、タンク内の残留圧力があるためタンク内の粒子はその残留圧力によって押圧され、それにより粒子は混合室に送り出される。そして混合室に送り出された粒子は噴射管に流れ込み噴射管内及びノズル付近に滞留することになる。残留圧力は粒子を噴射管から外部へ噴射する程の力はない。
【0009】
粒子散布の運転を再び開始するとき空気流路を開け、タンク及び混合室へ圧縮空気を送り込むがこの場合、初期空気圧は噴射管内に滞留する粒子を車輪とレールとの間の目標位置に噴射するに必要な圧力をもたらさないため、一度にまとまった量の粒子集合体がノズルより自然落下のようにレール上に落下するという状況を作り出す。このことは粒子散布の運転再開時に直ちに定常状態で粒子の散布を行なうことができないことを意味している。即ちこの場合、粒子散布の運転再開直後に噴射管から流出する粒子は車輪とレールとの間の目標位置に噴射されないため、スリップ防止に何らの働きもしないことになり、粒子の無駄な消費となる。
また雨や雪の降っている日には、噴射管のノズル内に水が浸入し、噴射管のノズル付近に滞留している粒子が水に濡れて固まり、ノズルを塞いでノズル詰まりを起こすという不具合を生じる。
【0010】
本発明は上記した課題を解決するためになされたもので、簡単な構造によって粒子の噴射量を適正な量に調整することができるスリップ防止用粒子の噴射装置を提供することを目的とする。
また本発明は、粒子散布の運転停止時にタンク内の粒子が噴射管に送り込まれ噴射管に滞留するのを防止するようにしたスリップ防止用粒子の噴射装置を提供することを目的とする。
更に本発明は、製造コストが安価であり且つ粒子の消費量を低減でき、経済的に極めて有利なスリップ防止用粒子の噴射装置を提供することを目的とする。
【0011】
発明の開示
粒子貯留タンクにはスリップ防止用粒子の所定量が貯留されており、このタンク内に空気流通管が設けられる。空気流通管には圧縮空気を供給する空気供給管が連結される。空気流入管は、一端をタンク内に開口した状態で空気流通管に連通するように設けられる。空気供給管より供給される圧縮空気は空気流通管を流れると共に、該空気流通管と分岐した空気流入管に流入するようになっている。空気流入管はタンク内に設けることが好ましい。空気流入管には圧縮空気の流量を調節する空気流量調節手段を設けることができる。
空気流通管に、空気通路を狭く形成した細幅空気通路部が、空気流通管と空気流入管との連結部近傍に設けられる。また空気流通管に、粒子と圧縮空気とが混合される混合室を設ける。更に混合室に粒子を導くための粒子導入孔を設けるが、この粒子導入孔は混合室に直接設けることが好ましい。
空気排出管は、一端をタンク内に開口した状態で他端が空気流通管に連通されるように設けることができる。空気排出管はタンク内に設けることが好ましい。空気排出管をタンク内に設ける場合において、空気流通管と空気排出管との連結部は、前記混合室よりも空気流通管出口側寄りの位置に設けられる。空気流通管の出口側には噴射管が接続され、該噴射管の先端にはノズルが設けられる。
タンク内の粒子貯留量を目で確認するため、タンクに透視窓を設けることが好ましい。
【0012】
本発明は空気流通管と空気流入管を設けて圧縮空気を空気流通管と空気流入管とに分岐して供給するように構成し、且つ空気流通管の空気流入管との連結部近傍の出口側に細幅空気通路部を設けたので、混合室に流入する圧縮空気量を空気流入管に流入する圧縮空気量よりも少なくすることができ、従って、混合室に発生する負圧によって粒子導入孔より混合室に導入される粒子の量も適正な量に調整され、過大な量の粒子が導入されることはない。
一方、空気流通管と分岐して空気流入管を流れる圧縮空気はタンク内に供給されタンク内圧を高めるが、このタンク内に流入した圧縮空気の一部は空気排出管を通して空気流通管に流出するので、タンク内への圧縮空気供給量に相応した高い内圧を形成するには至らず、従って、タンク内圧は過大な量の粒子を粒子導入孔より混合室に導入する程の押圧力を生まない。従って、混合室には適正な量の粒子が導入される。空気流通管、空気流入管及び空気排出管を流れる圧縮空気はその全量が粒子噴射のために使われるので所定の噴射圧で粒子を噴射することができる。
【0013】
このように本発明によれば、粒子の散布に当たって過大な噴射量とならず、粒子の噴射量を適正な量に調整することができ、粒子の無駄な消費を防止することができる。また過大な噴射量となるのを防止することによって、余分に撒かれた粒子がポイントの隙間に入りポイントの作動不能を引き起こしたり、信号回路への悪影響を及ぼすという従来の問題点を解消することができる。
また空気流入管に空気流量調節手段を設けることにより、タンク内に供給される圧縮空気の流量を調節することができ、それにより粒子の噴射量を必要に応じて増減することができる。
【0014】
本発明において、粒子散布の運転を停止したとき、タンク内の空気は空気排出管を通って空気流通管に流れ、更に空気流通管から噴射管に流れ大気圧下に放出される。従って、タンク内の残留圧力は速やかに減少するため、タンク内残留圧力により粒子を混合室に導き、噴射管に移動させ噴射管内及びノズル付近に粒子を滞留させるという事態の発生を防止できる。その結果本発明によれば、粒子散布の運転を再開したとき、滞留していた大量の粒子が噴射管及びノズルより押し出されてレール上に落下するということはなく、運転再開直後から定常状態の粒子噴射を行うことができる。
また上記の如く、粒子散布の運転停止時に粒子がノズル付近に滞留することがないので、ノズルから水が浸入して粒子を固形化しノズル詰まりを起こすという虞もない。
本発明の噴射装置は構造が簡単であり、従って製造コストが安価であり且つ粒子の使用量を節約できるのでスリップ防止処理コストを低減でき、経済的に極めて有利なものとなる。
【0015】
発明を実施するための最良の形態
図1には本発明噴射装置の実施形態が示されている。1はスリップ防止用粒子2を貯留する粒子貯留タンクで、該タンク1はタンク本体1aと蓋体1bとからなり、耐圧性を有する密閉容器として構成されている。タンク1の耐圧性能は10kgf/cm若しくはそれ以上が好ましい。蓋体1bを開けてタンク1を開口し、スリップ防止用粒子2をタンク本体1a内に所定量充填する。閉蓋したとき、Oリング3によってタンク本体1aと蓋体1bとの接触は気密状態となり、また係止部材4によって蓋体1bはタンク本体1a上に密封状に固定される。
【0016】
スリップ防止用粒子2としては、車輪とレールとの粘着係数を増大させるものであればいかなるものでもよく、例えば、天然砂、珪砂、アルミナ粒子、金属粒子、或いはムライト等のセラミックス粒子等が用いられる。粒子2の粒子径は10~500μmが好ましい。
【0017】
タンク1内部の下方位置に空気流通管5が水平状に設けられ、該空気流通管5の両端はタンク1外方に開口して臨んでいる。この空気流通管5の一端には、圧縮空気を供給するための空気供給管17が連結されていると共に、他端には連結部材28を介して噴射管21が連結されている。またタンク1内部において、空気流通管5の入り口側付近に空気流入管6が設けられていると共に、空気流通管5の出口側付近に空気排出管18が設けられており且つこれら空気流入管6と空気排出管18はいずれも空気流通管5と連通するように設けられている。空気流入管6の一端はタンク1内に開口し、他端は空気流通管5に連結されている。このような構造によって空気供給管17から供給される圧縮空気は空気流通管5と空気流入管6とに分岐して流れるようになっている。
【0018】
空気流入管6には、圧縮空気の流量を調節する空気流量調節手段が設けられている。この空気流量調節手段としてニードル弁7を用いることが好ましい。ニードル弁7を上方向又は下方向に位置調整することにより、空気流入管6の開口部6aよりタンク1内に流出する圧縮空気量を調節することができる。
空気流入管6の開口部6aにフィルター8が取り付けられ、該フィルター8によってタンク1内の粒子2が開口部6aから空気流入管6内に流入するのを防止する。粒子2が開口部6aから空気流入管6内に流入するとニードル弁7の弁機構を破損する虞があるから、これを防止するためフィルター8を取り付ける必要がある。しかし、開口部6aが粒子堆積表面2aよりも十分に上方位置にある場合には、開口部6aから粒子2が空気流入管6内に流入する虞はないから、開口部6aにフィルター8を取り付けなくてもよい。開口部6aにフィルター8を取り付けた場合には、粒子2が空気流入管6内に流入する虞はないから、開口部6a及びフィルター8は粒子堆積層内部に位置するように設けられていてもよい。
【0019】
空気流通管5に細幅空気通路部9が設けられる。この細幅空気通路部9とは空気流通管5の空気通路を狭く形成した部分をいう。細幅空気通路部9の入り口の周囲壁は、図1に示すように次第に通路幅が狭くなるテーパー面10として構成しても或いは図3に示すように断面において上面或いは下面と直角な段部を作る垂直面11として構成してもよい。細幅空気通路部9は空気流通管5と空気流入管6との連結部12近傍に設けられる
【0020】
細幅空気通路部9の出口側にはフィルター13及び混合室15がそれぞれ順次設けられており、混合室15にはタンク1内の粒子2を導入するための粒子導入孔16が設けられている。粒子導入孔16は混合室15以外の他の部位に設けることも可能であるが、混合室15に直接設けることが好ましい。
通常はあり得ないが仮に、粒子2が空気流通管5内を逆流して入り口側5a方向に流れた場合、後述する電磁弁14の弁機構を破損する虞がある。フィルター13はこのような粒子の流れを阻止して空気流通管5の入り口側5a方向に粒子が入り込むのを防止するものである。またフィルター13は、細幅空気通路部9から混合室15に流入する圧縮空気の流れを層流から乱流に変え、混合室15に生じる負圧を小さくする作用を行う。このフィルター13及び前述したフィルター8として、例えば焼結フィルター等が用いられる。
【0021】
空気流通管5においてフィルター13よりも出口側5b寄りの位置に設けられる混合室15は空気流通管5と一体的に設けられている。即ち、空気流通管5内に粒子と圧縮空気を混合する混合エリアが形成されており、この混合エリアが混合室15を構成する。本発明は混合室を空気流通管5と一体に設けることに限定されず、混合室を空気流通管5とは別体に設け、両者を連通するように構成することもできる。
【0022】
空気排出管18の一端はタンク1内に開口し、他端は空気流通管5に連結されている。この空気排出管18を空気流通管5に連結する位置即ち、空気流通管5と空気排出管18との連結部19の位置は、混合室15よりも空気流通管5の出口側5b寄りの位置とすることが好ましい。空気排出管18の開口部18aは粒子堆積表面2aよりも上方に突出して位置しており、粒子が開口部18aを通して空気排出管18内に入り込む虞はない。もっとも空気排出管18内に粒子が入り込んだとしても、この空気排出管18と連通する空気通路には、空気排出管18内に入り込んだ粒子が直接接触するような弁機構は存在しないので特に支障はない。
【0023】
空気流通管5、空気流入管6、空気排出管18及び細幅空気通路部9はそれぞれ断面円形の空気通路を有する構造として構成することが好ましいが、もとよりこれに限定されるものではなく、断面四角形の空気通路を有する構造として構成することもできる。ここで空気流通管5及び細幅空気通路部9が断面円形の空気通路を有する構造である場合において、細幅空気通路部9の通路径について述べると、空気流通管5の管内径が例えば10~15mmの場合、上記通路径は0.5~2.5mmが好ましく、なかでも1~2mmがより好ましい。またこの場合、粒子導入孔16の穴怪は1.5~3.5mmが好ましく、なかでも2~3mmがより好ましい。
【0024】
空気流通管5には細幅空気通路部9が設けられているため、ここを通過して混合室15に流入する圧縮空気の量よりも空気流入管6に流入する圧縮空気の量の方が多くなり、圧縮空気の多くは空気流入管6を通り、タンク1内に供給される。タンク1内に供給された圧縮空気は、タンク1内の圧力を高め、粒子を混合室15に導く働きをすると共に、空気排出管18を通って空気流通管5に流入することによって空気流通管5を流れる粒子と圧縮空気の混合流体に圧縮空気を供給し、混合流体中に占める圧縮空気の量を増大し、空気混合比率の高い混合流体を得る働きをする。このことから細幅空気通路部とは、空気混合比率の高い粒子と圧縮空気の混合流体を得るに必要な圧縮空気量をタンク1内に導くために空気通路部を狭く形成した部分と定義することができ、その通路径は空気流通管5の管内径に応じて任意に定められる。
【0025】
圧縮空気の供給系統として、本発明は鉄道車両に通常設置されている空気供給系統を使用することができる。この空気供給系統にブレーキ回路に圧縮空気を送る元空気溜20が設置されているが、本発明はこの元空気溜20を圧縮空気の供給源として用いることができる。即ち、元空気溜20に空気供給管17を接続し、元空気溜20から圧縮空気を空気供給管17に供給する。電磁弁14は空気供給管17の通路を開閉する働きをし、これにより空気流通管5への圧縮空気の供給を行ったり、或いはそれを停止したりする。空気流通管5の出口側に接続された噴射管21の先端にはノズル22が設けられている。
【0026】
タンク1の側壁面には図2に示すように透視窓23が設けられている。該透視窓23はガラス板、アクリル板等の透明な板を窓開口部に嵌めて構成してなるもので、この透視窓23を通してタンク1内を覗くことによりタンク1内における粒子の貯留量を確認することができる。透視窓23を設ける位置は、タンク1内における空気流通管5の近傍であって空気流通管5付近にまで降下した粒子堆積表面2aを覗き見ることができる位置が好ましい。粒子堆積表面2aが空気流通管5付近にまで降下してきた場合は、蓋体1bを開けてタンク本体1a内に粒子を補充充填する必要がある。
【0027】
上記の如く構成される本発明噴射装置は図2に示すように鉄道車両の台車24に設置される。図中、Aは本発明噴射装置を示す。タンク1を台車24に固定した状態において噴射管21は車輪25方向に伸びるようにして配設され、噴射管21の先端に設けられたノズル22は、車輪25とレール26との間に粒子を噴射できる位置に臨んでいる。
【0028】
次に本発明の作用について説明する。電磁弁14を開き元空気溜20より空気供給管17に圧縮空気を供給する。圧縮空気は空気供給管17を経てタンク1内の空気流通管5に流入し、この空気流通管5内を混合室15方向に向かって流れると共に、空気流入管6にも分岐して流入する。空気流通管5内を混合室15方向に向かって流れる圧縮空気は途中、細幅空気通路部9を通ることになるため、この通路幅の狭い部分が律速段階となって、混合室15へ流れる圧縮空気の量よりも空気流入管6に流れる圧縮空気の量の方が多くなる。空気流入管6を流れる圧縮空気はタンク1内に供給され、それによってタンク1内の圧力が高められる。
【0029】
空気流通管5から混合室15へ圧縮空気が流れるに当たり、圧縮空気は細幅空気通路部9を通るときに圧縮され、この圧縮状態は混合室15に入り込んだときに開放されるため混合室15においては負圧が生じる。そのため吸引力が働いてタンク1内の粒子2は粒子導入孔16を通って混合室15内に入り込む。ここにおいて、上記したように混合室15へ流入する圧縮空気の量は空気流入管6に流入する圧縮空気の量よりも少ないため、混合室15に大きな負圧は生じなく、比較的小さな負圧にとどまる。またフィルター13は細幅空気通路部9から混合室15に流入する圧縮空気の流れを層流から乱流に変える作用をするので、この作用によっても混合室15に大きな負圧が生じるのは抑止される。このように細幅空気通路部9とフィルター13との相互作用により、混合室15に大きな負圧が発生するのを抑止することができ、そのため混合室15に吸引されて流入する粒子の量は或る一定の量に止まり、過大な量の粒子が混合室15に流入することはない。このように混合室15に生じる吸引力は細幅空気通路部9とフィルター13との作用により適度にコントロールされる。
【0030】
粒子を混合室15へ導く作用は前記した吸引力による他に、タンク内圧による押圧力によっても行われる。即ち、上記したように空気流入管6からタンク1内に供給される圧縮空気によってタンク1内の圧力が高まり、この圧力による押圧力が働いて粒子は粒子導入孔16を通って混合室15内に入り込む。ここにおいて、タンク1内に供給される圧縮空気の一部は空気排出管18に流れ込み、該空気排出管18を経て空気流通管5に流出するため、タンク1内には、過大な量の粒子を混合室15へ送り込む程の高い圧力は生じない。このようにタンク1内に生じる押圧力は空気排出管18の作用によって適度にコントロールされる。
粒子を混合室15に導く力は混合室15における吸引力とタンク1内における押圧力であるが、吸引力及び押圧力は上記したように適度にコントロールされているため過大な量の粒子を混合室15に流入せしめることはない。
【0031】
このように空気供給管17から供給された圧縮空気は、1)空気流通管5から混合室15へ向かう流れと、2)空気流入管6からタンク1内に入り粒子導入孔16を経て混合室15へ向かう流れと、3)タンク1内から空気排出管18を経て空気流通管5へ向かう流れとの3経路の流れを作る。上記のように圧縮空気の流れは3経路の流れに分かれるが、それぞれの経路を流れる圧縮空気は空気流通管5の出口側5bにおいて合流するため粒子を高速で噴射するための所定の噴射圧が得られる。従って、所定の噴射圧で粒子をノズル22から噴射することができるため、車輪25とレール26との間の目標位置に的確に粒子を散布することができる。この粒子散布により車輪25とレール26との間の粘着係数が増大し、車輪のスリップを防止し、雨や雪の日でも所定の走行速度を維持でき、またブレーキをかけたときに確実に停止することができる。
【0032】
上記した圧縮空気の3経路の流れのうち、タンク1内から空気排出管18を通って空気流通管5に流出する経路の流れは粒子を混合室15に送り込む働きには関与せず、もっぱら圧縮空気を空気流通管5に供給する働きをする。この空気排出管18を通って供給される圧縮空気は空気流通管5を流れる粒子と圧縮空気との混合流体に混合される。その結果、混合流体中の圧縮空気の量が増大し、空気混合比率の高い混合流体が得られ、この空気混合比率の高い混合流体がノズル22より噴射される。このように空気混合比率の高い混合流体を噴射することにより車輪25とレール26との間の目標位置に確実に粒子を噴射することができ、例えば横風を受けても容易に噴射角度がズレることがない。また空気混合比率の高い混合流体を得ることによって、噴射される粒子の量を適正な量に調整する
ことができ、必要以上の多量な粒子の噴射を防止できる。
【0033】
本発明は上記の如く、噴射される粒子の量を適正な量に調整することができるが、必要に応じて噴射量の増減を行うことができる。この噴射量の増減を行うにはニードル弁7を操作すればよい。ニードル弁7を操作して空気流入管6からタンク1内に送られる圧縮空気の流量を調節することができる。例えば、タンク1内に送られる圧縮空気の流量を多くすると混合室15に流入する粒子の量を多くすることができ、粒子の噴射量を増大できる。反対にタンク1内に送られる圧縮空気の流量を少なくすると混合室15に流入する粒子の量を少なくすることができ、粒子の噴射量を減少することができる。このようにニードル弁7を操作することにより、必要に応じて粒子の噴射量を増減することができる。
【0034】
粒子散布の運転を停止するときは電磁弁14を閉じ、空気供給管17からの圧縮空気の供給を停止する。このとき空気排出管18の働きによってタンク1内の残留圧力は速やかに減少する。即ち、タンク1の内と外とでは圧力差が生じるため、タンク1内の圧縮空気は空気排出管18内を流れ、空気流通管5に流出し、更に噴射管21を通って大気圧下に放出され、それによりタンク1内の残留圧力は速やかに減少する。このようにタンク1内の残留圧力が速やかに減少するため、タンク1内において粒子を混合室15に送り込む程の押圧力は作用しなくなり、粒子が混合室15に流入することはない。
従って、粒子散布の運転停止時に噴射管21内及びノズル22付近に粒子が滞留することはなく、その結果、粒子散布の運転を再開したときに、滞留していた大量の粒子が噴射管21及びノズル22より押し出されてレール上に落下するということはなく、運転再開直後から定常状態の粒子噴射を行うことができる。ここで、運転再開直後から定常状態の粒子噴射を行うことができるとは、運転再開直後から車輪25とレール26との間の目標位置に粒子を的確に散布することができることを意味している。また噴射管21内及びノズル22付近に粒子が滞留しないことにより、ノズル22より水が浸入しても粒子を固めてノズル詰りを生じさせるという虞もない。
【0035】
仮にタンク1内の残留圧力によって粒子が混合室15に流入せしめられる場合があるとしても、上記したようにその押圧力は小さいため混合室15に流入する粒子の量は僅かであり、このような僅かな量の粒子が噴射管21内に送り込まれたとしても粒子散布の運転再開直後に定常状態の粒子噴射を行うことは何ら妨げられず、定常状態の粒子噴射が可能である。
【0036】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の設計変更が可能である。例えば、空気排出管18は図4に示すようにタンク1の外方に設けてもよい。この場合、空気排出管18の一端はタンク1内に開口して臨んでおり、他端はタンク1の外方において空気流通管5の外方延長部5cに連結されている。このように構成しても上記した図1に示す実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0037】
本発明において、粒子散布の運転停止時にタンク内の残留圧力により粒子が移動して噴射管内及びノズル付近に粒子が滞留するのを防止することのみを目的とする場合には空気排出管を空気流通管に連通させなくてもよい。このような実施形態は図5に示されている。同図において空気排出管18は短寸法に形成され、その一端はタンク1内に開口して臨み、他端はタンク1外方に突出して臨んでおり、タンク1外方に位置する部分には電磁弁27が取り付けられている。粒子散布の運転を行っているときは電磁弁27を閉じ、空気排出管18の空気通路を閉じておく。粒子散布の運転を停止するときは電磁弁27を開け、空気排出管18の空気通路を開ける。
このように粒子散布の運転停止時に空気排出管18の空気通路を開けると、タンク1内の圧縮空気が空気排出管18の空気通路を通ってタンク1の外方に放出されるためタンク1内の残留圧力は速やかに減少し、その結果、粒子が混合室15を経て噴射管21内に移動し、滞留するのを防止できる。
【0038】
産業上の利用可能性
本発明は鉄道車両の車輪とレールとの間にスリップ防止用粒子を散布して車輪のスリップを防止するスリップ防止用粒子の噴射装置であり、本発明によれば粒子の噴射量を適正な量に調整して噴射量が過大となるのを防止でき、粒子の無駄な消費を避けることができるので、経済的に有利な噴射装置を提供できる点において産業上有益なるものである。
【0039】
【図面の簡単な説明】
図1は本発明噴射装置の縦断面図、図2は本発明噴射装置を車両に取り付けて粒子散布を行う状態を示す説明図、図3は細幅空気通路部の入り口の周囲壁の他の構成例を示す縦断面図、図4は本発明の他の実施形態を示す要部縦断面図、図5は本発明の更に他の実施形態を示す要部縦断面図である。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2
【図4】
3
【図5】
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