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明細書 :ラダー軌道用防振台

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3818490号 (P3818490)
公開番号 特開2001-220702 (P2001-220702A)
登録日 平成18年6月23日(2006.6.23)
発行日 平成18年9月6日(2006.9.6)
公開日 平成13年8月17日(2001.8.17)
発明の名称または考案の名称 ラダー軌道用防振台
国際特許分類 E01B   1/00        (2006.01)
E01B   3/38        (2006.01)
FI E01B 1/00
E01B 3/38
請求項の数または発明の数 8
全頁数 11
出願番号 特願2000-032747 (P2000-032747)
出願日 平成12年2月4日(2000.2.4)
審査請求日 平成15年8月5日(2003.8.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】306013119
【氏名又は名称】昭和電線デバイステクノロジー株式会社
発明者または考案者 【氏名】涌井 一
【氏名】松本 信之
【氏名】奥田 広之
【氏名】浅沼 潔
【氏名】玉川 輝久
【氏名】島崎 俊也
個別代理人の代理人 【識別番号】100102923、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 雄二
審査官 【審査官】深田 高義
参考文献・文献 特開平09-268504(JP,A)
特開平08-093850(JP,A)
特開平05-017902(JP,A)
実公昭51-051168(JP,Y1)
特開昭56-012443(JP,A)
特開平10-298922(JP,A)
特公昭50-032482(JP,B1)
特開平05-071106(JP,A)
特開平06-248606(JP,A)
特開昭50-107604(JP,A)
調査した分野 E01B 1/00
E01B 3/38
特許請求の範囲 【請求項1】
コンクリート路盤とラダー軌道との間に介設されるラダー軌道用防振台において、前記ラダー軌道の長手方向に平行な溝を持つ下ブロックと、上面に取り付け孔を有し、前記下ブロックの溝に全部または一部を収容した上ブロックと、少なくとも前記下ブロックの溝内壁と前記上ブロックの外壁との間に存在する空隙を満たすように配置されたゴム状弾性体から成る防振本体と、
前記下ブロックの側板内壁であって、前記上ブロックの側板外壁と対向しない部分に、ゴム状弾性体が所定の厚さだけ覆うようにして設けられたゴム壁とを備えたことを特徴とするラダー軌道用防振台。
【請求項2】
請求項1に記載のラダー軌道用防振台において、
下ブロックは、下板とこの下板の側縁から上方に立ち上がる側板とを有する断面コの字形の部材から成り、
上ブロックは、上板とこの上板の側縁から下方に下がる側板とを有する断面コの字形の部材から成り、
ゴム状弾性体は、少なくとも前記上ブロックの側板外壁と前記下ブロックの側板内壁の間を満たすことを特徴とするラダー軌道用防振台。
【請求項3】
請求項2に記載のラダー軌道用防振台において、
ゴム状弾性体は、前記上ブロックの上板下壁と前記下ブロックの下板上壁の間を満たすことを特徴とするラダー軌道用防振台。
【請求項4】
請求項2に記載のラダー軌道用防振台において、
前記下ブロックの側板内壁であって、前記上ブロックの側板外壁と対向しない部分を所定の厚さだけ覆うように、ゴム壁が形成されていることを特徴とするラダー軌道用防振台。
【請求項5】
請求項1に記載のラダー軌道用防振台において、
下ブロックは、ラダー軌道のレールの長手方向に平行な複数の溝を持ち、
上ブロックは、前記下ブロックの溝に収容した脚部を備え、
前記下ブロックの溝内壁と前記上ブロックの脚部外壁との間に存在する空隙を満たすようにゴム状弾性体が配置されていることを特徴とするラダー軌道用防振台。
【請求項6】
請求項1に記載のラダー軌道用防振台において、
下ブロックの溝内壁と上ブロックの外壁との間に存在する空隙を満たすように配置されたゴム状弾性体の下ブロックの溝内壁に接する面のうち、垂直面に平行な面は、下ブロックの溝内壁と非接着とされ、他の面は下ブロックの溝内壁に接着されていることを特徴とするラダー軌道用防振台。
【請求項7】
請求項6に記載のラダー軌道用防振台において、
ゴム状弾性体の下ブロックの溝内壁と非接着とされた部分には、下ブロックの溝内壁との間に滑材が挟み込まれていることを特徴とするラダー軌道用防振台。
【請求項8】
請求項1または6に記載のラダー軌道用防振台において、
下ブロックの溝内壁と上ブロックの外壁との間に存在する空隙を満たすように配置されたゴム状弾性体中に、ラダー軌道の長手方向に平行な面を持つスペーサ板を埋設したことを特徴とするラダー軌道用防振台。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート路盤や鋼桁上を走行する鉄道の騒音防止等のために利用されるラダー軌道用防振台に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート路盤の上にラダー軌道用防振台を敷設する場合には、従来、次のような工法が採用されている。
図2は従来の工法を説明する図で、(a)はコンクリート路盤上のフローティング・ラダー軌道の分解斜視図、(b)は防振台のゴムパッド部分の変形時の平面図、(c)は(a)や(b)とは別の構造の防振台の断面図である。
図2(a)に示すように、マクラギ1は、レール2の長手方向に平行な板状のマクラギ本体3を鋼管製継材4で連結した梯子状をしている。このマクラギ1は、図示しないコンクリート路盤の上に防振台5で浮かせて据えつけられる。多数の防振台5が、コンクリート路盤上でこのマクラギ1を支える。
【0003】
防振台5は、図2(b)の円柱状のゴムパッドを備え、ゴム弾性により水平方向の応力に対して容易に変形するようになっている。車両の加減速動作によって進行方向即ちX方向に応力が加わると、ゴムパッドが図のように変形する。また、車両が横揺れすると図のY方向に同様に変形する。このため、X方向およびY方向の変位を量を制限するのに、別途ストッパーが必要になる。
図2(c)の構造の防振台の場合は、車両の加減速動作によって進行方向即ち図の(a)のX方向に応力が加わると、防振台5のゴム部分6が変形して振動を吸収する。ゴム部分6以外は金属から成り、適度に変位量を制限する。車両が横揺れした場合も同様に機能する。これにより、マクラギ1上を車両が通過するときの振動や衝撃を緩和して騒音を防止することができる。これらの工法は、高架や地下鉄等において、バラストを必要としない工法として広く採用されている。
【0004】
ところで、本発明者等がフローティング・ラダー軌道の線路方向拘束解析を行った結果、フローティング・ラダー軌道においては、防振装置の線路方向ばね定数を小さくすることによって防振装置およびマクラギ(縦梁)に対する負荷を軽減できることを見い出した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。
図2(a)において、マクラギ1上のレール2は、夏季の温度上昇によって長手方向に膨張し、冬季の温度低下によって長手方向に収縮する性質を持つ。従って、例えば長尺レールを採用している線路では、夏季のレール2の膨張によって、防振台5とは別に設けられたストッパーに大きな負荷が作用するという問題があった。
また従来、防振台5として図2(C)に示すような構成のものがある。すなわち、内周面及び外周面がそれぞれテーパ形状をなす筒型防振ゴム6の内周面及び外周面に、上部金具及び下部金具を接着固定してなるものである(特開平9ー268504)。
この構成の防振台は、水平方向においては方向性がなく横揺れ防止のためにばね定数を大きくする必要があり、上記したようなレール2の膨張により防振装置に大きな負荷が作用するという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は以上の点を解決するため次の構成を採用する。
〈構成1〉
コンクリート路盤とラダー軌道との間に介設されるラダー軌道用防振台において、上記ラダー軌道の長手方向に平行な溝を持つ下ブロックと、上面に取り付け孔を有し、上記下ブロックの溝に全部または一部を収容した上ブロックと、少なくとも上記下ブロックの溝内壁と上記上ブロックの外壁との間に存在する空隙を満たすように配置されたゴム状弾性体から成る防振本体と、前記下ブロックの側板内壁であって、前記上ブロックの側板外壁と対向しない部分に、ゴム状弾性体が所定の厚さだけ覆うようにして設けられたゴム壁とを備えたことを特徴とするラダー軌道用防振台。
【0007】
〈構成2〉
構成1に記載のラダー軌道用防振台において、下ブロックは、下板とこの下板の側縁から上方に立ち上がる側板とを有する断面コの字形の部材から成り、上ブロックは、上板とこの上板の側縁から下方に下がる側板とを有する断面コの字形の部材から成り、ゴム状弾性体は、少なくとも上記上ブロックの側板外壁と上記下ブロックの側板内壁の間を満たすことを特徴とするラダー軌道用防振台。
【0008】
〈構成3〉
構成2に記載のラダー軌道用防振台において、ゴム状弾性体は、上記上ブロックの上板下壁と上記下ブロックの下板上壁の間を満たすことを特徴とするラダー軌道用防振台。
【0009】
〈構成4〉
構成2に記載のラダー軌道用防振台において、上記下ブロックの側板内壁であって、上記上ブロックの側板外壁と対向しない部分を所定の厚さだけ覆うように、ゴム壁が形成されていることを特徴とするラダー軌道用防振台。
【0010】
〈構成5〉
構成1に記載のラダー軌道用防振台において、下ブロックは、ラダー軌道のレールの長手方向に平行な複数の溝を持ち、上ブロックは、上記下ブロックの溝に収容した脚部を備え、上記下ブロックの溝内壁と上記上ブロックの脚部外壁との間に存在する空隙を満たすようにゴム状弾性体が配置されていることを特徴とするラダー軌道用防振台。
【0011】
〈構成6〉
構成1に記載のラダー軌道用防振台において、下ブロックの溝内壁と上ブロックの外壁との間に存在する空隙を満たすように配置されたゴム状弾性体の下ブロックの溝内壁に接する面のうち、垂直面に平行な面は、下ブロックの溝内壁と非接着とされ、他の面は下ブロックの溝内壁に接着されていることを特徴とするラダー軌道用防振台。
【0012】
〈構成7〉
構成6に記載のラダー軌道用防振台において、ゴム状弾性体の下ブロックの溝内壁と非接着とされた部分には、下ブロックの溝内壁との間に滑材が挟み込まれていることを特徴とするラダー軌道用防振台。
【0013】
〈構成8〉
構成1または6に記載のラダー軌道用防振台において、下ブロックの溝内壁と上ブロックの外壁との間に存在する空隙を満たすように配置されたゴム状弾性体中に、ラダー軌道の長手方向に平行な面を持つスペーサ板を埋設したことを特徴とするラダー軌道用防振台。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を具体例を用いて説明する。
図1は、本発明の防振台の一例を示す図で、(a)は防振台の斜視図、(b)は防振台と取り付け補助板の上面図、(c)は防振本体と取り付け補助板とマクラギ本体との取り付け方法を示す側面図である。
図において、下ブロック10は、鉄道のレールの長手方向(X方向)に平行な溝を持つ。この溝の構造は図3を用いて詳細に述べる。
【0015】
図3は図1の防振台の構造を示す図で、(a)は防振台の平面図、(b)は防振台のB-B線に沿う縦断面図、(c)は防振台のC-C線に沿う横断面図である。
図の(c)に示すように、下ブロック10は、下板10Aとこの下板10Aの側縁から上方に立ち上がる側板10Bとを有する、断面コの字形の部材から成る。また、上ブロック11は、下ブロック10の溝に下部を収容している。この上ブロック11は、上板11Aとこの上板11Aの側縁から下方に下がる側板11Bとを有する断面コの字形の部材から成る。
【0016】
上記上ブロック11は下ブロック10の溝に下部が収容されればよく、断面形状は任意であるが、軽量化を図るために、図3の例のように、断面コの字形であることが好ましい。上ブロック11も下ブロック10も材料は金属、硬質プラスチック、セラミック等、様々なものが採用できる。下ブロック10に側板10Bを設けたのは、鉄道のレールの長手方向に平行な溝を形成するためである。上ブロック11に側板11Bを設けたのは、下ブロック10の溝内壁と上ブロック11の間にゴム状弾性体12を配置する空隙を作るためである。
【0017】
ゴム状弾性体12は、少なくとも上ブロック11の側板11Bの外壁21と下ブロック10の側板10Bの内壁22の間を満たすように配置されている。具体的には、上ブロック11と下ブロック10とを図のような位置関係に保持した状態で、両者の間の空隙に未加硫ゴムを圧入して熱処理し加硫して形成する。その後ゴム状弾性体12の不要部分を切除して図1に示すような外観形状に仕上げ、防振台を完成させる。
【0018】
上ブロックには、4個の取り付け孔13が設けられている。図2に示したようなマクラギに対して、直接あるいは適当な取り付け板を介して固定されるときに利用される、ボルト締め付け用の孔である。図3の(c)に示すように、上ブロック11の上板11Aの下面には、ボルトを締め込むタップを切ったボルト受け金具16が固定されている。下ブロック10にも例えば図示しないコンクリート路盤にボルトを用いてこの防振台を固定するための取り付け孔14が設けられている。
【0019】
上記の下ブロック10に、鉄道のレールの長手方向に平行な溝を持たせたのは、レールの熱伸縮に柔らかく追従して上ブロック11と下ブロック10との相対位置が大きく変化してもよいようにするためである。溝内壁22と上ブロック11の外壁21とはいずれも、垂直面に平行であっても、やや傾斜していても差し支えない。ゴム状弾性体12は、少なくとも、下ブロック10の溝内壁22と上ブロック11の外壁21との間に存在する空隙を満たすように配置される。これにより、両者の間隔を押し縮めようとする応力に対して、ゴム状弾性体12の弾力が作用し、レールの長手方向に垂直な方向、即ち図1(b)に示したY方向の振動を吸収することができる。
【0020】
レールの長手方向(図1(b)のX方向)、即ち、車両の進行方向であって、線路の伸縮力が及ぶ方向に対しては、防振台はできるだけ柔軟であることが好ましい。一方、車両が横揺れする方向(図1(b)のY方向)、即ち、車両の進行方向と直交する方向に対しては、ゴム状弾性体による所定の弾力が作用することが好ましい。上記の構造により、この防振台は、Y方向の応力に対しては、ゴム状弾性体が圧縮力を受けて変形し、X方向の応力に対しては、ゴム状弾性体が剪断応力を受けて変形する。
【0021】
このようなゴム状弾性体の作用によって、Y方向の応力に対しては、適度な弾力を有し、X方向の応力に対しては、極めて柔らかく追従するような方向性を持つ防振台が実現した。実際に、従来の防振台はX方向にもY方向にも例えば150kN(キロニュートン)/cmのばね定数を持つ。これに対して本発明の防振台は、X方向に例えば20kN(キロニュートン)/cmのばね定数を持ち、Y方向に例えば140kN(キロニュートン)/cmのばね定数を持つものにすることができた。
【0022】
図1(b)の右側に示す取り付け補助板17は、防振本体20と、図2に示したマクラギ本体3とを固定するためのアダプタである。取り付け補助板17は、上ブロック11の取り付け孔13に対応する貫通孔18を有し、かつ、ラダー軌道のマクラギ本体3に設けられた取付手段に対応する貫通孔19を有する。取り付け補助板17は、図1(b)の一点鎖線に示す位置に、図1の(c)に示すボルト25を用いて固定される。図1(c)に示すように、まず、防振本体20の上面に取り付け補助板17を乗せて、下向きのボルト25を、取り付け補助板17の取り付け孔18を通じて防振本体20の取り付け孔13に通して締め付ける。
【0023】
次に、マクラギ本体3を取り付け補助板17の上に乗せる。下向きのボルト25の頭はマクラギ本体3の凹部27に収容される。次に、上向きのボルト25を取り付け補助板17の取り付け孔19を通じてマクラギ本体3の取り付け孔26に通して締め付ける。これで、防振本体20とマクラギ本体3との固定が完了する。ラダー軌道側の取り付け補助板17との取り付け手段は、図に例示したもの以外に、両者を固定する既知の構造のものに自由に変更して差し支えない。
【0024】
図3の(b)及び(c)に示す例では、ゴム状弾性体12は、上ブロック11の上板11Aの下壁23と下ブロック10の下板10Bの上壁24の間を満たすように充填されている。防振台1個あたりに加わる垂直荷重が大きい場合には、上ブロック11をゴム状弾性体12で支持する場合、一定以上の支承面積を確保する必要がある。そこで、このような構造にした。これにより、上ブロック11の上板11Aの下壁23と下ブロック10の下板10Aの上壁24の間のゴム状弾性体12が、上ブロック11を支持して、適度な弾力により荷重を支えることができる。同時に、下ブロック10と上ブロック11の間に異物が挟まって防振台そのものの特性が変動するのを防ぐことができる。
【0025】
図4は、本発明の防振台の動作を説明する図で、(a)は防振台に応力が加わっていない状態の縦断面図、(b)は防振台にX方向の応力が加わった状態の縦断面図である。
図の(b)に示すように、防振台にX方向の応力が加わると、上ブロック11と下ブロック10との間に挟まれたゴム状弾性体12全体が変形してその応力を吸収する。ゴム状弾性体12の垂直方向の厚みを十分厚くすれば、Y方向の応力に対する剛性が小さくなり、無理なくマクラギの変位を吸収する。この場合には、主としてゴムの剪断方向の伸びによる弾力が作用する。
【0026】
図5は、本発明の防振台の動作を説明する図で、(a)は防振台に応力が加わっていない状態の横断面図、(b)は防振台にY方向の応力が加わった状態の横断面図である。
図5(b)に示すように、防振台にY方向の応力が加わると、上ブロック11の側板の外壁21と下ブロック10の内壁22に挟まれた部分が変形してその応力を吸収する。この場合には、主としてゴムの圧縮による弾力が作用する。
【0027】
ところで、図1に示した例では、下ブロック10の側板内壁であって、上ブロック11の側板外壁と対向しない部分を、ゴム状弾性体12が所定の厚さだけ覆うようにして、ゴム壁15が形成されている。
【0028】
下ブロック10の溝内壁と上ブロック11の外壁との間に存在する空隙中のゴム状弾性体12は、上ブロック11と下ブロック10の相対的な変位に対して所定の弾力を及ぼす。その他の部分には、基本的にゴム状弾性体12を配置する必要は無い。しかしながら、図4(b)に示すように、上ブロック11が下ブロック10に対してレールの長手方向に大きく変位すると、ゴム状弾性体12には、大きな応力が加わって変形する。
【0029】
この場合に、図1に示したように、下ブロック10の長手方向に見て前後端部分に、下ブロック10の側板内壁を所定の厚さだけ覆うようにゴム壁15を配置する。この部分は、上ブロック11の側板外壁と対向しないが、下ブロック10の溝内壁と上ブロック11の外壁との間に存在する空隙中のゴム状弾性体12の、X方向の応力に対する変形に伴って変形する。従って、X方向の変形量を調整して、弾力を適度に保持する役割を持つ。また、ゴム状弾性体12全体の強度を高め、下ブロック10からの接着剥がれを防止する役割も持つ。同時に、防振台全体の輪郭形状を簡素化することにより、外面の仕上げ処理が容易になり、防振台の各部に異物が挟まって、防振台そのものの特性が変動するのを防ぐことができる。
【0030】
本発明は、上記の例に限定されない。
図6は、本発明の防振台の変形例を示し、(a)、(b)、(c)はそれぞれ、別々の変形例を示す防振台の横断面図である。
図6(a)において、下ブロック30は、鉄道のレールの長手方向(X方向)に平行な複数の溝34を持つ。上ブロック31は、下ブロック30の溝34に収容した脚部35を備える。下ブロック30の溝34の内壁と上ブロック31の脚部35の外壁との間に存在する空隙には、この空隙を満たすようにゴム状弾性体32が配置されている。
【0031】
図6(b)の例も同様で、下ブロック40にさらに多くの溝44が設けられ、上ブロック41の多くの脚部45がそれぞれ各溝44に収容されている。そして、下ブロック40の溝44の内壁と上ブロック41の脚部45の外壁との間に存在する空隙には、この空隙を満たすようにゴム状弾性体42が配置されている。上記図6(a)、(b)のいずれの例も、上ブロックの機械的強度を高めるために有効である。また、Y方向の応力に対するばね定数を高める効果もある。図3(c)に示す上ブロック11の一対の側板11Bに挟まれた部分に充填されたゴム状弾性体12は、防振台の緩衝機能にほとんど寄与しないが、図6(a)や(b)に示すような構造にすれば、各部のゴム状弾性体が有効にいずれかの方向の緩衝機能に寄与するという効果がある。
【0032】
一方、図6(c)に示す例では、下ブロック50の溝内壁と上ブロック51の外壁との間に存在する空隙を満たすように配置されたゴム状弾性体52中に、鉄道のレールの長手方向(X方向)に平行な面を持つスペーサ板53を埋設した。このスペーサ板53は、水平面に平行に埋設されているが、垂直面に平行に埋設してもよい。
【0033】
通常、ゴム状弾性体は様々な方向の応力に対して柔軟に変形する。ここで、図6(c)のように、下ブロック50の溝内壁と上ブロック51の外壁との間に存在する空隙を満たすように配置されたゴム状弾性体52中に、X方向に平行な面を持つスペーサ板53を埋設すると、スペーサ板53に平行な方向、即ちX方向には柔らかく変形する一方、垂直方向(図のZ方向)の荷重であって、所定量を越える荷重に対しては、ばね定数が大きくなる。従って、防振台の許容荷重を増やすことができるという効果がある。スペーサ板53を垂直面に平行に埋設すれば、Y方向のばね定数を大きくすることができる。
【0034】
図7は、本発明の防振台のさらに別の変形例を示し、(a)は防振台に応力が加わっていない状態の横断面図、(b)は防振台にY方向の応力が加わった状態の横断面図、(c)は防振台にX方向の応力が加わった状態の横断面図である。
【0035】
図において、上ブロック61と下ブロック60の構造は、図1に示した例と大きな差異は無い。ゴム状弾性体62は両者の間に生じた間隙を満たすように配置されている。また、ゴム状弾性体62の内部には、X方向に平行な面を持つスペーサ板53が埋設されている。この構造は図5の(c)を用いて説明したものと同様である。ここで、この例では、ゴム状弾性体62の下ブロック60の溝内壁に接する面であって、その垂直面に平行な面63A,63Bが、下ブロック60の溝内壁と非接着にされている。
【0036】
これまでの例では、ゴム状弾性体は上ブロックや下ブロックと接する面が加硫接着されている。図1の例では、上ブロック11はゴム状弾性体12中に上面を除いてすっかり埋め込まれている。また、下ブロック10もその上面は取り付け孔14の有る部分を除いてゴム状弾性体12に覆われて一体化されている。
【0037】
一方、この例では、ゴム状弾性体62の垂直面に平行な面63A,63Bが、下ブロック60の溝内壁と非接着にされている。従って、例えば図の(b)に示すように、Y方向の応力が加わると、ゴム状弾性体62の左側面63Aが下ブロック60の内壁から離れる。ゴム状弾性体62の右側面63B側は圧縮されて、所定の弾力を作用させる。次に(c)に示すように、X方向の応力が加わると、ゴム状弾性体62が図に示すように変形する。このとき、ゴム状弾性体62の垂直面に平行な面63A,63Bが、下ブロック60の溝内壁と非接着にされているので、図1に示す例よりもさらに柔軟にX方向の変形が許容される。
【0038】
レールの熱伸縮に追従して防振台が変形する場合には、防振台からレールに伝わる反発力はできるだけ小さいほうが好ましい。この観点から、面63A,63Bを下ブロック60に対して自由に横滑りするようにして、ゴム状弾性体62のX方向の変形を容易にした、この例の装置の特性はきわめて良い。この滑りがより円滑になるように、ゴム状弾性体62の下ブロック60の溝内壁と非接着とされた部分と、下ブロック60の溝内壁との間に適当な滑材が挟み込まれることが好ましい。滑材としては、例えばグリースのような塗布剤の他、テフロンシートのような潤滑性のフィルムを介在させることができる。
【0039】
なお、上記の例ではいずれも、上ブロックを上に、下ブロックを下に配置するようにして使用したが、その逆に、上ブロックを下に、下ブロックを上に配置するようにして使用してもさしつかえない。
また、ゴム状弾性体12、32、42、52、62としては、クロロプレンゴム、天然ゴムだけでなく、高温時には多く変形し、低温時にはあまり変形しない粘弾性材料により構成してもよい。
【発明の効果】
以上説明した本発明の防振台は、ラダー軌道の長手方向即ち線路方向のばね定数を、線路直角方向のばね定数に比べて大幅に小さくなし得ることから、車両の進行方向であって、線路の伸縮力が及ぶ方向に対しては柔軟に変形してレールの熱伸縮等による変位に追従する。また、防振台自体およびマクラギ縦梁に対する負荷を軽減できる。一方、車両が横揺れする方向、即ち、車両の進行方向と直交する方向に対しては、ゴム状弾性体による所定の弾力が作用する。同時に所定の荷重をゴム状弾性体により支えて、全体として騒音の軽減等に高い効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防振台の一例を示す図で、(a)は防振台の斜視図、(b)は防振台と取り付け補助板の上面図、(c)は防振本体と取り付け補助板とマクラギ本体との取り付け方法を示す側面図である。
【図2】従来の工法を説明する図で、(a)はコンクリート路盤上のフローティング・ラダー軌道の分解斜視図、(b)は防振台のゴムバッド部分の変形時の平面図、(c)は(a)や(b)とは別の構造の防振台の断面図である。
【図3】図1の防振台の構造を示す図で、(a)は防振台の平面図、(b)は防振台のB-B線に沿う縦断面図、(c)は防振台のC-C線に沿う横断面図である。
【図4】本発明の防振台の動作を説明する図で、(a)は防振台に応力が加わっていない状態の縦断面図、(b)は防振台にX方向の応力が加わった状態の縦断面図である。
【図5】本発明の防振台の動作を説明する図で、(a)は防振台に応力が加わっていない状態の横断面図、(d)は防振台にY方向の応力が加わった状態の横断面図である。
【図6】本発明の防振台の変形例を示し、(a)、(b)、(c)はそれぞれ、別々の変形例を示す防振台の横断面図である。
【図7】本発明の防振台のさらに別の変形例を示し、(a)は防振台に応力が加わっていない状態の横断面図、(b)は防振台にY方向の応力が加わった状態の横断面図、(c)は防振台にX方向の応力が加わった状態の横断面図である。
【符号の説明】
10 下ブロック
11 上ブロック
12 ゴム状弾性体
13、14 取り付け孔
15 ゴム壁
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
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