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明細書 :車両用換気装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4316764号 (P4316764)
公開番号 特開2001-233207 (P2001-233207A)
登録日 平成21年5月29日(2009.5.29)
発行日 平成21年8月19日(2009.8.19)
公開日 平成13年8月28日(2001.8.28)
発明の名称または考案の名称 車両用換気装置
国際特許分類 B61D  27/00        (2006.01)
B60H   1/24        (2006.01)
FI B61D 27/00 D
B60H 1/24 661Z
請求項の数または発明の数 2
全頁数 7
出願番号 特願2000-044732 (P2000-044732)
出願日 平成12年2月22日(2000.2.22)
審査請求日 平成18年7月11日(2006.7.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
発明者または考案者 【氏名】山城 秀夫
【氏名】坂中 哲
【氏名】杉本 直
【氏名】山口 修利
【氏名】吉村 正文
【氏名】田川 直人
個別代理人の代理人 【識別番号】100110386、【弁理士】、【氏名又は名称】園田 敏雄
審査官 【審査官】西中村 健一
参考文献・文献 特開平10-071950(JP,A)
特開平05-294236(JP,A)
特表平09-509384(JP,A)
特開平08-040267(JP,A)
特開平08-040268(JP,A)
特開平09-104344(JP,A)
調査した分野 B61D 27/00
B60H 1/24
特許請求の範囲 【請求項1】
車内と車外を連通する給気通風管と給気流量調整弁、及び排気通風管と排気流量調整弁を備えた換気装置において、
給気流量と排気流量を計測する手段と、給排気流量差を推定し、それが設定した給排気流量差以内になるように給気流量調整弁、排気流量調整弁の開度を制御する制御器を設けており、
車内外圧力差を検知する手段を設けており、上記制御器が、上記給気流量調整弁と上記排気流量調整弁がともに閉鎖した場合には、上記車内外圧力差が給排気の可能な設定値以内になれば給気流量調整弁と排気流量調整弁を開制御する機能を有し、
給気流量が設定値以上に過剰に流れないように給気流量調整弁を制御する機能を上記制御器が有することを特徴とする車両用換気制御装置。
【請求項2】
車内と車外を連通する給気通風管と給気流量調整弁、及び排気通風管と排気流量調整弁を備えた換気装置において、
給気流量と排気流量を計測する手段と、給排気流量差を推定し、それが設定した給排気流量差以内になるように給気流量調整弁、排気流量調整弁の開度を制御する制御器を設けており、
上記給気流量調整弁と上記排気流量調整弁がともに閉鎖した場合には、給気流量調整弁と排気流量調整弁がともに閉鎖した状態から設定時間経過後に給気流量調整弁と排気流量調整弁を開制御するタイマーを上記制御器に設けており、
給気流量が設定値以上に過剰に流れないように給気流量調整弁を制御する機能を上記制御器が有することを特徴とする車両用換気制御装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は高速鉄道車両用換気装置に適用される車両用換気制御装置に関するものであり、比較的単純な制御手段により、必要な換気量を確保しつつ給排気量を適度に調整して、急激な内外圧力差の変動に関わらず車内圧力変化を許容範囲に抑制し、車内環境を快適な状態に維持し、かつ給気過剰による車内空調装置への過剰負荷を回避することができるものである。
【0002】
【従来の技術】
列車が高速でトンネルに突入する時やトンネルから脱出する時、あるいは対向車両とすれ違う時には急激な外気圧力の変動が生じ、これに応答して車内圧力も変動することになる。このような場合を考慮し、積極的な車内圧力制御手段を有していない場合には、耳つんと呼ばれる生理的不快感を生じることになる。
従来の鉄道車両用換気装置は、図7に示すように、車内と車外を連通する給気通風管と排気通風管及び給気取り込みのための手段(一般には送風機または走行風圧等を利用)と排気取り込みの手段(一般には送風機または車内外差圧等を利用)で構成されているが、車内圧力を積極的に制御する手段を有しないか、もしくは図8に示すように、給気流量及び排気流量を調整する流量調整弁2a,3aを給気通風管、排気通風管にそれぞれ備えるとともに、車内圧力計測器で計測した車内圧力または車内圧変化率に比例して給気流量調整弁2a、排気流量調整弁3aを作動させ、車内圧力または車内圧力変化率を制御するものであった。その一例が特開平6-144221号公報に記載されている。
【0003】
【解決しようとする課題】
従来装置のように車内圧力計測値から車内圧力や車内圧力変化率を推定し、これに基づいて上記両流量調整弁を制御する方法では、トンネル突入や脱出、列車すれ違い時の急激な車外圧力変化に対応して車内圧力や車内圧力変化率を迅速に制御するには、車内圧力計測計の精度や制御系の応答速度を高いものにしなければならなかった。
また、過剰な給気量に対する制御手段を持っていないことから、過剰な外気が流入するために列車内空調装置の負荷の増加を招くものであった。
そこで、本発明は、車内圧力計測から車内圧力や車内圧力変化率を推定してこれに基づいて給排気量を調整するのではなく、車内圧力計測値の変化に比して変動の小さい給気流量および排気流量を計測し、その流量差により給排気量を調整するとともに、過剰な外気導入を抑制して必要な換気量を確保しつつ車内圧力変化を抑制して車内環境を快適な状態に維持して、車内空調装置への過剰な負荷を軽減し得る車両用換気制御装置を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題解決のために講じた手段は、車内と車外を連通する給気通風管と排気通風管及び給気流量を調節する給気流量調整弁と排気流量を調整する排気流量調整弁を備えた換気装置を前提として、給気流量と排気流量を計測する手段と制御器を設け、給排気流量差を推定し、その給排気流量差が設定された給排気流量差以内になるように給気流量調整弁、排気流量調整弁の開度を制御するようにしたことである。
また、上記給気流量調整弁と排気流量調整弁がともに閉鎖することを前提に制御される場合には、車内外圧力差を検知する手段またはタイマーを設け、給気流量調整弁、排気流量調整弁がともに閉鎖した場合には、車内外圧力差が給排気の可能な設定値以内になり、または給排気弁閉鎖時点から設定時間経過後になれば給気流量調整弁、排気流量調整弁を開制御するようにしたことが、他の解決手段である。
なお、車内圧力変化率と給排気流量差の関係は下式で表されるので、これから必要な車内圧力変化率を制御するための給排気流量差を設定することができる。
dp/dt={(v-vl)/V}×P・・・・▲1▼式
dp/dt:車内圧力変化率
v:給排気流量差
vl:漏洩量(車体の隙間から車外に漏洩する空気流量)
V:車内の換気区画容積
P:車内圧力
また、給気流量を検知する手段により給気流量を検知して、設定値以上の給気量が流入しないように、給気流量調整弁を制御することが、さらに他の解決手段である。
【0005】
【作用】
車外圧力が車内圧力に比べ高くなると給気流量が増加し、排気流量が減少する傾向となり、車内圧力は上昇に向かう。逆に、車外圧力が車内圧力に比べ低くなると、給気流量は減少し、排気流量は増加する傾向となり、車内圧力は下降に向かう。このとき給気流量と排気流量の流量差を検知し、その流量差を設定値以内に保つように給気流量調整弁と排気流量調整弁を制御し、車内圧力変化を緩やかな状態に抑制しつつ換気を行う。すなわち、給気流量が増加する場合には、給排気流量差が設定値以内となるように、排気流量調整弁の開度を増加させるか、それでも給気流量が過大である場合には、給気流量調整弁の開度を絞る制御を行う。
反対に、排気流量が増加する場合には、給排気流量差が設定値以内となるように、給気流量調整弁の開度を増加させ、それでも排気流量が過大である場合には排気流量調整弁の開度を絞る制御を行う。
また、給気流量調整弁、排気流量調整弁のいずれもが閉鎖状態となることを前提とした制御を行う場合には、車内外圧力差を検知することにより、車内外圧力差が当該換気装置の有する給排気昇圧性能以内であれば給排気弁を開動作させ、換気動作を復帰させる。
または、上記の車内外圧力差検知手段の代わりに、タイマーを設置し、給排気弁が閉鎖した時点から設定時間経過後に給排気弁を開動作させることにより、換気動作を復帰させることも可能である。
一方、給気流量を検知する手段により過剰な給気の流入を検知した場合には、給気流量が設定値以下になるように給気流量調整弁を制御して給気流量を絞り、空調装置に過剰な負荷がかかることを防止する。
【0006】
【実施例】
図1~図5を参照して、実施例1~実施例5を説明する。
図1に示す実施例1において、1は車体外壁、2は給気通風管、3は排気通風管、2aは給気流量調整弁、3aは排気流量調整弁、2bは給気流量計、3bは排気流量計、4aは制御器、6は排気送風機である。
そして、給気流量計2bと排気流量計3bで計測された給気流量、排気流量から、制御器4aで給排気流量差を推定し、それが設定した流量差以内となるように給気流量調整弁2aと排気流量調整弁3aの開度を制御する。
図2に示す実施例2において、1は車体外壁、2は給気通風管、3は排気通風管、2aは給気流量調整弁、3aは排気流量調整弁、2cは給気流量調整弁差圧計、3cは排気流量調整弁差圧計、4bは制御器、6は排気送風機である。
そして、給気流量調整弁差圧計2cと排気流量調整弁差圧計3cで計測されたそれぞれの差圧から、制御器4bで給気流量と排気流量、及び給排気流量差を推定し、その流量差が設定した流量差以内となるように給気流量調整弁2aと排気流量調整弁3aの開度を制御する。
一般に、弁を流れる空気流量の差は、弁の前後の差圧の平方根に比例する。また、車内圧力変化率は▲1▼式で示したように、給排気風量差に比例する。これらのことから、差圧計の誤差が車内圧力変化率に及ぼす影響度は、同様の誤差をもった車内圧力計測計を用いて車内圧力変化率を推算しこれに基づいて給排気の流量調整弁を制御する従来装置に比べて、計測計の誤差の平方根となることもあって、小さくなる。
なお、各流量調整弁差圧と流量との関係は図6に示す如くである。
図3に示す実施例3は、実施例1に車内外圧力差計5を設け、給気流量調整弁2a、排気流量調整弁3aがともに閉鎖した場合に、車内外圧力差が給排気が可能となる設定値以内になれば給気流量調整弁2a、排気流量調整弁3aを開制御する機能を制御器4cに設けたものである。
図4に示す実施例4は、実施例3の車内外圧力差計5に代えて制御器4dにタイマー機能を付加し、給気流量調整弁、排気流量調整弁が閉鎖した時点から設定時間経過後に当該弁を開動作させるものである。
図5に示す実施例5は、実施例1において過剰給気量が流入しないように、許容最大給気流量設定値を制御器4eに設定し、給気流量がこの設定値を越えることがないように給気流量調整弁を制御するものである。
【0007】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によると、従来装置のように車内圧力を計測し、その計測結果から車内圧力または車内圧力変化率を推定し、風量調整弁を作動させ、車内圧力または車内圧力変化率を制御するのに比べて、また、急激に変化する車内圧力の計測により制御するに比べて鈍感な給排気流量差を計測し、これが設定値以内になるように給気流量調整弁、排気流量調整弁を制御することによって、車内圧力変化を穏やかにしつつ必要な換気量を容易に確保することができ、また、給気流量検知手段により過剰な給気量の流入を抑制することで、空調装置に過大な負荷がかかることを防止できる。
したがって、車内環境を快適に維持しつつ、高精度で給排気制御を行うことができ、また、車両用換気制御装置の消費電力節減にも大きく寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は本発明の実施例1を模式的に示すものである。
【図2】は本発明の実施例2を模式的に示すものである。
【図3】は本発明の実施例3を模式的に示すものである。
【図4】は本発明の実施例4を模式的に示すものである。
【図5】は本発明の実施例5を模式的に示すものである。
【図6】は流量調整弁差圧と流量との関係を示すものである。
【図7】は従来例を模式的に示すものである。
【図8】は他の従来例を模式的に示すものである。
【符号の説明】
1:車両外壁
2:給気通風管
2a:給気流量調整弁
2b:給気流量計
2c:給気流量調整弁差圧計
3:排気通風管
3a:排気流量調整弁
3b:排気流量計
3c:排気流量調整弁差圧計
4a:制御器a
4b:制御器b
4c:制御器c
4d:制御器d
4e:制御器e
5:車内外差圧計
6:排気送風機
7:給気送風機
8:車内圧力変化率推定器
9:車内圧力計
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7