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明細書 :鉄道車両の全閉形駆動電動機

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3708781号 (P3708781)
公開番号 特開2001-238396 (P2001-238396A)
登録日 平成17年8月12日(2005.8.12)
発行日 平成17年10月19日(2005.10.19)
公開日 平成13年8月31日(2001.8.31)
発明の名称または考案の名称 鉄道車両の全閉形駆動電動機
国際特許分類 H02K  5/20      
H02K  5/18      
H02K  9/02      
FI H02K 5/20
H02K 5/18
H02K 9/02 Z
請求項の数または発明の数 6
全頁数 15
出願番号 特願2000-049842 (P2000-049842)
出願日 平成12年2月25日(2000.2.25)
審査請求日 平成14年7月16日(2002.7.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000221177
【氏名又は名称】東芝トランスポートエンジニアリング株式会社
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
発明者または考案者 【氏名】松岡 孝一
【氏名】近藤 稔
【氏名】八木 信行
【氏名】木下 力
個別代理人の代理人 【識別番号】100058479、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴江 武彦
【識別番号】100084618、【弁理士】、【氏名又は名称】村松 貞男
【識別番号】100068814、【弁理士】、【氏名又は名称】坪井 淳
【識別番号】100092196、【弁理士】、【氏名又は名称】橋本 良郎
【識別番号】100091351、【弁理士】、【氏名又は名称】河野 哲
【識別番号】100088683、【弁理士】、【氏名又は名称】中村 誠
【識別番号】100070437、【弁理士】、【氏名又は名称】河井 将次
審査官 【審査官】川端 修
参考文献・文献 特開昭58-112440(JP,A)
特開平11-285204(JP,A)
実開昭62-104552(JP,U)
実開平01-159563(JP,U)
調査した分野 H02K 5/20
H02K 5/18
H02K 9/02
特許請求の範囲 【請求項1】
シャフトを回転可能に支持する軸受けを備える支持手段を、フレームの端部に備えた鉄道車両の全閉形駆動電動機において、
前記支持手段のうち前記軸受け近傍の部分である軸受け支持部と前記支持手段の他の部分との間に、外気と連通しており前記シャフトと同心となる環状の冷却空間を形成し、
車両の進行にしたがって流れる走行風を前記環状の冷却空間に導く案内風道を備えたことを特徴とする鉄道車両の全閉形駆動電動機。
【請求項2】
請求項1記載の鉄道車両の全閉形駆動電動機において、
前記案内風道は、前記走行風を受ける側を開口し、
前記案内風道の中央の上下に配置され、前記案内風道に突出して前記案内風道を前記走行風を受ける側と排出する側となるように左右に仕切る仕切りリブをさらに具備し、
前記仕切りリブによって、前記走行風が積極的に前記案内風道の前記走行風を受ける側から前記環状の冷却空間に流入される
ことを特徴とする鉄道車両の全閉形駆動電動機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の鉄道車両の全閉形駆動電動機において、
前記軸受け支持部は、前記支持手段の他の部分と複数のリブによって支持されており、
前記複数のリブの間は、外気を前記環状の冷却空間に連通させるための連通口であることを特徴とする鉄道車両の全閉形駆動電動機。
【請求項4】
請求項3記載の鉄道車両の全閉形駆動電動機において、
前記複数のリブのうちの少なくとも一つに、冷却フィンを設けたことを特徴とする鉄道車両の全閉形駆動電動機。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の鉄道車両の全閉形駆動電動機において、
前記環状の冷却空間の壁に形成されているラビリンスよりも外気流入上流側の壁に備えられ、この外気流入上流側に開口しており、前記環状の冷却空間と同心となるように環状に設けられた回し溝を備えたことを特徴とする鉄道車両の全閉形駆動電動機。
【請求項6】
請求項5記載の鉄道車両の全閉形駆動電動機において、
前記回し溝のうち前記支持手段に備えられている回し溝近傍が、前記支持手段のうち回し溝近傍ではない部分と分離可能としたことを特徴とする鉄道車両の全閉形駆動電動機。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば鉄道車両用の全閉形駆動電動機に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄道車両(特に電車)用の駆動電動機(モータ)では、運転時の温度上昇が規定値を超えないように通風冷却を行っている。
【0003】
この通風冷却の方法としては、駆動電動機内の回転軸に装着した通風ファンの回転によって駆動電動機内部に外気を取り入れて駆動電動機内部を流通させ、発熱部の通風冷却を行うのが一般的である。
【0004】
しかしながら、このように駆動電動機内に外気を取り入れて流通させて冷却を行うと、外気に含まれる塵埃が機内に付着して汚損し放熱効果を低下させることがある。したがって、定期的に駆動電動機を分解して清掃等の手入れを行う必要があり、保守面から改善が要望されている。
【0005】
また、外気を流通させるための自己通風ファンの回転音が機内空気の吐き出し口から周囲に漏れ、特に回転数が大きくなる領域(高速運転領域)では大きな騒音となるため、この騒音の改善も要望されている。
【0006】
これらの問題を改善するために、近年、全閉形のモータの開発が進められている。全閉形駆動電動機の場合には、外気を機内に流通させないため、長期にわたって機内が塵埃で汚損されることがない。したがって、長期間分解しなくてもよく保守の省力化が可能となる。
【0007】
また、通風ファンが不要となることから、ファンの回転による騒音がなくなり、大幅な低騒音化を図れる。
【0008】
図10は、この従来の全閉形駆動電動機の構造を示す断面図である。この図10では、全閉形駆動電動機の備えるシャフトの回転軸が水平となるように配置し、この回転軸と平行な側断面における全閉形駆動電動機の上半部分を示しており、回転軸でほぼ対称となる下半部分は省略している。
【0009】
この従来の全閉形駆動電動機1は円筒状に形成されたフレーム2を持つ。このフレーム2の内周面には、空円筒状のステータ鉄心3が取り付けられている。
【0010】
ステータ鉄心3の内周面に設けられた多数の長手方向の溝にはステータコイル4が納められている。
【0011】
フレーム2の一方の端部には、軸受け5を備えたベアリングブラケット6が設けられており、またフレーム2の他方の端部には、軸受け7を設けたハウジング8が設けられている。
【0012】
軸受け5及び軸受け7は回転子であるシャフト9を回転自在に支持する。シャフト9は、フレーム2、ステータ鉄心3と同軸に設けられている。
【0013】
また、この軸受け5及び軸受け7にはシャフト9の回転動作を円滑に実行させるための潤滑グリース等の潤滑剤が充填されている。
【0014】
シャフト9の中央部分にはロータ鉄心10が設けられており、このロータ鉄心10の外周面に設けられた多数の溝の中に、ロータバー11が取り付けられている。
【0015】
ロータ鉄心10に発生した回転力は、シャフト9の端部9aより駆動装置に伝達される。
【0016】
フレーム2の外周面、及び他方の端部側面には、多数の冷却フィン2a、2bが設けられており、機内に発生した熱を外気に放熱する。
【0017】
また、ベアリングブラケット6の側面にも多数の冷却フィン6aが設けられている。
【0018】
図11は、上記のような従来の全閉形駆動電動機1の取り付け状態を示す外観図である。この図11は、全閉形駆動電動機1の備えるシャフト9の回転軸垂直方向であり、ベアリングブラケット6からこの全閉形駆動電動機1を見た図である。
【0019】
全閉形駆動電動機1は、フレーム2の一部に設けられた支持腕2c、2dによって台車枠12に固定支持されている。
【0020】
全閉形駆動電動機1に隣接してギヤ(大歯車)13とピニオン(小歯車)14と歯車箱15とで構成される駆動装置が設けられる。
【0021】
全閉形駆動電動機1の回転力は、シャフト9の端部9aよりピニオン14に伝達され、ピニオン14と噛み合っているギヤ13を介して車輪16の車軸16aを回転させる。これにより、車両17がレール18上を走行する。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような従来の全閉形駆動電動機1の場合には、発熱部であるステータコイル4及びロータバー11がステータ鉄心3やロータ鉄心10を経てフレーム2やシャフト9から外気に放出されると共に、機内空気も加熱されこの熱がフレーム2やベアリングブラケット6、ハウジング8に伝達されて外気に放出される。
【0023】
したがって、この従来の全閉形駆動電動機1の場合には、装置全体が温度上昇した状態となる。なお、自己通風冷却モータの場合には、発熱部を直接冷却風が流通するため、発熱部の熱は冷却風によって外部に排出される比率が高く、フレーム、ベアリングブラケット、シャフト等の他の部分の温度は大きくならない。
【0024】
従来の全閉形駆動電動機1における軸受け5、7の内部、及び軸受け5、7の両側面の空間部には潤滑グリースが充填されており、軸受けを潤滑している。
【0025】
このような全閉形駆動電動機1の場合、機内の熱によりベアリングブラケット6、ハウジング8、シャフト9等が自己通風形冷却の駆動電動機に比べて大幅に温度が高くなる。
【0026】
ゆえに、潤滑グリースの熱劣化が早く、潤滑寿命が短くなって早期のグリース交換が必要になる。
【0027】
全閉形駆動電動機1は機内の汚損を防止し、非分解期間の延長を図ることにより保守の省力化を図るものであるが、上記のように軸受け5、7の潤滑グリースの交換のために早期に分解を行わなければならないのは問題である。
【0028】
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたもので、軸受け部分の温度上昇を抑制し、潤滑グリースの早期劣化を防止することにより、非分解期間の延長を図る全閉形駆動電動機を提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】
本発明を実現するにあたって講じた具体的手段について以下に説明する。
【0030】
第1の発明は、シャフトを軸受けにより回転可能に支持する全閉形回転電機に、軸受け近傍に冷却空間を設けている。
【0031】
なお、全閉形回転電機には、全閉形駆動電動機(モータ)や、全閉形発電機等がある。
【0032】
この第1の発明により、全閉形回転電機で発生した熱が軸受けに伝えられることを防止することができる。
【0033】
ゆえに、軸受け部分の温度上昇を抑制し、潤滑グリースの早期劣化を防止して非分解期間が延長され、保守を省力化させることができる。
【0034】
第2の発明は、シャフトを軸受けにより回転可能に支持する全閉形回転電機において、外部と内部とを区分けする境界部分と軸受け近傍の部分である軸受け支持部との間に、冷却空間を設けた全閉形回転電機である。
【0035】
この第2の発明においては、境界部分と軸受け支持部との間に冷却空間を設けているため、境界部分を経て軸受けに伝わる熱を低下させることができる。
【0036】
一般に、全閉形回転電機では、フレームやベアリングブラケットやハウジング等の境界部分の温度が大きくなるが、この温度が軸受けに伝わることを防止することができる。
【0037】
ゆえに、軸受け部分の温度上昇を抑制し、潤滑グリースの早期劣化を防止して非分解期間が延長され、保守を省力化させることができる。
【0038】
第3の発明は、第1又は第2の発明の全閉形回転電機において、冷却空間がシャフトと同心となる環状に形成された全閉形回転電機である。
【0039】
この第3の発明では、第1又は第2と同様の作用・効果に加えて、冷却空間がシャフトと同心の環状に形成されているため、境界部分から軸受け支持部へ向かうあらゆる方向からの熱の伝達が防止される。
【0040】
また、シャフトから軸受け支持部に熱が伝えられることも防止できる。
【0041】
ゆえに、一層軸受け部分の温度上昇を抑制し、潤滑グリースの早期劣化を防止して非分解期間が延長され、保守を省力化させることができる。
【0042】
第4の発明は、シャフトを回転可能に支持する軸受けを備える支持手段をフレームの端部に備えた鉄道車両の全閉形駆動電動機において、支持手段のうち軸受け近傍の部分である軸受け支持部と支持手段の他の部分との間に、外気と連通しておりシャフトと同心となる環状の冷却空間を形成し、車両の進行にしたがって流れる走行風を環状の冷却空間に導く案内風道を備えた鉄道車両の全閉形駆動電動機である。
この第4の発明において、案内風道は、走行風を受ける側を開口し、案内風道の中央の上下に配置され、案内風道に突出して案内風道を走行風を受ける側と排出する側となるように左右に仕切る仕切りリブをさらに具備し、仕切りリブによって、走行風が積極的に案内風道の走行風を受ける側から環状の冷却空間に流入されるとしてもよい。
【0043】
この第4の発明の鉄道車両の全閉形駆動電動機では、例えばフレームの内周面にはステータが構成されており、このフレームの端部に支持手段であるベアリングブラケットとハウジングが備えられており、このベアリングブラケットとハウジングとにそれぞれ軸受けが備えられているとしてもよい。
【0044】
また、ベアリングブラケットやハウジングは円形状であり、内径部分(中心近傍部)が軸受け支持部であり、外径部分(円周近傍部)が軸受け支持部ではない他の部分としてもよい。
【0045】
このような場合、ステータで発生した熱がフレームを介してベアリングブラケットやハウジングに伝えられるが、冷却空間があるためこのベアリングブラケットやハウジングの内径部である軸受け支持部にまで熱が伝達されることが防止される。
【0046】
ゆえに、軸受け部分の温度上昇を抑制し、潤滑グリースの早期劣化を防止して非分解期間が延長され、保守を省力化させることができる。
また、走行風が案内風道により積極的に冷却空間に導かれるため、一層冷却効果を向上させることができる。
【0047】
第5の発明は、第4の発明の鉄道車両の全閉形駆動電動機において、軸受け支持部が支持手段の他の部分と複数のリブによって支持されており、複数のリブの間が外気を環状の冷却空間に連通させるため連通口である鉄道車両の全閉形駆動電動機である。
【0048】
この第5の発明のように、リブを介して軸受け支持部が支持手段の他の部分とを接続し、このリブ間を外気の連通口とすることにより、一層支持手段の他の部分から軸受け支持部に熱が伝わることを防止できる。
【0049】
第6の発明は、第5の発明の鉄道車両の全閉形駆動電動機において、複数のリブのうちの少なくとも一つに、冷却フィンを設けた鉄道車両の全閉形駆動電動機である。
【0050】
この第6の発明のように、リブに冷却フィンを設けることで、一層冷却効果を向上させることができる。
【0051】
第7の発明は、第4から第6の発明の鉄道車両の全閉形駆動電動機において、環状の冷却空間の壁に形成されているラビリンスよりも外気流入上流側の壁に備えられ、この外気流入上流側に開口しており、環状の冷却空間と同心となるように環状に設けられた回し溝を備えた鉄道車両の全閉形駆動電動機である。
【0052】
この第7の発明においては、外気とともに冷却空間に水等が侵入した場合であっても、回し溝によって水等がラビリンスを介して機内や軸受け等に侵入することを防止することができる。
【0053】
ゆえに、非分解期間が延長され、保守を省力化させることができる。
【0054】
第8の発明は、第7の発明の鉄道車両の全閉形駆動電動機において、回し溝のうち支持手段に備えられている回し溝近傍が、支持手段のうち回し溝近傍ではない部分と分離可能とした鉄道車両の全閉形駆動電動機である。
【0055】
この第8の発明においては、この回し溝近傍部分を加工しておき、その後各部分を組み立てて鉄道車両の全閉形駆動電動機を構成することができ、容易に加工することができる。
【0058】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0059】
(第1の実施の形態)
本実施の形態においては、軸受け近傍に環状の冷却用空間を設けた全閉形駆動電動機について説明する。
【0060】
図1は、本実施の形態に係る全閉形駆動電動機の構成を示す断面図である。この図1も先で述べた図10と同様に、全閉形駆動電動機の備えるシャフトの回転軸が水平となるように配置し、この回転軸と平行な側断面における全閉形駆動電動機の上半部分を示しており、回転軸でほぼ対称となる下半部分は省略している。
【0061】
この図1に示す部分のうち、先の図10と同様の部分については同一の符号を付してその説明を簡略化するか、あるいは簡単に説明する。
【0062】
全閉形駆動電動機19のフレーム2内周側にステータ鉄心3が設けられ、このステータ鉄心3の内周側に設けられた溝にステータコイル4が納められている。
【0063】
フレーム2の一端にはベアリングブラケット20が支持され、他端にはハウジング21が支持される。
【0064】
また、フレーム2の外周部には冷却フィン2a、2bが多数設けられ、ベアリングブラケット20にも冷却フィン6aが多数設けられている。
【0065】
軸受け5、7によって支持されるシャフト9の機内中央部には、ロータ鉄心10が固定され、ロータ鉄心10の外周部にはロータバー11が取り付けられている。シャフト9の一端9aは図示していない駆動装置と結合されている。
【0066】
上記のベアリングブラケット20は、円形状に形成されており(中心部分をシャフト9が貫通するため環状ともいえる)、シャフト9と同心となるように外周部分でフレーム2の一端に配置されている。このベアリングブラケット20は、主に外径部、内径部、この外径部と内径部とを接続するリブ20aとから構成されている。
【0067】
すなわち、このベアリングブラケット20の内径部(中心部)には外径部と複数のリブ20aを介して接続された軸受け支持部20bが設けられており、この軸受け支持部20bに備えられた軸受け5により先に述べたようにシャフト9が回転自在に支持される。
【0068】
ハウジング21も同様に、円形状に形成されており、シャフト9と同心となるようにフレーム2の他端に配置されている。ハウジング21の内径部には外径部と複数のリブ21aを介して接続された軸受け支持部21bが設けられており、この軸受け支持部21bに備えられた軸受け7によりシャフト9が回転自在に支持される。
【0069】
図2は、本実施の形態に係る全閉形駆動電動機19をベアリングブラケット20側から見た外観図であり、シャフト9の回転軸を垂直方向から見た場合を示している。
【0070】
ベアリングブラケット20外径部の内周側、このベアリングブラケット20の内径部の軸受け支持部20bの外周側、ベアリングブラケット20外径部と軸受け支持部20bとを連結するリブ20aとで囲まれた空間(リブ20a間の空間)は、連通口22となる。
【0071】
図3は、図1に示す全閉形駆動電動機19の軸受け5近傍を拡大した断面図である。
【0072】
軸受け5は、長手方向(シャフトの回転軸方向)を端フタ23及びカラー24、25によって固定され、軸受け5内と軸受け5の側面の空間部に潤滑グリースが充填されている。
【0073】
ベアリングブラケット20外径部の内周側であって機内側の端部を内径側(シャフト9側)に伸展し、この伸展したベアリングブラケット20外径部の内周・機内側とカラー25との間に微少間隙で形成されるラビリンス26を構成する。
【0074】
フレーム2やベアリングブラケット20、ハウジング21で囲まれる機内側の空間と軸受け支持部20bとの間には、シャフト9と同心の環状の空間27が形成されている。
【0075】
この環状の空間27は、リブ20aの間に形成された連通口22によって機外の外気と連通している。なお、外気と連通している状態とは、外気が侵入可能な状態をいう。
【0076】
一方、ハウジング21の側も、このベアリングブラケット20側と同様に、機内の空間と軸受け支持部21bとの間に環状の空間28が形成されている。
【0077】
上記のような構成を持つ本実施の形態に係る全閉形駆動電動機1の冷却作用について以下に説明する。
【0078】
この全閉形駆動電動機1内のステータコイル4より発生した熱は、ステータ鉄心3を経てフレーム2、ベアリングブラケット20外径部に伝わる。また、ステータコイル4及びロータバー11より発生した熱は、機内空気を介してフレーム2及びベアリングブラケット20外径部に伝わる。
【0079】
このフレーム2及びベアリングブラケット20外径部に伝わった熱は、フレーム2、ベアリングブラケット20の表面及び冷却フィン2a、2b、6aにより効果的に外気に放出され、発熱部の温度が抑制される。
【0080】
ベアリングブラケット20外径部及びハウジング21外径部を温度上昇させた熱は、リブ20a、21aを経て軸受け支持部20b、21bに伝達されるが、環状の空間27、28内に直接外気が流通(自然流通)しているため、リブ20a、21aは外気により冷却される。
【0081】
したがって、軸受け支持部20b、21bに伝わる熱は抑制されるため、軸受け5、7の温度上昇も抑制される。
【0082】
このように、機内側から軸受け5、7に伝わる熱が環状空間27、28により抑制されることにより、軸受け5、7の温度上昇が低くなり、潤滑グリースの熱劣化が防止される。
【0083】
以上説明したように、本実施の形態に係る全閉形駆動電動機1においては、外壁を構成するベアリングブラケット20及びハウジング21の内径部分に、軸受け5、7を支持して潤滑グリースを充填する軸受け支持部20b、21bを構成している。
【0084】
ここで、本実施の形態においては、フレーム2に固定されているベアリングブラケット20内径部の軸受け支持部20bとベアリングブラケット20の外径部とが、複数のリブ20aによって支持されている。同様に、フレーム2に固定されているハウジング21内径部の軸受け支持部21bとハウジング21の外径部とが、複数のリブ21aによって支持されている。
【0085】
また、軸受け支持部20b、21bと機内空間との間の長手方向に、シャフト9の回転軸を中心とする環状の空間27、28が形成される。すなわち、この環状の空間27、28は、ベアリングブラケット20外径部及びハウジング21外径部(機内の空間と機外の空間とを区分けする境界部分)と軸受け支持部20b、21bとの間に存在する。この環状の空間27、28は、リブ20a、21aの間に構成された連通口22により外気を連通させている。
【0086】
したがって、本実施の形態に係る全閉形駆動電動機1においては、環状の空間27、28に外気が常に流通するため、フレーム2や機内空気からベアリングブラケット20外径部、ハウジング21外径部に伝わる熱が、リブ20a、21aを経て軸受け支持部20b、21bに伝わる間に冷却される。
【0087】
これにより、軸受け5、7を備える軸受け支持部20b、21bの温度上昇が抑制される。また、シャフト9より軸受け支持部20b、21bに伝達される熱も環状の空間27、28で冷却されるため、温度上昇を低減させることができる。
【0088】
ゆえに、潤滑グリースの早期劣化を防止して非分解期間の延長が可能となり、保守を省力化させることができる。
【0089】
(第2の実施の形態)
本実施の形態では、先で説明した第1の実施の形態に係る全閉形駆動電動機19の変形例について説明する。
【0090】
本実施の形態においては、加工容易とするためにベアリングブラケットとカラーとの間をキャップにより連結しており、また内部への水等の侵入を防止するためにこのキャップの環状空間側の面に溝を設けた全閉形駆動電動機について説明する。
【0091】
図4は、本実施の形態に係る全閉形駆動電動機の軸受け近傍を示す断面図であり、先の図3と同様の状況で図示している。また、この図4において図3と同一の部分についてはその説明を省略するか、あるいは簡単に説明し、ここでは異なる部分についてのみ詳しく説明する。
【0092】
円形状に形成されたベアリングブラケット29の内径部には、外径部と複数のリブ29aによって接続された軸受け支持部29bが支持されており、この軸受け支持部29bに軸受け5が支持されており、シャフト9を回転自在に支持している。
【0093】
ベアリングブラケット29外径部の内周部分の機内側は、環状のキャップ30の外周端部とボルト31により固定されている。
【0094】
キャップ30は、機内空間と軸受け支持部29bとの間に環状の空間27を形成している。この環状の空間27は、リブ29aの間の連通口22により機外の外気と連通している。
【0095】
また、キャップ30は、先に述べたように外周端部でベアリングブラケット29外周部の内周側と固定されているが、これに対しキャップ30の内径部はカラー25によりラビリンス32を構成している。
【0096】
環状の空間27内において、ベアリングブラケット29内径部の軸受け支持部29bには、外周側に開口した溝である回し溝33が設けられている。
【0097】
さらに、環状の空間27内において、キャップ30にも外周側に開口した同様の回し溝34が設けられている。
【0098】
回し溝33の内径側ではカラー25との間に微少間隙で構成されたラビリンス35が構成されている。また、先に述べたように、回し溝34の内径側にもカラー25との間に微少間隙で形成されたラビリンス32が構成されている。
【0099】
本実施の形態に係る全閉形駆動電動機においては、ハウジング側でも上記と同様の構成を実現してもよい。
【0100】
上記のような構成を持つ本実施の形態に係る全閉形駆動電動機においては、環状の空間27内に機外より水が侵入した場合、壁に沿って進行した水が回し溝33、34内に集められて、下方に回り込んだあと、機外に排出される。
【0101】
これにより、水がラビリンス35、32の微少間隙内に侵入することがなくなり、軸受け5内及び機内へ水が侵入することを防止することができる。
【0102】
電車モータは床下の台車に搭載されるため、走行時に水や雪がモータにかかる場合があるが、本実施の形態に係る全閉形駆動電動機であればこのような場合にも水が機内や軸受け5、7内に侵入することを防止することができる。
ゆえに、非分解期間の延長が可能となり、保守を省力化させることができる。
【0103】
また、本実施の形態に係る全閉形駆動電動機においては、ベアリングブラケット29とキャップ30とを分割できる構造としているため、回し溝33、34部分等を機械加工等で容易に加工することができる。
【0104】
(第3の実施の形態)
本実施の形態においては、先で説明した第1又は第2の実施の形態に係る全閉形駆動電動機の変形例であり、リブを薄板状に形成することで冷却効率を向上させた全閉形駆動電動機について説明する。
【0105】
図5は、本実施の形態に係る全閉形駆動電動機のリブ近傍を拡大した外観図であり、先の図2と同様の状況で図示した場合の一部分を示している。
【0106】
本実施の形態に係る全閉形駆動電動機においては、ベアリングブラケット36とこのベアリングブラケット36外径部と内径部の軸受け支持部37とが多数の薄板状のリブ38で支持されている。
リブ38間は、環状の空間と外気を連通する連通口39が形成されている。
【0107】
本実施の形態のように、リブ38を薄くして多数設けることにより、リブ38全体の外気に接触する面積を増大させることができ、冷却性を一層向上させることができる。
【0108】
これにより、軸受け支持部37に伝わる熱量を低下させることができ、軸受けの温度上昇を更に防止することができる。
【0109】
ゆえに、潤滑グリースの早期劣化を防止して非分解期間の延長が可能となり、保守を省力化させることができる。
【0110】
(第4の実施の形態)
本実施の形態においては、先で説明した第1から第3の実施の形態に係る全閉形駆動電動機の変形例であり、リブに冷却フィンを設けた全閉形駆動電動機につて説明する。
【0111】
図6は、本実施の形態に係る全閉形駆動電動機のリブ近傍を拡大した外観図であり、先の図5と同様の状況で図示した場合を示している。なお、以下において上記の各図と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0112】
本実施の形態に係る全閉形駆動電動機では、リブ40の長手方向とほぼ直交する板状の冷却フィン41がこのリブ40に設けられている。リブ40の間は連通口42となっている。
【0113】
図7は、本実施の形態に係る全閉形駆動電動機のリブ40近傍を示す断面図であり、先の図4と同様の状況で図示している。
【0114】
このように、本実施の形態においては、ベアリングブラケット20内径部の軸受け支持部20bを支持するリブ40に冷却フィン41を一体に設けている。
【0115】
ベアリングブラケット20よりリブ40を経て軸受け支持部20bに伝わる熱は、この冷却フィン41により大気に効果的に放出されるため、軸受け支持部20bへ伝わる熱は一層減少し、軸受けの温度上昇を更に低減させることができる。
【0116】
ゆえに、潤滑グリースの早期劣化を防止して非分解期間の延長が可能となり、保守を省力化させることができる。
【0117】
(第5の実施の形態)
本実施の形態においては、先で説明した第1から第4の実施の形態に係る全閉形駆動電動機の変形例であり、軸受け支持部の機外側に環状の空間内に走行風を導入するための案内風道を設けた全閉形駆動電動機について説明する。
【0118】
図8は、本実施の形態に係る全閉形駆動電動機をベアリングブラケット側から見た外観図であり、先の図2と同様の状況で図示している。
【0119】
また、図9は、本実施の形態に係る全閉形駆動電動機の軸受け近傍を示す断面図であり、図8の断面ア-イの状態であり、図3、4等と同様の状態で図示している。
【0120】
なお、以下において、上記の各図と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0121】
この全閉形駆動電動機43では、ベアリングブラケット20外径部の内周側がリブ20a及び仕切りリブ44により軸受け支持部20bを支持している。また、機内と軸受け5との間には環状の空間27が形成されている。
【0122】
この全閉形駆動電動機43は、先の図11で説明した従来の全閉形駆動電動機1と同様の状態で鉄道車両に備えられる。
【0123】
ここで図8に示すように、本実施の形態に係る全閉形駆動電動機43を備えた鉄道車両が左方向Aへ走行すると、この全閉形駆動電動機43は、走行方向Aの逆方向B(右方向)の走行風を受ける。
【0124】
環状の空間27は、先の実施の形態で述べた場合と同様に、リブ20aや仕切りリブ44の間に形成された連通口45によって外気に連通されている。
【0125】
本実施の形態に係る全閉形駆動電動機43には、ベアリングブラケット20の連通口45を覆う案内風道46が設けられている。
【0126】
図8に示すように、案内風道46は、走行風を受ける側を開口し、中央の上下に配置された仕切りリブ44は、風道内に突出して案内風道46を走行風を受ける側と排出する側(すなわち左右)に仕切っている。
【0127】
上記のような構成を持つ本実施の形態に係る全閉形駆動電動機43の作用について以下に説明する。
【0128】
車両の進行に伴って走行風が案内風道46内に流入するが、この流入した走行風は案内風道46内で突出している仕切りリブ44によって積極的に進入側の連通口45から環状の空間27に流入される。
【0129】
さらに、環状の空間27に流入された走行風は、排出側の連通口4から案内風道46に排出され、機外に排出される。
【0130】
以上説明したように、本実施の形態に係る全閉形駆動電動機43においては、車両運行時の走行風を積極的に環状の空間27内に流通させるため、冷却効果が一層向上され、軸受け5の温度上昇をさらに低減させることができる。
【0131】
ゆえに、潤滑グリースの早期劣化を防止して非分解期間の延長が可能となり、保守を省力化させることができる。
【0132】
このように風を積極的に冷却用空間内に取り入れる構造を利用するのは、ベアリングブラケット側のみではなく、ハウジング側に適用してもよい。
【0133】
なお、上記各実施の形態においては、全閉形駆動電動機の内気と外気とを区分けする外壁部分がフレームとベアリングブラケット外径部とハウジングとで構成されている場合を例として説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、全ての外壁部分がフレームにより構成されていても同様の構成(外壁部分と軸受け支持部との間に冷却空間を設ける)とすることで、同様の作用・効果を得ることができる。
【0134】
また、上記各実施の形態においては、ベアリングブラケットが外径部とリブと軸受け支持部とで一体として構成されるとしているが、外径部とリブと軸受け支持部とを別の構成としてもよい。ハウジングも同様に外径部とリブと軸受け支持部とを別の構成としてもよい。
【0135】
また、上記各実施の形態においては、全閉形駆動電動機に特別の冷却構造を適用した場合を説明しているが、これに限定されるものではなく、例えば全閉形の発電機等のような各種の全閉形回転電機に対して同様の冷却構造を適用可能である。
【0136】
【発明の効果】
以上詳記したように本発明の鉄道車両の全閉形駆動電動機においては、内部と外部とを区分けする境界部分と軸受けを支持する部分との間に冷却空間を設けている。
【0137】
したがって、鉄道車両の全閉形駆動電動機内部からの熱が境界部分に伝わっても、その先の軸受けを支持する部分にまで伝わることを防止する。
【0138】
また、本発明においては、冷却空間をシャフトと同心となる環境に形成することで、シャフトから軸受け支持部に熱が伝わることも防止している。
【0139】
これにより、全閉形とすることによって得られる効果に加えて、軸受け部分の温度上昇を防止することができる。
【0140】
ゆえに、軸受け部分の温度上昇を抑制し、潤滑グリースの早期劣化を防止することができ、非分解期間が延長され、保守作業が省力化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る全閉形駆動電動機の構成を示す断面図。
【図2】同実施の形態に係る全閉形駆動電動機をベアリングブラケット側から見た外観図。
【図3】同実施の形態に係る全閉形駆動電動機の軸受け近傍を拡大した断面図。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る全閉形駆動電動機の軸受け近傍を示す断面図。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る全閉形駆動電動機のリブ近傍を拡大した外観図。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る全閉形駆動電動機のリブ近傍を拡大した外観図。
【図7】同実施の形態に係る全閉形駆動電動機のリブ近傍を示す断面図。
【図8】本発明の第5の実施の形態に係る全閉形駆動電動機をベアリングブラケット側から見た外観図。
【図9】同実施の形態における包括部の要素である連続性付与部の構成を示す断面図。
【図10】従来の全閉形駆動電動機の構造を示す断面図。
【図11】従来の全閉形駆動電動機の取り付け状態を示す外観図。
【符号の説明】
1、19、43…全閉形駆動電動機
2…フレーム
3…ステータ鉄心
4…ステータコイル
5、7…軸受け
6、20、29、36…ベアリングブラケット
8、21…ハウジング
9…シャフト
10…ロータ鉄心
11…ロータバー
20b、21b、29b、37…軸受け支持部
22、39、42、45…連通口
23…端フタ
24、25…カラー
26、32、35…ラビリンス
27、26…空間
20a、29a、38、40…リブ
2a、2b、6a、41…冷却フィン
33、34…回し溝
30…キャップ
44…仕切りリブ
46…案内風道
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10