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明細書 :振動遮断構造

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4229572号 (P4229572)
公開番号 特開2001-317074 (P2001-317074A)
登録日 平成20年12月12日(2008.12.12)
発行日 平成21年2月25日(2009.2.25)
公開日 平成13年11月16日(2001.11.16)
発明の名称または考案の名称 振動遮断構造
国際特許分類 E02D  31/08        (2006.01)
FI E02D 31/08
請求項の数または発明の数 7
全頁数 9
出願番号 特願2000-138242 (P2000-138242)
出願日 平成12年5月2日(2000.5.2)
審査請求日 平成18年7月31日(2006.7.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
発明者または考案者 【氏名】矢口 直幸
【氏名】羽矢 洋
【氏名】半坂 征則
【氏名】池亀 真樹
【氏名】伴 薫
【氏名】倉本 隆宏
個別代理人の代理人 【識別番号】100077517、【弁理士】、【氏名又は名称】石田 敬
【識別番号】100092624、【弁理士】、【氏名又は名称】鶴田 準一
【識別番号】100082898、【弁理士】、【氏名又は名称】西山 雅也
【識別番号】100081330、【弁理士】、【氏名又は名称】樋口 外治
審査官 【審査官】石村 恵美子
参考文献・文献 実開平01-180544(JP,U)
特開昭63-114726(JP,A)
特開平10-252087(JP,A)
調査した分野 E02D 31/08
E02D 27/34
特許請求の範囲 【請求項1】
振動発生源により発生せしめられた地盤振動が振動発生源の周辺の構造物に伝達されるのを防止する振動遮断構造の形成方法であって、
振動発生源と構造物の間の地盤に地表から下方に延びるように溝を形成するステップと、
溝内に予め形成される立体網状体を、立体網状体の内部に土砂が流入するのを防止する土砂流入防止手段を溝の壁面と立体網状体の間に介装して配設するステップと、を含み、
立体網状体がプラスチックから成る線状材を屈曲させて、空隙を残しながら隣接するものどうしを立体的に接合させ乾麺状に成形して形成され、耐土圧性が確保される範囲で、できるだけ低い圧縮弾性率が得られるように、立体網状体を構成するプラスチックの線径、および、または、空隙率を選択する、
ことを特徴とする振動遮断構造の形成方法。
【請求項2】
立体網状体がポリプロピレン樹脂からなる線状体であり、
線径が1.5mm、空隙率が90%の場合を基準とし、
より低い土圧しか作用しない場合には、線径を小さく、および、または、空隙率を大きくし、
より高い土圧が作用する場合には、線径を大きく、および、または、空隙率を小さくする、
ことを特徴とする請求項1に記載の振動遮断構造の形成方法
【請求項3】
地表に近い側に配設される部分の圧縮弾性率を低く、地表に遠い側に配設される部分の圧縮弾性率を高くする、ことを特徴とする請求項1に記載の振動遮断構造の形成方法
【請求項4】
土砂流入防止手段を、立体網状体の表層領域に細密立体網部分を内側領域と一体に成形してなるである、ことを特徴とする請求項1に記載の振動遮断構造の形成方法。
【請求項5】
立体網状体、深さ方向の中間部または底部に横方向に窪んだ凹部を有して、成形する、ことを特徴とする請求項1に記載の振動遮断構造の形成方法
【請求項6】
、構造物を周囲するように形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の振動遮断構造の形成方法
【請求項7】
、構造物の下面にも形成する、ことを特徴とする請求項6に記載の振動遮断構造の形成方法
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は振動発生源により発生せしめられた地盤の振動が周辺の構造物に伝わるのを低減する振動遮断構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄道や道路を列車や自動車が走行すると、あるいは、工場や工事現場で大きな機械が作動すると、それらの設置されている地盤が振動する。この振動は表面に近い地盤内を伝播し、鉄道や道路、あるいは工場や工事現場の周辺の構造物に伝わり、この構造物を振動させ、構造物内の居住者を不快にさせたり、あるいは、構造物の構造部材等を劣化、疲労させたりすることがある。
【0003】
そこで振動が周辺の構造物に伝わらないようにする振動遮断構造が提案されている。例えば、建物の周りの地盤に溝を形成し、その中に、例えば、発泡スチロール(以下EPSという)から成るブロック、あるいは、廃ゴム材を焼き固めたゴムブロック等の振動低減部材を埋め込んで成る振動遮断構造が提案されている。
【0004】
上記のように溝の中に配設される振動低減部材には、振動低減性と、地盤の土圧に耐えると共に、溝の崩落を防止する耐土圧性が要求されるが、これらは溝が形成される地盤の特性に合わせる必要がある。
ところが、上記のEPSのブロック、あるいは、ゴムブロックは固体形状物に近く、上記の振動低減性と耐土圧性を決定する圧縮弾性率(加えられた圧縮力に対する縮小量の比率であって、低いほど柔軟で縮みやすく、高いほど硬くて縮みにくい)等の物性を地盤の特性に合わせて調整することが難しい。
例えば、軟弱な地盤では、振動低減効果を高めるためにはより低い圧縮弾性率が要求されるが、EPSやゴムブロックではこの要求に充分に応えられない場合もある。一方、硬い地盤では土圧が高く、それに耐え得る耐土圧性が要求されるがEPSやゴムブロックではこの要求に応えられない場合もある。
また、EPSのブロックは軽量であり、運搬等は容易であるが溝に配設した後に地下水圧によって浮上してくる可能性があり施工後の安定性に問題があり、ゴムブロックは重いが曲がり易くて運びにくく、運搬性、作業性が悪いという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題に鑑み、地盤の特性に合わせた物性を得やすく、運搬性、作業性が良く、施工後の安定性も良い振動遮断構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明によれば、振動発生源により発生せしめられた地盤振動が振動発生源の周辺の構造物に伝達されるのを防止する振動遮断構造の形成方法であって、
振動発生源と構造物の間の地盤に地表から下方に延びるように溝を形成するステップと、溝内に予め形成される立体網状体を、立体網状体の内部に土砂が流入するのを防止する土砂流入防止手段を溝の壁面と立体網状体の間に介装して配設するステップと、を含み、
立体網状体がプラスチックから成る線状材を屈曲させて、空隙を残しながら隣接するものどうしを立体的に接合させ乾麺状に成形して形成され耐土圧性が確保される範囲で、できるだけ低い圧縮弾性率が得られるように、立体網状体を構成するプラスチックの線径、および、または、空隙率を選択する、ことを特徴とする振動遮断構造の形成方法が提供される。
このように振動遮断構造を形成することにより設置される地盤の特性に応じた圧縮弾性率を有する立体網状体が使用され効果的に振動を遮断することができる。
【0007】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明において、立体網状体がポリプロピレン樹脂からなる線状体であり、
線径が1.5mm、空隙率が90%の場合を基準とし、
より低い土圧しか作用しない場合には、線径を小さく、および、または、空隙率を大きくし、
より高い土圧が作用する場合には、線径を大きく、および、または、空隙率を小さくする、振動遮断構造の形成方法が提供される。
請求項3の発明によれば、請求項1の発明において、地表に近い側に配設される部分の圧縮弾性率を低く、地表に遠い側に配設される部分の圧縮弾性率を高くする振動遮断構造の形成方法が提供される。
請求項4の発明によれば、請求項1の発明において、土砂流入防止手段を、立体網状体の表層領域に細密立体網部分を内側領域と一体に成形してなる振動遮断構造の形成方法が提供される。
請求項5の発明によれば、請求項1の発明において、立体網状体が、深さ方向の中間部または底部に横方向に窪んだ凹部を有して、成形され振動遮断構造の形成方法が提供される。
【0008】
請求項6の発明によれば、請求項1の発明において、溝、構造物を周囲するように形成され振動遮断構造の形成方法が提供される。
請求項7の発明によれば、請求項6の発明において、溝が、構造物の下面にも形成され振動遮断構造の形成方法が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して本発明による振動遮断構造の実施の形態について説明する。
図1は本発明による振動遮断構造の第1の実施の形態の詳細を説明する図であって、振動遮断構造10は地盤1に掘られた溝20と、溝20の内部に配設されるプラスチック製の立体網状体30から成る。
【0010】
ここで、第1の実施の形態の振動遮断構造10がどのような場所に設けられているかについて図2を参照して説明するが、図2に示されるように振動遮断構造10は、振動発生源である鉄道2と、振動が伝達されるのを避けたい構造物3の間の、構造物3に近い方に設けられている。
【0011】
図1に戻って、振動遮断構造10の詳細について説明するが、溝20は、振動遮断効果が得られる幅を掘削すればよく、立体網状体30の最小の厚さから2cm以上が好ましい。実際には、機械で掘削されるので、その幅は機械の切削幅で規定され約50~70cmとされることが多い。また、深さは最大で約10mである。
【0012】
立体網状体30はプラスチックから成る線状材を空隙を残しながら隣接するものどうしを立体的に接合させ乾麺状に成形したものであって、線状材の線径dと空隙率aを変えることによって振動低減性と耐土圧性を決定する圧縮弾性率eを変えることができる。
隣接する線状材どうしを接合させるには、溶融状態にある時に隣接する線状材を互いに接触させる方法や、屈曲させた線状材どうしを接着材によって接合する方法等の公知の製造技術が利用できるが、いずれにせよ、線径d、および、空隙率aの異なるものを容易に製造でき、その結果、全体の圧縮弾性率eを広い範囲にわたって変えることができる。
基本的には、圧縮弾性率eが低い方が振動低減効果があり好ましいので、耐土圧性が確保される限りできるだけ低い圧縮弾性率eが得られるように、立体網状体30を構成するプラスチックの種類、線径d、空隙率aが選択される。
プラスチックとしては、例えば、PP(ポリプロピレン)樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂等が望ましいが、廃プラスチックやリサイクルされた再生プラスチックを使用して、省資源に貢献することもできる。
【0013】
例えば、溝20が10mの深さまで掘られている場合には、その10mの深さの部分では、平均的な地盤の場合、立体網状体30には、約100kPaの土圧が作用するが、この土圧による収縮を数%以下に抑え、かつ振動を充分に低減し得る圧縮弾性率eを得るには、例えば、PP(ポリプロピレン)樹脂の場合、線径dを約1.5mm、空隙率aを約90%にすればよい。
しかしながら、より低い土圧しか作用しない場合には、線径dを小さく、および、または、空隙率aを大きくすればよいし、逆に、より高い土圧が作用する場合には、線径dを大きく、および、または、空隙率aを小さくすればよい。
【0014】
上記のように、空隙率aが大きな立体網状体30は軽いので、運搬、据え付け等の作業が容易であるという大きな利点を有するが、そのままでは、内部に土砂が入り込んでしまう、すなわち、溝20の壁面21が壊れる、ということが発生してしまう。そこで、この第1の実施の形態では、立体網状体30と溝20の壁面21の間に土砂を通さない不織布40が配設されている。
【0015】
第1の実施の形態の振動遮断構造は、上記のように構成され、立体網状体の線径と空隙率を変えることにより地盤の特性に応じた最適な仕様とすることができるために確実に効果を得ることができる。
しかも、立体網状体は約90%という大きな空隙率を有するので軽量であり、自重で変形することは無いので、運搬、据え付け等の作業性もよい。
【0016】
図3に示すのは、第2の実施の形態における振動遮断構造10であって、これは、第1の実施の形態に対して、立体網状体30の表層部分に土砂の通過を妨げる細密立体網部分31を一体に成形したものである。例えば、線径dは約0.15mm、空隙率aは約85%とされる。このようにすることにより、不織布40を別途用意する必要がなくなり、第1の実施の形態に比してさらに作業性が向上し、コストも安くなる。
【0017】
図4に示すのは、第3の実施の形態における振動遮断構造10であって、これは、第1の実施の形態に対して、土圧は深い程大きくなることを考えて、立体網状体30の地表に近い部分の圧縮弾性率eを低く、地表から遠い部分の圧縮弾性率eを高くするべく、地表に近い部分の空隙率aを大きく、地表から遠い部分の空隙率aを小さくしたものである。
しかし、その他、線径d、あるいは、材質、硬さ等を変化させることでもよいし、それらを適宜組み合わせることでもよい。
なお、これは第2の実施の形態にも勿論適用できる。
【0018】
図5に示すのは、第4の実施の形態における振動遮断構造10であって、これは、第1の実施の形態に対して、立体網状体30に内側に凹部32を設けて、地下水圧による浮き上がりを防止するようにしたものである。これは、第2、第3の実施の形態にも勿論適用できる。
なお、凹部32の形状は図示したものに限定されるものではなく、どの様な形状でも構わないし、また、凹部32の数も図示のように一つではなく複数とすることもできる。
【0019】
以上、第1の実施の形態から第4の実施の形態まで、立体網状体30は一体のものとして説明したが、一体で製造すると大き過ぎて運搬や据え付けに支障をきたすような場合には、深さ方向、あるいは、幅方向に適宜分割してもよい。
【0020】
次に、第5の実施の形態について説明する。これは、振動遮断構造10の配設場所を変えたものであって、第1~4の実施の形態とは異なり、振動遮断構造10を鉄道2の近くに設けたものである。このように振動発生源に近いところに設けることにより広い範囲にわたって振動を遮断することができる。
【0021】
次に、第6の実施の形態について説明する。これも、振動遮断構造10の配設場所を変えたものであって、第1~4の実施の形態とは異なり、振動遮断構造10を、上面視で構造物3を周囲するように、さらに、構造物3の下側にも、配設したものである。このようにすることにより、振動が地盤内を周り込んで構造物3に伝わるのも防止できる。
【0022】
以上、鉄道の振動遮断を例にとって説明してきたが、本発明の振動遮断構造は、その他、自動車道路の振動の遮断、工場の振動の遮断、工事現場の振動の遮断等色々な振動の遮断に利用することができる。
なお、振動遮断構造10の立体網状体30の頂面には適切な蓋を設けるこが望ましい。
【0023】
【発明の効果】
本発明による振動遮断構造は、振動発生源により発生せしめられた地盤振動が振動発生源の周辺の構造物に伝達されるのを防止する振動遮断構造であるが、振動発生源と構造物の間の地盤に地表から下方に延びるように形成した溝と、溝内に配設される立体網状体と、溝の壁面と立体網状体の間に介装され、立体網状体の内部に土砂が流入するのを防止する土砂流入防止手段と、を具備し、立体網状体が線状材を屈曲させて立体的に接合して成り、線径、および、または、空隙率が地盤の特性に応じた所望の圧縮弾性率を得るように選択されている。したがって、振動遮断構造は設置される地盤の特性に応じた圧縮弾性率を有する立体網状体が使用され効果的に振動を遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の振動遮断構造の詳細を説明する図である。
【図2】第1の実施の形態の振動遮断構造の配設場所を説明する図である。
【図3】第2の実施の形態の振動遮断構造の詳細を説明する図である。
【図4】第3の実施の形態の振動遮断構造の詳細を説明する図である。
【図5】第4の実施の形態の振動遮断構造の詳細を説明する図である。
【図6】第5の実施の形態の振動遮断構造の配設場所を説明する図である。
【図7】第6の実施の形態の振動遮断構造の配設場所を説明する図である。
【符号の説明】
10…振動遮断構造
20…溝
21…溝の壁面
30…立体網状体
31…細密立体網部分
32…凹部
40…不織布
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6